【解決手段】乗用作業車は、搭乗式の運転部9を有する走行車体1と、走行車体1における左右の前輪と左右の後輪との間に配置されるミッドマウント式の作業装置と、作業装置を昇降可能に支持するリンク機構3と、リンク機構3に対する作業装置の着脱を可能にする着脱機構4とを備え、着脱機構4は、前輪を作業装置の後方から作業装置を乗り越えさせる乗り越え前進走行によってリンク機構3を作業装置に連結する乗り越え連結式に構成され、運転部9は、その床面9Aを形成するフロアパネル20に、着脱機構4によるリンク機構3に対する作業装置の着脱を運転部9から視認させる確認孔70を備えている。
搭乗式の運転部を有する走行車体と、前記走行車体における左右の前輪と左右の後輪との間に配置されるミッドマウント式の作業装置と、前記作業装置を昇降可能に支持するリンク機構と、前記リンク機構に対する前記作業装置の着脱を可能にする着脱機構とを備え、
前記着脱機構は、前記前輪を前記作業装置の後方から前記作業装置を乗り越えさせる乗り越え前進走行によって前記リンク機構を前記作業装置に連結する乗り越え連結式に構成され、
前記運転部は、その床面を形成するフロアパネルに、前記着脱機構による前記リンク機構に対する前記作業装置の着脱を前記運転部から視認させる確認孔を備えている乗用作業車。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された乗用草刈機においては、乗用草刈機の下腹部にモーアユニットが取り付けられたことを確認するためには、運転者が降車して乗用草刈機の下腹部を覗き込む必要がある。これにより、乗用草刈機に対するモーアユニットの取り付け確認が面倒になっていた。
【0005】
つまり、乗用作業車に対する作業装置の取り付け確認を運転部から容易に行えるようにすることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するための手段として、
本発明に係る乗用作業車は、搭乗式の運転部を有する走行車体と、前記走行車体における左右の前輪と左右の後輪との間に配置されるミッドマウント式の作業装置と、前記作業装置を昇降可能に支持するリンク機構と、前記リンク機構に対する前記作業装置の着脱を可能にする着脱機構とを備え、
前記着脱機構は、前記前輪を前記作業装置の後方から前記作業装置を乗り越えさせる乗り越え前進走行によって前記リンク機構を前記作業装置に連結する乗り越え連結式に構成され、
前記運転部は、その床面を形成するフロアパネルに、前記着脱機構による前記リンク機構に対する前記作業装置の着脱を前記運転部から視認させる確認孔を備えている。
【0007】
この手段によると、運転者は、リンク機構を作業装置に連結する場合は、運転部において乗り越え前進走行を行いながら、リンク機構に対する作業装置の連結を確認孔から視認することができる。
【0008】
その結果、運転者は、乗用作業車に対する作業装置の取り付け確認を運転部から容易に行うことができ、その確認のために降車する必要がなくなる。
【0009】
本発明をより好適にするための手段の一つとして、
前記フロアパネルには、前記運転部に配置される操作ペダルのアーム部が挿通される貫通孔が形成され、
前記貫通孔は、前記確認孔として機能するように広い開口面積を有している。
【0010】
この手段によると、操作ペダル用の貫通孔を確認孔に兼用することから、フロアパネルに形成される貫通孔の数量を削減することができる。
【0011】
その結果、フロアパネルの製造及び強度などの面において有利にしながら、乗用作業車に対する作業装置の取り付け確認を運転部から容易に行えるようにすることができる。
【0012】
本発明をより好適にするための手段の一つとして、
前記着脱機構は、前記作業装置の上面に配置された被係合具と、前記乗り越え前進走行によって前記被係合具に係合する係合具とを備え、
前記係合具は、前記リンク機構における前記運転部から前記確認孔を通して視認される位置に配置されている。
【0013】
この手段によると、運転者は、リンク機構を作業装置に連結する場合は、運転部において乗り越え前進走行を行いながら、確認孔から作業装置の被係合具に対する係合具の位置を視認することができる。これにより、運転者は、乗り越え前進走行において、作業装置の被係合具に対する係合具の位置合わせが行い易くなり、リンク機構の係合具を作業装置の被係合具に係合させ易くなる。
【0014】
その結果、乗り越え前進走行による乗用作業車に対する作業装置の取り付けが容易になる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、本発明を、乗用作業車の一例である乗用草刈機に適用した実施形態を図面に基づいて説明する。
尚、
図1に記載した符号Fの矢印が指し示す方向が乗用草刈機の前側であり、符号Uの矢印が指し示す方向が乗用草刈機の上側である。
又、
図2に記載した符号Fの矢印が指し示す方向が乗用草刈機の前側であり、符号Rの矢印が指し示す方向が乗用草刈機の右側である。
【0017】
図1〜4に示すように、本実施形態で例示する乗用草刈機は、乗用型の走行車体であるトラクタ1、トラクタ1の下腹部に配置されるミッドマウント式のモーアユニット(作業装置の一例)2、モーアユニット2を昇降可能に支持する第1リンク機構3、及び、第1リンク機構3に対するモーアユニット2の着脱を可能にする着脱機構4、などを備えている。
【0018】
トラクタ1は、その骨組みを形成する車体フレーム5、車体フレーム5の前部側に支持された原動部6、車体フレーム5の後部側に支持された変速ユニット7、車体フレーム5の後端部に連結された保護フレーム8、保護フレーム8の保護領域に形成された搭乗式の運転部9、駆動可能で操舵可能な左右の前輪10、及び、駆動可能な左右の後輪11、などを備えている。トラクタ1は、左右の前輪10と左右の後輪11との間の下腹部に、モーアユニット2が昇降可能に配置される配置空間を備えている。
【0019】
原動部6は、車体フレーム5の前部に防振支持された水冷式のエンジン12、エンジン12の後方に配置される冷却ファン13、冷却ファン13の後方に配置されるラジエータ14、及び、それらを覆うボンネット15、などを備えている。
【0020】
図示は省略するが、変速ユニット7は、エンジン12からの回転動力を変速する静油圧式無段変速装置(以下、HSTと称する)などを備え、変速後の回転動力を走行用として左右の前輪10及び左右の後輪11に供給する。
【0021】
図1〜4に示すように、変速ユニット7は、作業動力取り出し用の出力軸として、変速ユニット7の前端下部から前方に突出する第1PTO軸16と、変速ユニット7の後端下部から後方に突出する第2PTO軸17とを備えている。変速ユニット7の後部には、トラクタ1の後方に配置されるロータリ耕耘装置などのリアマウント式の作業装置(図示せず)を昇降可能に支持する第2リンク機構18が備えられている。第1PTO軸16には、第1PTO軸16から取り出された作業用の回転動力をモーアユニット2に伝達する外部伝動機構19が接続されている。外部伝動機構19は、第1PTO軸16にスプライン嵌合された第1自在継手19A、第1自在継手19Aから前方に延出する伸縮可能な伝動軸19B、及び、伝動軸19Bの前端部に連結された第2自在継手19C、などを備えている。
【0022】
図1〜2に示すように、運転部9は、その床面9Aを形成するフロアパネル20、前輪操舵用のステアリングホイール21、HSTのトラニオン軸に連係された前進用変速ペダル22と後進用変速ペダル23、制動装置(図示せず)に連係されたブレーキペダル24、ブレーキペダル24を制動位置に係合保持する駐車ペダル25、作業装置用の昇降レバー26、及び、変速ユニット7の上方に配置された運転座席27、などを備えている。フロアパネル20は、車体フレーム5に支持された鋼板製のベースプレート28、及び、ベースプレート28の上面に敷設されたゴムマット29、などを備えている。
【0023】
図示は省略するが、昇降レバー26は、昇降操作用の連係機構を介して昇降用のバルブユニットに操作連係されている。バルブユニットは、昇降レバー26の操作位置に基づいて、変速ユニット7の内部に備えられた油圧式のリフトシリンダに対するオイルの流れを制御し、この制御により、リフトシリンダを伸縮作動させて第2リンク機構18を昇降揺動させる。
図1、
図5〜7に示すように、第2リンク機構18は、その昇降揺動に連動して第1リンク機構3が昇降駆動されるように、第1リンク機構3に連動機構30を介して連動連結されている。
上記の構成により、運転者は、昇降レバー26を操作することにより、第1リンク機構3に支持されたモーアユニット2を、リフトシリンダの伸縮作動によってモーアユニット2が接地する作業位置と上限の退避位置とにわたって昇降させることができる。
【0024】
図1、
図3〜7、
図10〜11に示すように、第1リンク機構3は、車体フレーム5の前端側に上下揺動可能に支持された前側リンク31、車体フレーム5の前後中間部側に上下揺動可能に支持された左右の後側リンク32、及び、前側リンク31の遊端部と各後側リンク32の遊端部とにわたる支持フレーム33、などを備えている。前側リンク31の遊端部は、支持フレーム33の前端部に係合するフックとして機能する。各後側リンク32の遊端部には、支持フレーム33の後部に備えられた被連結部33Aに連結されるピン連結式の連結部32Aが備えられている。
【0025】
図1〜4、
図8〜11に示すように、モーアユニット2は、縦軸心回りで回転するように左右方向に並べて配置された3枚のバーブレード(図示せず)、3枚のバーブレードを上方から覆うモーアデッキ34、第1PTO軸16からの回転動力を各バーブレードに供給する動力分配機構35、モーアデッキ34における前端部の左右中央箇所に配置された乗り越えローラ36、モーアデッキ34の前後両端部に配置された左右のゲージ輪37、及び、モーアユニット2に対する前輪用の乗り越え経路を形成する左右の経路形成機構38、などを備えている。
【0026】
図示は省略するが、各バーブレードは、動力分配機構35からの動力によって平面視右回りに回転駆動される。各バーブレードの両端部には、バーブレードの回転に伴って搬送風を発生させる起風翼が形成されている。
【0027】
図1〜2、
図8〜11に示すように、モーアデッキ34は、その前端側の領域においてモーアデッキ34の左右にわたって上向きに膨出する膨出部34Aを備えている。これにより、モーアデッキ34は、その内部空間における上部の前端側に、搬送風によって搬送される刈草をモーアデッキ34の右端部に向けて案内する案内経路が形成されている。そして、モーアデッキ34の右端部には、案内経路によって案内された刈草を外部に排出する排出部34Bが備えられている。
【0028】
図3〜4、
図8〜11に示すように、動力分配機構35は、モーアデッキ34の上面における膨出部34Aよりも後側の領域に配置されている。動力分配機構35は、第1PTO軸16からの回転動力が外部伝動機構19を介して入力される前後向きの入力軸39、入力軸39の回転動力を縦軸心回りの回転動力に変換するベベルギア式の第1伝動ユニット40、及び、第1伝動ユニット40から出力された縦軸心回りの回転動力を各バーブレードに伝達するベルト式の第2伝動ユニット41、などを備えている。第1伝動ユニット40は、入力軸39などを支持する伝動ケース42の内部に一対のベベルギア(図示せず)などを備えて、モーアデッキ34の左右中央箇所に配置されている。第2伝動ユニット41は、第1伝動ユニット40からの回転動力が入力されるとともに左右中央のバーブレードと一体回転する入力プーリ43、左右のバーブレードと一体回転する左右の出力プーリ44、第1伝動ユニット40の左後方に配置されたテンションプーリ45、及び、これらのプーリ43〜45に巻き掛けられた無端回動ベルト46、などを備えている。
【0029】
図1、
図8〜11に示すように、左右の経路形成機構38は、左右の前輪10の中心間距離(輪距)に対応する左右間隔をあけてモーアデッキ34の上面に取り付けられている。各経路形成機構38は、モーアデッキ34の上面に固定された中間経路形成部材47、中間経路形成部材47に前後方向にスライド移動可能に支持された前側経路形成部材48と後側経路形成部材49、及び、左側の前輪10を前輪用の乗り越え経路に案内するガイド杆50、などを備えている。
【0030】
中間経路形成部材47は、モーアデッキ34の前後両端にわたる前後長さを有しており、乗り越え経路において動力分配機構35の上方を通る中間経路部分を形成している。前側経路形成部材48は、中間経路形成部材47の前後長さ内に位置する格納位置と、中間経路形成部材47の前端から前方の地面にわたって前下がり傾斜する作用位置とにわたってスライド移動する。前側経路形成部材48は、作用位置に位置することにより、乗り越え経路における中間経路部分から前側の前側経路部分を形成する。後側経路形成部材49は、中間経路形成部材47の前後長さ内に位置する格納位置と、中間経路形成部材47の後端から後方の地面にわたって後下がり傾斜する作用位置とにわたってスライド移動する。後側経路形成部材49は、作用位置に位置することにより、乗り越え経路における中間経路部分から後側の後側経路部分を形成する。前側経路形成部材48及び後側経路形成部材49は、対応する保持機構(図示せず)によって格納位置に保持されており、保持機構による保持を解除することにより、作用位置にスライド移動させることができる。左右のガイド杆50は、モーアデッキ34における乗り越え経路の横外側箇所に乗り越え経路に沿う姿勢で配置され、左右の前輪10の横外側面を案内する。
【0031】
つまり、左右の経路形成機構38は、それらの前側経路形成部材48と後側経路形成部材49とが格納位置から作用位置にスライド変位された場合に、モーアユニット2に対する前輪用の乗り越え経路を形成するように構成されている。
【0032】
図3〜13に示すように、着脱機構4は、モーアデッキ34における前部側の上面に配置された左右の第1被係合具51、モーアデッキ34における後部側の上面に配置された第2被係合具52、第1リンク機構3における支持フレーム33の前部側に配置された左右の第1係合具53、支持フレーム33における後端部の左右両端箇所に配置された左右の第2係合具54、及び、支持フレーム33の後端部に配置されたロックユニット55、などを備えている。
【0033】
左右の第1被係合具51は、それらの前端側ほどモーアデッキ34の左右中心側に位置する前内向きの第1案内面51Aを有する鋼板製で、モーアデッキ34の上面から上方に延出している。左右の第1被係合具51は、それらの後端から前側に向けて前窄み形状で凹入する第1凹部51Bを備えている。第2被係合具52は、前端側ほどモーアデッキ34の左右中心側に位置する前内向きの第2案内面56Aを有するV字状に曲げ形成された左右のガイド板56と、左右のガイド板56に架設された被係合杆57とを備えている。左右の第1係合具53は、第1案内面51Aに案内される前内向きの第1被案内面53Aと、第1被係合具51の第1凹部51Bに入り込む係合ピン53Bとを備えている。左右の第2係合具54は、第2案内面56Aに案内される前内向きの第2被案内面54Aを有するV字状に曲げ形成された鋼板製で、左右の第2係合具54には、第2被係合具52の被係合杆57に係合する第2凹部54Bが、後窄み形状で第2係合具54の前端から後側に向けて凹入形成されている。
【0034】
上記の構成により、着脱機構4は、第1リンク機構3が下限位置に位置している状態において、左右の前輪10が前輪用の乗り越え経路を通る乗り越え前進走行が行われると、第1リンク機構側の各被案内面53A,54Aがモーアユニット側の案内面51A,56Aに案内されるとともに、第1リンク機構側の各係合ピン53Bがモーアユニット側の対応する第1凹部51Bに係合し、かつ、第1リンク機構側の各第2凹部54Bがモーアユニット側の被係合杆57に係合する。これにより、第1リンク機構3をモーアユニット2に連結することができ、モーアユニット2をトラクタ1の下腹部に位置させることができる。
【0035】
つまり、着脱機構4は、左右の前輪10をモーアユニット2の後方からモーアユニット2を乗り越えさせる乗り越え前進走行によって第1リンク機構3をモーアユニット2に連結する乗り越え連結式に構成されている。
【0036】
図5〜7、
図10〜11に示すように、ロックユニット55は、支持フレーム33における後端部の左右両端箇所に架設された回転軸58、回転軸58の左右両端側に固定された左右のフック部材59、回転軸58の左端部に固定された操作アーム60、支持フレーム33の左側後端部に形成された前後の係止孔33B,33Cに択一的に挿入される係止ピン61、及び、係止ピン61を挿入方向に付勢する圧縮バネ62、などを備えている。
【0037】
ロックユニット55は、係止ピン61が前後の係止孔33B,33Cから抜き出されることにより、操作アーム60の前後方向への揺動操作が許容され、操作アーム60が前後方向に揺動操作されることによって左右のフック部材59がロック位置と解除位置にわたって揺動する。そして、操作アーム60の揺動操作によって左右のフック部材59がロック位置に到達した場合は、ロック位置への到達に伴って、係止ピン61が、圧縮バネ62の作用によって前側の係止孔33Bに挿入され、この挿入によって左右のフック部材59がロック位置にて固定される。又、操作アーム60の揺動操作によって左右のフック部材59が解除位置に到達した場合は、解除位置への到達に伴って、係止ピン61が、圧縮バネ62の作用によって後側の係止孔33Cに挿入され、この挿入によって左右のフック部材59が解除位置にて固定される。
【0038】
左右のフック部材59は、第1リンク機構3がモーアユニット2に連結された状態において解除位置からロック位置に揺動することにより、モーアユニット側の被係合杆57に後方から係合して、モーアユニット2に対する第1リンク機構3の後方への移動を阻止する。又、左右のフック部材59は、第1リンク機構3がモーアユニット2に連結された状態においてロック位置から解除位置に揺動することにより、モーアユニット側の被係合杆57への係合を解除して、モーアユニット2に対する第1リンク機構3の後方への移動を許容する。
【0039】
つまり、ロックユニット55は、第1リンク機構3がモーアユニット2に連結された状態において、操作アーム60の揺動操作が行われて各フック部材59が解除位置からロック位置に揺動変位することにより、第1リンク機構3とモーアユニット2との連結解除を阻止するロック状態に切り換わる。又、ロックユニット55は、第1リンク機構3がモーアユニット2に連結された状態において、操作アーム60の揺動操作が行われて各フック部材59がロック位置から解除位置に揺動変位することにより、第1リンク機構3とモーアユニット2との連結解除を許容する解除状態に切り換わる。
【0040】
図5〜7、
図10〜11に示すように、第1リンク機構3の支持フレーム33は、外部伝動機構19の第2自在継手19Cを前後方向にスライド移動可能に支持する支持ユニット63を備えている。支持ユニット63は、第2自在継手19Cを回転可能に支持するホルダ64、ホルダ64から後方に延出された左右のロッド65、左右のロッド65を前後方向にスライド移動可能に支持する支持プレート66、左右のロッド65を介してホルダ64を前方に向けて突出付勢する左右の圧縮バネ67、左側のロッド65を介してホルダ64の前後方向にスライド移動させる前後揺動式の操作レバー68、及び、操作レバー68を前後の2位置に保持する保持機構69、などを備えている。
【0041】
支持ユニット63は、第1リンク機構3がモーアユニット2に連結された状態において、操作レバー68が前側の第1操作位置から後側の第2操作位置に操作されると、この操作に連動して、ホルダ64が後側の遮断位置から前側の伝動位置にスライド移動し、このスライド移動により、第2自在継手19Cが、動力分配機構35の入力軸39とのスプライン嵌合を解除した伝動不能状態から入力軸39にスプライン嵌合した伝動可能状態に切り換わる。そして、支持ユニット63は、操作レバー68が保持機構69によって第2操作位置に保持されることによって伝動可能状態を維持する。
又、支持ユニット63は、第1リンク機構3がモーアユニット2に連結された状態において、操作レバー68が後側の第2操作位置から前側の第1操作位置に操作されると、この操作に連動して、ホルダ64が前側の伝動位置から後側の遮断位置にスライド移動し、このスライド移動により、第2自在継手19Cが伝動可能状態から伝動不能状態に切り換わる。そして、支持ユニット63は、操作レバー68が保持機構69によって第1操作位置に保持されることによって伝動不能状態を維持する。
【0042】
以上の構成により、運転者は、乗り越え前進走行によって第1リンク機構3をモーアユニット2に連結した後、着脱機構4のロックユニット55を解除状態からロック状態に切り換えるとともに、操作レバー68を第1操作位置から第2操作位置に操作し、その後、保持機構69によって操作レバー68を第2操作位置に保持することにより、モーアユニット2を、トラクタ1の下腹部に、トラクタ1からの作業動力によって駆動可能な状態で昇降可能に取り付けることができる。
又、運転者は、モーアユニット2がトラクタ1の下腹部に取り付けられた状態において、保持機構69による操作レバー68の第2操作位置での保持を解除して、操作レバー68を第2操作位置から第1操作位置に操作するとともに、着脱機構4のロックユニット55をロック状態から解除状態に切り換えることにより、モーアユニット2に対する第1リンク機構3の後方への移動を許容することができる。そして、この許容状態において、運転者は、左右の前輪10が前輪用の乗り越え経路を通る乗り越え後進走行を行うことにより、第1リンク機構側の各係合ピン53B及び各第2凹部54Bをモーアユニット側の各第1凹部51B又は被係合杆57から離脱させることができ、これにより、着脱機構4による第1リンク機構3とモーアユニット2との連結を解除することができ、モーアユニット2をトラクタ1の下腹部から取り出すことができる。
【0043】
図2、
図12〜13に示すように、運転部9のフロアパネル20には、着脱機構4による第1リンク機構3に対するモーアユニット2の着脱を運転部9の運転者に視認させる確認孔70が形成されている。
これにより、運転者は、第1リンク機構3をモーアユニット2に連結する場合は、運転部9において乗り越え前進走行を行いながら、第1リンク機構3に対するモーアユニット2の連結を確認孔70から視認することができる。
又、運転者は、第1リンク機構3とモーアユニット2との連結を解除する場合は、運転部9において乗り越え後進走行を行いながら、第1リンク機構3とモーアユニット2との連結解除を確認孔70から視認することができる。
その結果、運転者は、トラクタ1に対するモーアユニット2の取り付け確認及び取り外し確認を運転部9から容易に行うことができ、それらの確認のために降車する必要がなくなる。
【0044】
運転部9のフロアパネル20には、前進用変速ペダル22のアーム部22Aが挿通される第1貫通孔20A、後進用変速ペダル23のアーム部23Aが挿通される第2貫通孔20B、ブレーキペダル24のアーム部24Aが挿通される第3貫通孔20C、及び、駐車ペダル25のアーム部25Aが挿通される第4貫通孔20D、などが形成されている。そして、各貫通孔20A〜20Dのうちの第3貫通孔20Cが、確認孔70として機能するように広い開口面積を有している。
つまり、ブレーキペダル用の第3貫通孔20Cを確認孔70に兼用することから、フロアパネル20に形成される貫通孔20A〜20Dの数量を削減することができる。
その結果、フロアパネル20の製造及び強度などの面において有利にしながら、トラクタ1に対するモーアユニット2の取り付け確認及び取り外し確認を運転部9から容易に行えるようにすることができる。
【0045】
図12〜13に示すように、着脱機構4は、第1リンク機構3の支持フレーム33に備えられた各係合具53,54のうちの右側の第1係合具53が、運転部9から確認孔70を通して視認される位置に配置されている。
これにより、運転者は、乗り越え前進走行によって第1リンク機構3をモーアユニット2に連結する場合は、運転部9において乗り越え前進走行を行いながら、確認孔70からモーアユニット2の右側の第1被係合具51に対する右側の第1係合具53の位置を視認することができる。これにより、運転者は、乗り越え前進走行において、モーアユニット2の右側の第1被係合具51に対する右側の第1係合具53の位置合わせが行い易くなり、第1リンク機構3の各係合具53,54をモーアユニット2の各被係合具51,52に係合させ易くなる。
その結果、乗り越え前進走行によるトラクタ1に対するモーアユニット2の取り付けが容易になる。
そして、運転者は、右側の第1係合具53がモーアユニット2の右側の第1被係合具51に係合されたことを、運転部9から確認孔70を通して視認することにより、着脱機構4による第1リンク機構3とモーアユニット2との連結が完了したことを、運転部9に居ながら確認することができる。
又、運転者は、乗り越え後進走行によって着脱機構4による第1リンク機構3とモーアユニット2との連結を解除する場合は、運転部9において乗り越え後進走行を行いながら、確認孔70からモーアユニット2の右側の第1被係合具51に対する右側の第1係合具53の位置を視認することができる。これにより、運転者は、右側の第1係合具53がモーアユニット2の右側の第1被係合具51との係合が解除されたことを、運転部9から確認孔70を通して視認することにより、着脱機構4による第1リンク機構3とモーアユニット2との連結が解除されたことを、運転部9に居ながら確認することができる。
【0046】
図1〜2、
図5〜11に示すように、この乗用草刈機は、動力分配機構35の第2伝動ユニット41などを覆って保護するカバーユニット71を備えている。カバーユニット71は、モーアデッキ34の上面に着脱可能に連結された右側の第1カバー体72と左側の第2カバー体73、及び、前述した支持ユニット63の支持プレート66と操作レバー68、などによって第2伝動ユニット41などを覆うように構成されている。
【0047】
第1カバー体72及び第2カバー体73には、第1伝動ユニット40の伝動ケース42を露出させるとともに、前述した乗り越え前進走行時などにおいて、トラクタ側の第2自在継手19C及び支持ユニット63などが第1カバー体72及び第2カバー体73に接触することを回避する切欠部72A,73Aが形成されている。
【0048】
支持プレート66は、第2自在継手19Cなどを上方から覆う第1プレート66A、第1プレート66Aの右端部から支持フレーム33の右端部にわたる右側の第2プレート66B、第1プレート66Aの左端部から支持フレーム33の左端部にわたる左側の第3プレート66C、及び、操作レバー68の後方において支持フレーム33の左端部から左外方に延出する第4プレート66D、などを備えている。そして、支持プレート66は、乗り越え前進走行によって第1リンク機構3がモーアユニット2に連結された状態では、第1プレート66A、第3プレート66C、及び、第4プレート66Dが、第1カバー体72及び第2カバー体73における切欠部72A,73Aの上方に位置して、切欠部72A,73Aの下方に位置するテンションプーリ45及び無端回動ベルト46の一部などを上方から覆うように構成されている、
【0049】
操作レバー68は、第1リンク機構3がモーアユニット2に連結された状態において、第2自在継手19Cを動力分配機構35の入力軸39にスプライン嵌合させる第2操作位置に操作された場合に、第2カバー体73と支持プレート66の第2プレート66Bとの間に形成される空間74(
図10〜11参照)の上方に位置して、この空間74の下方に位置するテンションプーリ45及び無端回動ベルト46の一部などを上方から覆うように構成されている。
【0050】
上記の構成により、第1リンク機構3をモーアユニット2に連結する乗り越え前進走行時などにおいて、トラクタ側の第2自在継手19C及び支持ユニット63などがカバーユニット71の第1カバー体72及び第2カバー体73に接触することを防止しながら、モーアユニット2がトラクタ1の下腹部に駆動可能な状態で昇降可能に取り付けられた作業可能状態においては、第2自在継手19Cなどとともに動力分配機構35の第2伝動ユニット41を、カバーユニット71によって上方から覆い隠して保護することができる。
【0051】
〔別実施形態〕
本発明は、上記の実施形態に例示された構成に限定されるものではなく、以下、本発明に関する代表的な別実施形態を例示する。
【0052】
〔1〕乗用作業車の構成に関する代表的な別実施形態は以下の通りである。
例えば、乗用作業車は、エンジン12の代わりに電動モータを備える電動仕様に構成されていてもよい。
例えば、乗用作業車は、エンジン12と電動モータとを備えるハイブリッド仕様に構成されていてもよい。
例えば、乗用作業車は、リンク機構3を昇降駆動する専用の油圧シリンダなどを備える構成であってもよい。
【0053】
〔2〕ミッドマウント式の作業装置2は、左右の前輪10の乗り越えが可能に構成された集草装置などであってもよい。
【0054】
〔3〕着脱機構4に関する代表的な別実施形態は以下の通りである。
例えば、着脱機構4は、リンク機構3に備えられた各係合具53,54のうちの左側の第1係合具53が、運転部9から確認孔70を通して視認される位置に配置されていてもよい。
例えば、着脱機構4は、リンク機構3に備えられた各係合具53,54のうちの左右の第1係合具53が、運転部9から確認孔70を通して視認される位置に配置されていてもよい。
例えば、着脱機構4は、リンク機構3に備えられた各係合具53,54の全てが、運転部9から確認孔70を通して視認される位置に配置されていてもよい。
【0055】
〔4〕確認孔70に関する代表的な別実施形態は以下の通りである。
例えば、前進用変速ペダル22のアーム部22Aが挿通される第1貫通孔20Aが、確認孔70として機能する広い開口面積を有するように形成されていてもよい。
例えば、後進用変速ペダル23のアーム部23Aが挿通される第2貫通孔20Bが、確認孔70として機能する広い開口面積を有するように形成されていてもよい。
例えば、駐車ペダル25のアーム部25Aが挿通される第4貫通孔20Dが、確認孔70として機能する広い開口面積を有するように形成されていてもよい。
例えば、ブレーキペダル24のアーム部24Aが挿通される第3貫通孔20Cと、駐車ペダル25のアーム部25Aが挿通される第4貫通孔20Dとが、確認孔70として機能する広い開口面積を有するように形成されていてもよい。
例えば、確認孔70は、操作ペダル22〜25のアーム部22A〜25Aが挿通される各貫通孔20A〜20Dとは別に、確認専用としてフロアパネル20に形成されていてもよい。