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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-201290(P2018-201290A)
(43)【公開日】2018年12月20日
(54)【発明の名称】非接触電力伝送装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/10 20160101AFI20181122BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20181122BHJP
   H01F 38/14 20060101ALI20181122BHJP
【FI】
   H02J50/10
   H02J7/00 301D
   H01F38/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-104426(P2017-104426)
(22)【出願日】2017年5月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115738
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲頭 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121681
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 和文
(74)【代理人】
【識別番号】100130982
【弁理士】
【氏名又は名称】黒瀬 泰之
(72)【発明者】
【氏名】村井 康弘
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503GB08
(57)【要約】
【課題】電力伝送ユニットの接続作業を行う作業者がその出力レベルを手元で調整することが容易な非接触電力伝送装置を提供する。
【解決手段】非接触電力伝送装置1は、少なくとも一方から他方へ電力を非接触にて伝送する第1及び第2の電力伝送ユニット10,20と、第2の電力伝送ユニット20が固定的に収容されるとともに第1の電力伝送ユニット10を着脱可能に収容し、第2の電力伝送ユニット20に対する第1の電力伝送ユニット10の位置合わせ及び固定を行うフレーム30とを備える。受電側の電力伝送ユニット20の出力レベルは、フレーム30内に収容された第1の電力伝送ユニット10の第2の電力伝送ユニット20に対する向きによって変化する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方から他方へ電力を非接触にて伝送する第1及び第2の電力伝送ユニットと、
前記第2の電力伝送ユニットが固定的に収容されるとともに前記第1の電力伝送ユニットを着脱可能に収容し、前記第2の電力伝送ユニットに対する前記第1の電力伝送ユニットの位置合わせ及び固定を行うフレームとを備え、
受電側の電力伝送ユニットの出力レベルは、前記フレーム内に収容された前記第1の電力伝送ユニットの前記第2の電力伝送ユニットに対する向きによって変化することを特徴とする非接触電力伝送装置。
【請求項2】
前記フレーム内に収容された前記第1の電力伝送ユニットの前記第2の電力伝送ユニットに対する向きは、前記第1の電力伝送ユニットを前記フレーム内に挿入する方向によって変化する、請求項1に記載の非接触電力伝送装置。
【請求項3】
前記第1及び第2の電力伝送ユニットは、電力伝送時に互いに結合する第1及び第2の結合素子をそれぞれ含み、
第1の結合素子と第2の結合素子との重なり度は、前記第1の電力伝送ユニットを前記フレーム内に挿入する方向によって変化する、請求項1又は2に記載の非接触電力伝送装置。
【請求項4】
前記第1及び第2の結合素子の中心位置は、前記第1及び第2の電力伝送ユニットの中心位置とそれぞれ一致しており、
前記第2の電力伝送ユニットの中心位置に対する前記第1の電力伝送ユニットの中心位置のオフセット量は、前記第1の電力伝送ユニットを前記フレーム内に挿入する方向によって変化する、請求項3に記載の非接触電力伝送装置。
【請求項5】
第1及び第2の結合素子の中心位置は、第1及び第2の電力伝送ユニットの中心位置からそれぞれオフセットされており、
前記フレーム内に収容された前記第1の電力伝送ユニットの中心位置は、前記第1の電力伝送ユニットを前記フレーム内に挿入する方向によらず前記第2の電力伝送ユニットの中心位置と一致している、請求項3に記載の非接触電力伝送装置。
【請求項6】
前記フレームは、
第1の開口部と、
前記第1の開口部と異なる向きを有する第2の開口部を有し、
前記第1の電力伝送ユニットが前記第1の開口部から前記フレーム内に挿入されたときの前記受電側の電力伝送ユニットの第1の出力レベルは、前記第1の電力伝送ユニットが前記第2の開口部から前記フレーム内に挿入されたときの前記受電側の電力伝送ユニットの第2の出力レベルと異なる、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の非接触電力伝送装置。
【請求項7】
前記フレームは、
前記第1及び第2の開口部と異なる向きを有する第3の開口部と、
前記第1乃至第3の開口部と異なる向きを有する第4の開口部とをさらに有し、
前記第1の電力伝送ユニットが前記第3の開口部から前記フレーム内に挿入されたときの前記受電側の電力伝送ユニットの第3の出力レベルは、前記第1及び第2の出力レベルと異なり、
前記第1の電力伝送ユニットが前記第4の開口部から前記フレーム内に挿入されたときの前記受電側の電力伝送ユニットの第4の出力レベルは、前記第1乃至第3の出力レベルと異なる、請求項6に記載の非接触電力伝送装置。
【請求項8】
前記第2の開口部は、前記第1の開口部と反対側に位置している、請求項6又は7に記載の非接触電力伝送装置。
【請求項9】
前記第2の開口部は、前記第1の開口部と反対側に位置しており、
前記第3の開口部は、前記第1及び第2の開口部と直交しており、
前記第4の開口部は、前記第3の開口部の反対側に位置している、請求項7に記載の非接触電力伝送装置。
【請求項10】
前記フレームは、
前記第1の開口部から前記フレーム内に挿入された前記第1の電力伝送ユニットを固定する第1のロック機構と、
前記第2の開口部から前記フレーム内に挿入された前記第1の電力伝送ユニットを固定する第2のロック機構をさらに有し、
前記第1のロック機構によって前記フレーム内に固定された前記第1の電力伝送ユニットの前記第2の電力伝送ユニットに対する第1のオフセット量は、前記第2のロック機構によって前記フレーム内に固定された前記第1の電力伝送ユニットの前記第2の電力伝送ユニットに対する第2のオフセット量と異なる、請求項6に記載の非接触電力伝送装置。
【請求項11】
前記フレームは、
当該フレーム内に収容された前記第1の電力伝送ユニットと対向するアッパーフレームと、
前記アッパーフレームを支持すると共に、当該フレーム内への前記第1の電力伝送ユニットの挿入をガイドするサイドフレームとをさらに含み、
前記第1及び第2のロック機構の各々は、前記アッパーフレームに形成された板バネ部と、前記板バネ部の先端部に形成され、前記フレーム内に収容された前記第1の電力伝送ユニットに係合する爪部とを有する、請求項10に記載の非接触電力伝送装置。
【請求項12】
前記フレームは、
前記第1の開口部から前記フレーム内に挿入された前記第1の電力伝送ユニットを固定する第1のロック機構と、
前記第2の開口部から前記フレーム内に挿入された前記第1の電力伝送ユニットを固定する第2のロック機構と、
前記第3の開口部から前記フレーム内に挿入された前記第1の電力伝送ユニットを固定する第3のロック機構と、
前記第4の開口部から前記フレーム内に挿入された前記第1の電力伝送ユニットを固定する第4のロック機構とをさらに有し、
前記第1のロック機構によって前記フレーム内に固定された前記第1の電力伝送ユニットの前記第2の電力伝送ユニットに対する第1のオフセット量は、前記第2のロック機構によって前記フレーム内に固定された前記第1の電力伝送ユニットの前記第2の電力伝送ユニットに対する第2のオフセット量と異なり、
前記第3のロック機構によって前記フレーム内に固定された前記第1の電力伝送ユニットの前記第2の電力伝送ユニットに対する第3のオフセット量は、前記第1及び第2のオフセット量と異なり、
前記第4のロック機構によって前記フレーム内に固定された前記第1の電力伝送ユニットの前記第2の電力伝送ユニットに対する第4のオフセット量は、前記第1乃至第3のオフセット量と異なる、請求項7に記載の非接触電力伝送装置。
【請求項13】
前記フレームは、
当該フレーム内に収容された前記第1の電力伝送ユニットと対向するアッパーフレームと、
前記アッパーフレームを支持すると共に、当該フレーム内への前記第1の電力伝送ユニットの挿入をガイドするサイドフレームとをさらに含み、
前記第1乃至第4のロック機構の各々は、前記アッパーフレームに形成された板バネ部と、前記板バネ部の先端部に形成され、前記フレーム内に収容された前記第1の電力伝送ユニットに係合する爪部とを有する、請求項12に記載の非接触電力伝送装置。
【請求項14】
前記フレームは、前記第1の電力伝送ユニットを回転させる回転機構を有し、
前記フレーム内に収容された前記第1の電力伝送ユニットが回転することによって前記第1の電力伝送ユニットの前記第2の電力伝送ユニットに対する向きが変化する、請求項1に記載の非接触電力伝送装置。
【請求項15】
前記第1及び第2の電力伝送ユニットは、電力伝送時に互いに結合する第1及び第2の結合素子をそれぞれ含み、
第1及び第2の電力伝送ユニット内の結合素子の中心位置は、第1及び第2の電力伝送ユニットの中心位置からオフセットされており、
前記第1の結合素子と前記第2の結合素子との重なり度は、前記第1の電力伝送ユニットの前記第2の電力伝送ユニットに対する向きによって変化する、請求項14に記載の非接触電力伝送装置。
【請求項16】
前記第1の電力伝送ユニットは、電力を送電する送電ユニットであり、
前記第2の電力伝送ユニットは、前記送電ユニットから送電された電力を受電する受電ユニットである、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の非接触電力伝送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触電力伝送装置に関し、特に、送電ユニットと受電ユニットとの位置合わせ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電源ケーブルや電源コードを用いずに電力を伝送する非接触電力伝送技術が注目されている。非接触電力伝送技術は、電気的に非接触な状態を保ちながら送電側から受電側に電力を供給できることから、電車、電気自動車等の輸送機器、家電製品、電子機器、無線通信機器、玩具、産業機器といった様々な製品への応用が期待されている。
【0003】
非接触電力伝送技術に関し、例えば特許文献1には、一次側から二次側へ電気的に非接触で電力伝送を行わせるようにした非接触給電カプラが記載されている。この非接触給電カプラは、トランスの一次コイルと二次コイルに相当する一次側磁気ユニットと二次側磁気ユニットからなり、両ユニット間を磁気的に結合させることにより、電気的に非接触な状態を保ちながら交流電力を伝送することができるものである。また、一次側磁気ユニットの一次側コアは、鍔部と柱部を有する断面が略T字状に形成されたものであり、柱部の先端にはその柱部よりも細径の棒状ガイド部が同軸に突出するように取り付けられている。また二次側磁気ユニットの二次側コアは、一次側コアと共に閉磁路を形成できるように壺型に形成されており、一次側コアのガイド部の長さは壺型コアの深さよりも大きく、壺型コアの底面中央には上記ガイド部の貫挿を案内するガイド孔が設けられているので、非熟練者でも簡単に手際良く操作可能である。
【0004】
また特許文献2には、高い充電効率を維持しながら、充電用コネクタを受電用コネクタに確実に接続して保持することが可能なワイヤレス給電システムが記載されている。このワイヤレス給電システムは、インレットタイプのコネクタである充電用コネクタと、充電用コネクタが接続される受電用コネクタとを備えており、充電用コネクタのコネクタ胴体を受電用コネクタの挿入部に挿入したとき、コネクタ胴体の一端側に配置された送電部(送電用コイル)が受電用コネクタの受電本体部の一方の端面に配置された受電部(受電用コイル)と対向するので、送電部から受電部にワイヤレスで送電することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許3864094号公報
【特許文献2】特開2016−73016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非接触電力伝送技術では接続端子を外部に露出させなくてよく、接続端子の腐食等の劣化の問題がないことから、水分や油分等が多く存在する汚損環境下においても好ましく用いられている。しかしながら、汚損環境下で受電ユニットに接続されたLED照明の調光を行いたい場合やモーターの出力を可変したい場合、汚損環境下の作業エリアから遠く離れた機械室などに設置された電源部の電源電圧、動作周波数、パルス幅等を変更するため、作業者は汚損環境エリアの外に移動しなければならず、作業性が悪いという問題がある。電源出力の変更をリモコン等により行うケースも考えられるが、防水・防塵構造の高価なリモコンが必要になり、リモコンボタンの細かな操作も必要となるため作業性が悪い。したがって、汚損環境下では定期的に室内外を移動するLED照明の調光等を簡単に行うことができないという問題がある。
【0007】
したがって、本発明の目的は、電力伝送ユニットの接続作業を行う作業者がその手元で出力レベルを容易に調整することが可能な非接触電力伝送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明による非接触電力伝送装置は、少なくとも一方から他方へ電力を非接触にて伝送する第1及び第2の電力伝送ユニットと、前記第2の電力伝送ユニットが固定的に収容されるとともに前記第1の電力伝送ユニットを着脱可能に収容し、前記第2の電力伝送ユニットに対する前記第1の電力伝送ユニットの位置合わせ及び固定を行うフレームとを備え、受電側の電力伝送ユニットの出力レベルは、前記フレーム内に収容された前記第1の電力伝送ユニットの前記第2の電力伝送ユニットに対する向きによって変化することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、第1の電力伝送ユニットの向きを変えるだけの簡単な方法で受電側の出力レベルを変えることができる。したがって、汚損環境下で作業する作業者は、受電側の出力レベルを手元で容易に調整することができ、安価な構成で利便性の高い非接触電力伝送装置を提供することができる。
【0010】
本発明において、前記フレーム内に収容された前記第1の電力伝送ユニットの前記第2の電力伝送ユニットに対する向きは、前記第1の電力伝送ユニットを前記フレーム内に挿入する方向によって変化することが好ましい。この構成によれば、第1の電力伝送ユニットの挿入方向を変えるだけの簡単な方法で受電側の出力レベルを変えることができ、出力レベルを変えるための複雑な機構は一切不要である。したがって、安価な構成で利便性の高い非接触電力伝送装置を提供することができる。
【0011】
本発明において、前記第1及び第2の電力伝送ユニットは、電力伝送時に互いに結合する第1及び第2の結合素子をそれぞれ含み、第1の結合素子と第2の結合素子との重なり度は、前記第1の電力伝送ユニットを前記フレーム内に挿入する方向によって変化することが好ましい。この構成によれば、第1の電力伝送ユニットの挿入方向を変えるだけの簡単な方法で第1の結合素子と第2の結合素子との重なり度(対向面積)を変えることができる。第1の結合素子と第2の結合素子との重なり度が変わることにより両者の結合度(磁気結合又は容量結合)が変化するので、受電側の出力レベルを変えることができる。
【0012】
本発明において、前記第1及び第2の結合素子の中心位置は、前記第1及び第2の電力伝送ユニットの中心位置とそれぞれ一致しており、前記第2の電力伝送ユニットの中心位置に対する前記第1の電力伝送ユニットの中心位置のオフセット量は、前記第1の電力伝送ユニットを前記フレーム内に挿入する方向によって変化することが好ましい。この構成によれば、第1の電力伝送ユニットの挿入方向によってフレーム内の第1の電力伝送ユニットと第2の電力伝送ユニットとの重なり度が変わると共に、第1の電力伝送ユニット内の第1の結合素子と第2の電力伝送ユニット内の第2の結合素子との重なり度も変わるので、第1の電力伝送ユニットの挿入方向を変えるだけの簡単な方法で受電側の出力レベルを変えることができる。
【0013】
本発明において、第1及び第2の結合素子の中心位置は、第1及び第2の電力伝送ユニットの中心位置からそれぞれオフセットされており、前記フレーム内に収容された前記第1の電力伝送ユニットの中心位置は、前記第1の電力伝送ユニットを前記フレーム内に挿入する方向によらず前記第2の電力伝送ユニットの中心位置と一致していることもまた好ましい。この構成によれば、フレーム内の第1の電力伝送ユニットと第2の電力伝送ユニットとの重なり度を変えなくても、第1の電力伝送ユニットの挿入方向を変えるだけで第1の電力伝送ユニット内の第1の結合素子と第2の電力伝送ユニット内の第2の結合素子との重なり度が変わるので、第1の電力伝送ユニットの挿入方向を変えるだけの簡単な方法で受電側の出力レベルを変えることができる。
【0014】
本発明において、前記フレームは、第1の開口部と、前記第1の開口部と異なる向きを有する第2の開口部を有し、前記第1の電力伝送ユニットが前記第1の開口部から前記フレーム内に挿入されたときの前記受電側の電力伝送ユニットの第1の出力レベルは、前記第1の電力伝送ユニットが前記第2の開口部から前記フレーム内に挿入されたときの前記受電側の電力伝送ユニットの第2の出力レベルと異なることが好ましい。この構成によれば、第1の電力伝送ユニットの挿入方向を変えるだけの簡単な方法で受電側の出力レベルの少なくとも2段階の変化を容易に実現することができる。
【0015】
本発明において、前記フレームは、前記第1及び第2の開口部と異なる向きを有する第3の開口部と、前記第1乃至第3の開口部と異なる向きを有する第4の開口部とをさらに有し、前記第1の電力伝送ユニットが前記第3の開口部から前記フレーム内に挿入されたときの前記受電側の電力伝送ユニットの第3の出力レベルは、前記第1及び第2の出力レベルと異なり、前記第1の電力伝送ユニットが前記第4の開口部から前記フレーム内に挿入されたときの前記受電側の電力伝送ユニットの第4の出力レベルは、前記第1乃至第3の出力レベルと異なることが好ましい。この構成によれば、第1の電力伝送ユニットの挿入方向を変えるだけの簡単な方法で受電側の出力レベルの4段階の変化を容易に実現することができる。
【0016】
本発明において、前記第2の開口部は、前記第1の開口部と反対側に位置していることが好ましい。この構成によれば、第1の開口部からフレーム内に侵入した異物は第2の開口部から排出されやすく、フレーム内に異物が蓄積し難い。またフレーム内に異物が侵入しても第1の開口部又は第2の開口部を通じてフレーム内の掃除が容易である。したがって、フレーム内に堆積した異物が第1の電力伝送ユニットと干渉して第1の電力伝送ユニットと第2の電力伝送ユニットとの位置ずれが生じ、あるいは第1の電力伝送ユニットと第2の電力伝送ユニットとの間に異物が挟まって両者の密着度が低下(結合素子間の距離が拡大)することにより、両者の磁気結合度が低下して電力伝送効率が低下することを防止することができる。
【0017】
本発明において、前記第2の開口部は、前記第1の開口部と反対側に位置しており、前記第3の開口部は、前記第1及び第2の開口部と直交しており、前記第4の開口部は、前記第3の開口部の反対側に位置していることが好ましい。この構成によれば、第3の開口部からフレーム内に侵入した異物は第4の開口部から排出されやすく、フレーム内に異物が蓄積し難い。またフレーム内に異物が侵入しても第3の開口部又は第4の開口部を通じてフレーム内の掃除が容易である。したがって、フレーム内に堆積した異物が第1の電力伝送ユニットと干渉して第1の電力伝送ユニットと第2の電力伝送ユニットとの位置ずれが生じ、あるいは第1の電力伝送ユニットと第2の電力伝送ユニットとの間に異物が挟まって両者の密着度が低下(結合素子間の距離が拡大)することにより、両者の磁気結合度が低下して電力伝送効率が低下することを防止することができる。
【0018】
本発明において、前記フレームは、前記第1の開口部から前記フレーム内に挿入された前記第1の電力伝送ユニットを固定する第1のロック機構と、前記第2の開口部から前記フレーム内に挿入された前記第1の電力伝送ユニットを固定する第2のロック機構をさらに有し、前記第1のロック機構によって前記フレーム内に固定された前記第1の電力伝送ユニットの前記第2の電力伝送ユニットに対する第1のオフセット量は、前記第2のロック機構によって前記フレーム内に固定された前記第1の電力伝送ユニットの前記第2の電力伝送ユニットに対する第2のオフセット量と異なることが好ましい。この構成によれば、第1の電力伝送ユニットの挿入方向を変えるだけの簡単な方法で、第2の電力伝送ユニットに対する第1の電力伝送ユニットのオフセット量を異ならせることができ、これにより受電側の出力レベルを変化させることができる。
【0019】
本発明において、前記フレームは、当該フレーム内に収容された前記第1の電力伝送ユニットと対向するアッパーフレームと、前記アッパーフレームを支持すると共に、当該フレーム内への前記第1の電力伝送ユニットの挿入をガイドするサイドフレームとをさらに含み、前記第1及び第2のロック機構の各々は、前記アッパーフレームに形成された板バネ部と、前記板バネ部の先端部に形成され、前記フレーム内に収容された前記第1の電力伝送ユニットに係合する爪部とを有することが好ましい。この構成によれば、2つの挿入口を持つフレームに第1の電力伝送ユニットを挿入する際、第1の電力伝送ユニットはフレームに設けられた爪部と係合することによって固定されるが、第1の電力伝送ユニットの挿入方向により両者の重なり度(対向面積)が変化するので、出力レベルの2段階の変化を容易に実現することができる。
【0020】
本発明において、前記フレームは、前記第1の開口部から前記フレーム内に挿入された前記第1の電力伝送ユニットを固定する第1のロック機構と、前記第2の開口部から前記フレーム内に挿入された前記第1の電力伝送ユニットを固定する第2のロック機構と、前記第3の開口部から前記フレーム内に挿入された前記第1の電力伝送ユニットを固定する第3のロック機構と、前記第4の開口部から前記フレーム内に挿入された前記第1の電力伝送ユニットを固定する第4のロック機構とをさらに有し、前記第1のロック機構によって前記フレーム内に固定された前記第1の電力伝送ユニットの前記第2の電力伝送ユニットに対する第1のオフセット量は、前記第2のロック機構によって前記フレーム内に固定された前記第1の電力伝送ユニットの前記第2の電力伝送ユニットに対する第2のオフセット量と異なり、前記第3のロック機構によって前記フレーム内に固定された前記第1の電力伝送ユニットの前記第2の電力伝送ユニットに対する第3のオフセット量は、前記第1及び第2のオフセット量と異なり、前記第4のロック機構によって前記フレーム内に固定された前記第1の電力伝送ユニットの前記第2の電力伝送ユニットに対する第4のオフセット量は、前記第1乃至第3のオフセット量と異なることもまた好ましい。この構成によれば、第1の電力伝送ユニットの挿入方向を変えるだけの簡単な方法で、第2の電力伝送ユニットに対する第1の電力伝送ユニットのオフセット量を異ならせることができ、これにより受電側の出力レベルを変化させることができる。
【0021】
本発明において、前記フレームは、当該フレーム内に収容された前記第1の電力伝送ユニットと対向するアッパーフレームと、前記アッパーフレームを支持すると共に、当該フレーム内への前記第1の電力伝送ユニットの挿入をガイドするサイドフレームとをさらに含み、前記第1乃至第4のロック機構の各々は、前記アッパーフレームに形成された板バネ部と、前記板バネ部の先端部に形成され、前記フレーム内に収容された前記第1の電力伝送ユニットに係合する爪部とを有することが好ましい。この構成によれば、4つの挿入口を持つフレームに第1の電力伝送ユニットを挿入する際、第1の電力伝送ユニットはフレームに設けられた爪部と係合することによって固定されるが、第1の電力伝送ユニットの挿入方向により両者の重なり度(対向面積)が変化するので、出力レベルの4段階の変化を容易に実現することができる。すなわち、第1の電力伝送ユニットのフレーム内への挿入口をさらに増やした構造により、第1の電力伝送ユニットの挿入方向により両者の重なり度(対向面積)がさらに変化するので、出力レベルの4段階の変化を容易に実現することができる。
【0022】
本発明において、前記フレームは、前記第1の電力伝送ユニットを回転させる回転機構を有し、前記フレーム内に収容された前記第1の電力伝送ユニットが回転することによって前記第1の電力伝送ユニットの前記第2の電力伝送ユニットに対する向きが変化することが好ましい。この構成によれば、フレーム内に収容された状態の第1の電力伝送ユニットを回転させるだけで受電側の出力レベルを変えることができる。したがって、汚損環境下で作業する作業者は、受電側の出力レベルを手元で容易に調整することができ、利便性の高い非接触電力伝送装置を提供することができる。
【0023】
本発明において、前記第1及び第2の電力伝送ユニットは、電力伝送時に互いに結合する第1及び第2の結合素子をそれぞれ含み、第1及び第2の電力伝送ユニット内の結合素子の中心位置は、第1及び第2の電力伝送ユニットの中心位置からオフセットされており、前記第1の結合素子と前記第2の結合素子との重なり度は、前記第1の電力伝送ユニットの前記第2の電力伝送ユニットに対する向きによって変化することが好ましい。この構成によれば、第2の電力伝送ユニットに対する第1の電力伝送ユニットの中心位置をオフセットさせることなく第1の結合素子と第2の結合素子との重なり度を容易に変化させることができる。したがって、作業者は、受電側の出力レベルを手元で容易に調整することができ、利便性の高い非接触電力伝送装置を提供することができる。
【0024】
本発明において、前記第1の電力伝送ユニットは、電力を送電する送電ユニットであり、前記第2の電力伝送ユニットは、前記送電ユニットから送電された電力を受電する受電ユニットであることが好ましい。これによれば、受電ユニットに対して送電ユニットを着脱可能な非接触電力伝送装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、電力伝送ユニットの接続作業を行う作業者がその手元で出力レベルを容易に調整することが可能な非接触電力伝送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本発明の第1の実施の形態による非接触電力伝送装置の構造を示す略斜視図である。
図2図2は、送電ユニット10又は受電ユニット20の基本構造を示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A'線に沿った側面断面図である。
図3図3は、送電ユニット10と受電ユニット20とを組み合わせた状態を示す側面断面図である。
図4図4は、非接触電力伝送装置1の略斜視図であって、特に送電ユニット10の挿入方向(Y1方向)から見た斜視図である。
図5図5は、非接触電力伝送装置1の略斜視図であって、特に送電ユニット10の挿入方向と反対方向(Y2方向)から見た斜視図である。
図6図6(a)〜(c)は、受電ユニット20に対する送電ユニット10の接続動作を説明するための略側面断面図であって、第1の開口部30Aから送電ユニット10を挿入する場合を示している。
図7図7(a)〜(c)は、受電ユニット20に対する送電ユニット10の接続動作を説明するための略側面断面図であって、第2の開口部30Bから送電ユニット10を挿入する場合を示している。
図8図8は、本発明の第2の実施の形態による非接触電力伝送装置の構造を示す略斜視図である。
図9図9(a)〜(d)は、送電ユニットの挿入方向と送電ユニットと受電ユニットとの重なり度との関係を説明するための平面図である。
図10図10(a)〜(f)は、本発明の第3の実施の形態による非接触電力伝送装置の構成を示す図であって、特に、(a)は送電ユニット10内の送電コイル11Aのレイアウトを示す平面図、(b)は受電ユニット20内の受電コイル11Bのレイアウトを示す平面図、(c)〜(f)は送電ユニット10を受電ユニット20に設置したときの位置関係を示す平面図である。
図11図11(a)〜(c)は、本発明の第4の実施の形態による非接触電力伝送装置の構成を示す略平面図である。
図12図12(a)及び(b)は、図11(a)のA−A線に沿った非接触電力伝送装置の断面図であって、(a)は固定状態、(b)は回転可能な状態をそれぞれ示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0028】
図1は、本発明の第1の実施の形態による非接触電力伝送装置の構造を示す略斜視図である。
【0029】
図1に示すように、この非接触電力伝送装置1は、電力を非接触にて送電する送電ユニット10と、電力を非接触にて受電する受電ユニット20と、受電ユニット20が固定的に収容されると共に送電ユニット10を着脱可能に収容し、受電ユニット20に対する送電ユニット10の位置合わせ及び固定を行うフレーム30とを備えている。
【0030】
送電ユニット10及び受電ユニット20は、電力伝送コイル及びその駆動回路基板が一つのケース内に収容されてパッケージ化された電力伝送ユニットである。送電ユニット10は、電力を送電する送電コイル及びインバータ等の送電回路を有しており、外部直流電源から電源ケーブル15Aを介して送電ユニット10に供給された電力は、送電回路によって交流電力に変換された後、送電コイルに供給され、送電コイルからは交流電力が電磁エネルギーとして出力される。また受電ユニット20は、送電コイルからの電力を受電する受電コイル及び整流平滑回路等の受電回路を有しており、受電ユニット20が受電した交流電力は、受電回路内の整流平滑回路によって直流電力に変換された後、電源ケーブル15Bを介して例えばLEDなどの負荷に供給される。
【0031】
フレーム30は送電ユニット10と受電ユニット20とを機械的に接続するためのコネクタ構造を有しており、受電ユニット20はフレーム30と一体化されている。送電ユニット10はフレーム30を介して受電ユニット20に取り付けられ、受電ユニット20からの取り外しも容易である。このように、フレーム30と一体化された受電ユニット20は、送電ユニット10と機械的に接続されるが、送電ユニット10との電気的な接点を持たない無接点でコネクタを構成している。送電ユニット10が受電ユニット20と対向する位置で固定されることにより、送電ユニット10から受電ユニット20への電力伝送効率を高めることができる。
【0032】
フレーム30は、送電ユニット10の第1の挿入口を構成する第1の開口部30Aと、第1の開口部30Aの反対側に設けられ、送電ユニット10の第2の挿入口を構成する第2の開口部30Bとを有している。送電ユニット10は、第1の開口部30Aが設けられたY1方向(第1の方向)からフレーム30に挿入することができ、また第2の開口部30Bが設けられたY2方向(第2の方向)からもフレーム30内に挿入することができる。またフレーム30には、第1の開口部30Aからフレーム30内に挿入された送電ユニット10の位置を固定するロック機構35Aと、第2の開口部30Aからフレーム30内に挿入された送電ユニット10の位置を固定するロック機構35Bが設けられている。
【0033】
送電ユニット10及び受電ユニット20の概略形状は同一であり、特に平面視で線対称及び回転対称であるため、受電ユニット20に対する送電ユニット10の位置決めは容易である。また、送電ユニット10及び受電ユニット20には同一の形状及びサイズのケースが用いられており、構成部品の共通化によるコストダウンが図られている。
【0034】
本実施形態において、送電ユニット10及び受電ユニット20の平面形状は矩形であり、Y方向の幅はX方向の幅よりも広い。これに対し、フレーム30の平面形状は図1に示すように略正方形であり、Y方向の幅はX方向の幅とほぼ等しい。
【0035】
図2は、送電ユニット10又は受電ユニット20の基本構造を示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A'線に沿った側面断面図である。
【0036】
図2(a)及び(b)に示すように、送電ユニット10及び受電ユニット20の基本的な構造は同じであり、電力伝送コイル11と、電力伝送コイル11に接続された回路基板12と、電力伝送コイル11と回路基板12とを収容する薄型のケース13とを備えている。送電ユニット10において、電力伝送コイル11は送電コイル11A(第1の結合素子)であり、回路基板12は送電コイル11Aを駆動するためのインバータ等の送電回路が実装された送電回路基板12Aである。また受電ユニット20である場合、電力伝送コイル11は受電コイル11B(第2の結合素子)であり、回路基板12は受電コイル11Bからの交流電力を直流電力に変換する整流平滑回路等の受電回路が実装された受電回路基板12Bである。
【0037】
電力伝送コイル11は平面視にてケース13の中央に配置されており、電力伝送コイル11の中心位置はケース13の中心位置と一致している。また電力伝送コイル11は、回路基板12よりもケース本体13aの底面側に配置されており、回路基板12はケース13の蓋13b寄り(上面寄り)に配置されている。電力伝送コイル11は支持基板14の主面に渦巻状に巻回されてなるスパイラルコイルである。電力伝送コイル11の支持基板14は磁性体からなることが好ましい。この場合、電力伝送コイル11は支持基板14よりもケース本体13aの底面側に配置されている。磁性シートや薄い磁性基板を電力伝送コイル11の磁性コアとして使用し、磁性コアを電力伝送コイル11よりも回路基板12寄りに配置することにより、給電方向と反対面への磁気を遮蔽(抑制)することができる。
【0038】
詳細は後述するが、ケース13の蓋13bの上面には凸部13d及びストッパー13sが形成されている。凸部13d及びストッパー13sは、フレーム30にセットした送電ユニット10の位置決め固定のために設けられている。またストッパー13sは送電ユニット10をフレーム30から引き出す際のつまみ部として使用される。
【0039】
図3は、送電ユニット10と受電ユニット20とを組み合わせた状態を示す側面断面図である。
【0040】
図3に示すように、送電ユニット10をフレーム30内に挿入して受電ユニット20と組み合わせた状態では、送電ユニット10及び受電ユニット20のケース13の底面どうしが対向し、これにより送電コイル11Aと受電コイル11Bとが対向して近接配置されるので、両者は磁気結合可能となる。送電コイル11Aから発生した磁束は受電コイル11Bと鎖交するので、送電ユニット10から受電ユニット20へ非接触で電力を供給することができる。送電ユニット10と受電ユニット20とを電気的に直接接続する接触給電方式の場合、接続端子が外部に露出するため、水分(湿度)や油分等が多量に存在する汚損環境下では接続端子が劣化しやすく、送電ユニット10の挿抜が頻繁に行われる場合には接続端子の劣化が顕著である。しかし、本実施形態においては、電気的に非接触な状態を保ちながら送電ユニット10から受電ユニット20へ電力を伝送するので、接続端子の劣化の問題がなく、汚損環境下でも電力伝送ユニットの耐久性及び信頼性を確保することができる。
【0041】
フレーム30は、第1の開口部30Aと、第1の開口部30Aの反対側に位置している第2の開口部30Bと、第1の開口部30Aからフレーム30内に挿入された送電ユニット10の位置を固定する第1のロック機構35Bと、第2の開口部30Bからフレーム30内に挿入された送電ユニット10の位置を固定する第2のロック機構35Bとを有している。図示の送電ユニット10は第1の開口部30Aからフレーム30内に挿入された状態を示している。第1及び第2のロック機構35A,35Bの各々は、凸部13dと係合する爪部37A,37Bをそれぞれ有している。
【0042】
本実施形態において、第1の開口部30Aから第1のロック機構35Aの爪部37Aまでの第1の距離L、第2の開口部30Bから第2のロック機構35Bの爪部37Bまでの第2の距離Lとするとき、L>Lとなっている。そのため、第1の開口部30Aから挿入した送電ユニット10の受電ユニット20に対する固定位置は、第2の開口部30Bから挿入した送電ユニット10の受電ユニット20に対する固定位置と異なるものとなる。
【0043】
図4及び図5は、非接触電力伝送装置1の略斜視図であって、特に図4は送電ユニット10の挿入方向(Y1方向)から見た斜視図、また図5図4と反対方向(Y2方向)から見た斜視図である。
【0044】
図4及び図5に示すように、本実施形態によるフレーム30は樹脂製であり、フレーム30の上面を構成する平板状のアッパーフレーム31と、アッパーフレーム31を支持するサイドフレーム32,33と、フレーム30の底面を構成するボトムフレーム34とを有している。本実施形態において、サイドフレーム32,33は、受電ユニット20の長手方向と平行な2つ側面の外側をカバーする互いに平行な左右の側壁を構成しており、送電ユニット10のフレーム30内への挿入をガイドするガイド部材としても機能する。
【0045】
アッパーフレーム31は、送電ユニット10の収容スペースを挟んでフレーム30内の受電ユニット20と対向しており、フレーム30内に送電ユニット10を収容した時には送電ユニット10の蓋13bと対向する。サイドフレーム32,33と直交する2つの側面には第1の開口部30A及び第2の開口部30Bが設けられている。フレーム30の内部空間は、電力伝送ユニットの上下二段の収容スペースであり、下段スペースには受電ユニット20が常時収容されており、上段スペースには送電ユニット10が着脱自在に収容される。
【0046】
第1及び第2の開口部30A,30Bは共に送電ユニット10の挿入口を構成しており、そのため送電ユニット10を挿入可能な開口形状を有している。特に、サイドフレーム32,33のY方向の両端面にはフランジ部32f、33fがそれぞれ形成されると共に、フランジ部32f、33fの一部を切り欠いてなるガイド溝30gが形成されている。フランジ部32f、33fは、送電ユニット10のケース13の幅方向両側に突出する蓋13bの端部13gと干渉するが、蓋13bの高さをガイド溝30gの位置に合わせて挿入することにより蓋13bとフランジ部32f、33fとの干渉を回避して送電ユニット10をケース13内に挿入することができる。この場合、送電ユニット10のケース13の蓋13bの端部13gはガイドレールとして機能し、送電ユニット10のケース13の蓋13bの端部13gをガイド溝30gに嵌合させることで受電ユニット20に対する送電ユニット10の幅方向(X方向)及び高さ方向(Z方向)の位置合わせを確実に行うことができる。
【0047】
フレーム30のアッパーフレーム31には、第1の開口部30Aからフレーム30内に挿入された送電ユニット10をロックする第1のロック機構35Aと、第2の開口部30Bからフレーム30内に挿入された送電ユニット10をロックする第2のロック機構35Bが設けられている。第1及び第2のロック機構35A,35Bは、アッパーフレーム31を平面視で略U字状に切り欠いて板バネ部を形成し、この板バネ部の先端に下向きの爪部を設けたものである。第1のロック機構35Aの爪部又は第2のロック機構35Bを送電ユニット10の上面に設けられた凸部13dに係合させることにより、送電ユニット10を固定することができる。
【0048】
本実施形態において、第1の開口部30Aから見た第1のロック機構35Aの形成位置と第2の開口部30Bから見た第2のロック機構35Bの形成位置は異なっている。そのため、第1の開口部30Aから挿入されてフレーム30内に固定された送電ユニット10の受電ユニット20との重なり度は、第2の開口部30Bから挿入されてフレーム30内に固定された送電ユニット10と異なる。したがって、送電ユニット10を第1の開口部30Aから挿入した時と第2の開口部30Bから挿入した時とで受電ユニット20からの出力レベルを変えることができる。
【0049】
図6及び図7は、受電ユニット20に対する送電ユニット10の接続動作を説明するための略側面断面図であって、特に図6(a)〜(c)は第1の開口部30Aから送電ユニット10を挿入する場合、図7(a)〜(c)は第2の開口部30Bから送電ユニット10を挿入する場合をそれぞれ示している。
【0050】
図6(a)に示すように、送電ユニット10を第1の開口部30Aからフレーム30内に挿入すると、送電ユニット10はガイド溝30gに沿って前進し、送電ユニット10の上面に設けられた凸部13dは徐々に第1のロック機構35Aの爪部37Aに近づく。図6(b)に示すように、凸部13dが爪部37Aに当接すると、爪部37A及び板バネ部36Aは凸部13dによって上方に押し上げられ、板バネ部36Aは弾性変形する。このとき、送電ユニット10の送電コイル11Aと受電ユニット20の受電コイル11Bは、結合度が小さい状態で磁気結合し始める。
【0051】
図6(c)に示すように、送電ユニット10をさらに奥へスライドさせると、爪部37Aは凸部13dを乗り越えた後、板バネ部36Aの弾性力によって下方に押し下げられて凸部13dと係合する。このときフレーム30の端面30e(アッパーフレーム31の端面)が送電ユニット10の上面に設けられたストッパー13sに当接し、送電ユニット10のそれ以上奥への挿入が阻止される。したがって、送電ユニット10は受電ユニット20と対向する位置でフレーム30に固定され、送電ユニット10の送電コイル11Aと受電ユニット20の受電コイル11Bとの磁気結合度は大きくなる。この固定位置において、送電ユニット10は受電ユニット20と完全に重なり合っており、送電コイル11Aのコイル軸Cの受電コイル11Bのコイル軸Cに対するオフセット量はゼロである。そのため、送電コイル11Aと受電コイル11Bとの磁気結合度を最大にすることができ、受電ユニット20の出力レベルPを最大にすることができる。
【0052】
次に図7(a)に示すように、送電ユニット10を第2の開口部30Bからフレーム30内に挿入すると、送電ユニット10はガイド溝30gに沿って前進し、送電ユニット10の上面に設けられた凸部13dは徐々に第2のロック機構35Bの爪部37Bに近づく。図7(b)に示すように、凸部13dが爪部37Bに当接すると、爪部37B及び板バネ部36Bは凸部13dによって上方に押し上げられ、板バネ部36Bは弾性変形する。このとき、送電ユニット10の送電コイル11Aと受電ユニット20の受電コイル11Bは、結合度が小さい状態で磁気結合し始める。
【0053】
図7(c)に示すように、送電ユニット10をさらに奥へスライドさせると、爪部37Bは凸部13dを乗り越えた後、板バネ部36Bの弾性力によって下方に押し下げられて凸部13dと係合する。このときフレーム30の端面30e(アッパーフレーム31の端面)が送電ユニット10の上面に設けられたストッパー13sに当接し、送電ユニット10のそれ以上奥への挿入が阻止される。したがって、送電ユニット10は受電ユニット20と対向する位置でフレーム30に固定され、送電ユニット10の送電コイル11Aと受電ユニット20の受電コイル11Bとの磁気結合度は大きくなる。この固定位置では、送電コイル11Aのコイル軸Cの受電コイル11Bのコイル軸Cに対するオフセット量dが大きいため、受電ユニット20の出力レベルPは、出力レベルPよりも小さくなる(P<P)。
【0054】
上記のように、第2の開口部30Bから第2のロック機構35Bの爪部37Bまでの第2の距離Lは、第1の開口部30Aから第1のロック機構35Aの爪部37Aまでの第1の距離Lよりも短い(図3参照)。そのため、第1の開口部30Aから挿入したときの送電ユニット10と受電ユニット20との重なり度は、第2の開口部30Bから挿入したときの送電ユニット10と受電ユニット20との重なり度と異なるものとなる。これにより、第1の開口部30Aから挿入したときの送受電コイル間の磁気結合度と第2の開口部から挿入したときの送受電コイル間の磁気結合度も変わるので、送電ユニット10の挿入方向を変えるだけの簡単な方法で受電側の出力レベルを変えることが可能となる。
【0055】
なお第1のロック機構35Aによる送電ユニット10と受電ユニット20とのロックを解除する場合には爪部37Aの上方に設けられた突起部38Aを引っ張り上げればよい。これにより板バネ部36Aと共に爪部37Aが持ち上がり、爪部37Aと凸部13dとの係合が解除される。第2のロック機構35Bによる送電ユニット10と受電ユニット20とのロックを解除する場合も同様に突起部38Bを引っ張り上げればよい。したがって、送電ユニット10のロックを解除してフレーム30から取り出すことができる。
【0056】
受電ユニット20には送電ユニット10が常に接続されているわけではなく、受電ユニット20への電力供給が不要な場合には送電ユニット10が取り外されることも多い。そのような場合、フレーム30の上段スペースは空いたままである。汚損環境下においてこのような上段スペースの空き状況が続くと、第1の開口部30Aから異物が侵入してフレーム30内に異物が蓄積しやすい。特に従来のように第1の開口部30Aが形成された側面とは反対側の側面に第2の開口部30Bが設けられておらず側壁で塞がれている場合には、フレーム30内に多量の異物が蓄積し、第1の開口部30Aから異物を取り出すことも非常に困難である。
【0057】
しかし、本実施形態においては、第1の開口部30Aとは反対側にも第2の開口部30Bが設けられているので、第1の開口部30Aからフレーム30内に侵入したごみ等の異物が第2の開口部30Bから排出されやすく、フレーム30内に異物が蓄積し難い。またフレーム30内に異物が侵入しても第1の開口部30Aまたは第2の開口部30Bを通じてフレーム30内の掃除が容易である。したがって、フレーム30内に堆積した異物が送電ユニット10と干渉して送電ユニット10と受電ユニット20との位置ずれが生じ、あるいは送電ユニット10と受電ユニット20との間に異物が挟まって両者の密着度が低下(コイル間の距離が拡大)することにより、両者の磁気結合度が低下して電力伝送効率が低下することを防止することができる。
【0058】
以上説明したように、本実施形態による非接触電力伝送装置1は、2方向から送電ユニット10をセット可能であり、送電ユニット10の挿入方向を変えるだけで受電ユニット20の中心位置に対する送電ユニット10の中心位置のオフセット量が変わり、受電ユニット20に対する送電ユニット10のオフセット量が変わることにより、送電コイル11Aと受電コイル11Bとの重なり度及び磁気結合度が変わり、これにより受電ユニット20の出力レベルが変化する。したがって、汚損環境下において出力レベルを手元で容易に可変することができ、安価な構成で利便性の高い非接触電力伝送装置を提供することができる。
【0059】
図8は、本発明の第2の実施の形態による非接触電力伝送装置の構造を示す略斜視図である。
【0060】
図8に示すように、この非接触電力伝送装置2の特徴は、フレーム30の4つの側面に4つの開口部30A,30B,30C,30Dがそれぞれ設けられており、送電ユニット10を4方向から挿入可能な点にある。すなわち、フレーム30は、送電ユニット10の第1の挿入口を構成する第1の開口部30Aと、第1の開口部30Aの反対側に設けられ、送電ユニット10の第2の挿入口を構成する第2の開口部30Bと、送電ユニット10の第3の挿入口を構成する第3の開口部30Cと、第3の開口部30Cの反対側に設けられ、送電ユニット10の第4の挿入口を構成する第4の開口部30Dとを有している。第1及び第2の開口部30A,30Bと、第3及び第4の開口部30C,30Dは互いに直交関係にあり、よって第1の開口部30Aからの第1の挿入方向(Y1方向)及び第2の開口部30Bからの第2の挿入方向(Y2方向)と、第3の開口部30Cからの第3の挿入方向(X1方向)及び第4の開口部30Dからの第4の挿入方向(X2方向)は互いに直交している。説明の便宜上、図8には4つの送電ユニット10を示しているが、フレーム30内にはいずれか一つの送電ユニット10だけを収容可能である。
【0061】
4方向からの挿入を実現するため、フレーム30には4つのロック機構が設けられている。すなわち、フレーム30は、第1の開口部30Aからフレーム30内に挿入された送電ユニット10をロックする第1のロック機構35Aと、第2の開口部30Bからフレーム30内に挿入された送電ユニット10をロックする第2のロック機構35Bと、第3の開口部30Cからフレーム30内に挿入された送電ユニット10をロックする第3のロック機構35Cと、第4の開口部30Dからフレーム30内に挿入された送電ユニット10をロックする第4のロック機構35Dとを有している。第1〜第4のロック機構35A〜35Dは、フレーム30のアッパーフレーム31の第1〜第4の開口部30A〜30D寄りにそれぞれ設けられている。第1〜第4のロック機構35A〜35Dはいずれも、アッパーフレーム31を切り欠いて形成された板バネ部の先端部に爪部が形成されたものであり、爪部が送電ユニット10側の凸部13dに係合することにより、送電ユニット10は固定される。
【0062】
本実施形態において、第1〜第4の開口部30A〜30Dから見た第1〜第4のロック機構35A〜35Dの形成位置はそれぞれ異なっている。詳細には、第1の開口部30Aから第1のロック機構35Aの爪部までの第1の距離L、第2の開口部30Bから第2のロック機構35Bの爪部までの第2の距離L、第3の開口部30Cから第3のロック機構35Cの爪部までの第1の距離L、第4の開口部30Dから第4のロック機構35Dの爪部までの第2の距離Lとするとき、L>L>L>Lの関係を有している。そのため、各開口部30Aから挿入してフレーム30内に固定された送電ユニット10の中心位置の受電ユニット20の中心位置に対するオフセット量も相互に異なるものとなる。これにより、送電コイル11Aの受電コイル11Bに対するオフセット量も変化する。
【0063】
図9(a)〜(d)は、送電ユニットの挿入方向と送電ユニットと受電ユニットとの重なり度との関係を説明するための平面図である。
【0064】
図9(a)に示すように、Y方向から第1の開口部30Aに送電ユニット10を挿入してセットする場合、送電ユニット10の長手方向は受電ユニット20の長手方向と一致し、送電ユニット10は第1のロック機構35Aによって受電ユニット20と完全に重なる位置で固定され、送電ユニット10と受電ユニット20のコイル軸は一致する(オフセットなし)。そのため、送電コイル11Aと受電コイル11Bの磁気結合度は最大となり、受電ユニット20の出力レベルPは最大となる。
【0065】
図9(b)に示すように、Y方向と逆方向のY方向から第2の開口部30Bに送電ユニット10を挿入してセットする場合、送電ユニット10の長手方向は受電ユニット20の長手方向と一致しているが、送電ユニット10は第2のロック機構35Bによって受電ユニット20と完全に重なる位置よりも少し手前で固定され、送電コイル11Aのコイル軸は受電コイル11Bのコイル軸に対してオフセットされる。そのため、送電コイル11Aと受電コイル11Bの磁気結合度は図9(a)の場合よりも少し小さくなり、受電ユニット20の出力レベルPは出力レベルPよりも小さくなる(P<P)。
【0066】
図9(c)に示すように、Y方向及びY方向と直交するX方向から第3の開口部30Cに送電ユニット10を挿入してセットする場合、送電ユニット10の長手方向の向きは受電ユニット20の長手方向と直交しており、送電コイル11Aのコイル軸は受電コイル11Bのコイル軸に対してオフセットされ、送電コイル11Aと受電コイル11Bとの重なり度は図9(b)の場合よりも小さくなる。そのため、送電コイル11Aと受電コイル11Bの磁気結合度もさらに小さくなり、受電ユニット20の出力レベルPは出力レベルPよりも小さくなる(P<P<P)。
【0067】
図9(d)に示すように、X方向と逆方向のX方向から第4の開口部30Dに送電ユニット10を挿入してセットする場合、送電ユニット10の長手方向の向きは受電ユニット20の長手方向と直交しており、送電コイル11Aのコイル軸は受電コイル11Bのコイル軸に対してオフセットされ、送電コイル11Aと受電コイル11Bとの重なり度は図9(c)の場合よりも小さくなる。そのため、送電コイル11Aと受電コイル11Bの磁気結合度もさらに小さくなり、受電ユニット20の出力レベルPは出力レベルPよりもさらに小さくなる(P<P<P<P)。
【0068】
このように、受電ユニット20の出力レベルは送電ユニット10をフレーム30内に挿入する方向によってP>P>P>Pの順で変化するので、送電ユニット10の設置作業を行っている手元で出力レベルを調整することが可能となる。すなわち、非接触電力伝送装置から遠く離れた位置に設けられた送電ユニット10に電力を供給する外部電源の出力レベルを調整する必要がなく、出力レベルを調整する際の作業性を向上させることができる。また電源出力の変更のため、防水・防塵構造の高価なリモコンを用意する必要がなく、さらに受電ユニット20のケース面に出力レベル調整スイッチを設けることなく単純な密閉パッケージを採用することができ、装置の耐久性及び信頼性の向上と低コスト化を図ることができる。
【0069】
図10(a)〜(f)は、本発明の第3の実施の形態による非接触電力伝送装置の構成を示す図であって、特に、(a)は送電ユニット10内の送電コイル11Aのレイアウトを示す平面図、(b)は受電ユニット20内の受電コイル11Bのレイアウトを示す平面図、(c)〜(f)は送電ユニット10を受電ユニット20に設置したときの位置関係を示す平面図である。
【0070】
図10(a)及び(b)に示すように、本実施形態による非接触電力伝送装置3の特徴は、送電ユニット10のケース13Aの中心13OAからオフセットされた位置に送電コイル11Aの中心11OAが配置されており、また受電ユニット20のケース13Bの中心13OBからオフセットされた位置に受電コイル11Bの中心11OBが配置されている点にある。送電コイル11A及び受電コイル11Bの縦横方向のオフセット量は同じに設定されている。ただし、送電コイル11Aはケース13Aの中心13OAよりも図中の左方向にオフセットされており、受電コイル11Bはケース13Bの中心13OBよりも図中の右方向にオフセットされている。
【0071】
第1及び第2の実施の形態では、送電ユニット10の挿入方向によって送電ユニット10の受電ユニット20に対する固定位置(オフセット量)が変わり、これにより送電コイル11Aと受電コイル11Bとの重なり度(対向面積)も変化するが、本実施形態では送電ユニット10の挿入方向によって送電ユニット10の受電ユニット20に対する固定位置(オフセット量)は変化しない。すなわち、送電ユニット10のケース13Aの中心13OAは、受電ユニット20のケース13Bの中心13OBと一致するようにセットされ、第1乃至第4のロック機構35A〜35Dも送電ユニット10と受電ユニット20の中心位置どうしが一致するように送電ユニット10を固定する。
【0072】
図10(c)に示すように、Y方向から第1の開口部30A内に送電ユニット10を挿入してセットする場合、送電ユニット10と受電ユニット20は完全に重なり合い、両者の中心位置13OA,13OBは一致すると共に、送電ユニット10内の送電コイル11Aと受電ユニット20内の受電コイル11Bも完全に重なり合い、送電コイル11Aの受電コイル11Bに対するオフセット量はゼロとなる。そのため、送電コイル11Aと受電コイル11Bの磁気結合度は最大となり、受電ユニット20の出力レベルPは最大となる。
【0073】
図10(d)に示すように、Y方向と逆方向のY方向から第2の開口部30Bに送電ユニット10を挿入してセットする場合、送電ユニット10と受電ユニット20は完全に重なり合い、両者の中心位置13OA,13OBは一致するが、送電ユニット10内の送電コイル11Aと受電ユニット20内の受電コイル11Bとの重なり度は小さくなる。そのため、送電コイル11Aと受電コイル11Bの磁気結合度も小さくなり、受電ユニット20の出力レベルPは出力レベルPよりも小さくなる(P<P)。
【0074】
図10(e)に示すように、Y方向及びY方向と直交するX方向から第3の開口部30Cに送電ユニット10を挿入してセットする場合、送電ユニット10と受電ユニット20の中心位置13OA,13OBは一致するが、送電ユニット10内の送電コイル11Aと受電ユニット20内の受電コイル11Bとの重なり度(磁気結合度)は図10(a)の場合よりも小さく且つ図10(b)の場合よりも大きくなる。そのため、受電ユニット20の出力レベルPは、P>P>Pとなる。
【0075】
図10(f)に示すように、X方向と逆方向のX方向から第4の開口部30D内に送電ユニット10を挿入してセットする場合、送電ユニット10と受電ユニット20の中心位置13OA,13OBは一致するが、図10(e)の場合と同様に、送電ユニット10内の送電コイル11Aと受電ユニット20内の受電コイル11Bとの重なり度(磁気結合度)は図10(a)の場合よりも小さく且つ図10(b)の場合よりも大きくなる。そのため、受電ユニット20の出力レベルPは、P>P>Pとなる。なお本実施形態においてはP=Pとなるが、送電コイル11A及び受電コイル11Bの縦横方向のオフセット量を変えるか、或いは送電コイル11Aの形状を受電コイル11Bの形状と変えることにより、P≠Pとすることも可能である。
【0076】
このように、本実施形態による非接触電力伝送装置3は、フレーム30内に収容された送電ユニット10の中心位置は、送電ユニット10をフレーム30内に挿入する方向によらず受電ユニット20の中心位置と一致しているが、送電ユニット10内の送電コイル11Aの中心位置及び受電ユニット20内の受電コイル11Bの中心位置をそれぞれオフセットすることにより、送電コイル11Aの挿入方向に合わせて受電ユニット20の出力レベルを多段に変化させることができる。
【0077】
図11(a)〜(c)は、本発明の第4の実施の形態による非接触電力伝送装置の構成を示す略平面図である。また、図12(a)及び(b)は、図11(a)のA−A線に沿った非接触電力伝送装置の断面図であって、(a)は固定状態、(b)は回転可能な状態をそれぞれ示している。
【0078】
図11及び図12に示すように、本実施形態による非接触電力伝送装置4は、第3の実施の形態の変形例であって、送電ユニット10をフレーム30に装着した状態のまま、受電ユニット20に対する送電ユニット10の向きを変えることができる点にある。第2の実施の形態と同様に、送電ユニット10内の送電コイル11Aの中心位置及び受電ユニット20内の受電コイル11Bの中心位置はそれぞれオフセットされている。
【0079】
図11(a)は、受電ユニット20に対する送電ユニット10の傾きが0°(傾き無し)の場合、図11(b)は45°の場合、図11(c)は90°の場合をそれぞれ示しているが、送電ユニット10の角度は任意に設定可能である。そして図11(a)のときの送電ユニット10内の送電コイル11Aと受電ユニット20内の受電コイル11Bの位置関係は図10(c)のようになる。また図11(c)のときの送電ユニット10内の送電コイル11Aと受電ユニット20内の受電コイル11Bの位置関係は図10(e)のようになる。
【0080】
このような回転機構を実現するため、フレーム30は上下方向に分割されており、上側フレームは回転可能に構成されている。すなわち図12(a)に示すように、フレーム30は、回転軸Cを中心に回転する上側フレーム41と、回転軸Cを中心に回転しない下側フレーム42とを有しており、送電ユニット10は上側フレーム41に固定されており、受電ユニット20は下側フレーム42に固定されている。下側フレーム42は回転軸C上に配置された回転シャフト43の軸受け44に接続されており、回転シャフト43の下端は上側フレーム41に接続されており、回転シャフト43の上端はハンドル部45に接続されている。上側フレーム41は回転シャフト43と同軸配置されたコイルバネ46によって下方に付勢されており、図12(b)に示すようにハンドル部45を上方に引き上げた状態で回転させることにより、送電ユニット10を上側フレーム41と共に回転させることができ、受電ユニット20に対する送電ユニット10の向きを変えることができる。
【0081】
以上説明したように、本実施形態による非接触電力伝送装置4は、送電ユニット10をフレーム30内にセットした状態のまま、受電ユニット20に対する向きを変えることができる。したがって、送電ユニット10の向きを細かく設定することができ、これにより出力レベルを細かく調整することができる。また、送電ユニット10をフレーム30に取り付けたり取り外したりしなくても出力レベルを調整できるので、作業性をさらに向上させることができる。
【0082】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0083】
例えば、上記実施形態においては、受電ユニット20にフレーム30を固定し、送電ユニット10を着脱自在な構成としているが、本発明はこのような構成に限定されず、送電ユニット10にフレーム30を固定し、受電ユニット20を着脱自在な構成としてもよい。さらに、双方向の電力伝送を行う一対の電力伝送ユニットを対象としてもよい。
【0084】
また上記実施形態において、各ロック機構の爪部は、送電ユニット10側の凸部13dに係合するが、送電ユニット10側に形成された凹部に係合してもよい。
【0085】
また上記実施形態においてはフレーム30の平面形状が四角形であるため最大で4方向からの挿入が可能な構成となっているが、例えば六角形であれば最大で6方向からの挿入が可能であり、送電ユニット10の挿入方向及びその数は特に限定されない。
【0086】
また上記実施形態においては、一対の電力伝送コイル(送電コイル及び受電コイル)を用いた電磁誘導方式による非接触給電を例に挙げたが、本発明はこ電磁誘導方式に限定されるものではなく、一対の電力伝送コイルを用いた磁界共鳴方式や、対向配置される一対の電力伝送電極を用いた電界結合方式を採用するものであってもよい。この場合、一対の電極の一方(第1の結合素子)が送電ユニット10側に設けられ、他方(第2の結合素子)が受電ユニット20側に設けられる。
【符号の説明】
【0087】
1〜4 非接触電力伝送装置
10 送電ユニット(電力伝送ユニット)
11 電力伝送コイル
11A 送電コイル
11B 受電コイル
11OA 送電コイルの中心
11OB 受電コイルの中心
12 回路基板
12A 送電回路基板
12B 受電回路基板
13 ケース
13A 送電ユニットのケース
13B 送電ユニットのケース
13OA 送電ユニットのケースの中心位置
13OB 受電ユニットのケースの中心位置
13a ケース本体
13b 蓋
13d 凸部
13f,13f 突起
13g 蓋の端部(ガイドレール)
13s ストッパー
14 支持基板
15A,15B 電源ケーブル
20 受電ユニット(電力伝送ユニット)
30 フレーム
30A 第1の開口部
30B 第2の開口部
30C 第3の開口部
30D 第4の開口部
30e フレームの端面
30e フレームの端面
30g ガイド溝
31 アッパーフレーム
32,33 サイドフレーム
32f,33f フランジ部
34 ボトムフレーム
35A 第1のロック機構
35B 第2のロック機構
35C 第3のロック機構
35D 第4のロック機構
36A,36B 板バネ部
37A,37B 爪部
38A,38B 突起部
41 上側フレーム
42 下側フレーム
43 回転シャフト
44 軸受け
45 ハンドル部
46 コイルバネ
,C コイル軸
回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12