(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-202323(P2018-202323A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】タービンバイブレータ
(51)【国際特許分類】
B06B 1/18 20060101AFI20181130BHJP
【FI】
B06B1/18 K
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-110605(P2017-110605)
(22)【出願日】2017年6月5日
(11)【特許番号】特許第6388984号(P6388984)
(45)【特許公報発行日】2018年9月12日
(71)【出願人】
【識別番号】391040397
【氏名又は名称】エクセン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001391
【氏名又は名称】特許業務法人レガート知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】高山 公一
(72)【発明者】
【氏名】全 致男
【テーマコード(参考)】
5D107
【Fターム(参考)】
5D107AA03
5D107BB06
5D107EE03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】偏心ローター側壁とローター室の内側壁との隙間に漏れ出る空気を可及的に少なくできるようにすることで、効率的に空気流の圧力を偏心ローターの運動エネルギーに変換できるタービンバイブレータを得る。
【解決手段】タービンバイブレータ1は、ローター室内に圧縮空気を送り込む送気口と、ローター室内の空気を外部に排出する排気口を備えたハウジングのローター室内に偏心ローターが軸受け221a,221bを介して回転可能に取り付けられ、送気口からローター室内に圧縮空気を送り込んで偏心ローターを回転させることにより振動を発生させる。偏心ローターの側壁には凸条45a,45b又は凹溝を形成し、ローター室の内側壁には偏心ローター側壁に形成された凸条又は凹溝と僅かな隙間を介して非接触状態で嵌合する凹溝222a,222b又は凸条を形成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローター室と、前記ローター室内に圧縮空気を送り込む送気口と、前記ローター室内の空気を外部に排出する排気口とを備えたハウジングの前記ローター室内に、偏心ローターが軸受けを介して回転可能に取り付けられ、前記送気口から前記ローター室内に圧縮空気を送り込んで前記偏心ローターを回転させることにより振動を発生させるタービンバイブレータにおいて、
前記偏心ローターの側壁には凸条又は凹溝が形成され、
前記ローター室の内側壁には前記偏心ローター側壁に形成された凸条又は凹溝と僅かな隙間を介して非接触状態で嵌合する凹溝又は凸条が形成された、
タービンバイブレータ。
【請求項2】
非接触状態で嵌合する偏心ローター側壁の凸条又は凹溝とローター室内側壁の凹溝又は凸条との間の僅かな隙間は、外側の隙間よりも内側の隙間が広くなるようにした、請求項1記載のタービンバイブレータ。
【請求項3】
偏心ローター側壁に形成される凸条又は凹溝又は、前記偏心ローターの周縁近傍に形成された、請求項1又は2記載のタービンバイブレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、粉粒体の詰まりや付着を防止するためにホッパーやシュートなどに取り付けて使用されるタービンバイブレータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
タービンバイブレータは、ローター室と、このローター室内に圧縮空気を送り込む送気口と、前記ローター室内の空気を外部に排出する排気口とを備えたハウジングの前記ローター室内に偏心ローターを軸受けを介して回転可能に取り付け、前記送気口から前記ローター室内に圧縮空気を送り込んで前記偏心ローターを回転させた時に生じる遠心力により振動を発生させるものである。
【0003】
ここで、ローター室内に取り付けられた偏心ローターを効率的に回転させるためには、ローター室内に送り込まれる圧縮空気の圧力をいかに効率的に偏心ローターに伝達して運動エネルギーに変換できるかが重要となる。
【0004】
かかる点に着目し、ローター室内に送り込まれる圧縮空気の圧力を効率的に偏心ローターの運動エネルギーに変換できるようにしたタービンバイブレータが、特開2001−246326号公報に開示されている。
すなわち、このタービンバイブレータは、偏心ローターの中心軸をハウジング内部に設けられた円筒形状作動空間(ローター室)の中心軸に対して左下方(流入チャンネル(送気口)が設けられた側の下方)にずらした状態で取り付けることにより、偏心ローターの外周面と作動空間(ローター室)の内周壁との間に流れる空気流の断面を、流入チャンネルから最も狭い断面まで流れの方向に継続して減少させた後、流出チャンネルまで継続して増加させ、これにより、偏心ローターと作動空間(ローター室)の内周壁との間を流れる空気流速度を増加させて、空気流の圧力を効率的に偏心ローターの運動エネルギーに変換している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−246326号公報
【0006】
ところで、通常のタービンバイブレータは、偏心ローターがローター室内で回転できるようにするために、ローター室の内側壁と偏心ローター側壁とが非接触状態でローター室に取り付けられていなければならず、ローター室の内側壁と偏心ローター側壁との間にはどうしても隙間が存在することとなる。そのため、流入チャンネル(送気口)からローター室内に流入した圧縮空気は、その一部がローター室の内側壁と偏心ローター側壁との隙間に逃げてしまい、ローター室内に送り込まれる圧縮空気の圧力を偏心ローターの運動エネルギーに変換する際の効率が落ちてしまうという問題がある。
特開2001−246326号公報に開示されたタービンバイブレータにあっても、偏心ローター側壁とローター室の内側壁との隙間に逃げ込んでしまう空気については何ら考慮がなされていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、偏心ローター側壁とローター室の内側壁との隙間に漏れ出る空気を可及的に少なくできるようにすることで、効率的に空気流の圧力を偏心ローターの運動エネルギーに変換できるタービンバイブレータを得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のタービンバイブレータは、ローター室と、前記ローター室内に圧縮空気を送り込む送気口と、前記ローター室内の空気を外部に排出する排気口とを備えたハウジングの前記ローター室内に、偏心ローターが軸受けを介して回転可能に取り付けられ、前記送気口から前記ローター室内に圧縮空気を送り込んで前記偏心ローターを回転させることにより振動を発生させるタービンバイブレータにおいて、前記偏心ローターの側壁には凸条又は凹溝を形成し、前記ローター室の内側壁には前記偏心ローター側壁に形成された凸条又は凹溝と僅かな隙間を介して非接触状態で嵌合する凹溝又は凸条を形成して構成する。
【0009】
前記偏心ローターの側壁に形成される凸条又は凹溝と、前記ローター室の内側壁に設けられ前記偏心ローター側壁に形成された凸条又は凹溝と僅かな隙間を介して非接触状態で嵌合する凹溝又は凸条は、前記偏心ローターの側壁に凸条を形成した場合には、前記ローター室の内側壁に前記偏心ローター側壁の凸条と僅かな隙間を介して非接触状態で嵌合する凹溝を形成し、前記偏心ローターの側壁に凹溝を形成した場合には、前記ローター室の内側壁に前記偏心ローター側壁の凹溝と僅かな隙間を介して非接触状態で嵌合する凸条を形成して構成する。
【0010】
請求項2の発明は、非接触状態で嵌合する偏心ローター側壁の凸条又は凹溝とローター室内側壁の凹溝又は凸条との間の僅かな隙間は、外側の隙間よりも内側の隙間が広くなるようしたことを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、前記偏心ローター側壁に形成される凸条又は凹溝は、前記偏心ローターの周縁近傍に形成したことを特徴とする。
【0012】
また、前記偏心ローターの側壁に形成される凸条又は凹溝及び前記ローター室内側壁に形成され前記偏心ローター側壁の凸条又は凹溝と非接触状態で嵌合する凹溝又は凸条は、複数設けることもできる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、ローター室と、前記ローター室内に圧縮空気を送り込む送気口と、前記ローター室内の空気を外部に排出する排気口とを備えたハウジングの前記ローター室内に偏心ローターが軸受けを介して回転可能に取り付けられ、前記送気口から前記ローター室内に圧縮空気を送り込んで前記偏心ローターを回転させることにより振動を発生させるタービンバイブレータにおいて、前記偏心ローターの側壁に凸条又は凹溝を形成し、前記ローター室の内側壁に前記偏心ローター側壁に形成された凸条又は凹溝と非接触状態で嵌合する凹溝又は凸条を形成したので、送気口からローター室内に送り込まれた圧縮空気が偏心ローター側壁とローター室の内側壁との間の隙間に漏れ出ることを可及的に防止することができる。
【0014】
すなわち、偏心ローターの側壁に凸条を形成し、ローター室の内側壁に偏心ローター側壁に形成された凸条と非接触状態で嵌合する凹溝を形成した場合には、偏心ローター側壁とローター室の内側壁との間の僅かな隙間に流れ込もうとする圧縮空気は、その流れが、偏心ローター側壁の凸条の外側面に当たってローター室の内側壁方向へ、次いでローター室内側壁の凹溝の底面に当たって回転軸方向へ、さらに凹溝の内側面に当たって偏心ローター方向へと連続的かつ急激に変えられるため、次第にその圧力が低下し、偏心ローター側壁とローター室の内側壁との隙間に空気が流れにくくなる。
【0015】
また、偏心ローターの側壁に凹溝を形成し、ローター室の内側壁に偏心ローター側壁に形成された凹溝と非接触状態で嵌合する凸条を形成した場合には、偏心ローター側壁とローター室の内側壁との間の僅かな隙間に流れ込む圧縮空気は、その流れが、ローター室内側壁の凸条の外側面に当たって偏心ローター側壁方向へ、次いで偏心ローター側壁の凹溝の底面に当たって回転軸方向へ、さらに凹溝の内側面に当たってローター室内側壁方向へと連続的かつ急激に変えられるため、次第にその圧力が低下し、偏心ローター側壁とローター室の内側壁との隙間に空気が流れにくくなる。
【0016】
これにより、偏心ローター側壁とローター室の内側壁との隙間に圧縮空気が漏れ出てしまうことを可及的に防止することができ、効率的に空気流の圧力を偏心ローターの運動エネルギーに変換できる。
【0017】
また、請求項2の発明によれば、偏心ローター側壁に形成される凸条又は凹溝又を偏心ローターの周縁近傍に形成したので、偏心ローター側壁とローター室の内側壁との隙間への圧縮空気の漏出を偏心ローターの周縁近傍で防ぐことができ、より効率的に空気流の圧力を偏心ローターの運動エネルギーに変換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】この発明の実施例のタービンバイブレータの概要を示す横断面図
【
図3】同じく凸条と凹溝の非接触嵌合部(
図1のA部分)の拡大図
【
図5】この発明の実施例の変形例における凹溝と凸条の非接触嵌合部の拡大図
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1はこの発明の実施例のタービンバイブレータの概要を示す横断面図、
図2は同じくハウジング部分を縦方向に切断して偏心ローターを露出させた状態の図である。
【0020】
タービンバイブレータ1は、ハウジング2の内部に形成されたローター室3に偏心ローター4を回転可能に取り付けて構成されている。
ハウジング2は、略円筒形状の貫通孔が横向きに形成されたハウジングベース21の貫通孔の両開口部にサイドカバー22a,22bを取り付け、その内部に横向き円筒形状のローター室3を備えたものとして構成されている。
なお、本実施例において、ハウジング2は、貫通孔が横向きに形成されたハウジングベース21の貫通孔の両開口部にサイドカバー22a,22bを取り付けて構成したが、ハウジングベース21とサイドカバー22a又は22bの何れか一方を予め一体的に成型してハウジングベースを円筒状の凹陥部を備えたものとし、その開口部にサイドカバー22b又は22aの何れかを取り付けて構成することもできる。
【0021】
ハウジング2のハウジングベース21には、ローター室3内に圧縮空気を送り込むための送気口211と、ローター室3内の空気を外部に排出するための排気口212とが、それぞれローター室3に連通して設けられており、送気口211は、ローター室3内に送り込まれる空気の圧力を高めるために、ローター室3と連通する側の径が小さくなるように、漏斗状に形成されている。
また、ハウジング2のサイドカバー22a,22bのローター室3側には、軸受けであるボールベアリング221a、221bがそれぞれ装着されている。
【0022】
ローター室3の内部には、ローター室3の直径よりも僅かに小さな直径をした横向き円筒形状のローター4が、その中心軸41の両端をボールベアリング221a,221bに軸止することによって回転可能に取り付けられている。
ローター4は、その外周に送気口211から送り込まれる圧縮空気を受けるための歯車状の羽根42を備えており、ボディ部には5つの貫通孔43aないし43eが設けられている。この5つの貫通孔のうち一の貫通孔43eにウェイト44が充填されており、これにより、ローター4は重心が貫通孔43e側に偏心した偏心ローターとして構成されている。本実施例においては、ウェイト44を貫通孔43eにのみ充填しているが、他の貫通孔にも追加的に充填してローター4の偏心バランスを変えることで、発生させる振動の周波数を変えることもできる。
そして、ローター4の両側壁の周縁部近傍には、凸条45a,45bがそれぞれローター軸41を中心として環状に形成されている。
【0023】
他方、サイドカバー22a,22bのローター4周縁部近傍と対向する位置には、環状の凹溝222a,222bが形成されており、それぞれローター4の環状凸条45a,45bと僅かな隙間を介して非接触状態で嵌合されている。
【0024】
図3は、ローター4の側壁に形成された凸条45a,45bとローター室3の内側壁に形成された凹溝222a,222bとの非接触嵌合部の拡大図である。
凸条45aと凹溝222a及び凸条45bと凹溝222bとは、それぞれ
図3に示すように僅かな隙間を介して非接触状態で嵌合しているが、その隙間の幅は、凸条45a,45bの外側面と凹溝222a,222bの外側面との隙間C1よりも、凸条45a,45bの内側面と凹溝222a,222bの内側面との隙間C2の方が広くなるように設けてある。
このように、隙間C1よりも内側の隙間C2の方を広くすると、隙間C1を通過してくる圧縮空気が急激に減速して隙間C2の圧力が上昇する。これにより隙間C2内への空気の進入を抑えることができる。
【0025】
図4は、この発明の効果を説明する図である。
ハウジングベース21の送気口211から圧縮空気がローター室3内に送り込まれると、圧縮空気はローター4の羽根42に当たってローターを回転させながら、ローター室3の外周に沿って流れ、排気口212から外部に排出される。このとき、ローター4の羽根42に当たった圧縮空気の一部は、羽根42の表面形状に沿ってローター4の両側壁方向に向かい、ローター4の両側壁とローター室3の内側壁となるサイドカバー22a,22bのローター室3側の壁面との間にできた僅かな隙間に逃げ込もうとする。
【0026】
ここで、ローター4の両側壁の周縁部近傍にはローター4の回転軸41を中心とする環状の凸条45a,45bがそれぞれ形成され、この凸条45a,45bと対向するローター室3の内側壁であるサイトカバー22a,22bのローター室3側には環状の凹溝222a,222bがそれぞれ形成され、凸条45aは凹溝222aと、凸条45bは凹溝222bと、それぞれ僅かな隙間を介して非接触状態で嵌合しているので、ローター4の両側壁とローター室3の内側壁となるサイドカバー22a,22bのローター室3側の壁面との間にできた僅かな隙間に逃げ込もうとする圧縮空気は、偏心ローター4の凸条45a,46bの外側面に当たってローター室3の内側壁方向へ、次いでローター室3内側壁の凹溝222a,222bの底面に当たって回転軸41方向へ、さらに凹溝222a,222bの内側面に当たって偏心ローター4方向へと連続的かつ急激に変えられ、その抵抗により次第に空気の圧力が低下し、偏心ローター4側壁とローター室3の内側壁との隙間に空気が流れにくくなる。
加えて、凸条45a,45bの外側面と凹溝222a,222bの外側面との隙間C1よりも、凸条45a,45bの内側面と凹溝222a,222bの内側面との隙間C2が広くなるように凸条45a,45bと凹溝222a,222bとを非接触状態で嵌合してあるので、隙間C1を通過してくる圧縮空気が急激に減速して隙間C2内の圧力が上昇し、隙間C2内への空気の進入を一層抑えることができる。
これにより、偏心ローター4の側壁とローター室3の内側壁との隙間に逃げ込んでしまう圧縮空気の量を減らして偏心ローター4の回転に用いられる圧縮空気の量を増大させることができ、効率的に空気流の圧力を偏心ローター4の運動エネルギーに変換することができる。
【0027】
図5は、上記実施例の変形例であり、ローター4の側壁に凹溝46a,46bを形成し、ローター室3の内側壁に凹溝46a,46bと隙間を介して非接触状態で嵌合させた場合における非接触嵌合部の拡大図である。
ローター4の両側壁の周縁部近傍にそれぞれローター軸41を中心とする環状の凹溝46a,46bが形成され、サイドカバー22a,22bのローター4周縁部近傍と対向する位置には環状の凸条223a,223bが形成され、この凸条223a,223bがそれぞれローター4の環状凹溝46a,46bと僅かな隙間を介して非接触状態で嵌合されている点以外は、上記実施例と同じ構成である。この変形例においても、凹溝46aと凸条223a及び凹溝46bと凸条223bとの間の僅かな隙間は、凹溝46a,46bの外側面と凸条223a,223bの外側面との隙間C1よりも、凹溝46a,46bの内側面と凸条223a,223bの内側面との隙間C2の方が広くなるように設けてある。
【0028】
図6は、この変形例の効果を説明する図である。
ローター4の両側壁の周縁部近傍にはローター4の回転軸41を中心とする環状の凹溝46a,46bがそれぞれ形成され、この凹溝46a,46bと対向するローター室3の内側壁であるサイトカバー22a,22bのローター室3側には環状の凸条223a,224bがそれぞれ形成され、凹溝46aは凸条223aと、凹溝46bは凸条223bと、それぞれ僅かな隙間を介して非接触状態で嵌合しているので、ローター4の両側壁とローター室3の内側壁となるサイドカバー22a,22bのローター室3側の壁面との間にできた僅かな隙間に逃げ込もうとする圧縮空気は、凸条223a,223bの外側面に当たってローター4方向へ、次いで偏心ローター4の凹溝46a,46bの底面に当たって回転軸41方向へ、さらに凹溝46a,46bの内側面に当たってローター室3の内側壁方向へと連続的かつ急激に変えられ、その抵抗により次第に空気の圧力が低下し、偏心ローター4側壁とローター室3の内側壁との隙間に空気が流れにくくなる。
加えて、凹溝46a,46bの外側面と凸条223a,223bの外側面との隙間C1よりも、凹溝46a,46bの内側面と凸条223a,223bの内側面との隙間C2が広くなるように凹溝46a,46bと凸条223a,223bとを非接触状態で嵌合してあるので、隙間C1を通過してくる圧縮空気が急激に減速することで隙間C2内の圧力が上昇し、隙間C2内への空気の進入を一層抑えることができる。
これにより、偏心ローター4の側壁とローター室3の内側壁との隙間に逃げ込んでしまう圧縮空気の量を減らして偏心ローター4の回転に用いられる圧縮空気の量を増大させることができ、効率的に空気流の圧力を偏心ローター4の運動エネルギーに変換することができる。
【0029】
上記実施例及び変形例において、偏心ローター4の側壁に形成される凸条45a,45bとローター室3の内側壁に形成される凹溝222a,222b、あるいは、偏心ローター4の側壁に形成される凹溝46a,46bとローター室3の内側壁に形成される凸条223a,223bは、何れも偏心ローター4の両側に左右対称に設けたものとしてあるが、非接触状態で嵌合する凸条及び凹溝の組み合わせを偏心ローター4の両側において異なる組み合わせ、すなわち、偏心ローター4の側壁の一側に凸条45a、他側に凹溝46bを設け、ローター室3の内側壁の一側に凹溝222a、他側に凸条223bを設けたものとして構成することもできる。
さらには、非接触状態で嵌合する凸条及び凹溝の組み合わせを偏心ローター4の両側に同心円状に複数段設けることもでき、この場合、非接触状態で嵌合する凸条及び凹溝によるシール効果が高まり、偏心ローター4の側壁とローター室3の内側壁との隙間への空気の漏れを一層効果的に防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
この発明は、粉粒体の詰まりや付着を防止するためにホッパーやシュートなどに取り付けて使用されるタービンバイブレータに関するものであり、産業上の利用可能性を有するものである。
【符号の説明】
【0031】
1 タービンバイブレータ
2 ハウジング
21 ハウジングベース
211 送気口
212 排気口
22a,22b サイドカバー
221a,221b ボールベアリング
222a,222b 凹溝
223a,223b 凸条
3 ローター室
4 偏心ローター
41 中心軸
42 羽根
43a〜43e 貫通孔
44 ウェイト
45a,45b 凸条
46a,46b 凹溝
C1 凸条外側面と凹溝外側面との隙間
C2 凸条内側面と凹溝内側面との隙間
【手続補正書】
【提出日】2018年4月20日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローター室と、前記ローター室内に圧縮空気を送り込む送気口と、前記ローター室内の空気を外部に排出する排気口とを備えたハウジングの前記ローター室内に、偏心ローターが軸受けを介して回転可能に取り付けられ、前記送気口から前記ローター室内に圧縮空気を送り込んで前記偏心ローターを回転させることにより振動を発生させるタービンバイブレータにおいて、
前記偏心ローターの側壁には凸条又は凹溝が形成され、
前記ローター室の内側壁には前記偏心ローター側壁に形成された凸条又は凹溝と僅かな隙間を介して非接触状態で嵌合する凹溝又は凸条が形成され、
前記非接触状態で嵌合する偏心ローター側壁の凸条又は凹溝とローター室内側壁の凹溝又は凸条との間の僅かな隙間は、外側の隙間よりも内側の隙間が広くなるようにした、
タービンバイブレータ。
【請求項2】
偏心ローター側壁に形成される凸条又は凹溝又は、前記偏心ローターの周縁近傍に形成された、請求項1記載のタービンバイブレータ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、粉粒体の詰まりや付着を防止するためにホッパーやシュートなどに取り付けて使用されるタービンバイブレータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
タービンバイブレータは、ローター室と、このローター室内に圧縮空気を送り込む送気口と、前記ローター室内の空気を外部に排出する排気口とを備えたハウジングの前記ローター室内に偏心ローターを軸受けを介して回転可能に取り付け、前記送気口から前記ローター室内に圧縮空気を送り込んで前記偏心ローターを回転させた時に生じる遠心力により振動を発生させるものである。
【0003】
ここで、ローター室内に取り付けられた偏心ローターを効率的に回転させるためには、ローター室内に送り込まれる圧縮空気の圧力をいかに効率的に偏心ローターに伝達して運動エネルギーに変換できるかが重要となる。
【0004】
かかる点に着目し、ローター室内に送り込まれる圧縮空気の圧力を効率的に偏心ローターの運動エネルギーに変換できるようにしたタービンバイブレータが、特開2001−246326号公報に開示されている。
すなわち、このタービンバイブレータは、偏心ローターの中心軸をハウジング内部に設けられた円筒形状作動空間(ローター室)の中心軸に対して左下方(流入チャンネル(送気口)が設けられた側の下方)にずらした状態で取り付けることにより、偏心ローターの外周面と作動空間(ローター室)の内周壁との間に流れる空気流の断面を、流入チャンネルから最も狭い断面まで流れの方向に継続して減少させた後、流出チャンネルまで継続して増加させ、これにより、偏心ローターと作動空間(ローター室)の内周壁との間を流れる空気流速度を増加させて、空気流の圧力を効率的に偏心ローターの運動エネルギーに変換している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−246326号公報
【0006】
ところで、通常のタービンバイブレータは、偏心ローターがローター室内で回転できるようにするために、ローター室の内側壁と偏心ローター側壁とが非接触状態でローター室に取り付けられていなければならず、ローター室の内側壁と偏心ローター側壁との間にはどうしても隙間が存在することとなる。そのため、流入チャンネル(送気口)からローター室内に流入した圧縮空気は、その一部がローター室の内側壁と偏心ローター側壁との隙間に逃げてしまい、ローター室内に送り込まれる圧縮空気の圧力を偏心ローターの運動エネルギーに変換する際の効率が落ちてしまうという問題がある。
特開2001−246326号公報に開示されたタービンバイブレータにあっても、偏心ローター側壁とローター室の内側壁との隙間に逃げ込んでしまう空気については何ら考慮がなされていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、偏心ローター側壁とローター室の内側壁との隙間に漏れ出る空気を可及的に少なくできるようにすることで、効率的に空気流の圧力を偏心ローターの運動エネルギーに変換できるタービンバイブレータを得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のタービンバイブレータは、ローター室と、前記ローター室内に圧縮空気を送り込む送気口と、前記ローター室内の空気を外部に排出する排気口とを備えたハウジングの前記ローター室内に、偏心ローターが軸受けを介して回転可能に取り付けられ、前記送気口から前記ローター室内に圧縮空気を送り込んで前記偏心ローターを回転させることにより振動を発生させるタービンバイブレータにおいて、前記偏心ローターの側壁には凸条又は凹溝を形成し、前記ローター室の内側壁には前記偏心ローター側壁に形成された凸条又は凹溝と僅かな隙間を介して非接触状態で嵌合する凹溝又は凸条を形成し、
前記非接触状態で嵌合する偏心ローター側壁の凸条又は凹溝とローター室内側壁の凹溝又は凸条との間の僅かな隙間は、外側の隙間よりも内側の隙間が広くなるようにして構成する。
【0009】
前記偏心ローターの側壁に形成される凸条又は凹溝と、前記ローター室の内側壁に設けられ前記偏心ローター側壁に形成された凸条又は凹溝と僅かな隙間を介して非接触状態で嵌合する凹溝又は凸条は、前記偏心ローターの側壁に凸条を形成した場合には、前記ローター室の内側壁に前記偏心ローター側壁の凸条と僅かな隙間を介して非接触状態で嵌合する凹溝を形成し、前記偏心ローターの側壁に凹溝を形成した場合には、前記ローター室の内側壁に前記偏心ローター側壁の凹溝と僅かな隙間を介して非接触状態で嵌合する凸条を形成して構成する。
【0010】
請求項
2の発明は、前記偏心ローター側壁に形成される凸条又は凹溝は、前記偏心ローターの周縁近傍に形成したことを特徴とする。
【0011】
また、前記偏心ローターの側壁に形成される凸条又は凹溝及び前記ローター室内側壁に形成され前記偏心ローター側壁の凸条又は凹溝と非接触状態で嵌合する凹溝又は凸条は、複数設けることもできる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、ローター室と、前記ローター室内に圧縮空気を送り込む送気口と、前記ローター室内の空気を外部に排出する排気口とを備えたハウジングの前記ローター室内に偏心ローターが軸受けを介して回転可能に取り付けられ、前記送気口から前記ローター室内に圧縮空気を送り込んで前記偏心ローターを回転させることにより振動を発生させるタービンバイブレータにおいて、前記偏心ローターの側壁に凸条又は凹溝を形成し、前記ローター室の内側壁に前記偏心ローター側壁に形成された凸条又は凹溝と非接触状態で嵌合する凹溝又は凸条を形成したので、送気口からローター室内に送り込まれた圧縮空気が偏心ローター側壁とローター室の内側壁との間の隙間に漏れ出ることを可及的に防止することができる。
【0013】
すなわち、偏心ローターの側壁に凸条を形成し、ローター室の内側壁に偏心ローター側壁に形成された凸条と非接触状態で嵌合する凹溝を形成した場合には、偏心ローター側壁とローター室の内側壁との間の僅かな隙間に流れ込もうとする圧縮空気は、その流れが、偏心ローター側壁の凸条の外側面に当たってローター室の内側壁方向へ、次いでローター室内側壁の凹溝の底面に当たって回転軸方向へ、さらに凹溝の内側面に当たって偏心ローター方向へと連続的かつ急激に変えられるため、次第にその圧力が低下し、偏心ローター側壁とローター室の内側壁との隙間に空気が流れにくくなる。
【0014】
また、偏心ローターの側壁に凹溝を形成し、ローター室の内側壁に偏心ローター側壁に形成された凹溝と非接触状態で嵌合する凸条を形成した場合には、偏心ローター側壁とローター室の内側壁との間の僅かな隙間に流れ込む圧縮空気は、その流れが、ローター室内側壁の凸条の外側面に当たって偏心ローター側壁方向へ、次いで偏心ローター側壁の凹溝の底面に当たって回転軸方向へ、さらに凹溝の内側面に当たってローター室内側壁方向へと連続的かつ急激に変えられるため、次第にその圧力が低下し、偏心ローター側壁とローター室の内側壁との隙間に空気が流れにくくなる。
【0015】
これにより、偏心ローター側壁とローター室の内側壁との隙間に圧縮空気が漏れ出てしまうことを可及的に防止することができ、効率的に空気流の圧力を偏心ローターの運動エネルギーに変換できる。
【0016】
そして、非接触状態で嵌合する偏心ローター側壁の凸条又は凹溝とローター室内側壁の凹溝又は凸条との間の僅かな隙間は、外側の隙間よりも内側の隙間が広くなるように設けてあるので、外側の隙間を通過してくる圧縮空気が急激に減速して内側の隙間の圧力が上昇し、これにより内側の隙間内への空気の進入を抑えることができる。
【0017】
また、請求項2の発明によれば、偏心ローター側壁に形成される凸条又は凹溝又を偏心ローターの周縁近傍に形成したので、偏心ローター側壁とローター室の内側壁との隙間への圧縮空気の漏出を偏心ローターの周縁近傍で防ぐことができ、より効率的に空気流の圧力を偏心ローターの運動エネルギーに変換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】この発明の実施例のタービンバイブレータの概要を示す横断面図
【
図3】同じく凸条と凹溝の非接触嵌合部(
図1のA部分)の拡大図
【
図5】この発明の実施例の変形例における凹溝と凸条の非接触嵌合部の拡大図
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1はこの発明の実施例のタービンバイブレータの概要を示す横断面図、
図2は同じくハウジング部分を縦方向に切断して偏心ローターを露出させた状態の図である。
【0020】
タービンバイブレータ1は、ハウジング2の内部に形成されたローター室3に偏心ローター4を回転可能に取り付けて構成されている。
ハウジング2は、略円筒形状の貫通孔が横向きに形成されたハウジングベース21の貫通孔の両開口部にサイドカバー22a,22bを取り付け、その内部に横向き円筒形状のローター室3を備えたものとして構成されている。
なお、本実施例において、ハウジング2は、貫通孔が横向きに形成されたハウジングベース21の貫通孔の両開口部にサイドカバー22a,22bを取り付けて構成したが、ハウジングベース21とサイドカバー22a又は22bの何れか一方を予め一体的に成型してハウジングベースを円筒状の凹陥部を備えたものとし、その開口部にサイドカバー22b又は22aの何れかを取り付けて構成することもできる。
【0021】
ハウジング2のハウジングベース21には、ローター室3内に圧縮空気を送り込むための送気口211と、ローター室3内の空気を外部に排出するための排気口212とが、それぞれローター室3に連通して設けられており、送気口211は、ローター室3内に送り込まれる空気の圧力を高めるために、ローター室3と連通する側の径が小さくなるように、漏斗状に形成されている。
また、ハウジング2のサイドカバー22a,22bのローター室3側には、軸受けであるボールベアリング221a、221bがそれぞれ装着されている。
【0022】
ローター室3の内部には、ローター室3の直径よりも僅かに小さな直径をした横向き円筒形状のローター4が、その中心軸41の両端をボールベアリング221a,221bに軸止することによって回転可能に取り付けられている。
ローター4は、その外周に送気口211から送り込まれる圧縮空気を受けるための歯車状の羽根42を備えており、ボディ部には5つの貫通孔43aないし43eが設けられている。この5つの貫通孔のうち一の貫通孔43eにウェイト44が充填されており、これにより、ローター4は重心が貫通孔43e側に偏心した偏心ローターとして構成されている。本実施例においては、ウェイト44を貫通孔43eにのみ充填しているが、他の貫通孔にも追加的に充填してローター4の偏心バランスを変えることで、発生させる振動の周波数を変えることもできる。
そして、ローター4の両側壁の周縁部近傍には、凸条45a,45bがそれぞれローター軸41を中心として環状に形成されている。
【0023】
他方、サイドカバー22a,22bのローター4周縁部近傍と対向する位置には、環状の凹溝222a,222bが形成されており、それぞれローター4の環状凸条45a,45bと僅かな隙間を介して非接触状態で嵌合されている。
【0024】
図3は、ローター4の側壁に形成された凸条45a,45bとローター室3の内側壁に形成された凹溝222a,222bとの非接触嵌合部の拡大図である。
凸条45aと凹溝222a及び凸条45bと凹溝222bとは、それぞれ
図3に示すように僅かな隙間を介して非接触状態で嵌合しているが、その隙間の幅は、凸条45a,45bの外側面と凹溝222a,222bの外側面との隙間C1よりも、凸条45a,45bの内側面と凹溝222a,222bの内側面との隙間C2の方が広くなるように設けてある。
このように、隙間C1よりも内側の隙間C2の方を広くすると、隙間C1を通過してくる圧縮空気が急激に減速して隙間C2の圧力が上昇する。これにより隙間C2内への空気の進入を抑えることができる。
【0025】
図4は、この発明の効果を説明する図である。
ハウジングベース21の送気口211から圧縮空気がローター室3内に送り込まれると、圧縮空気はローター4の羽根42に当たってローターを回転させながら、ローター室3の外周に沿って流れ、排気口212から外部に排出される。このとき、ローター4の羽根42に当たった圧縮空気の一部は、羽根42の表面形状に沿ってローター4の両側壁方向に向かい、ローター4の両側壁とローター室3の内側壁となるサイドカバー22a,22bのローター室3側の壁面との間にできた僅かな隙間に逃げ込もうとする。
【0026】
ここで、ローター4の両側壁の周縁部近傍にはローター4の回転軸41を中心とする環状の凸条45a,45bがそれぞれ形成され、この凸条45a,45bと対向するローター室3の内側壁であるサイトカバー22a,22bのローター室3側には環状の凹溝222a,222bがそれぞれ形成され、凸条45aは凹溝222aと、凸条45bは凹溝222bと、それぞれ僅かな隙間を介して非接触状態で嵌合しているので、ローター4の両側壁とローター室3の内側壁となるサイドカバー22a,22bのローター室3側の壁面との間にできた僅かな隙間に逃げ込もうとする圧縮空気は、偏心ローター4の凸条45a,46bの外側面に当たってローター室3の内側壁方向へ、次いでローター室3内側壁の凹溝222a,222bの底面に当たって回転軸41方向へ、さらに凹溝222a,222bの内側面に当たって偏心ローター4方向へと連続的かつ急激に変えられ、その抵抗により次第に空気の圧力が低下し、偏心ローター4側壁とローター室3の内側壁との隙間に空気が流れにくくなる。
加えて、凸条45a,45bの外側面と凹溝222a,222bの外側面との隙間C1よりも、凸条45a,45bの内側面と凹溝222a,222bの内側面との隙間C2が広くなるように凸条45a,45bと凹溝222a,222bとを非接触状態で嵌合してあるので、隙間C1を通過してくる圧縮空気が急激に減速して隙間C2内の圧力が上昇し、隙間C2内への空気の進入を一層抑えることができる。
これにより、偏心ローター4の側壁とローター室3の内側壁との隙間に逃げ込んでしまう圧縮空気の量を減らして偏心ローター4の回転に用いられる圧縮空気の量を増大させることができ、効率的に空気流の圧力を偏心ローター4の運動エネルギーに変換することができる。
【0027】
図5は、上記実施例の変形例であり、ローター4の側壁に凹溝46a,46bを形成し、ローター室3の内側壁に凹溝46a,46bと隙間を介して非接触状態で嵌合させた場合における非接触嵌合部の拡大図である。
ローター4の両側壁の周縁部近傍にそれぞれローター軸41を中心とする環状の凹溝46a,46bが形成され、サイドカバー22a,22bのローター4周縁部近傍と対向する位置には環状の凸条223a,223bが形成され、この凸条223a,223bがそれぞれローター4の環状凹溝46a,46bと僅かな隙間を介して非接触状態で嵌合されている点以外は、上記実施例と同じ構成である。この変形例においても、凹溝46aと凸条223a及び凹溝46bと凸条223bとの間の僅かな隙間は、凹溝46a,46bの外側面と凸条223a,223bの外側面との隙間C1よりも、凹溝46a,46bの内側面と凸条223a,223bの内側面との隙間C2の方が広くなるように設けてある。
【0028】
図6は、この変形例の効果を説明する図である。
ローター4の両側壁の周縁部近傍にはローター4の回転軸41を中心とする環状の凹溝46a,46bがそれぞれ形成され、この凹溝46a,46bと対向するローター室3の内側壁であるサイトカバー22a,22bのローター室3側には環状の凸条223a,224bがそれぞれ形成され、凹溝46aは凸条223aと、凹溝46bは凸条223bと、それぞれ僅かな隙間を介して非接触状態で嵌合しているので、ローター4の両側壁とローター室3の内側壁となるサイドカバー22a,22bのローター室3側の壁面との間にできた僅かな隙間に逃げ込もうとする圧縮空気は、凸条223a,223bの外側面に当たってローター4方向へ、次いで偏心ローター4の凹溝46a,46bの底面に当たって回転軸41方向へ、さらに凹溝46a,46bの内側面に当たってローター室3の内側壁方向へと連続的かつ急激に変えられ、その抵抗により次第に空気の圧力が低下し、偏心ローター4側壁とローター室3の内側壁との隙間に空気が流れにくくなる。
加えて、凹溝46a,46bの外側面と凸条223a,223bの外側面との隙間C1よりも、凹溝46a,46bの内側面と凸条223a,223bの内側面との隙間C2が広くなるように凹溝46a,46bと凸条223a,223bとを非接触状態で嵌合してあるので、隙間C1を通過してくる圧縮空気が急激に減速することで隙間C2内の圧力が上昇し、隙間C2内への空気の進入を一層抑えることができる。
これにより、偏心ローター4の側壁とローター室3の内側壁との隙間に逃げ込んでしまう圧縮空気の量を減らして偏心ローター4の回転に用いられる圧縮空気の量を増大させることができ、効率的に空気流の圧力を偏心ローター4の運動エネルギーに変換することができる。
【0029】
上記実施例及び変形例において、偏心ローター4の側壁に形成される凸条45a,45bとローター室3の内側壁に形成される凹溝222a,222b、あるいは、偏心ローター4の側壁に形成される凹溝46a,46bとローター室3の内側壁に形成される凸条223a,223bは、何れも偏心ローター4の両側に左右対称に設けたものとしてあるが、非接触状態で嵌合する凸条及び凹溝の組み合わせを偏心ローター4の両側において異なる組み合わせ、すなわち、偏心ローター4の側壁の一側に凸条45a、他側に凹溝46bを設け、ローター室3の内側壁の一側に凹溝222a、他側に凸条223bを設けたものとして構成することもできる。
さらには、非接触状態で嵌合する凸条及び凹溝の組み合わせを偏心ローター4の両側に同心円状に複数段設けることもでき、この場合、非接触状態で嵌合する凸条及び凹溝によるシール効果が高まり、偏心ローター4の側壁とローター室3の内側壁との隙間への空気の漏れを一層効果的に防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
この発明は、粉粒体の詰まりや付着を防止するためにホッパーやシュートなどに取り付けて使用されるタービンバイブレータに関するものであり、産業上の利用可能性を有するものである。
【符号の説明】
【0031】
1 タービンバイブレータ
2 ハウジング
21 ハウジングベース
211 送気口
212 排気口
22a,22b サイドカバー
221a,221b ボールベアリング
222a,222b 凹溝
223a,223b 凸条
3 ローター室
4 偏心ローター
41 中心軸
42 羽根
43a〜43e 貫通孔
44 ウェイト
45a,45b 凸条
46a,46b 凹溝
C1 凸条外側面と凹溝外側面との隙間
C2 凸条内側面と凹溝内側面との隙間