特開2018-202476(P2018-202476A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-202476(P2018-202476A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】レーザ溶接方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/21 20140101AFI20181130BHJP
【FI】
   B23K26/21 F
   B23K26/21 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-114314(P2017-114314)
(22)【出願日】2017年6月9日
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】山本 右
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168BA52
4E168BA71
4E168BA82
4E168BA87
4E168BA89
(57)【要約】
【課題】スパッタが抑制されたレーザ溶接方法を提供する。
【解決手段】第1金属部材と第2金属部材を端面で突き合せ、突き合せ部分の上方からレーザ光を照射して第1金属部材と第2金属部材を溶接する方法であって、前記第1金属部材におけるレーザ光が照射される面であって、突き合せ位置における第1金属部材の端から規定距離おいた箇所に、穴径Dがレーザ光のスポット径よりも大きく、深さLが前記穴径Dよりも大きい凹部を形成する工程と、前記第1金属部材と、前記第2金属部材とを突合せる工程と、前記凹部に向けてレーザ光を照射して溶融池を形成する工程と、前記レーザ光を走査して、前記溶融池を前記第2金属部材側に到達させる工程とを有する、レーザ溶接方法。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1金属部材と第2金属部材を端面で突き合せ、突き合せ部分の上方からレーザ光を照射して第1金属部材と第2金属部材を溶接する方法であって、
前記第1金属部材におけるレーザ光が照射される面であって、突き合せ位置における第1金属部材の端から規定距離おいた箇所に、穴径Dがレーザ光のスポット径よりも大きく、深さLが前記穴径Dよりも大きい凹部を形成する工程と、
前記第1金属部材と、前記第2金属部材とを突合せる工程と、
前記凹部に向けてレーザ光を照射して溶融池を形成する工程と、
前記レーザ光を走査して、前記溶融池を前記第2金属部材側に到達させる工程とを有する、
レーザ溶接方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ溶接方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ光照射による溶接するレーザ溶接方法は知られている。レーザ溶接において、レーザ光によるキーホールが発生する程度の出力で溶接した場合、金属の一部が熱で一気に液体から気体に変わり、発生するガスの勢いで溶融金属が吹き飛んでスパッタになり得ると考えられる。レーザ溶接方法においては、このようなレーザ溶接時に発生するスパッタの抑制方法が検討されている。
例えば特許文献1では、互いに突き合せた第1金属部材と第2金属部材をレーザ光の照射により接合する溶接方法であって、第2金属部材を面取りして開先を形成し、レーザ光の照射角度を調整してレーザ光のスポット径を開先の開口幅よりも小さくする、特定の溶接方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−6957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
突合せ面や開先にレーザを直接照射する手法では、突合せ面の隙間からレーザ光が漏れることがあり、照射面とは反対側の面にスパッタが生じる恐れがあった。また、特許文献1などのように、照射面に対してレーザ光を斜めに照射すると、照射面積が大きくなってエネルギー密度が低下するため、レーザの出力を上げる必要がある。その結果、全体としては過剰なレーザ出力を与えることになり、かえってスパッタが発生しやすくなる恐れがあった。
【0005】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、スパッタが抑制されたレーザ溶接方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るレーザ溶接方法の一実施形態は、第1金属部材と第2金属部材を端面で突き合せ、突き合せ部分の上方からレーザ光を照射して第1金属部材と第2金属部材を溶接する方法であって、
前記第1金属部材におけるレーザ光が照射される面であって、突き合せ位置における第1金属部材の端から規定距離おいた箇所に、穴径Dがレーザ光のスポット径よりも大きく、深さLが前記穴径Dよりも大きい凹部を形成する工程と、
前記第1金属部材と、前記第2金属部材とを突合せる工程と、
前記凹部に向けてレーザ光を照射して溶融池を形成する工程と、
前記レーザ光を走査して、前記溶融池を前記第2金属部材側に到達させる工程とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、スパッタが抑制されたレーザ溶接方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明に係るレーザ溶接方法の一実施形態を示すフローチャートである。
図2図2は、本発明に係るレーザ溶接方法の一実施形態を示す概略断面図である。
図3図3は、レーザ光の照射開始位置を調整する方法の一例を示すフローチャートである。
図4図4は、レーザ光の照射開始位置を調整する方法の一例を示す概略断面図である。
図5図5は、レーザ光の照射開始位置を調整する方法における戻り光強度の検出結果の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
まず、図1図2を参照して、本発明に係るレーザ溶接方法の一実施形態を説明する。図1はレーザ溶接方法の一実施形態を示すフローチャートであり、図2はレーザ溶接方法の一実施形態を示す概略断面図である。図2中の(a)はS2工程後の概略断面図であり、図2中の(b)はS4工程中の概略断面図である。
本発明のレーザ溶接方法は、概説すると、まず、溶接の対象となる第1金属部材1と第2金属部材2とを準備し、第1金属部材のレーザ照射面7に後述する凹部3を形成する(S1)。次いで、第1金属部材と第2金属部材とを突合せ(S2)、レーザ光の照射開始位置を調整した後に、前記凹部3にレーザ光を照射して溶融池5を形成し(S3)、レーザ光8を突合せ面4側に走査6して溶融池5を広げて第2金属部材に到達させる(S4)。その後、溶融池5が冷却されて溶接が完了する。
【0010】
上記のレーザ溶接方法によれば、溶接のためのレーザの照射開始位置を、予め形成した凹部3とすることにより、上述のような突合せ面の隙間からレーザ光が漏れることがない。また、凹部3の内部にレーザを照射することにより、レーザ光が凹部3内で多重反射するため、同じ材質の平坦面にレーザを照射するよりも低いエネルギーで溶融が可能となる。更に、溶融した金属が飛散した場合であっても凹部3の内側に付着して外部には飛散しにくくなる。これらのことから、本発明のレーザ溶接方法によれば、スパッタを抑制することができる。
【0011】
第1金属部材及び第2金属部材の材質は、レーザ溶接が可能なものの中から適宜選択されるものであればよく、溶接後の用途に応じて適宜選択することができる。第1金属部材及び第2金属部材の材質は、例えば、鉄、銅、アルミニウム等が挙げられる。第1金属部材と第2金属部材の材質は、同一であってもよく、異なるものであってもよい。
【0012】
凹部3は、当該凹部3の穴径Dが溶接に使用するレーザ光のスポット径dよりも大きく(D>d)、前記凹部3の深さLが前記穴径Dよりも大きい(L>D)形状を有する。D>dとすることにより、レーザ光を凹部3の内部のみに照射することが可能となり、スパッタを抑制することができる。また、L>Dとすることにより、レーザ光の多重反射を増大させてレーザ出欲を抑制することができると共に、金属が飛散した場合であっても、当該金属は凹部3の内側に付着しやすくなり、スパッタを低減することができる。穴径Dは、レーザの位置ずれ等を考慮して、レーザ光のスポット径dより大きく形成しておくことが好ましい。また、凹部3の開口面の形状は特に限定されず、円形に限られない。開口面が円形でない場合には、レーザ光を凹部3の内部のみに照射することを考慮して、本発明においては、開口面に円を描くことを仮想したときに描きうる最大の円の径を上記穴径Dとして取り扱うものとする。また、穴径Dは、第1金属部材の照射面の短手長さWよりも小さければよい(D<W)。凹部3は、前記第1金属部材におけるレーザ光が照射される面であって、突き合せ位置における第1金属部材の端から規定距離おいた箇所に形成する。当該規定距離は、凹部3が溶接の開始位置となることを考慮して、溶接後の用途や、各金属部材の材質等に応じて適宜決定すればよい。
【0013】
凹部3の形成方法は特に限定されない。例えば、(a)先の尖ったポンチ等で叩くことにより凹ませて凹部を形成する;(b)レーザ、電子ビーム等で凹部を形成する;(c)公知のエッチング手法により凹部を形成する;(d)ドリルで穴を開ける;など第1金属部材に後から凹部を形成する方法のほか;(e)第1金属部材が鋳造やダイカストにより形成される部材の場合には、予め金型に凸部を設けることにより、凹部が形成された第1金属部材を得ることができる。なお、上記(b)の方法の場合には、レーザ、電子ビーム等の出力を調整して、スパッタの発生を抑制しておくことが好ましい。
【0014】
次に、凹部にレーザ光を照射して溶融池を形成する工程について説明する。本発明のレーザ溶接方法においては、溶接のためのレーザ光の照射開始位置を凹部3の内部とすることによりスパッタの発生が抑制される。レーザ光の照射開始位置を調整する方法は特に限定されないが、好適な方法の一例を、図3図4及び図5を参照して説明する。図3はレーザ光の照射開始位置を調整する方法の一例を示すフローチャートであり、図4図3の例の概略断面図である。また図5は、レーザ光の照射開始位置を調整する方法における戻り光強度の検出結果の一例を示すグラフである。
図3の例に示されるように、レーザ光の照射開始位置の調整方法としては、まず、前記第1金属部材のレーザ照射面に、前記第1金属部材が溶融しない低出力に調整されたレーザ光8aを照射し(S11)、レーザスキャナ9などによりレーザを走査6aしながら戻り光10を検出し、その強度データを取込む(S12)。図5の例に示されるように凹部3においては、レーザ光の戻り光強度が低下するため、戻り光強度の測定結果から凹部3の位置を算出することができる(S13)。次いで、凹部3の中心をレーザ照射狙い位置として算出する(S14)。次いで、溶接に用いるレーザを前記レーザ照射狙い位置の設定値に合うように位置調整を行う(S15〜S16)。位置が決定したら、当該位置においてレーザ照射を開始する(S17)。このような方法により、レーザ光の照射開始位置を前記凹部内部に調整することができる。
【0015】
前記凹部にレーザ光を照射して溶融池を形成した後、当該レーザ光を第2金属部材側に操作することにより、溶融池を広げて、第2金属部材に到達させることにより、スパッタが抑制しながら、レーザ溶接を行うことができる。
【符号の説明】
【0016】
1 第1金属部材
2 第2金属部材
3 凹部
4 突合せ面
5 溶融池
6 走査
6a 走査
7 レーザ照射面
8 レーザ光
8a レーザ光
9 レーザスキャナ
10 戻り光
図1
図2
図3
図4
図5