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特開2018-20122ゴルフボールディンプル平面形状およびその創成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-20122(P2018-20122A)
(43)【公開日】2018年2月8日
(54)【発明の名称】ゴルフボールディンプル平面形状およびその創成方法
(51)【国際特許分類】
   A63B 37/00 20060101AFI20180112BHJP
【FI】
   A63B37/00 118
   A63B37/00 114
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-150385(P2017-150385)
(22)【出願日】2017年8月3日
(31)【優先権主張番号】15/228,502
(32)【優先日】2016年8月4日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】390023593
【氏名又は名称】アクシュネット カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ACUSHNET COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100123630
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス エム ナルダッチ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル アール マドソン
(72)【発明者】
【氏名】クリス ヒクセンボー
(57)【要約】
【課題】向上した実装効率および向上した空力特性ならびに高いディンプル相互嵌合度を有するゴルフボールを提供する。
【解決手段】本発明は、ディンプルの少なくとも一部分が高振幅を有する低振動数周期関数によって定められた平面形状(15)を有するゴルフボールに関する。本発明はまた、ディンプル平面形状についての幾何学的形状を開発する方法ならびに本発明のディンプルパターンが施された完成品としてゴルフボールを製造する方法に関する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフボールディンプルであって、次の方程式、すなわち、
Q(x) = Fpath(l, scl, x) * Fperiodic(s, a, p, x)
に従って単純な閉じ経路に沿って低振動数周期関数によって定められた周囲を有し、上式において、Fpathは、頂点xに沿って定められていてスケール係数sclが含まれた長さlの経路関数であり、Fperiodicは、頂点xのところで定められたシャープネス係数s、振幅a、および周期pを含む周期関数であり、
前記周期pは、約15以下であり、前記周囲は、前記単純な閉じ経路からの前記周囲上の任意の点の最大絶対距離が約0.015インチ(0.381mm)〜約0.050インチ(1.270mm)であるような振幅Aを有する、ゴルフボールディンプル。
【請求項2】
前記周期pは、約12以下である、請求項1記載のゴルフボール。
【請求項3】
前記周期関数は、正弦関数、余弦関数、のこぎり波関数、三角波関数、方形波関数、または任意の関数から選択される、請求項1記載のゴルフボール。
【請求項4】
前記経路関数は、2本の直交した軸線に関して対称である任意の単純な閉じ経路である、請求項1記載のゴルフボールディンプル。
【請求項5】
前記経路関数は、円、楕円、又は正方形から選択される、請求項4記載のゴルフボールディンプル。
【請求項6】
前記ゴルフボールディンプルは、約0.05〜0.50の相互嵌合度を有する、請求項1記載のゴルフボールディンプル。
【請求項7】
前記周囲は、前記単純な閉じ経路からの前記周囲上の任意の点の最大絶対距離が約0.025インチ(0.635mm)〜約0.050インチ(1.270mm)であるような振幅Aを有する、請求項1記載のゴルフボールディンプル。
【請求項8】
実質的に球形の表面を有するゴルフボールであって、
前記ゴルフボールは、前記表面上に設けられた複数のディンプルを有し、前記複数のディンプルのうちの少なくとも一部分は、次の方程式、すなわち、
Q(x) = Fpath(l, scl, x) * Fperiodic(s, a, p, x)
に従って単純な閉じ経路に沿って低振動数周期関数によって定められた平面形状を有し、上式において、Fpathは、頂点xに沿って定められていてスケール係数sclが含まれた長さlの経路関数であり、Fperiodicは、頂点xのところで定められたシャープネス係数s、振幅a、および周期pを含む周期関数であり、
前記周期pは、約15以下であり、前記平面形状は、前記単純な閉じ経路からの前記平面形状上の任意の点の最大絶対距離が約0.015インチ(0.381mm)〜約0.050インチ(1.270mm)であるような振幅Aを有し、前記複数のディンプルの前記少なくとも一部分は、約0.05〜0.50の相互嵌合度を有する、ゴルフボール。
【請求項9】
前記複数のディンプルの前記一部分は、約0.10〜0.30の相互嵌合度を有する、請求項8記載のゴルフボール。
【請求項10】
前記平面形状は、前記単純な閉じ経路からの前記平面形状上の任意の点の最大絶対距離が約0.025インチ(0.635mm)〜約0.050インチ(1.270mm)であるような振幅Aを有する、請求項8記載のゴルフボールディンプル。
【請求項11】
前記周期pは、約12以下である、請求項8記載のゴルフボール。
【請求項12】
前記周期関数は、正弦関数、余弦関数、のこぎり波関数、三角波関数、方形波関数、または任意の関数から選択される、請求項8記載のゴルフボール。
【請求項13】
前記複数のディンプルのうちの前記少なくとも一部分は、前記ゴルフボール上の前記ディンプルの約50パーセント以上から成る、請求項8記載のゴルフボール。
【請求項14】
外面を備えたゴルフボールであって、前記外面上には複数のディンプルがディンプルパターンをなして配置され、前記ディンプルパターンをなして配置された前記複数のディンプルのうちの少なくとも一部分は、低振動数周期関数によって定められた非円形平面形状を有し、前記ディンプルパターンをなして配置された前記複数のディンプルの前記一部分は、約0.05〜約0.40の相互嵌合度を有する、ゴルフボール。
【請求項15】
前記相互嵌合度は、約0.10〜約0.30である、請求項14記載のゴルフボール。
【請求項16】
前記周期関数は、正弦関数、余弦関数、のこぎり波関数、三角波関数、方形波関数、または任意の関数から選択される、請求項14記載のゴルフボール。
【請求項17】
前記低振動数周期関数は、約15以下の周期pを有する、請求項14記載のゴルフボール。
【請求項18】
前記非円形平面形状の前記低振動数周期関数は、隣り合うディンプルの数に等しい周期pを有する、請求項14記載のゴルフボール。
【請求項19】
前記非円形平面形状の前記低振動数周期関数は、隣り合うディンプルの数のスカラー倍数である周期pを有する、請求項14記載のゴルフボール。
【請求項20】
前記非円形平面形状は、次の方程式、すなわち、
Q(x) = Fpath(l, scl, x) * Fperiodic(s, a, p, x)
にしたがって低振動数周期関数によって定められ、上式において、Fpathは、頂点xに沿って定められていてスケール係数sclが含まれた長さlの経路関数であり、Fperiodicは、頂点xのところで定められたシャープネス係数s、振幅a、および周期pを含む周期関数である、請求項14記載のゴルフボール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、向上した実装効率および空力特性ならびに高いディンプル相互嵌合度(degree of dimple interdigitation)を有するゴルフボールに関する。向上した特性は、特定のディンプル配置状態およびディンプル平面形状の使用によって得られる。特に、本発明は、高い振幅を持つ低振動数周期関数によって定められた平面形状を有するディンプルの少なくとも一部分を含むゴルフボールに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフボールに働く空気力学的力は、典型的には、揚力(FL)および抗力(FD)という直交成分に分解される。揚力は、飛翔(飛んでいる)経路に垂直に働く空気力学的力の成分として定められる。揚力は、ゴルフボールのバックスピンに起因して生じる空気流中のゆがみによって作られる圧力の差に起因して生じる。バックスピンに起因して、ゴルフボールの頂部は、空気の流れと共に動き、それにより、分離が一層後方の点に遅れる。これとは逆に、ゴルフボールの底部は、空気流に逆らって動き、それにより分離点が前方に動く。この非対称分離により、フローパターン中にアーチが生じ、ゴルフボールの頂部上の空気は、早く動かざるを得ず、かくして、ゴルフボールの下の空気よりも圧力が低くなる。
【0003】
抗力は、ゴルフボール飛翔方向とは逆に作用する空気力学的力成分として定められる。ゴルフボールが空気中を移動すると、ゴルフボールの周りの空気は、互いに異なる速度を有し、かくして互いに異なる圧力を有する。空気は、よどみ点で最大圧力をゴルフボールの前部に及ぼす。次に、空気は、ゴルフボールの側部上をこれに沿って流れ、その速度が増大すると共に圧力が減少する。空気は、ゴルフボールの表面から離れ、後には圧力の低い広い乱流領域、すなわち伴流が残る。ゴルフボールの前部の高い圧力とゴルフボールの後ろの低い圧力の差は、ゴルフボールの速度を減少させると共に抗力の主要な源として働く。
【0004】
ゴルフボールの幾つかある空力特性の中でもとりわけ揚力および抗力は、ゴルフボールの外面の幾何学的形状によって影響を受け、かかる外面の幾何学的形状は、ゴルフボール上に設けられたディンプルを含む。したがって、ゴルフボールのディンプルは、これらパラメータを制御する上で重要な役割を果たす。例えば、ゴルフボールのディンプルは、ゴルフボールの周りに乱流境界層を作り、すなわち、ゴルフボールに隣接して位置する薄い層をなした空気は、乱流状態で流れる。乱流は、境界層を付勢し、これが伴流の領域を減少させるようゴルフボール周りに更にくっついた状態のままであるようにするのを助ける。これにより、ゴルフボールの後ろの圧力が大幅に高くなると共に抗力が実質的に減少する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ゴルフボールの外面幾何学的形状と関連し、例えば、表面被覆度(または率)、ディンプルパターン、および個々のディンプル幾何学的形状の影響を受ける設計変数は、ゴルフボールの飛ぶ距離を制御すると共に最適化する能力をゴルフボール製造業者に提供する。しかしながら、かかる制御および最適化を達成する上での重要な変数として、ディンプルの平面形状、すなわち、ゴルフボール外面上のディンプルの周囲または境界については関心がほとんど払われておらず、ないし、全く払われていない。特に、ディンプルの平面形状によって作られる分岐部が外面幾何学的形状からの大きな移行部を作るので、かかる分岐部は、空力挙動において役割を果たすものと考えられる。したがって、表面被覆度の一様性および実装効率を最大化すると共に望ましい空力特性を維持するディンプル平面形状が要望され続けている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ゴルフボールディンプルであって、次の方程式、すなわち、
Q(x) = Fpath(l, scl, x) * Fperiodic(s, a, p, x)
に従って単純な閉じ経路に沿って低振動数周期関数によって定められた周囲を有し、上式において、Fpathは、頂点xに沿って定められていてスケール係数sclが含まれた長さlの経路関数であり、Fperiodicは、頂点xのところで定められたシャープネス係数s、振幅a、および周期pを含む周期関数であり、
周期pは、約15以下、例えば約12以下であり、周囲は、単純な閉じ経路からの周囲上の任意の点の最大絶対距離が約0.015インチ(0.381mm)〜約0.050インチ(1.270mm)であるような振幅Aを有することを特徴とするゴルフボールディンプルに関する。一実施形態では、周期関数は、正弦関数、余弦関数、のこぎり波関数、三角波関数、方形波関数、または任意の関数から選択される。別の実施形態では、経路関数は、2本の直交した軸線に関して対称である任意の単純な閉じ経路、例えば、円、楕円形、または正方形である。さらに別の実施形態では、ゴルフボールディンプルは、約0.05〜0.50の相互嵌合度を有する。さらに別の実施形態では、周囲は、単純な閉じ経路からの周囲上の任意の点の最大絶対距離が約0.025インチ(0.635mm)〜約0.050インチ(1.270mm)であるような振幅Aを有する。
【0007】
本発明は、実質的に球形の表面を有するゴルフボールであって、ゴルフボールは、表面上に設けられた複数のディンプルを有し、複数のディンプルのうちの少なくとも一部分は、次の方程式、すなわち、
Q(x) = Fpath(l, scl, x) * Fperiodic(s, a, p, x)
に従って単純な閉じ経路に沿って低振動数周期関数によって定められた平面形状を有し、上式において、Fpathは、頂点xに沿って定められていてスケール係数sclが含まれた長さlの経路関数であり、Fperiodicは、頂点xのところで定められたシャープネス係数s、振幅a、および周期pを含む周期関数であり、周期pは、約15以下、例えば約12以下であり、平面形状は、単純な閉じ経路からの周囲上の任意の点の最大絶対距離が約0.015インチ(0.381mm)〜約0.050インチ(1.270mm)であるような振幅Aを有し、複数のディンプルの少なくとも一部分は、約0.05〜0.50、例えば約0.10〜0.30の相互嵌合度を有することを特徴とするゴルフボールに関する。一実施形態では、平面形状は、単純な閉じ経路からの周囲上の任意の点の最大絶対距離が約0.025インチ(0.635mm)〜約0.050インチ(1.270mm)であるような振幅Aを有する。別の実施形態では、周期関数は、正弦関数、余弦関数、のこぎり波関数、三角波関数、方形波関数、または任意の関数から選択される。さらに別の実施形態では、複数のディンプルのうちの少なくとも一部分は、ゴルフボール上のディンプルの約50パーセント以上から成る。
【0008】
本発明は、外面を備えたゴルフボールであって、外面上には複数のディンプルがディンプルパターンをなして配置され、ディンプルパターンをなして配置された複数のディンプルのうちの少なくとも一部分は、低振動数周期関数によって定められた非円形平面形状を有し、ディンプルパターンをなして配置された複数のディンプルの一部分は、約0.05〜約0.40、例えば、約0.10〜約0.30の相互嵌合度を有することを特徴とするゴルフボールに関する。一実施形態では、周期関数は、正弦関数、余弦関数、のこぎり波関数、三角波関数、方形波関数、または任意の関数から選択される。別の実施形態では、低振動数周期関数は、約15以下の周期pを有する。さらに別の実施形態では、非円形平面形状の低振動数周期関数は、隣り合うディンプルの数に等しい周期pを有する。さらに別の実施形態では、非円形平面形状の低振動数周期関数は、隣り合うディンプルの数のスカラー倍数である周期pを有する。さらに別の実施形態では、非円形平面形状は、次の方程式、すなわち、
Q(x) = Fpath(l, scl, x) * Fperiodic(s, a, p, x)
にしたがって低振動数周期関数によって定められ、上式において、Fpathは、頂点xに沿って定められていてスケール係数sclが含まれた長さlの経路関数であり、Fperiodicは、頂点xのところで定められたシャープネス係数s、振幅a、および周期pを含む周期関数である。
【0009】
本発明の別の特徴および別の利点は、以下に説明する図と関連して提供される以下の詳細な説明から確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に従ってディンプル平面形状で用いられるフーリエ級数によって近似されるのこぎり波周期関数の波形を示す図である。
図2】本発明に従ってディンプル平面形状で用いられるフーリエ級数によって近似される三角波周期関数の波形を示す図である。
図3】本発明に従ってディンプル平面形状で用いられるフーリエ級数によって近似される方形波周期関数の波形を示す図である。
図4】本発明に従ってディンプル平面形状で用いられる任意の周期関数の波形を示す図である。
図5】本発明に従って作られたディンプル平面形状を示す図である。
図6】本発明の方法によるステップを示す流れ図である。
図7】セントロイドおよび最大半径距離を有する本発明に従って作られたディンプル平面形状を示す図である。
図8】本発明に従って作られた隣接するディンプル対を示す図である。
図9】本発明に従って作られたゴルフボールのためのディンプル表面容積を示すグラフ図である。
図10】本発明に従って作られたゴルフボールの好ましいディンプル表面容積を示すグラフ図である。
図11】円形経路に沿ってのこぎり波周期関数によって定められたゴルフボールディンプル平面形状の種々の実施形態を示す図(A〜F)である。
図12】円形経路に沿って方形波周期関数によって定められたゴルフボールディンプル平面形状の種々の実施形態を示す図(A〜F)である。
図13】円形経路に沿って任意の周期関数によって定められたゴルフボールディンプル平面形状の種々の実施形態を示す図(A〜F)である。
図14】任意の経路に沿って任意の周期関数によって定められたゴルフボールディンプル平面形状の種々の実施形態を示す図(A〜F)である。
図15】本発明の複数のディンプル平面形状で構成されたゴルフボールディンプルパターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、少なくとも1つの要因が非円形のディンプル平面形状の使用にあることによって向上した空気力学的性能を有するゴルフボールに関する。特に、本発明は、ディンプルの少なくとも一部分が、高い振幅を有する低振動数または低周期数の周期関数によって定められた平面形状を有するゴルフボールに関する。本発明はまた、ディンプル平面形状幾何学的形状を創成する方法ならびに本発明のディンプルパターンが施された完成したゴルフボールを製作する方法に関する。さらに、本発明は、本発明に従って作られた隣り合うディンプルの相互嵌合または相互噛み合い度の尺度を定量化するパラメータに関する。
【0012】
有利には、本発明に従って作られたディンプル平面形状は、低振動数高振幅周期関数によって定められた平面形状を形成するよう低い振動周期と高い逸脱度を組み合わせている。本発明の平面形状がゴルフボールのディンプルに利用された場合、結果として得られるディンプルパターンは、隣り合うディンプルについて高い相互噛み合い度または相互嵌合度を示す。これは、向上したディンプル実装効率および向上した表面被覆率を提供する。その結果、本発明は、ゴルフボールの外部表面幾何学的形状を制御することによってゴルフボール空力特性を微調整する能力をゴルフボール製造業者に与える。
【0013】
加うるに、円形平面形状ディンプルを備えたゴルフボールが市場では互いに区別できないが、本発明のディンプルの平面形状は、外観が独特である。例えば、一実施形態では、本発明の平面形状を定める低振動数周期関数は、明確に異なる外観を備えた周囲を提供する。本発明の平面形状は、明確に異なる見た目を有するゴルフボール表面テキスチャならびに向上した空力特性を有するゴルフボールを提供する。
【0014】
ディンプル平面形状
【0015】
本発明は、単純な閉じ経路に沿って低振動数高振幅周期関数によって定められた非円形平面形状を有するディンプルを提供する。特に、本発明に従って形成されたゴルフボールは、低振動数高振幅周期関数によって定められた平面形状を有するディンプルのうちの少なくとも約10パーセント以上を有する。別の実施形態では、本発明に従って形成されたゴルフボールは、低振動数高振幅周期関数によって定められた平面形状を有するディンプルのうちの少なくとも約25パーセント以上を有する。さらに別の実施形態では、本発明に従って形成されたゴルフボールは、低振動数高振幅周期関数によって定められた平面形状を有するディンプルのうちの少なくとも約50パーセント以上を有する。「平面形状」という用語は、ディンプルの周囲またはディンプルとゴルフボールの外面またはフレット表面との境界の形状を意味している。
【0016】
本発明によれば、少なくとも1つのディンプルは、単純な閉じ経路、すなわち、経路に沿う任意の定義点または縁を2度以上は横切らないで同一点のところで始まって終わる経路を用いて形成される。例えば、本発明は、グラフ理論で知られていて円および多角形を含む任意の単純なサイクルを用いて形成されるディンプルを想定している。一実施形態では、単純な閉じ経路は、2本の直交した軸線に関して対称である経路であればどのような経路であっても良い。別の実施形態では、単純な閉じ経路は、円、楕円形、正方形、または多角形である。さらに別の実施形態では、単純な閉じ経路は、任意の経路である。この観点では、本発明の適当なディンプル形状は、定義点または縁と交差しないで同一点で始まって終わる任意の経路に基づくのが良い。
【0017】
本発明は、ディンプル形状を形成するための周期関数の使用を想定しており、かかる周期関数は、一定の間隔または一定の周期で値を繰り返す任意の関数を含む。本発明の目的上、関数fは、xの全ての値について、
f (x) = f (x + p) (1)
の場合、周期的であり、上式において、pは、周期である。具体的に説明すると、本発明は、非一定でありかつ非ゼロである任意の周期関数を想定している。
【0018】
一実施形態では、ディンプル形状を形成するために用いられる周期関数は、三角関数を含む。本発明で用いるのに適した三角関数の例としては、正弦および余弦が挙げられるが、これらには限定されない。確かに、本発明に従ってディンプル形状を形成するために使用できる余弦周期関数の波形を示している。本発明に従って使用されるのに適した余弦波は、余弦波上の各点が正弦波上の対応の点よりも正確に1/4サイクル早く生じることを除き、正弦波と同一の形状を有する。
【0019】
別の実施形態では、本発明に従ってディンプル形状を形成する際に用いるのに適した周期関数は、非平滑周期関数を含む。本発明に用いられるのに適した非平滑周期関数の非限定的な例としては、のこぎり波、三角波、方形波、およびサイクロイドが挙げられるが、これらには限定されない。一実施形態では、のこぎり波が本発明に従ってディンプル形状を形成するために用いられるのに適している。特に、本発明のディンプルは、上方に傾斜し、次に急に下がる非正弦波形に基づく形状を有するのが良い。
【0020】
別の実施形態では、三角波が本発明に従ってディンプル形状を形成する際に用いられるのに適している。本発明に従ってディンプル形状を形成する際に用いられるのに適した三角波は、周期的であり、周期的な区間線形の連続実関数である非正弦波形である。さらに別の実施形態では、方形波が本発明に従ってディンプル形状を形成する際に用いられるのに適している。例えば、本発明に従ってディンプル形状を形成する際に用いられるのに適した方形波は、振幅が定常振動数で一定の最小値と最大値を交互に取り、最小値および最大値のところの持続時間が同一である非正弦波周期的波形である。
【0021】
本発明のこの観点では、上述の周期関数のうちの任意のものを本発明に従ってディンプル形状を形成する際に用いられるフーリエ級数展開を用いて正弦と余弦の無限級数として構成できる。具体的に説明すると、方程式(2)〜(5)によって与えられている関数のフーリエ級数は、本発明に従ってディンプル形状を形成する際に使用されることが想定されている。
上式において、
なお、n=1,2,3……である。
【0022】
加うるに、以下のフーリエ級数は、本発明に従ってディンプル形状を形成する際に使用されることが想定されている。
【0023】
例えば、図1は、フーリエ級数によって近似されたのこぎり波の波形を示している。具体的に説明すると、図1は、4項フーリエ級数展開によって近似される方形波8を示している。加うるに、図2は、フーリエ級数によって近似される三角波の波形を示している。図2は、本発明に従ってディンプル形状を形成する際に用いられる4項フーリエ級数展開によって近似される三角波6を示している。さらに、図3は、フーリエ級数によって近似される方形波の波形を示している。例えば、図3は、本発明に従ってディンプル形状を形成する際に用いられる4項フーリエ級数展開によって近似された方形波8を示している。上述の例は、4項フーリエ級数展開を実証しているが、当業者には理解されるように、5以上または3以下の項を用いても非正弦波形を近似することができる。加うるに、当業者に知られている任意の近似方法を本発明の観点において用いることができる。
【0024】
さらに別の実施形態では、本発明は、本発明に従ってディンプル形状を形成する際に用いられる任意の周期関数、または周期関数の線形組み合わせを想定している。したがって、本発明の一実施形態では、本発明に従ってディンプル形状を形成するために正弦と余弦の線形組み合わせを用いて任意の周期関数を作ることができる。この観点では、図4は、本発明によって想定される任意の周期関数の波形を示している。図4に示されているように、任意の波形10は、正弦と余弦の線形組み合わせを表している。
【0025】
本発明によれば、上述の周期関数のうちの任意のものを単純な閉じ経路上に投影しまたはマッピングすることによってディンプルの平面形状を作ることができる。一般に、単純な閉じ経路上への周期関数の投影またはマッピングを表す数式が方程式(6)として表されている。
Q(x) = Fpath(l, scl, x) * Fperiodic(s, a, p, x) (6)
上式において、Fpathは、周期関数が頂点xに沿って定められた長さl、スケール(目盛)係数sclでマッピングされまたは投影される単純な閉じ経路を表し、Fperiodicは、頂点xのところで定められたシャープネス係数s、振幅a、および周期pを含む任意の適当な周期関数である。
【0026】
一実施形態では、投影は、経路関数を周期関数によってどのように変更するかという観点で説明できる。例えば、合成ベクトルQ(x)は、経路の変更後の座標を表している。確かに、本発明によって想定される「経路関数」は、上述した単純な経路のうちの任意のものを含む。
【0027】
本発明のこの観点では、合成ベクトルQ(x)はまた、本発明に従ってディンプル平面形状に適した経路であるといえる。すなわち、合成ベクトルQ(x)は、それ自体、別の周期関数をマッピングする対象の経路になることができる。確かに、上記において開示した周期関数のうちの任意のものを合成ベクトルQ(x)にマッピングすると、本発明に従ってディンプル平面形状を形成することができる。
【0028】
「長さ」lおよび「スケール(目盛)係数」sclは、ディンプルの所望のサイズに応じて変化する場合がある。しかしながら、一実施形態は、長さは、約0.150インチ〜約1.400インチである(なお、1インチは、25.4mmであり、例えば0.150インチ=3.810mmである)。別の実施形態では、長さは、約0.250インチ〜約1.200インチである。さらに別の実施形態では、長さは、約0.500インチ〜約0.800インチである。
【0029】
方程式(6)の変数Fperiodicは、所望の周期関数に基づいて変化することになろう。「シャープネス係数」という用語は、スカラー値であり、周期関数の平均値を定める。一般に、sの値が小さいと、平面形状を大幅に変更する周期関数が得られ、sの値が大きいと、平面形状に対する影響の小さい周期関数が得られる。確かに、当業者には明らかなように、振幅値がいったん選択されると、平面形状への所望の変更量に応じてシャープネス係数sを変化させることができる。一実施形態では、シャープネス係数は、約5〜約60までの範囲にある。別の実施形態では、シャープネス係数は、約8〜約55までの範囲にある。さらに別の実施形態では、シャープネス係数は、約15〜約50までの範囲にある。
【0030】
「振幅」という用語は、周期関数の一周期中における経路からの最大距離の絶対値として定められる。関数の振幅aは、シャープネス係数sとは逆の意味でディンプル平面形状に影響を及ぼす。この観点では、「シャープネス係数」sと「振幅」aというパラメータは、両方とも、Q(x)を定義するために用いられるマッピングされた周期関数を制御するために用いられる。例えば、パラメータであるシャープネス係数sおよび振幅aは、最終の平面形状の周囲の重大度(シビアリティ)を制御する。確かに、シャープネスパラメータと振幅パラメータは、両方とも、最終の平面形状幾何学的形状を「調整」するために用いられる。すなわち、本発明の平面形状は、隣り合うディンプルの相互嵌合度を最大にするよう個別調整でき、かくして実装効率および表面被覆率が向上する。
【0031】
一実施形態では、関数振幅aは、約0.25から10までの範囲にわたる。別の実施形態では、振幅aは、約0.5から5までの範囲にわたる。さらに別の実施形態では、振幅aは、約1から3までの範囲にわたる。例えば、振幅aは、約1であるのが良い。
【0032】
別の実施形態では、平面形状振幅である振幅Aは、周期関数の一周期中の平面形状と経路との最大変化を定める。振幅Aを経路からの最大絶対距離として表すことができる。この観点で、絶対距離dは、次の方程式(7)によって定められる。
上式において、dは、平面形状および経路上の対応の点を通る平面形状セントロイドからの線に沿って計算された有向距離である。例えば、図5は、本発明に従って構成された絶対距離dを有する平面形状を示している。図5に示されているように、距離dは、周期関数の一周期中における平面形状15と経路20(破線で示されている)との最大変化を定める。全ての計算された距離dについての最大値は、最大絶対距離dmaxである。
【0033】
高振幅周期関数が本発明に従ってディンプル形状を形成する際に用いることが想定されている。すなわち、本発明は、経路からの高い逸脱度を有する平面形状を想定している。一実施形態では、ディンプル平面形状の振幅は、単純な経路からの平面形状上の任意の点の最大絶対距離dmaxが0.015インチを超えるようなものである。別の実施形態では、ディンプル平面形状の振幅は、単純な経路からの平面形状上の任意の点の最大絶対距離dmaxが0.025インチを超えるようなものである。さらに別の実施形態では、ディンプル平面形状の振幅は、単純な経路からの平面形状上の任意の点の最大絶対距離dmaxが0.035インチを超えるようなものである。さらに別の実施形態では、ディンプル平面形状の振幅は、単純な経路からの平面形状上の任意の点の最大絶対距離dmaxが0.050インチを超えるようなものである。
【0034】
「周期」pは、周期関数が1つのサイクルを完了するのに必要な水平距離を意味している。当業者には明らかなように周期は、周期関数に基づいて変化する場合がある。しかしながら、一実施形態では、本発明は、周期が約15以下の周期関数を想定している。別の実施形態では、本発明は、周期が約12以下の周期関数を想定している。さらに別の実施形態では、本発明は、周期が約10以下の周期関数を想定している。さらに別の実施形態では、本発明は、周期が約8以下の周期関数を想定している。例えば、本発明は、周期が約5以下の周期関数を想定している。
【0035】
波動関数の周期は、関数の振動数に逆比例する。確かに、振動数は、経路関数全体にわたって行われた周期の回数を意味している。例えば、周期pの周期関数の振動数は、1/pで表される。一実施形態では、本発明は、低振動数周期関数を想定している。すなわち、本発明は、振動数が約1/15以上の周期関数を想定している。一実施形態では、周期関数の振動数は、約1/12以上である。別の実施形態では、周期関数の振動数は、約1/10以上である。さらに別の実施形態では、周期関数の振動数は、約1/8以上である。さらに別の実施形態では、周期関数の振動数は、約1/5以上である。
【0036】
したがって、方程式(6)の変数を操作することによって、本発明は、低振動数高振幅周期関数によって定められる種々の平面形状を有するゴルフボールディンプルを提供する。確かに、本発明の平面形状は、低振動周期(例えば、約15以下のp)および大きな値のdmax(例えば、約0.015インチ以上)をもたらす経路からの高いばらつき度を有する。本明細書において開示する低振動数高振幅周期関数を用いることによって、本発明は、隣り合うディンプルの高い相互噛み合い度または相互嵌合度およびかくして高い実装効率および高い表面被覆率を有するディンプル平面形状およびディンプルパターンを提供する。
【0037】
図6は、本発明に従ってディンプル平面形状を形成する方法の一実施形態を示している。例えば、ステップ101では、周期関数が投影されるべき単純な閉じ経路を選択する。この観点では、本発明は、同一の単純な閉じ経路のうちの任意のものの使用を想定している。ステップ102では、所望の周期関数を選択する。確かに、上記において開示した周期関数のうちの任意のものが本発明のこの観点において想定されている。
【0038】
ステップ103では、周期関数の振幅、シャープネス、周期、または振動数を所望の周期関数および経路に基づいて選択する。一実施形態では、本発明は、低振動数高振幅の周期関数によって定められたディンプル平面形状を想定している。すなわち、本発明の平面形状は、低振動周期(例えば、約15以下の周期p)およびdmaxの大きな値(例えば、0.015インチ以上)をもたらす振幅を有する。したがって、振幅、シャープネス、周期、または振動数は、これらの値が上述のパラメータに従っているように選択されるべきである。
【0039】
ステップ104では、経路、周期関数、振幅、シャープネス、および周期を含む上記において選択された変数を以下に再現されている方程式(6)中に代入する。
Q(x) = Fpath(l, scl, x) * Fperiodic(s, a, p, x) (6)
次に、合成関数を用いて周期関数を単純な閉じ経路上に投影してディンプル平面形状を生じさせる。合成関数は、所望の経路および周期関数に基づいて変化することになる。例えば、所望の周期関数が余弦関数である場合、Fperiodicは、以下に示された方程式(8)によって表される。
f(x) = s + a * cos (p*π*x) (8)
【0040】
上述したように、結果として得られるディンプル平面形状(例えば、合成ベクトルQ(x))はまた、別の周期関数がマッピングされる経路としても使用できる。例えば、異なる周期を有する周期関数または異なる周期関数を結果として得られたディンプル平面形状上に投影して本発明に従って新たなディンプル平面形状を形成することができる。
【0041】
ディンプル平面形状を創成した後、ステップ105において、ゴルフボールのディンプルパターンのための幾何学的形状を設計する際にこの平面形状を用いるのが良い。例えば、本発明の方法によって得られる平面形状経路をCADプログラム中にインポートしてこれを用いてディンプル幾何学的形状およびゴルフボール製造業者のための生産設備を構成するためのツール経路を定めることができる。次に、隣り合うディンプルについての相互嵌合度を最大にし、それにより高い表面被覆度の一様性および向上したディンプル実装効率をもたらすディンプルパターンを構成する際に本発明に従って作られた種々のディンプル幾何学的形状を用いることができる。
【0042】
相互嵌合度
【0043】
本発明によって開示される低周波、高振幅平面形状は、隣り合うディンプルの高い相互噛み合い度または相互嵌合度を有するディンプルパターンをもたらす。この点に関し、本発明は更に、隣り合うディンプルの高い相互噛み合い度または相互嵌合度を有するゴルフボールディンプルパターンに関し、かくして、高い実装効率および高い表面被覆率を有するディンプルパターンを生じさせる。特に、本発明のディンプルパターン(およびかかるディンプルパターンが施された状態で作られたゴルフボール)の隣り合うディンプルの相互嵌合度または相互噛み合い度は、定量化可能である。確かに、本発明のこの観点によるディンプルパターンは、相互嵌合度(“DOI”)と呼ばれているパラメータと関連している。本明細書において説明するように、DOIは、ディンプルパターンをなして構成されたときに互いにインターロックする本発明のディンプルの可能性を定量化する値である。本発明によれば、各平面形状のDOIは、各ディンプル平面形状の最大半径方向距離および各隣り合うディンプル対のディンプル侵入係数に基づいている。
【0044】
全体的DOIを定める際、各ディンプル平面形状の最大半径方向距離を計算する。図7に示されているように、最大半径方向距離Rは、セントロイドCと平面形状上の任意の点との間の距離である。一実施形態では、ディンプル平面形状をゴルフボール表面の極まで回転させ、次にこの平面形状を、垂線が極を通るゴルフボールの中心から延びる線に平行な状態でゴルフボール中心のところに位置した平面上に投影することによって、最大半径方向距離を求める。次に、以下の方程式を用いて平面形状のセントロイドを計算するのが良い。

上式において、Aは、平面形状の面積であり、∫xdAおよび∫ydAは、それぞれx軸およびy軸に対するこの面積の第1モーメントである。平面形状のセントロイドを計算する際、セントロイドからの平面形状上の任意の点の最大半径方向距離は、次の方程式に従って求められる。
【0045】
本発明は、各ディンプル平面形状について約0.050インチ〜約0.250インチの最大半径方向距離を想定している。別の実施形態では、各ディンプル平面形状について、最大半径方向距離は、約0.100インチ〜約0.220インチである。さらに別の実施形態では、各ディンプル平面形状について、最大半径方向距離は、約0.110インチ〜約0.200インチである。さらに別の実施形態では、各ディンプル平面形状について、最大半径方向距離は、約0.120インチ〜約0.190インチである。
【0046】
各ディンプル平面形状について最大半径方向距離を求めた後、各隣り合うディンプル対についてディンプル侵入係数(“DPC”)を計算する。本明細書において説明するように、DPCは、両方の隣り合うディンプルの最大半径方向距離の合計をゴルフボール表面上の隣り合うディンプルの三次元中心相互間の距離で除算し、そして1を差し引くことによって求めることができる。
【0047】
したがって、DPCを計算するためには、最初に、隣り合うディンプル対の全てを決定する必要がある。例えば、2本の接線を第1のディンプルの中心から潜在的な隣のディンプルに引くことによって隣り合うディンプルを定めるのが良い。次に、第1のディンプルの中心と潜在的な隣のディンプルの中心を結ぶ線分を引く。別のディンプルまたはディンプルの一部分と交差する線分がない場合、これらディンプルは、隣り合うディンプルであるとみなされる。
【0048】
この点に関し、隣り合うディンプル対を決定した後、各隣接ディンプル対のディンプル中心相互間の距離を計算することができる。例えば、図8は、本発明に従って作られたそれぞれ中心C1およびC2を有する1対の隣り合うディンプルを示している。中心C1と中心C2との間の距離は、Dで表されている。一実施形態では、次の方程式により各隣接対について距離Dを計算することができる。
方程式(12)に示されているように、x軸、y軸、およびz軸に沿う第1の隣接ディンプルおよび第2の隣接ディンプルの中心間距離の差の合計の平方根を求めることによって距離Dを求める。
【0049】
本発明によれば、隣接ディンプル対のディンプル中心相互間の距離を計算した後、各隣接ディンプル対についてDPCを計算する。一実施形態では、次の方程式を用いることによってDPCを計算する。
上式において、R1は、第1の隣接ディンプルの最大半径方向距離であり、R2は、第2の隣接ディンプルの最大半径方向距離であり、Dは、隣接ディンプル中心相互間の距離である。最大半径方向距離は、上述したように、ディンプルのセントロイドと平面形状上の任意の点との間の距離である。図8に示されているように、第1の隣接ディンプルの最大半径方向距離R1は、ゴルフボール表面に投影されたセントロイドC1と第1の隣接ディンプルの平面形状上の任意の点との間の距離を表している。第2の隣接ディンプルの最大半径方向距離R2は、ゴルフボール表面に投影されたセントロイドC2と第2の隣接ディンプルの平面形状上の任意の点との間の距離を表している。
【0050】
本発明は、約0.5から約−0.1までの範囲にあるDPC値を想定している。別の実施形態では、各隣接ディンプル対に関するDPC値は、約0.3から約−0.05までの範囲にある。さらに別の実施形態では、各隣接ディンプル対に関するDPC値は、約0.1から約−0.02までの範囲にある。さらに別の実施形態では、各隣接ディンプル対に関するDPC値は、約0.05から約0までの範囲にある。当業者であれば理解されるように、DPCについての正の値は、隣接ディンプル対相互間の相互嵌合度が大きいことを示しており、これに対し、DPCについての負の値は、相互嵌合がないことを示している。
【0051】
DPCを隣接ディンプル対について計算した後、相互嵌合度(“DOI”)を計算することができる。上述したように、DOIは、本発明に従って作られた隣接ディンプルの相互噛み合い度の尺度を定量化するためのパラメータである。一実施形態では、次の方程式に従ってDOIを計算する。
上式において、nは、考えられる隣接ディンプル対の数であり、DPCkは、各隣接ディンプル対に関する個別的なディンプル侵入係数である。
【0052】
この点に関し、本発明は、0.50未満かつゼロを超えるDOI値を有するディンプル平面形状およびディンプルパターンを想定している。一実施形態では、本発明のディンプル平面形状およびディンプルパターンは、約0.01から約0.40までの範囲にあるDOI値を有する。別の実施形態では、本発明のディンプル平面形状およびディンプルパターンは、約0.05から約0.30までの範囲にあるDOI値を有する。さらに別の実施形態では、本発明のディンプル平面形状およびディンプルパターンは、約0.10から約0.20までの範囲にあるDOI値を有する。任意特定の理論に束縛されるものではないが本発明により作られる高いディンプル相互嵌合度は、ランド領域間隔を最小限に抑えて空力対称性を向上させるために表面被覆率の一様な分布状態を与える。
【0053】
上述した手順をボール上の任意のディンプル対について繰り返し実施するのが良い。しかしながら、当業者であれば容易に理解されるように、本発明に従って形成されたゴルフボールは、低振動数高振幅周期関数およびゼロよりも大きいDOI値によって定められた平面形状を有するディンプルのうちの少なくとも約10パーセント以上を有する。別の実施形態では、本発明に従って形成されたゴルフボールは、低振動数高振幅周期関数およびゼロよりも大きいDOI値によって定められた平面形状を有するディンプルのうちの少なくとも約25パーセント以上を有する。さらに別の実施形態では、本発明に従って形成されたゴルフボールは、低振動数高振幅周期関数およびゼロよりも大きいDOI値によって定められた平面形状を有するディンプルのうちの少なくとも約50パーセント以上を有する。
【0054】
ディンプルパターンおよび実装
【0055】
本発明は、従来のパターンと比較してディンプル実装を向上させることができ、その結果、ゴルフボールの表面の大きな百分率がディンプルで覆われるようにする。特に、隣り合うディンプルの高い相互噛み合い度または相互嵌合度に起因して、本発明の平面形状を有する各ディンプルは、表面被覆度の一様性および実装効率を最大にするディンプルパターンの一部である。
【0056】
一実施形態では、ディンプルパターンは、約80パーセントを超える表面被覆度をもたらす。別の実施形態では、ディンプルパターンは、約85パーセントを超える表面被覆度をもたらす。さらに別の実施形態では、ディンプルパターンは、約90パーセントを超える表面被覆度をもたらす。さらに別の実施形態では、ディンプルパターンは、約92パーセントを超える表面被覆度をもたらす。
【0057】
この観点では、本発明のゴルフボールディンプル平面形状をあつらえて隣のディンプルの数のスカラー倍数である周期を周期関数について選択することによって表面被覆度の一様性および実装効率を最大にすることができる。例えば、隣のディンプルの個数が4である場合、本発明は、8または12の周期を有するディンプル平面形状を想定している。別の実施形態では、周期は、隣のディンプルの個数に等しい。例えば、ディンプル平面形状が周期5を用いて構成される場合、本発明は、ディンプルが5つの隣のディンプルによって包囲されることを想定している。
【0058】
図15は、本発明に従って作られたディンプルパターンの一例を示している。具体的に説明すると、図15は、低振動数高振幅周期関数によって定められかつ本発明に従って作られたディンプル平面形状(符号115で表されている)で構成されたゴルフボールディンプルパターン110を示している。図15に示されているように、平面形状115は、6の周期p、10のシャープネス係数s、1の振幅aを備えた円形経路に沿ってマッピングされた方形波関数を用いて形成される。この実施形態では、ディンプルパターン110は更に、約0.018のDOIを有するよう定められる。図15で理解できるように、ディンプル平面形状115の高い相互噛み合い度または相互嵌合度により、表面被覆度の一様性および実装効率を最大化するディンプルパターンの実現が可能である。
【0059】
本発明の平面形状をゴルフボール上のディンプルのうちの少なくとも一部分について用いることができるが、平面形状をゴルフボールのどのディンプルにも用いるということは必要ではない。一般に、ゴルフボール上のディンプルの十分な数が本発明による平面形状を有し、ゴルフボールの空力特性を変更して実装効率の利点を実現するようにすることが好ましい。例えば、ゴルフボール上のディンプルのうちの少なくとも約30パーセントが本発明による平面形状を含む。別の実施形態では、ゴルフボール上のディンプルのうちの少なくとも約50パーセントが本発明による平面形状を含む。さらに別の実施形態では、ゴルフボール上のディンプルのうちの少なくとも約70パーセントが本発明による平面形状を含む。さらに別の実施形態では、ゴルフボール上のディンプルのうちの少なくとも約90パーセントが本発明の平面形状を含む。さらに別の実施形態では、ゴルフボール上のディンプルの全て(100パーセント)が本発明の平面形状を含んでも良い。
【0060】
本発明は、任意特定のディンプルパターンによって制約されることはなく、本発明による平面形状を有するディンプルは、好ましくは合わせ目または赤道線に沿って、両極の近くに、またはジオデシック若しくは多面体パターンの輪郭に沿って配置される。従来のディンプルまたは本発明の平面形状を備えていないディンプルが残りの空間を占めることができる。逆の配列もまた適している。適当なディンプルパターンとしては、多面体を利用したパターン(例えば、二十面体、八面体、十二面体、二十・十二面体、立方八面体、双角錐)、葉序を利用したパターン、球形傾斜パターン、およびランダムな配列が挙げられるが、これらには限定されない。
【0061】
ディンプル寸法
【0062】
本発明のゴルフボール上のディンプルは、任意の幅、任意の深さ、任意の深さプロフィール、任意のエッジ角度、またはエッジ半径を有することができ、パターンは、互いに異なる幅、互いに異なる深さ、互いに異なる深さプロフィール、互いに異なるエッジ角度、または互いに異なるエッジ半径を有する多数のディンプルを含むことができる。
【0063】
本発明の平面形状周囲は、非円形なので、平面形状は、平面形状セントロイドから平面形状を定める1組の点の平均半径方向寸法の2倍である有効ディンプル直径によって定められる。例えば、一実施形態では、本発明によるディンプルは、約0.005インチから約0.300インチまでの範囲内の有効ディンプル直径を有する。別の実施形態では、ディンプルは、約0.080インチ〜約0.250インチの有効ディンプル直径を有する。さらに別の実施形態では、ディンプルは、約0.100インチ〜約0.225インチの有効ディンプル直径を有する。さらに別の実施形態では、ディンプルは、約0.125インチ〜約0.200インチの有効ディンプル直径を有する。
【0064】
本発明のディンプルの表面深さは、約0.003インチから約0.025インチまでの範囲内にある。一実施形態では、表面深さは、約0.005インチ〜約0.020インチである。別の実施形態では、表面深さは、約0.006インチ〜約0.017インチである。
【0065】
本発明のディンプルは、平面形状面積をも有する。「平面形状面積」という用語は、ディンプル平面形状の平面図で見た場合の面積を意味し、観察平面は、ゴルフボールの中心と計算した表面深さの点を結ぶ軸線に対して垂直である。一実施形態では、本発明のディンプルは、約0.0025平方インチから約0.045平方インチまでの範囲にある平面形状面積を有する(なお、1平方インチは、6.45cm2であり、例えば、0.0025平方インチ=0.01613cm2である)。別の実施形態では、本発明のディンプルは、約0.005平方インチから約0.035平方インチまでの範囲にある平面形状面積を有する。さらに別の実施形態では、本発明のディンプルは、約0.010平方インチから約0.030平方インチまでの範囲にある平面形状面積を有する。
【0066】
さらに、本発明のディンプルは、ディンプル表面容積を有する。「ディンプル表面容積」という用語は、ディンプル形状およびゴルフボールの表面によって包囲された全容積を意味している。図9および図10は、本発明に従って作られたディンプルについて想定されるディンプル表面容積のグラフ図である。例えば、図9および図10は、ある範囲の表面形状面積全体についての想定されるディンプル表面容積を示している。一実施形態では、本発明に従って作られるディンプルは、図9に示されている範囲に含まれる表面形状面積およびディンプル表面容積を有する。例えば、約0.01平方インチの平面形状面積を有するディンプルは、約0.20×10-4立方インチ〜約0.50×10-4立方インチの表面容積を有するのが良い(なお、1立方インチは、16.40cm3であり、例えば、0.20×10-4立方インチ=3.28×10-4cm3である)。別の実施形態では、約0.025平方インチの平面形状面積を有するディンプルは、約0.80×10-4立方インチ〜約1.75×10-4立方インチの表面容積を有するのが良い。さらに別の実施形態では、約0.030平方インチの平面形状面積を有するディンプルは、約1.20×10-4立方インチ〜約2.40×10-4立方インチの表面容積を有するのが良い。さらに別の実施形態では、約0.045平方インチの平面形状面積を有するディンプルは、約2.10×10-4立方インチ〜約4.25×10-4立方インチの表面容積を有するのが良い。
【0067】
別の実施形態では、本発明に従って作られたディンプルは、図10に示された範囲内にある平面形状面積およびディンプル表面容積を有する。例えば、約0.01平方インチの平面形状面積を有するディンプルは、約0.25×10-4立方インチ〜約0.35×10-4立方インチの表面容積を有するのが良い。別の実施形態では、約0.025平方インチの平面形状面積を有するディンプルは、約1.10×10-4立方インチ〜約1.45×10-4立方インチの表面容積を有するのが良い。さらに別の実施形態では、約0.030平方インチの平面形状面積を有するディンプルは、約1.40×10-4立方インチ〜約1.90×10-4立方インチの表面容積を有するのが良い。
【0068】
上述したように本発明に従って有用なディンプルパターンは、必ずしも上述したような表面形状を有するディンプルだけを含む必要はないので、ディンプルパターン中に含まれる他の従来型ディンプルは、ほぼ同じ寸法を有しても良い。
【0069】
ディンプル輪郭
【0070】
ディンプルのサイズの変化に加えて、ディンプルの断面輪郭を変化させることができる。本発明によるディンプルの断面輪郭は、任意既知のディンプル輪郭形状を利用することができる。一実施形態では、ディンプルの輪郭は、曲線に対応する。例えば、本発明のディンプルは、例えば米国特許第6,796,912号明細書および同第6,729,976号明細書に開示されている軸線回りの懸垂曲線の回転によって定められるのが良く、これら米国特許を参照により引用し、これらの開示内容全体を本明細書の一部とする。別の実施形態では、ディンプル輪郭は、多項式で表される曲線、楕円形、球状曲線、皿状形状、切頭円錐形、三角関数で表される曲線、指数関数で表される曲線、または対数関数で表される曲線、および平べったくした台形に対応している。例えば、ディンプル輪郭を例えば米国特許第8,632,426号明細書に開示された円錐形によって定めるのが良く、この米国特許を参照により引用し、その開示内容を本明細書の一部とする。
【0071】
ディンプルの輪郭はまた、ゴルフボールの空気力学的特徴の設計を助けることができる。例えば、米国特許第5,566,943号明細書の浅いディンプル深さを用いると高い揚力および低い抗力係数を備えたゴルフボールを得ることができ、この米国特許を参照により引用し、この開示内容全体を本明細書の一部とする。これとは逆に、比較的深いディンプル深さは、低い揚力および低い抗力係数を備えたゴルフボールを得るのを助けることができる。
【0072】
ディンプル輪郭はまた、球形曲線と、米国特許出願公開第2012/0165130号明細書に開示されているようにこれとは異なる曲線、例えば余弦曲線、度数曲線、または懸垂曲線を組み合わせることによっても定めることができ、この米国特許出願公開を参照により引用し、その開示内容全体を本明細書の一部とする。同様に、ディンプル輪郭を2本または3本以上の曲線の組み合わせによって定めることができる。例えば、一実施形態では、ディンプル輪郭は、球形の曲線とこれとは異なる曲線を組み合わせることによって定められる。別の実施形態では、ディンプル輪郭は、余弦曲線とこれとは異なる曲線を組み合わせることによって定められる。さらに別の実施形態では、ディンプル輪郭は、度数曲線とこれとは異なる曲線を組み合わせることによって定められる。さらに別の実施形態では、ディンプル輪郭は、懸垂曲線とこれとは異なる曲線を組み合わせることによって定められる。さらに別の実施形態では、3本または4本以上の互いに異なる曲線を組み合わせることによってディンプル輪郭を定めることができる。さらに別の実施形態では、曲線のうちの1本または2本以上は、米国特許出願公開第2013/0172123号明細書に開示されているように関数的に重み付けされた曲線であっても良く、この米国特許出願公開を参照により引用し、その開示内容全体を本明細書の一部とする。
【0073】
ゴルフボール構造
【0074】
本発明のディンプルを事実上任意形式のゴルフボール構造に用いることができる。例えば、ゴルフボールは、ゴルフボールについて望ましい種類の性能に応じて、2部品設計、二重カバー、またはベニヤカバー構造を有することができる。他の適当なゴルフボール構造は、中実コア、巻きコア、液体入りコア、および/または二重コア、ならびに多数の中間層を含む。
【0075】
互いに異なる材料を本発明により作られるゴルフボールの構造に用いることができる。例えば、ゴルフボールのカバーは、熱硬化性または熱可塑性樹脂、注型可能なまたは注型できないポリウレタンおよびポリウレア、アイオノマー樹脂、バラタ、または当業者に知られている任意他の適当なカバー材料で構成できる。ゴルフボールのコアおよび中間層を形成するために従来材料および非従来材料を用いることができ、かかる材料としては、ポリブタジエンおよび他のゴムを主成分とするコア配合物、アイオノマー樹脂、中和度の高いポリマー等が挙げられる。
【0076】
実施例
【0077】
以下の非限定的な実施例は、本発明に従って作られたゴルフボールディンプルの平面形状を示している。これら実施例は、本発明の好ましい実施形態の例示に過ぎず、これら実施形態は、本発明を限定するものと解されてはならず、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって定められる。
【0078】
実施例1
【0079】
以下の実施例は、円形経路にマッピングされた低振動数高振幅のこぎり波周期関数によって定められているゴルフボールディンプル平面形状を示している。以下に示す表2は、周期関数を単純な閉じ経路上に投影するために用いられた数学パラメータを記載している。
【0080】
図11A図11Fは、表2のパラメータに従って作られたゴルフボールディンプル平面形状を示している。具体的に説明すると、図11Aは、円形経路にマッピングされた周期p=3の2項フーリエ級数によって近似されたのこぎり波関数によって定められているディンプル平面形状30を示している。図11Bは、円形経路にマッピングされた周期p=4の2項フーリエ級数によって近似されたのこぎり波関数によって定められているディンプル平面形状31を示している。図11Cは、円形経路にマッピングされた周期p=5の2項フーリエ級数によって近似されたのこぎり波関数によって定められているディンプル平面形状32を示している。図11Dは、円形経路にマッピングされた周期p=6の2項フーリエ級数によって近似されたのこぎり波関数によって定められているディンプル平面形状33を示している。図11Eは、円形経路にマッピングされた周期p=7の2項フーリエ級数によって近似されたのこぎり波関数によって定められているディンプル平面形状34を示している。図11Fは、円形経路にマッピングされた周期p=8の2項フーリエ級数によって近似されたのこぎり波関数によって定められているディンプル平面形状35を示している。
【0081】
実施例2
【0082】
以下の実施例は、円形経路にマッピングされた低振動数高振幅方形波周期関数によって定められているゴルフボールディンプル平面形状を示している。以下に示す表3は、周期関数を単純な閉じ経路上に投影するために用いられた数学パラメータを記載している。
【0083】
図12A図12Fは、表3のパラメータに従って作られたゴルフボールディンプル平面形状を示している。具体的に説明すると、図12Aは、円形経路にマッピングされた周期p=3の4項フーリエ級数によって近似された方形波関数によって定められているディンプル平面形状40を示している。図12Bは、円形経路にマッピングされた周期p=4の4項フーリエ級数によって近似された方形波関数によって定められているディンプル平面形状41を示している。図12Cは、円形経路にマッピングされた周期p=5の4項フーリエ級数によって近似された方形波関数によって定められているディンプル平面形状42を示している。図12Dは、円形経路にマッピングされた周期p=6の4項フーリエ級数によって近似された方形波関数によって定められているディンプル平面形状43を示している。図12Eは、円形経路にマッピングされた周期p=7の4項フーリエ級数によって近似された方形波関数によって定められているディンプル平面形状44を示している。図12Fは、円形経路にマッピングされた周期p=8の4項フーリエ級数によって近似された方形波関数によって定められているディンプル平面形状45を示している。
【0084】
実施例3
【0085】
以下の実施例は、円形経路にマッピングされた低振動数高振幅任意周期関数によって定められたゴルフボールディンプル平面形状を示している。以下に示された表4は、周期関数を単純な閉じ経路上に投影するために用いられた数学パラメータを記載している。
【0086】
図13A図13Fは、表4のパラメータに従って作られたゴルフボールディンプル平面形状を示している。具体的に説明すると、図13Aは、円形経路にマッピングされた周期p=3の任意周期関数によって定められているディンプル平面形状50を示している。図13Bは、円形経路にマッピングされた周期p=4の任意周期関数によって定められているディンプル平面形状51を示している。図13Cは、円形経路にマッピングされた周期p=5の任意周期関数によって定められているディンプル平面形状52を示している。図13Dは、円形経路にマッピングされた周期p=6の任意周期関数によって定められているディンプル平面形状53を示している。図13Eは、円形経路にマッピングされた周期p=7の任意周期関数によって定められているディンプル平面形状54を示している。図13Fは、円形経路にマッピングされた周期p=8の任意周期関数によって定められているディンプル平面形状55を示している。
【0087】
実施例4
【0088】
以下の実施例は、任意経路にマッピングされた低振動数高振幅任意周期関数によって定められたゴルフボールディンプル平面形状を示している。以下に示された表5は、周期関数を単純な閉じ経路上に投影するために用いられた数学パラメータを記載している。
【0089】
図14A図14Fは、表5のパラメータに従って作られたゴルフボールディンプル平面形状を示している。具体的に説明すると、図14Aは、任意経路にマッピングされた周期p=3の任意周期関数によって定められているディンプル平面形状60を示している。図14Bは、任意経路にマッピングされた周期p=4の任意周期関数によって定められているディンプル平面形状61を示している。図14Cは、任意経路にマッピングされた周期p=5の任意周期関数によって定められているディンプル平面形状62を示している。図14Dは、任意経路にマッピングされた周期p=6の任意周期関数によって定められているディンプル平面形状63を示している。図14Eは、任意経路にマッピングされた周期p=7の任意周期関数によって定められているディンプル平面形状64を示している。図14Fは、任意経路にマッピングされた周期p=8の任意周期関数によって定められているディンプル平面形状65を示している。
【0090】
本発明の広い範囲を記載した数値範囲およびパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の実施例に記載された数値は、可能な限り正確に報告されている。しかしながら、どのような数値であっても、これらそれぞれの試験測定に見受けられる標準偏差の結果として必然的に生じるある程度の誤差を本来的に含む。さらに、範囲が変化する数値の範囲が本明細書に記載されている場合、列記した値を含むこれら値の任意の組み合わせを利用することができるということが想定されている。
【0091】
本明細書において説明すると共にクレーム請求されている本発明は、本明細書に開示した特定の実施形態によって範囲が限定されることはなく、その理由は、これらの実施形態が本発明の幾つかの観点の例示であることが意図されているからである。任意の均等な実施形態が本発明の範囲に含まれることが意図されている。確かに、本明細書において図示すると共に説明した実施形態に加えて本発明の種々の改造例が上記説明から当業者には明らかになろう。かかる改造例もまた、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲に属することが意図されている。上記において引用された全ての特許および特許出願を参照により明示的に引用し、これらの記載内容全体を本明細書の一部とする。
【符号の説明】
【0092】
4 のこぎり波
6 三角波
8 方形波
10 任意の波
15 平面形状
20 経路
110 ゴルフボールディンプルパターン
115 非円形のディンプル形状
図1
図2
図3
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図10
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図15