(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-202315(P2018-202315A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】洗浄器
(51)【国際特許分類】
B08B 3/02 20060101AFI20181130BHJP
A61B 90/70 20160101ALI20181130BHJP
【FI】
B08B3/02 D
A61B90/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-109598(P2017-109598)
(22)【出願日】2017年6月2日
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110685
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 方宜
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 俊郎
【テーマコード(参考)】
3B201
【Fターム(参考)】
3B201AA46
3B201AB03
3B201AB45
3B201BB24
3B201BB33
3B201BB43
3B201BB62
3B201BB82
3B201BB92
3B201CC11
3B201CD22
3B201CD42
(57)【要約】
【課題】洗浄ノズルの位置に依らず、被洗浄物全体をバラつきなく洗浄できる洗浄器を提供する。
【解決手段】洗浄槽内に洗浄ノズル3を設け、この洗浄ノズル3から液体を噴射させて被洗浄物を洗浄する洗浄器である。洗浄ノズル3は、長手方向中央部が支持部材に、縦軸まわりに回転可能に保持される。洗浄ノズル3には、ノズル孔11として、長手方向に間隔をあけて複数の丸孔11Aが形成されると共に、長手方向中央部の側に、長手方向に沿ったスリット孔11Bが形成されている。長手方向中央部の側のノズル孔11をスリット孔11Bとすることで、洗浄ノズル3の回転の中心部の側での液体の噴射流量を抑えて、その他のノズル孔11からの噴射に回すことができる。しかも、スリット孔11Bから扇形に噴射することができ、小流量でも広範囲の洗浄が可能となる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物が収容される洗浄槽と、
この洗浄槽内に支持部材を介して保持され、前記支持部材を介して供給される液体を噴射させるノズル孔が形成された洗浄ノズルとを備え、
前記洗浄ノズルは、長手方向中央部が前記支持部材に、縦軸まわりに回転可能に保持され、
前記洗浄ノズルには、前記ノズル孔として、長手方向に間隔をあけて複数の丸孔が形成されると共に、長手方向中央部の側に、長手方向に沿ったスリット孔が形成されている
ことを特徴とする洗浄器。
【請求項2】
前記洗浄ノズルには、長手方向中央部から外端部までの距離の1/3〜1/4の領域に、前記スリット孔が形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の洗浄器。
【請求項3】
前記洗浄ノズルの長手方向中央部を境に、前記洗浄ノズルの長手方向一方には、短手方向一側面に前記丸孔が形成される一方、前記洗浄ノズルの長手方向他方には、短手方向他側面に前記丸孔が形成され、
前記洗浄ノズルの長手方向一方および/他方には、上面および/または下面に前記スリット孔が形成されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の洗浄器。
【請求項4】
被洗浄物が収容される洗浄槽と、
この洗浄槽内に支持部材を介して保持され、前記支持部材を介して供給される液体を噴射させるノズル孔が形成された洗浄ノズルとを備え、
前記洗浄ノズルは、長手方向中央部が前記支持部材に、縦軸まわりに回転可能に保持され、
前記洗浄ノズルには、前記ノズル孔として、長手方向に間隔をあけて複数の孔が形成されると共に、長手方向中央部の側に、長手方向に沿ったスリット孔が形成されており、
前記スリット孔の断面積は、前記複数の孔のそれぞれの断面積よりも小さい
ことを特徴とする洗浄器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被洗浄物に液体を噴射して洗浄する洗浄器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示されるように、噴射式の洗浄器が知られている。当該文献の
図1に基づき説明すると、洗浄器は、被洗浄物が収容される洗浄槽(2)と、この洗浄槽内に設けられる支持部材(12)に回転可能に保持され、この支持部材を介して供給される液体を噴射させるノズル孔が形成された洗浄ノズル(3)と、洗浄槽内の下部に連接された液貯留部(4)と、この液貯留部の液体を洗浄ノズルの支持部材へ循環供給する循環手段(8)とを備える。そして、洗浄ノズル(3)は、鉛直方向へ沿う軸まわりに回転可能に、長手方向中央部が支持部材(12)に保持され、鉛直方向以外に液体を噴射させるノズル孔を有する中空部材から形成される。
【0003】
特許文献1に開示される洗浄器では、洗浄ノズルに形成されるノズル孔は、丸孔とされている。一方、下記特許文献2に開示される洗浄器では、洗浄ノズルに形成されるノズル孔は、長孔とされている。いずれにしても、従来は、同一の形状および大きさの孔が、洗浄ノズルに等間隔に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017−70882号公報(請求項1、図面)
【特許文献2】特開2010−35774号公報(段落[0015]、
図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の洗浄器では、洗浄ノズルからの液体を万遍なく被洗浄物に当てて、洗浄不良を防止する必要がある。ところが、洗浄ノズルは、長手方向中央部を中心に回転するため、洗浄ノズルの中心からの距離に応じて、被洗浄物に当たる液体の流量が変化する。
【0006】
すなわち、洗浄ノズルの中心から端部へ向けて、単に一定間隔で同一径のノズル孔を形成しただけでは、洗浄ノズルの端部へ行くほど、被洗浄物に当たる液体の流量が減少する。つまり、洗浄ノズルが一回転する際に、各ノズル孔からの噴射液が当たる領域(端的にいえば円環帯状の被洗浄領域)は、外周部ほど広くなり、単位面積当たりへの液体の噴射流量が減少する。
【0007】
そのため、洗浄ノズルの中心部では液体が過剰で、外端部では液体が不足するおそれがある。また、洗浄力は、被洗浄物に当たる液体の流量に左右されるため、洗浄ノズルの中心付近と端部とで、洗浄力にバラつきが生じることになる。
【0008】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、洗浄ノズルの位置に依らず、被洗浄物全体をバラつきなく洗浄できる洗浄器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、被洗浄物が収容される洗浄槽と、この洗浄槽内に支持部材を介して保持され、前記支持部材を介して供給される液体を噴射させるノズル孔が形成された洗浄ノズルとを備え、前記洗浄ノズルは、長手方向中央部が前記支持部材に、縦軸まわりに回転可能に保持され、前記洗浄ノズルには、前記ノズル孔として、長手方向に間隔をあけて複数の丸孔が形成されると共に、長手方向中央部の側に、長手方向に沿ったスリット孔が形成されていることを特徴とする洗浄器である。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、洗浄ノズルには、ノズル孔として、長手方向に間隔をあけて複数の丸孔が形成されると共に、長手方向中央部の側に、長手方向に沿ったスリット孔が形成される。長手方向中央部の側のノズル孔をスリット孔とすることで、洗浄ノズルの回転の中心部の側での液体の噴射流量を抑えて、その他のノズル孔からの噴射に回すことができる。しかも、スリット孔は、洗浄ノズルの長手方向に沿って形成されているので、スリット孔から扇形に噴射することができ、小流量でも広範囲の洗浄が可能となる。このようにして、洗浄ノズルの位置に依らず、被洗浄物全体をバラつきなく洗浄することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、前記洗浄ノズルには、長手方向中央部から外端部までの距離の1/3〜1/4の領域に、前記スリット孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の洗浄器である。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、洗浄ノズルには、長手方向中央部から外端部までの距離の1/3〜1/4の領域に、スリット孔が形成されるので、洗浄ノズルの中心部の側での液体の噴射流量を抑えて、その他のノズル孔からの噴射に回すことができる。これにより、洗浄ノズルの位置に依らず、被洗浄物全体をバラつきなく洗浄することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、前記洗浄ノズルの長手方向中央部を境に、前記洗浄ノズルの長手方向一方には、短手方向一側面に前記丸孔が形成される一方、前記洗浄ノズルの長手方向他方には、短手方向他側面に前記丸孔が形成され、前記洗浄ノズルの長手方向一方および/他方には、上面および/または下面に前記スリット孔が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の洗浄器である。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、洗浄ノズルの長手方向中央部を境に、洗浄ノズルの長手方向一方には、短手方向一側面に丸孔が形成される一方、洗浄ノズルの長手方向他方には、短手方向他側面に丸孔が形成されることで、丸孔からの噴流により、洗浄ノズルを長手方向中央部まわりに容易に回転させることができる。一方、スリット孔は、洗浄ノズルの上面および/または下面に形成されるので、加工が容易であると共に、少ない面積で被洗浄物への噴射を確実に行うことができる。
【0015】
さらに、請求項4に記載の発明は、被洗浄物が収容される洗浄槽と、この洗浄槽内に支持部材を介して保持され、前記支持部材を介して供給される液体を噴射させるノズル孔が形成された洗浄ノズルとを備え、前記洗浄ノズルは、長手方向中央部が前記支持部材に、縦軸まわりに回転可能に保持され、前記洗浄ノズルには、前記ノズル孔として、長手方向に間隔をあけて複数の孔が形成されると共に、長手方向中央部の側に、長手方向に沿ったスリット孔が形成されており、前記スリット孔の断面積は、前記複数の孔のそれぞれの断面積よりも小さいことを特徴とする洗浄器である。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、洗浄ノズルには、ノズル孔として、長手方向に間隔をあけて複数の孔が形成されると共に、長手方向中央部の側に、長手方向に沿ったスリット孔が形成される。長手方向中央部の側のノズル孔をスリット孔として、他のノズル孔よりも断面積を小さくすることで、洗浄ノズルの回転の中心部の側での液体の噴射流量を抑えて、他のノズル孔からの噴射に回すことができる。しかも、スリット孔は、洗浄ノズルの長手方向に沿って形成されているので、スリット孔から扇形に噴射することができ、小流量でも広範囲の洗浄が可能となる。このようにして、洗浄ノズルの位置に依らず、被洗浄物全体をバラつきなく洗浄することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の洗浄器によれば、洗浄ノズルの位置に依らず、被洗浄物全体をバラつきなく洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施例の洗浄器を示す概略図であり、一部を断面にして示している。
【
図2】
図1の洗浄器に用いられる洗浄ノズルの一例を示す概略平面図である。
【
図4】
図2の洗浄ノズルの概略斜視図であり、一部を省略して示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例の洗浄器1を示す概略図であり、一部を断面にして示している。
【0020】
以下、まずは、洗浄器1の全体構成と運転方法について説明し、その後、本発明の特徴部である洗浄ノズル3について説明する。なお、以下では、説明の便宜上、
図1における左右方向を洗浄器1の左右方向とし、
図1における上下方向を洗浄器1の上下方向とし、
図1における紙面と直交方向を洗浄器1の前後方向(手前側が前方)として説明する。
【0021】
本実施例の洗浄器1は、被洗浄物が収容される洗浄槽2と、この洗浄槽2内の被洗浄物へ液体を噴射する洗浄ノズル3と、洗浄槽2内の下部に連接された液貯留部4と、液貯留部4への給水手段5と、液貯留部4からの排水手段6と、液貯留部4への薬液供給手段7と、液貯留部4の液体を洗浄ノズル3へ供給する循環手段8と、液貯留部4の液体を加熱する加熱手段9と、これら各手段5〜9を制御する制御手段(図示省略)とを備える。
【0022】
被洗浄物は、特に問わないが、たとえば鉗子などの医療器具である。洗浄槽2内には、上下複数段に洗浄ノズル3が設けられるが、被洗浄物は上下の洗浄ノズル3間に配置される。この際、被洗浄物は、格子状(または網状)の棚に載せられる。また、被洗浄物は、所望によりバスケットなどに収容されていてもよい。
【0023】
洗浄槽2は、被洗浄物が収容される中空容器である。洗浄槽2は、本実施例では略矩形の中空ボックス状である。洗浄槽2は、ドア(図示省略)により開閉可能とされる。ドアを開けることで、洗浄槽2に対し被洗浄物を出し入れすることができる。ドアは、洗浄槽2の正面に設けられるが、洗浄槽2の正面および背面の双方に設けられてもよい。
【0024】
洗浄ノズル3は、洗浄槽2内の被洗浄物へ液体を噴射する。洗浄ノズル3は、洗浄槽2内に、上下複数段に設けられる。本実施例では、洗浄槽2の一側部に、上下複数段にアーム状の支持部材10の基端部が保持され、各支持部材10は、洗浄槽2の一側部から左右方向中央部へ向けて延出する。そして、その延出先端部に、洗浄ノズル3の長手方向中央部が鉛直軸まわりに回転可能に保持される。
【0025】
詳細は
図2〜
図4に基づき後述するが、洗浄ノズル3は、支持部材10内を介して供給される液体を噴射させるノズル孔11(
図2〜
図4)を複数形成されている。支持部材10を介して洗浄ノズル3内に液体が供給されると、その液体は洗浄ノズル3のノズル孔11から噴射される。この噴流により、洗浄ノズル3は、支持部材10の端部の軸受部まわりに回転する。なお、洗浄槽2内の上端部に設けられる洗浄ノズル3は、下方へのみ液体を噴射し、洗浄槽2内の下端部に設けられる洗浄ノズル3は、上方へのみ液体を噴射し、上下両端部以外の洗浄ノズル3は、上下両方へ液体を噴射する。
【0026】
ところで、
図1において一点鎖線で示すように、洗浄槽2に対し洗浄ラック12を出し入れ可能としてもよい。図示例では、上下両端部に設けられる洗浄ノズル3は、洗浄槽2自体に設けられ、それ以外の洗浄ノズル3は、洗浄ラック12に設けられている。洗浄ラック12には、一側部に配水部材13が設けられており、その配水部材13に上下複数段に支持部材10が設けられ、各支持部材10に洗浄ノズル3が回転可能に保持されている。また、洗浄ラック12には、各洗浄ノズル3の上部と洗浄ラック12の下部とに、被洗浄物の載置棚が設けられている。洗浄槽2内に洗浄ラック12を格納すると、後述する循環ポンプ14からの配管が、配水部材13に接続される。
【0027】
洗浄槽2内の下部には、液貯留部4が連接されている。言い換えれば、洗浄槽2は、下部に液貯留部4を備える。本実施例では、洗浄槽2の下壁は、左右両端部が左右方向内側へ行くに従って下方へ傾斜する傾斜面2aに形成されると共に、前後両端部が前後方向内側へ行くに従って下方へ傾斜する傾斜面に形成されている。そして、洗浄槽2の左右方向中央部で且つ前後方向中央部には、下方へ略矩形状に凹んで凹部が形成されており、この凹部を含んだ形で、洗浄槽2内の下部が液貯留部4とされる。
【0028】
給水手段5は、給水路15を介して、液貯留部4に水を供給する。給水路15には、給水弁16が設けられている。給水弁16を開けることで、液貯留部4に給水することができる。図示例では、洗浄槽2に給水路15を接続することで、給水は洗浄槽2を介して液貯留部4に供給されるが、液貯留部4に給水路15を接続することで、給水は液貯留部4に直接に供給されてもよい。なお、給水手段5は、複数種の水(たとえば水道水、温水、膜濾過水など)から選択された水を供給可能に構成されてもよい。
【0029】
排水手段6は、液貯留部4から排水路17を介して水を排出する。排水路17には、排水弁18が設けられている。排水弁18を開けることで、洗浄槽2や液貯留部4から排水することができる。
【0030】
薬液供給手段7は、薬液タンク19から給液路20を介して、液貯留部4に薬液を供給する。給液路20には、薬液ポンプ21が設けられている。薬液ポンプ21を作動させることで、設定量の薬液を液貯留部4に供給することができる。図示例では、液貯留部4に給液路20を接続することで、薬液は液貯留部4に直接に供給されるが、洗浄槽2に給液路20を接続することで、薬液は洗浄槽2を介して液貯留部4に供給されてもよい。なお、薬液供給手段7は、複数種の薬液(たとえばアルカリ性洗剤、酵素配合洗剤、潤滑防錆剤、乾燥促進剤など)から選択された薬液を供給可能に構成されてもよい。
【0031】
循環手段8は、液貯留部4の液体を洗浄ノズル3へ循環供給する。具体的には、循環手段8は、循環配管22と循環ポンプ14とを備える。循環配管22は、液貯留部4から各洗浄ノズル3の支持部材10への配管であり、その途中に循環ポンプ14が設けられている。なお、図示例では、循環配管22の内、液貯留部4から循環ポンプ14への配管は、上流側において、排水路17と共通管路とされている。また、循環配管22の内、循環ポンプ14の出口側には、逆止弁23が設けられている。循環ポンプ14を作動させると、液貯留部4の液体を、循環配管22および支持部材10を介して洗浄ノズル3へ供給して噴射し、洗浄槽2内下部の液貯留部4へ戻すことができる。
【0032】
加熱手段9は、本実施例では、液貯留部4に設けられたヒータ24から構成される。ヒータ24は、図示例では電気ヒータであるが、場合により蒸気ヒータであってもよい。電気ヒータの場合、典型的にはオンオフ制御されるが、場合により出力を調整されてもよい。一方、蒸気ヒータの場合、蒸気管内に蒸気が供給可能とされ、蒸気の凝縮水は蒸気トラップを介して外部へ排出される。そして、給蒸路に設けた給蒸弁の開閉または開度が制御される。
【0033】
液貯留部4には、液位検出器25が設けられる。液位検出器25は、その構成を特に問わないが、たとえば、液貯留部4の底部に設置した圧力センサから構成される。この場合、液貯留部4や洗浄槽2内の液位に応じて、水圧が変わることを利用して液位を把握する。
【0034】
液貯留部4には、温度センサ26が設けられる。温度センサ26の検出温度に基づきヒータ24を制御することで、液貯留部4の貯留液の温度を調整することができる。
【0035】
その他、洗浄器1には、所望により、超音波振動子27が設けられる。図示例では、洗浄槽2の下部の左右の傾斜面2aに、それぞれ超音波振動子27が設けられている。超音波振動子27は、超音波発振器に接続されて、発振を制御される。
【0036】
制御手段は、前記各手段5〜9の他、液位検出器25および温度センサ26などに接続された制御器(図示省略)である。具体的には、給水弁16、排水弁18、薬液ポンプ21、循環ポンプ14、ヒータ24、超音波発振器、液位検出器25および温度センサ26などは、制御器に接続されている。そして、制御器は、所定の手順(プログラム)に従い、洗浄槽2内の被洗浄物の洗浄を図る。この際、少なくとも、次に述べるシャワー洗浄動作を実行可能とされる。
【0037】
シャワー洗浄動作では、液貯留部4内に液体を貯留し、その液体を循環手段8により洗浄ノズル3へ循環供給して、洗浄ノズル3から被洗浄物に噴射する。具体的には、まず、液位検出器25が設定水位を検出するまで、給水手段5により液貯留部4に給水する。また、必要に応じて、薬液供給手段7により液貯留部4に所望の薬液を投入する。薬液供給手段7による薬液は、給水手段5による給水に対し、設定濃度になるように設定量だけ投入される。さらに、同じく必要に応じて、加熱手段9により、液貯留部4内の貯留水を設定温度まで加熱する。薬液の投入や貯留水の加熱は、循環手段8の作動前に限らず、循環手段8の作動中に行ってもよい。いずれにしても、液貯留部4に所望量の液体を貯留した状態で、循環ポンプ14を作動させて、貯留液を循環配管22および支持部材10を介して洗浄ノズル3へ供給して噴射し、洗浄ノズル3を回転させながら被洗浄物を洗浄する。そして、各洗浄ノズル3から噴射された液体は、洗浄槽2下部の液貯留部4へ戻される。所定の終了条件(たとえば設定時間の経過)を満たすと、循環ポンプ14を停止して、液貯留部4内の液体を排水手段6により排出する。そして、所望により、このようなシャワー洗浄動作を繰り返して、被洗浄物を洗浄および濯ぎする。たとえば、薬液を投入しない常温水による予備洗浄、所望により洗剤を投入した温水による本洗浄(典型的には複数回)、所望により濯ぎ剤を投入した温水による濯ぎ洗浄(典型的には複数回)などが順次になされる。
【0038】
次に、本実施例の洗浄器1に用いられる洗浄ノズル3の具体例について説明する。
図2〜
図4は、本実施例の洗浄ノズル3の一例を示す概略図であり、
図2は平面図、
図3は正面図、
図4は一部を省略した斜視図である。以下において、洗浄ノズル3の長手方向とは、
図2における左右方向(長さ方向)であり、洗浄ノズル3の短手方向とは、
図2における上下方向(幅方向)である。
【0039】
洗浄ノズル3は、細長い中空部材から形成され、前述したとおり、長手方向中央部が支持部材10に、縦軸まわりに回転可能に(つまり水平方向に回転可能に)保持される。洗浄ノズル3には、ノズル孔11(丸孔11A,11A´,スリット孔11B)が形成される。このノズル孔11は、洗浄ノズル3の上下面、短手方向の側面、および長手方向の端面のいずれか一以上の面に形成される。この際、少なくとも一つのノズル孔11は、上下方向以外に(つまり真上および真下以外に)液体を噴出するよう形成される。これにより、そのノズル孔11からの噴流で、洗浄ノズル3を回転させることができる。
【0040】
本実施例では、洗浄ノズル3には、ノズル孔11として、長手方向に間隔をあけて複数の丸孔11Aが形成されると共に、長手方向中央部の側に、長手方向に沿ったスリット孔11Bが形成される。なお、洗浄ノズル3は、長手方向両端部が閉塞された筒材から形成される。この筒材の断面は、略楕円形状などでもよいが、本実施例では略矩形状とされる。この場合、洗浄ノズル3は、略矩形断面の長辺が水平に配置され、短辺が鉛直に配置される。そして、洗浄ノズル3には、典型的には、長手方向に沿って所定間隔で、丸孔11Aが形成される。一方、スリット孔11Bについては、丸孔11Aと所定間隔を保つ必要はない。
【0041】
図示例では、洗浄ノズル3の長手方向中央部を境に、洗浄ノズル3の長手方向一方(
図2の左半分)には、短手方向一側面に丸孔11Aが形成される一方、洗浄ノズル3の長手方向他方(
図2の右半分)には、短手方向他側面に丸孔11Aが形成される。この際、洗浄ノズル3の中心(長手方向中央部で且つ短手方向中央部)を境に、点対称となるように、同一の形状および大きさの丸孔11Aが、所定間隔で形成されるのがよい。また、図示例では、洗浄ノズル3の長手方向両端面にも、丸孔11A´が形成されている。
【0042】
洗浄ノズル3は、短手方向の側面や長手方向の端面が、鉛直面(洗浄ノズル3の上下面に対し垂直な面)であってもよいが、図示例では傾斜面3a,3bに形成されている。そして、その傾斜面3a,3bに、ノズル孔11としての丸孔11A,11A´が形成されている。具体的には、洗浄ノズル3の短手方向両端部には、短手方向外側へ行くに従って上下方向内側へ傾斜する傾斜面3aが形成されており、その傾斜面3aに丸孔11Aが形成されている。また、洗浄ノズル3の長手方向両端部には、長手方向外側へ行くに従って上下方向内側へ傾斜する傾斜面3bが形成されており、その傾斜面3bに丸孔11A´が形成されている。各丸孔11A,11A´は、各傾斜面3a,3bに対して垂直に開けられている。
【0043】
洗浄ノズル3には、ノズル孔11として、上述した丸孔11A,11A´以外に、長手方向中央部の側にスリット孔11Bが形成される。具体的には、洗浄ノズル3には、長手方向中央部から所定範囲内にスリット孔11B(好ましくは一つのスリット孔11B)が形成され、この所定範囲とは、好ましくは、洗浄ノズル3の長手方向中央部から外端部までの距離の1/3〜1/4の領域とされる。
【0044】
スリット孔11Bは、図示例では、洗浄ノズル3の上面および/または下面に設けられるが、場合により短手方向の側面に設けられてもよい。また、スリット孔11Bは、洗浄ノズル3の長手方向中央部を境に、少なくとも片側に設けられる。図示例では、
図2に示すように、洗浄ノズル3の長手方向一方にのみ設けられるが、長手方向他方にも同様に(つまり左右対称に)設けられてもよい。
【0045】
前述したとおり、洗浄ノズル3には、長手方向に間隔をあけて複数の丸孔11Aが形成されるが、その内、最も内側(洗浄ノズル3の長手方向中央部に近い側)の丸孔11Aよりも、内側にスリット孔11Bを形成するのが好ましい。言い換えれば、洗浄ノズル3の長手方向中央部の側にスリット孔11Bを形成し、それよりも外側に丸孔11A,11A´を形成するのが好ましい。いずれにしても、典型的には、各丸孔11A,11A´は、互いに同一の大きさとされ、スリット孔11Bの断面積は、丸孔11A,11A´の断面積よりも小さく形成される。また、スリット孔11Bは、その長手方向を、洗浄ノズル3の長手方向へ沿って形成されるのが好ましい。
【0046】
なお、洗浄槽2内に上下複数段に設けられる洗浄ノズル3の内、最上段の洗浄ノズル3には、上方へ液体を噴射するノズル孔11の形成を省略することができる。同様に、最下段の洗浄ノズル3には、下方へ液体を噴射するノズル孔11の形成を省略することができる。
【0047】
本実施例の洗浄ノズル3によれば、長手方向中央部の側のノズル孔11をスリット孔11Bとすることで、洗浄ノズル3の回転の中心部の側での液体の噴射流量を抑えて、その他のノズル孔11(丸孔11A,11A´)からの噴射に回すことができる。しかも、スリット孔11Bは、洗浄ノズル3の上面および/または下面において、洗浄ノズル3の長手方向に沿って形成されているので、スリット孔11Bから扇形に噴射することができ、小流量でも広範囲の洗浄が可能となる。このようにして、洗浄ノズル3の位置に依らず、被洗浄物全体をバラつきなく洗浄することができる。
【0048】
本発明の洗浄器1は、前記実施例の構成に限らず適宜変更可能である。特に、洗浄ノズル3は、長手方向中央部が支持部材10に、縦軸まわりに回転可能に保持され、洗浄ノズル3には、ノズル孔11として、長手方向に間隔をあけて複数の孔(たとえば丸孔11A,11A´)が形成されると共に、長手方向中央部の側に、長手方向に沿ったスリット孔11Bが形成されるのであれば、その他の構成は適宜に変更可能である。
【0049】
たとえば、各ノズル孔11の断面積を比較したときに、洗浄ノズル3の長手方向中央部の側に形成されるスリット孔11Bの大きさを最も小さくしつつ、それ以外のノズル孔11として、場合により丸孔11A,11A´に代えて(または加えて)、他の形状の孔を形成してもよい。つまり、洗浄ノズル3には、ノズル孔11として、長手方向に間隔をあけて複数の孔が形成されると共に、長手方向中央部の側に、長手方向に沿ったスリット孔11Bが形成されており、このスリット孔11Bの断面積が、前記複数の孔のそれぞれの断面積よりも小さいのであれば、スリット孔11B以外の孔の形状は特に問わない。
【0050】
また、前記実施例では、ノズル孔11の内、複数の丸孔11Aは、洗浄ノズル3の長手方向に整列して形成したが、必ずしも一列に整列させる必要はない。また、丸孔11Aの形成間隔を一定間隔以外としたり、丸孔11A同士の直径を変えたりしてもよい。さらに、場合により、丸孔11Aは、洗浄ノズル3の短手方向の側面に代えて(またはその側面に加えて)、洗浄ノズル3の上下面などに適宜形成されてもよいことは前述したとおりである。
【0051】
さらに、前記実施例において、洗浄後の被洗浄物を乾燥可能に、送風機をさらに備えてもよい。この場合、洗浄後の濡れた被洗浄物は、洗浄槽2へ供給される温風により乾燥を図られる。
【符号の説明】
【0052】
1 洗浄器
2 洗浄槽(2a:傾斜面)
3 洗浄ノズル(3a,3b:傾斜面)
4 液貯留部
5 給水手段
6 排水手段
7 薬液供給手段
8 循環手段
9 加熱手段
10 支持部材
11 ノズル孔(11A:丸孔、11B:スリット孔)
12 洗浄ラック
13 配水部材
14 循環ポンプ
15 給水路
16 給水弁
17 排水路
18 排水弁
19 薬液タンク
20 給液路
21 薬液ポンプ
22 循環配管
23 逆止弁
24 ヒータ
25 液位検出器
26 温度センサ
27 超音波振動子
【手続補正書】
【提出日】2018年2月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物が収容される洗浄槽と、
この洗浄槽内に支持部材を介して保持され、前記支持部材を介して供給される液体を噴射させるノズル孔が形成された洗浄ノズルとを備え、
前記洗浄ノズルは、長手方向中央部が前記支持部材に、縦軸まわりに回転可能に保持され、
前記洗浄ノズルには、前記ノズル孔として、長手方向に間隔をあけて複数の丸孔が形成されると共に、長手方向中央部の側に、長手方向に沿ったスリット孔が形成されている
ことを特徴とする洗浄器。
【請求項2】
前記洗浄ノズルには、長手方向中央部から外端部までの距離の1/3〜1/4の領域に、前記スリット孔が形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の洗浄器。
【請求項3】
前記洗浄ノズルの長手方向中央部を境に、前記洗浄ノズルの長手方向一方には、短手方向一側面に前記丸孔が形成される一方、前記洗浄ノズルの長手方向他方には、短手方向他側面に前記丸孔が形成され、
前記洗浄ノズルの長手方向一方および/または他方には、上面および/または下面に前記スリット孔が形成されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の洗浄器。
【請求項4】
被洗浄物が収容される洗浄槽と、
この洗浄槽内に支持部材を介して保持され、前記支持部材を介して供給される液体を噴射させるノズル孔が形成された洗浄ノズルとを備え、
前記洗浄ノズルは、長手方向中央部が前記支持部材に、縦軸まわりに回転可能に保持され、
前記洗浄ノズルには、前記ノズル孔として、長手方向に間隔をあけて複数の孔が形成されると共に、長手方向中央部の側に、長手方向に沿ったスリット孔が形成されており、
前記スリット孔の断面積は、前記複数の孔のそれぞれの断面積よりも小さい
ことを特徴とする洗浄器。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
請求項3に記載の発明は、前記洗浄ノズルの長手方向中央部を境に、前記洗浄ノズルの長手方向一方には、短手方向一側面に前記丸孔が形成される一方、前記洗浄ノズルの長手方向他方には、短手方向他側面に前記丸孔が形成され、前記洗浄ノズルの長手方向一方および/
または他方には、上面および/または下面に前記スリット孔が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の洗浄器である。