【解決手段】被洗浄配管5の一端5aから被洗浄配管5内に第1のピグ91を挿入する。被洗浄配管5の一端5aに補助配管4の一端4aを接続し、補助配管4の他端4bから補助配管4内に洗浄液10を供給する。補助配管4の他端4bから補助配管4内に第2のピグ92を挿入して、第1のピグ91と第2のピグ92との間の空間に洗浄液11を充填させる。第1及び第2のピグ91,92による洗浄液10の充填状態を維持しながら、洗浄液10を被洗浄配管5の内壁に沿って移動させて該内壁を洗浄する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の配管の洗浄方法を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1には、本発明の配管の洗浄方法に好適に用いられる配管洗浄装置1が示されている。配管洗浄装置1は、ランチャー2、圧送手段3、補助配管4、配管接続手段6、キャッチャー7及び排水受容器8から構成される。この配管洗浄装置1に被洗浄配管5が取り付けられて、該被洗浄配管5の洗浄が行われる。被洗浄配管5の洗浄に際しては、ランチャー2、補助配管4、被洗浄配管5及びキャッチャー7がこの順で配管接続手段6を介してそれぞれ連結され、これらの部材が連通して1つの流路を形成している。この流路には、後述するピグ及び洗浄液(図示せず)が配置されている。
【0014】
ランチャー2は、ピグを配管へ挿入するための部材であり、
図1に示すように、一端2a及び他端2bを有する形状をしている。ランチャー2の一端2aは、配管接続手段6を介して補助配管4と連通するように接続されている。ランチャー2の他端2bは、蓋などの開閉自在な構造を有し、ランチャー2内を気密に保つことができるようになっている。ランチャー2は、その他端2bから該ランチャー2内にピグの挿入及び洗浄液の供給を行うことができるようになっている。ランチャー2は後述する圧送手段3と接続することができる。ランチャー2の大きさは、使用するピグの大きさや、補助配管4及び被洗浄配管5の内径などに応じて適宜選択される。
【0015】
圧送手段3は、ランチャー2の内部の圧力を上昇させ、その圧力をピグの後部に与えることで、ピグ及び洗浄液を移動させるためのものである。圧送手段3は、ピグ及び洗浄液を圧力によって移動させる装置であれば特に限定されず、例えば高圧ボンベやコンプレッサーなどの高ガス圧を発生させる装置や、高水圧発生装置等の水圧を発生させる装置などの公知の装置を用いることができる。これらの圧送手段3は単独で又は複数の手段を組み合わせて用いることができる。配管の内壁を洗浄した後に、該内壁の乾燥を簡便に行う観点から、ピグ及び洗浄液の圧送は空気圧で行うことが好ましい。
【0016】
補助配管4は、洗浄液の供給や被洗浄配管5へのピグ及び洗浄液の移動に用いられる追加の配管である。補助配管4の一端4aは、被洗浄配管5の一端5aに接続されている。補助配管4の他端4bはランチャー2の一端2aと接続されている。補助配管4の内径は、後述の被洗浄配管5の内径と同等であることが好ましい。
【0017】
被洗浄配管5は、本発明において洗浄の対象となる配管である。本発明においては、被洗浄配管5の内壁に付着した異物を除去する。本発明の対象となる被洗浄配管5は、例えば液体、スラリー、ゲル、粉体、粒状体、気体及びエアロゾル等を初めとする各種の流動体の移送に主として用いられたものである。これらの流動体の移送によって配管の内壁に付着する異物としては、例えば液体、粉体及び粒状体並びにこれらの混合物などが挙げられる。
【0018】
配管接続手段6は、配管洗浄装置1において、ランチャー2、補助配管4、被洗浄配管5及びキャッチャー7を接続するものである。配管接続手段6としては、例えば溶接や、ネジ式、ソケット式、フランジ又はフェルールといった継手など、公知の手段を用いることができる。
【0019】
キャッチャー7は、圧送手段3からランチャー2及び各配管の内部に加えられた圧力を外部へ逃がすとともに、ピグ及び洗浄液(汚液)を分離回収する部材である。キャッチャー7はランチャー2と同様に一端及び他端を有する形状をしている。キャッチャー7の一端7aは配管接続手段6を介して被洗浄配管5の他端5bと接続可能な構造となっている。キャッチャー7は被洗浄配管5を通過したピグを収容可能な構造を有している。被洗浄配管5を通過した洗浄液(汚液)は重力に従いキャッチャー7から落下し、キャッチャー7の下方に設けられた排水受容器8に蓄積する。キャッチャー7は、その一端7aが被洗浄配管5の他端5bと接続可能であり且つピグを収容可能であれば大きさ等は特に制限されないが、配管接続の簡便さの観点からランチャー2と同等の大きさであることが好ましい。
【0020】
排水受容器8は、被洗浄配管5を通過した後の洗浄液(汚液)を廃液として蓄積する容器である。排水受容器8は液体の蓄積が可能なものであれば公知の容器を使用することができる。排水受容器8としては、例えばバケツ、タンク、ポリ袋などが挙げられる。
【0021】
次に、
図1に示す配管洗浄装置1を用いた被洗浄配管5の洗浄工程を
図2に基づいて説明する。本洗浄工程は第1工程〜第5工程に大別される。以下、それぞれの工程について説明する。
【0022】
<第1工程>
まず、
図2(a)に示すように、洗浄の対象とする被洗浄配管5の一端5aから被洗浄配管5内に第1のピグ91を挿入する。第1のピグ91は、その直径が被洗浄配管5の内径と同じであるか、又は被洗浄配管5の内径よりも若干大きいものが用いられる。被洗浄配管5の一端5aに第1のピグ91を挿入する方法は特に限定されない。後述する洗浄液使用量の定量化の観点からは、第1のピグ91を配管内へ人手で挿入し位置決めをすることが好ましい。例えば、第1のピグ91は、その後端部91aと被洗浄配管の一端5aとが一致するように挿入されることが好ましい。第1のピグ91を人手で挿入することによって、ピグの挿入の際にピグに加える外力を適宜調節しながら、所定の位置に第1のピグ91を挿入することができる。
【0023】
<第2工程>
次に、
図2(b)に示すように、第1のピグ91が挿入された被洗浄配管5の一端5aに、配管接続手段6を用いて補助配管4の一端4aを接続する。配管の接続及び取り外しの簡便さの観点から、本発明における配管接続手段6としてフェルールを用いることが好ましい。配管接続手段6としてフェルールを用いることによって、配管の接続及び取り外しが簡便になることに加えて、配管接続部における内径変化を極力少なくして接続することができる。その結果、被洗浄配管5の内壁の洗浄効率を向上させることができる。配管接続手段6としてフェルールを用いる場合には、更にガスケット及びクランプ(図示せず)を用いてフェルール同士を密着固定させることができる。
【0024】
<第3工程>
続いて
図2(c)に示すように、補助配管4の他端4bから洗浄液10を補助配管4内に供給する。被洗浄配管5の洗浄効率を高める観点から、洗浄液10の供給時には、洗浄液10中に気泡が混入しないことが好ましいが、不可避的に少量の気泡が混入することは許容される。洗浄液10の使用量は、被洗浄配管5の長さや内径、洗浄すべき対象物質の粘性や洗浄液への溶解性などを考慮して、適宜決定することができる。
【0025】
<第4工程>
更に、
図2(d)に示すように、洗浄液10が充填された補助配管4の他端4bから補助配管4内に第2のピグ92を挿入して、第1のピグ91と第2のピグ92との間の空間に洗浄液10を充填させる。第2のピグ92は、第1のピグ91と同様に、その直径が被洗浄配管5の内径と同じであるか、又は被洗浄配管5の内径よりも若干大きいものが用いられる。第2のピグ92は、第1のピグ91と同一のものでもよく、あるいは異なるものでもよい。
【0026】
補助配管4の他端4bから補助配管4内に第2のピグ92を挿入する方法は特に制限されない。両ピグ91,92間の洗浄液10の充填性を保つ観点からは、第2のピグ92を人手で補助配管4内へ挿入し、位置決めを行うことが好ましい。第2のピグ92を人手で挿入することによって、ピグの挿入の際にピグに加える外力を適宜調節しながら、洗浄液10中への気泡の混入を防止しつつ、所定の位置に第2のピグ92を挿入することができる。
【0027】
挿入される第2のピグ92と補助配管4の他端4bとの位置関係は、両ピグ91,92間に充填される洗浄液10の充填性を保つ状態であれば特に制限されない。例えば、
図2(d)に示すとおり、第2のピグ92の後端部92aと補助配管4の他端4bとが一致するように第2のピグ92を挿入することができる。あるいは、第2のピグ92の長手方向の中央部と補助配管4の他端4bとが一致するように第2のピグ92を挿入してもよい。被洗浄配管5の洗浄効率を高める観点から、第2のピグ92を挿入する際にも洗浄液10中に気泡が混入しないことが好ましいが、不可避の気泡の混入は許容される。
【0028】
特に第1工程において、第1のピグ91の後端部91aが被洗浄配管5の一端5aと一致するように挿入し、且つ補助配管4内に洗浄液10が満充填されている場合には、洗浄液10の使用量は、使用する補助配管4の体積、すなわち補助配管4の長さ及び内径から算出された体積から第2のピグ92の体積を差し引いた値と同一視することができる。このことは、工場等の設備に配設されている配管の定期的な洗浄の際に、他の器具を使用することなく洗浄液10の使用量を定量化でき、且つ洗浄作業の効率を向上させる点で有利である。また、洗浄液10の使用量を定量化することによって、必要量以上の洗浄液を準備あるいは使用することを防止でき、流水洗浄等の洗浄方法と比較して環境負荷をより低減させることができる点でも有利である。
【0029】
ところで、以上の第1工程から第4工程を行う場合において、ランチャー2の一端2aと補助配管4の他端4bとの接続は、これらの工程のうち、任意の工程の前又は後に行うことができる。例えば、ランチャー2の一端2aと補助配管4の他端4bとの接続は、第1工程の前に行うことができる。あるいは、第2工程と第3工程との間に行ってもよく、又は第3工程と第4工程との間に行ってもよい。また、第4工程の後に行ってもよい。ランチャー2の一端2aと補助配管4の他端4bとの接続は、配管接続手段6を用いて行うことができる。
【0030】
同様に、被洗浄配管5の他端5bとキャッチャー7の一端7aとの接続も、第1工程ないし第4工程のうち、任意の工程の前又は後に行うことができる。例えば、被洗浄配管5の他端5bとキャッチャー7の一端7aとの接続は、第1工程の前に行うことができる。あるいは、第2工程と第3工程との間に行ってもよく、第3工程と第4工程との間に行ってもよい。また、第4工程の後に行ってもよい。ランチャー2の一端2aと補助配管4の他端4bとの接続、及び被洗浄配管5の他端5bとキャッチャー7の一端7aとの接続は、同時であってもよく、あるいは異なっていてもよい。被洗浄配管5の他端5bとキャッチャー7の一端7aとの接続は、配管接続手段6を用いて行うことができる。
【0031】
<第5工程>
ランチャー2の一端2aと補助配管4の他端4bとの接続、及び被洗浄配管5の他端5bとキャッチャー7の一端7aとの接続を行った後、
図2(e)に示すとおり、第1及び第2のピグ91,92による洗浄液10の充填状態を維持しながら、洗浄液10を、被洗浄配管5の内壁に沿って移動させる。洗浄液10の移動によって被洗浄配管5の内壁を洗浄することができる。洗浄液10の移動は圧送手段3によって達成される。詳細には、圧送手段3によってランチャー2の内部の圧力が上昇すると、その圧力は第2のピグ92の後端部92aに加えられる。第2のピグ92の後端部92aに加えられた圧力は、第2のピグ92を介して洗浄液10及び第1のピグ91にも加えられる。圧力が加えられた両ピグ91,92及び洗浄液10は、両ピグ91,92間に充填されている洗浄液10の充填状態を維持しながら、補助配管4から被洗浄配管5の方向へ押し出されるように移動する。そして、被洗浄配管5の内壁に沿って移動した両ピグ91,92及びそれらの間に位置する洗浄液10によって、被洗浄配管5の内壁が洗浄される。
【0032】
被洗浄配管5の内壁に沿って移動する第1及び第2のピグ91,92は、これらの直径が被洗浄配管5の内径と同じであるか又は被洗浄配管5の内径よりも若干大きいものを用いることに起因して、被洗浄配管5の内壁に密着しながら移動する。移動している両ピグ91,92は、被洗浄配管5の内壁との間に発生した摩擦によって、被洗浄配管5の内壁に付着している洗浄対象物を物理的に除去することができる。両ピグ91,92間に充填された洗浄液10は、第1のピグ91の移動によって除去できなかった洗浄対象物を溶解させ、若しくは被洗浄配管5の内壁から剥離させ、又は第2のピグ92によって物理的に除去されやすくするように洗浄対象物を膨潤させることができる。
【0033】
具体的には、先ず第1のピグ91と被洗浄配管5の内壁との間に発生する摩擦によって、被洗浄配管5の内壁に付着している洗浄対象物(付着物)を擦り落とすようにして物理的に除去する。次に、第1のピグ91の移動によっても除去されずに被洗浄配管5の内壁に残存している洗浄対象物が、両ピグ91,92間に充填された洗浄液10と接触することによって、溶解若しくは剥離、又は膨潤する。最後に、第2のピグ92と被洗浄配管5の内壁との間に発生する摩擦によって、被洗浄配管5の内壁に残存している膨潤した洗浄対象物を物理的に除去する。
【0034】
圧送手段3としてコンプレッサーなどの高ガス圧発生手段を利用した場合、ピグ及び洗浄液へ加える圧力は、洗浄対象物の物性、両ピグ91、92の種類及び/又は被洗浄配管5の材質等に依存するが、0.01MPa以上0.3MPa以下であることが好ましく、0.02MPa以上0.25MPa以下であることがより好ましい。加える圧力がこの範囲にあることによって、被洗浄配管5の内壁をより短時間で洗浄することができる。
【0035】
圧送手段3としてコンプレッサーなどの高ガス圧発生手段を利用した場合の気体の流量は、上述の圧力範囲を満たすことを条件として、75L/min以上180L/min以下であることが好ましい。
【0036】
次に本発明の別の実施形態を
図3及び
図4を参照しながら説明する。
図3及び
図4に示す実施形態については、先に説明した
図1及び
図2に示す実施形態と異なる点について主として説明し、特に説明しない点については
図1及び
図2に示す実施形態についての説明が適宜適用される。また
図3及び
図4において、
図1及び
図2と同じ部材には同じ符号を付してある。
【0037】
先ず
図3に示す実施形態について説明する。同図に示す実施形態では、
図1及び
図2に示す実施形態における第1工程及び第2工程に代えて、第1’工程及び第2’工程をそれぞれ行う。以下に各工程を説明する。
<第1’工程>
本工程においては、前述の第1工程と異なり、
図3(a)に示すように、洗浄の対象とする被洗浄配管5の一端5aに接続されるべき補助配管4の一端4aから補助配管4内に第1のピグ91を挿入する。この場合、第1のピグ91をその後端から補助配管4内に挿入する。補助配管4内に第1のピグ91を挿入する方法は特に限定されないが、洗浄液使用量の定量化の観点から、第1のピグ91を配管内へ人手で挿入し位置決めをすることが好ましい。例えば、第1のピグ91の前端部の位置を補助配管の一端4aと一致させるように挿入することが好ましい。
【0038】
<第2’工程>
図3(b)に示すとおり、第1のピグ91が挿入された補助配管4の一端4aを被洗浄配管5の一端5aに接続する。本工程における補助配管4の一端4a及び被洗浄配管5の一端5aの接続は、上述の配管接続手段6と同様の方法で行うことができる。
【0039】
第1’工程及び第2’工程を行った後、その後の工程は、先に述べた第3ないし第5工程と同様に行うことができる。第1’工程のように第1のピグ91を挿入した場合は、補助配管4の体積から第1のピグ91の体積を差し引いた体積を洗浄液10の使用量(体積)と略同一視することができ、洗浄液10の使用量を定量化することができる。これによって、
図2に示す第1ないし第5工程を行った場合と同様に、他の器具を使用することなく洗浄液10の使用量を定量化することができる。
【0040】
次に
図4に示す実施形態について説明する。同図に示す実施形態では、
図1及び
図2に示す実施形態における第4工程を行った後に、第5工程を行うことに代えて
図6工程から第9工程までを行う。以下に各工程を説明する。
【0041】
<第6工程>
本実施形態においては、
図1及び
図2に示す実施形態における第4工程(
図2(d)参照)の完了後、
図4(a)に示す第6工程を行う。同工程においては、補助配管4内において洗浄液10が第1及び第2のピグ91,92の間に充填された状態で、該補助配管4の他端4bに、第2補助配管41の一端41aを接続する。この接続には配管接続手段6が用いられる。
【0042】
<第7工程>
次に
図4(b)に示すように、第2補助配管41の他端41bから第2補助配管41内に第2の洗浄液11を供給する。被洗浄配管5の洗浄効率を高める観点から、第2の洗浄液11の供給時には気泡が混入しないことが好ましいが、不可避の気泡の混入は許容される。第2の洗浄液11を第2補助配管41内に供給する際には、第2のピグ92の後端部92aが第2補助配管41の一端41aと一致するように挿入されていることが、第2の洗浄液11の使用量の定量化の観点から好ましい。
【0043】
<第8工程>
続いて、
図4(c)に示すように、第2補助配管41の他端41bから第2補助配管41内に第3のピグ93を挿入して、第2のピグ92と第3のピグ93との間の空間に第2の洗浄液11を充填させる。第3のピグ93は、第1のピグ91及び第2のピグ92と同様に、その直径が被洗浄配管5の内径と同じであるか、又は被洗浄配管5の内径よりも若干大きいものが用いられる。第3のピグ93は、第1のピグ91又は第2のピグ92と同一のものでもよく、異なるものでもよい。
【0044】
第2補助配管41の他端41bから第2補助配管41内に第3のピグ93を挿入する方法は特に制限されないが、第2及び第3のピグ92,93間の第2の洗浄液11の充填性を維持する観点から、第3のピグ93を第2補助配管41の他端から人手で挿入することが好ましい。被洗浄配管5の洗浄効率を高める観点から、第3のピグ93を挿入する際にも第2の洗浄液11には気泡が混入しないことが好ましいが、不可避の気泡の混入は許容される。
【0045】
挿入される第3のピグ93と第2補助配管41の他端41bとの位置関係は、両ピグ91,92間の洗浄液10の充填性を保つ状態であれば特に制限されない。例えば、第3のピグ93の後端部93aと第2補助配管41の他端41bとが一致するように挿入することができる。この場合には、第2の洗浄液11の使用量は、使用する第2補助配管41の体積、すなわち第2補助配管41の長さ及び内径から算出された体積から第3のピグ93の体積を差し引いた値と同一視することができる。このことは、洗浄液の使用量を定量化の観点、洗浄作業の効率向上の観点、及び環境負荷低減の観点から有利である。あるいは第3のピグ93の長手方向の中央部と第2補助配管41の他端41bとが一致するように第2補助配管41内に挿入してもよい。
【0046】
被洗浄配管5の洗浄効率を高める観点から、第3のピグ93を挿入する際に第2の洗浄液11に気泡が混入しないことが好ましいが、不可避の気泡の混入は許容される。
【0047】
<第9工程>
第8工程の完了後、ランチャー2の一端2aと第2補助配管41の他端41bとを接続し、且つ被洗浄配管5の他端5bとキャッチャー7の一端7aとを接続した後、
図4(d)に示すとおり、第1及び第2のピグ91,92による洗浄液10の充填状態、並びに第2及び第3のピグ92,93による第2の洗浄液11の充填状態とを維持しながら、両洗浄液10,11を、被洗浄配管5の内壁に沿って移動させる。これらの移動によって、被洗浄配管5の内壁を洗浄することができる。これらの移動は、
図1及び
図2に示す実施形態における第5工程と同様に、両洗浄液10,11の移動は圧送手段3によって達成される。
【0048】
<前除去工程>
これまで説明してきた
図1ないし
図4に示す実施形態においては、被洗浄配管5の洗浄効率をより向上させるために、第1工程又は第1’工程を実施する前に、ピグのみを被洗浄配管5の内壁に沿って移動させることによって洗浄対象物を除去する前除去工程を更に行うことができる。
【0049】
具体的には、
図2(a)と同様に、洗浄の対象とする被洗浄配管5の一端5aから被洗浄配管5内にピグを挿入する。次に、ピグが挿入された被洗浄配管5の一端5aをランチャー2の一端2aと接続し、該被洗浄配管5の他端5bをキャッチャー7の一端7aと接続する。続いて、圧送手段3から発生する圧力によってピグをキャッチャー7へ圧送させ、被洗浄配管5の内壁及びピグの摩擦によって洗浄対象物を物理的に除去する。本工程に使用するピグは第1のピグ91と同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0050】
前除去工程では、被洗浄配管5の内壁から洗浄対象物を除去可能な条件であれば、ピグが挿入された被洗浄配管5の一端5aとランチャー2の一端2aとは直接接続されていてもよく、補助配管4などの他の配管を介して接続されていてもよい。被洗浄配管5の一端5aとランチャー2の一端2aとが補助配管4などの他の配管を介して接続されている場合は、他の配管内にピグが挿入されていれば、被洗浄配管5にピグが挿入されていなくてもよい。
【0051】
前除去工程では、洗浄対象物の物性によって、ピグの移動を複数回行ってもよく、複数のピグを被洗浄配管5内に挿入して一度に移動させてもよい。前除去工程を行った後は、被洗浄配管5の一端5aとランチャー2の一端2aとの接続を切り離し、先に述べた
図1ないし
図4に示す実施形態のいずれかが行われる。
【0052】
<水分除去工程>
洗浄後の被洗浄配管5の配管内の水分を十分に除去する目的で、第5工程又は第9工程を実施した後に、水分を吸収保持可能なピグを被洗浄配管5の内壁に沿って移動させる水分除去工程を行うことができる。
【0053】
具体的には、
図2(a)と同様に、洗浄の対象とする被洗浄配管5の一端から被洗浄配管5内にスポンジ状の水分吸収可能なピグを挿入する。次に、ピグが挿入された被洗浄配管5の一端5aをランチャー2の一端2aと接続し、該被洗浄配管5の他端5bをキャッチャー7の一端7aと接続する。続いて、圧送手段3から発生する圧力によって第1のピグのみをキャッチャー7へ圧送させ、被洗浄配管5の内壁に付着した水滴をピグ自体に吸収させるか、水滴をぬぐうようにして物理的に除去する。本工程に使用するピグは第1のピグ91と同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0054】
水分除去工程では、被洗浄配管5の内壁から水分を除去可能な条件であれば、ピグが挿入された被洗浄配管5の一端5aとランチャー2の一端2aとは直接接続されていてもよく、補助配管4などの他の配管を介して接続されていてもよい。被洗浄配管5の一端5aとランチャー2の一端2aとが補助配管4などの他の配管を介して接続されている場合は、他の配管内にピグが挿入されていれば、被洗浄配管5にピグが挿入されていなくてもよい。
【0055】
水分除去工程では、配管内の水分の除去を行うために、ピグの移動を複数回行ってもよく、複数のピグを被洗浄配管5内に挿入して一度に移動させてもよい。
【0056】
水分除去工程に加え、必要に応じて、洗浄後の被洗浄配管5の内部の殺菌処理や、エアブローなどによる乾燥を行うこともできる。
【0057】
以上の各実施形態の配管の洗浄方法は、塗料などの比較的粘性の高い流動体や、粉体などの内壁に吸着しやすい物質を含む流動体が流通する配管を、定期メンテナンスなどで洗浄する場合に有用である。被洗浄配管5に補助配管4を接続してピグ洗浄することによって、使用する補助配管4の体積に応じて洗浄液の定量化が可能となり、洗浄液の量を必要以上に使用することがなくなる。また、流水洗浄などの従来の配管洗浄方法と比較して、洗浄液の量の低減に起因して、低コスト且つ短時間で配管洗浄を行うことができる。
【0058】
次に、これまでに説明した各実施形態に共通の事項について説明する。本発明に用いられるピグの材質としては、例えばゴム、ポリウレタン、ニトリル、ネオプレン、シリコン、ポリエステル及びフッ素樹脂などが挙げられる。易変形性や耐薬品性の観点から、ピグの材質は軟質性の材質であることが好ましく、ポリウレタンであることが一層好ましい。
【0059】
ピグの形状は、砲弾形、円柱形、球形、亜鈴形などの形状を選択でき、特に制限はない。ピグと被洗浄配管の内壁との密着性の観点から、ピグの形状は、砲弾形又は円柱形であることが好ましい。ピグの種類としては、例えば、ベアハードピグ、ベアソフトピグ、クリスクロスピグ、サッドピグ、ハイパーピグ、ボールピグ、カップディスクピグなどが挙げられる。
【0060】
補助配管4は、内径が一定であれば、直線状であってもよく、曲線状であってもよく、エルボやチーズなどの屈曲部を有していてもよく、それらの任意の組み合わせであってもよい。また補助配管4は、剛直で変形不能な配管であってもよく、フレキシブルに変形可能な配管であってもよい。
【0061】
補助配管4の材質は特に制限はなく、ステンレス、鉄、銅、鋼、炭素鋼などの金属や、ポリ塩化ビニル、シリコーン、フッ素樹脂、ポリウレタンなどの樹脂が挙げられる。可搬性の観点から、軟質性の樹脂を原料としたものであることが好ましい。
【0062】
補助配管4の長さは、ピグ91,92,93及び洗浄液10,11を補助配管4から被洗浄配管5へ移動させることが可能であれば特に制限はない。
【0063】
被洗浄配管5は、補助配管4と同様に、内径が一定であれば、直線状であってもよく、曲線状であってもよく、エルボやチーズなどの屈曲部を有していてもよく、それらの任意の組み合わせであってもよい。洗浄効率の向上の観点から、補助配管4及び被洗浄配管5の内径は同等であることが好ましい。被洗浄配管5は、補助配管4と同様に、剛直で変形不能な配管であってもよく、フレキシブルに変形可能な配管であってもよい。
【0064】
被洗浄配管5の材質は、補助配管4と同様に特に制限はなく、ステンレス、鉄、銅、鋼、炭素鋼などの金属や、ポリ塩化ビニル、シリコーン、フッ素樹脂、ポリウレタンなどの樹脂が挙げられる。可搬性の観点から、軟質性の樹脂を原料としたものであることが好ましい。
【0065】
洗浄液10,11の種類は、ピグや配管の材質、洗浄対象物の物性に応じて適宜選択することができる。洗浄液の種類として例えば、水、有機溶媒、液体油等が挙げられ、これらを単独で又は二種以上を混合して用いることができる。両洗浄液10,11の種類は同一でもよく、異なっていてもよい。
【0066】
水としては、水道水、井戸水、精製水、イオン交換水等を使用することができる。洗浄効率の上昇を目的として、クエン酸などの酸又はその塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムなどの塩基性塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩などの界面活性剤、EDTAなどのキレート剤、次亜塩素酸ナトリウムなどの殺菌剤といった水に溶解可能な化合物を添加することができる。これらの添加物は、洗浄対象物の種類に応じて単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
【0067】
有機溶媒としては、アルコール、エーテル、エステル、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素などを使用することができる。アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノールなどが挙げられる。エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどが挙げられる。ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトンが挙げられる。エステルとしては、酢酸エチルなどが挙げられる。脂肪族炭化水素としては、n−ヘキサンなどが挙げられる。芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレンが用いられる。これらの有機溶媒は、洗浄対象物の種類に応じて単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
【0068】
液体油としては、軽油、灯油、植物油等が挙げられ、これらの液体油は、洗浄対象物の種類に応じて単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
【0069】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記の実施形態に制限されない。例えば前記の各実施形態では、圧送手段3に接続されたランチャー2を用い、ピグ91,92,93及び洗浄液10,11を圧力によって補助配管4から被洗浄配管5へ移動させ、被洗浄配管5の内壁を洗浄したが、各ピグ91,92,93及び両洗浄液10,11を被洗浄配管5の内壁に沿って移動させることが可能な手段であれば、圧送手段3以外の手段を用いることもできる。例えば、ランチャー2に接続された圧送手段3と、キャッチャー7に接続された減圧吸引装置などの吸引手段とを併用して被洗浄配管5を洗浄してもよい。
【0070】
また、
図4に示す実施形態は、
図2に示す実施形態からの引き続きであったが、これに代えて
図3に示す実施形態からの引き続きで
図4に示す実施形態を行ってもよい。
【0071】
また、補助配管の数は前記の実施形態に制限されず、3つ以上の補助配管を用いることもできる。例えば補助配管4に加えて、第2補助配管41、第3補助配管、第4補助配管・・・・と被洗浄配管5とを連結させ、各配管に挿入された第1のピグ91、第2のピグ92、第3のピグ93、第4のピグ・・・・との間のそれぞれの空間に、洗浄液10、第2の洗浄液11、第3の洗浄液、第4の洗浄液・・・・をそれぞれ充填し、各洗浄液を被洗浄配管5の内壁に沿って移動させることで、被洗浄配管5の内壁を洗浄することもできる。
【0072】
また、前記の各実施形態において、前除去工程用のピグ、第1のピグ91、洗浄液10、第2のピグ92(及び必要に応じ第2の洗浄液11と第3のピグ93)並びに水分除去工程用のピグをこの順で補助配管4(及び必要に応じ第2補助配管)並びに/又は被洗浄配管5に挿入し、前除去工程から水分除去工程までの一連の工程を一度の圧送で行うこともできる。