特開2018-199859(P2018-199859A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本発條株式会社の特許一覧
<>
  • 特開2018199859-ワーク冷却装置 図000003
  • 特開2018199859-ワーク冷却装置 図000004
  • 特開2018199859-ワーク冷却装置 図000005
  • 特開2018199859-ワーク冷却装置 図000006
  • 特開2018199859-ワーク冷却装置 図000007
  • 特開2018199859-ワーク冷却装置 図000008
  • 特開2018199859-ワーク冷却装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-199859(P2018-199859A)
(43)【公開日】2018年12月20日
(54)【発明の名称】ワーク冷却装置
(51)【国際特許分類】
   C21D 9/00 20060101AFI20181122BHJP
   C21D 1/00 20060101ALI20181122BHJP
【FI】
   C21D9/00 H
   C21D1/00 123Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-105863(P2017-105863)
(22)【出願日】2017年5月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】重松 良平
(72)【発明者】
【氏名】飯野 信次
(72)【発明者】
【氏名】保戸田 裕樹
【テーマコード(参考)】
4K034
4K042
【Fターム(参考)】
4K034AA02
4K034AA13
4K034BA03
4K034DB03
4K034FA05
4K034FB07
4K034FB08
4K042AA14
4K042BA10
4K042BA13
4K042BA14
4K042DA01
4K042DB01
4K042DD04
4K042DE02
4K042DE07
4K042DF01
4K042EA01
(57)【要約】
【課題】冷却水をワークの周面全体に均等に吹付けることができかつ噴射口の流路断面積を調整することが可能なワーク冷却装置を提供する。
【解決手段】本実施形態のワーク冷却装置12は、水冷ジャケット20とノズル部21とを備えている。水冷ジャケット20は、ハウジング30と内側部材31とを有している。ハウジング30と内側部材31との間に冷却水流路40が形成されている。ノズル部21は、複数のリング部材51,52,53と、スペーサリング61,62とを備えている。第1のリング部材51と第2のリング部材52との間に第1の噴射流路85が形成されている。第2のリング部材52と第3のリング部材53との間に第2の噴射流路95が形成されている。これら噴射流路85,95の噴射口86,96は、それぞれ、ノズル部21の内面21aの全周にわたり連続して開口している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却水が流れる冷却水流路を有しかつワークが挿入されるワーク挿入孔を有した水冷ジャケットと、
前記水冷ジャケットに設けられ前記ワークに向けて前記冷却水を噴射するノズル部と、
を備えたワーク冷却装置であって、
前記ノズル部は、
前記冷却水流路と連通する噴射流路と、
前記噴射流路の先端に形成され、前記ノズル部の内面において前記ノズル部の周方向に実質的に連続して開口する噴射口と、
を具備したことを特徴とするワーク冷却装置。
【請求項2】
前記ノズル部は、
前記水冷ジャケットの軸線に沿う方向に互いに間隔を存して配置され、前記ワーク挿入孔と対応した位置に前記ワークが通る孔を有した複数のリング部材と、
互いに隣り合う前記リング部材同士の対向面間に形成された前記噴射流路と、
を具備したことを特徴とする請求項1に記載のワーク冷却装置。
【請求項3】
互いに隣り合う前記リング部材同士の間隔を調整する間隔調整手段をさらに有したことを特徴とする請求項2に記載のワーク冷却装置。
【請求項4】
前記噴射流路は、前記噴射口から前記ワークに向かって噴出する冷却水が前記ワークの移動方向の前側に向かうよう前記水冷ジャケットの軸線に対し90°未満の角度をなして傾斜していることを特徴とする請求項1に記載のワーク冷却装置。
【請求項5】
前記噴射流路は、前記冷却水流路から前記噴射口に向かって次第に流路断面積が小さくなる形状であることを特徴とする請求項1に記載のワーク冷却装置。
【請求項6】
前記噴射流路が、前記水冷ジャケットの軸線を中心とする回転対称形であることを特徴とする請求項1に記載のワーク冷却装置。
【請求項7】
前記リング部材が前記軸線に沿う方向に3以上配置され、互いに隣り合うリング部材同士の間に、それぞれ、前記噴射流路を有したことを特徴とする請求項2に記載のワーク冷却装置。
【請求項8】
前記水冷ジャケットは、
ハウジングと、
前記ハウジングの内部に配置され前記ハウジングとの間に前記冷却水流路を形成する内側部材とを有し、
前記内側部材に前記ワーク挿入孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のワーク冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、加熱されたロッド等のワークを冷却水によって急冷するワーク冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ばね鋼からなるロッド等のワークを長手方向に移動させながら連続的に熱処理する場合、高温に加熱されたワークを水等の冷却媒体によって急冷することが行われている。例えば特許文献1に、ワーク(鋼線材)を熱処理する際に使用される冷却装置の一例が記載されている。その冷却装置は、外層パイプと、内層パイプと、外層パイプと内層パイプとの間に形成された導水路と、内層パイプに形成された多数のノズル(噴射孔)とを有している。加熱されたワークを内層パイプの内側に通し、このワークを長手方向に移動させながら、前記ノズルからワークに向けて水を噴射する。噴射された水によってワークが急冷されることにより、焼入組織が形成される旨記載されている。
【0003】
特許文献2には、ワーク(長尺棒鋼)の移動焼入のための冷却剤噴射装置が記載されている。その冷却剤噴射装置は、ワークに向けて水を噴射する多数のノズルを有する環状ジャケットを備えている。これらノズルは、環状ジャケットの周方向に等間隔で複数箇所に配置され、ワークに対して45°の角度で水を噴射するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公昭61−3377号公報
【特許文献2】特開2011−6771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の冷却装置は、内層パイプに形成されたノズル(噴射孔)からワークに向けて水を噴射する。特許文献2の冷却剤噴射装置は、環状ジャケットの周方向の複数箇所に配置されたノズルから水などの冷却剤を噴射する。このため特許文献1,2は、いずれも、ワークの表面全体のうちノズルと対向する個所には水(冷却剤)が勢いよく当たるが、ノズルから外れた個所では水が十分に当たらない。このためワークの表面を均等に冷却することができず、焼入れむらの原因となることがある。
【0006】
しかも特許文献1,2は、水の噴射量や噴射速度がノズルの径に左右される。たとえば特許文献1の場合、噴射量や噴射速度を変えるには、異なる径のノズルを有する複数種類の冷却装置を用意しておき、必要に応じて冷却装置をまるごと交換する必要がある。特許文献2の場合も、噴射量や噴射速度を変えるには、異なる径のノズルを有する複数種類の冷却剤噴射装置を用意しておき、必要に応じて冷却剤噴射装置をまるごと交換する必要がある。このため噴射量や噴射速度を容易に調整することができない。
【0007】
従って本発明の目的は、ワークの周面全体に冷却水を均等に吹付けることができ、冷却むらを生じにくくすることができるとともに、冷却水の沸騰により生じた気泡や蒸気膜を排除し、効果的にワークを冷却でき、さらに、噴射量や噴射速度を調整することが可能なワーク冷却装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの実施形態に係るワーク冷却装置は、冷却水が流れる冷却水流路を有しかつワークが挿入されるワーク挿入孔を有した水冷ジャケットと、前記水冷ジャケットに設けられ前記ワークに向けて前記冷却水を噴射するノズル部とを備えたワーク冷却装置であって、前記ノズル部は、前記冷却水流路と連通する噴射流路と、前記噴射流路の先端に形成され前記ノズル部の内面において前記ノズル部の周方向に実質的に連続して開口する噴射口とを具備している。
【0009】
この実施形態において前記ノズル部は、前記水冷ジャケットの軸線に沿う方向に互いに間隔を存して配置され、前記ワーク挿入孔と対応した位置に前記ワークが通る孔を有した複数のリング部材と、互いに隣り合う前記リング部材同士の対向面間に形成された前記噴射流路とを具備してもよい。また互いに隣り合う前記リング部材同士の間隔を調整するスペーサリング等の間隔調整手段を有してもよい。前記噴射流路は、前記噴射口から前記ワークに向かって噴出する冷却水が前記ワークの移動方向の前側に向かうよう前記水冷ジャケットの軸線に対し90°未満の角度をなして傾斜していてもよい。
【0010】
前記噴射流路の一例は、前記冷却水流路から前記噴射口に向かって次第に流路断面積が小さくなる形状である。前記噴射流路は、前記水冷ジャケットの軸線を中心とする回転対称形であってもよい。さらに前記リング部材が前記軸線に沿う方向に3以上配置され、互いに隣り合うリング部材同士の間に、それぞれ、前記噴射流路を有してもよい。前記水冷ジャケットの一例は、ハウジングと、前記ハウジングの内部に配置され前記ハウジングとの間に前記冷却水流路を形成する内側部材とを有し、前記内側部材に前記ワーク挿入孔が形成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明のワーク冷却装置によれば、ワークの周面全体に冷却水を吹付けることができるため冷却むらを生じにくくすることができる。また、冷却水の沸騰により生じた気泡や蒸気膜を排除し、効果的にワークを冷却できる。また、互いに隣り合う複数のリング部材によってノズル部が構成されている場合、リング部材同士の間隔を変えることにより、ノズルの開口量(流路断面積)を変えることが可能であり、噴射口から噴出する冷却水の量を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施形態に係るワーク冷却装置を備えたワーク処理装置を模式的に示す側面図。
図2図1に示されたワーク冷却装置の軸線方向に沿う断面図。
図3図2に示されたワーク冷却装置のノズル部を拡大して示す断面図。
図4】同ワーク冷却装置のノズル部を分解して示す断面図。
図5】同ワーク冷却装置のノズル部の第1のリング部材の正面図。
図6図3中のF6−F6線に沿うワーク冷却装置の断面図。
図7】第2の実施形態に係るワーク冷却装置の軸線方向に沿う断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に第1の実施形態に係るワーク冷却装置を備えたワーク処理装置1について、図1から図6を参照して説明する。
図1はワーク処理装置1の構成を模式的に示している。ワーク処理装置1は、ワーク2を移動させるワーク送り機構10と、ワーク2を加熱する加熱装置11と、ワーク2を冷却するワーク冷却装置12と、ワーク2の温度を測定する温度センサ13と、ワーク2の径を測定するワーク径測定器14と、制御部15などを含んでいる。
【0014】
ワーク2の一例はばね鋼からなり、断面が円形の丸棒である。処理前のワーク2の径D1は特に問わないが、例えば8〜20mmである。ワーク径測定器14は、処理後のワーク2の径を、例えばレーザビームの発光部と受光部とを用いて測定する。ワーク2は、図1に矢印F1で示す方向(ワーク2の軸線X1に沿う方向)に連続的に移動する。ワークとしては、角線材のように断面が円形以外の線材、あるいは中空の線材であってもよい。また、ワークは連続的な線材に限定されるものでもなく、例えば非連続な棒材、板材等であってもよい。
【0015】
ワーク送り機構10は、ワーク2の移動方向に関して上流側に配置された第1ローラ10aと、ワーク2の移動方向に関して下流側に配置された第2ローラ10bとを含んでいる。第1ローラ10aと第2ローラ10bとは、それぞれ駆動機構16,17によって回転し、かつ、油圧アクチュエータ等の加圧手段によってワーク2の径方向に押圧される。第1ローラ10aと第2ローラ10bの回転速度(周速度)は制御部15によって制御され、所定の速度でワーク2を軸線X1に沿う方向に移動させる。
【0016】
加熱装置11の一例は高周波誘導コイル11aを備えている。高周波誘導コイル11aは、ワーク冷却装置12の入口付近において、ワーク2を焼入れ可能な第1の温度(例えばオーステナイト化温度)まで急速加熱する。
【0017】
ワーク冷却装置12は、ワーク2の移動方向に関して加熱装置11の下流側に配置されている。ワーク冷却装置12は、ワーク2を第2の温度まで急冷することにより、ワーク2の熱処理(例えば焼入れ)を行う。以下にワーク冷却装置12について説明する。
【0018】
図2は、ワーク冷却装置12にワーク2が挿入された状態を示している。ワーク冷却装置12は、水冷ジャケット20と、水冷ジャケット20に設けられた環状のノズル部21とを含んでいる。後に詳しく説明するようにノズル部21はワーク2を囲む形状であり、ワーク2に向けて冷却水を噴射するようになっている。水冷ジャケット20とノズル部21とが互いに一体に形成されてもよいし、互いに別体の部材により構成されてもよい。
【0019】
水冷ジャケット20は、円筒形のハウジング(外筒)30と、ハウジング30の内部に配置された円筒形の内側部材(内筒)31と、ハウジング30に設けられた冷却水供給口35と、第1の端部材36と、第2の端部材37とを備えている。ハウジング30と内側部材31との間に冷却水流路40が形成されている。冷却水流路40は冷却水供給口35と連通している。
【0020】
冷却水供給口35は、冷却水配管41(図1に示す)を介してポンプユニット42に接続されている。内側部材31に、ワーク2が通ることのできる大きさ(内径)のワーク挿入孔50が形成されている。ワーク挿入孔50は、ワーク2の長手方向(軸線X1に沿う方向)に延びている。
【0021】
図2に示されるように内側部材31のワーク挿入孔50の入口側に第1の開口50aが形成されている。またワーク挿入孔50の出口側に第2の開口50bが形成されている。第1の開口50aと第2の開口50bの内径は、それぞれワーク2が通ることのできる大きさである。第2の開口50b付近に、ワーク挿入孔50の内側(内径側)に突出するオリフィス部50c(図2に2点鎖線で示す)を設けてもよい。オリフィス部50cを設けることにより、ワーク挿入孔50内の冷却水をワーク2と内側部材31との間にある程度保持することができる。
【0022】
第1の端部材36は、水冷ジャケット20の第1の端部20aに設けられている。第1の端部材36に、ワーク2が通る大きさの孔36aが形成されている。第2の端部材37は、水冷ジャケット20の第2の端部20bに設けられている。第2の端部材37に、ワーク2が通ることのできる大きさの孔37aが形成されている。
【0023】
冷却水流路40は、第1の端部材36と第2の端部材37との間に形成され、水冷ジャケット20の軸線X2(図2に示す)に沿う方向に延びている。冷却水流路40は、水冷ジャケット20の第1の端部20aから第2の端部20bに向かって、次第に内径が大きくなる(流路断面積が拡大する)形状である。水冷ジャケット20の軸線X2は、ワーク挿入孔50を通るワーク2の軸線X1と実質的に一致している。
【0024】
図3はワーク冷却装置12の一部(ノズル部21)を拡大して示す断面図である。図4はノズル部21を分解して示す断面図である。ノズル部21は、水冷ジャケット20の第1の端部20aに配置されている。本実施形態のノズル部21は、3個のリング部材51,52,53と、間隔調整手段の一例としての2個のスペーサリング61,62とを含んでいる。リング部材51,52,53は、水冷ジャケット20の軸線X2に沿う方向に互いに間隔を存して配置されている。
【0025】
すなわち第1のリング部材51と第2のリング部材52とは、第1のスペーサリング61を間に挟んだ状態で、軸線X2に沿う方向に互いに隣り合って配置されている。第2のリング部材52と第3のリング部材53とは、第2のスペーサリング62を間に挟んだ状態で、軸線X2に沿う方向に互いに隣り合って配置されている。
【0026】
図5は、第1のリング部材51の正面図である。第1のリング部材51は、環状の第1の支持部51aと、第1の支持部51aの周方向の複数個所に形成された第1のリブ51bと、第1のリブ51bによって支持された環状の第1のボディ51cとを有している。第1の支持部51aは、ハウジング30の内面30aに接している。第1の支持部51aと第1のボディ51cとの間に、冷却水流路40に連通する流通部51dが形成されている。
【0027】
図4等に示されるように、第1のリング部材51のボディ51cには、内側部材31の端部31aが挿入される凹部70と、Oリング等のシール部材71が密接するシール壁72と、ワーク2が通る孔73と、第2のリング部材52に向かって突出する凸形の曲面からなる流路形成面74などが形成されている。
【0028】
第2のリング部材52は、環状の第2の支持部52aと、第2の支持部52aの周方向の複数個所に形成された第2のリブ52bと、第2のリブ52bによって支持された環状の第2のボディ52cとを有している。第2の支持部52aは、ハウジング30の内面30aに接している。第2の支持部52aと第2のボディ52cとの間に、冷却水流路40に連通する流通部52dが形成されている。
【0029】
図4等に示されるように、第2のボディ52cに、凹形の曲面からなる流路形成面80と、凸形の曲面からなる流路形成面81と、ワーク2が通る円形の孔82が形成されている。凸形の流路形成面81は、凹形の流路形成面80の反対側に形成されている。第2のリング部材52の流路形成面80は、第1のリング部材51の流路形成面74と対向している。
【0030】
流路形成面74,80の間に第1の噴射流路85が形成されている。すなわち互いに隣り合うリング部材51,52同士の対向面間に、第1の噴射流路85が形成されている。第1の噴射流路85は、流通部51dを介して冷却水流路40と連通している。第1の噴射流路85は、水冷ジャケット20の軸線X2を中心とする回転対称形である。第1の噴射流路85の先端側に、噴射口86が形成されている。図6に示されるように噴射口86は、ノズル部21の内面21aにおいて、ノズル部21の全周にわたって実質的に連続して開口している。ここで「実質的に連続して開口している」とは、冷却水がワークの全周に均等に当たるように噴射口86が形成されていることを意味する。つまり周方向の一部が連続して開口していなくても、実質的にワークの全周に冷却水が当たるような形状も含む。
【0031】
1つの実施形態では、図3に示されるように第1の噴射流路85は、その噴射口86がワーク2の移動方向F1の前側を向くように、水冷ジャケット20の軸線X2に対して、90°未満の角度θ1をなして傾斜している。しかも第1の噴射流路85は、冷却水流路40と連通する流通部51dから噴射口86に向かって、次第に流路断面積が小さくなるオリフィス形状となっている。このため冷却水流路40から流通部51dを経て第1の噴射流路85に流入した冷却水は、噴射口86に向かって次第に流速が増加し、矢印F2で示すように角度θ1をなして噴射口86から勢いよく噴出する。
【0032】
他の実施形態では噴射流路85の角度θ1を90°とし、ワーク2の周面に垂直に冷却水を噴出させてもよい。さらに別の実施形態の噴射流路85は、噴射口86がワーク2の移動方向F1の後ろ側を向くように、水冷ジャケット20の軸線X2に対し、90°より大きい角度θ1をなして傾斜していてもよい。
【0033】
第1のリング部材51の支持部51aと第2のリング部材52の支持部52aとの間に、第1の間隔調整手段の一例として、第1のスペーサリング61が配置されている。第1のスペーサリング61の厚さT1(図4に示す)に応じて、第1のリング部材51と第2のリング部材52との間の距離を変化させることができる。つまりスペーサリング61の厚さT1に応じて、流路形成面74,80間の距離を調整することができる。このためスペーサリング61の厚さT1を変えることにより、第1の噴射流路85の流路断面積を調整することができる。なお第1の間隔調整手段の他の例として、例えばボールねじ等の送りねじ機構により、第1のリング部材51と第2のリング部材52との間の距離を変化させ、流路形成面74,80間の距離を調整するようにしてもよい。
【0034】
第3のリング部材53は、環状の第3のボディ53aを有している。第3のボディ53aの周面は、ハウジング30の内面30aに接している。第3のボディ53aには、凹形の曲面からなる流路形成面90と、ワーク2が通る円形の孔91とが形成されている。第3のリング部材53の流路形成面90は、第2のリング部材52の流路形成面81と対向している。
【0035】
流路形成面81,90の間に第2の噴射流路95が形成されている。すなわち互いに隣り合うリング部材52,53同士の対向面間に、第2の噴射流路95が形成されている。第2の噴射流路95は、流通部52dを介して冷却水流路40と連通している。第2の噴射流路95は、第1の噴射流路85と同様に、水冷ジャケット20の軸線X2を中心とする回転対称形である。第2の噴射流路95の先端側に噴射口96が形成されている。噴射口96は、ノズル部21の内面21aにおいて、ノズル部21の全周にわたって連続して開口している。
【0036】
1つの実施形態では、図3に示されるように第2の噴射流路95は、その噴射口96がワーク2の移動方向F1の前側を向くように、水冷ジャケット20の軸線X2に対し、90°未満の角度θ1をなして傾斜している。しかも第2の噴射流路95は、冷却水流路40と連通する流通部52dから噴射口96に向かって、次第に流路断面積が小さくなるオリフィス形状となっている。このため冷却水流路40から流通部52dを経て第2の噴射流路95に流入した冷却水は、噴射口96に向かって次第に流速が増加し、矢印F3で示すように角度θ2をなして噴射口96から勢いよく噴出する。
【0037】
他の実施形態では噴射流路95の角度θ2を90°とし、ワーク2の周面に垂直に冷却水を噴出させてもよい。さらに別の実施形態の噴射流路95は、噴射口96がワーク2の移動方向F1の後ろ側を向くように、水冷ジャケット20の軸線X2に対し、90°より大きい角度θ2をなして傾斜していてもよい。
【0038】
第2のリング部材52の支持部52aと第3のリング部材53との間に、第2の間隔調整手段の一例として、第2のスペーサリング62が配置されている。第2のスペーサリング62の厚さT2(図4に示す)に応じて、第2のリング部材52と第3のリング部材53との間の距離を変化させることができる。つまりスペーサリング62の厚さT2に応じて、流路形成面81,90間の距離を調整することができる。このためスペーサリング62の厚さT2を変えることにより、第2の噴射流路95の流路断面積を調整することができる。なお第2の間隔調整手段の他の例として、例えばボールねじ等の送りねじ機構により、第2のリング部材52と第3のリング部材53との間の距離を変化させ、流路形成面81,90間の距離を調整するようにしてもよい。
【0039】
次に本実施形態のワーク処理装置1の作用について説明する。
図1に示されるようにワーク2は、第1ローラ10aと第2ローラ10bなどによって矢印F1で示す方向に移動する。移動するワーク2が加熱装置11によって第1の温度に加熱される。加熱装置11によって加熱されたワーク2は、ワーク冷却装置12によって第2の温度まで急冷される。
【0040】
図3に示されるように、ワーク冷却装置12のノズル部21において、冷却水が噴射口86,96から噴出する。しかもこの冷却水は、ワーク2の移動方向F1の前側に向かって噴射口86,96から斜めに噴出する。噴射口86,96は、それぞれ、ノズル部21の内面21aの全周にわたり連続して開口している。このため噴射口86,96から噴出する冷却水は、図6に矢印F4で示すように、ノズル部21の全周からワーク2に向かって均等に噴出する。このためワーク2の周面全体に冷却水を当てることができ、ワーク2をほぼ均等に冷却することができる。
【0041】
冷却水が高温のワーク2に接すると、冷却水は沸騰して気泡あるいは蒸気膜を生じるが、噴射口86,96から噴出した冷却水がワーク2に激しく衝突するため気泡あるいは蒸気膜が排除され、低温の冷却水が次々にワーク2に接することにより、ワーク2が効果的に冷却される。ワーク2に当った冷却水は、ワーク2の表面に沿ってワーク挿入孔50を通り、図1に矢印F5で示すように水冷ジャケット20の第2の端部20bから外部に排出される。
【0042】
本実施形態の噴射流路85,95は、噴射口86,96から噴出する冷却水がワーク2の移動方向F1の前側に向かうように、軸線X2に対し角度θ1,θ2(図3に示す)をなして傾いている。このため水冷ジャケット20の第1の端部20aの近傍に加熱装置11が配置されていても、噴射口86,96から噴射された冷却水が加熱装置11に向かうことを抑制することができ、加熱装置11が被水することによる問題を回避できる。
【0043】
前記したようにリング部材51,52,53によって形成される噴射流路85,95は、軸線X2を中心とする回転対称形である。すなわちリング部材51,52,53が軸線X2まわりのどのような相対的な位置にあっても、噴射口86,96の開口量(流路断面積)は変化しない。このためワーク冷却装置12を組立てる際に、水冷ジャケット20に対するリング部材51,52,53の軸線X2まわりの位置を気にすることなく、リング部材51,52,53を水冷ジャケット20に配置することができる。
【0044】
図7は、第2の実施形態に係るワーク冷却装置12´を示している。このワーク冷却装置12´は、水冷ジャケット20の入口側(第1の端部20a)に吸引機構100を備えている。吸引機構100は、ノズル部21と加熱装置11との間に配置されたチャンバ110と、チャンバ110の内部に負圧を発生させる負圧発生手段111とを備えている。
【0045】
チャンバ110の吸込み口112は、ノズル部21の近傍において開口し、ノズル部21の内面21aとワーク2との間の隙間113に連通している。噴射口86,96から噴出した冷却水はワーク2の表面で跳ね返る。このため冷却水の一部が加熱装置11の方向に移動してくる可能性がある。しかし加熱装置11の方向に移動する冷却水は、チャンバ110内の負圧によりチャンバ110に吸引される。
【0046】
このような吸引機構100を備えたワーク冷却装置12´は、噴射口86,96から噴射された冷却水が加熱装置11に向かうことをさらに効果的に抑制することができるため、加熱装置11が被水することをさらに確実に回避できる。それ以外の構成について第2の実施形態のワーク冷却装置12´は、第1の実施形態のワーク冷却装置12と共通であるため、両者に共通の箇所に共通の符号を付して説明を省略する。
【0047】
なお本発明を実施するに当たり、水冷ジャケットを構成するハウジングや内側部材、ノズル部を構成するリング部材など、ワーク冷却装置の構成要素の形状や配置等の具体的な態様を、必要に応じて変形して実施できることは言うまでもない。またリング部材が2つ(すなわち噴射流路が1つ)でもよいし、リング部材が4以上(噴射流路が3以上)でもよい。
【符号の説明】
【0048】
1…ワーク処理装置、2…ワーク、X1…ワークの軸線、11…加熱装置、12…ワーク冷却装置、F1…ワークの移動方向、20…水冷ジャケット、X2…水冷ジャケットの軸線、21…ノズル部、21a…内面、30…ハウジング、31…内側部材、35…冷却水供給口、40…冷却水流路、50…ワーク挿入孔、51…第1のリング部材、52…第2のリング部材、53…第3のリング部材、61…第1のスペーサリング(間隔調整手段)、62…第2のスペーサリング(間隔調整手段)、73…孔、74…流路形成面、80…流路形成面、81…流路形成面、82…孔、85…第1の噴射流路、86…噴射口、90…流路形成面、91…孔、95…第2の噴射流路、96…噴射口。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7