(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-201199(P2018-201199A)
(43)【公開日】2018年12月20日
(54)【発明の名称】低姿勢三軸アンテナ
(51)【国際特許分類】
H01Q 7/08 20060101AFI20181122BHJP
G01R 29/08 20060101ALI20181122BHJP
【FI】
H01Q7/08
G01R29/08 F
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-96119(P2018-96119)
(22)【出願日】2018年5月18日
(31)【優先権主張番号】17382285.9
(32)【優先日】2017年5月18日
(33)【優先権主張国】EP
(71)【出願人】
【識別番号】516044978
【氏名又は名称】プレモ・エセ・ア
【氏名又は名称原語表記】PREMO,S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】マリナ・アルコス
(72)【発明者】
【氏名】ミゲル・アンヘル・アリサ・バケーロ
(72)【発明者】
【氏名】ホルヘ・ロドリゲス
(72)【発明者】
【氏名】アントニオ・ロハス・クエバス
(72)【発明者】
【氏名】フランシスコ・エセキエル・ナバロ・ペレス
(72)【発明者】
【氏名】クラウディオ・カニェテ・カベサ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】小さい装置に組み込まれることを可能にする低姿勢構造の三軸アンテナを提供する。
【解決手段】低姿勢三軸アンテナは、前端13で終わっている4本のアームを備えた十字磁気コア11を含み、X軸巻線DXが2本のアームの周囲に巻き付けられ、Y軸巻線DYが2本のアームの周囲に巻き付けられ、Z軸巻線DZがZ軸の周囲に巻き付けられ、Z軸巻線が電磁コアを取り囲み、少なくとも部分的に前端に面している。2本の隣接するアームとその前端間を走るZ軸巻線の一部分との間に画定される四分円空間の中に、4つの電磁コア部分12がそれぞれ少なくとも部分的に配置される。これら十字電磁コアおよび4つの電磁コア部分を組み立てて複合電磁コア10を構成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心から突出してX軸と一直線に並んだ2本のX軸アームおよび前記中心から突出してY軸と一直線に並んだ2本のY軸アームを備え、X軸およびY軸が互いに垂直であり、中心から最も遠く離れているX軸アームおよびY軸アームの面が前端(13)である、十字電磁コア(11)と;
2本のX軸アームの周囲に巻き付けられた導電性線のX軸巻線(DX)と;
2本のY軸アームの周囲に巻き付けられた導電性線のY軸巻線(DY)と;
X軸およびY軸に対して直角なZ軸の周囲に巻き付けられた導電性線のZ軸巻線(DZ)であって、電磁コアを取り囲んで少なくとも部分的に前記前端(13)に面している前記Z軸巻線(DZ)と;
を含む低姿勢三軸アンテナであって、
X軸アーム、隣接するY軸アームおよびその前端(13)間を走るZ軸巻線(DZ)の一部分との間に画定される四分円空間の中に、4つの電磁コア部分(12)がそれぞれ少なくとも部分的に配置され、十字電磁コア(11)および4つの電磁コア部分(12)を組み立てることによって複合電磁コア(10)が作り出されることを特徴とする低姿勢三軸アンテナ。
【請求項2】
4つの電磁コア部分(12)がZ軸の方向において十字電磁コア(11)の下方に配置される、請求項1記載のアンテナ。
【請求項3】
4つの電磁コア部分(12)それぞれのZ軸に対して垂直な上面が十字電磁コア(11)のZ軸に対して垂直な下面と同一平面にある、請求項2記載のアンテナ。
【請求項4】
4つの電磁コア部分(12)のZ軸と平行な方向の高さが、十字電磁コア(11)のZ軸と平行な方向の高さよりも小さいか、あるいは少なくとも50%小さい、請求項1、2または3記載のアンテナ。
【請求項5】
十字電磁コア(11)の幾何学的中心がZ軸巻線(DZ)の幾何学的中心と一致する、請求項1〜4のいずれか1項記載のアンテナ。
【請求項6】
十字電磁コア(11)が、互いに平行で高分子材料でできている物体によって互いに分離されている強磁性要素であって、強磁性コアの中に平行な磁気トラックを画定する柔軟性のある連続した強磁性要素を含む硬化高分子材料ででできている物体である、請求項1〜5のいずれか1項記載のアンテナ。
【請求項7】
十字電磁コア(11)が、マイクロファイバー、微粒子もしくはナノ粒子の強磁性材料または純Fe、Fe3+、Feカルボニル、Niカルボニル、Mn Znフェライト、Mn Niフェライト、Molypermalloy粉末、Fe Ni、Mo−Fe Ni、Co−SiまたはFe−Ni Znから選択した、Ni含有量が30〜80重量%でMo、CoまたはSiから選ばれた追加成分が10重量%よりも少ない、強磁性材料の形の強磁性要素を含む硬化高分子材料でできている物体である、請求項1〜5のいずれか1項記載のアンテナ。
【請求項8】
電気絶縁支持部(20)が複合電磁コア(10)を少なくとも部分的に取り囲み、
前記電気絶縁支持部(20)がZ軸巻線(DZ)の少なくとも一部が巻き付けられている巻線トラック(21)を含み、
Z軸巻線(DZ)に対して十字電磁コア(11)の位置を決めるために電磁コア支持部(22)が備えられている、請求項1〜7のいずれか1項記載のアンテナ。
【請求項9】
電気絶縁支持部(20)によって画定された巻線トラック(21)が十字電磁コア(11)の周辺部全体に沿って連続しているか、あるいは十字電磁コア(11)の周辺部全体に沿って連続していてさらに円形、楕円形、正方形、長方形または八角形から選択された形状を有する、請求項8記載のアンテナ。
【請求項10】
それぞれがZ軸に対して垂直なベース(24)によって、巻線トラック(23)の背部(25)の弧によっておよび前記ベース(24)の突出壁(26)によって画定される4つの四分円空間のそれぞれの中に1つずつある4つの容器(23)を電気絶縁支持部(20)がさらに含み、
容器(23)の内部には前記ベース(24)に面している開放面からアクセス可能である、請求項8または9記載のアンテナ。
【請求項11】
電磁コア部分(12)が、前述の容器(23)の内部に据えられた磁性セメントまたは前述の容器(23)の中に注入されたPBMもしくはPBSM材料または前記容器(23)の中にあるフェライト部である、請求項10記載のアンテナ。
【請求項12】
突出壁(26)が電磁コア部分(12)の高さよりも大きい高さを有し、十字電磁コア(11)のための筺体を画定している、請求項10または11記載のアンテナ。
【請求項13】
電気絶縁支持部(20)が、支持部にねじで留めるためのZ軸と平行な方向の貫通穴を備えたタブ(27)をその周辺部に有する、請求項8〜12のいずれか1項記載のアンテナ。
【請求項14】
電気絶縁支持部(20)が、X軸巻線(DX)、Y軸巻線(DY)およびZ軸巻線(DZ)を形成する導電性線の端部の接続を一体化する電気コネクタ(28)を含む、請求項8〜13のいずれか1項記載のアンテナ。
【請求項15】
非導電性材料でできているオーバーモールド(30)にアンテナが覆われている、請求項1〜14のいずれか1項記載のアンテナ。
【請求項16】
電気絶縁支持部(20)が、電気絶縁支持部(20)を巻取回転装置に連結するためのZ軸と同心の接続構造(29)をさらに含む、請求項8〜15のいずれか1項記載のアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、低姿勢三軸アンテナに関し、前記アンテナは、十字磁気コアを含み、その周囲には2本の導線の巻線が巻き付けられ、導線が前記電気絶縁コアに巻き付けられた状態で第三の巻線が前記磁気コアを囲み、その3本の巻線が互いに直角に低い高さで低姿勢構造に配置され、より小さい装置に組み込まれることを可能にする。
【0002】
前記三軸アンテナは、Z軸感度を最適化するように設計されている。
【0003】
そのアンテナは、他にも用途がある中でもとりわけ仮想現実環境でのおよび自動車部門のための位置決めおよびトラッキング機能のために構想されている。本発明は、0.5Hz〜数MHzの周波数に適用可能ではあるが、低周波数で最適に動作する磁性材料が現在入手しやすいため、一般的に本発明は、将来的にはより高い動作周波数で適用される可能性があるものの、0.5Hz〜300KHzの範囲内で機能する装置に無制限に適用される。
【0004】
解決すべき技術的問題は、体積および重量を最小限に抑え、大量生産のための工業用組み立てソリューションを提供し、単位体積当たり最も大きな磁場を保護および生成することである。
【0005】
現在の技術水準
その4本のアームの周囲に巻き付けられたX軸巻線およびY軸巻線だけでなく十字電磁コアの周囲に巻き付けられたZ軸巻線も含む、十字電磁コアを含む、低姿勢三軸アンテナが特許文献US7616166によって公知であり、前記巻線は、X軸、Y軸およびZ軸の周囲に互いに直角に巻かれている。
【0006】
特許文献US20080036672も、このタイプのアンテナについて記述している。
【0007】
このタイプのアンテナは、低姿勢構造だけでなく空間の3つの軸での放出および/または受信能力も与えるが、X軸およびY軸巻線の能力を増大させるためには、十字電磁コアの4本の交差しているアームの長さを増大させなければならず、同時にそれは、Z軸巻線が前記十字電磁コアの中心部から離れることになるため、そして十字電磁コアの4つの四分円に対応する空の空間のサイズが増大するため、Z軸巻線の放出および/または受信能力が減少するので問題を起こし、前記空の四分円は、Z軸巻線のより大きい部分に隣接して配置される。
【0008】
その結果、前記特許文献に記述されているアンテナを形成する要素を最適に提供するには、増大した放出および/または受信能力を得るためにアンテナの全ての寸法の大きさを一定の基準で決める必要があり、前記能力の減少を引き起こさないために厚さを減少させることが不可能になる。
【0009】
発明の簡単な説明
本発明は、低姿勢三軸アンテナに関する。
【0010】
三軸アンテナは、空間のX軸、Y軸およびZ軸の3つのうちいずれかで電磁信号の放出および受信の両方を行う能力を備えたアンテナであり、そのため前記空間でのアンテナの位置にかかわらず正確な放出および/または受信が可能である。
【0011】
先に述べた特許文献によって現在の技術水準でそれ自体が公知であるように、提案されたアンテナは、下記を含む:
・ 中心から突出してX軸と一直線に並んだ2本のX軸アームおよび前記中心から突出してY軸と一直線に並んだ2本のY軸アームを備え、X軸およびY軸が互いに垂直であり、中心から最も遠く離れているX軸アームおよびY軸アームの面が前端である、十字電磁コア;
・ 2本のX軸アームの周囲に巻き付けられた導電性線のX軸巻線;
・ 2本のY軸アームの周囲に巻き付けられた導電性線のY軸巻線;
・ X軸およびY軸に対して直角なZ軸の周囲に巻き付けられた導電性線のZ軸巻線であって、十字電磁コアを取り囲んで少なくとも部分的に前記前端に面している前記Z軸巻線。
【0012】
例として強磁性材料で完全にまたは部分的に構成されている十字電磁コアは、間が90°の角度で離れていて2本ずつが一直線に並んだ4本のアームを有する対称な十字の形状を有する。
【0013】
X軸巻線は、好ましくは同一の連続した導電性線によって、十字電磁コアの2本の向かい合ったアームの周囲に巻き付けられる。同様にY軸巻線も、好ましくは同一の連続した導電性線によって、十字電磁コアの他の2本のアームの周囲に巻き付けられる。
【0014】
十字電磁コアのアーム間が90°の角度で離れていることで、X軸巻線とY軸巻線との間の干渉が確実に最小限になる。
【0015】
最後に、Z軸巻線が前記4本のアームによって画定されるX軸およびY軸に対して直角なZ軸の周囲に巻き付けられて、十字電磁コアの周辺部の周囲を取り囲み、前記Z軸巻線の一部が4本のアームの前端に面している。
【0016】
前述のX軸、Y軸およびZ軸巻線を電流が流れると電磁場ベクトルが各巻線のX軸、Y軸およびZ軸と同軸の電磁場が生成され、電磁場が前記X軸、Y軸およびZ軸巻線を流れると電流が前記巻線を通って生成される。
【0017】
本発明は、今日まで知られていないやり方で、X軸アームと、隣接するY軸アームと、その前端間を走るZ軸巻線(DZ)の一部分との間に画定される四分円空間にそれぞれが少なくとも部分的に位置する4つの電磁コア部分を備えることをさらに提案する。
【0018】
そのため、前記四分円空間のそれぞれは、Z軸巻線で取り囲まれているが十字電磁コアのない、十字電磁コアの隣接するアーム間に存在する空間の中に位置するエリアである。前記四分円空間の中には、同じく十字電磁コアがなく、十字電磁コアの2本の隣接するアームの間に厳密に閉じ込められた空間のZ軸の方向において上方および下方に位置する隣接エリアもあるものと理解される。
【0019】
十字電磁コアおよび4つの電磁コア部分を組み立てることによって、Z軸巻線と共同して働いてその放出および/または受信能力を増大させる複合電磁コアが作り出される。
【0020】
前記複合電磁コアは、X軸およびY軸巻線の能力を向上させるために十字電磁コアの寸法を最適化することを可能にし、その一方で、Z軸巻線の能力を向上させるためには、4つの四分円空間の中に位置する前記4つの電磁コア部分によって感度を最大で30%増大させ、Z軸巻線が前記複合電磁コアに対応する電磁ディスクの影響を受けるようにする。
【0021】
その結果、低姿勢アンテナ(すなわち、Z軸方向の高さが低いアンテナ)をその能力を減少させずに得ることができ、そのため公知のアンテナよりも必要な材料が少なく、したがって費用対効果がより高い。
【0022】
提案された発明の1つの態様によると、4つの電磁コア部分は、Z軸の方向において十字電磁コアの下方に配置される。これは、十字電磁コアが電磁コア部分の上方に突出して段を形成する、ということを意味する。これは、電磁コア部分の前記垂直の動きの結果として、電磁コア部分の干渉または遮蔽のためX軸およびY軸巻線の能力が減少するのを防ぐ。
【0023】
4つの電磁コア部分それぞれのZ軸に対して垂直な上面が十字電磁コアのZ軸に対して垂直な下面と同一平面にあるようにして、十字電磁コア全体が磁気コア部分の上方に配置されるようにすることも提案されている。
【0024】
もう一つの態様によると、4つの電磁コア部分のZ軸と平行な方向の高さは、十字電磁コアのZ軸と平行な方向の高さよりも小さいか、あるいは少なくとも50%小さい。これは、十字電磁コアの厚さが電磁コア部分の厚さよりも大きく、好ましくは、十字電磁コアの厚さが電磁コア部分の厚さの少なくとも2倍である、ということを意味する。厚さは、Z軸と平行な方向に測定した寸法の大きさのことを指すものと理解される。
【0025】
好ましくは、十字電磁コアの幾何学的中心をZ軸巻線の幾何学的中心と一致させて、アンテナの精密さを増大させてそのゲインおよびパフォーマンスを向上させる。
【0026】
Z軸巻線の厚さが十字電磁コアのZ軸の方向の厚さよりも大きい時には、前記十字電磁コアは、前述のZ軸巻線に対して中間の高さで中心を合わせる。
【0027】
十字電磁コアが、互いに平行で高分子材料でできている物体によって互いに分離された強磁性要素であって、前記強磁性コアの中に平行な磁気トラックを画定する、柔軟性のある連続した強磁性要素を含む硬化高分子材料ででできている物体であることも提案されている。
【0028】
あるいは、十字電磁コアがマイクロファイバー、微粒子もしくはナノ粒子の強磁性材料または純Fe、Fe3+、Feカルボニル、Niカルボニル、Mn Znフェライト、Mn Niフェライト、Molypermalloy粉末、Fe Ni、Mo−Fe Ni、Co−SiまたはFe−Ni Znから選択した、Ni含有量が30〜80重量%でMo、CoまたはSiから選ばれた追加成分が10重量%よりも少ない強磁性材料の形の強磁性要素を含む硬化高分子材料でできている物体である。
【0029】
電磁コア部分にも適用可能な十字電磁コアのこれらの組成物は、同じ出願人の先の他の特許および出願で説明されているように、アンテナのゲインを向上させる。
【0030】
また、前記電磁コア部分は、フェライトでできていてもよい。
【0031】
もう一つの好ましい態様によると、電気絶縁支持部が複合電磁コアを少なくとも部分的に取り囲み、前記電気絶縁支持部がZ軸巻線の少なくとも一部が巻き付けられている巻線トラックを含み、Z軸巻線に対して前記十字電磁コアの位置を決めるために電磁コア支持部が備えられている。
【0032】
そのため、前述の電気絶縁支持部は、前述の巻線トラック上でのZ軸巻線の正確な位置決めを可能にするリールとしての役目を果たし、製造工程を容易にし、アンテナ組立品に対する十字電磁コアの正確な位置決めを可能にする電磁コア支持部をさらに提供する。
【0033】
好ましくは、前述の電磁コア支持部は、Z軸巻線に対して中間の高さで中心を合わせて十字電磁コアを保持するためのサイズに作られた支持フランジを含む。
【0034】
好ましくは、電気絶縁支持部によって画定された巻線トラックは、十字電磁コアの周辺部全体に沿って連続していて、十字電磁コアの周囲のその形状は、例として、円形、楕円形、正方形、長方形または八角形から選択することができる。
【0035】
それぞれがZ軸に対して垂直なベースによって、巻線トラックの背部の弧によっておよび前記ベースの突出壁によって画定される4つの四分円空間のそれぞれの中に1つずつある4つの容器を電気絶縁支持部がさらに含み、容器の内部には、前記ベースに面している開放面からアクセス可能であり、巻線トラックの背部は、Z軸巻線を支持する面と向かい合った面である、ということも考えられる。
【0036】
電磁コア部分が前述の容器の内部に据えられた磁性セメントまたは前述の容器の中に注入されたPBMもしくはPBSM材料または前記容器の中にあるフェライト部であることが考えられる。このフィーチャは、アンテナの製造を容易にし、費用を下げ、一方でそれと同時にその構成部品の完璧な位置決めを確実にする。
【0037】
容器の突出壁は、電磁コア部分の高さよりも大きい高さを有してもよく、十字電磁コアのための筺体を画定してもよい。
【0038】
前記突出壁は、十字電磁コアを閉じ込め、組み立て中に所定位置にそれを保持することさえできる。
【0039】
もう一つの態様によると、電気絶縁支持部は、支持部にねじで留めるためのZ軸と平行な方向の貫通穴を備えたタブをその周辺部に沿って有する。これは、アンテナが送信アンテナであり、例として直径が80mmと等しいまたはそれよりも大きいといった特定の寸法を超える時に特に有効である。
【0040】
周辺エリア内のその壁に形成された、X軸巻線、Y軸巻線およびZ軸巻線を形成する導電性線の端部の接続を一体化する電気コネクタを電気絶縁支持部が含み、外部との接続を容易にする、ということも考えられる。そのため、前記巻線を形成する少なくとも6本の導線は、電気絶縁支持部に組み込まれたコネクタによってシンプルに素早く接続することができる。
【0041】
アンテナを非導電性材料でオーバーモールドする、すなわち、その後の操作を防いでその部品を外部からの攻撃から守る材料と一体化させた後でアンテナを覆う、ということも考えられる。前記材料は、好ましくはプラスチックである。
【0042】
また、前記電気絶縁支持部を巻取回転装置に連結するためのZ軸と同心の接続構造を電気絶縁支持部が含むことが提案されている。換言すると、Z軸と同心の前記接続構造によって、巻取回転装置を電気絶縁支持部に連結することができ、Z軸の周りの回転が可能になり、それによってZ軸巻線を巻線トラックの周囲に巻き付けることが容易になる。Z軸と同心の前記接続構造は、例として、Z軸と同心の穴であってもよい。
【0043】
例えば、例として、平行、垂直、接している、などの幾何学的位置に関する言及は、前記専門語によって定義された理論上の位置に対して最大で±5°のずれが許されるものと理解される。
【0044】
また、任意の与えられた値の範囲の限界値は、最適ではないことがあり、前記限界値が適用可能であるように発明を適応させる必要があることがあり、前記適応は、当業者が到達可能な範囲内であるものと理解される。
【0045】
本発明の他のフィーチャは、下記の態様の詳細な説明で見られる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
上記および他の効果およびフィーチャは、例示的に無制限に解釈されなければならない添付図を参照しながら下記の態様の詳細な説明に基づいてより明確に理解され、その中で:
【
図1】
図1は、円形の巻線トラック付きの電気絶縁支持部を備え、保護オーバーモールドに加えて電気コネクタおよび支持部に固定するためのタブを一体化した、第1の態様による提案されたアンテナの分解組立図に対応する;
【
図2】
図2は、同じく円形の巻線トラック付きの電気絶縁支持部を備えるが、電気絶縁支持部の外側に電気コネクタを備え、電気絶縁支持部には固定タブおよび保護オーバーモールドがない、
図1に示すものと非常に類似したもう一つの態様によって組み立てられた提案されたアンテナの斜視図に対応する;
【
図4】
図4は、八角形の巻線トラック付きの代替の変形態様の平面図である;
【
図5】
図5は、楕円形の巻線トラック付きのもう一つの代替の変形態様の平面図であり、十字電磁コアは、2本のアームが他の2本よりも長く、X軸巻線がY軸巻線よりも長い;
【
図6】
図6は、十字電磁コアのアームのうち1本と隣接する2つの電磁コア部分とを区分する平面に沿った、提案されたアンテナの横断面である;
【
図7】
図7は、電気絶縁支持部のないアンテナの変形態様の平面図であり、Z軸巻線が十字電磁コアのアームの前端で直接支持されている。
【発明を実施するための形態】
【0047】
態様の詳細な説明
添付図は、本発明の例示的で無制限な態様を示す。
【0048】
図1は、提案されたアンテナの好ましい態様の分解組立図を示す。前記態様によると、そしてまた
図2および3に示す態様によると、アンテナは、互いに直角な座標のX軸およびY軸に対して直角な座標のZ軸と同心の円形の巻線トラック21を有するリールの形の電気絶縁支持部20からなる。
【0049】
同じくZ軸と同心の円形の形状を有するZ軸巻線DZは、前記巻線トラック21に巻き付けられている。
【0050】
図4は、巻線トラックが八角形である代替を示し、
図5は、前記トラックが楕円形である代替を示す。
【0051】
巻線トラック21は、それぞれフランジが付いたその2つのへりで区切られており、それによってZ軸巻線DZを閉じ込め、偶発的な動きを防ぎ、製造中の正確で精密な位置決めを容易にすることが可能になる。
【0052】
本態様の電気絶縁支持部20は、前記Z軸に対して垂直なベースをさらに含み、その中心には、Z軸巻線DZを巻き付ける動作中に制御された速度で電気絶縁支持部20が自動的に回転することを可能にする巻取回転装置(図示せず)が接続される接続構造29としてのZ軸と同心の穴が構想されている。
【0053】
電気絶縁支持部20の巻線トラック21の背部25に取り囲まれた空間には、Z軸と平行な方向に突出している8つの突出壁26が含まれ、それらのうち4つは、X軸と平行な方向に沿って伸びて2つずつが互いに面しており、他の4つは、Y軸と平行な方向に沿って伸びて同じく2つずつが互いに面している。8つの突出壁26のそれぞれは、一端が巻線トラック21の背部25に、他端が他の垂直な突出壁26のうちの別の1つにつながれて、角を形成している。
【0054】
前記構造は、4つの容器23を画定し、そのそれぞれは、互いに接続された2つの垂直な突出壁26、前記2つの突出壁26をつなぐ巻線トラック21の背部25の一部分および電気絶縁支持部20のベースの一部であるベース24によって画定されている。
【0055】
前記容器23のそれぞれは、電磁コア部分12を格納するために構想されている。各容器23は、
図1、2および3に示す態様による円筒形の領域の形状を有し、十字の十字電磁コア11を格納するのに好適な十字の障害物のない空間が4つの容器23の間に配置されている。
【0056】
本態様のベースであり容器23の底に存在するベース24よりも大きい厚さを有する電磁コア支持部22は、前述の十字の障害物のない空間内に位置し、それによって、前記空間に格納された十字電磁コア11が容器23に格納された電磁コア部分12の上に確実に配置される。
【0057】
好ましくは、4つの容器23は、流体の磁性セメントをそれらの中に流し込んで、その後、前述の容器23の内部にそれを据えることによって、あるいは、後で固まるPBMまたはPBSM材料を前記容器23の中に注入することによって、電磁コア部分12を製造するための型として使用されるが、電磁コア部分12が単に容器23の内部に格納されたフェライト部であることも考えられる。
【0058】
次に、十字電磁コア11は、2本がX軸の方向に、2本がY軸の方向にコアから半径方向に伸びる4本のアームからなり、各アームは、前端13で終わっている。
【0059】
導電性線のX軸巻線DXは、X軸の方向に伸びるアームの周囲を包み、Y軸巻線DYは、Y軸の方向に伸びるアームの周囲を包んでいる。
【0060】
十字電磁コア11は、電気絶縁支持部20の中に挿入され、電磁コア支持部22で支持され、突出壁26の間に閉じ込められ、前記十字電磁コア11は、Z軸巻線に対して中心を合わせられ、筺体23内に配置された電磁コア部分12の上面の上に位置する。
【0061】
好ましくは、Z軸と平行な方向の電磁コア部分12の厚さは、Z軸の方向の十字電磁コア11の厚さの半分または半分よりも小さい。
【0062】
前記十字電磁コア11および電磁コア部分12は、単一の複合電磁コア10として一体となって働き、Z軸巻線DZの効率を大きく向上させる。
【0063】
X軸巻線DX、Y軸巻線DYおよびZ軸巻線DZを形成する導電性線の端部は、導電性線の端部の前記接続を一体化する電気コネクタ28まで導かれ、アンテナの外側の回路への接続を容易にする。
【0064】
場合により、そして、アンテナが所与の直径よりも大きい、例として例えば80mmよりも大きい、送信アンテナである場合には、電気絶縁支持部は、支持部にねじで留めるためのZ軸と平行な方向の貫通穴を備えたタブ27も含んでいてもよい。
【0065】
オーバーモールド30として電気絶縁材料、例として例えばプラスチック、でアンテナ組立品を覆い、アンテナの部品を保護し、それらの位置が動かないようにするということも考えられる。
【0066】
例えば、巻線トラック21が例として八角形または四角形の外形を有し、容器23が円筒形の領域ではなくむしろ例として立方体または面取りした立方体の形状を有するようにする、というバージョンなど、他の代替態様も考えられる。
図5は、十字電磁コア11の2本のアームがさらに他の2本のアームよりも長い、楕円形の巻線トラック23付きの代替を示す。この構造は、Y軸巻線の放出および/または受信能力とは異なる、X軸巻線の増大した放出および/または受信能力を得ることを可能にし、それは、特定の用途では有効である可能性がある。
【0067】
あるいは、例として、
図7に示すように、十字電磁コア11の前端13にZ軸巻線DZを直接巻き付けることによって、電気絶縁支持部20の非存在で提案されたアンテナを作ることができる、ということが構想される。その後のオーバーモールドは、複合電磁コア10に組み込まれた要素をそれぞれの位置に保つのに役立つであろう。
【0068】
たとえ組み合わせが明示的に記述されていなくても、その組み合わせに欠点がないのであれば、1つの態様に記述されている本発明を形成する異なる部品を他の異なる態様に記述されている部品と自由に組み合わせることができるものと理解される。
【外国語明細書】