特開2018-201507(P2018-201507A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-201507(P2018-201507A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】魚類と野菜の共生場
(51)【国際特許分類】
   A01K 63/00 20170101AFI20181130BHJP
   A01K 63/04 20060101ALI20181130BHJP
   A01G 31/00 20180101ALI20181130BHJP
【FI】
   A01K63/00 C
   A01K63/04 A
   A01G31/00 601B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-107972(P2018-107972)
(22)【出願日】2018年6月5日
(31)【優先権主張番号】15/615,863
(32)【優先日】2017年6月7日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】518199676
【氏名又は名称】陳俊谷
(74)【代理人】
【識別番号】100087918
【弁理士】
【氏名又は名称】久保田 耕平
(72)【発明者】
【氏名】陳俊谷
【テーマコード(参考)】
2B104
2B314
【Fターム(参考)】
2B104CA07
2B104ED26
2B104ED36
2B104EE02
2B104EE09
2B314MA62
2B314NA09
2B314NB06
2B314ND16
2B314ND27
2B314ND29
2B314PA04
2B314PB02
2B314PB59
2B314PB64
(57)【要約】      (修正有)
【課題】魚類と野菜の共生場を提供する。
【解決手段】魚類と野菜の共生場は、ラック体20の下面に養殖箱10が、その上面に植物植栽槽30が設けられ、植物植栽槽30の両側に入水タンク40と、出水タンク50とが設けられ、最上層の入水タンク40近傍に濾過セット60が設けられると共に、給水管64を介して養殖箱の揚水モータと連結し、出水座52に出水孔が設けられ、天蓋の底部に透孔が設けられ、出水孔が下向きに出水管に接続され、出水管内にサイホン管が設けられ、その外壁に位置決めラチェットが設けられることにより、出水管の位置高低を調整することで、溢水時の水位高低を制御するようにし、管ジョイントと排水管とが設けられ、排水管556を介して下層の入水タンク40に連結され、水を上から下へと一層ずつ順次に植物植栽槽30を流通させることで、植物は水中の肥料を吸収摂取し、濾過浄化後の水を再び養殖箱10内に流れ戻すことができる。
【選択図】図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラック体の下面は、養殖箱の配置のために供され、前記養殖箱の内部に揚水モータが設けられ、前記ラック体の上面は、複数個の植物植栽槽の配置のために供され、当該植物植栽槽の両側にそれぞれ入水タンクと、出水タンクとが設けられ、前記入水タンクと、前記出水タンクとにそれぞれ入水座と、出水座とが設けられ、前記入水座と、前記出水座とにそれぞれ入水管と、出水管とが設けられ、前記出水管を介して下層の前記入水タンクと連結する魚類と野菜の共生場であって、
最上層の前記入水タンク近傍に濾過セットが設けられると共に、前記入水管を介して前記濾過セットの上方部位に案内接続され、前記濾過セットの中間に前記養殖箱の前記揚水モータと連結する給水管が設けられ、前記濾過セットの内部に前記入水管と前記給水管との間に介在し、濾過綿を挟持するための上、下2枚のくり抜きの挟み板が設けられ、前記濾過セットの内部下方部位に肥料発酵貯蔵タンクと、放出管とが設けられ、前記養殖箱の汚水は、前記揚水モータを経由して前記濾過セットの内部まで汲み運ばれるとき、まず、前記濾過綿を利用して魚の排泄物と不純物を濾過して、前記濾過綿の底面に付着したこれらの排泄物と不純物は、前記給水管の水流を経由して下方の前記肥料発酵貯蔵タンク内へ洗い流されることで、より小分子の肥料になるように発酵させ、発酵してなるこれらのより小分子の肥料を、下から上への水流に乗って前記濾過綿を通過して、再び前記入水タンク内へ放出してから、前記入水タンクから均等に分配して複数個の植物植栽槽内に流入させることで、水をS字形に沿って上から下へと一層ずつ順次に前記複数個の植物植栽槽を流通させ、水中に含有するより小分子の肥料は、植物の育成に必要な栄養素として提供され、濾過浄化後の水を再び養殖箱内に流れ戻すことを特徴とする魚類と野菜の共生場。
【請求項2】
ラック体の下面は、養殖箱の配置のために供され、前記養殖箱の内部に揚水モータが設けられ、前記ラック体の上面は、複数個の植物植栽槽の配置のために供され、当該植物植栽槽の両側にそれぞれ入水タンクと、出水タンクとが設けられ、前記入水タンクと、前記出水タンクとにそれぞれ入水座と、出水座とが設けられ、前記入水座と、前記出水座とにそれぞれ入水管と、出水管とが設けられ、前記出水管を介して下層の前記入水タンクと連結する魚と野菜の共生場であって、
前記複数個の植物植栽槽の両側に中空を呈する外ねじ歯と、穿孔とが設けられ、相隣の当該植物植栽槽は、外ねじ歯を利用して別の当該植物植栽槽の穿孔に貫設されてから、ナットを介して一体的に締着するようにすることにより、前記複数個の植物植栽槽を一体的に直列接続してなり、前記入水タンクと前記出水タンクとの当該植物植栽槽の穿孔と外ねじ歯とに対応する部位に中空を呈する外ねじ歯と、穿孔とが設けられ、外ねじ歯は、前記穿孔内に貫入されると共に、ナットを介して一体的に締着するようにし、前記複数個の植物植栽槽と、複数個の前記入水座と、複数個の前記出水座との上方に複数個の蓋体が設けられ、当該蓋体の表面に大きさ不揃いのプラントポットの配置のための複数個の大孔と、複数個の小孔とが設けられ、大、小不揃いの植物を植栽するために供されることを特徴とする魚類と野菜の共生場。
【請求項3】
ラック体の下面は、養殖箱の配置のために供され、前記養殖箱の内部に揚水モータが設けられ、前記ラック体の上面は、複数個の植物植栽槽の配置のために供され、当該植物植栽槽の両側にそれぞれ入水タンクと、出水タンクとが設けられ、前記入水タンクと、前記出水タンクとにそれぞれ入水座と、出水座とが設けられ、前記入水座と、前記出水座とにそれぞれ入水管と、出水管とが設けられ、前記出水管を介して下層の前記入水タンクと連結する魚類と野菜の共生場であって、
当該植物植栽槽の底部に植物の根が水の流路を閉塞するのを防ぐための弧状仕切板が設けられ、前記弧状仕切板の両側に波状配置を呈する複数個の通孔が設けられ、水を前後、上下、左右に円滑に循環流通させることで、水中の排泄物と残餌は水流に乗って除去され、植物の根系に挟まれることなく、植物の根系には、空気と養分をスムーズに吸収させることを特徴とする魚類と野菜の共生場。
【請求項4】
前記ラック体は、複数個のジョイントと、複数本の垂直管と、複数本の水平管と、複数本の調整管と、複数個の脚座と、複数本の嵌挿ピンと、複数枚の止め片とから組み合わせてなり、当該ジョイントの内部は、中空状を呈し、当該ジョイントの両側に垂直配置を呈する2本のスリーブ接続管が設けられ、当該ジョイントの上、下は、2本の当該垂直管を挿設・案内接続するために供され、前記2本のスリーブ接続管は、2本の当該水平管を挿設・案内接続するために供され、最底面の当該ジョイントの下方に当該調整管が設けられ、当該調整管の下方に外ねじ山が設けられ、当該脚座の上方に内ねじ山が設けられ、当該脚座の内ねじ山を当該調整管の外ねじ山内に締め付けることによって、当該脚座は、地形の高低差に応じて伸長したり、短縮したりするように調整可能であり、当該ジョイント、当該スリーブ接続管と、当該垂直管、当該水平管、当該調整管との案内接続部位に対応の透孔が設けられ、透孔は、当該嵌挿ピンを挿設するために供されると共に、当該止め片を介して止着され、当該嵌挿ピンの延出端に環状溝が設けられ、当該止め片の当該環状溝に対応する部位に止め輪が設けられ、当該止め片の当該止め輪が当該嵌挿ピンの当該環状溝内に止着することにより、複数層の陳列空間を有するラック体を組み合わせてなることを特徴とする請求項1に記載の魚類と野菜の共生場。
【請求項5】
当該植物植栽槽と、両側の前記入水タンク、前記出水タンクとの間に、当該植物植栽槽と、両側の前記入水タンクと、前記出水タンクとを一体的に連結固定するための複数枚のコ字形固定板が設けられることを特徴とする請求項1に記載の魚類と野菜の共生場。
【請求項6】
前記入水座上に入水口が設けられ、最上層の前記入水口は、前記入水管を前記濾過セットの上方部位に案内接続するために供され、残りの前記入水口は、上一層の前記出水タンクの前記出水管との案内接続のために供され、前記入水座によって水の噴出を防止することを特徴とする請求項1に記載の魚類と野菜の共生場。
【請求項7】
当該植物植栽槽の両側に中空を呈する外ねじ歯と、穿孔とが設けられ、相隣の当該植物植栽槽は、外ねじ歯を利用して別の当該植物植栽槽の穿孔に貫設されてから、ナットを介して一体的に締着するようにすることにより、前記複数個の植物植栽槽を一体的に直列接続してなり、前記入水タンクと前記出水タンクとの当該植物植栽槽の穿孔と外ねじ歯とに対応する部位に中空を呈する外ねじ歯と、穿孔とが設けられ、外ねじ歯は、穿孔内に貫入されると共に、ナットを介して一体的に締着するようにすることを特徴とする請求項1に記載の魚類と野菜の共生場。
【請求項8】
前記ラック体の最上方にハンガーが設けられることを特徴とする請求項1に記載の魚類と野菜の共生場。
【請求項9】
当該植物植栽槽の上方部位に植物の育成に必要な光源を提供するための発光ダイオードのLEDランプである照明装置が設けられることを特徴とする請求項1に記載の魚類と野菜の共生場。
【請求項10】
前記出水タンクと前記出水座との間に前記濾過綿を挟持するための2枚のくり抜き的挟み板が設けられ、前記出水座に出水孔が設けられ、前記出水孔の上方に天蓋が設けられ、前記天蓋は、頂部が封止され、内部がくり抜かれ、底部の円周部位に複数個の透孔が設けられることで、水が複数個の透孔から流入し、複数個の透孔の間に複数個のブレードが設けられ、前記天蓋の頂面の周囲部位に底まで通す複数個の通孔が設けられることで、外部の空気を複数個の通孔から前記出水座へ進入して断流状態に形成され、前記出水孔が下向きに前記出水管に案内接続され、前記出水管の上方に外径が拡径する係止縁が設けられ、前記係止縁の底面に止水ワッシャーが設けられ、前記出水管の外部に外ねじ山が設けられ、前記出水管は、上から下に前記出水タンクの前記出水孔に延出すると共に、ナットを介して前記出水管の外ねじ山内に締結固定するようにし、前記出水管の下方に外径が減縮する管ジョイントが設けられ、前記管ジョイントの内壁部位に内向きに突出し、前記管ジョイントの出水面積を縮小するための突縁が設けられることにより、真空引張力を生成することで乱流状態に形成され、前記出水管の内部にサイホン管が設けられ、前記サイホン管の上方に給水座が設けられ、前記給水座の外径が前記天蓋の内径よりも小さいことにより、給水空間が形成され、前記給水座の下方に外径が次第に縮径する円錐部が設けられ、前記円錐部の下方に出水管路が設けられることを特徴とする請求項1に記載の魚類と野菜の共生場。
【請求項11】
前記サイホン管は、前記出水管路の外部に複数個の位置決めラチェットが設けられ、前記複数個の位置決めラチェットにより、前記出水管の内壁に位置決めされると同時に、前記複数個の位置決めラチェットを利用して前記サイホン管の高、低位置を上向きまたは下向きに調整することを特徴とする請求項10に記載の魚類と野菜の共生場。
【請求項12】
前記天蓋の前記複数個のブレードの内壁に、前記出水管の前記係止縁の底部に位置決めされるための複数個の位置決め部が設けられることを特徴とする請求項10に記載の魚類と野菜の共生場。
【請求項13】
前記突縁が占める面積は、前記管ジョイントの断面積の3分の1であることを特徴とする請求項10に記載の魚類と野菜の共生場。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚類と野菜の共生場に関するものであり、さらに詳しくは、野菜の栽培と魚類の養殖に応用可能な魚類と野菜の共生技術を利用した魚類と野菜の共生場に関するものである。
【背景技術】
【0002】
国際連合食糧農業機関は、2014年を「家族農業年」に制定したのは、主に家族農業を推進することが望まれているからである。国内の「オーガニック食品店」では台湾各地からの有機農産物を購入できるにもかかわらず、大都会地域では、地元で生産された食料品についてはなかなか食することができないという状況にある。例えば、台北のオーガニック食品店には、やはり花蓮や雲林の有機農産物などが販売されていることがよく見受けられる。ところで、実際上、自宅で自ら野菜を作り、自ら魚類を飼育することができる。
【0003】
ただ、都市型の農産品の栽培と漁業の養殖とは、別々に行われる別個の作業であるため、水資源を多く使いすぎたり、放出された廃水が環境を汚染してしまったりという問題があるため、適当なシステム整合に従って供水を農産品の栽培と漁業の養殖の両方の間に循環させて再利用することが可能であり、つまり、これによって魚類と野菜の共生システムをさせることが可能となる。
【0004】
いわゆる魚類と野菜の共生システムの動作原理とは、自然界の生物間の相互作用を利用して動作するものであり、植物、魚、細菌や微生物などの基本的要素から構成される生態系を利用して魚類の排泄物を植物の養分に変換することができ、実際上、魚類の養殖により生じる廃水を利用して、細菌により硝化作用を行わせた後、植物の育成に必要な養分を生成して吸収されれば、最終的に廃水がまた浄化されて清浄な水を得ることができるので、魚類と野菜の共生系全体は、閉鎖的な水循環システムに構成され、養殖に水換えが不要になり、野菜作りに水やりが不要になるという利点を有すると同時に、有機栽培と養殖の技術に属し、人類により自然で健康的な食品を提供することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、現有の魚類と野菜の共生システムとしては、揚水ポンプを利用して水槽内の水と排泄物を汲み取って植物植栽箱に提供するものがほとんどである。次に、植物植栽箱に設けられたサイホン管部材を用いて水槽内に水を送り戻すが、現有の魚類と野菜の共生システムは、実際の操作応用時、依然として下記のような克服・解決すべきいくつかの課題と欠点が存在している。
課題1.水槽内の排泄物と残餌が発酵処理を経ずに、直ちに植物に提供され、植物が比較的に吸収しやすくない上、しかも植物の肥料傷害状況をもたらすおそれがある点。
課題2.植物の根系の生長が茂りすぎて水の流動を閉塞して水の循環が円滑に行えなくなる問題があり、水中の排泄物と残餌が水流に乗って除去されず、植物の根系に挟まれてしまい、植物の根系が空気と養分を吸収するのを阻害するため、植物の根系が黒くなり、植物の育成が強壮健康で維持できなくなる点。
課題3.サイホン管部材は、その溢水時の水位高低を調整することができず、異なる植物の根系に要する水位高低に合わせることができない点。
課題4.水槽と植栽箱の配置のためのラック体は、単一の規格と寸法の組立てのみ適用可能で、モジュール化することができないため、一般家族用の小型の魚類と野菜の共生システム、屋上・ベランダ庭園用の中型の魚類と野菜の共生システムや万坪超えの温室田畑用の大型の魚類と野菜の共生システムなどに幅広く適用されることが困難である点。
課題5.現有のサイホン管のいずれも、湾曲管を案内接続しなければ、真空引張力を生成することができず、実際の応用時、空間上の制限を受けやすくなり、かつ材料コストを無駄に浪費しやすくなる点。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明者は、本発明の前記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、下記の通りの知見を得た。
課題1を解決するために応用できる技術的手段及び先行技術と対比しての作用効果一は、最上層の入水タンク近傍に濾過セットが設けられると共に、入水管を介して濾過セットの上方部位に案内接続され、濾過セットの中間に養殖箱の揚水モータと連結する給水管が設けられ、濾過セットの内部に入水管と給水管との間に介在し、濾過綿を挟持するための上下2枚のくり抜きの挟み板が設けられ、濾過セットの内部下方部位に肥料発酵貯蔵タンクと、放出管とが設けられ、養殖箱の汚水は、揚水モータを経由して濾過セットの内部まで汲み運ばれるとき、まず、濾過綿を利用して魚の排泄物と不純物を濾過して、濾過綿の底面に付着したこれらの排泄物と不純物は、給水管の水流を経由して下方の肥料発酵貯蔵タンク内へ洗い流されることで、より小分子の肥料になるように発酵させ、発酵してなるこれらのより小分子の肥料を、下から上への水流に乗って濾過綿を通過して、再び入水タンク内へ放出してから、入水タンクから均等に分配して複数個の植物植栽槽内に流入させることで、水をS字形に沿って上から下へと一層ずつ順次に複数個の植物植栽槽を流通させ、水中に含有するより小分子の肥料は、植物の育成に必要な栄養素として提供され、濾過浄化後の水を再び養殖箱内に流れ戻すことにある。
【0007】
課題2を解決するために応用できる技術的手段及び先行技術と対比しての作用効果二は、植物植栽槽の底部に植物の根系が水の流通を阻害するのを防ぐための弧状仕切板が設けられ、弧状仕切板の両側に波状配置を呈する複数個の通孔が設けられ、水を前後、上下、左右に円滑に循環流通させることで、水中の排泄物と残餌は水流に乗って除去され、植物の根系に挟まれることなく、植物の根系には、空気と養分をスムーズに吸収させ、植物の根系が白色であり、植物の育成が強壮健康であることを確保することにある。
【0008】
課題3を解決するために応用できる技術的手段及び先行技術と対比しての作用効果三は、植物植栽槽の両側にそれぞれ入水座と、出水座とが設けられ、出水座に出水孔が設けられ、出水孔の上方に天蓋が設けられ、天蓋の底部に複数個の透孔が設けられ、出水孔が下向きに出水管に案内接続され、出水管内にサイホン管が設けられ、サイホン管の外壁に複数個の位置決めラチェットが設けられることにより、出水管の内壁に位置高低を調整することで、溢水時の水位高低を制御するようにし、異なる植物の根系に要する水位高低に合わせて調整できることにある。
【0009】
課題4を解決するために応用できる技術的手段及び先行技術と対比しての作用効果四は、ラック体は、複数個のジョイントと、複数本の垂直管と、複数本の水平管と、複数本の嵌挿ピンと、複数枚の止め片とから組み合わせてなり、ジョイントの内部は、中空状を呈し、ジョイントの両側に垂直配置を呈する2本のスリーブ接続管が設けられ、ジョイントの上、下は、2本の垂直管を挿設・案内接続するために供され、2本のスリーブ接続管は、2本の水平管を挿設・案内接続するために供され、ジョイント、スリーブ接続管と、垂直管、水平管との案内接続部位に対応の透孔が設けられ、透孔は、嵌挿ピンを挿設するために供されると共に、止め片を介して止着され、嵌挿ピンの延出端に環状溝が設けられ、止め片の環状溝に対応する部位に止め輪が設けられ、止め片の止め輪が嵌挿ピンの環状溝内に止着することにより、複数層の陳列空間を有するラック体を組み合わせてなり、一般家族用の小型の魚と野菜の共生システム、屋上・ベランダ庭園用の中型の魚類と野菜の共生システムや万坪超えの温室田畑用の大型の魚類と野菜の共生システムなどに幅広く適用されることにある。
【0010】
課題5を解決するために応用できる技術的手段及び先行技術と対比しての作用効果五は、出水タンクに出水座が設けられ、出水座に出水孔が設けられ、出水孔の上方に天蓋が設けられ、天蓋の底部に複数個の透孔が設けられ、天蓋の頂面の周囲部位に底まで通す複数個の通孔が設けられることで、外部の空気を複数個の通孔から出水座へ進入して断流状態に形成され、出水孔は、出水管を貫設して締着するために供され、出水管は、サイホン管を貫設するために供され、サイホン管の上方に給水座が設けられ、給水座の外径が天蓋の内径よりも小さいことにより、給水空間が形成され、水が天蓋の複数個の透孔から、まず下から上へ、そして給水座から上から下へとサイホン管内に溢流し、出水管の下方に管ジョイントが設けられ、管ジョイントの内壁に内向きに突出し、管ジョイントの出水面積を縮小して乱流状態を形成するための突縁が設けられることで、サイホン管は、湾曲管に案内接続される必要なく、真空引張力を生成することができ、実際の応用上、サイホン管が垂直管に案内接続されるため、空間上の制限を受けない他、かつ湾曲管よりも垂直管のほうの材料コストがより節減できる。
【0011】
かくして、本発明の要旨は次の(1)〜(13)に記載の通りのものである。
(1)ラック体の下面は、養殖箱の配置のために供され、前記養殖箱の内部に揚水モータが設けられ、前記ラック体の上面は、複数個の植物植栽槽の配置のために供され、当該植物植栽槽の両側にそれぞれ入水タンクと、出水タンクとが設けられ、前記入水タンクと、前記出水タンクとにそれぞれ入水座と、出水座とが設けられ、前記入水座と、前記出水座とにそれぞれ入水管と、出水管とが設けられ、前記出水管を介して下層の前記入水タンクと連結する魚類と野菜の共生場であって、
最上層の前記入水タンク近傍に濾過セットが設けられると共に、前記入水管を介して前記濾過セットの上方部位に案内接続され、前記濾過セットの中間に前記養殖箱の前記揚水モータと連結する給水管が設けられ、前記濾過セットの内部に前記入水管と前記給水管との間に介在し、濾過綿を挟持するための上、下2枚のくり抜きの挟み板が設けられ、前記濾過セットの内部下方部位に肥料発酵貯蔵タンクと、放出管とが設けられ、前記養殖箱の汚水は、前記揚水モータを経由して前記濾過セットの内部まで汲み運ばれるとき、まず、前記濾過綿を利用して魚の排泄物と不純物を濾過して、前記濾過綿の底面に付着したこれらの排泄物と不純物は、前記給水管の水流を経由して下方の前記肥料発酵貯蔵タンク内へ洗い流されることで、より小分子の肥料になるように発酵させ、発酵してなるこれらのより小分子の肥料を、下から上への水流に乗って前記濾過綿を通過して、再び前記入水タンク内へ放出してから、前記入水タンクから均等に分配して複数個の植物植栽槽内に流入させることで、水をS字形に沿って上から下へと一層ずつ順次に前記複数個の植物植栽槽を流通させ、水中に含有するより小分子の肥料は、植物の育成に必要な栄養素として提供され、濾過浄化後の水を再び養殖箱内に流れ戻すことを特徴とする魚類と野菜の共生場。
【0012】
(2)ラック体の下面は、養殖箱の配置のために供され、前記養殖箱の内部に揚水モータが設けられ、前記ラック体の上面は、複数個の植物植栽槽の配置のために供され、当該植物植栽槽の両側にそれぞれ入水タンクと、出水タンクとが設けられ、前記入水タンクと、前記出水タンクとにそれぞれ入水座と、出水座とが設けられ、前記入水座と、前記出水座とにそれぞれ入水管と、出水管とが設けられ、前記出水管を介して下層の前記入水タンクと連結する魚と野菜の共生場であって、
前記複数個の植物植栽槽の両側に中空を呈する外ねじ歯と、穿孔とが設けられ、相隣の当該植物植栽槽は、外ねじ歯を利用して別の当該植物植栽槽の穿孔に貫設されてから、ナットを介して一体的に締着するようにすることにより、前記複数個の植物植栽槽を一体的に直列接続してなり、前記入水タンクと前記出水タンクとの当該植物植栽槽の穿孔と外ねじ歯とに対応する部位に中空を呈する外ねじ歯と、穿孔とが設けられ、外ねじ歯は、前記穿孔内に貫入されると共に、ナットを介して一体的に締着するようにし、前記複数個の植物植栽槽と、複数個の前記入水座と、複数個の前記出水座との上方に複数個の蓋体が設けられ、当該蓋体の表面に大きさ不揃いのプラントポットの配置のための複数個の大孔と、複数個の小孔とが設けられ、大、小不揃いの植物を植栽するために供されることを特徴とする魚類と野菜の共生場。
【0013】
(3)ラック体の下面は、養殖箱の配置のために供され、前記養殖箱の内部に揚水モータが設けられ、前記ラック体の上面は、複数個の植物植栽槽の配置のために供され、当該植物植栽槽の両側にそれぞれ入水タンクと、出水タンクとが設けられ、前記入水タンクと、前記出水タンクとにそれぞれ入水座と、出水座とが設けられ、前記入水座と、前記出水座とにそれぞれ入水管と、出水管とが設けられ、前記出水管を介して下層の前記入水タンクと連結する魚類と野菜の共生場であって、
当該植物植栽槽の底部に植物の根が水の流路を閉塞するのを防ぐための弧状仕切板が設けられ、前記弧状仕切板の両側に波状配置を呈する複数個の通孔が設けられ、水を前後、上下、左右に円滑に循環流通させることで、水中の排泄物と残餌は水流に乗って除去され、植物の根系に挟まれることなく、植物の根系には、空気と養分をスムーズに吸収させることを特徴とする魚類と野菜の共生場。
【0014】
(4)前記ラック体は、複数個のジョイントと、複数本の垂直管と、複数本の水平管と、複数本の調整管と、複数個の脚座と、複数本の嵌挿ピンと、複数枚の止め片とから組み合わせてなり、当該ジョイントの内部は、中空状を呈し、当該ジョイントの両側に垂直配置を呈する2本のスリーブ接続管が設けられ、当該ジョイントの上、下は、2本の当該垂直管を挿設・案内接続するために供され、前記2本のスリーブ接続管は、2本の当該水平管を挿設・案内接続するために供され、最底面の当該ジョイントの下方に当該調整管が設けられ、当該調整管の下方に外ねじ山が設けられ、当該脚座の上方に内ねじ山が設けられ、当該脚座の内ねじ山を当該調整管の外ねじ山内に締め付けることによって、当該脚座は、地形の高低差に応じて伸長したり、短縮したりするように調整可能であり、当該ジョイント、当該スリーブ接続管と、当該垂直管、当該水平管、当該調整管との案内接続部位に対応の透孔が設けられ、透孔は、当該嵌挿ピンを挿設するために供されると共に、当該止め片を介して止着され、当該嵌挿ピンの延出端に環状溝が設けられ、当該止め片の当該環状溝に対応する部位に止め輪が設けられ、当該止め片の当該止め輪が当該嵌挿ピンの当該環状溝内に止着することにより、複数層の陳列空間を有するラック体を組み合わせてなることを特徴とする前記(1)に記載の魚類と野菜の共生場。
【0015】
(5)当該植物植栽槽と、両側の前記入水タンク、前記出水タンクとの間に、当該植物植栽槽と、両側の前記入水タンクと、前記出水タンクとを一体的に連結固定するための複数枚のコ字形固定板が設けられることを特徴とする前記(1)に記載の魚類と野菜の共生場。
【0016】
(6)前記入水座上に入水口が設けられ、最上層の前記入水口は、前記入水管を前記濾過セットの上方部位に案内接続するために供され、残りの前記入水口は、上一層の前記出水タンクの前記出水管との案内接続のために供され、前記入水座によって水の噴出を防止することを特徴とする前記(1)に記載の魚類と野菜の共生場。
【0017】
(7)当該植物植栽槽の両側に中空を呈する外ねじ歯と、穿孔とが設けられ、相隣の当該植物植栽槽は、外ねじ歯を利用して別の当該植物植栽槽の穿孔に貫設されてから、ナットを介して一体的に締着するようにすることにより、前記複数個の植物植栽槽を一体的に直列接続してなり、前記入水タンクと前記出水タンクとの当該植物植栽槽の穿孔と外ねじ歯とに対応する部位に中空を呈する外ねじ歯と、穿孔とが設けられ、外ねじ歯は、穿孔内に貫入されると共に、ナットを介して一体的に締着するようにすることを特徴とする前記(1)に記載の魚類と野菜の共生場。
【0018】
(8)前記ラック体の最上方にハンガーが設けられることを特徴とする前記(1)に記載の魚類と野菜の共生場。
【0019】
(9)当該植物植栽槽の上方部位に植物の育成に必要な光源を提供するための発光ダイオードのLEDランプである照明装置が設けられることを特徴とする前記(1)に記載の魚類と野菜の共生場。
【0020】
(10)前記出水タンクと前記出水座との間に前記濾過綿を挟持するための2枚のくり抜き的挟み板が設けられ、前記出水座に出水孔が設けられ、前記出水孔の上方に天蓋が設けられ、前記天蓋は、頂部が封止され、内部がくり抜かれ、底部の円周部位に複数個の透孔が設けられることで、水が複数個の透孔から流入し、複数個の透孔の間に複数個のブレードが設けられ、前記天蓋の頂面の周囲部位に底まで通す複数個の通孔が設けられることで、外部の空気を複数個の通孔から前記出水座へ進入して断流状態に形成され、前記出水孔が下向きに前記出水管に案内接続され、前記出水管の上方に外径が拡径する係止縁が設けられ、前記係止縁の底面に止水ワッシャーが設けられ、前記出水管の外部に外ねじ山が設けられ、前記出水管は、上から下に前記出水タンクの前記出水孔に延出すると共に、ナットを介して前記出水管の外ねじ山内に締結固定するようにし、前記出水管の下方に外径が減縮する管ジョイントが設けられ、前記管ジョイントの内壁部位に内向きに突出し、前記管ジョイントの出水面積を縮小するための突縁が設けられることにより、真空引張力を生成することで乱流状態に形成され、前記出水管の内部にサイホン管が設けられ、前記サイホン管の上方に給水座が設けられ、前記給水座の外径が前記天蓋の内径よりも小さいことにより、給水空間が形成され、前記給水座の下方に外径が次第に縮径する円錐部が設けられ、前記円錐部の下方に出水管路が設けられることを特徴とする前記(1)に記載の魚類と野菜の共生場。
【0021】
(11)前記サイホン管は、前記出水管路の外部に複数個の位置決めラチェットが設けられ、前記複数個の位置決めラチェットにより、前記出水管の内壁に位置決めされると同時に、前記複数個の位置決めラチェットを利用して前記サイホン管の高、低位置を上向きまたは下向きに調整することを特徴とする前記(10)に記載の魚類と野菜の共生場。
【0022】
(12)前記天蓋の前記複数個のブレードの内壁に、前記出水管の前記係止縁の底部に位置決めされるための複数個の位置決め部が設けられることを特徴とする前記(10)に記載の魚類と野菜の共生場。
【0023】
(13)前記突縁が占める面積は、前記管ジョイントの断面積の3分の1であることを特徴とする前記(10)に記載の魚類と野菜の共生場。
【0024】
本発明の説明において、「野菜」には、本発明に係る植栽又は栽培条件に適合して植栽又は栽培される植物すべてが包含される。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、前記の通りの構成からなり、前項に記載の如く、各課題毎にそれぞれ奏する各効果について記載した。総じて、魚類の養殖と野菜を初めとする植物の植栽を過不足ない栄養状態で有機的に効率良く達成可能な魚類と野菜の共生場を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態に係る魚類と野菜の共生場の組合せ斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る魚類と野菜の共生場のジョイントと、垂直管と、水平管とからなるラック体を示す分解斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る魚類と野菜の共生場のジョイントと、垂直管と、水平管と、調整管と、脚座とからなるラック体を示す分解斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係る魚類と野菜の共生場の植物植栽槽と、入水タンクと、出水タンクとの組合せ斜視図である。
図5】本発明の一実施形態に係る魚類と野菜の共生場の植物植栽槽の分解斜視図である。
図6】本発明の一実施形態に係る魚類と野菜の共生場の植物植栽槽と、入水タンクとの分解斜視図である。
図7】本発明の一実施形態に係る魚類と野菜の共生場の植物植栽槽と、出水タンクとの分解斜視図である。
図8】本発明の出水タンクと、天蓋と、出水管と、サイホン管との組合せ断面斜視図である。
図9】本発明の出水タンクと、天蓋と、出水管と、サイホン管との分解斜視図及びD部拡大図である。
図10】本発明の出水タンクと、天蓋と、出水管と、サイホン管との組合せ断面図である。
図11図10のE−E断面図である。
図12図10のM−M断面図である。
図13】本発明の一実施形態に係る魚類と野菜の共生場のサイホン管の使用状態図である。
図14】本発明の一実施形態に係る魚類と野菜の共生場のサイホン管の調整状態図である。
図15】本発明の一実施形態に係る魚類と野菜の共生場の濾過セットの分解斜視図である。
図16】本発明の一実施形態に係る魚類と野菜の共生場の使用時の側面状態図である。
図17】本発明の一実施形態に係る魚類と野菜の共生場の使用時の前面状態図である。
図18図17の一実施形態に係る魚類と野菜の共生場のS−S断面図である。
図19図17の一実施形態に係る魚類と野菜の共生場のM−M断面図である。
図20図17の一実施形態に係る魚類と野菜の共生場のE−E断面図である。
図21】本発明の一実施形態に係る魚類と野菜の共生場において大きいプラントポットを使用して大株の植物を植栽する状態図とA部拡大図である。
図22】本発明の一実施形態に係る魚類と野菜の共生場において小さいプラントポットを使用して小株の植物を植栽する状態図である。
図23】本発明の一実施形態に係る魚類と野菜の共生場の出水タンクの水を濾過した後、サイホン管と出水管とを経由して下向きに出水する状態図である。
図24】本発明の一実施形態に係る魚類と野菜の共生場において濾過浄化後の水を再び養殖箱に流れ戻す状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明について専門的に熟練した当業者が、本発明の構造、機能及びそれらによって達成される効果を容易に深く理解できるように、具体的実施例を列挙して図面を参照しながら、以下のように詳細に説明する。もっとも、本発明は、かかる図面等により限定されるものではない。
【0028】
図1の本発明に係る魚類と野菜の共生場の組合せ斜視図に示すように、かかる魚類と野菜の共生場は、養殖箱10と、ラック体20と、複数個の植物植栽槽30と、複数個の入水タンク40と、複数個の出水タンク50と、濾過セット60と、複数個の照明装置70とを備える。
【0029】
そのうち、養殖箱10の内部は、魚類の養殖のために供され、前記養殖箱10の内部に揚水モータ11が設けられる(図16参照)。
【0030】
ラック体20(図1図2図3参照)は、複数個のジョイント21と、複数本の垂直管22と、複数本の水平管23と、複数本の調整管24と、複数個の脚座25と、複数個のハンガー26と、複数本の嵌挿ピン27と、複数枚の止め片28とから組み合わせてなり、ジョイント21の内部は、中空状を呈し、ジョイント21の両側に垂直配置を呈する2本のスリーブ接続管29が設けられ、ジョイント21の上、下は、2本の垂直管22を挿設・案内接続するために供される。2本のスリーブ接続管29は、2本の水平管23を挿設・案内接続するために供され、最底面のジョイント21の下方に調整管24が設けられ、調整管24の下方に外ねじ山241が設けられ、脚座25の上方に内ねじ山251が設けられ、脚座25の内ねじ山251を調整管24の外ねじ山241内に締め付けることによって、脚座25は、地形の高低差に応じて脚座25を伸長したり、短縮したりするように調整できる。最頂面のジョイント21の上方にハンガー26が設けられ、ジョイント21、スリーブ接続管29と、垂直管22、水平管23、調整管24との案内接続部位に対応の透孔211,291,221,231,242が設けられ、透孔211,291,221,231,242は、嵌挿ピン27を挿設するために供されると共に、止め片28を介して止着される。嵌挿ピン27の延出端に環状溝271が設けられ、止め片28の環状溝271に対応する部位にC字形の止め輪281が設けられる。止め片28の止め輪281が嵌挿ピン27の環状溝271内に止着できることにより、複数層の陳列空間を有するラック体20を迅速に組み合わせてなり、ラック体20の下面の一層は、養殖箱10の配置のために供され、ラック体20の上面の複数層は、複数個の植物植栽槽30の配置のために供される。
【0031】
複数個の植物植栽槽30(図4図5参照)は、ラック体20の上面の複数層の陳列空間に整然と配列配置され、複数個の植物植栽槽30の上方に複数個の蓋体31が設けられ、蓋体31の表面に複数個の大孔32と、複数個の小孔33とが設けられ、大きさ不揃いのプラントポット1,2の配置のために用いられ、大、小不揃いの植物(図21図22参照)を植栽するために供される。植物植栽槽30の底部に弧状仕切板34が設けられ、植物の根が水の流路342を閉塞するのを防ぐために用いられ、弧状仕切板34の両側に波状配置を呈する複数個の通孔341が設けられ、水を前後、上下、左右に円滑に循環流通させることができる。植物植栽槽30の両側に中空を呈する外ねじ歯35と、穿孔36とが設けられ、相隣の植物植栽槽30は、外ねじ歯35を利用して別の植物植栽槽30の穿孔36に貫設されてから、ナット37を介して一体的に締着するようにすることにより、複数個の植物植栽槽30を一体的に直列接続してなり、植物植栽槽30の最外両側にそれぞれ結合される入水タンク40と、出水タンク50とが設けられ、植物植栽槽30と、入水タンク40、出水タンク50との間に、複数枚のコ字形固定板38が設けられ、植物植栽槽30と、入水タンク40と、出水タンク50とを一体的に連結固定するために用いられる。
【0032】
複数個の入水タンク40(図6参照)は、それぞれ奇数層の植物植栽槽30の左側と偶数層の植物植栽槽30の右側とに装着され、入水タンク40の複数個の植物植栽槽30の複数個の穿孔36に対応する部位に中空を呈する複数個の外ねじ歯41が設けられる。入水タンク40の外ねじ歯41は、植物植栽槽30の穿孔36内に貫入されると共に、ナット37を介して一体的に締着するようにし、入水タンク40の上方に蓋体31が設けられ、蓋体31の表面に複数個の大孔32と、複数個の小孔33とが設けられ、大きさ不揃いのプラントポット1,2の配置のために用いられ、大、小不揃いの植物を植栽するために供され、最上層の入水タンク40の一側に入水座42が設けられ、前記入水座42に入水口43が設けられ、入水管44を案内接続するために用いられる(図18参照)。
【0033】
複数個の出水タンク50(図7参照)は、それぞれ奇数層の植物植栽槽30の右側と偶数層の植物植栽槽30の左側とに装着され、出水タンク50の複数個の植物植栽槽30の複数個の外ねじ歯35に対応する部位に複数個の穿孔51が設けられる。植物植栽槽30の外ねじ歯35は、前記穿孔51内に貫入されると共に、ナット37を介して一体的に締着するようにし、出水タンク50の上方に蓋体31が設けられ、蓋体31の表面に複数個の大孔32と、複数個の小孔33とが設けられ、大きさ不揃いのプラントポット1,2の配置のために用いられ、大、小不揃いの植物を植栽するために供され、出水タンク50の中間に出水座52(図8図14参照)が設けられ、出水座52の一側に出水タンク50の壁面と底面に対応する部位に適当距離を隔てた2本のレール溝521が設けられ、出水タンク50と出水座52との間に2枚のくり抜きの挟み板53が設けられ、濾過綿Aを挟持するために用いられ、出水座52の他側に出水孔522が設けられ、出水孔522の上方に天蓋54が設けられ、天蓋54の頂部が封止され、天蓋54の内部がくり抜かれ、天蓋54の底部の円周部位に複数個の透孔541が設けられることで、水が複数個の透孔541から流入することができる。複数個の透孔541の間に複数個のブレード542が設けられ、複数個のブレード542の内壁に複数個の位置決め部543が設けられ、天蓋54の頂面の周囲部位に底まで通す複数個の通孔544が設けられることで、外部の空気を複数個の通孔544から出水座52へ進入して断流状態に形成される。出水孔522は、出水管55を貫設するために供され、出水管55の上方に外径が拡径する係止縁551が設けられ、係止縁551の底面に止水ワッシャー552が設けられ、天蓋54の複数個の位置決め部543は、係止縁551の底部に位置決めされ、出水管55の外部に外ねじ山553が設けられ、出水管55は、上から下に前記出水タンク50の出水孔522に延出すると共に、ナットNを介して出水管55の外ねじ山553内に締結固定するようにし、出水管55の下方に外径が減縮する管ジョイント554が設けられる。管ジョイント554の下方は、排水管556をスリーブ接続するために供され、排水管556を介して下層の入水タンク40の入水座42的入水口43に連結され、管ジョイント554の内壁に内向きに突出する突縁555が設けられる。突縁555が占める面積は、管ジョイント554の断面積の3分の1であり、管ジョイント554の出水面積を縮小するために用いられ、これにより、真空引張力を生成することで乱流状態に形成され、出水管55の内部にサイホン管56が設けられ、サイホン管56の上方に給水座561が設けられ、給水座561の外径が天蓋54の内径よりも小さいことにより、給水空間545が形成され、給水座561の下方に外径が次第に縮径する円錐部562が設けられ、円錐部562の下方に出水管路563が設けられ、出水管路563の外部に複数個の位置決めラチェット564が設けられ、複数個の位置決めラチェット564により、出水管55の内壁に位置決めされると同時に、複数個の位置決めラチェット564を利用してサイホン管56の高、低位置を上向きまたは下向きに調整することができる。
【0034】
濾過セット60(図15参照)の上方に出水口61が設けられ、入水管44を介して濾過セット60の上方の出水口61部位に案内接続され、濾過セット60は、吊り下げ縄62を介してラック体20のハンガー26上に吊り掛けられ、濾過セット60の中間に給水口63が設けられると共に、給水管64を介して養殖箱10の揚水モータ11と互いに連結し、濾過セット60の内部に入水管44と給水管64との間に介在する上、下2枚のくり抜きの挟み板65,66が設けられ、濾過綿Aを挟持するために用いられ、濾過セット60の内部下方部位に肥料発酵貯蔵タンク67と、放出管68とが設けられる。
【0035】
照明装置70(図17参照)としては、発光ダイオードのLEDランプであってもよく、照明装置70は、植物の育成に必要な光源を提供するように、植物植栽槽30の上方部位に設けられる。
【0036】
上記の各部品構造から組み合わせてなる本発明によれば、魚類と野菜の共生場が提供され、実際の操作応用上、図17図20に示すように、養殖箱10の汚水は、揚水モータ11と給水管64を経由して濾過セット60の内部まで汲み運ばれるとき、まず、濾過綿Aを利用して魚の排泄物と不純物を濾過して、濾過綿Aの底面に付着したこれらの排泄物と残餌は、給水管64の水流を経由して下方の肥料発酵貯蔵タンク67内へ洗い流されることで、より小分子の肥料になるように発酵させ、発酵してなるこれらのより小分子の肥料を、下から上への水流に乗って濾過綿Aを通過して、再び入水管44を介して入水座42の入水口43を経て入水タンク40内へ放出してから、入水タンク40から均等に分配して複数個の植物植栽槽30内に流入させることで、水中に含有するより小分子の肥料は、植物の育成に必要な栄養素として提供される。植物植栽槽30内の水を、弧状仕切板34の両側に波状を呈する通孔341を利用して、前後、上下、左右に円滑に循環流通させることで、水中の排泄物と残餌は水流に乗って除去され、植物の根系に挟まれることなく、植物の根系には、空気と養分をスムーズに吸収させることができる。植物の根系が白色であり、その育成が強壮健康であることを確保し、水が複数個の植物植栽槽30の他側の出水タンク50に流れるときになると、予め濾過綿Aを利用して不純物を濾過した後、清浄な水が天蓋54の底部の透孔541から、まず下から上へ、そして上から下へとサイホン管56内に溢流し、本考案が提供するサイホン管56は、湾曲管に案内接続される必要なく、真空引張力を生成することができるので、実際の応用上、かかる排水管556が垂直管であり、かつ下層の入水タンク40に直接連結されるため、空間上の制限を受けない他、かつ湾曲管よりも垂直管のほうの材料コストがより節減でき、そして排水管556を介して下層の入水タンク40の入水座42的入水口43に連結され(図23参照)、水をS字形に沿って上から下へと一層ずつ順次に複数個の植物植栽槽30を流通させることで、植物は、水中の肥料を吸収摂取することができ、濾過浄化後の水を再び前記出水タンク50の排水管556から養殖箱10(図24参照)内に流れ戻す。
【産業上の利用可能性】
【0037】
上記を総合すると、本発明は、魚類と野菜の共生場を提供し、本発明者が実際に製作完了し、反復して操作試験を行ったところ、本発明の予期された機能効果を的確に達成できることが実証された。
【符号の説明】
【0038】
1:大きいプラントポット
2:小さいプラントポット
10:養殖箱
11:揚水モータ
20:ラック体
21:ジョイント
211:透孔
22:垂直管
221:透孔
23:水平管
231:透孔
24:調整管
241:外ねじ山
242:透孔
25:脚座
251:内ねじ山
26:ハンガー
27:嵌挿ピン
271:環状溝
28:止め片
281:止め輪
29:スリーブ接続管
291:透孔
30:植物植栽槽
31:蓋体
32:大孔
33:小孔
34:弧状仕切板
341:通孔
342:流路
35:外ねじ歯
36:穿孔
37:ナット
38:コ字形固定板
40:入水タンク
41:外ねじ歯
42:入水座
43:入水口
44:入水管
50:出水タンク
51:穿孔
52:出水座
521:レール溝
522:出水孔
53:挟み板
54:天蓋
541:透孔
542:ブレード
543:位置決め部
544:通孔
545:給水空間
55:出水管
551:係止縁
552:止水ワッシャー
553:外ねじ山
554:管ジョイント
555:突縁
556:排水管
56:サイホン管
561:給水座
562:円錐部
563:出水管路
564:位置決めラチェット
60:濾過セット
61:出水口
62:吊り下げ縄
63:給水口
64:給水管
65:挟み板
66:挟み板
67:肥料発酵貯蔵タンク
68:放出管
70:照明装置
A:濾過綿
N:ナット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24