をサンプリングする。ロジック回路210は、第1A/Dコンバータ202の出力を受ける。ロジック回路210は、残量検出回路200が搭載される電子機器100の電源がはじめて投入されたときの第1A/Dコンバータ202の出力を取得する。
前記第1A/Dコンバータによる前記サンプリング周期でのサンプリング動作は、はじめての電源の投入後、停止することを特徴とする請求項2または3に記載の残量検出回路。
【背景技術】
【0002】
携帯電話端末、デジタルカメラ、タブレット端末、携帯音楽プレイヤ、携帯ゲーム機器、ノート型コンピュータをはじめとするさまざまな電池駆動型の電子機器は、充電式のバッテリ(2次電池)を内蔵しており、システム制御や信号処理を行うCPU(Central Processing Unit)、液晶パネル、無線通信モジュール、その他のアナログ、デジタル回路などの電子回路は、バッテリからの電力供給を受けて動作する。
【0003】
図1は、電池駆動型の電子機器のブロック図である。電子機器500は、バッテリ502と、バッテリ502を充電する充電回路504と、を備える。バッテリ502は、再充電可能な2次電池であり、充電回路504は、外部の電源アダプタやUSB(Universal Serial Bus)からの電源電圧V
ADPを受け、バッテリ502を充電する。
【0004】
バッテリ502には、負荷508が接続される。バッテリ502に流れる電流I
BATは、充電回路504からの充電電流I
CHGと負荷508に流れる負荷電流(放電電流)I
LOADの差分となる。
【0005】
電池駆動型の電子機器では、バッテリの残量(充電状態:SOC)の検出が欠かせない機能となっており、電子機器500には、残量検出回路506が設けられる。残量検出回路506は、ヒューエルゲージIC(Integrated Circuit)とも称される。残量検出回路506によるバッテリの残量の検出方法としては、(1)電圧法と、(2)クーロンカウント法(電荷積算法)の2つが主流となっており、それらの組み合わせが用いられる場合が多い。残量検出回路506は、充電回路504に内蔵される場合もある。
【0006】
電圧法では、開放状態(無負荷状態)においてバッテリの開放電圧(OCV:Open Circuit Voltage)を測定し、OCVとSOCの対応関係から残量を推定する。OCVは、バッテリが無負荷であり、かつ緩和状態でなければ測定することができず、したがって充放電中にそれを正確に測定することはできない。
【0007】
クーロンカウント法では、バッテリに流れ込む充電電流およびバッテリから流れ出る放電電流(以下、充放電電流と総称する)を積算し、バッテリへの充電電荷量、放電電荷量を計算することで残量を推定する。クーロンカウント法によれば、電圧法と異なり、開放電圧が得られないバッテリの使用期間においても、残量を推定することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
クーロンカウント法によってSOCを計算する場合、充放電を開始する前の残量(初期残量)が分かっていなければならない。この初期残量の検出には電圧法が用いられる場合が多く、OCVを測定する必要がある。
【0010】
製品が出荷された後、はじめてユーザが使用する際にも、SOCは正確に計算されることが要求される。本発明者は、このために以下の制御を行うことを検討した。なおこの制御を従来技術と認定してはならない。
1. 製品の出荷前(あるいは出荷後)にはじめてバッテリが電子機器に装着(あるいは実装)されたときに、残量検出回路506がOCVを測定し、その値をレジスタに保持しておく。
2. そしてユーザがはじめて電源を投入すると、レジスタに格納しておいたOCVから電圧法によってSOCの初期値(初期SOC)を推定し、その後は、クーロンカウント法にもとづいてSOCを更新していく。
【0011】
この制御では、バッテリを装着してOCVを測定してから、ユーザがはじめて電源を投入するまでの期間が長くなると、その期間にバッテリが放電されるため、初期SOCの誤差が大きくなってしまう。
【0012】
本発明は係る課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、初期残量を正確に検出可能な残量検出回路の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のある態様は、バッテリと接続される残量検出回路に関する。残量検出回路は、バッテリの電圧をサンプリングする第1A/Dコンバータと、第1A/Dコンバータの出力を受けるロジック回路と、を備える。ロジック回路は、残量検出回路が搭載される機器の電源がはじめて投入されたときの第1A/Dコンバータの出力を取得する。
【0014】
この態様によると、製品の出荷から、ユーザが電源を投入するまでの期間が長い場合においても、初期残量を正確に検出できる。
【0015】
第1A/Dコンバータは、所定のサンプリング周期でバッテリの電圧をサンプリングしており、ロジック回路は、機器の電源がはじめて投入されたときに、その直前または直後にサンプリングされたバッテリの電圧を取得してもよい。
【0016】
第1A/Dコンバータは、所定のサンプリング周期で前記バッテリの電圧をサンプリングしてもよい。ロジック回路は、機器の電源がはじめて投入されたときに、その直前にサンプリングされた複数の前記バッテリ電圧の平均値を取得してもよい。平均値をとることで、ノイズ等の影響を低減できる。
【0017】
第1A/Dコンバータによるサンプリング周期でのサンプリング動作は、はじめての電源の投入後、停止してもよい。
【0018】
サンプリング周期は、2ms〜50msであってもよい。
【0019】
残量検出回路は、バッテリの電流をサンプリングする第2A/Dコンバータをさらに備えてもよい。ロジック回路は、第2A/Dコンバータの出力を積算してもよい。
【0020】
ロジック回路は、インタフェースを介してプロセッサと接続され、第1A/Dコンバータによりサンプリングしたバッテリの電圧の値と、第2A/Dコンバータの出力の積算値と、をプロセッサに送信可能であってもよい。
【0021】
本発明の別の態様は電子機器に関する。電子機器は、電源ボタンと、バッテリと、バッテリの状態を監視する上述のいずれかの残量検出回路と、を備えてもよい。
【0022】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、初期残量を正確に検出できる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0026】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合や、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0027】
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0028】
また本明細書において、電圧信号、電流信号、あるいは抵抗に付された符号は、必要に応じてそれぞれの電圧値、電流値、あるいは抵抗値を表すものとする。
【0029】
図2は、実施の形態に係る残量検出回路200を備える電子機器100のブロック図である。バッテリ駆動型の電子機器100は、その限りでないが、スマートホン、タブレット端末、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、ポータブルオーディオプレイヤ、ラップトップコンピュータなどが例示される。
【0030】
バッテリ102、充電回路104、CPU(Central Processing Unit)106、電源ボタン108および残量検出回路200を備える。バッテリ102は、ひとつ、あるいは複数のセル103を含む。セル103の種類は特に限定されず、リチウムイオンセル、リチウム空気セル、リチウム金属ベースのセル、ニッケル水素セル、ニッケルカドミウムセル、ニッケル亜鉛セルなどが例示される。セル103の個数は、電子機器100の用途に依存するが、ポータブルの電子機器の場合、1セル〜数セル、車載バッテリや産業機器、産業機械の用途では数十〜数百セルのオーダーとなる。本発明の用途としてバッテリ102の構成は特に限定されない。
【0031】
充電回路104は、外部の電源アダプタやUSB(Universal Serial Bus)などの直流電源から電源電圧V
EXTを受け、バッテリ102を充電する。CPU106は、バッテリ102の代表的な負荷のひとつであり、電子機器100を統合的に制御する。電源ボタン108は、電子機器100のオン、オフのために設けられる。
【0032】
残量検出回路200は、バッテリ102の充電状態(SOC:State Of Charge)を検出するために必要な情報を取得する。残量検出回路200は、第1A/Dコンバータ202、第2A/Dコンバータ204、ロジック回路210、インタフェース回路220、DC/DCコンバータ230を備え、ひとつの半導体基板に集積化された機能ICである。第1A/Dコンバータ202は、バッテリ102の電圧V
BATをサンプリング、すなわちA/D変換する。たとえば第1A/Dコンバータ202は、逐次比較型(SAR)であってもよい。
【0033】
第2A/Dコンバータ204は、バッテリ102の電流I
BATをサンプリング(すなわちA/D変換)する。第2A/Dコンバータ204は、ΔΣ型であってもよい。電流I
BATは、充電電流、放電電流を含む。たとえばバッテリ102は、セル103およびそれと直列なセンス抵抗R
Sを含む。第2A/Dコンバータ204は、センス抵抗R
Sの電圧降下にもとづいてバッテリ電流I
BATを検出する。
【0034】
ロジック回路210は、残量検出回路200のコントローラである。ロジック回路210は、第1A/Dコンバータ202の出力(デジタルの電圧検出値D
V)および第2A/Dコンバータ204の出力(デジタルの電流検出値D
I)を受ける。
【0035】
インタフェース回路220は、ロジック回路210からCPU106にデータを送信し、あるいはCPU106からのデータや指令を受信するために設けられる。たとえばインタフェース回路220としては、I
2C(Inter IC)インタフェースなどを用いることができる。
【0036】
DC/DCコンバータ230は、バッテリ電圧V
BATを受け、それを降圧して電源電圧V
DDを生成する。電源電圧V
DDは、CPU106に供給される。なおDC/DCコンバータ230の構成のうち、図示しないインダクタや平滑キャパシタは、残量検出回路200に外付けされる。
【0037】
続いてロジック回路210の機能および処理を具体的に説明する。
【0038】
1. 開放電圧(OCV)の測定
ロジック回路210の緩和判定部212は、バッテリ電流I
BATが実質的にゼロである状態が十分に長い時間維持されると、バッテリ102が緩和状態であると判定する。OCV取得部214は、緩和状態において測定された電圧検出値D
Vを、バッテリ102のOCVとして取得する。測定されたOCVの値は、電圧法にもとづくSOCの推定に利用される。
【0039】
2. クーロンカウント処理
ロジック回路210は、クーロンカウント処理部216を含む。バッテリ電流I
BATを監視し、バッテリ102から流れ出る方向の電流(放電電流)I
BATを正、バッテリ502に流れ込む方向の電流(充電電流)I
BATを負として、電流値D
Iを積算し、累積クーロンカウント値(ACC:Accumulation Coulomb Count)を生成する。クーロンカウント値CCは、各サンプリング時刻t
i(i=1,2,…)おけるバッテリ電流I
BATiを用いて、以下の式で計算される。
ACC=Σ
i=1(Δt×I
BATi)
サンプリング周期が一定の場合、Δtは定数となる。
【0040】
さらにまたクーロンカウント処理部216は、充電電流I
CHGの積算値である充電クーロンカウント値(CCC値:Charge Coulomb Count)および放電電流I
DISの積算値である放電クーロンカウント値(DCC値:Discharge Coulomb Count)をさらに計算してもよい。CCC値やDCC値は、充電サイクル数や放電サイクル数の管理に用いることができる。
【0041】
3. 電源ボタン108の監視
ロジック回路210の電源ボタン監視部218は電源ボタン108と接続され、電源ボタン108が電子機器100のユーザによって押されたか否かを監視する。ロジック回路210は、電源ボタン108が押されると、イネーブル信号ENをアサート(たとえばハイレベル)し、DC/DCコンバータ230を起動する。DC/DCコンバータ230が起動すると電源電圧V
DDがCPU106に供給され、CPU106の制御下で電子機器100が起動する。
【0042】
さらに電源ボタン監視部218は、電源ボタン108が押されたことが、はじめてか否かを示すフラグFLGを管理する。このフラグFLGは、残量検出回路200の内部あるいは外部において、不揮発的に記録される。電子機器100の出荷時に、このフラグFLGは、初期値(たとえばゼロ)にセットされる。電源ボタン監視部218は、はじめて電源ボタン108が押されると、フラグFLGの値を初期値と異なる別の値(たとえば1)にセットする。
【0043】
4. 初期OCVの測定
電子機器100の出荷後、はじめて電圧法にもとづいてSOCを判定する際に参照すべきOCVを、初期OCVと称することとする。ロジック回路210は、電子機器100の電源がはじめて投入されたときの第1A/Dコンバータ202の出力D
Vを、初期OCVとして取得する。
【0044】
具体的にはOCV取得部214は、フラグFLGを監視し、フラグFLGの値が初期値(0)であるときに電源ボタン108のオンを検出すると、第1A/Dコンバータ202の出力D
Vを取得する。
【0045】
以上がロジック回路210の機能である。ロジック回路210が取得した通常のOCV値、初期OCV値、ACC値、CCC値、DCC値は、インタフェース回路220を介して、CPU106に送信される。なお「送信される」とは、残量検出回路200内のメモリ(レジスタ)に格納されたデータを、CPU106が読み出すことを含む。
【0046】
CPU106は、ソフトウェアプログラムを実行し、電圧法、クーロンカウント法にもとづいて、SOCを推定、計算する。
【0047】
以上が残量検出回路200の構成である。続いて残量検出回路200の動作を説明する。
図3は、
図2の残量検出回路200による初期OCVの測定を説明する図である。時刻t
0において電子機器100にバッテリ102が装着されると、残量検出回路200にバッテリ電圧V
BATが供給され、動作可能となる。そして電子機器100は、電源がオフの状態で出荷される。出荷時において、フラグFLGは初期化されている。
【0048】
第1A/Dコンバータ202は時刻t
0以降、所定のサンプリング周期T
Sで、バッテリ電圧V
BATをサンプリングし続けている(自動サンプリング)。サンプリング周期T
Sを短くしすぎると消費電力が増大するため、サンプリング周期T
Sは、数ms〜数十ms、たとえば2〜50msとすることが好ましい。バッテリ容量および電子機器のリーク電流によっては、サンプリング周期T
Sをさらに長くすることが可能である。たとえば500mAhのバッテリで、オフ時リーク電流が100μAの電子機器では、1時間で100μA/500mA=0.02%しか変動しない。したがって、サンプリング周期T
Sは1時間程度まで長くしてもよい。したがってサンプリング周期T
Sは、第1A/Dコンバータ202の間欠動作によって回路電流が増加しない周期を下限として、リーク電流によってバッテリ残量が有意に変化しない周期を上限として規定すればよい。
【0049】
時刻t
0以降、電源ボタン監視部218は、電源ボタン108を監視し、電源がオンされたか否かを監視する。時刻t
1に電源ボタン108が押される。電源ボタン108が押下される間、PWR_ON信号がアサート(たとえばローレベル)される。電源ボタン監視部218は、PWR_ON信号のアサートを検出すると、OCV取得部214にその直前の電圧検出値D
Vの取得を指示する。時刻t
0以降、電源オン(時刻t
1)までの間は、残量検出回路200のごく一部(第1A/Dコンバータ202や電源ボタン監視部218のみ)が間欠動作しているため、バッテリ電流I
BATは実質的にゼロとみなすことができ、したがってバッテリ102は緩和状態とみなすことができる。つまりこのとき取得された電圧検出値D
Vは、初期OCV値となる。そしてフラグFLGの値が変更される。
【0050】
第1A/Dコンバータ202によるサンプリング周期T
Sでの自動サンプリング動作は、はじめての電源の投入後、停止させることが望ましい。これにより無駄な消費電力を低減できる。
【0051】
電源のオンに応答して、DC/DCコンバータ230が起動し、CPU106に電源電圧V
DDが供給され、CPU106が動作可能となる。CPU106は、残量検出回路200から初期OCV値を受信する。CPU106は、OCVとSOCの対応関係を規定するテーブルあるいは演算式にもとづいて、初期OCV値に対応する初期SOCを推定する。
【0052】
DC/DCコンバータ230やCPU106が動作開始すると、バッテリ102のバッテリI
BATが非ゼロとなるため、非緩和状態となる。その後、残量検出回路200において第2A/Dコンバータ204およびクーロンカウント処理部216がアクティブとなり、クーロンカウント値ACC,CCC,DCCが計算される。CPU106は、初期SOCと、クーロンカウント値ACCとにもとづいて、その後のSOCを計算する。
【0053】
図4は、
図2の電子機器100の動作を説明するフローチャートである。なおフローチャートの各処理の順序は、処理に支障の無い範囲において適宜入れ替えることが可能であり、あるいは複数の処理を並列に行ってもよい。
【0054】
バッテリ102が装着(あるいは実装)される(S100)。これにより残量検出回路200が動作可能となり、第1A/Dコンバータ202によるバッテリ電圧V
BATのサンプリングが開始する(S102)。
【0055】
電源ボタン108の押下の有無が監視される(S104)。電源ボタン108の押下が検出されないとき(S104のN)、引き続き、バッテリ電圧V
BATのサンプリングが継続される。電源ボタン108の押下が検出されると(S104のY)、1回目の電源オンか否かが判定される(S106)。そして1回目の電源オンと判定されると(S106のY)、直近の電圧検出値D
Vが初期OCVとして保持される(S108)。1回目の電源オンか否かを示すフラグFLGが修正され(S110)、第1A/Dコンバータ202による周期的なサンプリング動作が停止する。2回目以降の電源オンの場合(S106のN)、通常の緩和時間にもとづくOCV測定が行われる。
【0056】
以上が残量検出回路200および電子機器100の動作である。この残量検出回路200によれば、製品の出荷から、ユーザが電源を投入するまでの期間(
図3のt
0〜t
1)が長い場合においても、正確な初期OCVを取得でき、ひいては初期残量(初期SOC)を正確に検出できる。
【0057】
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0058】
(変形例1)
実施の形態では、
図3に示すように、電源ボタンの押下(時刻t
1)の直前のひとつの電圧検出値D
Vを、初期OCVとしたがその限りでない。
図5は、変形例1に係る初期OCVの測定を説明する図である。たとえば時刻t
1の直前の複数の電圧検出値D
Vを平均し、初期OCVとしてもよい。平均処理は、単純平均であってもよいし、重み付け平均であってもよいし、移動平均であってもよい。また平均対象となる電圧検出値D
Vは時間的に連続したものであってもよいし、N個(N≧2)おきに抽出したものであってもよい。
【0059】
図6は、変形例1に係る電子機器100の動作を説明するフローチャートである。
図4の処理S108が、処理S109に修正される。1回目の電源オンと判定されると(S106のY)、直近にサンプリングされた複数の電圧検出値D
Vの平均値が、初期OCVとして保持される(S109)。ノイズが発生すると、ノイズの影響でA/Dコンバータの出力が変動し、電圧検出値が不正確となる場合がある。そこで、複数のサンプリングにわたる平均値をとることで、ノイズの影響を低減できる。なお、平均化処理は、1回目の電源オンと判定された後に行ってもよいし、処理S102においてバッテリ電圧V
BATをサンプリングするたびに、平均値を更新してもよい。
【0060】
(変形例2)
図7は、変形例2に係る初期OCVの測定を説明する図である。時刻t
1の直後においても、バッテリ102が緩和状態である場合には、時刻t
1直後の電圧検出値D
Vを、初期OCVとしてもよい。
【0061】
図8は、変形例2に係る電子機器100の動作を説明するフローチャートである。1回目の電源オンと判定されると(S106のY)、さらにもう1回、バッテリ電圧V
BATがサンプリングされ(S103)、最後のサンプリング(S103)で得られた電圧検出値D
Vが初期OCVとして保持される(S108)。
【0062】
(変形例3)
実施の形態では、SOCの推定、計算に関する処理の一部を、残量検出回路200の外部のCPU106によって実行したがその限りでなく、残量検出回路200にプロセッサ(演算コア)を集積化し、CPU106の機能の一部を統合してもよい。
【0063】
(変形例4)
実施の形態では、残量検出回路200にDC/DCコンバータ230が集積化されたがその限りでない。DC/DCコンバータ230は、残量検出回路200とは別のパワーマネージメントIC(PMIC)に集積化されてもよい。
【0064】
実施の形態にもとづき、具体的な用語を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。