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特開2018-200308携帯型時計のレートを調整するデバイス及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-200308(P2018-200308A)
(43)【公開日】2018年12月20日
(54)【発明の名称】携帯型時計のレートを調整するデバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
   G04D 7/00 20060101AFI20181122BHJP
【FI】
   G04D7/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-92843(P2018-92843)
(22)【出願日】2018年5月14日
(31)【優先権主張番号】17173301.7
(32)【優先日】2017年5月29日
(33)【優先権主張国】EP
(71)【出願人】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】ジェローム・ファーヴル
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル・ウィルマン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−ジャック・ボルン
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク・レショー
(72)【発明者】
【氏名】ジャンニ・ディ ドメニコ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】振動数を正確に制御して機械式携帯型時計又はムーブメントのレートを調整するデバイスおよび方法を提供する。
【解決手段】公称振動数N0で振動を発生させるように構成している発振器を備える携帯型時計2のレートを調整する方法である。この発振器は、この公称振動数N0又はその整数倍と等しい又はほぼ等しい励起振動数NEで励起振動を発生させるように構成しているマスター発振器を有する。携帯型時計2を、遷移段階の間に、マスター発振器が発生させる励起又は変調運動に従わせ、この遷移段階の後に、携帯型時計2の発振器が励起振動数NEで安定化される。サーボシステムにおいて、携帯型時計2が固定された支持体を動かすように構成している、機械式ないし自動式携帯型時計用のワインダーが組み入れられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの携帯型時計又はムーブメントのレートを調整する方法であって、
前記携帯型時計又はムーブメントは、公称振動数N0で振動を発生させるように構成している少なくとも1つの基本発振器を有し、
当該方法は、公称振動数N0又はその整数倍と等しい又はほぼ等しい励起振動数NEで励起振動を発生させるように構成しているマスター発振器を有するサーボシステムを用い、
前記携帯型時計又はムーブメント全体は、少なくとも遷移段階の間に、前記サーボシステムの発動の初期の時点の後に、前記マスター発振器が発生させる励起振動及び/又は前記マスター発振器が発生させる変調された運動に従い、前記遷移段階の終わりにて前記携帯型時計又はムーブメントの発振器の振動数が前記振動数NEで安定化される
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記基本発振器の前記初期のレート偏差量DIが測定ないし評価され、前記初期のレート偏差量DIよりも小さい前記基準に対するマスターレート偏差量AMを有する前記マスター発振器が用いられる
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの携帯型時計又はムーブメントのレートを調整する方法であって、
前記携帯型時計又はムーブメントは、公称振動数N0で振動を発生させるように構成している少なくとも1つの基本発振器を有し、
当該方法は、公称振動数N0又はその整数倍と等しい又はほぼ等しい励起振動数NEで励起振動を発生させるように構成しているマスター発振器を有するサーボシステムを用い、
前記携帯型時計又はムーブメント全体は、少なくとも遷移段階の間に、前記サーボシステムの発動の初期の時点の後に、前記マスター発振器が発生させる励起振動及び/又は前記マスター発振器が発生させる変調された運動に従い、前記遷移段階の終わりにて前記携帯型時計又はムーブメントの発振器の振動数が前記振動数NEで安定化される
ことを特徴とする方法。
【請求項4】
前記基本発振器の前記初期のレート偏差量DIが測定され、前記初期のレート偏差量DIよりも小さい前記基準に対するマスターレート偏差量AMを有する前記マスター発振器が用いられる
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
携帯型時計又はムーブメントのレートを調整するサーボシステムであって、
前記携帯型時計又はムーブメントは、公称振動数N0に対して初期のレート偏差量DIがあるような振動数で振動を発生させるように構成している少なくとも1つの基本発振器を有し、
当該サーボシステムは、公称振動数N0又はその整数倍と等しく又はほぼ等しい振動数に対して初期のレート偏差量DIよりも小さい基準に対するマスターレート偏差量AMがあるような励起振動数NEで励起振動を発生させるように構成しているマスター発振器を有し、
当該サーボシステムは、前記携帯型時計又はムーブメント全体を前記マスター発振器が発生させる励起振動及び/又は前記マスター発振器が発生させる変調運動に従わせるように構成しており、
当該サーボシステムは、前記マスター発振器の励起振動を制御するように構成している制御手段を有しており、この制御手段は、当該サーボシステムが備える前記携帯型時計又はムーブメントのレート偏差を測定する手段と接続している
ことを特徴とするサーボシステム。
【請求項6】
当該サーボシステムは、携帯型時計又はムーブメントを受ける少なくとも1つの支持体を備える機械式ないし自動式携帯型時計のための自動ワインダーを有し、
当該サーボシステムは、前記支持体において、前記携帯型時計又はムーブメント全体を前記マスター発振器が発生させる励起振動に従わせるように構成している励起手段、及び/又は前記携帯型時計又はムーブメント全体を前記マスター発振器が発生させる変調運動に従わせるように構成している駆動手段を有する
ことを特徴とする請求項5に記載のサーボシステム。
【請求項7】
携帯型時計又はムーブメントのレートを調整する少なくとも1つのサーボシステムを有する携帯型時計又はムーブメントの相互連携機能付きの支持デバイスであって、
前記携帯型時計又はムーブメントは、公称振動数N0に対して初期のレート偏差量DIがあるような振動数で振動を発生させるように構成している少なくとも1つの基本発振器を有し、
当該サーボシステムは、公称振動数N0又はその整数倍と等しく又はほぼ等しい振動数に対して初期のレート偏差量DIよりも小さい基準に対するマスターレート偏差量AMがあるような励起振動数NEで励起振動を発生させるように構成しているマスター発振器を有し、
当該サーボシステムは、前記携帯型時計又はムーブメント全体を前記マスター発振器が発生させる励起振動及び/又は前記マスター発振器が発生させる変調運動に従わせるように構成しており、
当該相互連携機能付きの支持デバイスは、前記サーボシステムに従うすべての携帯型時計又はムーブメントを同じレート偏差量に調整する中央レート制御手段を有する
ことを特徴とするデバイス。
【請求項8】
当該サーボシステムは、携帯型時計又はムーブメントを受ける少なくとも1つの支持体を備える機械式ないし自動式携帯型時計のための自動ワインダーを有し、
当該サーボシステムは、前記支持体において、前記携帯型時計又はムーブメント全体を前記マスター発振器が発生させる励起振動に従わせるように構成している励起手段、及び/又は前記携帯型時計又はムーブメント全体を前記マスター発振器が発生させる変調運動に従わせるように構成している駆動手段を有する
ことを特徴とする請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
当該相互連携機能付きの支持デバイスは、携帯型時計又はムーブメントを受ける少なくとも1つの支持体が固定された、機械式ないし自動式携帯型時計用の少なくとも1つの自動ワインダーを有する
ことを特徴とする請求項7に記載のデバイス。
【請求項10】
当該相互連携機能付きの支持デバイスは、携帯型時計及び/又はムーブメントを公衆にディスプレーするディスプレーユニットである
ことを特徴とする請求項7に記載のデバイス。
【請求項11】
携帯型時計又はムーブメントを訂正する相互連携機能付きの支持デバイスであって、
請求項5に記載のサーボシステムを少なくとも1つ有し、
当該相互連携機能付きの支持デバイスは、前記サーボシステムに従うすべての携帯型時計又はムーブメントを同じレート偏差量に調整する中央レート制御手段を有する
ことを特徴とするデバイス。
【請求項12】
当該相互連携機能付きの支持デバイスは、携帯型時計又はムーブメントを受ける少なくとも1つの支持体が固定された、機械式ないし自動式携帯型時計用の少なくとも1つの自動ワインダーを有する
ことを特徴とする請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
当該相互連携機能付きの支持デバイスは、携帯型時計及び/又はムーブメントを公衆にディスプレーするディスプレーユニットである
ことを特徴とする請求項11に記載のデバイス。
【請求項14】
公称振動数N0に対して初期のレート偏差量DIがあるような振動数で振動を発生させるように構成している少なくとも1つの基本発振器を有する携帯型時計であって、
請求項5に記載のサーボシステムを少なくとも1つ有する携帯型時計用バンドを有する
ことを特徴とする携帯型時計。
【請求項15】
当該携帯型時計は、そのプレートを公称振動数N0又はその整数倍で共振させる手段を有する
ことを特徴とする請求項14に記載の携帯型時計。
【請求項16】
請求項5に記載のサーボシステムを使用する方法であって、
公称振動数N0又はその整数倍と等しい又はほぼ等しい振動数に対して基準に対するマスターレート偏差量AMがあるような励起振動数NEで励起振動を発生させるように構成しているマスター発振器を用いて、携帯型時計又はムーブメントを調整し、
前記携帯型時計又はムーブメントは、前記マスター値AM以下であるか又はほぼ等しいレート偏差量で前記携帯型時計又はムーブメントの発振器のレート偏差が安定化するために十分な持続時間の間、前記携帯型時計又はムーブメント全体を前記マスター発振器が発生させる励起振動及び/又は前記マスター発振器が発生させる変調運動に従わせることによって、前記公称振動数N0に対して前記マスター値AMよりも大きい初期のレート偏差量DIがあるような振動数で振動を発生させるように構成している少なくとも1つの基本発振器を用いる
ことを特徴とする方法。
【請求項17】
携帯型時計又はムーブメントを受ける少なくとも1つの支持体を用いて、機械式ないし自動式携帯型時計のための自動ワインダーを使用する方法であって、
少なくとも1つの携帯型時計又はムーブメント全体を、携帯型時計又はムーブメントを調整するために、公称振動数N0又はその整数倍と等しい又はほぼ等しい振動数に対して基準に対するマスターレート偏差量AMがあるような励起振動数NEで励起振動を発生させるように構成しているマスター発振器が発生させる励起振動に従わせ、
前記携帯型時計又はムーブメントは、前記マスター値AM以下であるか又はほぼ等しいレート偏差量で前記携帯型時計又はムーブメントの発振器のレート偏差が安定化するために十分な持続時間の間、前記携帯型時計又はムーブメント全体を前記マスター発振器が発生させる励起振動及び/又は前記マスター発振器が発生させる変調運動に従わせることによって、前記公称振動数N0に対して前記マスター値AMよりも大きい初期のレート偏差量DIがあるような振動数で振動を発生させるように構成している少なくとも1つの基本発振器を用いる
ことを特徴とする方法。
【請求項18】
前記自動ワインダーを、請求項6に記載のサーボシステムの一部として用いる
ことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記サーボシステムを、請求項7又は11に記載の相互連携機能付きの支持デバイスの一部として用いる
ことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、公称振動数で振動を発生させるように構成している少なくとも1つの基本発振器を有する腕時計、懐中時計を含む携帯型時計又はムーブメントのレートを調整する方法に関する。
【0002】
本発明は、公称振動数で振動を発生させるように構成している少なくとも1つの基本発振器を有する携帯型時計又はムーブメントのレートを調整するサーボシステムに関する。
【0003】
本発明は、携帯型時計又はムーブメントをインタラクティブに訂正する相互連携機能付きの支持デバイスに関する。
【0004】
本発明は、公称振動数で振動を発生させるように構成している少なくとも1つの基本発振器を有する携帯型時計又はムーブメントに関する。
【0005】
本発明は、公称振動数又はその整数倍に等しい又はほぼ等しい振動数に対して基準に対するマスターレート偏差量があるような励起振動数で励起振動を発生させるように構成しているマスター発振器を用いて、前記公称振動数で振動を発生させるように構成している少なくとも1つの基本発振器を有する携帯型時計又はムーブメントのレートを調整する、サーボシステムを使用する方法に関する。
【0006】
本発明は、さらに、携帯型時計又はムーブメントを受ける少なくとも1つの支持体を用いて、少なくとも1つの携帯型時計又はムーブメント全体をマスター発振器が発生させる励起振動に従わせる、機械式ないし自動式携帯型時計のための自動ワインダーを使用する方法に関する。このマスター発振器は、公称振動数又はその整数倍と等しい又はほぼ等しい振動数に対して基準に対するマスターレート偏差量があるような励起振動数で励起振動を発生させるように構成している。
【背景技術】
【0007】
携帯型時計又はムーブメントのレート、特に、1日当たりのレート偏差量、を制御することは、すべての携帯型時計の設計者が目標とすることとなっている。
【0008】
特に認証されていない標準的な機械式携帯型時計又はムーブメントの最大の1日当たりのレート偏差は、1日当たり5〜10秒のオーダーである。これは、遅れている場合もあれば進んでいる場合もある。
【0009】
巧妙に作られた機械式携帯型時計又はムーブメント、特に、クロノメーター認証されたもの、の最大の1日当たりのレート偏差は、1日当たり2〜5秒である。
【0010】
非常に巧妙に作られた機械式携帯型時計(又はムーブメント)、例えば、クロノメーター競技のために準備されたもの、の最大の1日当たりのレート偏差は、1日当たり1秒のオーダーである。
【0011】
レート偏差は、特に、バレルのアンワインドのレベルに応じて変動する。また、例えば、環境、温度、湿度などの偏差、様々な可動部品の磨耗、時間にわたっての潤滑剤の劣化、そしてもちろん、重力場における携帯型時計のポジションに応じても変動する。
【0012】
レートを制御することに加えて、ディスプレー状態のエラーを制御することも関心事である。
【0013】
自動ワインダーは、機械式、自動式又は手動式の携帯型時計を巻くように設計されている。これは、携帯型時計のレート又はディスプレー状態のいずれかを訂正せずに、回転錘を単純に動かしたり竜頭を回転させたりしてバレルを巻き直す。このようなワインダーにユーザーが長い間自身の携帯型時計を置いておくと、ディスプレーされる時間が、連続的かつ制御されない形態でずれる。
【0014】
ブレゲは、特定の携帯型時計又はムーブメントを有する「シンパセティック」振り子を作った。これは、基準としてはたらく振り子に関連づけられており、振り子に保持されるように構成しており、夜の12時と正午に振り子によって動かされる携帯型時計の針を携帯型時計の制御ステムによってリセットする機構を備える。
【0015】
以下のような様々な科学的な論文が、2つのクロックの間の同期ないしシンパシーに言及している。
【0016】
− H.M. Oliveira et al.: "Huygens synchronization of two clocks", Scientific Reports, vol.5, No.1, 23 July 2015, XP055418276, DOI:10.1038/srep11548; page 9, §experimental, Figures 4, 7;
− H. Wallman: "Hit-or-miss synchronization to atomic time", Horological Journal. Ashford, GB, Vol.134, No.1, 1 July 1991, pages 26-27, XP000214989, ISSN: 0018-5108, pages 1-2, Figures 2-3;
− J.P. Ramirez et al.: "The sympathy of two pendulum clocks: beyond Huygens’ observations", Scientific Reports, Vol.6, No.1, 29 March 2016, XP055418277, DOI: 10.1038/srep23580, page 3, §experimental, Figures 3-6.
【0017】
WH Shorttによる英国特許GB187814Aは、電気的パルスによって別の振り子クロックと同期している振り子クロックについて記載している。この電気的パルスは、スレーブ振り子が所定値を超えて遅れるとすぐにそのスレーブ振り子に関連づけられたデバイスを動作させるように用いられる。
【0018】
SEIKOによる日本国特許出願JPS5567685Aは、所定の音に対応する信号とともに受信手段として音生成手段を用いることによって、アラーム機能付き携帯型時計のレートを再較正する構成について記載している。
【0019】
R Goderによるドイツ特許DE102013012854B3は、電子カメラ、近接検出器又はセンサー、特に、音響センサー、によって明示されるディスプレーポジションの偏差に応じて、ポジション、環境の温度、又は巻きのレベルを変えることによって、携帯型時計のレートを訂正するように適合している手段を有する携帯型時計の支持体について記載している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、少なくとも1つの発振器を有し、デバイス、機器又は支持体に支援されて振動する少なくとも1つの機械式携帯型時計又はムーブメントの振動数を正確に制御することを提案するものである。携帯型時計はそれぞれ、基準タイムベースにアクセスすることができる支持体に固定される。この支持体は、機械式携帯型時計に振動運動を与え、このことによって、携帯型時計のバランスばね、一般的には、携帯型時計の発振器、が基準振動数で振動するようにする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、機械式共振器の振動数を制御するために、ムーブメントをケースから取り除かずに携帯型時計全体の規則的な往復運動を達成することを目的とする。
【0022】
このために、本発明は、請求項1に記載のような、公称振動数で振動を発生させるように構成している少なくとも1つの基本発振器を有する携帯型時計又はムーブメントのレートを調整する方法に関する。
【0023】
本発明は、さらに、請求項5に記載のような、公称振動数に対して初期のレート偏差量があるような振動数で振動を発生させるように構成している少なくとも1つの基本発振器を有する携帯型時計又はムーブメントのレートを調整するサーボシステムに関する。
【0024】
本発明は、さらに、請求項7に記載のような、携帯型時計又はムーブメントを訂正する相互連携機能付きの支持デバイスに関する。
【0025】
本発明は、さらに、請求項14に記載のような、公称振動数に対して初期のレート偏差量があるような振動数で振動を発生させるように構成している少なくとも1つの基本発振器を有する携帯型時計に関する。
【0026】
本発明は、さらに、請求項16に記載のような、携帯型時計又はムーブメントのレートを調整するために、公称振動数又はその整数倍に等しい又はほぼ等しい振動数に対して基準に対するマスターレート偏差量があるような励起振動数で励起振動を発生させるように構成しているマスター発振器を有し、前記携帯型時計又はムーブメントは、公称振動数で振動を発生させるように構成している少なくとも1つの基本発振器を有する。
【0027】
本発明は、さらに、請求項17に記載のような、携帯型時計又はムーブメントを受ける少なくとも1つの支持体を用いて、少なくとも1つの携帯型時計又はムーブメント全体をマスター発振器が発生させる励起振動に従わせる、機械式ないし自動式携帯型時計のための自動ワインダーを使用する方法に関する。このマスター発振器は、公称振動数又はその整数倍と等しい又はほぼ等しい振動数に対して基準に対するマスターレート偏差量があるような励起振動数で振動を発生させるように構成している。
【0028】
図面を参照しながら下の詳細な説明を読むことによって、本発明の他の特徴や利点がわかるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】支持体に固定された機械式携帯型時計又はムーブメントを概略的に示している。これは、サーボシステムの関数発生器と、及び携帯型時計の竜頭に接しているマイクロホンタイプのようなレート測定手段とによって、正確な振動数の規則的な励起振動に従う。
図2図1の携帯型時計についてのレートの進展を示している図である。縦座標は、1日当たりの秒数であり、横座標は、時間であって分が記載されている。横座標は、初期の時点から始まり、サーボシステムの発動に対応する険しい傾斜領域、そして、励起振動数における支持体の振動にまで及んでいる。この傾斜領域の後に、遷移段階が続き、この遷移段階にてレート偏差が素早く反転する。そして、非常に低く実質的にゼロであるレート偏差量に達するまで着々と減少する。
図3】単純になるように遷移段階のみを示した図2と同様な図であり、励起が開始した時点における励起段階の効果を示している。これによって、外観が異なるいくつかの曲線が発生し、これらの曲線のすべてが等しく、遷移段階の終わりにおけるゼロ値の辺りにて安定化の方向に向かっている。
図4図1の携帯型時計のディスプレー状態の進展を示している図であり、縦座標は秒、横座標は時間であり分を示している。実線は、サーボ制御されていない変種、破線は、サーボとディスプレー状態訂正デバイスを備えたサーボ制御されている変種を示している。
図5】基準発振器を有し、必要であれば振動数変換器を有する携帯型時計又はムーブメントのレートを調整するデバイスの概略図である。これは、励起振動数にドライバーをアクチュエートし、ドライバーは、基本発振器を有する携帯型時計又はムーブメントを支える支持体を駆動する。
図6】時間の関数としてディスプレー状態の訂正の進展を示している図である。
図7】携帯型時計のディスプレー状態の訂正のブロック図であり、これは、認識手段と接続されるカメラのような携帯型時計のディスプレー状態を測定する手段と、絶対的な状態基準に対して比較することによって状態の差を計算するセルと、振動数と訂正時間を計算するセルと、及び携帯型時計のレートを制御するレートサーボ制御デバイスとを有する。
【発明を実施するための形態】
【0030】
ここで、サーボシステムによって、以下において「基本発振器」と呼ぶ発振器を少なくとも1つ有する少なくとも1つの携帯型時計又は機械式ムーブメントの振動数を制御して、それを基準、特に、絶対的な基準、を生成することができるいわゆる「絶対的な」発振器に対して、そして、絶対的な発振器と基本発振器の間の中間的な品質の「マスター発振器」と呼ばれる発振器に対して、区別する。非常に高い精度の時計については、本発明の一部を形成しないが、基準振動数を発生させる絶対的な発振器によって、基準クロックを形成することができるものについて言及する。
【0031】
本発明は、完全な携帯型時計であることができる計時器にも、携帯型時計のヘッド部にも、ムーブメントにも、同様に適用されることができる。説明を単純化するために、用語「携帯型時計」をこれらの物のいずれをも意味するように無差別的に用いる。携帯型時計全体に適用されるものはすべて、ムーブメント全体にも直接適用可能であり、その逆も可能である。
【0032】
革新的な形態で、携帯型時計はそれぞれ、支持体に固定され、この支持体は、基準タイムベースにつながれる。この支持体は、機械式携帯型時計に振動運動を与え、この携帯型時計は、この携帯型時計が備える基本発振器、特に、バランス/バランスばね、が基準振動数で振動するようにする。
【0033】
特に、分解されたことがない携帯型時計全体に規則的な往復運動が与えられて、その機械式共振器の振動数を制御する。
【0034】
サーボシステムは、タイムベースを有する。このタイムベースは、機械式携帯型時計のものよりも正確でなければならない。したがって、このタイムベースは、エラーが1日当たり1秒未満でなければならず、好ましくは、1日当たり0.1秒未満でなければならない。これは、温度補償された水晶発振器によって達成することができる。なお、これに限定されない。また、巧妙に作られた機械的な振り子も、このような精度を達成することができる。
【0035】
図2に示すように、サーボシステムによって携帯型時計を制御することによって、必要な遷移的な同期レジームに続く携帯型時計がサーボシステムにリンクされている期間に携帯型時計のレート偏差を打ち消すことが可能になる。この図2は、1日当たり約15秒のレートの初期偏差を携帯型時計がディスプレーするような実験室の測定から抽出されたものである。
【0036】
サーボシステムが開始すると、数分の遷移段階の間にレート偏差がずれ、そして、約10分後に1日当たりゼロ秒に収束する。
【0037】
このふるまいはモデル化され、図3は、遷移段階における曲線の形が遷移段階が開始した時点にて励起段階に依存することを示している。図2は、移相値πに対応している。これは実際に最悪のケースである。パラメーターの空間を探索することによって、同期が行われるためには励起の差が特定のしきい値を超えなければならず、ノッキングを回避するためには大き過ぎではあってはならないことがわかる。大きなレート偏差は、励起の差を大きくすることによって打ち消すことができる。
【0038】
したがって、第1の進展は、公称振動数N0で振動を発生させるように構成している少なくとも1つの基本発振器を有する携帯型時計のレートを調整する方法に関する。
【0039】
「公称振動数N0」は、関心事の携帯型時計又はムーブメントの発振器が動作することになっている目標振動数値を意味する。
【0040】
革新的な形態で、この公称振動数N0又はその整数倍と等しい又はほぼ等しい励起振動数NEで励起振動を発生させるように構成しているマスター発振器を有するサーボシステムを用いる。好ましくは、基準に対するマスターレート偏差量AMが、初期のレート偏差量DIよりも小さい。特に、この基準は、絶対的基準であり、レート偏差が、1日当たり1秒未満であり、好ましくは、1日当たり0.1秒未満、である。
【0041】
特に、このマスター発振器は、公称振動数N0の奇数倍と等しい又はほぼ等しい励起振動数NEで励起振動を発生させるように構成している。
【0042】
この携帯型時計全体は、少なくとも遷移段階の間に、制御デバイスの発動の初期の時点の後に、励起振動数NEにて、マスター発振器が発生させる励起振動、及び/又はマスター発振器が発生させる変調された運動に従う。この遷移段階の終わりにて、携帯型時計又はムーブメントの発振器の振動数が、振動数NEで安定化する。そして、マスター発振器に従う携帯型時計の基本発振器のレートが、マスター値AM以下のレート偏差量で安定化される。
【0043】
特に、携帯型時計の基本発振器の初期のレート偏差量DIは、前もって測定ないし評価され、初期のレート偏差量DIよりも小さい基準に対するマスターレート偏差量AMを有するこのマスター発振器が選択され、用いられる。特に、上に定められているように、この基準は絶対的基準である。マスタームーブメントのレート及び基礎的なスレーブムーブメントのレートは、非常に高い精度のクロックに対して測定される。このクロックは、本発明の一部を形成しない。
【0044】
特に、サーボシステムは、関心事の携帯型時計の基本発振器の可動部分の軸と平行な軸又は一致する軸のまわりで、励起振動を発生させるように構成している。励起振動は、好ましくは、小さい角振幅のストロークを有する。例えば、±5°であり、さらに小さいことができ、例えば、±2°である。
【0045】
図2の例にて用いられている第1の変種において、励起振動は、往復運動の形態となっている。
【0046】
別の変種において、マスター発振器は、関心事の携帯型時計又はムーブメントに変調された運動、例えば、ジャンプによって分離される一方向の運動、を与える励起振動を発生させる。
【0047】
短く書くと、これは、サーボデバイスのマスター発振器がマスターであり、携帯型時計が備える基本発振器がスレーブであるようなマスター/スレーブシステムである。
【0048】
また、この第1の展開は、さらに、少なくとも1つの基本発振器を有する携帯型時計のレートを調整するようなサーボシステムに関する。これは、初期の測定されたレート偏差量DIで、公称振動数N0で振動を発生させるように構成している。
【0049】
革新的な形態で、このサーボシステムは、公称振動数N0又は公称振動数N0の整数倍、特に、奇数倍、に、等しく又はほぼ等しく、基準に対するマスターレート偏差量AMが初期のレート偏差量DIよりも小さい、励起振動数NEで励起振動を発生させるように構成しているマスター発振器を有する。特に、この基準は、上に定められているような絶対的基準であり、レート偏差は、1日当たり1秒未満であり、又は1日当たり0.1秒未満である。このサーボシステムは、携帯型時計全体が、このマスター発振器が発生させる励起振動及び/又はマスター発振器が発生させる変調運動に従うように構成している。
【0050】
好ましい実施形態において、図5に示すように、サーボシステムは、励起振動数NEでドライバー4をアクチュエートさせるために、基準発振器6、そして必要であれば、振動数変換器5を有する。
【0051】
このドライバー4は、サーボ制御される携帯型時計2を担持している支持体3に、基準軸のまわりの、運動、特に、往復運動、を与える。ここで、好ましくは、携帯型時計2の基本発振器1の振動する部分の軸が、基準軸と平行であり又は基準軸と一致している。
【0052】
振動角度αは、時間の関数であり、規則的である。特に、振動角度αは、α(t)=A・sin(2π・NE)などの形態である。また、振動角度αは、正方形、のこぎり歯などのサイクルに従うことができる。
【0053】
このようなサーボシステムは、公称振動数N0に対してこの特定の励起振動数NEを選択することによって、携帯型時計のレートを調整することができる。また、下に示すように、この同じデバイスを励起振動数NEではなく、訂正振動数NCで用いることもできる。
【0054】
特に、このサーボシステムは、マスター発振器の励起振動を制御するように構成しており、携帯型時計のレートを測定する手段と接続しており、このサーボシステムに含まれているような制御手段を有する。
【0055】
一般的には、ここで説明している制御手段、主制御手段、中央制御手段は、コンピューター、計算器、プログラマブルコントローラー、集積回路、又はアプリケーションに適合する任意の他の人工知能手段によって形成することができる。
【0056】
特定の実施形態において、このサーボシステムは、機械式携帯型時計又は自動携帯型時計用の自動ワインダーを有し、これに、携帯型時計又はムーブメントを受ける少なくとも1つの支持体などが固定される。サーボシステムは、この支持体上に、携帯型時計全体にマスター発振器が発生させる励起振動に従わせるように構成している励起手段、及び/又は携帯型時計全体にこのマスター発振器が発生させる変調運動に従わせるように構成している駆動手段を有する。
【0057】
特に、この方法の実装を通して、安定化の前及び/又は後に、少なくとも1回のレート測定が行われる。さらに、この目的のために設けられたディスプレー又は編集手段にて、測定されたレート偏差量がディスプレー又は編集される。
【0058】
なお、レート調整は一時的なものであり、サーボ制御は一時的なものであり、かつ、携帯型時計は、サーボシステムのマスター発振器が発生させる励起振動に従い続ける。
【0059】
この第1の展開が進みと遅れの両方を打ち消すことができることに注目することは重要である。実際に、一部の携帯型時計は、レートが速いように設計されたセッティングの状態で工場から出荷され、他の携帯型時計においては、ゼロ値が中心となるようにセッティングされるものもある。このことは、このような携帯型時計は時間が進んだり遅れたりすることを意味している。このように、速い携帯型時計を遅くし、遅い携帯型時計を速くすることができる。なお、既に適切にセットされている携帯型時計のレートは変更されない。
【0060】
このサーボ制御を、ムーブメントの最適な巻きに加えて、順次的に又は同時に、行うことができる。
【0061】
第2の展開において、ディスプレー状態のエラーを訂正するために、この第1の展開を利用すると有利である。
【0062】
実際に、サーボシステムを用いるこのレート調整方法によって、レート偏差を1日当たりゼロ秒の方に動かすことが可能になる。しかし、ディスプレーエラーの状態を訂正するために、携帯型時計発振器を別の振動数に従わせるためにこの原理を用いることもできる。例えば、1日当たり90秒未満である。このディスプレー状態のエラーは、測定され手動で入力される値、あるいは針又はディスプレーメンバーのポジションを認識する画像処理を行うカメラのようなビジョンシステムによって識別される値のいずれかである。
【0063】
例えば、携帯型時計の時間は、午前7時に完璧にセットされ、そして、携帯型時計は、1日当たり+12秒の一定のレート偏差で、一日中着用され、約+7.5秒のディスプレー状態のエラーが、同じ日の午後10時に測定される。ユーザーは、レートサーボ制御デバイスによってレート調整方法を実装することができる。
【0064】
このサーボシステムは、翌日の夜間にわたって、携帯型時計に対して、与えられたレートを強いることができる。これは、必ずしもゼロではない。例えば、サーボシステムが携帯型時計に2時間、1日当たり90秒未満のレート偏差を強いる場合、携帯型時計の状態は、この2時間の後に再び正確になる。
【0065】
このディスプレー状態の訂正を行った後で、デバイスは、ユーザーが携帯型時計を取り戻すまで、1日当たり0秒のレート偏差にすることができる。このようにして、携帯型時計の時間は朝に完璧にセットされる。一晩後に1日当たり+12秒あったであろうディスプレー状態のエラーが携帯型時計にないことだけではなく、前日に着用していたときに蓄積していた7.5秒の進みを訂正することもできている。下の表はこの例をまとめている。
【0066】
【表1】
【0067】
当然、本発明を用いない場合、このディスプレー状態のエラーは、時間にわたって蓄積して、ユーザーが手動で携帯型時計の時間をリセットしなければ、1か月当たり数分に達することがある。
【0068】
図4は、本発明を用いる場合と用いない場合の比較テスト結果を示している。この例において、携帯型時計は、自動ワインダー又は他の手段によって巻かれていない調整も変更もされていない市販の認証されたクロノメーターである。この携帯型時計のバレルは、ちょうど2日間(すなわち、約190000秒)でアンワインドする。この携帯型時計のディスプレー状態は、携帯型時計技師や時計技師によって用いられるタイプの精密機器を用いて測定される。ディスプレー状態の測定は、本発明に係るサーボ管理状態においては点線のように、そして、本発明を用いない自由状態においては実線のように、アンワインド期間全体にわたって行われる。図4は、本発明を用いなければ、携帯型時計又はムーブメント、そしてクロノメーターでさえも、そのバレルがアンワインドするにしたがって、大きな遅れを蓄積してしまい、本発明を用いれば、その状態を0秒の非常に近くに維持することができる。
【0069】
したがって、第2の展開は、公称振動数N0で振動を発生させるように構成している少なくとも1つの基本発振器を有する携帯型時計のディスプレー状態を訂正する方法に関する。
【0070】
このディスプレー状態訂正方法にしたがって、初期のレート偏差量DIが測定ないし評価される。携帯型時計に対してディスプレー状態のエラーが測定される。
【0071】
ディスプレー状態訂正デバイスの発動の初期の時点の後のディスプレー状態訂正段階の間に、訂正振動数NCで振動を発生させて、携帯型時計全体に振動及び/又は運動を与えるように構成しているディスプレー状態訂正発振器を有するディスプレー状態訂正デバイスを用いる。ディスプレー状態訂正段階の持続期間は、発動の初期の時点において携帯型時計に対して測定ないし評価されたディスプレー状態のエラーを正確に訂正するように調整される。
【0072】
特に、この基本発振器の初期のレート偏差量DIが測定され、基準に対するレート偏差量を有するディスプレー状態訂正発振器を有するディスプレー状態訂正デバイスが選択されて用いられる。この値は、初期のレート偏差量DIよりも小さい。特に、この基準は、上に定められているとような絶対的基準である。
【0073】
もちろん、ディスプレー状態訂正デバイスは、必要な訂正振動数NCを得る振動数生成手段を有することを前提に、上に示したサーボシステムであることができる。
【0074】
状態偏差Eを訂正するように訂正振動数NCにて振動を与えなければならない持続時間Dは、関係、D(tf−ti)=E/(NC−N0)によって定められる。
【0075】
しかし、当然、訂正振動数NCを無計画に選択してはならない。なぜなら、訂正振動数NCは共振振動数から不必要に離れてはならないからである。実際上、差(NC−N0)は、1日当たり±100秒までに抑えることが好ましい。
【0076】
ディスプレー状態の訂正をレート調整とは独立に実装して、ディスプレー状態訂正デバイスを利用することができる。
【0077】
このディスプレー状態訂正デバイスは、公称振動数N0に対して測定された初期のレート偏差量DIがあるような振動数で振動を発生させるように構成している少なくとも1つの基本発振器を有する携帯型時計のディスプレー状態を訂正するように構成している。この第2の展開において、このディスプレー状態訂正デバイスは、訂正振動数NCで訂正振動を発生させるように構成しているディスプレー状態訂正発振器を有する。このディスプレー状態訂正デバイスは、携帯型時計全体が、ディスプレー状態訂正発振器が発生させる訂正振動及び/又はこのディスプレー状態訂正発振器が発生させる変調運動に従うように構成している。
【0078】
特に、このディスプレー状態訂正デバイスは、ディスプレー状態訂正発振器の振動を制御するように構成している制御手段を有しており、この制御手段は、ディスプレー状態訂正デバイスが備える携帯型時計のディスプレー状態を測定する手段と接続している。
【0079】
好ましいことに、この制御手段は、ディスプレー状態訂正の持続時間のユーザーによる手動エントリーのための手段と接続しており、及び/又はこの持続時間を公称振動数N0、訂正振動数NC及び測定された状態偏差の値の関数として計算するように構成している。
【0080】
特に、携帯型時計のディスプレー状態を測定する手段は、光学的ビジョン手段であり、これは、好ましいことに、画像処理手段によって補われる。この画像処理手段は、特に、携帯型時計の針又はディスプレーメンバーの位置、又はムーブメントの車セットにあるマークの位置を認識する。
【0081】
自動画像処理手段がない変種の1つにおいて、ディスプレー状態訂正デバイスは、ディスプレー状態訂正発振器の訂正振動を制御するように構成している制御手段を有する。この制御手段は、キーボード、タッチインタフェースのような、ディスプレーされる時間又は状態偏差のユーザーによる手動エントリーのための手段と接続され、あるいは前記のような手動エントリーの手段を備える移動体電話、「スマートフォン」、「iPhone(登録商標)」などの無線デバイスによって接続される。
【0082】
図7は、このような携帯型時計2のディスプレー状態を訂正するためデバイスを1つ示しており、これは、認識手段11と接続している、カメラのような携帯型時計の状態を測定する手段10と、ディスプレー状態基準13と比較することによって状態の差を計算するセル12と、振動数及び訂正持続時間を計算するセル14と、及びレートサーボ制御デバイス15とを有する。特に、このディスプレー状態基準13は、上で定められているように絶対的基準である。
【0083】
特定の実施形態において、このディスプレー状態訂正デバイスは、携帯型時計又はムーブメントを受ける少なくとも1つの支持体を備えた機械式ないし自動式携帯型時計用の自動ワインダーを有し、このディスプレー状態訂正デバイスは、この支持体が、携帯型時計又はムーブメント全体にこのディスプレー状態訂正発振器が発生させる訂正振動に従うように構成している励起手段、及び/又は携帯型時計又はムーブメント全体をディスプレー状態訂正発振器が発生させる変調運動に従わせるように構成しているドライブ手段を有する。
【0084】
本発明は、少なくとも1つの基本発振器を有する携帯型時計のレートを調整しディスプレー状態を訂正する方法の形態の上記の2つの行為を組み合わせることができる。この基本発振器は、初期のレート偏差量がDIであり公称振動数N0で振動を発生させるように構成しており、ディスプレー状態訂正段階及び2つの対応する基本的方法の遷移段階が1つずつ少なくとも部分的に実行される。
【0085】
そして、本発明は、測定された初期のレート偏差量がDIであり公称振動数N0で振動を発生させるように構成している少なくとも1つの基本発振器を有する携帯型時計のためのレート調整及びディスプレー状態訂正デバイスを実装する。本発明によると、このレート調整及びディスプレー状態訂正デバイスは、このようなサーボシステムを少なくとも1つとこのようなディスプレー状態訂正デバイスを少なくとも1つと、及びマスター発振器の励起振動を制御しするように構成しておりサーボシステムに設けられた携帯型時計のレート偏差を測定する手段と接続しておりディスプレー状態訂正発振器の訂正振動を制御しこのディスプレー状態訂正デバイスに設けられた携帯型時計のディスプレー状態を測定する手段と接続しているメイン制御手段とを有する。
【0086】
特に、このレート調整及びディスプレー状態訂正デバイスは、少なくとも1つの前記のような支持体が固定される機械式ないし自動式携帯型時計のための少なくとも1つの自動ワインダーを有している。
【0087】
本発明は、さらに、少なくとも1つの前記のようなサーボシステムを有する携帯型時計を訂正するための相互連携機能付きの支持デバイスに関し、この相互連携機能付きの支持デバイスは、サーボシステムに従うすべての携帯型時計を同じレート偏差量に調整する中央レート制御手段を有する。
【0088】
特に、この携帯型時計を訂正する相互連携機能付きの支持デバイスは、前記のようなディスプレー状態訂正デバイスを少なくとも1つ有し、この相互連携機能付きの支持デバイスは、ディスプレー状態訂正デバイスに従うすべての携帯型時計を同じディスプレー状態に調整する中央ディスプレー状態制御手段を有する。
【0089】
さらに特に、この相互連携機能付きの支持デバイスは、中央レート制御手段及び中央状態制御手段を形成又は調整するメイン制御手段を有する。
【0090】
特に、この相互連携機能付きの支持デバイスは、携帯型時計又はムーブメントを受ける少なくとも1つの支持体が固定された、機械式ないし自動式携帯型時計用の少なくとも1つの自動ワインダーを有する。
【0091】
有利なアプリケーションにおいて、この相互連携機能付きの支持デバイスは、携帯型時計及び/又はムーブメントをユーザー又は公衆にディスプレーするディスプレーユニットである。
【0092】
また特に、このディスプレーユニットは、同じ公称振動数N0を有する複数の携帯型時計及び/又はムーブメントを受けるように設計されている。
【0093】
例えば、携帯型時計が同じ場合、単一システムによって、携帯型時計が異なる場合(セッティング、モデル、ブランドなど)、別々のコマンドによって、様々な携帯型時計をサーボ制御することができる。
【0094】
また、異なるカテゴリーを有することができ、したがって、サーボ制御及び/又は状態訂正がカテゴリーの間で、又は必要であれば携帯型時計の間で、異なる。
【0095】
本発明は、さらに、公称振動数N0に対して初期の測定されたレート偏差量DIがあるような振動数で振動を発生させるように構成している少なくとも1つの基本発振器を有する携帯型時計に関する。この携帯型時計は、このようなサーボシステムを少なくとも1つ有する携帯型時計用バンドを有する。
【0096】
特に、携帯型時計用バンドは、少なくとも1つのディスプレー状態訂正デバイスを有する。しかし、これを組み入れることははるかに難しい。したがって、特に、携帯型時計用バンドに組み入れられたこのディスプレー状態訂正デバイスは、ディスプレー状態訂正発振器の訂正振動を制御するように構成している制御手段を有しており、この制御手段は、キーボードやインタフェースのような、ディスプレーされる時間又はディスプレー状態偏差についてのユーザーによる手動エントリーのための手段と接続しており、あるいは又はこのような手動エントリーの手段を有する、移動体電話、スマートフォン、iPhoneのような通信手段と接続している。
【0097】
特定の実施形態は、携帯型時計のヘッド部、振動するサーボシステム及びエネルギー源に加えて、携帯型時計用バンドに関する。
【0098】
別の実施形態において、この携帯型時計は、そのプレートを公称振動数N0又はその整数倍、特に、奇数倍、で共振させる手段を有する。
【0099】
本発明は、さらに、公称振動数N0又はその整数倍、特に、奇数倍、と等しい又はほぼ等しい振動数に対して基準に対するマスターレート偏差量AMがあるような励起振動数NEで振動を発生させるように構成しているマスター発振器を用いて、携帯型時計のレートを調整する、サーボシステムを使用する方法に関する。特に、上に定められているように、この基準は絶対的基準であり、レート偏差は、1日当たり1秒未満であり、好ましくは、1日当たり0.1秒未満である。この携帯型時計は、公称振動数N0に対して任意の初期のレート偏差量DIがあるような振動数で振動を発生させるように構成している少なくとも1つの基本発振器を有する。このレート調整は、マスター値AM以下のレート偏差量にて携帯型時計発振器のレート偏差を安定させるために十分な持続時間の間、携帯型時計全体をマスター発振器が発生させる励起振動及び/又はマスター発振器が発生させる変調運動に従わせることによって行われる。
【0100】
本発明は、さらに、公称振動数N0又はその整数倍、特に、奇数倍、と等しい又はほぼ等しい振動数に対して基準に対するマスターレート偏差量AMがあるような励起振動数NEで振動を発生させるように構成しているマスター発振器と、及び訂正振動数NCで訂正振動を発生させるように構成しているディスプレー状態訂正発振器とを用いて、携帯型時計のディスプレー状態を訂正する、ディスプレー状態訂正デバイスを使用する方法に関する。特に、この基準は、上に定められているような絶対的基準である。この携帯型時計は、前記公称振動数N0に対して任意の初期のレート偏差量DIがあるような振動数で振動を発生させるように構成している少なくとも1つの基本発振器を有する。このディスプレー状態訂正は、必要な携帯型時計又はムーブメントのディスプレー状態訂正を行うために十分な持続時間の間、携帯型時計全体をディスプレー状態訂正発振器が発生させる訂正振動及び/又はディスプレー状態訂正発振器が発生させる変調運動に従わせることによって行われる。
【0101】
本発明は、さらに、携帯型時計のレートを調整しディスプレー状態を訂正するデバイスを使用する方法に関する。このレート調整及びディスプレー状態訂正デバイスは、公称振動数N0又はその整数倍、特に、奇数倍、と等しい又はほぼ等しい振動数に対して基準に対するマスターレート偏差量AMがあるような励起振動数NEで励起振動を発生させるように構成している、携帯型時計のレートを調整するマスター発振器を有する。特に、上に定められているように、この基準は絶対的基準であり、レート偏差は、1日当たり1秒未満であり、好ましくは、1日当たり0.1秒未満である。この携帯型時計は、公称振動数N0に対して任意の初期のレート偏差量DIがあるような振動数で振動を発生させるように構成している少なくとも1つの基本発振器を有する。このレート調整は、マスター値AM以下のレート偏差量にて携帯型時計発振器のレート偏差を安定させるために十分な持続時間の間、携帯型時計全体をマスター発振器が発生させる励起振動及び/又はマスター発振器が発生させる変調運動に従わせることによって行われる。レート調整及びディスプレー状態訂正デバイスは、携帯型時計のディスプレー状態の必要な訂正を行うために十分な持続時間の間、携帯型時計全体をディスプレー状態訂正発振器が発生させる訂正振動及び/又はディスプレー状態訂正発振器が発生させる変調運動に従わせることによって、携帯型時計のディスプレー状態を訂正するために訂正振動数NCで振動を発生させるように構成しているディスプレー状態訂正発振器を有する。
【0102】
本発明は、さらに、携帯型時計又はムーブメントを受ける少なくとも1つの支持体を用いて、少なくとも1つの携帯型時計全体をマスター発振器が発生させる励起振動に従わせる、機械式ないし自動式携帯型時計のための自動ワインダーを使用する方法に関する。このマスター発振器は、携帯型時計のレートを調整するために、公称振動数N0又はその整数倍、特に、奇数倍、と等しい又はほぼ等しい振動数に対して基準に対するマスターレート偏差量AMがあるような励起振動数で励起振動を発生させるように構成している。特に、上に定められているように、この基準は絶対的基準であり、レート偏差は、携帯型時計のレートを調整するために、1日当たり1秒未満であり、好ましくは、1日当たり0.1秒未満である。この携帯型時計は、前記公称振動数N0に対して任意の初期のレート偏差量DIがあるような振動数で振動を発生させるように構成している少なくとも1つの基本発振器を有する。
【0103】
この自動ワインダーは、携帯型時計全体をマスター発振器及び/又は駆動手段が発生させる励起振動に従わせるように構成している励起手段を有する。この駆動手段は、携帯型時計全体をマスター発振器が発生させる変調運動に従わせるように構成している。このレート調整は、マスター値AM以下のレート偏差量にて携帯型時計発振器のレート偏差を安定させるために十分な持続時間の間、携帯型時計全体をマスター発振器が発生させる励起振動及び/又はマスター発振器が発生させる変調運動に従わせることによって行われる。レート調整及びディスプレー状態訂正デバイスは、携帯型時計のディスプレー状態の必要な訂正を行うために十分な持続時間の間、携帯型時計全体をディスプレー状態訂正発振器が発生させる訂正振動及び/又はディスプレー状態訂正発振器が発生させる変調運動に従わせることによって、携帯型時計のディスプレー状態を訂正するために訂正振動数NCで振動を発生させるように構成しているディスプレー状態訂正発振器を有する。
【0104】
なお、レート調整及びディスプレー状態の訂正が同時に行われないことがわかるであろう。しかし、これらの両方を、短くなった時限、例えば、一晩で、あるいはユーザーが自身の携帯型時計を必要としない時間の間、順次的に行うことができる。
【0105】
本発明には、以下のようないくつかの著しい利点がある。
− 本発明の実装は、機械式であり、同軸であり、又はスイス式レバーエスケープを有するような発振器を備えた少なくとも1つの共振器を有するすべての機械式携帯型時計と相性が良い。
− 本発明の実装には、携帯型時計内へのいずれの介入をも必要とせず、特に、ケースを開くことを必要としない。
− 携帯型時計又はムーブメントは、その支持体上にて任意の角位置にあることができる。
− 自動ワインダーを有するサーボ又はディスプレー状態訂正デバイスの実装の場合には、機械式ないし自動式携帯型時計が巻いてある状態を維持することができ、また、時間が完璧にセットされていることができる。
− 特定の時間にわたって逆のレート偏差を与えることによって、状態のエラーを訂正することができる。
− また、遅く動き1日当たり数秒の遅くなるレートを有する携帯型時計を訂正することもできる。
− ゼロのレート偏差のサーボ制御の原理は、必ずしもフィードバックを必要とせず、状態の訂正には、ディスプレーメンバー又は針の状態についての知識が必要となる。これは、特に、ビジョン手段によって得る。
− ユーザーは、自由に、かつ、可逆的な形態で、そのユーザーの携帯型時計を速くするか遅くするかを決めることができる。
【0106】
もちろん、本発明は、携帯型時計を開かずケースからムーブメントを分離せずにレート調整及び状態訂正をするように設計されているが、アプリオリにムーブメントにも適用することができる。
【0107】
特定の変種において、明らかに通常の電子携帯型時計のレート偏差よりも相当に低いレート偏差を有するマスター発振器を備える電子携帯型時計のレートの調整に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0108】
1 基本発振器
2 携帯型時計
3 支持体
4 ドライバー
5 振動数変換器
6 基準発振器
10 携帯型時計の状態を測定する手段
11 認識手段
12 状態の差を計算するセル
13 状態基準
14 振動数及び訂正持続時間を計算するセル
15 レートサーボ制御デバイス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7