特開2018-200121(P2018-200121A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-200121(P2018-200121A)
(43)【公開日】2018年12月20日
(54)【発明の名称】熱交換コイルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   F28F 13/18 20060101AFI20181122BHJP
   F28F 19/04 20060101ALI20181122BHJP
   F28F 1/32 20060101ALI20181122BHJP
   F28D 1/04 20060101ALI20181122BHJP
   F24F 1/18 20110101ALI20181122BHJP
   B21D 53/08 20060101ALI20181122BHJP
【FI】
   F28F13/18 A
   F28F19/04 A
   F28F19/04 Z
   F28F1/32 C
   F28D1/04 Z
   F28F1/32 Y
   F24F1/18
   B21D53/08 H
   B21D53/08 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-103843(P2017-103843)
(22)【出願日】2017年5月25日
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123434
【弁理士】
【氏名又は名称】田澤 英昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101133
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 初音
(74)【代理人】
【識別番号】100199749
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 成
(74)【代理人】
【識別番号】100188880
【弁理士】
【氏名又は名称】坂元 辰哉
(74)【代理人】
【識別番号】100197767
【弁理士】
【氏名又は名称】辻岡 将昭
(74)【代理人】
【識別番号】100201743
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 和真
(72)【発明者】
【氏名】木村 宏治
【テーマコード(参考)】
3L054
3L103
【Fターム(参考)】
3L054BA05
3L054BB03
3L103AA01
3L103AA12
3L103AA22
3L103BB42
3L103DD03
3L103DD33
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複雑な構造部の経年劣化によるコーティング剥がれや、チューブ拡管によるコーティングのダメージがなく、熱交換効率を損なうこともなく、結露水との接触が防止される撥水性コーティングを有する熱交換コイルの製造方法を提供する。
【解決手段】フィン1が有する孔11に挿入する前のチューブ2の表面に撥水性のグリス状シリコーンフッ素コーティング剤3を塗布し、フィンに挿入した後にチューブを拡管する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
孔を有するフィンと、チューブとを備えた熱交換コイルの製造方法であって、
前記チューブの表面に撥水性のグリス状シリコーンフッ素コーティング剤を塗布する塗布ステップと、
前記塗布ステップにおける処理後、前記チューブを前記フィンが有する前記孔に挿入する挿入ステップと、
前記挿入ステップにおける処理後、前記チューブを拡管する拡管ステップと
を有することを特徴とする熱交換コイルの製造方法。
【請求項2】
孔を有するフィンと、チューブとを備えた熱交換コイルの製造方法であって、
前記チューブを熱可塑樹脂チューブに挿入する第1挿入ステップと、
前記第1挿入ステップにおける処理後、前記チューブが挿入された前記熱可塑樹脂チューブを前記フィンが有する前記孔に挿入する第2挿入ステップと、
前記第2挿入ステップにおける処理後、加熱しながら前記チューブを拡管する拡管ステップと
を有することを特徴とする熱交換コイルの製造方法。
【請求項3】
孔を有するフィンと、チューブとを備えた熱交換コイルの製造方法であって、
前記チューブの表面に未硬化状態の樹脂を塗布する塗布ステップと、
前記塗布ステップにおける処理後、前記チューブを前記フィンが有する前記孔に挿入する挿入ステップと、
前記挿入ステップにおける処理後、前記チューブを拡管する拡管ステップと、
前記拡管ステップにおける処理後、前記樹脂に対して硬化処理を行う硬化ステップと
を有することを特徴とする熱交換コイルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フィンとチューブとを組み合わせた熱交換コイルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
業務用又は家庭用の空調機で使用される熱交換コイルは、フィンチューブ式と呼ばれるフィンとチューブとを組み合わせた構造が一般的である。フィンはアルミ系の金属がよく用いられ、チューブは銅系の金属がよく用いられる。また、フィンとチューブの固定方法としては、フィンに設けられた孔にチューブを挿入し、チューブを拡管する方法が広く知られている。
【0003】
フィンの孔にはプレス加工でカラーが設けられ、隣り合うフィン同士はカラーを介して密着し、チューブはほとんど露出しない構造となっている。しかしながら、フィンの固定の際にできる僅かな隙間又は拡管でできるカラーのひび割れ等により、チューブ露出部が存在する。また、熱交換コイルの先端側と根元側にもフィンに覆われていないチューブ露出部が存在する。そして、熱交換コイルの冷房使用で発生する結露水がチューブ露出部に接触し、チューブが腐食してしまうと、冷媒漏れが発生することがある。
そこで、従来では、チューブと結露水との接触を防ぐため、チューブをコーティングする方法を用いている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−185589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来では、チューブと結露水との接触を防ぐため、チューブをコーティングする方法を用いている。このコーティング方法としては、拡管成型後に、チューブ表面に、コーティング材料を、はけ塗り、吹き付け、どぶ漬け、電着等によりコーティングする方法が挙げられる。また、フィンへ挿入する前のチューブに対して予めコーティングを施し、その後にチューブをフィンに挿入して拡張を行う方法も挙げられる。なお、コーティング材料としては、アクリル系塗料又はエポキシ系塗料等がよく用いられる。
【0006】
しかしながら、はけ塗り及び吹き付けでは、拡管成型後の複雑な構造部に対して確実にコーティングを施すことが難しい。
また、どぶ漬け及び電着では、拡管成型後の複雑な構造部に対してもコーティング可能であるが、チューブだけではなくフィンもコーティングされてしまう。フィンは、熱交換コイルにおいて、チューブ内の冷媒と空気の熱交換を担う部分であり、コーティングにより熱交換効率を損なう恐れがある。また、フィンには、結露水が下流側に吹き出すことを防ぐために親水処理が施されることが一般的であるが、コーティングにより親水機能を損なう恐れがある。また、経年劣化したコーティングが剥がれ、下流側に吹き出される恐れがある。
【0007】
また、フィンへの挿入前のチューブに予めコーティングを施す場合、フィンはコーティングされないため、上記のような問題は起こらない。しかしながら、この場合、チューブの拡管の際にコーティングがダメージを受け、耐食性を損なう恐れがある。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、フィンはコーティングされず、且つチューブと結露水との接触を防止できる熱交換コイルの製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る熱交換コイルの製造方法は、孔を有するフィンと、チューブとを備えた熱交換コイルの製造方法であって、チューブに撥水性のグリス状シリコーンフッ素コーティング剤を塗布する塗布ステップと、塗布ステップにおける処理後、チューブをフィンが有する孔に挿入する挿入ステップと、挿入ステップにおける処理後、チューブを拡管する拡管ステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、上記のように構成したので、フィンはコーティングされず、且つチューブと結露水との接触を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】この発明の実施の形態1に係る熱交換コイルの構成例を示す図である。
図2図2A図2Dは、この発明の実施の形態1に係る熱交換コイルの製造方法例を示す図である。
図3図3A図3Eは、この発明の実施の形態2に係る熱交換コイルの製造方法例を示す図である。
図4図4A図4Eは、この発明の実施の形態3に係る熱交換コイルの製造方法例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る熱交換コイルの構成例を示す図である。
熱交換コイルは、図1に示すように、複数のフィン1、及びチューブ2を備えている。
【0013】
フィン1は、チューブ2内の冷媒と外部の空気との熱交換を行う。フィン1は、中央部に孔11を有している。孔11は、チューブ2の外径よりも僅かに大きな内径に構成されている。また、孔11には、筒状のカラー12が設けられている。孔11及びカラー12を有するフィン1は、板状金属部材に対してプレス加工を施すことで形成可能である。そして、各フィン1は、カラー12を介して密着されて連結される。なお図1等に示すように、フィン1には角にRが付けられているため、フィン1同士が隙間なく密着されるわけではなく、フィン1とチューブ2との間には僅かな隙間が生じる。図1等では、この隙間を強調して示している。
【0014】
チューブ2は、内部に冷媒が流れる伝熱管である。このチューブ2は、フィン1が有する孔11に挿入されて拡管された後、蛇行曲げされてサーペンタイン状に構成される。また、チューブ2上の外部に露出している部位(チューブ露出部)には、結露水との接触を防ぐためのコーティングが施されている(図1に示すコーティング形成部3)。
【0015】
次に、実施の形態1に係る熱交換コイルの製造方法例について、図2を参照しながら説明する。なお以下では、熱交換コイルの製造工程のうち、チューブ2のコーティングに関する工程のみを説明する。
実施の形態1に係る熱交換コイルの製造方法例では、図2A図2Bに示すように、まず、チューブ2の表面に、撥水性のグリス状シリコーンフッ素コーティング剤4を塗布する(塗布ステップ)。
【0016】
次いで、図2Cに示すように、チューブ2をフィン1が有する孔11に挿入する(挿入ステップ)。
【0017】
次いで、図2Dに示すように、チューブ2を拡管する(拡管ステップ)。この際、チューブ2に拡管プラグを挿入することで拡管を行う。これにより、チューブ2の外径が拡大し、チューブ2がフィン1に密着する。また、チューブ2の拡管後、チューブ露出部には、撥水コーティング(コーティング形成部3)が形成される。なお、チューブ露出部は、拡管後にフィン1とチューブ2との間にできる僅かな隙間、拡管によりできるカラー12のひび割れ部分、又は、熱交換コイルの先端側と根元側のフィン1に覆われていない部分に存在する。図2Dでは、拡管後にフィン1とチューブ2との間にできる僅かな隙間、及び、チューブ2のうちのフィン1に覆われていない部分に撥水コーティングが形成される場合を示している。
【0018】
以上のように、この実施の形態1によれば、チューブ2をフィン1が有する孔11に挿入する前に、当該チューブ2の表面に撥水性のグリス状シリコーンフッ素コーティング剤4を塗布することで、フィン1はコーティングされず、且つチューブ2と結露水との接触を防止できる。
【0019】
実施の形態2.
実施の形態1では、チューブ2をフィン1が有する孔11に挿入する前に、当該チューブ2に対して撥水性のグリス状シリコーンフッ素コーティング剤4を塗布する場合を示した。それに対し、実施の形態2では、チューブ2を熱可塑性樹脂から成る熱可塑性樹脂チューブ5で被覆する(ホットメルトする)場合を示す。なお、熱交換コイル自体は図1に示す構成と同様であり、その説明を省略する。
【0020】
次に、実施の形態2に係る熱交換コイルの製造方法例について、図3を参照しながら説明する。なお以下では、熱交換コイルの製造工程のうち、チューブ2のコーティングに関する工程のみを説明する。
実施の形態2に係る熱交換コイルの製造方法例では、図3A図3Bに示すように、まず、チューブ2を熱可塑性樹脂チューブ5に挿入する(第1挿入ステップ)。なお、熱可塑性樹脂チューブ5は、チューブ2の外径よりも僅かに大きい内径に構成されている。また、熱可塑性樹脂チューブ5は、熱交換器の動作温度では溶融しない樹脂のものを使用する。この熱可塑性樹脂チューブ5は、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂又はフッ素樹脂等から構成される。
【0021】
次いで、図3Cに示すように、チューブ2が挿入された熱可塑性樹脂チューブ5を、フィン1が有する孔11に挿入する(第2挿入ステップ)。
【0022】
次いで、図3Dに示すように、加熱しながらチューブ2を拡管する(拡管ステップ)。この際、チューブ2に拡管プラグを挿入することで拡管を行う。これにより、チューブ2の外径が拡大し、チューブ2がフィン1に密着する。
また、図3Eに示すように、熱可塑性樹脂チューブ5は冷却されることで硬化し、チューブ露出部にコーティング形成部3を形成する。図3Eでは、拡管後にフィン1とチューブ2との間にできる僅かな隙間、及び、チューブ2のうちのフィン1に覆われていない部分にコーティング形成部3が形成された場合を示している。
【0023】
以上のように、この実施の形態2によれば、チューブ2を熱可塑性樹脂チューブ5で被覆することで、フィン1はコーティングされず、且つチューブ2と結露水との接触を防止できる。すなわち、硬化後の熱可塑性樹脂チューブ5によりチューブ2とフィン1との間に物理的な隙間がなくなるため、結露水とチューブ2との接触が防止される。
【0024】
実施の形態3.
実施の形態1では、チューブ2をフィン1が有する孔11に挿入する前に、当該チューブ2に対して撥水性のグリス状シリコーンフッ素コーティング剤4を塗布する場合を示した。それに対し、実施の形態3では、チューブ2を未硬化状態の樹脂6で被覆し、拡管後に硬化させる場合を示す。なお、熱交換コイル自体は図1に示す構成と同様であり、その説明を省略する。
【0025】
次に、実施の形態3に係る熱交換コイルの製造方法例について、図4を参照しながら説明する。なお以下では、熱交換コイルの製造工程のうち、チューブ2のコーティングに関する工程のみを説明する。
実施の形態3に係る熱交換コイルの製造方法例では、図4A図4Bに示すように、まず、チューブ2の表面に未硬化状態の樹脂6を塗布する(塗布ステップ)。チューブ2に塗布する樹脂6としては、熱硬化、紫外線硬化、湿度硬化等を行う樹脂(ゴム)が用いられる。
【0026】
次いで、図4Cに示すように、チューブ2をフィン1が有する孔11に挿入する(挿入ステップ)。
【0027】
次いで、図4Dに示すように、チューブ2を拡管する(拡管ステップ)。この際、チューブ2に拡管プラグを挿入することで拡管を行う。これにより、チューブ2の外径が拡大し、チューブ2がフィン1に密着する。
【0028】
次いで、図4Eに示すように、硬化処理を行う(硬化ステップ)。ここで、チューブ2の表面に熱硬化樹脂を塗布した場合には、チューブ2を恒温槽に入れることで硬化処理を行う。また、チューブ2の表面に紫外線硬化樹脂を塗布した場合には、チューブ2内に熱風を通すことで硬化処理を行う。また、チューブ2の表面に湿度硬化樹脂を塗布した場合には、チューブ2を加湿槽に入れることで硬化処理を行う。これにより、未硬化状態の樹脂6が硬化し、チューブ露出部にコーティング形成部3を形成する。図4Eでは、拡管後にフィン1とチューブ2との間にできる僅かな隙間、及び、チューブ2のうちのフィン1に覆われていない部分にコーティング形成部3が形成された場合を示している。
【0029】
以上のように、この実施の形態3によれば、フィン1が有する孔11に挿入する前のチューブ2の表面に未硬化状態の樹脂6を塗布し、拡管後に硬化することで、フィン1はコーティングされず、且つチューブ2と結露水との接触を防止できる。
【0030】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 フィン
2 チューブ
3 コーティング形成部
4 グリス状シリコーンフッ素コーティング剤
5 熱可塑性樹脂チューブ
6 樹脂
11 孔
12 カラー
図1
図2
図3
図4