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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-202477(P2018-202477A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】絞りプレス加工方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 22/20 20060101AFI20181130BHJP
   B21D 24/04 20060101ALI20181130BHJP
【FI】
   B21D22/20 Z
   B21D24/04 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-114406(P2017-114406)
(22)【出願日】2017年6月9日
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺本 恭平
(72)【発明者】
【氏名】山田 博
(72)【発明者】
【氏名】実松 健一
(57)【要約】
【課題】素材板の挟圧部に形成されるビード部の形成領域のうち、製品の一部として利用する領域をプレス成形工程で平坦に成形する。
【解決手段】素材板Sの挟圧部Sbを、連続的に形成された凹溝42を有するブランクホルダ4と、凹溝42に対向する位置に非連続に形成された凸ビード22A,22Bを有する上型2とで挟圧して、挟圧部Sbにビード部を形成する。そして、素材板Sの絞り成形部Saを上型2と下型3とで押圧して絞り成形するとともに、この絞りプレス成形工程において、挟圧部Sbに形成したビード部のうち、挟圧部Sbの凸ビード22に接していない部分を平坦に成形する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上型と下型とブランクホルダとによって素材板を絞り成形する絞りプレス加工方法であって、
前記素材板は絞り成形部と挟圧部とを有し、
前記素材板の前記挟圧部を、連続的に形成された凹部を有する前記ブランクホルダと、前記凹部に対向する位置に非連続に形成された凸部を有する前記上型とで挟圧して、前記素材板の前記挟圧部にビード部を形成する第1工程と、
前記素材板の前記絞り成形部を前記上型と前記下型とで押圧して絞り成形するとともに、前記挟圧部に形成した前記ビード部のうち、前記凸部に接していない部分を平坦に成形する第2工程とを含むことを特徴とする絞りプレス加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絞りプレス加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミニウム板材や薄板鋼板などの素材板を成形する方法として、上型と下型とブランクホルダによって素材板を絞り成形する絞りプレス加工方法がある。
【0003】
絞りプレス加工方法としては、板状材料(素材板)にビード部を形成し、そのビード部を挟圧して絞りプレス成形を行った後、ビード部の一部を切断し、その後、残留ビード部を平坦に潰すことによって製品の一部とする方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2014/104047号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、絞りプレス加工方法で成形される製品において、ビード部を製品の一部(例えば、製品のボルト締結部やフランジ部)として利用するためには、絞りプレス成形を行った後に、再度プレス加工を行ってビード部を平坦に潰す工程が必要になる。
【0006】
本発明はそのような実情を考慮してなされたもので、上型と下型とブランクホルダによって素材板を絞り成形する絞りプレス加工方法において、素材板の挟圧部に形成されるビード部の形成領域のうち、製品の一部として利用する領域をプレス成形工程で平坦に成形することが可能な方法を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上型と下型とブランクホルダとによって素材板を絞り成形する絞りプレス加工方法であって、前記素材板は絞り成形部と挟圧部とを有しており、前記素材板の前記挟圧部を、連続的に形成された凹部を有する前記ブランクホルダと、前記凹部に対向する位置に非連続に形成された凸部を有する前記上型とで挟圧して、前記素材板の前記挟圧部にビード部を形成する第1工程と、前記素材板の前記絞り成形部を前記上型と前記下型とで押圧して絞り成形するとともに、前記挟圧部に形成した前記ビード部のうち、前記凸部に接していない部分を平坦に成形する第2工程とを含むことを特徴としている。
【0008】
本発明によれば、製品の一部として利用する平坦な領域を、プレス成形工程(第2工程)のみで成形することができる。これにより、絞りプレス成形工程の後に、ビード部をプレス加工等により潰して平坦にするという工程が不要になる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、上型と下型とブランクホルダによって素材板を絞り成形する絞りプレス加工方法において、素材板の挟圧部に形成されるビード部の形成領域のうち、製品の一部として利用する領域を、プレス成形工程のみで平坦に成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明を実施するのに用いる絞りプレス成形装置の概略構成図である。
図2図1の絞りプレス成形装置の要部構造を示す断面図である。
図3図1の絞りプレス成形装置の上型の要部構造を示す斜視図である。
図4図1の絞りプレス成形装置のブランクホルダの要部構造を示す斜視図である。
図5】絞りプレス成形工程の説明図である。
図6】絞りプレス成形工程の説明図である。
図7】絞りプレス成形工程の説明図である。
図8】絞りプレス成形工程の説明図である。
図9】絞りプレス成形工程において、ブランクホールド時の素材板の挟圧部の形状を示す斜視図である。
図10】絞りプレス成形時の成形品の形状を示す斜視図である。
図11】実施形態において絞りプレス成形した成形品の切断プロファイルの一例を示す斜視図である。
図12】実施形態において絞りプレス成形した成形品の成形時の断面形状と、成形後においてスプリングバックした状態を示す断面形状とを示す図である。
図13図11の成形品を切断金型で切断する際の形状を示す図である。
図14図11の成形品を切断金型にセットした状態を示す図である。
図15】実施形態において絞りプレス成形した成形品の切断プロファイルの他の例を示す斜視図である。
図16図15の成形品を切断金型にセットした状態を示す図である。
図17】製品の一部として利用する部分(挟圧部)にビード部が存在する成形品の切断プロファイルを示す斜視図である。
図18図17の成形品の成形時の断面形状と、成形後においてスプリングバックした状態を示す断面形状とを示す図である。
図19図17の成形品を切断金型で切断する際の形状を示す図である。
図20図17の成形品を切断金型にセットした状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
−絞りプレス成形装置−
本発明を実施する絞りプレス成形装置の一例について図1図5を参照して説明する。
【0013】
この例の絞りプレス成形装置1は、例えば、アルミニウム板材や薄板鋼板などを素材板として車両のパネルなどを絞りプレス成形する装置であって、上型(ダイ)2、下型(ポンチ)3、ブランクホルダ4、上型ホルダ5、下型ホルダ6、およびクッションピン7などを備えている。
【0014】
本実施形態に用いる素材板Sは、上型2と下型3とで押圧される絞り成形部Saと、その絞り成形部Saの周りの部分であって上型2とブランクホルダ4とで挟圧される挟圧部Sbとを有する(図2および図5参照)。
【0015】
上型2には、製品を成形する成形面(凹面)2aが形成されている。また、上型2の外周部の下部であって成形面2aの周りには、ホルダ面(しわ押え面)21が形成されている。ホルダ面21には、下方に向けて突出する凸ビード(凸部)22が設けられている。凸ビード22については後述する。
【0016】
下型3には、上型2の成形面2aに対応する形状の成形面(凸面)3aが形成されている。下型3は下型ホルダ6に固定されている。下型ホルダ6は固定配置されている。
【0017】
ブランクホルダ4は、上型2と協働して素材板Sの挟圧部Sb(図2参照)を挟圧するための部材であって、下型3の周りに配置されている。ブランクホルダ4の上部には、上型2のホルダ面21と対応する位置にホルダ面(しわ押え面)41が形成されている。このホルダ面41には凹溝(凹部)42が形成されている。凹溝42については後述する。
【0018】
ブランクホルダ4はクッションピン7によって支持されており、上下方向に移動可能となっている。クッションピン7は、上下方向に沿って設けられており、下型3および下型ホルダ6に形成された貫通孔3b,6bを通じて、下型ホルダ6の下部にまで延びている。下型ホルダ6の下部にはクッション(図示せず)が配置されており、クッションピン7の下端部がクッションの上面に当接している。
【0019】
<凸ビードおよび凹溝について>
上型2の凸ビード22は、図2および図3に示すように、ブランクホルダ4の凹溝42に対向する位置に設けられている。上型2の凸ビード22は、上型2の成形面2aの周りに非連続的に形成されており、図3に示すように、ビード無し区間Cが設けられている。このビード無し区間Cは、製品(完成品)において、ボルト締結部(もしくはフランジ部等)となる部分に対応する位置に設けられている。凸ビード22は断面形状が円弧状に形成されている。なお、以下、ビード無し区間Cを挟んだ両側の凸ビード22を、それぞれ凸ビード22Aおよび凸ビード22Bという場合もある。
【0020】
凹溝42は、図2および図4に示すように、断面形状が円弧状の凹条であり、上型2の凸ビード22が嵌り込むことが可能である。凹溝42の断面の大きさ(円弧の径)は、上型2の凸ビード22の断面の大きさ(円弧の径)に対して、素材板Sの板厚の2倍に相当する分だけ大きい。凹溝42は、下型3の成形面3aの周りに連続的に形成されており、上記ビード無し区間Cに対応する部分においても凹溝42となっている。
【0021】
−絞りプレス成形工程−
次に、絞りプレス成形工程について図1図9を参照して説明する。
【0022】
(S1)図5(a)に示すように、上型2を上昇させてその上型2とブランクホルダ4とを上下方向に離間させた状態にする。この状態で、上型2とブランクホルダ4との間に素材板(ブランク)Sを挿入配置し、その素材板Sの挟圧部Sbをブランクホルダ4のホルダ面41に位置決めする。ブランクホルダ4に素材板Sを位置決めした状態(ブランクホールド前の状態)を図6(a)および図6(b)に示す。なお、図6(b)は、図6(a)の断面と直交する面で切断した断面図である。また、この図6および図7図8は、素材板Sをビード無し区間C(図3参照)に対応する位置で切断した断面図である。
【0023】
(S2)以上のようにして、素材板Sをセットした状態で上型2を下降させる。この上型2の下降により、上型2のホルダ面21とブランクホルダ4のホルダ面41との間に素材板Sの挟圧部Sbが挟み込まれる。さらに、上型2の凸ビード22によって素材板Sの挟圧部Sbがブランクホルダ4の凹溝42に押し込まれて挟圧部Sbにビード部(SbA,SbB,SbC)が形成される。これにより、素材板Sの挟圧部Sbが拘束(ブランクホールド)される。
【0024】
ここで、図3に示すように、上型2の凸ビード22には、ボルト締結部などに相当する位置にビード無し区間Cが設けられているが、上記ブランクホールド時において、ビード無し区間Cの両側の凸ビード22Aと凸ビード22Bとによって素材板Sの挟圧部Sbを押し込む際に、そのときに作用する力によってビード無し区間Cに対応する挟圧部Sb(凸ビード22に接していない部分)がブランクホルダ4の凹溝42に沿うようになり、これにより、図7(a)、図7(b)および図9に示すように、ビード無し区間Cに対応する挟圧部Sbにもビード部SbCが形成される。なお、図7(b)は、図7(a)の断面と直交する面で切断した断面図である。以上の(S2)工程が、本発明の「第1工程」に相当する。
【0025】
(S3)以上のようにして素材板Sをブランクホールドした状態(図5(b)に示す状態)で上型2を下降させていく。この上型2の下降に伴ってブランクホルダ4も下降していく。このような上型2およびブランクホルダ4が下降していく過程において、素材板Sの絞り成形部Saが下型3の成形面(凸面)3aに当接した状態から、素材板Sの絞り成形部Saが成形面3aによって押圧されて上型2の成形面(凹面)内に張り出していく。そして、上型2が下死点に到達した状態(図5(c)の状態)で、素材板Sの絞り成形部Saが上型2の成形面2aと下型3の成形面3aとで押圧されて、素材板Sの絞り成形部Saがそれら成形面2a,3aに倣った形状に絞り成形される。これにより絞りプレス成形が完了する。その後に、上型2を上昇させて成形品を絞りプレス成形装置1から取り出す。このようにして絞りプレス成形により成形した成形品を「成形品100」という。
【0026】
ここで、本実施形態にあっては、上記ブランクホールド時において、上型2のビード無し区間C(図3参照)に対応する挟圧部Sbにもビード部SbC(図9参照)が成形されるが、そのビード部SbCは絞りプレス成形後に平坦化される。この点について図8(a)、図8(b)、図9および図10を参照して説明する。なお、図8(b)は、図8(a)の断面と直交する面で切断した断面図である。
【0027】
まず、絞りプレス成形初期(S2)においてビード部SbC(図9参照)は存在しており、ビード部SbCのブランクホルダ4の凹溝42内への嵌り込みにより、この部分においても素材板Sの挟圧部Sbが拘束されるので、バランスのとれた絞りプレス成形が可能となる。
【0028】
次に、絞りプレス成形が進行していくと、素材板Sの挟圧部Sbが絞り成形部Saに向けて移動する(図10の破線矢印参照)ようになるが、ビード部SbAおよびビード部SbBについては、上型2の凸ビード22A,22Bが嵌り込んでおり、拘束力が大きいので、この部分の絞り成形部Saに向けての移動は少ない。これに対し、ビード部SbAとビード部SbBとの間のビード部SbCについては、凸ビード22が接しておらず拘束力が小さいので、絞りプレス成形が進むにつれて絞り成形部Saに向けての移動量が大きくなっていき、これに伴ってビード部SbCの高さが低くなっていく。そして、最終的に(絞りプレス成形が終了した段階で)、ビード部SbAとビード部SbBとの間においてビード形状が消失し、この部分(ビード部SbAとビード部SbBとの間との領域)が平坦となる(図8(b)および図10参照)。以上の(S3)工程が本発明の「第2工程」に相当する。
【0029】
<効果>
以上のように、本実施形態によれば、絞りプレス成形工程において、素材板Sの挟圧部Sbに、製品の一部(ボルト締結部等)として利用する平坦な領域を成形することができる。これにより、絞りプレス成形工程の後に、ビード部をプレス加工等により潰して平坦にするという工程が不要になり、生産性が向上する。
【0030】
−切断工程−
次に、以上の絞りプレス成形により成形した成形品の切断加工について説明する。
【0031】
<従来例>
まず、従来の成形品の切断加工について図17図20を参照して説明する。図17に示す成形品(ワーク)500にあっては、製品の一部(ボルト締結部等)として利用する部分(挟圧部501)にビード部502が存在しており、成形品500の切断プロファイルにはビード部502が含まれている。
【0032】
図17の成形品500において、絞りプレス成形時の断面形状は図18の破線で示す形状であるが、絞りプレス成形後の状態では、スプリングバックにより図18の実線で示す断面形状となる。そして、スプリングバックした成形品500を切断する際の断面形状は、図19に示すように、スプリングバック後のビード部502の深さが、絞りプレス成形時におけるビード部502の深さよりも浅くなる。
【0033】
ここで、図17の成形品500を切断する切断金型600は、図20に示すように、上切刃601、下切刃602および成形品500を押えるパッド603などを備えており、それら上切刃601および下切刃602の形状を、絞りプレス成形時の断面形状に合わせた形状としている。このため、スプリングバックした成形品500を切断金型600にセットした場合、図20に示すように、上切刃601および下切刃602に対して成形品500が浮いた状態となってしまう。こうした状態で切断を行うと、切断不良が発生する。さらに、切断切粉の発生量が多くなり、またバリやまくれなどの不良が発生する。なお、成形品500を押えるパッド603により、強制的な荷重を印加してスプリングバックのない状態(絞りプレス成形時の状態)にすることも考えられるが、この場合、絞りプレス成形と同等の押え力が必要となるので、現実的ではない。なお、この場合、切断金型600の上切刃601および下切刃602は、車種ごとに個別の形状とする必要がある。
【0034】
<本実施形態>
次に、本実施形態において絞りプレス成形により成形した成形品100の切断加工の一例について図11図14を参照して説明する。
【0035】
図11に示す成形品(ワーク)100において、ビード部102Aとビード部102Bとの間の部分(平坦部分)が製品の一部(ボルト締結部等)として利用する領域であり、この領域を切断する切断プロファイルにはビード形状が含まれていない。
【0036】
図11に示す成形品100のビード部102Aとビード部102Bとの間の領域の断面形状を図12に示す。図12において破線で示す断面形状は絞りプレス成形時の断面形状であり、実線で示す断面形状は、絞りプレス成形後においてスプリングバックした後の断面形状である。
【0037】
そして、図11の成形品100では、切断プロファイルにビード形状が含まれず平坦であるので、成形品100を切断する際の挟圧部101の断面形状は図13において2点鎖線および実線で示すように、ほぼ平坦な状態となる。これにより、図14に示すように、スプリングバックした成形品100を切断金型200にセットする際に、成形品100が切断金型200の上切刃201および下切刃202に対して成形品100が浮いた状態とはならないので、良好な切断を行うことができる。なお、成形品100のビード部102Aとビード部102Bとの間の領域に多少の凹凸が残っていても、上下から押圧することで、その凹凸を平坦にすることが可能である。
【0038】
以上のように、成形品100の切断部分が平坦であると、ビード部をプレス加工等により潰して平坦にするという工程を行うことなく、切断加工を行うことができるので、製造工程の工程数を低減することができる。さらに、成形品100の切断部分が平坦であると、切断金型200の上切刃201および下切刃202を、車種ごとに個別の形状とする必要がなくなるので、型投資を低減することができる。
【0039】
<切断加工の他の例>
次に、本実施形態において絞りプレス成形した成形品100の切断加工の他の例について図15および図16を参照して説明する。
【0040】
この例は、素材板Sの挟圧部Sbに形成した平坦な領域を、製品の一部(ボルト締結部等)として利用しない場合の例である。この例の成形品100の切断プロファイルは、図15に示すように、挟圧部101のビード部102Aおよびビード部102Bと平行な方向に延びる直線状の加工ライン(挟圧部101を切断除去する加工ライン)と、当該直線状の切断プロファイルと直交する方向のスクラップカットラインから成る。スクラップカットラインは、挟圧部101のビード部102Aとビード部102Bとの間の中央に位置している。
【0041】
この例において切断加工に用いる切断金型を図16に示す。図16に示す切断金型300は、上切刃301、下切刃302、上切刃301の下方に配置されるスクラップカッター303、および成形品100を押えるパッド304などを備えている。スクラップカッター303は、上切刃301と下切刃302とによる切断面と直交する面で成形品100を切断するために、切断金型300に取り付けられる工具である。
【0042】
そして、この成形品100においても、切断プロファイルにビード形状が含まれていないので、成形品100を切断する際の挟圧部101の断面形状は、ほぼ平坦な状態となる(図13参照)。これにより、図16に示すように、スプリングバックした成形品100を切断金型300にセットする際に、成形品100が切断金型300の上切刃301およびスクラップカッター303に対して成形品100が浮いた状態とはならないので、良好な切断を行うことができる。なお、成形品100のビード部102Aとビード部102Bとの間の領域に多少の凹凸が残っていても、上下から押圧することで、その凹凸を平坦にすることが可能である。
【0043】
−他の実施形態−
なお、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0044】
例えば、以上の実施形態では、素材板の挟圧部に形成するビード部の断面形状が円弧状である場合を示したが、それに限らず、ビード部の断面形状は直線で構成されていてもよい。
【0045】
以上の実施形態では、上型に凸部(凸ビード)、ブランクホルダに凹部(凹溝)を設ける場合を示したが、それに限らず、上型に凹部、ブランクホルダに凸部を設ける構成でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、上型と下型とブランクホルダによって素材板を絞り成形する絞りプレス加工方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 絞りプレス成形装置
2 上型
2a 成形面
22,22A,22B 凸ビード(凸部)
3 下型
3a 成形面
3b 貫通孔
4 ブランクホルダ
42 凹溝(凹部)
5 上型ホルダ
6 下型ホルダ
6b 貫通孔
7 クッションピン
S 素材板
Sa 絞り成形部
Sb 挟圧部
SbA,SbB,SbC ビード部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20