(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-20138(P2018-20138A)
(43)【公開日】2018年2月8日
(54)【発明の名称】ガス送出システム
(51)【国際特許分類】
A61M 16/10 20060101AFI20180112BHJP
【FI】
A61M16/10 Z
【審査請求】有
【請求項の数】27
【出願形態】OL
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2017-175368(P2017-175368)
(22)【出願日】2017年9月13日
(62)【分割の表示】特願2016-15407(P2016-15407)の分割
【原出願日】2011年1月6日
(71)【出願人】
【識別番号】512169268
【氏名又は名称】アイ・エヌ・オー セラピューティクス エル・エル・シー
【氏名又は名称原語表記】INO Therapeutics LLC
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100117444
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】ベイズ,ダンカン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】クラウス,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】クリステンセン,デイヴィッド
(57)【要約】 (修正有)
【課題】治療ガスを投与するガス送出システムで用いられるガス送出装置、および治療ガスを投与する方法を提供する。
【解決手段】ガス送出装置と、制御モジュール200と、ガス送出機構とを含むガス送出システム10が記載されている。ガス送出装置はバルブ107とバルブ組立品100を含み、バルブ組立品は、バルブと、メモリならびにメモリと通信する処理部および送受信部を含む回路とを持つ。メモリは、ガス識別情報、ガス使用期限、およびガス濃度のようなガスデータを含んでよい。バルブ組立品の回路の送受信部は、無線光見通し内信号を送信して、ガスデータを制御モジュールに伝達してよい。ガス送出機構は、人工呼吸器400と呼吸回路410とを含むガスを投与する方法も記載されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス源から治療ガスを投与するガス送出装置であって、
前記ガス源に取り付け可能なバルブであって、流体的に連通した入口および出口と、前記バルブを開閉してガスを前記バルブ経由で制御モジュールへ通すバルブアクチュエータとを含むバルブと、
回路を備え、前記回路は、
ガス識別情報、ガス使用期限およびガス濃度のうちの1つ以上で構成されるガスデータを格納するメモリと、
無線光見通し内信号を送信して、対象へのガス送出を制御する前記制御モジュールに前記ガスデータを伝達する、前記メモリと通信する処理部および送受信部とを含むことを特徴とするガス送出装置。
【請求項2】
使用者が前記ガスデータを前記メモリに入力できるようにする前記メモリと通信するデータ入力部を前記バルブがさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のガス送出装置。
【請求項3】
前記ガスデータが、前記ガス源に配置されたバーコードで与えられ、前記データ入力部と通信する使用者操作式走査装置によって前記データ入力部に入力されることを特徴とする請求項2に記載のガス送出装置。
【請求項4】
前記バルブが電源を備え、前記送受信部が周期的に前記無線光見通し内信号を前記制御モジュールに送信し、前記信号が、前記信号の送信されない時間で中断されることを特徴とする請求項1に記載のガス送出装置。
【請求項5】
前記信号の送信されない時間がおよそ10秒で構成されることを特徴とする請求項4に記載のガス送出装置。
【請求項6】
ガス送出システムであって、
請求項1に記載のガス送出装置と、
バルブの出口および人工呼吸器と流体的に連通した制御モジュールとを備え、前記制御モジュールは、
見通し内信号を送受信部から受信するCPU送受信部と、
前記CPU送受信部と通信し、CPUメモリを含むCPUとを備え、
前記送受信部が前記CPUメモリへの格納のためにガスデータを前記CPU送受信部に伝達することを特徴とするガス送出システム。
【請求項7】
前記バルブがカレンダタイマおよびイベントタイマを含むタイマを備え、前記CPUメモリが前記バルブの開閉の日時および前記バルブを開けておく時間を格納し、前記送受信部が前記CPUメモリへの格納のために前記バルブの開閉の日時を前記CPU送受信部に伝達することを特徴とする請求項6に記載のガス送出システム。
【請求項8】
前記制御モジュールが、患者情報を前記CPUメモリに入力する入力手段と、表示部とをさらに備えることを特徴とする請求項6に記載のガス送出システム。
【請求項9】
前記CPUが、前記入力手段を介して前記CPUメモリに入力された前記患者情報と前記送受信部からの前記ガスデータとを比較することを特徴とする請求項8に記載のガス送出システム。
【請求項10】
前記CPUが、前記CPUメモリに入力された前記患者情報と前記送受信部からの前記
ガスデータとが整合しない場合に作動させられる警報器を備えることを特徴とする請求項9に記載のガス送出システム。
【請求項11】
ガス識別情報、ガス使用期限およびガス濃度のうちの1つ以上から選択されたガスデータをガス源に接続されたバルブから無線光見通し内信号を介して受信し、
前記ガスデータを使用者の入力した患者情報と比較し、
前記無線光見通し内信号を介して医療機器による患者への治療の提供を調整し、
受信した前記患者情報に基づいて前記患者に提供する治療を選択し、
前記選択された治療の前記患者への提供を制御することを処理部に行わせる命令を含むことを特徴とするメモリ。
【請求項12】
第1の開位置および第1の閉位置から選択された第1のバルブ状態を第1のガス源に接続された第1のバルブから第1の無線光見通し内信号を介して受信し、
第2の開位置および第2の閉位置から選択された第2のバルブ状態を第2のガス源に接続された第2のバルブから第2の無線光見通し内信号を介して受信し、
前記第1のバルブ状態と前記第2のバルブ状態とを比較し、
前記第1のバルブ状態が前記第1の開位置を含み、前記第2のバルブ状態が前記第2の開位置を含む場合に、警報を発することを前記処理部に行わせる命令を前記メモリが含むことを特徴とする請求項11に記載のメモリ。
【請求項13】
前記第1のバルブ状態が前記第1の開位置を含み、前記第2のバルブ状態が前記第2の開位置を含む場合に、治療の提供を終了することを前記処理部に行わせる命令を前記メモリが含むことを特徴とする請求項12に記載のメモリ。
【請求項14】
治療ガスを患者に投与する方法であって、
ガスデータを含む第1のメモリを備えるガス送出装置との通信を送受信部を介して確立し、
前記ガスデータを第2のメモリ内に格納された患者情報と比較し、
無線光見通し内信号を介して前記ガス送出装置による患者への治療の提供を調整し、
前記ガスデータと前記患者情報との前記比較に基づいて前記患者に提供する治療を選択し、
前記選択された治療の前記患者への提供を制御することを含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
前記ガスデータと前記患者情報との前記比較に基づいて、前記選択された治療の前記患者への提供を中止することをさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ガスデータと前記患者情報との前記比較に基づいて警報を発することをさらに含む請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記ガスデータを前記第1のメモリに入力することをさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記患者情報を前記第2のメモリに入力することをさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、治療ガスを投与するガス送出システムで用いられるガス送出装置、および治療ガスを投与する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
治療法には、患者が吸入するガスを利用するものがある。必要なガスを必要としている患者に送るために、ガス送出装置が病院で利用されることは多い。こうした患者にガス治療を施す際は、正確な種類のガス、そして正確な濃度が用いられているのを確認することが重要である。用量情報および用法を確認することもまた、重要である。
【0003】
既知のガス送出装置には、患者情報を追跡するコンピュータシステムを含むものがあり、患者情報には、特定の患者についての、ガス治療の種類に関する情報や、投与されるガスの濃度、用量情報などがある。ところが、これらのコンピュータシステムは多くの場合、例えば患者への投与のためのコンピュータシステムおよび/または人工呼吸器へのガスの流れを制御するバルブのような、ガス送出装置の他の構成要素とは通信しない。さらに、既知のシステムでは、1人の患者の利用したガスの量を見極めるのは困難または不可能な場合が多く、使用料を超過請求してしまうおそれがある。
【0004】
コンピュータシステムを内蔵して、コンピュータシステム内に含まれる患者情報がガス送出装置によって送られるべきガスと確実に整合するようにするガス送出装置が必要である。また、手動の設定または接続の反復に頼らず、個々の患者の使用状況を正確かつ簡単に追跡することもできる統合装置も必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様は、ガス送出システムで利用可能なガス送出装置、および患者に治療ガスを投与する方法に関する。本明細書に記載されたガス送出装置の1つ以上の実施の形態は、バルブと、バルブ処理部およびバルブ送受信部と通信するバルブメモリを持つ回路とを含んでよい。本明細書に記載されたガス送出システムの1つ以上の実施の形態は、本明細書に記載されたガス送出装置を、CPUメモリおよびCPU送受信部と通信する制御処理装置(control processing unit、CPU)を含む制御モジュールと統合する。本明細書
に記載されるように、バルブ送受信部とCPU送受信部とは、バルブメモリおよびCPUメモリからの情報またはデータが互いに伝達されるように通信してよい。バルブメモリとCPUメモリとの間で伝達される情報は、患者に施される治療を選択し、選択された治療を患者に施すのを制御するのに利用されてよい。本明細書に記載されたガス送出装置およびシステムは、患者にガスを送る人工呼吸器などのような医療機器と併用されてよい。
【0006】
本発明の第1の態様はガス送出装置に関する。1つ以上の実施の形態において、ガス送出装置は、制御モジュールの制御下でガス源から治療ガスを投与する。ある変形例において、ガス送出装置はガス源に取り付け可能なバルブと回路とを含んでよい。バルブは、流体的に連通した入口および出口と、バルブを開閉してガスをバルブ経由で制御モジュールへ流れるようにするバルブアクチュエータとを含んでよい。1つ以上の実施の形態の回路は、メモリと、無線光見通し内信号(wireless optical line-of-sight signals)を送信して、対象者へのガス送出を制御する制御モジュールにメモリ内に格納または保持された情報を伝達する、メモリと通信する処理部および送受信部とを含む。1つ以上の代替となる実施の形態において、対象者へのガス送出を制御する制御モジュールにメモリ内に格納または保持された情報を伝達する信号は、有線で伝達されてよい。そのような有線信号の
例は、光ケーブル、有線ペアケーブル、および/または同軸ケーブルを取り入れたり利用したりしてよい。回路は、ガスデータを格納するメモリを含んでよく、ガスデータは、ガス識別情報、ガス使用期限、およびガス濃度のうちの1つ以上を含んでよい。送受信部は、無線光見通し内信号を介して制御モジュールにガスデータを送信するように通信してよい。
【0007】
1つ以上の実施の形態において、使用者がガスデータをメモリに入力できるようにする、メモリと通信するデータ入力部をバルブが含んでよい。ガスデータは、ガス源に配置され得るバーコードで与えられてよい。そのような実施の形態において、ガスデータは、データ入力部と通信する使用者操作式走査装置によって、メモリへの格納のためにバルブのデータ入力部に入力されてよい。具体的には、使用者は、バーコードを走査して、バーコードに格納されているガスデータをデータ入力部経由でバルブメモリに伝達してよい。
【0008】
1つ以上の実施の形態において、バルブは電源を含んでよい。そのような実施の形態では、電源は電池などの携帯電源を含んでよい。1つ以上の実施の形態において、バルブ送受信部が周期的に無線光見通し内信号を制御モジュールに送信し、信号が、信号の送信されない時間で中断されるようにしてよい。1つ以上の具体的な実施の形態では、信号の送信されない時間がおよそ10秒で構成される。
【0009】
本発明の第2の態様は、本明細書に記載されるようなガス送出装置と、ガス送出装置のバルブの出口および人工呼吸器のようなガス送出機構と流体的に連通した制御モジュールとに関する。1つ以上の実施の形態において、制御モジュールは、見通し内信号を送受信部から受信するCPU送受信部と、CPU送受信部と通信するCPUとを含んでよい。CPUは、コンピュータのプログラムまたはアルゴリズムの命令を実行する。本明細書において、「無線光見通し内信号(wireless optical line-of-sight signal)」という表現
は、信号が直線的に送信され得るように送信器および受信器または2つの送受信器を並べる必要のある、赤外線信号などの信号を含む。CPUは、ガス送出装置のバルブ送受信部によってCPU送受信部に伝達されたガスデータを格納するCPUメモリを含んでよい。
【0010】
1つ以上の実施の形態において、ガス送出システムは、バルブを、バルブを開閉する日時およびバルブを開けておく時間を測定したり記録したりする、カレンダタイマおよびイベントタイマを含むタイマと組み合わせてよい。そのような実施の形態では、バルブメモリがバルブの開閉の日時およびバルブを開けておく時間を格納し、バルブ送受信部がCPUメモリへの格納のためにバルブの開閉の日時をCPU送受信部に伝達する。
【0011】
1つ以上の変形例において、ガス送出システムは、患者情報をCPUメモリに入力する入力手段をさらに含む制御モジュールを内蔵してよい。制御モジュールは、制御モジュールが現在の日時を認識して、それをガス送出装置に格納された使用期限と比較することができるように、CPUモジュールに組み込まれたリアルタイムクロックも有してよい。もしも現在の日付が使用期限を過ぎていたら、制御モジュールは、警報を出し、薬を患者に送らないようにできる。「患者情報」という用語が用いられる場合、使用者が入力した患者情報と、ガス識別情報や、送出するように制御モジュールに設定されたガス濃度のような、製造時に設定された情報とを両方含むことが意図されている。また、制御モジュールは表示部も含んでよい。1つ以上の実施の形態において、表示部は、患者情報をCPUメモリに入力する入力手段を内蔵する。1つ以上の実施の形態において、制御モジュールのCPUは、入力手段を介してCPUメモリに入力された患者情報と送受信部からのガスデータとを比較する。CPUまたは制御モジュールは、CPUメモリに入力された患者情報と送受信部からのガスデータとが整合しないかまたは相反する場合に作動させられる警報器を含んでよい。本明細書において、「整合しない」という表現は、「同一でない」、「実質的に同一でない」、「相反する」、および/または「実質的に相反する」という表現
を含む。CPUは、患者情報と追加データなどのデータセットとが整合するか否かを、あるデータセット(すなわち患者情報)と別のデータセットとが整合するか否かを確証する基準を含む照合アルゴリズムを実行することにより、決定する。アルゴリズムは、データセットのすべてのパラメータが整合するか、またはデータセットの選択されたパラメータが整合する場合に整合を決定するよう、構成されてよい。アルゴリズムは、誤差範囲を含むように構成されてよい。例えば、患者情報が800ppmのガス濃度を要求し、追加データが805ppmのガス濃度を含む場合、アルゴリズムは、患者情報と追加データとが整合すると決定できるよう、±5ppmの誤差範囲を含むように構成されてよい。当然のことながら、患者情報と追加データとが整合するか否かの決定は、温度および圧力を考慮したガス濃度測定時の変数のような、状況によって異なる。
【0012】
本発明の第3の態様は、ガスデータをバルブから無線光見通し内信号を介して受信することを制御モジュール処理部に行わせる命令を含む制御モジュールメモリに関する。バルブは、ガス源に接続されてよく、ガスデータを格納するメモリを含んでよい。制御モジュールメモリは、ガスデータを使用者の入力した患者情報と比較することを制御モジュール処理部に行わせる命令を含んでよい。使用者の入力した患者情報は制御モジュールメモリ内に格納されてよい。ガスデータは、ガス識別情報、ガス使用期限、およびガス濃度のうちの1つ以上から選択されてよい。1つ以上の実施の形態において、制御モジュールメモリは、無線光見通し内信号を介して、患者にガスを送る人工呼吸器などのような医療機器による患者への治療の提供(delivery)を調整することを制御モジュール処理部に行わせる命令を含んでよい。また、制御モジュールメモリは、受信した患者情報に基づいて患者に提供する治療を選択し、選択された治療の患者への提供を制御することを制御モジュール処理部に行わせる命令も含んでよい。
【0013】
1つ以上の実施の形態において、メモリは、2つ以上のバルブの存在、および2つ以上のバルブが同時に開いているか否かを検出することを処理部に行わせる命令を含んでよい。1つ以上の具体的な実施の形態によれば、第1の開位置および第1の閉位置から選択された第1のバルブ状態を第1のガス源に接続された第1のバルブから第1の無線光見通し内信号を介して受信し、第2の開位置および第2の閉位置から選択された第2のバルブ状態を第2のガス源に接続された第2のバルブから第2の無線光見通し内信号を介して受信し、第1のバルブ状態と第2のバルブ状態とを比較し、第1のバルブ状態が第1の開位置を含み、第2のバルブ状態が第2の開位置を含む場合に、警報を発することを処理部に行わせる命令をメモリが含む。1つ以上の代替となる実施の形態において、第1のバルブ状態および第2のバルブ状態は、別々の無線光見通し内信号ではなく単一の無線光見通し内信号を介して処理部に伝達されてよい。より具体的な実施の形態において、1つ以上の実施の形態のメモリは、第1のバルブ状態が第1の開位置を含み、第2のバルブ状態が第2の開位置を含む場合に、治療の提供を終了することを処理部に行わせる命令を含んでよい。
【0014】
1つ以上の実施の形態において、メモリは、所望の用量がバルブを通じて送られた時に警報を発することを処理部に行わせる命令を含んでよい。そのような実施の形態において、処理部は、所望の用量または用量情報を格納するメモリを含んでよい。そのような実施の形態では、ガス送出情報または送出されたガスの量に関する情報を受信し、ガス送出情報を用量情報と比較して、ガス送出情報と用量情報とが整合する場合に警報を発することを処理部に行わせる命令をメモリが含んでよい。本明細書において、「用量情報」という用語は、百万分率(ppm)、患者キログラム当たりの薬ミリグラム(mg/kg)、1呼吸当たりのミリメートルなどの、用量の計量および投与に用いられる既知の単位で表現されてよい。1つ以上の実施の形態において、用量情報はさまざまな用法を含んでよく、用法は、標準濃度または一定濃度のガスを患者に投与することや、パルス法を用いてガスを投与することを含んでよい。そのようなパルス法としては、患者の吸気サイクルの間に
患者に治療ガスを投与する方法があり、その場合、ガスは、1回または複数の呼吸にわたって投与され、患者の呼吸パターンとは無関係に送出される。
【0015】
本発明の第4の態様は、治療ガスを患者に投与する方法に関する。1つ以上の実施の形態において、本方法は、患者とガスデータを含む第1のメモリを備えるガス送出装置との通信を送受信部を介して確立し、ガスデータを第2のメモリ内に格納された患者情報と比較することを含む。第2のメモリは、ガス送出装置と通信する制御モジュール内に含まれてよい。本方法は、ガスデータと患者情報とを比較した後、無線光見通し内信号を介してガス送出装置による患者への治療の提供を調整し、ガスデータと患者情報との比較に基づいて患者に提供する治療を選択し、選択された治療の患者への提供を制御することをさらに含んでよい。1つ以上の具体的な実施の形態において、本方法は、ガスデータをガス送出装置の第1のメモリに入力すること、および/または患者情報を第2のメモリに入力することを含んでよい。患者情報を第2のメモリに入力することを本方法が含む実施の形態では、制御モジュールが、患者情報を第2のメモリに入力し得る入力手段を含んでよい。1つ以上の変形例において、本方法は、ガスデータと患者情報との比較に基づいて、選択された治療の患者への提供を中止することを含む。本方法は、ガスデータと患者情報との比較に基づいて警報を発することを含んでよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、1つ以上の実施の形態による、ガス送出装置と、ガス源と、制御モジュールと、ガス送出機構とを含むガス送出システムの図である。
【
図2】
図2は、ガス源に取り付けられた、1つ以上の実施の形態によるガス送出装置のバルブ組立品を説明する図である。
【
図4】
図4は、1つ以上の実施の形態による、
図2に示されたバルブ組立品内に支持された回路を示す図である。
【
図5】
図5は、
図2に示されたバルブ組立品とともに用いられる例示的なガス源を説明する図である。
【
図6】
図6は、
図1に示されたガス送出装置の回路と制御モジュールとの、回路と制御モジュールとの通信の確立に関する通信の動作フロー図である。
【
図7】
図7は、例示的なガス送出システムの正面図を示す。
【
図8】
図8は、
図7に示されたガス送出システムの背面図を示す。
【
図9】
図9は、
図7に示されたガス送出システムの部分側面図を示す。
【
図10】
図10は、1つ以上の実施の形態による制御モジュールの正面図を示す。
【
図12】
図12は、
図1に示されたガス送出装置の回路と制御モジュールとの、ガス源内に含まれるガスに関する通信の動作フロー図である。
【
図13】
図13は、1つ以上の実施の形態による、ガス送出装置の準備およびガス送出システム内における使用の動作フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のいくつかの例示的な実施の形態を説明する前に、当然のこととして理解されるのは、本発明が、以下の説明に記載される構成または処理ステップの詳細に限定されないということである。本発明は、他の実施の形態を取り得るものであり、さまざまに実施または実行され得るものである。
【0018】
治療ガスを投与するシステムについて説明する。本発明の第1の態様はガス送出装置に関する。ガス送出装置は、回路を持つバルブを少なくとも1つ含むバルブ組立品を含んでよい。ガス送出システムは、人工呼吸器や、例えば鼻カニューレ、気管内チューブ、フェースマスクなどの、ガスを患者に導入するのに用いられる他の装置へガス源からガスを送
るのを制御する制御モジュールと通信するガス送出装置(例えば、バルブと回路とを含むバルブ組立品)を含んでよい。本明細書において、ガス源は、ガス源、ガスタンクなどの、大気圧より高い圧力でガスを貯蔵するのに用いられる圧力容器を含んでよい。ガス送出システム10を
図1に示す。
図1において、バルブ組立品100は、バルブ107またはバルブアクチュエータと回路150とを含み、無線見通し内接続300を介して制御モジュール200と通信する。1つ以上の代替となる実施の形態において、バルブ組立品100と制御モジュール200との通信が、有線信号を介して確立されてよい。また、ガス送出システム10は、バルブ組立品100に取り付けられた、ガスを含むガス源50とガス送出機構とを含み、ガス送出機構は、人工呼吸器400と呼吸回路410とを含み、制御モジュール200と通信する。
【0019】
図2〜4はバルブ組立品100の構成要素を説明する図である。バルブ組立品100は、バルブ107と、バルブ組立品内に支持された回路150とを含む。
図3は、バルブ組立品100の分解図を説明する図であり、物理回路150の構成要素とバルブ107とを示している。
図4については以下でより詳しく説明するが、
図4に示されるように、ガス送出装置の回路150は、制御モジュール200との通信を確立するバルブ送受信部120を含む。これについても以下でより詳しく論じる。
【0020】
図2を参照すると、バルブ107は、バルブ組立品100をガス源50に取り付ける取り付け部102と、入口104と、入口104と流体的に連通した出口106とを含む。これについては
図2により明確に示されている通りである。
【0021】
図3は、バルブ組立品100の分解図を示し、バルブ107上に配置され、バルブ107を開閉するためにバルブ107のまわりに回転可能なアクチュエータ114を説明する図である。アクチュエータ114は、アクチュエータ114に取り付けられたキャップ112を含む。
図3に示されるように、回路150は、アクチュエータ114に配置されたデータ入力部108を含んでよい。データ入力部108は、バルブ107の他の場所に配置されてもよい。1つ以上の変形例において、データ入力部は、USBポートのようなポートや、送信部から電子信号を受信する受信部などの、情報またはデータをメモリに入力するための当技術分野で既知の入力手段を含んでよい。
【0022】
図4は、回路150のブロック図を示す。
図4に示される回路150は、バルブ処理部122と、バルブメモリ134と、リセット部128と、バルブ送受信部120と、電源130とを含む。回路150は、支援回路、タイマ124、センサ126、および/または他のセンサも含んでよい。
図3を参照すると、回路150は、バルブ組立品100内に支持され、具体的には回路150の物理的構成要素がアクチュエータ114とキャップ112との間に配置される。
図3に示されるように、バルブ表示部132およびバルブ送受信部120は、バルブ表示部132が窓113を通して見えるように、キャップ112に隣接して配置される。センサ126およびバルブ処理部122は、アクチュエータ114内の、バルブ表示部132およびバルブ送受信部120の下に配置される。
【0023】
バルブ処理部122は、工業環境でさまざまな動作やサブ処理装置を制御するのに用いられ得る任意の形態のコンピュータ処理装置であってよい。バルブメモリ134は、すなわちコンピュータ可読媒体であり、電気的消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EEPROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなどの、任意の形態のローカルまたはリモートのデジタルストレージのような、1つ以上の容易に入手できるメモリであってよく、典型的にはバルブ処理部122に連結される。支援回路は、従来の方法で回路150を支援するためにバルブ処理部122に連結されてよい。これらの回路は、キャッシュ、電源、クロック回路、入出力回路、サブシステム等を含む。
【0024】
図示の実施の形態において、バルブメモリ134は、アクチュエータ114の側面に配置されたデータ入力部108と通信する。
図3〜4に示されるデータ入力部108は、バルブメモリ134から他の装置にデータを転送したり、バルブメモリ134にデータを入力したりするのに用いられる。例えば、ガス源内に含まれるガスに関する情報を含むガスデータは、データ入力部108を介してバルブメモリ134に入力されてよい。1つ以上の代替となる実施の形態において、ガスデータは、プログラムされてもよいし、ガス供給業者によって直接バルブメモリ134に入力されてもよい。1つ以上の実施の形態において、ガスデータは、
図5に示されるように、ガス源の側面に貼り付けられたラベル600に配置されたバーコード610の形態で与えられてよい。バーコード610は、ガス源に直接配置されてもよい。電子データ入力部108と通信する外部走査装置を設け、それを用いてバーコード610を走査してその情報をバーコード610からバルブメモリ134に伝達してもよい。ガスデータは、ガス組成(例えばNO、O
2、NO
2、CO等)、濃度、使用期限、バッチナンバーおよびロットナンバー、製造日などの情報に関する情報を含んでよい。ガスデータは、1つ以上の種類の情報を含むように構成されてよい。バルブ処理部122は、ガスデータのすべてまたは所定の一部をバルブ送受信部120を介して他の送受信部へ伝達する命令を含んでよい。
【0025】
タイマ124を利用する実施の形態において、タイマ124は、一方がカレンダタイマであり他方がイベントタイマである、2つのサブタイマを含んでよい。リセット部128は、アクチュエータ114の内側に位置してよく、イベントタイマをリセットするために押し下げられてよい。キャップ112は、使用者がキャップ112内に配置されたバルブ表示部132を見られるようにする窓113も含む。バルブ表示部132は、アクチュエータ114が開いているのか閉じているのか、そしてバルブ107が開いていた、または閉じていた時間に関する情報を表示するものである。1つ以上の実施の形態において、バルブ表示部132は、2つの異なる数字を交互に点滅させてよく、第1の数字は累積開時間であってよく、第2の数字は、現在のイベントでバルブ107が開かれた時刻であってよい。現在のイベントでバルブ107が開かれた時刻の前に他の表示が行われてもよい。
【0026】
アクチュエータ114内に配置されたセンサ126は、メーダー社(Meder Inc.)により製造されたモデルMK20−B−100−Wの近接スイッチを含んでよい。1つ以上の実施の形態において利用されるセンサ126は、磁石(図示せず)と協働してアクチュエータ114がオンになっているかオフになっているかを検知してよい。そのようなセンサは、米国特許第7,114,510号明細書に記載されており、当該明細書は引用することにより全体として組み込まれているものとする。
【0027】
例えば、センサ126および対応する磁石(図示せず)は、バルブ107の静止部分に配置されてよい。アクチュエータ114を閉位置に回すと、センサ126は、バルブ107の定位置にある磁石に隣接する。センサ126が磁石に隣接している時、センサ126は、バルブ処理部122に何も信号を送らず、それによりアクチュエータ114が「閉」位置にあること、あるいは開位置または閉位置を含むバルブ状態を有することを示す。アクチュエータ114を回してバルブ107を開くと、センサ126は、磁石から遠ざけられたことを検知し、バルブ処理部122に信号を送って「開」位置にあることを示す。バルブ処理部122は、バルブメモリ134に対して、バルブ107を開いたことのイベントを記録するとともにカレンダタイマに示された通りにイベントの日時を記録するよう命令する。バルブ処理部122は、バルブメモリ134に対して、バルブ107が開いている間、バルブ107の位置を確認し続けるように命令する。バルブ107が閉じられると、バルブ処理部122は、記録された開閉時刻を用いてバルブ107が開いていた時間の長さを計算し、バルブメモリ134に対して、その時間および累積開時間を記録するように命令する。こうして、バルブ107が開かれるたびにイベントの日時が記録され、閉じ
られた日時が記録され、バルブ107が開いていた時間が計算されて記録され、累積開時間が計算されて記録される。
【0028】
電源130が電池を含む1つ以上の実施の形態において、バルブ送受信部120は、CPU送受信部220と通信して電池寿命を保つように構成されてよい。この実施の形態において、バルブ送受信部120は、毎秒20msecだけ制御モジュールCPU送受信部220からの信号を受信するためにオンにされる。制御モジュールCPU送受信部220は、連続的に短い伝達信号を出し、バルブ送受信部120が存在する場合、バルブ送受信部120は20msec間隔で応答する。これにより、バルブ送受信部120の電源が毎秒20msecだけしか入らないので、電池の消費が抑えられる。バルブ送受信部120は、応答する際、その信号に、制御モジュールCPU送受信部220からの通信がこの20msecの窓内において早かったか遅かったかに関する情報を含める。これにより、いったん通信が確立されると、通信が20msecの窓と同期して、バルブ送受信部120の電源が入って通信を受信できるようになる。例えば、
図6に示されるように、バルブ送受信部120は、制御モジュールCPU送受信部220からの信号に応答して、所定の間隔の間に無線光見通し内信号を送信する。バルブ送受信部120によって送信される無線光見通し内信号は、送信部が光を送信しているかいないかの一連のオンとオフのサイクルであり、これらは2値デジタル信号に相当する。バルブ送受信部が無線光見通し内信号を送信するこの機構は、送信されているデータに対応する一連のデジタルのオン・オフ信号と解釈されてよい。制御モジュールCPU送受信部220とバルブ送受信部120との通信が確立されたら、通信信号間の間隔は、約20秒から約5秒の範囲にあってよい。1つ以上の具体的な実施の形態において、送受信部の信号の間隔または継続時間は、約10秒であってよい。
【0029】
以下でより詳しく説明されるように、制御モジュール200は、無線光見通し内信号を送受信できるCPU送受信部220に接続されたCPU210を含む。CPU送受信部220とバルブ送受信部120との通信、より具体的には見通し内通信が確立された時、CPU送受信部220は信号を出し、バルブ送受信部120からの応答を待つ。バルブ送受信部120からの応答が送られてこない場合、CPU送受信部220は、一定時間後にもう一度信号を送る。この構成により、バルブ送受信部120はCPU210から要求されない限り連続して信号を送ることがないので、電池寿命が保たれる。このことは重要である。なぜなら、ガス送出装置およびガス源は、そのほとんどの時間が、ガス送出システムに配置される前に配送および保管で経過するからである。仮にこの時間中ずっと、制御モジュールとの通信を確立しようとして送信が行われると、電池寿命を著しく消費してしまうことになる。
【0030】
バルブ処理部122は、間隔を増やすべきなのか減らすべきなのかを決定するリンク維持命令を含んでよい。
図6に示されるように、バルブ送受信部120とCPU送受信部220との間に有効なリンクが確立されると、バルブ処理部122はリンク維持命令を実行して、間隔を増やすか、または間隔を減らす。
【0031】
図1にさらに明確に示されるように、バルブ組立品100およびガス源50は制御モジュール200と通じ、制御モジュール200はガス送出機構と通じている。
図1に示されるガス送出機構は、付随する呼吸回路410を持つ人工呼吸器400を含む。制御モジュール200は、CPU210と、バルブ送受信部120を介して回路150と通信するCPU送受信部220とを含んでよい。制御モジュール200は、患者情報や、バルブ送受信部120から受信した情報またはデータなどの情報を格納する、CPU送受信部220と通信するCPUメモリ212も含む。制御モジュール200は支援回路も含んでよい。CPU210は、工業環境でさまざまな動作やサブ処理装置を制御するのに用いられ得る任意の形態のコンピュータ処理装置であってよい。CPUメモリ212は、すなわちコン
ピュータ可読媒体であり、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなどの、任意の形態のローカルまたはリモートのデジタルストレージのような、1つ以上の容易に入手できるメモリであってよく、典型的にはCPU210に連結される。支援回路は、従来の方法で制御モジュール200を支援するためにCPU210に連結されてよい。これらの回路は、キャッシュ、電源、クロック回路、入出力回路、サブシステム等を含む。CPU210は、警報を発するスピーカー214も含んでよい。あるいは、警報は、表示部に視覚的に表示されてもよい。また、
図1に示されるように、制御モジュール200は、ガス源50からのガス流を測定および/または制御するために、調節器110と、随意に圧力計および流量計も含んでよい。
【0032】
1つ以上の実施の形態において、CPU送受信部220はカバー部225(
図7にさらに明確に示されている)に配置される。カバー部225は、制御モジュール200が配置されるカート500(
図7にさらに明確に示されている)の一部である。1つ以上の実施の形態のカバー部225は、制御モジュール200と通信する。カバー部225と制御モジュール200との通信は、無線または有線で確立されてよい。以下でさらに詳しく論じるように、バルブ107と回路150とバルブ107に取り付けられたガス源50とを含むバルブ組立品100は、カート500上の、CPU送受信部220の見通し内にCPU送受信部220に近接して置かれる。バルブ送受信部120とCPU送受信部220との間で通信が確立されるようにCPU送受信部220が適切に構成されると、
図9にさらに明確に示されるように、CPU送受信部220はバルブ送受信部120の直上に位置することになる。1つ以上の代替となる実施の形態において、CPU送受信部220はCPU210に配置されてよい。
【0033】
CPU210は、サンプルライン232および制御モジュール200に配置されたサンプルライン入口280(
図1にさらに明確に示されている)を介して取り出されたガスのサンプルの濃度を測定する複数のガスセンサ230と通信してよい。さらに詳しく論じるように、サンプルライン232は、人工呼吸器が制御モジュール200と流体的に連通してガスが人工呼吸器へと送られている時に、人工呼吸器400の呼吸回路410からガスのサンプルを取り出す。CPU210は、サンプルライン232を介して取り出されたサンプルの流れを検知するサンプル流れセンサ234、サンプルライン232を介して流れセンサ234にサンプルを取り出すポンプ236、ならびにサンプルライン232を介した、サンプルポンプ236、サンプル流れセンサ234、および複数のCPUセンサへのサンプルの流れを制御するゼロバルブ238とも通信してよい。サンプルライン232は、サンプルから水または液体を収集する排水器233も含んでよい。
【0034】
制御モジュール200は、ガス源50から人工呼吸器400へのガスの流れを調節する送出モジュール260も含んでよい。送出モジュール260は、ガス供給圧力が存在することを判断する圧力スイッチ262と、圧力遮断バルブ264と、比例バルブ266と、送出流れセンサ268とを含んでよい。送出モジュール260はバックアップオン・オフスイッチ269も含んでよい。送出モジュールがガスを人工呼吸器回路に送る方法の詳細については米国特許第5,558,083号明細書に記載されており、当該明細書は引用することにより全体としてここに組み込まれているものとする。
【0035】
図1に示される人工呼吸器400は、制御モジュール200との間で、注入チューブ440を介して流体的に連通し、注入モジュールケーブル450を介して電気的に通信する。制御モジュール200、より具体的にはCPU210は、サンプルライン232を介して人工呼吸器400と流体的に連通する。人工呼吸器400は、人工呼吸器400と流体的に連通した呼気分岐部414と吸気分岐部412とを持つ呼吸回路410を含んでよい。吸気分岐部412は加湿器420と流体的に連通してよく、加湿器420は、注入モジ
ュール430を介して人工呼吸器400と流体的に連通する。吸気分岐部412はガスを患者に運び、呼気分岐部414は、患者が吐き出したガスを人工呼吸器400に運ぶ。
図1に示される注入モジュール430は、注入チューブ440を介してガス源50と流体的に連通し、注入モジュールケーブル450を介して送出モジュール260と電気的に通信しており、それにより送出モジュール260がガス源50から人工呼吸器400へのガスの流れを検出および調節できるようになっている。具体的には、注入モジュール430は注入チューブ440を介してガス源50と流体的に連通し、注入チューブ440は、送出モジュール260の圧力スイッチ262、圧力遮断バルブ264、比例バルブ266、流れセンサ268、およびバックアップスイッチ269のうちの1つ以上と流体的に連通する。注入モジュール430は、注入モジュールケーブル450を介して送出モジュール260と電気的に通信してもよい。人工呼吸器400の吸気分岐部412は、呼吸回路の吸気分岐部412とサンプルライン232との流体的な連通を容易にするサンプルT字管416を含んでよい。
【0036】
上で論じたように、ガス治療を必要とする患者へのガス源50およびガス送出装置の移動を容易にするため、制御モジュール200は、
図7〜9に示されるように、カート500に配置されるか取り付けられてよい。ガス源50、およびガス源50に取り付けられたバルブ組立品100は、カート500上の制御モジュール200の近傍に置かれてよい。さらに具体的には、
図7に示されるように、ガス源50は、バルブ送受信部120がCPU送受信部220に近接してバルブ送受信部120とCPU送受信部220との間に見通し経路が確立されるように、カート500に置かれる。この構成において、CPU210はCPU送受信部220を介して回路150の、ひいてはガス源50の存在を検出する。
【0037】
図7〜9に示されるように、ガス送出装置は、それぞれが単一のガス源に取り付けられた複数のバルブを含んでよい。第2のガス源60を第2のバルブ組立品101とともに利用するそのような実施の形態では、第2のバルブ組立品101は、ガス源60がカート上に搭載される際に、第2のCPU送受信部の近傍かつ見通し内に置かれる。第2のCPU送受信部222は、第2のバルブ組立品101との通信を確立し、それにより第2のガス源60の存在を検出する。
図7〜9に示される実施の形態では、第2のCPU送受信部222がカートのカバー部225に配置されてもよい。1つ以上の代替となる実施の形態において、第2のCPU送受信部222はCPU210に配置されてよい。
【0038】
図8に示されるように、カート500は、随意の小容器510と、制御モジュール200をカート500上に支持するマウント512と、少なくとも1つの保持ブラケット520と、少なくとも1つの取り付けストラップ530と、補助ガス源を保持する補助ブラケット540と、複数のキャスター550と、複数のキャスター550のそれぞれに配置されたキャスターロックレバー560とを含んでよい。カート500は、制御モジュール200をカートに取り付けるマウント570を含んでよい。
【0039】
図10〜12に示される例示的な制御モジュール200は、ガス源50から人工呼吸器400へ送られているガス(例えばNO、O
2、NO
2)の成分、各成分の濃度、および1つ以上のガス源との間で通信が確立されているかについて視覚的な表示を使用者に提供する表示部270を含む。他の情報も使用者に対して表示されてよい。さらに、視覚的な警報も表示部270に表示されてよい。制御モジュール200は、制御モジュールがAC/DC電源および/または電池のような電源に接続されているか否かを表示する主電源表示部272も含んでよい。制御モジュール200は、表示部に表示されたさまざまな表示または情報を使用者が操作できるようにする制御ホイール274も含んでよい。送出モジュール260と注入モジュール430とを流体的に連通させるために、注入モジュールチューブ出口276が制御モジュールに配置されてよい。送出モジュール260と注入モジュール430とを電気的に通信させるために、制御モジュールには注入モジュールケーブル
ポート278も設けられてよい。
図10〜12に示される制御モジュール200は、サンプルライン232および人工呼吸器400の吸気分岐部412と流体的に連通するサンプルライン入口280も含む。
図10〜12に示される実施の形態において、排水器233は、制御モジュールの、サンプルライン入口280の近傍に配置される。
【0040】
図11は、制御モジュール200の背面図を示し、複数の入口を示す図である。図示された実施の形態では、制御モジュール200をガス源50に接続する2つのガス入口282、284が設けられ、酸素などのガスを含み得る補助ガス源に制御モジュール200を接続する補助入口286が1つ設けられる。制御モジュールをAC/DC電源に接続するために電源ポート288も制御モジュールの背面に設けられる。
【0041】
制御モジュール200は、例えば患者の身元、患者に投与するガスの種類と濃度および用量、ガスで治療する患者の病気もしくは状態または治療の理由、患者の妊娠期間、ならびに患者の体重のような患者情報を使用者が入力できるようにする入力手段290も含んでよい。
図10に示される入力手段290は、表示部と統合されたキーボードを含む。1つ以上の代替となる実施の形態において、入力手段は、外付けキーボードなどの当技術分野で既知の入力機構を接続する、USBポートなどのポートを含んでよい。入力手段290を介して入力された情報は、CPUメモリ212内に格納される。
【0042】
制御モジュール200およびバルブ組立品100は、患者の安全を向上させるためにガス送出システム10で利用されてよい。具体的には、本明細書に記載されたガス送出システムの安全の利益としては、未確認の薬またはガス源、期限切れの薬またはガス、間違ったガスの種類、間違ったガス濃度などを検出することがある。さらに、本明細書に記載されたガス送出システムの実施の形態は、ガス治療の効率も改善する。
【0043】
図13は、1つ以上の実施の形態による、組立品100を含むガス送出装置の準備方法と、ガス送出システム10内でのその使用とのシーケンスを示すブロック図である。
図13に示されるように、ガスを保持するガスボンベなどの容器の形のガス源50を用意し、ガス源50をガスで満たし(700)、本明細書に記載されたようにバルブ組立品100を取り付けてガス送出装置10を組み立てる(710)ことにより、ガス送出装置の使用準備を行う。これらのステップはガスの供給業者または製造業者が行ってよい。本明細書に記載されたように、ガス源50内に充填されたガスに関するガスデータがバルブメモリ134に入力される(720)。ガスデータは、ガス源50を供給しガス送出装置を組み立てるガスの供給業者または製造業者によりバルブメモリ134に入力されてよい。あるいは、ガス送出装置が病院または医療施設まで運ばれた後に、病院などの医療施設がガスデータをバルブメモリ134に入力してもよい(730)。ガス送出装置はカート500に置かれ(740)、CPU送受信部220とバルブ送受信部120との通信が確立される(750)。バルブメモリ134内に格納されたガスデータが、バルブ送受信部120とCPU送受信部220との無線光見通し内通信を介して、制御モジュール200に伝達される(760)。CPU210が、ガスデータを、CPUメモリ212に入力された患者情報と比較する(770)。患者情報は、ガスデータがCPUメモリ212に入力された後に、CPUメモリに入力されてよい。患者情報は、ガス送出装置がカートに置かれる前、またはCPU送受信部220とバルブ送受信部との通信が確立される前に、CPUメモリに入力されてもよい。1つ以上の代替となる実施の形態において、患者情報は、ガス送出装置の準備または病院または施設への運搬の前に、CPUメモリ212に入力されてよい。次に、CPU210は、ガスデータと患者情報とが整合するか比較する(780)。ガスデータと患者情報とが整合したら、例えば人工呼吸器などのガス送出機構を通して、ガスが患者に投与される(790)。ガスデータと患者情報とが整合しなかったら、警報が発せられる(800)。本明細書に別に記載されたように、警報は可聴式でスピーカー214から発せられてよく、および/または視覚的で表示部270に表示されてよい
。
【0044】
本明細書に記載されたガス送出システムは、無線見通し内信号を利用して通信を確立することにより設定手順を単純化する。使用者は、すべてのケーブルが正しく接続されていることを確認する必要がなく、制御モジュール200とバルブ組立品100または回路150とを連結するケーブルを外すことなく新しいガス源を自由にカートに搭載できる。これにより、設定時間や、設定作業中に発生し得た誤りを正すのに割かれる時間が減る。制御モジュール200および回路150は、情報を自動的に送信かつ検出して、正しい濃度を有する、期限切れになっていない正しいガスの送出を確立するようにさらに設計される。1つ以上の具体的な実施の形態では、このような自動化された動作によって、使用者の介在なしに、患者へのガスの流れを阻止することによりガス送出システムの使用が阻止される。
【0045】
1つ以上の実施の形態において、バルブ送受信部120とCPU送受信部220との通信が確立された後、バルブ処理部122は、バルブメモリ134に格納されたガスデータを、バルブ送受信部120を介してCPU送受信部220に伝達する命令を含む。CPU210は、CPU送受信部220から受信したガスデータをCPUメモリに格納する命令を含む。CPU210は、ガスデータをCPUメモリ212に入力された患者情報と比較するアルゴリズムも含む。ガスデータと患者情報とが整合しない場合、CPU210は、警報を発する命令を含む。警報は、可聴式、視覚的、またはその両方であってよく、ガス源内に含まれるガスが患者に投与されるべきガスと異なっていることを使用者に警告するものである。例えば、
図12に示されるように、ガスデータがガス使用期限を含む場合、CPUメモリ212は現在の日付に関する情報を含み、CPU210はガス使用期限を現在の日付と比較する。ガス使用期限が現在の日付よりも早ければ、CPU210は警報を発する。警報は、スピーカー214および表示部270の一方または両方から発せられてよい。1つ以上の実施の形態において、CPU210は、送出モジュール260がガスの送出を中断または阻止するという命令を含んでよい。1つ以上の実施の形態において、CPU210は、送出モジュール260がガスの送出を開始または継続したらバックアップオン・オフスイッチ269を切る命令を含む。CPU210による期限切れガスの検出結果はCPUメモリ212内に格納されてよい。
【0046】
ガスデータがガス濃度の情報またはデータを含む場合、CPUメモリ212は、患者に投与されるべきガスの所望の濃度に関する情報を含む。制御モジュール200は、ガス源内に含まれるガスが間違った濃度または所望のガス濃度に整合しない濃度を有することを使用者に警告するように構成されてよい。例えば、使用者は800ppmという濃度をCPUメモリ212に入力してよく、この濃度が、バルブメモリ134からCPUメモリ212に伝達されたガス濃度と比較される。
図12に示されるように、CPU210は、ガスのガス濃度を使用者の入力した濃度と比較する命令を含む。ガス濃度が使用者の入力した濃度と整合しなければ、CPU210は警報を発する。警報は、可聴式および/または視覚的であってよい。1つ以上の実施の形態において、CPU210は、送出モジュール260がガスの送出を中断または阻止するという命令を含んでよい。1つ以上の実施の形態において、CPU210は、送出モジュール260がガスの送出を開始または継続したらバックアップオン・オフスイッチ269を切る命令を含む。間違った濃度のガスの検出結果はCPUメモリ212内に格納されてよい。
【0047】
1つ以上の実施の形態において、制御モジュール200は、複数のバルブを検出するとともに複数のバルブが開かれているかを検出するように構成されてよい。この構成により無駄がなくなる。なぜならば、両方のバルブが開かれていて、そのため送出モジュール260を介して不必要なガスが送出されている、ということが使用者に警告されるからである。さらに、そのような構成により、2つの調節器が同時に圧力をかけられ送出モジュー
ル260に接続される、ということに関連する問題が回避されるので、安全性が向上する。1つ以上の実施の形態において、制御モジュール200のカバー部225は第2のCPU送受信部222を含んでよく、CPU210は、第2のCPU送受信部222が、第2のバルブ組立品101からの、より具体的には第2のバルブ送受信部121からの無線光見通し内信号を検出する命令を含んでよい。CPU210は、第2のバルブ組立品101がCPU送受信部222によって検出されたら、両方のバルブ組立品100、101が開かれているかまたは開位置を含むバルブ状態を有するか、を検出する命令も含んでよい。動作にあたっては、第1のバルブ組立品100は、第1のバルブ送受信部120を介して開位置または閉位置を伝達する命令を持つバルブ処理部を持つ回路を含む。第2のバルブ組立品の回路も同様に、第2のバルブ送受信部121を介して開位置または閉位置を伝達する命令を持つバルブ処理部を含む。第1のCPU送受信部220および第2のCPU送受信部222は、第1のバルブ送受信部120および第2のバルブ送受信部121から、両方の送受信部によって送られた無線光見通し内信号を介して、それぞれのバルブ組立品のバルブ状態を検出する。CPU210は、CPU送受信部220、222に対して両方のバルブ組立品100、101のバルブ状態を集めるように、そしてメモリに対してそのバルブ状態を格納するように、命令する。CPU210は次に、第1のバルブ組立品100および第2のバルブ組立品101からのバルブ状態の情報を比較し、もしもそれらのバルブ状態が両方とも開位置を含んでいたら、CPU210は警報を発する。警報は、可聴式および/または視覚的であってよい。1つ以上の実施の形態において、CPU210は、送出モジュール260が第1のバルブ組立品か第2のバルブ組立品のいずれかを通じたガスのさらなる送出を中断または阻止するという命令を含んでよい。1つ以上の実施の形態において、CPU210は、送出モジュール260がガスの送出を開始または継続したらバックアップオン・オフスイッチ269を切る命令を含む。複数のバルブ組立品が開いているバルブを有するか開位置を含むバルブ状態を有する、という検出結果は、CPUメモリ内に格納されてよい。
【0048】
1つ以上の実施の形態において、制御モジュール200は、所望の用量が送出された時に使用者に警告するように構成されてよい。そのような実施の形態では、CPUメモリ212に入力された患者情報は、用量情報または患者に投与されるべき用量を含んでよい。バルブ処理部122は、送出されるガスの量を含む、バルブメモリ134からのガス使用情報を、バルブ送受信部120を介してCPUメモリ212に伝達する命令を含んでよい。あるいは、バルブ処理部122は、バルブ107が開けられていた、または開位置を含むバルブ状態を有する時間を、バルブ送受信部120を介してCPUメモリ212に伝達する命令を含んでよい。CPU210は、使用者が入力しCPUメモリ212内に格納された用量情報をガス使用情報と比較する命令を含んでよい。CPU210は、用量情報とガス使用情報とが整合した時に警報を発する命令を含んでよい。CPU210は、用量が送出された時に、同じまたは異なる警報を発して、バルブまたは、より具体的には、アクチュエータ114を閉じるよう使用者に警告する命令を含んでよい。1つ以上の実施の形態において、CPU210は、送出モジュール260がガスのさらなる送出を中断または阻止するという命令を含んでよい。1つ以上の実施の形態において、CPU210は、送出モジュール260がガスの送出を開始または継続したらバックアップオン・オフスイッチ269を切る命令を含む。
【0049】
さらに、制御モジュール200は、検出されたバルブが閉じられているか閉じられたままになっていて、ガスが患者に送出されていない、ということを使用者に警告するように構成されてよい。この構成により、治療時間が早まり、病院の効率が高まる。そのような実施の形態において、バルブ処理部122は、バルブ送受信部120が無線光見通し内信号を介してCPU210にバルブ状態を伝達する命令を含んでよい。CPU210は、バルブ状態の情報を集め、治療を開始するようCPUメモリ212に用量情報が設定されているか他の入力が入力されているのにバルブ状態が閉位置を含む場合に警報を発する命令
を含む。
【0050】
制御モジュール200は、バルブ組立品またはガス源が検出されていないことを使用者に警告するように構成されてよい。そのような実施の形態では、CPU210は、他の送受信部、例えばバルブ送受信部120からの、無線光見通し内信号の存在を検出する命令を含む。CPU210は、ガスの送出を開始するための用量情報などの入力がCPUメモリ212に入力されているのに他の送受信部からの信号が検出されていない場合に警報を発する命令を含んでよい。同様に、制御モジュール200は、CPU送受信部(または複数のCPU送受信部)220、222の一方または両方とバルブ送受信部120、121の一方または両方との通信がガス送出中に途絶えた場合に警報を発するように構成されてよい。そのような実施の形態において、CPU210は、他の送受信部からの信号の存在を連続的に検出し、ガスの送出を開始するための用量情報などの入力がCPUメモリ212に入力されているのに他の送受信部からの信号が検出されていない場合に警報を発する命令を含んでよい。
【0051】
CPU210は、患者へのガス送出を正確に行うために制御モジュール200のセンサを校正しなければならない場合に使用者に警告する命令を含んでよい。さらに、CPU210は、バルブ組立品100の回路150からのガス使用情報を、CPUメモリ212に入力された患者情報と互いに関係づける命令を含んでよい。CPU210は、互いに関係づけられたガス使用情報と患者情報とをCPUメモリ212に格納する命令も有してよい。バルブ処理部122は、CPUメモリ212から患者情報を検出する命令も含んでよい。具体的には、バルブ処理部122は、バルブ送受信部120を介してCPU送受信部220から患者情報を集め、集められた患者情報をバルブメモリ134に格納する命令を含んでよい。CPU210からの情報が集められてバルブメモリ134に格納されるそのような実施の形態では、CPU210は、患者情報および/または互いに関係づけられた患者情報とガス使用情報とをCPUメモリ212からCPU送受信部220を介してバルブ送受信部120に伝達する命令を含んでよい。バルブ処理部122は、ガス使用情報を集められた患者情報と互いに関係づけ、互いに関係づけられたガス使用情報と集められた患者情報とをバルブメモリ134に格納する命令も含んでよい。あるいは、バルブ処理部122は、互いに関係づけられた患者情報とガス使用情報とをCPU210から集める命令を含んでもよい。互いに関係づけられた情報は、患者ごとに使用者に請求するのに利用されてよい。さらに、互いに関係づけられた情報は患者層データとして利用されてよく、これにより、病院などの施設が、予算報告書を作成し、部門当たりの使用を求め、患者の診断当たりの使用を求め、多数のガス源の使用を個々の患者と結び付けるのを支援できる。
【0052】
本発明の第2の態様は、治療ガスを患者に投与する方法に関する。本方法は、ガスをガス源で供給することを含む。ガス源は、供給業者によって、所定の成分、濃度、および使用期限を有するガスを含むように準備されてよい。本方法は、ガス源50に取り付けられたバルブ組立品100を用意してガス源50内に含まれたガスを患者に投与することを含んでよい。本方法は、ガス成分、ガス濃度、およびガス使用期限を含み得るガスデータを、バルブメモリ134に入力することを含んでよい。1つ以上の実施の形態では、供給業者がガスデータを直接バルブメモリ134に入力してよい。他の変形例では、ガスデータは、ガス源に配置されたバーコードの形で与えられる。そのような実施の形態において、本方法は、データ入力部108と通信する走査装置を用意し、バーコードを走査してガスデータ情報を集め、データ入力部108を介してガスデータをバルブメモリ134に伝達することを含む。これらのステップは、第2のガス源について反復されてよい。バルブ組立品が取り付けられたガス源(または複数のガス源)は、患者への投与のために病院などの施設へ運ばれてよい。ガス源(または複数のガス源)は次に、カート500に取り付けられ、保持ブラケット520および取り付けストラップ530により固定される。本方法は、各バルブに配置されたバルブ送受信部とCPU送受信部220、222との通信を確
立することを含む。通信の確立は、バルブ組立品100をCPU送受信部220、222のうちの少なくとも1つの見通し内に置くことを含んでよい。本明細書に別に記載されたように、通信は、バルブ送受信部に対して、無線光見通し内信号をCPU送受信部220、222に送るように命令することにより、確立されてよい。本方法は、バルブ送受信部120に対して、無線光見通し内信号を所定の間隔で送信するように命令することを含んでよく、これについては本明細書に別に記載された通りである。
【0053】
本方法は、患者情報をCPUメモリ212に入力することを含んでよい。このステップは、ガス源(または複数のガス源)がカート上に取り付けられる前または後に行われてよい。本方法は、具体的には、用量情報のような患者情報をバルブメモリ134に入力することを含んでよい。本方法は、バルブメモリ134からガスデータを集め、ガスデータをアルゴリズムに従って患者情報と比較し、ガスデータと患者情報とが整合するかをアルゴリズムに従って決定することによって、患者へのガスの送出を調整することを含む。ガスの送出の調整は、ガスが入口104から出口106に流れることができるようにバルブ107のアクチュエータ114を開けることを含んでよい。用量が投与された後、本方法は、ガス使用情報と患者情報とを互いに関係づけることを含んでよい。本方法は、患者情報、ガス使用情報、および/または互いに関係づけられた患者情報とガス使用情報とを、CPUメモリ212および/またはバルブメモリ134に記録することも含んでよい。1つ以上の変形例において、本方法は、患者情報、ガス使用情報、および/または互いに関係づけられた患者情報とガス使用情報とを利用して、個々の患者によるガスの使用を特定する伝票を作成することを含んでよい。
【0054】
本明細書の全体を通して、「ある実施の形態」、「いくつかの実施の形態」、「1つ以上の実施の形態」、または「実施の形態」への言及は、実施の形態と関連して記載された特定の特徴、構造、材料、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施の形態に含まれるということを意味する。従って、本明細書の全体を通じたさまざまな箇所における「1つ以上の実施の形態において」、「いくつかの実施の形態において」、「ある実施の形態において」、または「実施の形態において」のような表現の出現は、必ずしも本発明の同一の実施の形態を参照しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、材料、または特性は、任意の好適な方法で1つ以上の実施の形態に組み込まれてよい。
【0055】
本発明は、本明細書において特定の実施の形態を参照して説明されているが、当然のことながら、これらの実施の形態は、本発明の原理および応用を単に例示するにすぎない。本発明の精神と範囲から逸脱することなく本発明の方法および装置にさまざまな変更および変形が加えられ得ることは、当業者に明らかであろう。従って、添付の請求の範囲およびそれらの等価物の範囲内にある変更および変形を本発明が包含することが意図されている。
【手続補正書】
【提出日】2017年9月13日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療ガスを送出するシステムであって、
装置を備え、前記装置は、
薬源と、
回路を有し、前記回路は、
前記薬源の薬識別情報、薬使用期限および薬濃度のうちの1つ以上を含む薬データを格納する第1のメモリと、
前記第1のメモリと通信する第1の処理部および第1の送受信部と、
人工呼吸器回路へ治療ガスを送出することにより対象への治療ガスの送出を制御する制御モジュールであって、第2のメモリと、前記第2のメモリと通信する第2の送受信部および第2の処理部とを有する制御モジュールとを含み、
前記第1の送受信部および前記第2の送受信部は、前記制御モジュールに前記薬データを伝達し、前記薬識別情報、前記薬濃度および前記薬が期限切れでないことのうちの1つ以上を確認するように、信号を送受信する
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記薬源は、ガスボンベを含む
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ガス源は、NO、O2、NO2およびCOのうちの1つ以上を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記制御モジュールは、前記第2のメモリに患者情報を入力するための入力手段をさらに有する
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第2の処理部は、前記入力手段を介して前記第2のメモリに入力された前記患者情報と、前記第1の送受信部が前記第2の送受信部に伝達した前記薬データとを比較する
ことを特徴とする請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記薬データは、前記薬源の充填の時点での薬識別情報、薬使用期限および薬濃度のうちの1つ以上を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記薬データは、前記薬源の充填の時点での薬使用期限及び薬濃度を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記薬データは、前記薬源の充填の時点での薬識別情報、薬使用期限および薬濃度を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記制御モジュールは、前記人工呼吸器回路への治療ガスの送出ためのバルブおよび送出流れセンサを有する
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
治療ガスを送出するシステムであって、
ガス送出装置を備え、前記ガス送出装置は、
ガス源と、
前記ガス源に取り付けられたバルブであって、流体的に連通した入口および出口と、前記バルブを開閉するバルブアクチュエータとを含むバルブと、
回路を有し、前記回路は、
ガス識別情報、ガス使用期限およびガス濃度のうちの1つ以上を含むガスデータを格納する第1のメモリと、
前記第1のメモリと通信する第1の処理部および第1の送受信部と、
対象への治療ガスの送出を制御する制御モジュールであって、第2のメモリと、前記第2のメモリと通信する第2の送受信部および第2の処理部とを有する制御モジュールとを含み、
前記第1の送受信部および前記第2の送受信部は、前記制御モジュールに前記ガスデータを伝達し、前記ガス識別情報、前記ガス濃度および前記ガスが期限切れでないことのうちの1つ以上を確認するように、信号を送受信する
ことを特徴とするシステム。
【請求項11】
前記制御モジュールは、前記第2のメモリに患者情報を入力するためのディスプレイをさらに有する
ことを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記第2の処理部は、前記ディスプレイを介して前記第2のメモリに入力された前記患者情報と、前記第1の送受信部が前記第2の送受信部に伝達した前記ガスデータとを比較する
ことを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記制御モジュールは、前記第2のメモリに入力された前記患者情報と前記バルブ送受信部からの前記ガスデータとが整合しない場合に作動させられる警報器を有する
ことを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記第2のメモリは、
前記ガス送出装置からガスデータを受信すること、
前記ガスデータを前記患者情報と比較すること、および、
前記患者への前記治療ガスの送出を制御すること
を前記第2の処理部に行わせる指令を含む
ことを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記第2の処理部は、前記患者への前記治療ガスの送出の前に、前記ガス識別情報、前記ガス濃度および前記ガスが期限切れでないことのうちの1つ以上を確認する
ことを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記第2のメモリは、
第1の開位置および第1の閉位置から選択された第1のバルブ状態を第1のガス源に接続された第1のバルブから受信すること、
第2の開位置および第2の閉位置から選択された第2のバルブ状態を第2のガス源に接続された第2のバルブから受信すること、
前記第1のバルブ状態と前記第2のバルブ状態とを比較すること、および、
前記第1のバルブ状態が前記第1の開位置を含み、前記第2のバルブ状態が前記第2の開位置を含む場合に、警報を発すること
を前記第2の処理部に行わせる命令を含むことを特長とする請求項10に記載のシステム。
【請求項17】
前記信号は、無線光見通し内信号を含む
ことを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項18】
前記ガス源は、NO、O2、NO2およびCOのうちの1つ以上を含む
ことを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項19】
前記バルブは、使用者が前記ガスデータを前記第1のメモリに入力できるようにする、前記第1のメモリと通信するデータ入力部をさらに有する
ことを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項20】
前記ガスデータは、前記ガス源に配置されたバーコードで与えられており、前記データ入力部と通信する使用者操作式走査装置によって前記データ入力部に入力される
ことを特徴とする請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記バルブアクチュエータは、前記バルブを開閉して前記ガスを前記バルブ経由で前記制御モジュールへ流れるようにする
ことを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項22】
前記バルブは、電源を含み、
前記送受信部は、周期的に前記無線光見通し内信号を前記制御モジュールに送信し、
前記信号は、前記信号が送信されない時間で中断される
ことを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項23】
前記信号が送信されない時間は、およそ10秒で構成される
ことを特徴とする請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記制御モジュールは、前記バルブの出口および人工呼吸器と流体的に連通している
ことを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記制御モジュールは、
見通し内信号を前記送受信部から受信するCPU送受信部と、
前記CPU送受信部と通信し、CPUメモリを含むCPUとを有し、
前記送受信部は、前記CPUメモリへの格納のために前記ガスデータを前記CPU送受信部に伝達し、
前記バルブは、カレンダタイマおよびイベントタイマを含むタイマを含み、
前記CPUメモリは、前記バルブの開閉の日時および前記バルブを開けておく時間を格納し、
前記送受信部は、前記CPUメモリへの格納のために前記バルブの開閉の日時を前記CPU送受信部に伝達する
ことを特徴とする請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記制御モジュールは、前記バルブの出口および人工呼吸器と流体的に連通しており、
前記制御モジュールは、
見通し内信号を前記送受信部から受信するCPU送受信部と、
前記CPU送受信部と通信し、CPUメモリを含むCPUとを有し、
前記送受信部は、前記CPUメモリへの格納のために前記ガスデータを前記CPU送受信部に伝達し、
前記制御モジュールは、患者情報を前記CPUメモリに入力するための入力手段とディスプレイとをさらに有し、
前記CPUは、前記入力手段を介して前記CPUに入力された前記患者情報と、前記送受信部からの前記ガスデータとを比較する
ことを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項27】
前記CPUは、前記CPUメモリに入力された前記患者情報と前記送受信部からの前記ガスデータとが整合しない場合に作動させられる警報器を含む
ことを特徴とする請求項6に記載のシステム。