特開2018-201311(P2018-201311A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-201311(P2018-201311A)
(43)【公開日】2018年12月20日
(54)【発明の名称】洗濯機用インバータ装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20181122BHJP
   H02P 27/06 20060101ALI20181122BHJP
【FI】
   H02M7/48 M
   H02P27/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-105522(P2017-105522)
(22)【出願日】2017年5月29日
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】細糸 強志
【テーマコード(参考)】
5H505
5H770
【Fターム(参考)】
5H505AA09
5H505BB03
5H505BB06
5H505DD03
5H505EE49
5H505HA10
5H505HA16
5H505JJ16
5H505LL22
5H505MM02
5H770BA01
5H770BA20
5H770CA02
5H770DA01
5H770DA03
5H770DA41
5H770EA01
5H770GA06
5H770GA11
5H770GA17
5H770HA02X
5H770HA03X
5H770HA07Z
5H770JA09X
5H770KA01Z
5H770LA02X
5H770LB09
5H770QA06
(57)【要約】
【課題】より少ない部品点数で、過電流検出を確実に行うことができる洗濯機用インバータ装置を提供する。
【解決手段】実施形態の洗濯機用インバータ装置によれば、洗濯運転を行うための回転駆動力を発生するモータを駆動するインバータ回路と、このインバータ回路を制御する制御回路と、モータの各相巻線に流れる電流を検出する複数の電流検出抵抗と、制御回路が過電流検出を行うために用いられ、複数の電流検出抵抗の端子電圧を閾値電圧と比較する比較回路と、複数の電流検出抵抗と、比較回路の入力端子との間に配置されるダイオードオア回路とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯運転を行うための回転駆動力を発生するモータを駆動するインバータ回路と、
このインバータ回路を制御する制御回路と、
前記モータの各相巻線に流れる電流を検出する複数の電流検出抵抗と、
前記制御回路が過電流検出を行うために用いられ、前記複数の電流検出抵抗の端子電圧を閾値電圧と比較する比較回路と、
前記複数の電流検出抵抗と、前記比較回路の入力端子との間に配置されるダイオードオア回路とを備える洗濯機用インバータ装置。
【請求項2】
前記制御回路は、A/D変換器を備え、
前記複数の電流検出抵抗の端子電圧を分圧して前記A/D変換器に入力する抵抗分圧回路を備える請求項1記載の洗濯機用インバータ装置。
【請求項3】
前記比較回路は、前記制御回路に内蔵されている請求項1又は2記載の洗濯機用インバータ装置。
【請求項4】
前記インバータ回路と、このインバータ回路を構成する複数のスイッチング素子を駆動するドライバと、前記比較回路とを一体化してなるパワー素子モジュールを備える請求項1又は2記載の洗濯機用インバータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、洗濯運転を行うための回転駆動力を発生するモータを駆動するインバータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、洗濯機のモータを駆動対象とするインバータ装置では、モータに流れる各相電流を検出するための電流検出抵抗に発生する端子電圧を、CRフィルタを介しコンパレータにより閾値電圧と比較することで、過電流状態を検出することが行われている。一般的に使用されるモータは3相構成であるから、3個のコンパレータにより各相毎に比較を行い、それらコンパレータ出力のORゲートを介した論理和出力によって過電流が検出されている。
【0003】
コンパレータの出力端子はローレベルを示す際には0Vになるが、ハイレベルを示す際には開放状態となるため、抵抗を介してプルアップされる。そして、相電流が通常値の範囲であればコンパレータ出力がハイレベルとなり、相電流が過大な値を示すとローレベルとなるように設定しておく。すると、ORゲートの出力がローレベルとなることで、モータの駆動を緊急停止させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4345553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の構成では、コンパレータがモータの相数分だけ必要となる。また、ローパスフィルタのような周辺回路も含めると、回路面積が増大しインバータ装置が大型化する。更に、部品点数が増えることでコストが上昇し、装置の信頼性が低下するおそれもある。
【0006】
そこで、より少ない部品点数で、過電流検出を確実に行うことができる洗濯機用インバータ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の洗濯機用インバータ装置によれば、洗濯運転を行うための回転駆動力を発生するモータを駆動するインバータ回路と、
このインバータ回路を制御する制御回路と、
前記モータの各相巻線に流れる電流を検出する複数の電流検出抵抗と、
前記制御回路が過電流検出を行うために用いられ、前記複数の電流検出抵抗の端子電圧を閾値電圧と比較する比較回路と、
前記複数の電流検出抵抗と、前記比較回路の入力端子との間に配置されるダイオードオア回路とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態であり、洗濯機の電気的構成を示す回路図
図2】洗濯機の構成を模式的に示す一部の縦断側面図
図3】一般的な洗濯機の運転行程を示す図
図4】第2実施形態であり、洗濯機の電気的構成を示す回路図
図5】第3実施形態であり、洗濯機の電気的構成を示す回路図
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
以下、ランドリー機器である洗濯機に適用した第1実施形態について図1から図3を参照して説明する。図2に示すように、洗濯機10は、その外郭を構成する外箱11の内部に、上面が開放した有底円筒状の水槽12が弾性吊持機構13によって弾性的に支持されている。この水槽12の内部には、上面が開放した有底円筒状の回転槽14が回転可能に設けられている。回転槽14の底部には、当該回転槽14の底部を補強するための補強部材15が設けられている。回転槽14は、垂直な軸線を中心に回転するように構成されており、洗濯物を洗う洗い行程及び洗濯物をすすぐすすぎ行程における洗濯槽、及び、洗濯物を脱水する脱水行程における脱水槽として兼用される。つまり、洗濯機10は、回転槽14の回転中心軸が垂直方向に延びるいわゆる縦軸型洗濯機である。
【0010】
この回転槽14は、その周壁部に多数の孔16を有している。これらの孔16は貫通しており、通水及び通気が可能である。なお、図1には多数の孔16のうちその一部のみを示している。回転槽14の上部には、例えば塩水等の液体が封入された合成樹脂製のバランスリング17が取り付けられている。回転槽14内の底部には、撹拌体として例えば合成樹脂で形成されたパルセータ18が回転可能に設けられている。
【0011】
水槽12の下部には排水経路19が設けられている。この排水経路19には排水弁20が設けられており、この排水弁20が開放されることにより、水槽12内の水が機外に排出される。また、水槽12の底部には、水位検知用のエアトラップ21が設けられている。
【0012】
水槽12の下部の中央部には駆動機構部23が設けられている。この駆動機構部23は、モータ24、及び図示しないクラッチ機構部等を備えている。駆動機構部23は、洗い行程時またはすすぎ行程時においては、クラッチ機構部により回転力をパルセータ18に伝達する。このため、洗い行程時またはすすぎ行程時に回転槽14は回転駆動されず、パルセータ18だけが回転駆動される。また、駆動機構部23は、脱水行程時においては、モータ24の回転力をクラッチ機構部によりパルセータ18及び回転槽14に伝達する。このため、脱水行程時にパルセータ18は、回転槽14と一体に回転駆動される。
【0013】
外箱11の上部には、トップカバー26が設けられている。このトップカバー26には、洗濯物出入口を開閉する例えば二つ折り式の蓋27が開閉可能に設けられている。なお、水槽12の上部には、図示しない槽カバーが開閉可能に取り付けられている。トップカバー26の前部には、操作パネル28が設けられている。操作パネル28の裏側には、洗濯機10の動作全般を制御する制御ユニット29が配置されている。この制御ユニット29は、トップカバー26において外箱11の前面側に設けられている。
【0014】
トップカバー26内の後部には、水源からの水を水槽12内に供給する給水機構部30が設けられている。この給水機構部30は、図示しない給水弁や水槽12に連通する図示しない給水経路等を備えており、制御ユニット29が給水弁の開閉を制御することにより、水槽12内への給水が制御される。
【0015】
次に、洗濯機10の制御系に係る電気的構成について説明する。図1に示すように、インバータ回路40は、6個のIGBT41を三相ブリッジ接続して構成されており、各IGBT41のコレクタ−エミッタ間には、フライホイールダイオード42が接続されている。IGBT41はスイッチング素子に相当する。インバータ回路40には、100Vの交流電源を倍電圧全波整流することで生成した約280Vの直流電圧が供給される。インバータ回路40の各相出力端子は、モータ24のU,V,W各相巻線にそれぞれ接続されている。本実施形態では、モータ24として、例えばアウタロータ型の三相ブラシレスDCモータを採用している。
【0016】
下アーム側IGBT41のエミッタとグランドとの間には、それぞれ電流検出抵抗であるシャント抵抗43U,43V,43Wが接続されている。シャント抵抗43の抵抗値は、例えば0.22Ωである。以下、各相について対称な構成については特に区別が必要な場合を除き、図1に示す符号の「U,V,W」を付さずに説明する。
【0017】
下アーム側のIGBT41のエミッタとシャント抵抗43との共通接続点は、抵抗44を介して制御回路45のA/D入力端子に接続されている。制御回路45は、例えばシングルチップのマイクロコンピュータで構成されており、図示しないA/D変換器を内蔵している。A/D入力端子とグランドとの間にはコンデンサ46が接続されており、当該コンデンサ46と抵抗44とでCRフィルタが構成されている。
【0018】
また、前記A/D入力端子は、抵抗47を介して3.3V電源にプルアップされている。すなわち、A/D入力端子に印加される電圧は、抵抗47,シャント抵抗43及び抵抗44により抵抗分圧されてレベルシフトされている。これらの抵抗は、抵抗分圧回路48を構成している。シャント抵抗43には、下アーム側IGBT41がONしているタイミングで、モータ巻線と同じモータ相電流が流れる。したがって、その端子電圧は、モータ相電流に応じたレベルを示す。
【0019】
下アーム側の各相IGBT41のエミッタは、カソードが共通に接続された3つのダイオード49U,49V,49Wのアノードにそれぞれ接続されている。ダイオード49U,49V,49Wは、ダイオードオア回路50を構成している。ダイオード49のカソードは、抵抗51を介してグランドに接続されていると共に、抵抗52を介してコンパレータ53の反転入力端子に接続されている。また、前記反転入力端子はコンデンサ54を介してグランドに接続されており、コンデンサ54は抵抗52と共にCRフィルタを構成している。コンパレータ53は比較回路に相当する。
【0020】
5V電源とグランドとの間には、抵抗55及び56の直列回路が接続されており、それらの共通接続点はコンパレータ53の非反転入力端子に接続されている。前記共通接続点の電位はコンパレータ53に閾値電圧を付与するもので、例えば3.3Vに設定されている。また、非反転入力端子はコンデンサ57を介してグランドに接続されている。コンパレータ53の出力端子は、抵抗58を介して5V電源に、コンデンサ59を介してグランドにそれぞれ接続されると共に、制御回路45の緊急停止信号入力端子に接続されている。
【0021】
制御回路45は、モータ24を駆動するためのPWM指令を生成する。また、制御回路45は、PWM信号の搬送波周期毎に、下アーム側のIGBT41がONするタイミングの中間付近で最低二相分,例えば下アームのON時間が長い相を選択し、それらの端子電圧をA/D変換してモータ相電流を取得する。制御回路45は、モータ24の回転に伴う図示しない回転位置センサの出力に基づきロータの位置を取得して、3相の相補PWM信号を調整するように生成する。制御回路45は、モータ24のd軸電流及びq軸電流が適切な値となるようにベクトル制御演算を行い、モータ24を駆動制御する。
【0022】
図3は、洗濯機10の全行程における給水弁、モータ24、排水弁、クラッチ機構等の各構成要素の動作を示す。この図において、太線は各構成要素が動作する状態を示している。また、モータ24は正転,反転に分けて示している。なお、クラッチ機構が太線で示すように動作する場合には、モータ24の回転は該クラッチ機構を介して回転槽14にも伝達され、回転槽14も回転する。
【0023】
次に、本実施形態の作用について説明する。モータ24の相電流が通常の値を示す範囲では、ダイオードオア回路50を介してコンパレータ53の反転入力端子に印加される電圧は閾値電圧を超えることがない。したがって、制御回路45の緊急停止信号入力端子のレベルはハイに維持されている。例えば、インバータ回路40において、何れかの相の上下アームが短絡することで過電流が流れると、前記反転入力端子の電位が閾値電圧を超えるため、緊急停止信号入力端子のレベルはローに変化する。制御回路45は、そのレベル変化を認識すると、PWM信号の出力を直ちに停止する。これにより回路素子の破壊等が防止される。
【0024】
以上のように本実施形態によれば、インバータ回路40は、洗濯運転を行うための回転駆動力を発生するモータ24を駆動し、制御回路45はインバータ回路40を制御する。シャント抵抗43U,43V,43Wにより、モータ24の各相巻線に流れる電流を検出し、コンパレータ53は、制御回路45が過電流検出を行うために用いられ、シャント抵抗43の端子電圧を閾値電圧と比較する。そして、シャント抵抗43U,43V,43Wとコンパレータ43の反転入力端子との間に、ダイオードオア回路50を配置した。
【0025】
このように構成すれば、ダイオードオア回路50と1つのコンパレータ53とを用いて過電流を検出できるので、回路面積を増大させることなくインバータ装置を小型に構成できる。そして、部品点数を減らしてコストを低減し、装置の信頼性を高めることができる。
【0026】
また、シャント抵抗43U,43V,43Wの端子電圧を抵抗分圧回路48により分圧して、制御回路45のA/D入力端子に印加するようにした。これにより、前記入力端子に印加される電位が、制御回路45が内蔵するA/D変換器の入力電圧範囲内となるように調整できる。そして、ダイオードオア回路50を用いて過電流検出を行う際に、ダイオード49の順方向電圧分だけ電圧低下が生じることで発生する誤差を吸収できる。
【0027】
(第2実施形態)
以下、第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。図4に示すように、第2実施形態のインバータ装置は、制御回路45を制御回路61に置き換えたものである。制御回路61は、コンパレータ62を内蔵しており、このコンパレータ62をコンパレータ53に替えて、過電流検出に用いている。以上のように構成される第2実施形態によれば、使用する部品点数を更に削減できる。
【0028】
(第3実施形態)
図5に示すように、第3実施形態のインバータ装置は、第1実施形態と同様に制御回路45を用いる。そして、インバータ回路40を含むパワー素子モジュール71を用いている。パワー素子モジュール71には、上記インバータ回路40と、各IGBT41にゲート信号を出力する内蔵ドライバ部72とが搭載されている。内蔵ドライバ部72は、制御回路45より入力される相補PWM信号に応じてIGBT41のゲートを駆動するゲートドライバ73と、ゲートドライバ73からのゲート信号出力を停止させるために使用されるコンパレータ74とを有している。
【0029】
第3実施形態では、上記のコンパレータ74を過電流検出に用いるため、ダイオードオア回路50の出力端子をコンパレータ74の反転入力端子に接続している。コンパレータ74の出力端子は、上述のようにゲート信号出力を停止させるため、ゲートドライバ73の緊急停止信号入力端子に接続されている。したがって、制御回路45は、第1実施形態のように自身がインバータ回路40の緊急停止処理を行う必要はない。しかし、過電流検出に伴う例えば異常報知など、その他の処理を実行するため、コンパレータ74の出力端子は、制御回路45の過電流検出端子にも接続されている。
【0030】
以上のように第3実施形態によれば、インバータ回路40と、インバータ回路40を構成するIGBT41のゲートを駆動するドライバ73と、過電流検出を行うコンパレータ73とを一体化してなるパワー素子モジュール71を備える。これにより、第2実施形態と同様に、使用する部品点数を削減できる。
【0031】
(その他の実施形態)
インバータ回路は3相構成に限ることなく、単相のHブリッジ構成に適用しても良い。
各電源電圧や抵抗値等については、個別の設計に応じて変更すれば良い。周波数の具体数値ついても同様である。
スイッチング素子はIGBT51に限ることなく、MOSFETやパワートランジスタ等でも良い。
ドラム式洗濯機や洗濯乾燥機,乾燥機などのランドリー機器に適用しても良い。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0033】
図面中、10は洗濯機、40はインバータ回路、41はIGBT、48は抵抗分圧回路、49はダイオード、50はダイオードオア回路、53はコンパレータ、61は制御回路、62はコンパレータ、71はパワー素子モジュール、74はコンパレータを示す。
図1
図2
図3
図4
図5