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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-201765(P2018-201765A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】医療機器用チューブ
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/018 20060101AFI20181130BHJP
   A61M 25/00 20060101ALI20181130BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20181130BHJP
【FI】
   A61B1/018 511
   A61M25/00 610
   A61M25/00 620
   A61B1/00 717
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-109260(P2017-109260)
(22)【出願日】2017年6月1日
(71)【出願人】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100086379
【弁理士】
【氏名又は名称】高柴 忠夫
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(72)【発明者】
【氏名】花井 孝秋
【テーマコード(参考)】
4C161
4C167
【Fターム(参考)】
4C161DD03
4C161FF43
4C161JJ03
4C161JJ06
4C161JJ11
4C167AA05
4C167BB13
4C167BB14
4C167CC07
4C167HH02
(57)【要約】
【課題】医療機器用チューブにおいて、金属線材によって補強されていても、挿通耐久性が良好となるようにする。
【解決手段】医療機器用チューブ10は、樹脂製の内層チューブ1と、金属線材と、金属線材を被覆する樹脂皮膜と、からなり、内層チューブ1の外側において内層チューブ1を囲むように配置された線状部材2と、線状部材2における長手方向全体にわたって線状部材2の外周部における周方向の少なくとも一部を埋めるように、内層チューブ1の外周面1bに積層された高分子エラストマー層4と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製の管状部材と、
金属線材と、前記金属線材を被覆する樹脂皮膜と、からなり、前記管状部材の外側において前記管状部材を囲むように配置された線状部材と、
前記線状部材における長手方向全体にわたって前記線状部材の表面における周方向の少なくとも一部を埋めるように、前記管状部材の外周面に積層された高分子エラストマー層と、
を備える、医療機器用チューブ。
【請求項2】
前記線状部材は、網状体を構成している、
請求項1に記載の医療機器用チューブ。
【請求項3】
前記樹脂皮膜は、フッ素樹脂からなる、
請求項1または2に記載の医療機器用チューブ。
【請求項4】
前記フッ素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレンを含む、
請求項3に記載の医療機器用チューブ。
【請求項5】
前記フッ素樹脂は、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体を含む、
請求項3または4に記載の医療機器用チューブ。
【請求項6】
前記管状部材の内周面は、フッ素樹脂で構成される、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の医療機器用チューブ。
【請求項7】
前記高分子エラストマー層は、フッ素ゴムを含む、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の医療機器用チューブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器用チューブに関する。
【背景技術】
【0002】
医療機器用チューブは、例えば、内視鏡のチャンネルなどの湾曲管の内部に挿通して用いられる。例えば、湾曲された内視鏡のチャンネルに挿通された状態の医療機器用チューブの内部には、処置具などが挿脱される。
このように使用される医療機器用チューブでは、湾曲しても内部に処置具が円滑に挿入できる管状形状を保つことができるように、可撓性を有する補強部材で補強されて構成されることが多い。
例えば、特許文献1に記載の処置具挿通チャンネルは、内面がフッ素樹脂でコーティングされたウレタン樹脂からなるチューブ本体と、チューブ本体の外側に配置されステンレス線で構成されたネットと、ウレタン樹脂からなりネットが外部に露出しないように被覆する被覆層と、を備える。
例えば、特許文献2に記載の内視鏡用可撓管は、帯状の金属薄板を螺旋管状に巻いて形成したフレックスと、フレックスの外周に嵌装した管状のブレードと、ブレードの外周面に塗布されブレードの内面まで浸透した接着剤層と、管状に形成され接着剤層が内面に接着固定された熱可塑性樹脂または合成ゴムからなる外皮と、を備える。
例えば、特許文献3に記載の内視鏡用チューブは、フッ素樹脂からなるチューブ本体と、補強テープと、ポリウレタンからなり補強テープの上からチューブ本体を覆う外皮と、を備える。補強テープは、周方向および軸方向にそれぞれ配された硬質樹脂製の補強繊維を含む補強層と、接着層と、が含まれている。補強テープは、チューブ本体の外周面に巻き付けられた状態で、接着層によってチューブ本体と接着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−205022号公報
【特許文献2】特開昭58−195538号公報
【特許文献3】特開2010−29435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来技術には、以下のような問題がある。
特許文献1に記載の技術では、チューブ本体の外側に硬質なステンレス線のネットが配置されている。このため、処置具挿通チャンネルが湾曲した状態で鉗子等の処置具が挿脱される際、チューブ本体が処置具とネットとによって強く圧迫されながら擦られる。この結果、チューブ本体が摩耗しやすくなるという問題がある。
特許文献2に記載の技術では、内視鏡を湾曲操作する際、接着剤層の内側に配置されたフレックスの角が接着剤層と擦れる。これにより、接着剤層に摩耗を生じやすくなるため、内視鏡用可撓管の挿通耐久性が悪化するという問題がある。
特許文献3に記載の技術では、内視鏡が湾曲した状態で、内視鏡用チューブに鉗子などの処置具を挿脱される際、金属線に比べるとより軟質な補強繊維を含む補強テープがクッションとして作用する。このため、金属線からなるネットを含む場合に比べると、チューブ本体が処置具から受ける圧迫は低減される。しかし、補強テープは金属線からなるネットに比べて剛性が低いため、補強テープの保形効果は小さい。このため、内視鏡の湾曲操作によって、例えば、内視鏡の蛇管の内周部の凸状部などによって外周側から圧迫されると、管路に狭窄が生じやすくなる。この状態で内視鏡用チューブに処置具が挿脱されると、処置具が内層チューブの狭窄部における内面に擦れて摩耗を生じやすくなる。この結果内視鏡用チューブの挿通耐久性が悪化するという問題がある。
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、金属線材によって補強されていても、挿通耐久性が良好となる医療機器用チューブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の態様の医療機器用チューブは、樹脂製の管状部材と、金属線材と、前記金属線材を被覆する樹脂皮膜と、からなり、前記管状部材の外側において前記管状部材を囲むように配置された線状部材と、前記線状部材における長手方向全体にわたって前記線状部材の表面における周方向の少なくとも一部を埋めるように、前記管状部材の外周面に積層された高分子エラストマー層と、を備える。
【0007】
上記医療機器用チューブにおいては、前記線状部材は、網状体を構成してもよい。
【0008】
上記医療機器用チューブにおいては、前記樹脂皮膜は、フッ素樹脂からなってもよい。
【0009】
上記医療機器用チューブにおいては、前記フッ素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレンを含んでもよい。
【0010】
上記医療機器用チューブにおいては、前記フッ素樹脂は、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体を含んでもよい。
【0011】
上記医療機器用チューブにおいては、前記管状部材の内周面は、フッ素樹脂で構成されてもよい。
【0012】
上記医療機器用チューブにおいては、前記高分子エラストマー層は、フッ素ゴムを含んでもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の医療機器用チューブによれば、金属線材によって補強されていても、挿通耐久性が良好となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態の医療機器用チューブの構成例を示す模式的な部分断面図である。
図2】本発明の第1の実施形態の医療機器用チューブに用いる線状部材の構成例を示す模式的な断面図である。
図3】本発明の第1の実施形態の医療機器用チューブの作用を説明する模式図である。
図4】比較例の医療機器用チューブの作用を説明する模式図である。
図5】本発明の第2の実施形態の医療機器用チューブの構成例を示す模式的な部分断面図である。
図6】挿通耐久性評価の試験方法を示す模式図である。
図7】耐キンク性評価の試験方法を示す模式図である。
図8】可撓性評価の試験方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。すべての図面において、実施形態が異なる場合であっても、同一または相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
【0016】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態の医療機器用チューブについて説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態の医療機器用チューブの構成例を示す模式的な部分断面図である。
【0017】
図1に示すように、本実施形態の医療機器用チューブ10は、内層チューブ1(管状部材)と、外層部5と、を備える。
医療機器用チューブ10は、医療機器用の可撓性チューブである。医療機器用チューブ10が用いられる医療機器は限定されない。例えば、医療機器用チューブ10は、内視鏡装置において、処置具などを内部に挿通する処置具チャンネルとして用いられてもよい。例えば、医療機器用チューブ10は、送気送水チューブ、処置具用カテーテルなどに用いられてもよい。
【0018】
内層チューブ1は、長手方向に延びる貫通孔が内部に形成された樹脂製の管状部材である。貫通孔を形成する内周面1aの内側には、例えば、処置具、カテーテルなどの軸状または管状の挿通部材が挿通可能になっている。
内層チューブ1の材料としては、内層チューブ1として必要な可撓性が得られる適宜の樹脂が用いられる。内周面1aにおける摩耗を抑制するためには、内層チューブ1の材料としては、滑り性が良好な樹脂が用いられることがより好ましい。
内層チューブ1の材料は、使用される医療機器の必要に応じて、耐薬品性、生体適合性、洗浄消毒性、気密性、水密性などが良好となる樹脂が用いられることがより好ましい。
【0019】
例えば、内層チューブ1の材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、アクリロニトリル−スチレン、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリメチルペンテン、臭素化ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、アイオノマー等の汎用プラスチックが用いられてもよい。
例えば、内層チューブ1の材料としては、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンナフタレート等のエンジニアリングプラスチックが用いられてもよい。
例えば、内層チューブ1の材料としては、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリサルフォン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリルエーテルケトン、ポリエーテルニトリル等のスーパーエンジニアリングプラスチックが用いられてもよい。
例えば、内層チューブ1の材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリフッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体等のフッ素樹脂が用いられてもよい。
例えば、内層チューブ1の材料としては、ウレタン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマーが用いられてもよい。
【0020】
上述の各材料は、内層チューブ1に単独で用いられてもよいし、複数が組み合わされた複合材料として用いられてもよい。
内層チューブ1に、複合材料が用いられる場合、複合材料は、複数の材料が分散配合された材料が用いられてもよい。
内層チューブ1に複合材料が用いられる場合、複数の材料は、層状構造を有していてもよい。例えば、内層チューブ1は、第1の材料による基材と、第1の材料と異なる第2の材料による被覆層と、によって構成されてもよい。例えば、内層チューブ1の内周面1aおよび外周面1bの少なくとも一方は、被覆層によって構成されてもよい。
【0021】
内層チューブ1の材料においては、上述の材料のうちでは、滑り性に優れる点で、フッ素樹脂が含まれることがより好ましい。フッ素樹脂のうちでは、例えば、PTFE、PFAは特に滑り性に優れるため特に好ましい。
内層チューブ1の材料においては、滅菌処理等に用いられる薬品に対する耐薬品性に優れる点でも、フッ素樹脂が含まれることがより好ましい。フッ素樹脂のうちでは、例えば、PTFE、PFAは特に耐薬品性に優れるため特に好ましい。
例えば、内層チューブ1が基材と被覆層とからなる場合に、滑り性または耐薬品に優れる材料は、被覆層に用いられてもよい。
【0022】
外層部5は、線状部材2と、高分子エラストマー層4と、を備える。
図2に示すように、線状部材2は、金属線2A(金属線材)と、樹脂皮膜2Bと、で構成される。
金属線2Aとしては、例えば、丸線、平角線などの金属製の単線が用いられてもよい。金属線2Aとしては、金属製の単線が撚り合わされた撚り線が用いられてもよい。撚り線の本数、撚り構成、撚り方向は特に限定されない。
金属線2Aが撚り線からなる場合、撚り線を構成する複数の素線の材料および形状は、すべて同一であってもよいし、材料および形状の少なくとも一方が異なる素線が含まれていてもよい。金属線2Aが撚り線からなる場合、外周面2aは、撚り線全体としての外周面を表す。すなわち、金属線2Aが撚り線からなる場合、外周面2aは、各撚り線において最外周に露出した状態の各表面の全体で構成される。
金属線2Aの直径および材料は、後述する網状体3に必要な可撓性、強度が満足される適宜の直径および材料が用いられる。
例えば、金属線2Aの直径D2Aは、0.02mm以上0.3mm以下であってもよい。
【0023】
金属線2Aに用いる材料の例としては、例えば、銅、銅合金、炭素鋼(ピアノ線)、ステンレス、チタン、チタン合金、ニッケルチタン合金、タングステン、タングステン合金、ニッケル合金、コバルト合金、アモルファス金属等が挙げられる。
銅合金の例としては、真鍮が挙げられる。チタン合金の例としては、64チタンが挙げられる。タングステン合金の例としては、タングステン(W)−レニウム(Re)合金が挙げられる。ニッケル合金の例としては、ニッケル(Ni)−クロム(Cr)−鉄(Fe)合金、ニッケル−クロム−鉄−ニオブ(Nb)−モリブデン(Mo)合金が挙げられる。コバルト合金の例としては、コバルト(Co)−クロム合金が挙げられる。
【0024】
金属線2Aを構成する材料としては、靭性に優れ、かつオートクレーブ滅菌で腐食しにくい金属であることがより好ましい。靱性に優れるとともにオートクレーブ滅菌で腐食しにくい金属の例としては、例えば、ステンレスが挙げられる。
【0025】
樹脂皮膜2Bは、金属線2Aの外周面2aを被覆する。樹脂皮膜2Bの外周面2bは、金属線2Aの外周面2aと同軸である。樹脂皮膜2Bの外周面2bは、線状部材2の最外周の表面を構成する。
例えば、樹脂皮膜2Bの膜厚t2Bは、0.02mm以上0.3mm以下であってもよい。
【0026】
樹脂皮膜2Bの材料としては、金属線2Aよりも弾性係数が小さい適宜の樹脂が用いられる。樹脂皮膜2Bの材料としては、後述する高分子エラストマー層4との滑り性が良好な樹脂であることがより好ましい。
後述するように、本実施形態における樹脂皮膜2Bの一部は、高分子エラストマー層4の外部に露出するため、樹脂皮膜2Bの材料には、滅菌処理等に用いられる薬品に対する耐薬品性が良好な樹脂が用いられることがより好ましい。
【0027】
樹脂皮膜2Bに用いる材料の具体例としては、内層チューブ1の材料の例として例示された樹脂材料および樹脂材料の組み合わせを挙げることができる。
樹脂皮膜2Bの表面には、後述する高分子エラストマー層4との滑り性が特に良好となる点では、フッ素樹脂が含まれることがより好ましい。フッ素樹脂のうちでは、例えば、PTFE、PFAは特に滑り性に優れるため特に好ましい。
樹脂皮膜2Bがフッ素樹脂からなる場合、滅菌処理等に用いられる薬品に対する耐薬品性に優れるためより好ましい。樹脂皮膜2Bの材料としては、特に耐薬品性に優れる点で、PTFE、PFAが用いられることが特に好ましい。
【0028】
このような構成の線状部材2は、図1に模式的に示すように、内層チューブ1を外周側から囲む管状の網状体3を形成している。
線状部材2による網状体3の編み方または織り方は特に限定されない。網状体3の編み方または織り方の例としては、例えば、平織り、綾織り、朱子織り、無結節網等が挙げられる。
網状体3は、内層チューブ1とともに湾曲しやすいように、内層チューブ1の表面に沿う方向において隣り合う線状部材2同士の間に隙間ができるように構成されている。
網状体3の内周部は、内層チューブ1の外周面1bから離間していてもよい。ただし、図1には、一例として、網状体3の内周部が内層チューブ1の外周面1bと接する場合の例が示されている。
【0029】
高分子エラストマー層4は、内層チューブ1の外周面1bに積層されている。高分子エラストマー層4は、少なくとも医療機器用チューブ10において医療機器に挿通される部分における内層チューブ1の外周面1bの全体を被覆している。
高分子エラストマー層4は、線状部材2における長手方向全体にわたって線状部材2の表面である外周面2bにおける周方向の少なくとも一部を埋めるような層厚に形成されている。ここで、「線状部材2における長手方向全体にわたって線状部材2の表面である外周面2bにおける周方向の少なくとも一部を埋める」とは、線状部材2を、線状部材2における長手方向にたどると、線状部材2が高分子エラストマー層4から露出している部位でも、線状部材2の外周面2bは、全周にわたって露出することなく、周方向の一部のみが露出していることを意味する。
例えば、図1に示すように、高分子エラストマー層4における線状部材2の露出部2Cは、線状部材2の外周面2bが、周方向の一部のみ露出して形成されている。
このような構成により、本実施形態の医療機器用チューブ10では、網状体3において、外周面1bに沿う方向に隣り合う線状部材2同士の間には、高分子エラストマー層4が充填されている。
例えば、図1に示す例のように、網状体3の内周部が内層チューブ1の外周面1bに接している場合に、網状体3の厚さをtとすると、高分子エラストマー層4の層厚tは、網状体3の厚さtよりも小さい。径方向における網状体3の露出高さを表すt−tは、網状体3を構成する線状部材2の外径未満である。
露出部2Cにおける線状部材2は、周方向の半分以上、高分子エラストマー層4に埋め込まれた状態であることがより好ましい。このような埋め込み状態を形成するには、t−tが、線状部材2の外径の1/2未満であればよい。
【0030】
高分子エラストマー層4の材料としては、医療機器用チューブ10の可撓性が良好となる高分子エラストマーであって、線状部材2の樹脂皮膜2Bとの滑り性が金属線2Aに比べて良好となる高分子エラストマーであれば特に限定されない。医療機器用チューブ10が滅菌処理されたり、薬液と接触したりする場合には、高分子エラストマー層4として、耐薬品性が良好となる材料が用いられることがより好ましい。
例えば、高分子エラストマー層4の材料としては、ウレタン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマーが用いられてもよい。
例えば、高分子エラストマー層4の材料としては、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、ニトリルゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム等の加硫ゴム等が用いられてもよい。
【0031】
上述された高分子エラストマー層4に好適な各材料は、高分子エラストマー層4に、単独で用いられてもよいし、複数の材料が組み合わされて用いられてもよい。
例えば、複数の材料が組み合わされる場合、複数の材料はブレンドされたり、層状構造を有したりする複合材料として用いられてもよい。例えば、複数の材料が組み合わされる場合、複数の材料が、高分子エラストマー層4の長手方向における異なる部位に用いられてもよい。
さらに、上述された各材料は、ソリッド体として用いられてもよいし、発泡体として用いられてもよい。上述された各材料が発泡状態で用いられる場合、各材料は独立気泡の発泡体でもよいし、連続気泡の発泡体でもよい。高分子エラストマー層4が発泡体で構成される場合、医療機器用チューブ10の可撓性がさらに向上する。
上述された各材料のうち、樹脂皮膜2Bとの滑り性がより良好となる点では、例えば、フッ素系熱可塑性エラストマーおよびフッ素ゴムの少なくとも一方が含まれることがより好ましい。
【0032】
このような構成の医療機器用チューブ10を製造するには、予め、内層チューブ1、網状体3がそれぞれ製造される。
内層チューブ1は、例えば、押出成形などで製造されてもよい。内層チューブ1の外周面1bは、高分子エラストマー層4との密着性が良好となるような表面処理が施されてもよい。
網状体3は、線状部材2が製造された後、線状部材2が編まれるか、または織られることによって製造される。線状部材2の製造方法の例としては、例えば、金属線2Aが樹脂皮膜2Bを形成するための樹脂液にディッピングされ、その後、金属線2Aに付着した樹脂液が硬化される製造方法でもよい。
【0033】
内層チューブ1と網状体3とが準備されたら、内層チューブ1の外周面1bの周りに、網状体3が配置される。
この後、網状体3および内層チューブ1を覆うように高分子エラストマー層4となる樹脂成分を有する流動体が塗布される。流動体の塗布量は、流動体の硬化時に、網状体3の露出部2Cが形成されるような塗布量とされる。この後、流動体が固化される。ただし、高分子エラストマー層4が発泡体で構成される場合には、流動体が固化されるとともに、発泡処理される。
このようにして、医療機器用チューブ10が製造される。
【0034】
次に、医療機器用チューブ10の作用について説明する。
図3は、本発明の第1の実施形態の医療機器用チューブの作用を説明する模式図である。図4は、比較例の医療機器用チューブの作用を説明する模式図である。
【0035】
医療機器用チューブ10では、内層チューブ1の外周に網状体3と高分子エラストマー層4とが配置されている。網状体3は、露出部2Cを除いて高分子エラストマー層4に埋め込まれている。内層チューブ1の外周面1bと高分子エラストマー層4とは互いに密着しているため、網状体3は、高分子エラストマー層4によって拘束された状態で、内層チューブ1の外周に配置されている。
ただし、網状体3は、金属線2Aの外周面2aが樹脂皮膜2Bによって被覆された線状部材2によって構成されている。このため、網状体3においては、互いに接する線状部材2同士が、金属線2Aに比べて柔軟性を有する樹脂皮膜2Bを介して接触している。このため、網状体3が外力を受けると、線状部材2同士が重なった部位では、樹脂皮膜2Bの変形によって、網状体3としての厚さが減少する。
例えば、図3に示すように、医療機器用チューブ10が外部の押圧部材11から内側に向かう外力を受ける場合、線状部材2同士が樹脂皮膜2Bの変形によって径方向(図示上下方向)に圧縮されるため、高分子エラストマー層4の外周面4aにおける凹み量がΔの場合でも、内層チューブ1の内周面1aの突出量Δは、Δよりも小さくなる。このため、内層チューブ1の内部に処置具12が挿通される場合にも、突出量がΔになる場合に比べると、処置具12による内周面1aへの擦れ摩耗が軽減される。
【0036】
例えば、図4に示す比較例の医療機器用チューブ50は、医療機器用チューブ10における線状部材2に代えて、金属線2Aと同材質の金属線52を備える。金属線52の外径は、線状部材2の外径と等しい。この場合、医療機器用チューブ50が外部の押圧部材11から内側に向かう外力を受ける場合、金属線52は径方向にほとんど変形しないため、高分子エラストマー層4の外周面4aにおける凹み量Δは、そのまま内層チューブ1の内周面1aの突出量Δとなる。このため、内層チューブ1の内部に処置具12が挿通される場合に、本実施形態に比べて内周面1aの突出量が大きくなるため、処置具12による内周面1aへの擦れ摩耗がより激しくなる。
内周面1aの摩耗が進行すると、内層チューブ1に孔が開いてしまうおそれがある。孔が開かない場合にも、摩耗部の強度が低下するため、医療機器用チューブが外力を受けた場合に、摩耗部からキンクが発生するおそれがある。
本実施形態の医療機器用チューブ10では、摩耗の発生自体が比較例に比べて少ないため、摩耗部に起因するキンクの発生が抑制される。
【0037】
さらに、医療機器用チューブ10が湾曲される場合、外層部5における線状部材2は、医療機器用チューブ10の軸方向に沿って圧縮応力(曲げ内側)または引っ張り応力(曲げ外側)を受ける。このような軸方向における応力に対しても、線状部材2の樹脂皮膜2Bは、それぞれ応力に応じて変形することができる。このため、外層部5の内部応力が緩和されるため、医療機器用チューブ10の曲げ変形が容易となる。この結果、医療機器用チューブ10の可撓性が向上する。
これに対して、比較例の医療機器用チューブ50の場合、金属線52は、軸方向の応力に対して、ほとんど変形しないため、外層部55の剛性が医療機器用チューブ10の外層部5の剛性よりも高くなっている。この結果、医療機器用チューブ10に比べると可撓性が劣る。
【0038】
さらに、樹脂皮膜2Bが高分子エラストマー層4に対して滑りやすい材料で形成されている場合、外層部5に発生する応力に応じて、線状部材2の外周面2bと高分子エラストマー層4との間に滑りが発生する。これにより、医療機器用チューブ10の湾曲に対する抵抗が低減される点でも、医療機器用チューブ10を湾曲させることがより容易となる。
さらに、外層部5の内部応力が線状部材2と高分子エラストマー層4との間の滑りによって解放されると、外層部5内の応力分布が均される。このため、外層部5の内部における応力分布の偏りに起因して医療機器用チューブ10の一部に変形が集中して生じるようなキンクの発生が抑制される。この結果、医療機器用チューブ10の耐キンク性が向上する。
【0039】
医療機器用チューブ10では、高分子エラストマー層4において、線状部材2の露出部2Cが形成されている。露出部2Cにおいては、線状部材2と高分子エラストマー層4との界面が線状に露出している。この界面は、線状部材2の外周面2bに沿って、内層チューブ1の内周面1aまで連続している。樹脂皮膜2Bが高分子エラストマー層4と滑り易い材料で構成される場合、高分子エラストマー層4が外力を受けると上述の界面において、高分子エラストマー層4が樹脂皮膜2Bから剥離しやすい。
このような構成によれば、例えば、内層チューブ1の厚さ方向に横断する割れ目、貫通孔(以下、「孔」と総称する)が存在するかどうかの検査が容易となる。
内層チューブ1は、内部に処置具などが挿脱されて処置具などによる外力を受けたり、摩耗したりするため、繰り返し使用されると、内層チューブ1に孔が開くことが考えられる。従来技術の医療機器用チューブによれば、このような孔が開いても、外部からは視認できないため、容易には発見できない。
【0040】
本実施形態の医療機器用チューブ10では、以下のようにして、内層チューブ1の孔の有無を検査できる。
例えば、内層チューブ1の一端部を塞いで、内層チューブ1の他端部から検査用の圧縮空気が導入される。内層チューブ1に孔が存在すると、孔から漏れる圧縮空気が、線状部材2と高分子エラストマー層4との間の界面に侵入して、樹脂皮膜2Bと高分子エラストマー層4との間に隙間を形成する。隙間に侵入する空気は、露出部2Cにおける界面の端部を押し開いて外部に漏れる。空気の漏れは、医療機器用チューブ10を水槽に漬けておけば、容易に視認可能になる。
このため、医療機器用チューブ10の露出部2Cから空気が漏れ出た場合に、内層チューブ1に孔が開いていると判定される。孔が開いていると判定された医療機器用チューブ10は、医療機器への使用を中止し、良品と交換することで、孔開き不良による使用時の不具合が回避される。
【0041】
さらに、本実施形態の医療機器用チューブ10では、医療機器用チューブ10の外周部に露出部2Cが形成されるため、樹脂皮膜2Bの材質に応じて、医療機器用チューブ10の外周部の特性を向上することができる。
例えば、樹脂皮膜2Bとして、高分子エラストマー層4よりも滑り性が良好な材料が用いられる場合、医療機器用チューブ10の外周部における滑り性が向上する。
例えば、樹脂皮膜2Bとして、高分子エラストマー層4よりも高強度の材料が用いられる場合、医療機器用チューブ10の外周部における強度が向上する。
【0042】
以上説明したように、本実施形態の医療機器用チューブ10によれば、金属線2Aによって補強されていても、挿通耐久性が良好となる。
【0043】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態の医療機器用チューブについて説明する。
図5は、本発明の第2の実施形態の医療機器用チューブの構成例を示す模式的な部分断面図である。
【0044】
図5に示すように、本実施形態の医療機器用チューブ20は、上記第1の実施形態の医療機器用チューブ10の外層部5に代えて、外層部25を備える。
外層部25は、上記第1の実施形態における外層部5の高分子エラストマー層4に代えて高分子エラストマー層24を備える。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0045】
高分子エラストマー層24は、上記第1の実施形態における高分子エラストマー層4の層厚が網状体3の全体を覆う層厚となるように形成されている。具体的には、高分子エラストマー層24の層厚t24は、tよりも厚い。このため、本実施形態における網状体3は、すべて高分子エラストマー層24によって覆われている。
【0046】
医療機器用チューブ20は、高分子エラストマー層24を形成するための流動体の塗布量を、流動体の硬化時に、網状体3の全体が覆われる量にする以外は、上記第1の実施形態と同様にして製造される。
【0047】
このような構成の医療機器用チューブ20は、上記第1の実施形態におけるような露出部2Cが形成されない以外は、上記第1の実施形態の医療機器用チューブ10と同様の作用を備える。
このため、本実施形態の医療機器用チューブ20によれば、金属線2Aによって補強されていても、挿通耐久性が良好となる。
【0048】
なお、上記各実施形態の説明では、線状部材2によって網状体3が構成される場合の例で説明したが、線状部材2は、医療機器用チューブとして可撓性と強度とが満足されれば、網状体3を構成しなくてもよい。
例えば、線状部材2は、内層チューブ1の外周部にコイル状に巻き回されて配置されてもよい。
【0049】
上記第1の実施形態の説明では、露出部2Cを有するため、孔開き検知性が得られる場合の例で説明した。しかし、露出部2Cが形成されない上記第2の実施形態においても、高分子エラストマー層が連続気泡の発泡体で形成される場合には、孔開き検知性が得られる。
【実施例】
【0050】
次に、上述した各実施形態に対応する医療機器用チューブの実施例1〜8について、比較例1とともに説明する。下記[表1]に、各実施例、比較例の概略構成を示す。ただし、後述する形状等、各実施例、比較例に共通する条件の記載は[表1]では省略されている。
【0051】
【表1】
【0052】
[実施例1]
実施例1は、上記第2の実施形態の医療機器用チューブ20(図5参照)の実施例である。
[表1]に示すように、内層チューブ1([表1]では符号は省略されている。以下同じ)の材質はETFEが用いられた。
実施例1の内層チューブ1の形状は、内径3.2mm、肉厚0.15mmとされた。この内層チューブの形状は、後述する実施例2〜8、比較例1の内層チューブにおいても共通とされた。
[表1]に示すように、実施例1の外層部25の網状体3としては、ステンレス鋼線からなる金属線2Aと、ポリエステル樹脂からなる樹脂皮膜2Bと、からなる線状部材2によって構成された。
金属線2Aの外径は0.05mmとされた。樹脂皮膜2Bの膜厚は0.05mmとされた。網状体3は、線状部材2が持ち数1、打ち数16、30PPIで綾織りされることによって製造された。このようにして製造された網状体3の厚さtは、0.3mmであった。
実施例1における金属線2Aの外径、樹脂皮膜2Bの膜厚、および網状体3の織り条件は、実施例2〜8の網状体3においても共通とされた。実施例1における網状体3の織り条件は、比較例1においても共通とされた。
[表1]に示すように、実施例1の外層部25の高分子エラストマー層24の材料としては、ショア硬さ65Aのソリッド体のウレタン系熱可塑性エラストマーが用いられた。高分子エラストマー層24の層厚は、0.4mmとされた。このため、網状体3の全体は高分子エラストマー層24によって覆われた。
【0053】
このような実施例1の医療機器用チューブ20は上記第2の実施形態に記載の製造方法によって製造された。
【0054】
[実施例2〜7]
実施例2〜7は、いずれも上記第2の実施形態の医療機器用チューブ20の実施例である。
[表1]に示すように、実施例2の医療機器用チューブ20は、樹脂皮膜2Bの材料がETFEに代えられた以外は、上記実施例1の医療機器用チューブ20と同様の構成を備える。
実施例3の医療機器用チューブ20は、樹脂皮膜2Bの材料としてPTFEが用いられた以外は、上記実施例1の医療機器用チューブ20と同様に構成された。
実施例4の医療機器用チューブ20は、樹脂皮膜2Bの材料としてPFAが用いられた以外は、上記実施例1の医療機器用チューブ20と同様に構成された。
実施例5の医療機器用チューブ20は、内層チューブ1の材料としてPTFEが用いられた以外は、上記実施例4の医療機器用チューブ20と同様に構成された。
実施例6の医療機器用チューブ20は、内層チューブ1の材料としてPFAが用いられた以外は、上記実施例4の医療機器用チューブ20と同様に構成された。
実施例7の医療機器用チューブ20は、高分子エラストマー層24の材料としてソリッド体のフッ素ゴムが用いられた以外は、上記実施例5の医療機器用チューブ20と同様に構成された。
【0055】
[実施例8]
実施例8は、上記第1の実施形態の医療機器用チューブ10(図1参照)の実施例である。
実施例8の医療機器用チューブ10は、上記実施例7における高分子エラストマー層24に代えて、同材料の高分子エラストマー層4が層厚0.25mmになるように、内層チューブ1に積層されて構成された。このため、本実施例の医療機器用チューブ10には、露出部2Cが形成された。
【0056】
[比較例1]
比較例1の医療機器用チューブは、上記実施例1における線状部材2に代えて、外径0.3mmのステンレス鋼線が用いられた以外は、上記実施例1の医療機器用チューブ20と同様に構成された。
比較例1は、網状体を構成する線状部材が、樹脂皮膜を有しないステンレス鋼線によって構成されている場合の例になっている。
【0057】
上述した実施例1〜8、比較例1の医療機器用チューブ(以下、評価サンプルSと表記する。)を用いて、挿通耐久性、耐キンク性、可撓性、および耐薬品性の評価が行われた。さらに、実施例8、比較例1に関しては、孔開き検知性の評価も行われた。
挿通耐久性、耐キンク性、可撓性、および耐薬品性の評価結果(評価結果1)に関して、下記[表2]に示す。孔開き検知性の評価結果(評価結果2)に関して、下記[表3]に示す。
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】
[評価方法]
各評価方法について説明する。
図6は、挿通耐久性評価の試験方法を示す模式図である。図7は、耐キンク性評価の試験方法を示す模式図である。図8は、可撓性評価の試験方法を示す模式図である。
【0061】
[挿通耐久性]
挿通耐久性評価では、図6に示すように、評価サンプルSは、曲率半径R=9(mm)の円柱状の巻き付け治具60に、半周分巻き付けられて180°折り曲げられた状態で保持された。評価サンプルSの湾曲部には、外径D=1.6(mm)の円柱状の押圧治具61が、押圧力F=2(N)で押しつけられた。押圧治具61は、評価サンプルSの凸状の湾曲部の頂部において、評価サンプルSの直線部と平行な方向に、巻き付け治具60の中心に向かって押圧した。
このような状態で、評価サンプルSの端部から、生検鉗子62が挿入された。生検鉗子62は、評価サンプルSの湾曲部の範囲を30mm/secの速さで往復するように挿脱動作が行われた。生検鉗子62としては、FB−25K(商品名;オリンパス(株)製)が用いられた。
生検鉗子62の1往復を1回として、100回ごとに評価サンプルSの内層チューブの孔開きの有無が検査された。孔開きの有無は、評価サンプルSの内部に挿入された細径の内視鏡によって、観察された。評価者は、初めて孔開きが観察されるまでの、生検鉗子62の挿脱回数(以下、孔開き発生回数と称する)を記録した。
【0062】
評価基準としては、孔開き発生回数が、2000例を超えた場合、「非常に良い」([表2]では、「◎」(very good))、1600回以上2000回以下の場合、「かなり良い」([表2]では、「○」(rather good))、1100例以上1500回以下の場合「良い」([表2]では、「○」(good))、600回以上1000回以下の場合「まあ良い」([表2]では、「○」(fairly good))、500回以下の場合、「不良」([表2]では、「×」(no good))とした。
【0063】
[耐キンク性]
耐キンク性評価では、図7に示すように、評価サンプルSは、長手方向に距離L1=250(mm)をあけた二箇所で把持された(把持部H1、H2)。このとき、把持位置の間では、評価サンプルSに、1.96N(200gf)の張力Tがかけられた。
さらに、把持位置を等分する中心位置に、評価サンプルSを挟んで5mmの間隔Wをあけた半径9mmの一対のローラー63が配置された。
把持部H1は固定された。把持部H2は、上記中心位置を中心として、評価サンプルSが真直な状態を0°として、0°±90°の範囲で繰り返し回動された。評価サンプルSは、各ローラー63を屈曲面として、2方向に繰り返して屈曲された。
+90°の回動、0°への復帰、−90°の回動、0°への復帰を1回とし、29回/分の速さで、各評価サンプルSが5000回ずつ屈曲された。
5000旋回の屈曲の終了後、屈曲部の内径がボールゲージで測定された。
【0064】
評価基準としては、ボールゲージの通り径が3.2以上の場合、「良い」([表2]では、「○」(good))、3.2未満の場合、不良([表2]では、「×」(no good))とした。
【0065】
[可撓性]
可撓性は、被検サンプルを三点曲げで屈曲させるのに必要な押し込み力量で評価された。
図8に示すように、両端支点を形成するため、半径5mmの2個のプーリー64A、64Bが間隔L2=100(mm)を開けて、互いに等しい高さに配置された。プーリー64A、64Bの上に評価サンプルSが乗せられた。プーリー64A、64Bの中間に位置する部分に、上方からプッシュプルゲージ65の接触部65aが接触された。接触部65aには、半径5mmのプーリーが設けられている。プッシュプルゲージ65は、20mm/secの速さで、下方にストローク40mmで、押し込まれた。その際、プッシュプルゲージ65によって押し込み力量のピーク値が計測された。
【0066】
評価基準としては、押し込み力量のピーク値が0.8N未満の場合、良い([表2]では、「○」(good))、0.8N以上の場合、不良([表2]では、「×」(no good))とした。
【0067】
[耐薬品性]
耐薬品生評価では、評価サンプルSが55℃の100%エチレンオキサイドガス環境下で60分間放置された。この後、評価サンプルSは室温まで冷却された。評価サンプルSは、引張試験機にて把持間距離50mm、引っ張り速度50mm/minで引っ張ることによって、評価サンプルSの破断力量が測定された。
【0068】
評価基準としては、破断力量が、100N以上の場合、「非常に良い」([表2]では、「◎」(very good))、80N以上100N未満の場合、「良い」([表2]では、「○」(good))、80N未満の場合、「不良」([表2]では、「×」(no good))とした。
【0069】
[総合評価]
総合評価としては、挿通耐久性、耐キンク性、可撓性、および耐薬品性のいずれかの評価が「不良」場合、「不良」([表2]では、「×」(no good))とした。それ以外の場合、「良い」([表2]では、「○」(good))とした。
【0070】
[孔開き検知性]
孔開き検知性評価では、実施例8および比較例1の各評価サンプルSにおいて、内層チューブ1に孔開きのない「孔開き無しサンプル」と、予め内層チューブ1に孔を開けた状態で製造した「孔開き有りサンプル」と、が作成された。
各評価サンプルSは、両端部が外部に出た状態で、観察用水槽に浸漬された。この状態で、各評価サンプルSは、一端が閉じられた状態で、他端からゲージ圧0.1MPaの圧縮空気が送り込まれた。評価者は、各評価サンプルSの外表面に気泡が発生するかどうかによって、空気漏れの有無を観察した。
【0071】
評価基準としては、孔開き無しサンプルから空気が漏れず、孔開き有りサンプルから空気が漏れた場合、良い([表2]では、「○」(good))、孔開き無しサンプルおよび孔開き有りサンプルの両方とも空気が漏れなかった場合、不良([表2]では、「×」(no good))とした。
【0072】
[評価結果1]
[表2]に示すように、挿通耐久性評価においては、実施例1が「まあ良い」、実施例2が「良い」、実施例3、4が「かなり良い」、実施例5〜8が「非常に良い」と評価された。比較例1は、「不良」と評価された。
実施例5〜8は、内層チューブ1の材料として滑り性が特に優れるPTFEまたはPFAが用いられたことで、挿通耐久性が特に優れていたと考えられる。
実施例1〜4を比較すると、樹脂皮膜2Bの材料として滑り性が特に優れるPTFEまたはPFAが用いられたことで、実施例3、4における挿通耐久性がより優れていたと考えられる。実施例1では、樹脂皮膜2Bの材料としてフッ素樹脂に比べると滑り性が悪いポリエステル樹脂が用いられたことによって、挿通耐久性が「まあ良い」の評価になったと考えられる。
比較例1に関しては、内層チューブ1にフッ素樹脂が用いられていても、線状部材に樹脂皮膜が形成されていなかったため、摩耗が促進されたと考えられる。例えば、内層チューブ1が生検鉗子62によって押圧される場合、線状部材が変形したり、線状部材と高分子エラストマー層とが互いに滑ったりしないため、応力が分散されにくい。このため、金属製の線状部材と生検鉗子62によって挟まれた内層チューブ1の摩耗が促進されたと考えられる。
【0073】
[表2]に示すように、耐キンク性評価および可撓性評価においては、実施例1〜8および比較例1は、いずれも「良い」と評価された。
耐薬品性評価においては、実施例7、8が「非常に良い」と評価された他は、いずれも「良い」と評価された。実施例1〜8および比較例1は、いずれも「良い」と評価された。
以上から、総合評価としては、実施例1〜8が「良い」、比較例1が「不良」と評価された。
【0074】
[評価結果2]
[表3]に示すように、孔開き検知性評価においては、実施例8が「良い」、比較例1が「不良」と評価された。このため、実施例8のように、網状体3の一部が露出している場合には、孔開き検知性が良好になることが分かる。このため、上記第1の実施形態の構成は、特に孔開き検知性が必要となる場合には特に好適となることが分かる。
【0075】
以上、本発明の好ましい各実施形態を、各実施例とともに説明したが、本発明はこれらの各実施形態、各実施例に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
また、本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0076】
1 内層チューブ(管状部材)
1a 内周面
1b 外周面
2 線状部材
2a 外周面
2A 金属線(金属線材)
2b 外周面
2B 樹脂皮膜
2C 露出部
3 網状体
4、24 高分子エラストマー層
4a 外周面
5、25 外層部
10、20 医療機器用チューブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8