(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-199956(P2018-199956A)
(43)【公開日】2018年12月20日
(54)【発明の名称】H形鋼の接合方法
(51)【国際特許分類】
E02D 5/24 20060101AFI20181122BHJP
【FI】
E02D5/24 103
E02D5/24 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2017-105313(P2017-105313)
(22)【出願日】2017年5月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(72)【発明者】
【氏名】延藤 遵
(72)【発明者】
【氏名】藤井 誠司
(72)【発明者】
【氏名】戸田 明良
(72)【発明者】
【氏名】新美 勝之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 友美
【テーマコード(参考)】
2D041
【Fターム(参考)】
2D041AA02
2D041BA19
2D041DB02
2D041DB11
(57)【要約】
【課題】先行設置したH形鋼の誤差を補正しつつ、容易にこのH形鋼に後行のH形鋼を接合して設置することを可能にするH形鋼の接合方法を提供する。
【解決手段】先行設置したH形鋼1の端部に他のH形鋼3を接合するH形鋼の接合方法であって、先行設置したH形鋼1の端部に、該H形鋼1の材軸と板面が略直交するように平板状の据付板2を一体に接続し、据付板2に端部を接続して他のH形鋼3を設置するようにした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先行設置したH形鋼の端部に他のH形鋼を接合するH形鋼の接合方法であって、
前記先行設置したH形鋼の端部に、該H形鋼の材軸と板面が略直交するように平板状の据付板を一体に接続し、前記据付板に端部を接続して前記他のH形鋼を設置するようにしたことを特徴とするH形鋼の接合方法。
【請求項2】
請求項1記載のH形鋼の接合方法において、
前記据付板に接続しつつ前記H形鋼のフランジ外側に重なるように材軸方向に延びる補強材を設けることを特徴とするH形鋼の接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、H形鋼の接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、仮設構台を構築する際には、H形鋼を地中に打設し、この杭のH形鋼(H鋼杭)の上部に柱となるH形鋼(H鋼柱)を接合する(例えば、特許文献1参照)。このとき、H鋼杭の地中への打設時に設置位置の誤差が生じ、この誤差をH鋼柱の接合部で補正する必要が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−308913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、H鋼杭にH鋼柱を直接的に現場で溶接接合やボルト接合で接合する場合には水平方向の誤差を吸収することができない。このため、上部の架構部の各部材の長さや方向を修正し、誤差に対応することが求められ、上部架構部の設計、製作、加工、現地組立作業が大変複雑になり、これが工程の遅延、高コスト化を招く一要因となっている。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑み、先行設置したH形鋼の誤差を補正しつつ、容易にこのH形鋼に後行のH形鋼を接合して設置することを可能にするH形鋼の接合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0007】
本発明のH形鋼の接合方法は、先行設置したH形鋼の端部に他のH形鋼を接合するH形鋼の接合方法であって、前記先行設置したH形鋼の端部に、該H形鋼の材軸と板面が略直交するように平板状の据付板を一体に接続し、前記据付板に端部を接続して前記他のH形鋼を設置するようにしたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明のH形鋼の接合方法においては、前記据付板に接続しつつ前記H形鋼のフランジ外側に重なるように材軸方向に延びる補強材を設けることが望ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明のH形鋼の接合方法においては、先行設置したH形鋼の誤差を補正しつつ、容易に且つ好適にこのH形鋼に後行のH形鋼を接合して設置することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係るH形鋼の接合方法を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るH形鋼の接合方法を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るH形鋼の接合方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、
図1から
図3を参照し、本発明の一実施形態に係るH形鋼の接合方法について説明する。ここで、本実施形態は、仮設構台を構築する場合など、下方のH形鋼と上方のH形鋼を設置位置の誤差を吸収しつつ接合することを可能にするH形鋼の接合方法に関するものである。
【0012】
具体的に、本実施形態のH形鋼の接合方法では、
図1に示すように、先行設置したH形鋼1の端部に、該H形鋼1の材軸と板面が略直交するように平板状の据付板2を溶接などして一体に接続する。そして、据付板2の板面に端部を溶接などして接続し、他のH形鋼3を設置する。
【0013】
これにより、先行設置したH形鋼1に設置誤差(打設誤差)が生じている場合であっても、据付板2でこの誤差を吸収して他のH形鋼3を設置することが可能になる。
【0014】
また、本実施形態では、吸収すべき誤差の大きさに応じて以下の3方法を使い分ける。
【0015】
まず、方法1〜3を使い分ける閾値について説明する。なお、実際の適用に際しては、作用する荷重条件に応じてFEM解析等を行って発生断面力を算定し、所定の強度性能を有することを確認し、閾値や補強部材の仕様を決定することが望ましい。また、補強部材4については、局所的な応力集中や溶接性能等を考慮してSM490等の溶接性能に優れた高強度材料を使用することが望ましい。
【0016】
方法1は、吸収すべき誤差が接合するH形鋼3のフランジ厚さの半分程度以下の場合に用いる。この方法1では、
図1に示すように、フランジ厚の厚さを有する据付板(鋼板)2を先行設置した下方のH形鋼1の上部に水平に接合し、この据付板2の上面に上方の他のH形鋼3の下端部を溶接するなどして接合する。
【0017】
方法2は、吸収すべき誤差が接合するH形鋼のフランジ厚さ程度以下の場合に用いる。この方法2では、
図2に示すように、フランジ厚の厚さを有する据付板2を挟んで溶接するなどして設置し、さらに少なくとも一方のH形鋼1、3のフランジ外側に、フランジに重なるように材軸方向に延びる鋼板などの補強材(棒状あるいは板状の厚板)4を溶接などして設置する。
【0018】
方法3は、吸収すべき誤差が接合するH形鋼のフランジ厚さ程度以上の場合に用いる。この方法3では、
図3に示すように、フランジ厚の厚さを有する据付板2を挟んで溶接するなどして設置し、さらに少なくとも一方のH形鋼1、3のフランジ外側に、フランジに重なるように材軸方向に延びる鋼板などの補強材4を複数(解析上、必要となる数)溶接するなどして設置する。
【0019】
ここで、H形鋼1、3に、曲げモーメント(M)に加えて材軸方向(鉛直方向)の軸力(N)が卓越して作用するため、接合部において水平位置にズレ量(δ)があると付加的なモーメント(ΔM=N×δ)が作用し、構造上の弱点となりやすい。
【0020】
これに対し、上記のように据付板2を用いてH形鋼1、3同士を接合し、さらに接合部を補強材4で補強することにより、材軸方向(鉛直方向)の応力の流れを円滑にして、接合部が弱点とならずに水平方向のズレ量を吸収することが可能になる。
【0021】
したがって、本実施形態のH形鋼の接合方法によれば、先行設置したH形鋼1の誤差を補正しつつ、容易に且つ好適にこのH形鋼1に後行のH形鋼3を接合して設置することが可能になる。
【0022】
以上、本発明に係るH形鋼の接合方法の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0023】
1 H形鋼
2 据付板
3 H形鋼
4 補強材