【解決手段】管理装置6は、通常状態よりも遊技者にとって有利な状態である特賞を発生させるための特賞抽選結果を示す単位遊技を、遊技中に成立可能な始動条件の成立に応じて実行可能であり、当該単位遊技の実行中に新たな始動条件が成立した場合には当該新たな始動条件の成立による単位遊技の実行を保留する遊技機1の遊技情報を管理対象とし、通常状態における単位遊技の回数であるスタートの内、特賞中における始動条件の成立に起因する特賞後のスタートである特賞保留数を、当該特賞保留数の理論情報である理論特賞保留数として理論情報をシミュレートする。
通常状態よりも遊技者にとって有利な状態である特賞を発生させるための特賞抽選結果を示す単位遊技を、遊技中に成立可能な始動条件の成立に応じて実行可能であり、当該単位遊技の実行中に新たな始動条件が成立した場合には当該新たな始動条件の成立による単位遊技の実行を保留する遊技機の遊技情報を管理対象とする遊技場用システムであって、
前記遊技機側から出力される遊技信号、操作入力及び外部入力の内、少なくとも1つにより、前記特賞の発生状況を特定可能な特賞情報、及び通常状態における単位遊技の回数であるスタートを特定可能なスタート情報を少なくとも含む遊技情報を特定する遊技情報特定手段と、
前記特賞抽選の抽選確率通りに前記特賞が発生した場合における理論上の遊技情報である理論情報をシミュレート可能であり、前記スタートの内、特賞中における始動条件の成立に起因する特賞後のスタートである特賞保留数を、当該特賞保留数の前記理論情報である理論特賞保留数として前記理論情報をシミュレートするシミュレート手段と、を備えたことを特徴とする遊技場用システム。
前記遊技情報特定手段は、特賞1回当りの前記特賞保留数の期待値である特賞保留期待値を特定可能な特賞保留情報、前記通常状態において遊技者が消費した遊技価値であるアウトを特定可能なアウト情報、及び予め設定される前記特賞抽選の抽選確率の逆数を示す特賞を発生させるために理論上必要な前記スタートであるTSを特定可能なTS情報を特定し、
前記特賞情報は、前記特賞の発生回数を特定可能であり、
前記シミュレート手段は、前記特賞の発生回数分の前記特賞保留期待値を示す想定上の前記特賞保留数である想定特賞保留数を前記スタートから除外した除外Sの前記アウトに対する割合を示す除外スタートと、前記TSから前記特賞保留期待値分を除外した除外TSとにより特定される特賞を発生させるために理論上必要な前記アウトである理論アウトにより特定される前記理論情報をシミュレー卜することを特徴とする請求項1に記載した遊技場用システム。
前記遊技情報特定手段は、特賞1回当りの前記特賞保留数の期待値である特賞保留期待値を特定可能な特賞保留情報、及び予め設定される前記特賞抽選の抽選確率の逆数を示す特賞を発生させるために理論上必要な前記スタートであるTSを特定可能なTS情報を特定し、
前記特賞情報は、前記特賞の発生回数を特定可能であり、
前記シミュレー卜手段は、前記特賞の発生回数分の前記特賞保留期待値を示す想定上の前記特賞保留数である想定特賞保留数を前記スタートから除外した除外S、及び当該除外Sと前記TSから前記特賞保留期待値を除外した除外TSとにより特定される前記スタート分の遊技に応じた理論上の特賞発生回数分の前記特賞保留期待値を示す理論Sにより特定可能な遊技情報をシミュレートすることで、前記特賞保留数を前記理論特賞保留数として前記理論情報をシミュレートすることを特徴とする請求項1又は2に記載した遊技場用システム。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、遊技場用システムの全体構成を示す概略図である。遊技場内には多数の遊技機1が設置されており、各遊技機1に対応して遊技装置2及び情報表示装置3が設置されている。これら遊技機1、遊技装置2及び情報表示装置3は、中継装置4及びLAN5を介して管理装置6(遊技情報特定手段、シミュレート手段に相当する)と接続されている。管理装置6は、遊技機側(遊技機1、遊技装置2等)から出力される遊技信号を入力して遊技機1毎の遊技データや会員登録された会員毎の個人データ等を管理する。遊技場にはPOSや残高精算機(何れも図示せず)も設置されており、これらPOSや残高精算機も、LAN5を介して管理装置6と接続されている。尚、
図1では図示を省略したが、実際には例えば数百台の遊技機1が管理装置6の管理対象となっている。
【0009】
管理装置6は、遊技場内の例えば事務室等に設置されており、遊技場の管理者が操作するキーボード7、モニタ8、プリンタ(図示せず)等が接続されている。管理装置6は、遊技機1や遊技装置2等から入力される遊技信号に基づいて、遊技機1や遊技装置2等の稼動状態を特定して遊技機1毎に遊技情報を管理して管理者向けに表示、印字出力する。
【0010】
遊技機1は、CR(カードリーダ)パチンコ遊技機であり、
図2に示すように、盤面9に玉を発射する発射装置を構成する操作ハンドル10、上受皿11、下受皿12を有し、上受皿11には残高表示部13、貸出釦14、返却釦15が設けられていると共に、盤面9には普図入賞口16、普図表示部17、普図保留表示部18、特図表示部19、第1保留数表示部20、第2保留数表示部21、一般入賞口22、第1始動口23、第2始動口24、大入賞口25が設けられている。
【0011】
遊技機1は以下に示すように動作する。
(1)第1始動口23は入賞率が変動しない入賞口(所謂ヘソ入賞口)であり、第2始動口24は入賞率が変動する入賞口(所謂電チュー)である。各始動口23、24への入賞(始動入賞、始動条件の成立)に応じて大当り抽選を行い、抽選結果を特図表示部19にて行う図柄変動(単位遊技、役物作動、S)にて報知し、その変動結果に応じて大当り(特賞)となる。
(2)図柄変動中に始動入賞した場合には所定の保留上限値(例えば各始動口23、24に4つずつ)まで図柄変動を累積的に保留し、図柄変動終了後に、保留している図柄変動を開始する。尚、保留している図柄変動数(保留数)が上限値である状態で始動入賞した場合、図柄変動は保留されない。
(3)大当り抽選の当選確率(大当り確率)は1/30であり、大当りが発生すると4ラウンド(R)分だけ大入賞口25を開放する。1Rの上限入賞数は10個(6個賞球)であり、上限開放時間は30秒であり、上限入賞数又は上限開放時間の何れかが満たされた場合に1Rを終了する。尚、所謂ラウンド振分を行わない遊技機を例示したがラウンド振分を行う遊技機を対象としても良い。
【0012】
(4)大当りが終了すると時短(特賞)となり、時短中は大当り確率は変わらないものの第2始動口24の入賞率は向上する。そして、時短回数には振分抽選(特賞振分抽選)があり、40%で20回、60%で10回の時短となり、その分の図柄変動が行われるまで時短を継続し、その後は通常状態となる。よって、遊技者は大当りが発生するまでは第1始動口23に入賞させるべく左打ちルートLへと玉を打ち込み(左打ち)、大当りが発生してから時短が終了するまでの特賞中は第2始動口24又は大入賞口25に入賞させるべく右打ちルートRへと玉を打ち込む(右打ち)ように玉の勢いを強弱させるようなハンドル操作を行う。
(5)第2始動口24は普図入賞口16への入賞に応じて変動する普通図柄(普図)が当りとなった場合に入賞率の高い開放状態となる。この場合、普
図1回の変動時間は通常状態では30秒であり時短状態では5秒となる。即ち、時短状態では通常状態と比較して普図変動時間が短くなる一方、開放時間は長くなることで第2始動口24の入賞率が高くなる。
【0013】
遊技機1及び当該遊技機1に付設された周辺機器は、遊技者による玉の打込みや各始動口23、24への始動入賞等の遊技の進行に伴って、以下に示す遊技信号を出力する。
「アウト信号」=消費玉を回収するアウトBOXから出力される消費価値(アウト)を特定可能な信号である。消費(使用、打込、回収)玉10玉に対して1パルスが出力されるので、「アウト信号数×10」をアウトとして特定する。尚、遊技機1から出力される信号でも良い。
「セーフ信号」=遊技機1から出力される入賞付与価値(セーフ)を特定可能な信号である。払出10玉に対して1パルスが出力されるので、「セーフ信号数×10」をセーフとして特定する。出力時点として入賞した時点で出力する信号が望ましいが、払出し完了時点で出力する信号でも良い。又、補給装置から出力される補給信号をセーフ信号としても良い。
【0014】
「図柄変動信号(始動信号)」=始動入賞により変動(作動)する特図表示部(役物)19における図柄変動を特定可能な信号である。図柄変動確定時に出力されるので、信号入力に応じて図柄変動を特定する。尚、各始動口23、24への入賞(始動入賞、S入賞)を特定可能な始動入賞信号にて代用しても良い。
「大当り信号」=遊技機1から出力される大当り期間を特定可能な信号である。大当り中にレベル出力される状態信号なので、大当り信号入力中を大当り中として特定する。
「特別状態信号」=遊技機1から出力される特別状態(甘中)を特定可能な信号である。第2始動口24の入賞率が向上する特別状態中(時短中)にレベル出力される状態信号なので、特別状態信号入力中を特別状態中として特定する。又、大当り信号と特別状態信号の何れも入力していない期間を通常状態として特定する。
【0015】
遊技装置2は、遊技機1の遊技状態や遊技装置2の状態を示す状態表示部26、紙幣(貨幣価値)が投入される紙幣投入口27、遊技者からの操作入力を受け付けると共に遊技の進行に伴って図柄変動回数(スタート回数)や大当り確率等の遊技データや遊技装置2における貸出状況を示す貸出情報等を表示するタッチパネル式の液晶表示部28、持玉及び貯玉を払い出すための払出釦29、払い出された玉が通過する払出ノズル30、一般カードや会員カードが挿入されるカード挿入口31、遊技機1の下受皿12の下方に位置する着脱可能な計数受皿32等を有する。
【0016】
遊技装置2は、所謂各台計数機能付の貸出機であり、受け付けた貨幣(残高)の内、貸出の対価を減じた残高、及び計数した持玉の内、再プレイにより払い戻した残りの持玉を特定可能な一般カードを発行(全発行)可能な装置である。残高とは、遊技者が入金した貨幣額から貸出処理を行った対価額(貸出処理の対価)を除いた遊技者の利用可能額(残貨幣価値)を示している。持玉とは、遊技者が遊技により獲得した遊技価値を示し、計数した遊技価値から再プレイ処理により付与した遊技価値や交換した景品の対価となった遊技価値を除いた遊技価値(獲得価値)を示している。一般カードに記録されている持玉はPOSにて精算され、残高は残高精算機にて精算される。
【0017】
即ち、遊技装置2は、貨幣を受け付けると(貨幣受付処理)、遊技機1と遊技装置2との双方に入金額を残高に加算して表示し、残高がある状態で遊技機1の貸出釦14が押下されると(貸出操作、付与操作)、貸出1単位(例えば500円)分の貸出玉(対価付与価値)を遊技機1から払い出し(対価付与処理)、レートに応じた対価分を残高から引き落とす。尚、貨幣は複数回の対価付与処理の対応分を受付可能である(例えば1万円まで)。
【0018】
計数玉を受け付けた場合は計数玉を持玉として特定し、その持玉を払出釦29の押下に応じて払い戻す払戻処理(持玉の再プレイ処理)を可能とし、払い戻した場合にはその対価分(例えば払い戻した玉数と同数)の持玉を減算する。残高や持玉が残存する状態で遊技機1の返却釦15が押下されると(発行操作を受付けると)、遊技装置2にストックされていた残高や持玉を特定可能な持玉券を発行する。尚、持玉の一部や残高のみを発行対象とする分割発行も可能とする。又、持玉券を受け付けた場合は、その残高や持玉を引き継ぐ。
【0019】
遊技装置2は、中継装置4とのシリアル通信により管理装置6にて貨幣受付処理や対価付与処理、残高や持玉、貸出玉数、払戻玉数、入金額、計数玉数や貸出玉数や貸出玉の対価となる売上額、及び持玉券の受付や発行処理等の各種情報を特定可能とするが、これらをパルス信号(例えば入金1000円毎に1パルス、売上100円毎に1パルス等)にて特定可能としても良い。尚、貸出処理上の通信については中継装置4を介さず、遊技機1と遊技装置2とで直接通信を行っても良い。
【0020】
管理装置6は、遊技機1や遊技装置2等と中継装置4を介して各種情報を入出力し、入出力した遊技情報を後述する
図4から
図10に示すように管理者向けに表示、印字出力する。管理対象となる遊技機1は、前述したように、遊技者が通常時には左打ちし、初当りから時短終了までの特賞中には右打ちすることで、特賞中の右打ちにて保留された第2始動口24の図柄変動が特賞終了後に行われる遊技機である。このような遊技機1では、特賞終了後に遊技者が左打ちに戻すが、特賞中は、大当り中であれば図柄変動を行わず、時短中であれば始動入賞間隔の期待値が図柄変動時間の期待値に比べて短い等、図柄変動の消化期待値よりも始動入賞期待値の方が高いので、保留が溜まり易く、特賞終了後は第2始動口24の保留数がほぼ上限となった状態で通常状態がスタートする。そして、特賞中に増加した図柄変動分であって、特賞終了後に実行される図柄変動分(増加保留分)により、発生した大当りの発生状況に応じて、
図3に示すように、S%(アウトに対する図柄変動数の割合)が増減する。
【0021】
(a)スペック通りに発生(大当り(特賞の開始時点、所謂初当り)1回に対する図柄変動数が平均30回にて大当り発生)した場合
通常時の入賞に応じた図柄変動26回分の平均アウトは、仮に始動入賞率に応じたS%が6%であれば、26÷6%≒433となり、通常時全体の図柄変動は30回なので、平均S=30÷433≒6.92%となる。逆算による累計値を例示すると、例えば初当りが30回発生した場合、大当り発生までの平均図柄変動数が30回であれば累計図柄変動数は900回となるが、増加保留分(第2始動口24分)は1回当りの増加保留分を4回とすると、4×30=120となり、残りの900−120=780が通常時の始動入賞に応じた図柄変動(第1始動口23分)となる。そして、780の図柄変動を得るためには始動入賞率に応じたS%が6%であれば、アウトは780÷6%=13000が必要となり、全体のS%=900÷13000≒6.92%となる。
【0022】
(b)スペックより甘く発生(初当り1回に対する図柄変動数が平均20回にて大当り発生)した場合
通常時の入賞に応じた図柄変動16回分の平均アウトは、上記同様に始動入賞率に応じたS%が6%であれば、16÷6%≒267となり、通常時全体の図柄変動は20回なので、平均S=20÷267≒7.50%となる。
【0023】
(c)スペックより辛く発生(初当り1回に対する図柄変動数が平均40回にて大当り発生)した場合
通常時の入賞に応じた図柄変動36回分の平均アウトは、上記同様に始動入賞率に応じたS%が6%であれば、36÷6%=600となり、通常時全体の図柄変動は40回なので、平均S=40÷600≒6.67%となる。
【0024】
このように仮に始動入賞率が同じでも、通常時全体のS%は大当りの発生状況に応じて上記のように変動する。よって、始動入賞率に応じたS%、即ち、全体の図柄変動から増加保留分を除外した除外S%を管理する必要がある。しかしながら、増加保留分の図柄変動が行われている事実は変わりがないので、特賞の発生状況に左右されない理論情報を管理する場合に増加保留分を考慮する点が本発明の要旨となる。
【0025】
図4は、遊技信号が直接的に特定可能な素データ一覧(機種A)を示している。各項目の意味は以下の通りである。
「アウト」=アウト信号により特定される遊技機1にて消費された遊技玉数(消費価値)である。
「セーフ」=セーフ信号により特定される遊技機1への入賞に応じて付与された遊技玉数(入賞付与価値)である。
「スタート(スタート情報)」=図柄変動信号により特定される遊技機1における役物の作動回数である。「通常」は通常時に発生したスタートである。尚、以下も含め「甘中」とは時短等の特別状態期間に対応した遊技情報を示す。
「売上玉」=売上信号(遊技装置2から出力されるシリアル通信による電文等)により特定される対応する遊技装置2にて貨幣価値を対価として付与された遊技玉数(貸出玉数、対価付与価値)である。
【0026】
「大当り数(特賞情報)」=大当り信号により特定される大当り数である。「通常」は通常時に発生した大当り数であり、所謂「初当り」数である。
「Tアウト」=大当り中、及び甘中、即ち特賞中のアウトである。
「Tセーフ」=大当り中、及び甘中、即ち特賞中のセーフである。
「T1アウト」=大当り中のアウトである。
「T1セーフ」=大当り中のセーフである。
【0027】
尚、何れも営業開始時からの累計値である。本実施形態では説明の都合上、所謂貯玉に基づく再プレイシステムのない遊技場を前提としているが、再プレイシステムのある遊技場であれば、売上玉に再プレイ玉を含めて演算することが望ましい。尚、遊技者が当該営業日に獲得した獲得玉(持玉)を払い戻す再プレイ分は売上玉に含める必要はない。
【0028】
管理装置6は、
図4に示した素データ一覧に基づいて
図5に示す遊技情報集計(機種A)を管理している。そして、管理装置6は、
図5に示す遊技情報集計では、上記除外S%や大当りが理論値通りに発生した場合におけるS%である理論S%も管理対象としている。各項目の意味は以下の通りである。尚、「平均」は機種Aを対象とした遊技機平均であり、
図4の「合計」の対応値である。
【0029】
「ベース」=状態(通常時、甘中)別の出率である。「通常」はBセーフ÷BO、「甘中」はBセーフA÷BOAを示す値である。通常時のアウトであるBO(アウト情報)をアウト−Tアウト、通常時のセーフであるBセーフをセーフ−Tセーフ、甘中のアウトであるBOAをTアウト−T1アウト、甘中のセーフであるBセーフAをTセーフ−T1セーフにて特定しているが、BO、Bセーフ、BOA、BセーフAを素データとしても良い。尚、以下では通常時のベースを単にベース、甘中のベースをBAとも称する。
「S%」=状態別のアウトに対する図柄変動数の割合である。「通常」は通常スタート÷BO、「甘中」は甘中スタート÷BOAを示す値である。尚、以下では通常時のS%を単にS%、甘中のS%をSAとも称する。
「除外S」、「除外S%(除外スタート)」=除外Sは特別状態後に特別状態時に増加した保留分を除外した通常時のスタートであり、通常スタート−通常大当り数×特賞保留数を示す値である。除外S%は通常スタートを除外SとしたS%であり、除外S÷BOを示す値である。尚、特賞保留数は「4」にて演算している(後述する
図6参照)。
【0030】
「理論S%(理論スタート)」=スペック通り(大当り確率の逆数分の図柄変動毎)に大当りが発生した場合の理論上のS%であり、(除外S+除外S÷(TS−特賞保留数)×特賞保留数)÷BOを示す値である。尚、「除外S÷(TS−特賞保留数)×特賞保留数」は、理論上の特賞発生回数分の特賞保留数を示す。
「T1Y」=平均大当り中出玉数であり、(T1セーフ−T1アウト)÷合計大当り数を示す値である。尚、合計大当り数=通常大当り数+甘中大当り数である。
「T1O」=平均大当り中アウトであり、T1アウト÷合計大当り数を示す値である。
「出率」=アウトに対するセーフの割合(払出率)であり、セーフ÷アウトを示す値である。
「Bサ」=通常時の差玉数であり、BO−Bセーフを示す値である。
【0031】
「客滞率」=売上玉に対するBサの割合であり、Bサ÷売上玉を示す値である。
「玉単価」=アウト1当りの売上額であり、売上玉×貸単価÷アウトを示す値である。
「粗利」=遊技に応じた遊技場側の営業利益であり、売上額−獲得玉×貸単価×原価率を示す値である。尚、獲得玉(獲得価値)は売上玉+セーフ−アウト、売上額は売上玉×貸単価を示す値である。又、貸単価は4円、原価率は75%にて演算している。
「玉粗利」=アウト1当りの粗利であり、粗利÷アウトを示す値である。
「営業割数」=実際の売上額(売上玉)に対する遊技場側の損益額(損失玉)の割合であり、獲得玉÷売上玉を示す値である。
【0032】
図6は、遊技機1のスペック等を示すスペック情報(機種A)を示す。TS(TS情報)、TSA、平均継続数、特賞保留数(特賞保留情報)は、機種別に設定する必要があり、貸単価、原価率は、遊技場における各機種に対応したレート情報を設定することになる。尚、以下に示す理論値とは、
図6のような遊技機1のスペック通りに(TS分の図柄変動数の実行により)大当り等の特賞が発生した場合における理論値を示しており、特賞は抽選により発生の有無が特定されるので、
図5のような抽選により偏りが生ずる実績情報と必ずしも近似しない。
【0033】
図7は、
図5のように特定した遊技機ID=1における理論値のシミュレート結果の例示である。基データの演算式の欄にて示す通り、値1はS%を
図5のS%の値(7.0%)とした場合、値2及び値3はS%を
図5の除外S%の値(6.0%)とし、値2はTSを
図6のままとする一方(30)、値3はTSをTS−特賞保留数とした場合(30−4=26)、値4はTSを
図6のままとし(30)、S%を
図5の理論S%(6.9%)の値とした場合の理論値を示している。即ち、値1は増加保留分を何も考慮せず、値2は増加保留分を除外するだけであり、値3及び値4は実際の増加保留分を理論上の増加保留分とした理論値を示す。値3及び値4は演算過程が異なるだけで同値となるので、何れか一方のみを採用しても良いし、何れも採用しても良い。
【0034】
理論S%を演算した上で
図7を演算することを例示したが、値3の理論値のBOから逆算する以下のような理論S%の演算も可能である。値3及び値4の通り、理論値のBOは(TS−特賞保留数)÷除外S%=TS÷理論S%なので、理論S%=TS×除外S%÷(TS−特賞保留数)であり、例えば30×6.0%÷(30−4)=6.9%である。この他にも例示した演算式は単なる例示なので、どのような演算式により演算しても良い。又、理論Sを求めることなく理論S%を特定したが、除外S同様に理論Sを管理対象としても良い。この場合、理論S%の演算式においてBOにて除する箇所を除けば理論Sを特定可能となる。理論値としては例示した出率や玉粗利等以外に、例えば売上玉と獲得玉との差等の例示した以外の理論値を採用しても良い。又、例えば
図5の粗利に対応する理論値を特定する場合、
図4のアウトに玉粗利を乗ずることで粗利を特定する等、演算した理論値を更に演算した任意の理論値の特定も可能である。
図7では客滞率として機種Aの値を採用しているが、遊技場全体の客滞率や過去の該当台や該当機種の客滞率、又は遊技場の管理者等の感覚に応じた想定値等どのような客滞率を採用しても良い。
【0035】
図8〜
図10は、パチンコ遊技機のスペックが以下のような機種B〜機種Dに対応する。機種Bとして、第2始動口24や大入賞口25が第1始動口23同様に左打ちにて入賞可能に配置され、特賞中に右打ちする機種Aとは異なり、特賞中に右打ちする必要がなく、遊技する場合は特賞中であるか否かに関わらず左打ちするような遊技機であると共に、時短の振分が50%で20回、30%で10回、20%で0回のように時短に対応した図柄変動数である時短回数が0回以外であり時短(状態)が発生する特賞(第1特賞)と、時短回数が0回であり時短が発生しない特賞(第2特賞)とを発生可能な遊技機を想定する。他は機種Aと同様のスペックとし、説明の都合上、可能な限り
図5の機種Aと同じ数値を採用しているとする。
【0036】
機種Aでは特賞中に右打ちすることから、特賞開始時に「0」であった第2始動口24の保留数が特賞終了時に上限の「4」となるが第1始動口23の保留数は特賞中に始動入賞しないので増加なしと想定していたが、機種Bでは第2始動口24では同じ数値が見込まれるものの、特賞中に第1始動口23へも入賞するので第1始動口23の保留数も増加が見込まれる。この場合、第1始動口23も上限の「4」となることが見込まれるが、特賞開始時に平均で「2」の保留数が残存することを想定し、特賞中に上限からの差し引き分の「2」の保留数が増加すると想定して、第1始動口23は「2」の増加保留分を見込んでいる。このようなことから、
図9に示す理論特賞保留数を参照する。
【0037】
理論特賞保留数は時短発生率の重み付けによる時短回数の加重平均値を示し、特賞保留数1×時短発生率+特賞保留数2×(1−時短発生率)により示される。1−時短発生率は時短不発生率であり、特賞保留数1×時短発生率は第1特賞保留期待値であり、特賞保留数2×(1−時短発生率)は第2特賞保留期待値である。上記の場合、
図9に示すように時短発生率は80%、時短不発生率は20%(100−80%)であり、特賞保留数1は時短が発生した場合の特賞保留数であって第1始動口23と第2始動口24との合計を示すので、上記の通り4+2=「6」となる一方、特賞保留数2は時短が発生しない場合の特賞保留数であって第1始動口23の増加保留数を示すので「2」となる(大当り中は第1始動口23への入賞は期待できるものの第2始動口24は開放状態とならず入賞がほぼ見込まれないため)。
【0038】
そして、
図8の場合、除外Sと理論S%との演算式にて、特賞保留数を理論特賞保留数として演算する。即ち、除外Sは通常スタート−通常大当り数×理論特賞保留数、理論S%は(除外S+除外S÷(TS−理論特賞保留数)×理論特賞保留数)÷BOというように
図5における演算式中の特賞保留数を理論特賞保留数として演算する。
【0039】
又、機種Cとして、機種Aのように特賞中に右打ちするものの時短発生率(振分率、振分情報)が100%でない遊技機を想定すると、除外Sを通常スタート−(時短発生率×特賞保留数)×通常大当り数にて演算すれば良いが、機種Aも時短発生率は100%なので、共通の演算式を採用しても良いし、特賞保留数1を特賞保留数、特賞保留数2を「0」とした理論特賞保留数によれば機種Bと共通の演算式でも演算することができる。
【0040】
又、機種Dとして、時短発生率は100%であるが、特賞中でも左打ちのままの遊技機を想定すると、特賞保留数として特賞保留数1を採用すれば良い。このように特賞中に第1始動口23の保留数が増加する場合には第1始動口23の増加分を考慮して特賞保留数を設定し、更に時短の発生割合に応じて特賞保留数の期待値が変わる場合には発生割合の重み付けにより加重平均化して特賞保留数を特定すればどのような演算式により演算しても良い。勿論、機種Cと同様に機種Bの演算式も採用することができる。
【0041】
図9は、機種Bのスペック情報を示している。
図6と比較して、
図8にて説明した特賞保留数1、2や時短発生率や理論特賞保留数を採用しているが、理論特賞保留数は演算値であるので、改めて設定する必要はない。同様に、理論特賞保留数を設定すれば特賞保留数1や特賞保留数2の一方を設定しなくとも理論特賞保留数を逆算することにより演算することも可能だが、理論特賞保留数のみを設定しても勿論良い。
【0042】
図10は、
図5や
図8のように特定した遊技機ID=41の理論値の例示であり、
図6及び
図7同様の値を採用しているが、値3はTSをTS−理論特賞保留数(30−5.20=24.80)とした場合の理論値を示している。ここで、理論S%を演算した上で
図10を演算することを例示したが、値3の理論値のBOからの逆算にて以下のように理論S%を演算することも可能である。理論値のBOは(TS−理論特賞保留数)÷除外S%=TS÷理論S%なので、理論S%=TS×除外S%÷(TS−理論特賞保留数)である。
【0043】
以上に説明したように本実施形態によれば、次のような効果を奏することができる。
実際の特賞保留数を理論上の特賞保留数に置き換えて、
図5の理論S%や
図7の値3や値4の理論値等を特定することができ、特賞終了後の保留分を考慮した上で適切な理論情報を提示することができる。
図7の値3のようにTSから特賞保留数を除外し、S%から特賞発生分の特賞保留数を除外することで、実際の特賞保留数を理論上の特賞保留数へと置き換えて理論情報を演算することができる。
図5の理論S%のように実際の特賞保留分を除外した除外Sと、実際のスタートに応じた理論上の特賞発生回数分の特賞保留数との合計値である理論Sにより理論情報をシミュレートすることで、実際の特賞保留数を理論上の特賞保留数へと置き換えて理論情報を演算することができる。
【0044】
図7の値4のようにS%を理論S%に置き換えることで、実際の特賞保留数を理論上の特賞保留数へと置き換えて理論情報を演算することができる。
機種B〜Dのような特賞保留数の期待値が異なる複数種の特賞を発生可能な遊技機であっても、特賞終了後の保留分を考慮した上で適切な理論情報を提示することができる。
特賞保留数の期待値が「0」となるような特賞を発生可能な遊技機であっても、特賞終了後の保留分を考慮した上で適切な理論情報を提示することができる。
【0045】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、次のように変形又は拡張できる。
特賞保留数について想定値を設定したが、想定値ではなく特賞中の始動入賞数−図柄変動数により増加した保留数を特定し、その特定した増加分の保留数を特賞保留期待値として図柄変動の累計値から差し引いたり、平均値をTSから差し引いたりして理論値を特定する等、特賞保留期待値については特賞中に増加した保留分の期待値を示せばどのような数値を採用しても良い。
特賞保留数、特賞保留数1、特賞保留数2は例示した以外に、上限にならないことを見込んで上限−1とする等、期待される値であればどのような値を採用しても良い。又、保留に上限が設けられる遊技機を例示したが、必ずしも上限が設けられる遊技機である必要はない。
【0046】
時短発生率と時短不発生率との内、時短発生率のみを設定し、100%から差し引いた値を時短不発生率としたが、それぞれ設定しても良いし、時短不発生率を設定して時短発生率を演算により特定しても良い。
時短回数により特賞保留数の期待値が増減する場合には、時短発生率と同様に、その発生割合により重み付けして特賞保留数の加重平均値を特定し、除外S%や理論値を特定しても良い。
ラウンド振分を行う遊技機の理論値を特定する場合、発生頻度の高いラウンド数のT1Y等を管理し、そのラウンド数とラウンド数の平均値との関係から平均的なラウンド数のT1Y等を特定したり、ラウンド別のT1Y等を管理し、ラウンド別の振分率によりT1Y等の加重平均値を特定したりして理論値を特定するようにすれば良い。
【0047】
大当りが向上する確変状態とならない遊技機を例示したが、確変状態となる遊技機を対象としても良く、この場合はTSAを確変状態時の向上した値としたり、平均継続数を確変状態に対応した値としたりすれば理論値を特定可能となる。
理論値のシミュレートとしては例示したように実際の遊技情報を補正するシミュレート以外にも、例えば翌日の遊技情報をシミュレート等も例示することができる。この場合、実際の遊技情報に基づく操作入力や、各情報の基準値を外部入力等により基データ等を特定し、シミュレートしても良い。
始動条件の成立としては始動入賞を例示したが、例えば所定数の玉を消費する等、遊技中に成立可能な条件であればどのような条件としても良い。
各設定値は管理者が任意に操作入力により設定しても、予め管理装置の製造メーカにて設定しても、外部(例えばチェーン店本部等)のサーバから設定情報をダウンロードして設定しても良い。
【0048】
例示した全ての遊技情報は入力した信号により直接的に特定しても演算式を利用して間接的に特定しても良い。又、機種としては、メーカ単位やスペック単位等、遊技機の種類を示せばどのような区分としても良い。
数値、桁数、項目等は例示であり、どのような数値を採用しても良い。又、演算式については単なる例示であり例示した演算式と同様の値を示す又は同様の意義を持つ演算値を演算するのであれば、どのような演算式を採用しても良い。
以上と超過についてはどちらを採用しても良く、「達した」等の表現は「以上となった」又は「超過した」の何れにも対応する表現となる。以下と未満についても同様であり、「達していない」等の表現は双方に対応する表現となる。
対象となる遊技機は遊技媒体をデータのみで管理する所謂封入式等の例示した遊技機以外の遊技機等も採用できる。尚、所謂封入式を考慮して遊技媒体は必要に応じて遊技価値と表現する。
管理装置が行う処理の一部を中継装置や情報表示装置等にて行っても良く、各手段が行う処理はどのように分担して行っても良い。更に例示した構成は変形例も含めて、どのように組み合わせても良いし、適宜、採用しない構成としても良い。