特開2018-202518(P2018-202518A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-202518(P2018-202518A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】ノズルおよびワイヤ放電加工装置
(51)【国際特許分類】
   B23H 7/36 20060101AFI20181130BHJP
   B23H 7/02 20060101ALI20181130BHJP
【FI】
   B23H7/36 A
   B23H7/02 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-108441(P2017-108441)
(22)【出願日】2017年5月31日
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】三宅 英孝
(72)【発明者】
【氏名】橋本 隆
(72)【発明者】
【氏名】湯澤 隆
【テーマコード(参考)】
3C059
【Fターム(参考)】
3C059AA01
3C059AB05
3C059EE01
3C059EE03
(57)【要約】
【課題】ワイヤ電極の本数を減らした場合にも加工液の液圧の減少を抑えることのできるノズルを得ること。
【解決手段】本発明にかかるノズル20は、第1の方向に沿って延びるとともに第1の方向と垂直な第2の方向に並べて設けられた複数のワイヤ電極11を通過させる貫通孔21が形成されたノズル本体22と、貫通孔21の一端側の開口である一端側開口21aに嵌め込まれて一端側開口21aを部分的に閉塞する閉塞部材30と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に沿って延びるとともに前記第1の方向と垂直な第2の方向に並べて設けられた複数のワイヤ電極を通過させる貫通孔が形成されたノズル本体と、
前記貫通孔の一端側の開口である一端側開口に嵌め込まれて前記一端側開口を部分的に閉塞する閉塞部材と、を備えることを特徴とするノズル。
【請求項2】
前記ノズル本体は、前記貫通孔を跨いで分割可能とされた第1の部品と第2の部品とを有し、
前記閉塞部材は前記第1の部品と前記第2の部品とに挟み込まれて前記一端側開口に嵌め込まれることを特徴とする請求項1に記載のノズル。
【請求項3】
前記第1の部品および前記第2の部品には、前記閉塞部材と接する接面領域が設けられ、
前記第1の部品および前記第2の部品の少なくとも一方の前記接面領域には第1の嵌め合い部が形成され、
前記閉塞部材には第2の嵌め合い部が形成され、
前記閉塞部材が前記第1の部品および前記第2の部品に挟み込まれた状態において、前記第1の嵌め合い部と前記第2の嵌め合い部とが互いに嵌まり合うことを特徴とする請求項2に記載のノズル。
【請求項4】
前記第1の部品および前記第2の部品の少なくとも一方の前記接面領域に形成された前記第1の嵌め合い部は、前記第2の方向に沿って複数並べて形成され、
前記第2の嵌め合い部を嵌め合わせる前記第1の嵌め合い部を選択することで、前記閉塞部材が前記一端側開口を閉塞する箇所を変更可能であることを特徴とする請求項3に記載のノズル。
【請求項5】
前記第1の嵌め合い部は、前記接面領域に形成された凹部であり、
前記第2の嵌め合い部は、前記閉塞部材が前記第1の部品および前記第2の部品に挟み込まれた状態において前記凹部に嵌る凸部であることを特徴とする請求項3または4に記載のノズル。
【請求項6】
前記貫通孔は、前記一端側開口よりも前記貫通孔の他端側の開口である他端側開口側に前記一端側開口の開口面積よりも狭い断面積となる狭路部を有し、
前記凹部は、前記接面領域から前記第1の方向に沿って前記他端側開口に向けて延びて前記狭路部に至る延長凹部を有し、
前記凸部は、前記延長凹部に嵌る延長凸部を有し、
前記延長凸部は、前記狭路部に突出する狭路突出部を有することを特徴とする請求項5に記載のノズル。
【請求項7】
前記貫通孔は、前記一端側開口よりも前記貫通孔の他端側の開口である他端側開口側に前記一端側開口の開口面積よりも狭い断面積となる狭路部を有し、
前記凹部は、前記接面領域から前記第1の方向に沿って前記他端側開口に向けて延びて前記狭路部に至る延長凹部を有し、
前記凸部は、前記延長凹部に嵌る延長凸部を有し、
前記延長凸部は、前記接面領域と前記狭路部との間となる前記貫通孔の内面から突出する内面突出部を有することを特徴とする請求項5または6に記載のノズル。
【請求項8】
前記第1の嵌め合い部は、前記接面領域に形成された凸部であり、
前記第2の嵌め合い部は、前記閉塞部材が前記第1の部品および前記第2の部品に挟み込まれた状態において前記凸部が嵌る凹部であることを特徴とする請求項3に記載のノズル。
【請求項9】
前記第2の方向に沿った前記閉塞部材の幅は、前記第2の方向に沿った前記一端側開口の幅と等しく、
前記閉塞部材には、前記ワイヤ電極を通過させる溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のノズル。
【請求項10】
前記閉塞部材の表面が非導電性材料で構成されることを特徴とする請求項1から9のいずれか1つに記載のノズル。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1つに記載されたノズルと、
前記貫通孔を通過する前記ワイヤ電極の走行方向を変換させるロールと、
前記ワイヤ電極に電圧を印加する給電子と、を備えることを特徴とするワイヤ放電加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電加工時に加工液を噴出するノズルおよびそのノズルを用いたワイヤ放電加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
1本のワイヤ電極を複数個のロールに巻掛けて周回を繰り返すことで、複数本のワイヤ電極が並べて設けられたワイヤ放電加工装置がある。ワイヤ電極と被加工物との間でパルス放電を連続的に発生させることによって、被加工物が複数枚の薄板に切断される。ワイヤ放電加工装置では、特許文献1に示すように、切断箇所からの加工くずの排除および加工箇所でのワイヤ電極の冷却を図るために、切断箇所に向けて加工液を噴出するノズルが設けられている。特許文献1に開示されたノズルは、並べて設けられた複数本のワイヤ電極を貫通させる貫通孔が形成されており、その貫通孔の一端側である開口が加工液を噴出する噴出口となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5172019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記ノズルでは、加工液が噴出する噴出口の有効面積は、噴出口の面積から噴出口を通過する本数分のワイヤ電極の断面積を差し引いた面積となる。ワイヤ放電加工装置では、切断加工する被加工物の種類および形状によっては、例えば間隔を空けて複数の被加工物を配置して切断加工する場合がある。このような切断加工では、切断工程において被加工物を切断しないワイヤ電極、または切断工程における限られた期間だけ被加工物に近接してパルス放電を発生させるワイヤ電極が生じる場合がある。このようなワイヤ電極の存在は、ワイヤ電極に印加される電圧の安定化を阻害等し、加工性能の低下を招くおそれがある。そのため、貫通孔を貫通するワイヤ電極の本数を減らす場合がある。この場合、ワイヤ電極の本数が減ることで、噴出口の面積から差し引かれるワイヤ電極の断面積が小さくなり、噴出口の有効面積が大きくなる。噴出口の有効面積が大きくなることで、ノズルから噴出される加工液の液圧が減少する。加工液の液圧が減少することで、加工くずの排除能力および加工箇所でのワイヤ電極の冷却能力が低下し、加工性能が低下してしまう。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ワイヤ電極の本数を減らした場合にも加工液の液圧の減少を抑えることのできるノズルを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかるノズルは、第1の方向に沿って延びるとともに第1の方向と垂直な第2の方向に並べて設けられた複数のワイヤ電極を通過させる貫通孔が形成されたノズル本体と、貫通孔の一端側の開口である一端側開口に嵌め込まれて一端側開口を部分的に閉塞する閉塞部材と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明にかかるノズルによれば、ワイヤ電極の本数を減らした場合にも加工液の液圧の減少を抑えることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態1にかかるワイヤ放電加工装置の概略構成を示す図
図2図1に示した一対のノズルのうち、一方のノズル部分を拡大した部分拡大斜視図
図3図2に示したノズルをX−Z平面で切断した断面図
図4図1に示した一対のノズルのうち、一方のノズル部分を拡大した部分拡大斜視図であって、貫通孔を通過させるワイヤ電極の本数を異ならせた例を示す図
図5図4に示したノズル部分をさらに拡大した部分拡大斜視図
図6図5に示すノズル部分の分解斜視図
図7図6に示す第1の部品を貫通孔の内面側から見た図
図8図7に示すVIII−VIII線に沿って切断した断面図
図9図6に示す第2の部品を貫通孔の内面側から見た図
図10図9に示すX−X線で切断した断面図
図11図6に示した閉塞部材の斜視図
図12図11に示した閉塞部材の平面図
図13図11に示した閉塞部材の側面図
図14図11に示した閉塞部材の正面図
図15】実施の形態1における閉塞部材の変形例1を示す平面図
図16】変形例1にかかる閉塞部材の側面図
図17】変形例1にかかる閉塞部材の正面図
図18】実施の形態1における閉塞部材の変形例2を示す平面図
図19】変形例2にかかる閉塞部材の側面図
図20】実施の形態1における閉塞部材の変形例3を示す平面図
図21】変形例3にかかる閉塞部材の側面図
図22】変形例3にかかる閉塞部材の正面図
図23】本発明の実施の形態2にかかるノズルの分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施の形態にかかるノズルおよびワイヤ放電加工装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかるワイヤ放電加工装置の概略構成を示す図である。ワイヤ放電加工装置50は、ワイヤリール2を備える。ワイヤリール2には、ワイヤ電極11が巻き付けられている。ワイヤリール2は、第2の方向である矢印Yに示す方向に平行な回転軸を中心に回転可能とされている。ワイヤリール2は、回転することでワイヤ電極11を送り出す。
【0011】
ワイヤ放電加工装置50は、ワイヤリール4を備える。ワイヤリール4は、矢印Yに示す方向に平行な回転軸を中心に回転可能とされている。ワイヤリール4は、ワイヤリール2から送り出されたワイヤ電極11を、自身が回転することで巻き取る。なお、以下の説明において、ワイヤリール2,4が回転してワイヤ電極11が移動することをワイヤ電極11が走行すると称する。
【0012】
ワイヤ放電加工装置50は、矢印Yに示す方向に沿って見た場合に方形形状の角部となる位置に設けられたロール1a,1b,1c,1dを備える。ワイヤ電極11は、ワイヤリール2から送り出されてワイヤリール4に巻き取られるまでの間に、ロール1a,1b,1c,1dに巻掛けて周回が繰り返される。ロール1a,1b,1c,1dの表面には、ワイヤ電極11の巻き掛けピッチと同間隔で複数本の溝が形成されており、それぞれの溝内でワイヤが巻き掛る。これにより、ワイヤ電極11は、矢印Yに示す方向に沿って間隔を空けて並べられてロール1a,1b,1c,1dに接する。ワイヤ電極11はロール1a,1b,1c,1dに接して走行方向が変換される。本実施の形態1では、ロール1cとロール1dとの間を走行するワイヤ電極11を用いて被加工物5が切断加工される。
【0013】
ワイヤ放電加工装置50は、ロール1cとロール1dとの間に設けられた一対のノズル20を備える。一対のノズル20は、切断加工される被加工物5を挟んで対向するように設けられる。ノズル20からは切断加工中の被加工物5に向けて加工液が噴出される。ノズル20には、ロール1cとロール1dとの間を通る複数本のワイヤ電極11が貫通される。ノズル20の詳細な構成については後に説明する。なお、以下の説明において一対のノズル20に挟まれた領域を被加工物5が切断加工される加工領域と称する。
【0014】
ワイヤ放電加工装置50は、ノズル20よりもロール1d側に設けられたガイドローラ7aと、ノズル20よりもロール1c側に設けられたガイドローラ7bとを備える。ガイドローラ7a,7bには、ワイヤ電極11が嵌まる溝が形成されている。ワイヤ電極11は、ガイドローラ7a,7bに形成された溝に嵌ることで、加工領域においてワイヤ電極11同士の間隔がずれてしまうことが防がれる。
【0015】
ワイヤ放電加工装置50は、ガイドローラ7aよりもロール1d側に設けられた給電子6a,6bと、ガイドローラ7bよりもロール1c側に設けられた給電子6c,6dとを備える。給電子6a,6b,6c,6dはワイヤ電極11に接している。ワイヤ放電加工装置50は、給電子6a,6b,6c,6dに接続された加工電源10を備える。加工電源10は、給電子6a,6b,6c,6dを介してワイヤ電極11に電圧を印加する。これにより、加工領域を走行するワイヤ電極11に電圧が印加される。
【0016】
ワイヤ放電加工装置50は、加工領域を走行するワイヤ電極11と対向して設けられたステージ9を備える。ステージ9には被加工物5が載置可能とされる。ステージ9は、図示を省略した移動機構によって移動されることで、載置された被加工物5をワイヤ電極11側に移動させる。ステージ9のZ方向への移動によって、加工領域を走行するとともに電圧が印加されたワイヤ電極11と被加工物5とが近接し、ワイヤ電極11と被加工物5との間にパルス放電が発生することで被加工物5が切断加工される。切断加工の過程において、ワイヤリール2,4の回転によるワイヤ電極11の走行が継続して行われる。
【0017】
次に、ノズル20の詳細な構成について説明する。図2は、図1に示した一対のノズル20のうち、一方のノズル20部分を拡大した部分拡大斜視図である。ノズル20は、ワイヤ電極11を貫通させる貫通孔21が形成されたノズル本体22を備える。貫通孔21には、矢印Yに示す方向と垂直な第1の方向である矢印Xに示す方向に沿って延びるとともに、矢印Yに示す方向に並べられた複数のワイヤ電極11が貫通する。貫通孔21は、ワイヤ放電加工装置50において最大本数で並べたワイヤ電極11を貫通させることのできる幅で形成されている。
【0018】
ノズル本体22は、貫通孔21を跨いで矢印Xに示す方向および矢印Yに示す方向に垂直な矢印Zに示す方向に分割可能とされた第1の部品23と第2の部品24とを有している。第1の部品23には、加工液を供給する配管23aが接続されている。配管23aから加工液が供給されることで、貫通孔21の内部に加工液が注入される。
【0019】
図3は、図2に示したノズル20をX−Z平面で切断した断面図である。貫通孔21には、貫通孔21の一端側の開口である一端側開口21aから他端側の開口である他端側開口21bに向かう途中に段差が設けられている。この段差によって、矢印Zに示す方向に沿った貫通孔21の高さが、他端側開口21b側よりも一端側開口21a側のほうが高くなっている。したがって、一端側開口21aの面積よりも他端側開口21bの面積のほうが狭くなっている。また、貫通孔21のうち他端側開口21bから段差までの範囲は、一端側開口21aから段差までの範囲よりも断面積の小さい狭路部21cとなっている。
【0020】
貫通孔21の内部に注入されたほとんどの加工液は、他端側開口21bよりも面積が広い一端側開口21aから噴出される。すなわち、一端側開口21aが、加工液を噴出する噴出口となる。したがって、ノズル20は、噴出口となる一端側開口21aを加工領域に向けて設けられる。これにより、加工領域で加工されている被加工物の加工箇所に向けて一端側開口21aから加工液が噴出される。
【0021】
図4は、図1に示した一対のノズル20のうち、一方のノズル20部分を拡大した部分拡大斜視図であって、貫通孔21を通過させるワイヤ電極11の本数を異ならせた例を示す図である。
【0022】
図2に示した例では、ワイヤ電極11は貫通孔21の全域に矢印Yに示す方向に並べられて貫通している。一方、図4に示すように、被加工物5の形状等によっては、貫通孔21の幅の全域にワイヤ電極11を設けずに、一部のワイヤ電極11を間引いてワイヤ電極11の本数を減らす場合がある。例えば、図4に示すように、間隔をあけて複数の被加工物5をステージ9に載置した場合には、被加工物5を切断しないワイヤ電極11を間引く場合がある。ロール1a,1b,1c,1dに巻掛ける間隔を広げることで、不要なワイヤ電極11を間引くことができる。この場合、ワイヤ電極11が間引かれた範囲では、ロール1a,1b,1c,1dの表面に形成された溝にワイヤ電極11は巻掛けられない。これにより、ワイヤ電極11は等間隔ではなく不等間隔に並べられる。
【0023】
図5は、図4に示したノズル20部分をさらに拡大した部分拡大斜視図である。図6は、図5に示すノズル20部分の分解斜視図である。図7は、図6に示す第1の部品23を貫通孔21の内面側から見た図である。図8は、図7に示すVIII−VIII線に沿って切断した断面図である。図9は、図6に示す第2の部品24を貫通孔21の内面側から見た図である。図10は、図9に示すX−X線で切断した断面図である。
【0024】
図5および図6に示すように、ノズル20の一端側開口21aのうちワイヤ電極11が間引かれたことによってワイヤ電極11が通過しなくなった領域には閉塞部材30が設けられる。閉塞部材30は、第1の部品23と第2の部品24との間に挟み込まれることで一端側開口21aに嵌め込まれる。閉塞部材は、一端側開口21aに嵌め込まれることで、一端側開口21aの一部であるワイヤ電極11が通過しなくなった領域を閉塞する。閉塞部材30は、ワイヤ電極11との間での放電の発生を抑えるために、樹脂および絶縁性セラミック等の非導電性材料であることが望ましい。なお、導電性材料で作成された場合であっても、表面を非導電性材料で覆うことで、放電の発生を抑えることができる。
【0025】
図7および図8に示すように、第1の部品23のうち挟み込まれた閉塞部材30と接する接面領域25には、矢印Xに示す方向に沿って延びる第1の嵌め合い部である凹部26が形成されている。凹部26は、矢印Yに示す方向に沿って複数並べて形成されている。凹部26は、一端側開口21a側の端面および他端側開口21b側の端面には到達しない形状で形成されている。
【0026】
図9および図10に示すように、第2の部品24のうち挟み込まれた閉塞部材30と接する接面領域27には、矢印Xに示す方向に沿って延びる凹部28が形成されている。凹部28は、矢印Yに示す方向に沿って複数並べて形成されている。凹部28は、一端側開口21a側の端面および他端側開口21b側の端面には到達しない形状で形成されている。
【0027】
第2の部品24に形成された凹部28は、接面領域27から矢印Xに示す方向に沿って他端側開口21bに向けて延びた延長凹部28aを有する。延長凹部28aは、狭路部21cまで延びている。
【0028】
図11は、図6に示した閉塞部材30の斜視図である。図12は、図11に示した閉塞部材30の平面図である。図13は、図11に示した閉塞部材30の側面図である。図14は、図11に示した閉塞部材30の正面図である。閉塞部材30は、直方体形状であって第1の部品23と第2の部品24とに挟み込まれて一端側開口21aの一部を閉塞させる閉塞部本体31を有する。閉塞部本体31には、第1の部品23と第2の部品24とに挟み込まれた状態で第1の部品23の凹部26に嵌る第2の嵌め合い部である第1の凸部32が形成されている。
【0029】
また、閉塞部本体31には、第1の部品23と第2の部品24とに挟み込まれた状態で第2の部品24の凹部28に嵌る第2の嵌め合い部である第2の凸部33が形成されている。第1の凸部32および第2の凸部33は、凹部26,28と同様に矢印Xに示す方向に延びる形状となっている。
【0030】
第2の凸部33は、第2の部品24の延長凹部28aに嵌る延長凸部33aを有している。延長凸部33aには、狭路部21cに突出する狭路突出部34が設けられている。また、延長凸部33aには、狭路部21cと接面領域27との間で貫通孔21の内面から突出する内面突出部35が設けられている。
【0031】
図4等に示すように、ワイヤ電極11を間引いた場合には、ワイヤ電極11が通過しない一端側開口21a部分から噴出される加工液は、切断箇所である極間に供給されないため、加工性能の向上には寄与しない。また、ワイヤ電極11が間引かれた分だけ、一端側開口21aのうち加工液が噴出される部分の有効面積が大きくなってしまう。これにより、噴出される加工液の液圧が減少することで、加工くずの排除能力および切断箇所でのワイヤ電極11の冷却能力が低下し、加工性能が低下するおそれがある。しかしながら、本実施の形態1にかかるノズル20では、ワイヤ電極11が間引かれた部分に閉塞部材30を設けることで、一端側開口21aのうち加工液が噴出される部分の有効面積を小さくして、加工液の液圧の維持を図ることができる。これにより、より確実に加工液を極間に到達させて加工性能の低下を抑制することができる。
【0032】
また、第1の部品23および第2の部品24に複数の凹部26,28が形成されているため、閉塞部材30の位置および個数をワイヤ電極11の配列状況に合わせて容易に位置決めして配置することができる。すなわち、閉塞部材30に形成された第1の凸部32および第2の凸部33を嵌め合わせる凹部26,28を選択することで、閉塞部材30が一端側開口21aを閉塞する箇所を変更することができる。したがって、異なるワイヤ電極11の配列状況に合わせた異なるノズルを用意する必要がないため、製造コストの抑制を図ることができる。また、第1の部品23を取り外したうえで、ワイヤ電極11の配列状態を見ながら閉塞部材30を配置することができるため、ワイヤ電極11の配列状態を異ならせた場合の段取り換えの容易化を図ることができる。
【0033】
また、第1の部品23および第2の部品24に形成された凹部26,28が矢印Xに示す方向に延び、凹部26,28に嵌る第1の凸部32および第2の凸部33も矢印Xに示す方向に延びているため、第1の部品23と第2の部品24とに挟み込まれた閉塞部材30が、X−Y平面内で回転してしまうことを防ぐことができる。また、第1の凸部32および第2の凸部33が凹部26,28に嵌ることで、閉塞部材30が加工液の液圧によって貫通孔21から押し出されることを防ぐことができる。なお、第1の部品23および第2の部品24のいずれか一方に凹部が形成され、閉塞部材30にはその凹部に嵌る凸部が形成されていれば、閉塞部材30のX−Y平面内での回転および貫通孔21から押し出されることを防ぐことができる。
【0034】
また、閉塞部材30に形成された第2の凸部33には、狭路部21cに突出する狭路突出部34が設けられている。狭路部21cに突出した狭路突出部34によって、他端側開口21b側に形成された狭路部21cにおける貫通孔21の断面積を小さくすることができる。これにより、他端側開口21bからの加工液の漏れを抑えて、一端側開口21aから噴出される加工液の液圧の維持を図ることができる。
【0035】
また、閉塞部材30に形成された第2の凸部33には、狭路部21cと接面領域27との間で貫通孔21の内面から突出する内面突出部35が設けられている。貫通孔21の内面から突出する内面突出部35によって、貫通孔21の内部での加工液の流れが一端側開口21aに向くように整流させることができる。これにより、貫通孔21の内部で加工液が円滑に一端側開口21aに向けて流れるようになるため、一端側開口21aから噴出される加工液の液圧の維持を図ることができる。
【0036】
なお、第1の部品23と第2の部品24とが分割される方向は矢印Zに示す方向に限らない。また、第1の部品23および第2の部品24の少なくとも一方に形成された凸部が第1の嵌め合い部となり、閉塞部材30に形成された凹部が第2の嵌め合い部となってもよい。
【0037】
図15は、実施の形態1における閉塞部材30の変形例1を示す平面図である。図16は、変形例1にかかる閉塞部材30の側面図である。図17は、変形例1にかかる閉塞部材30の正面図である。変形例1にかかる閉塞部材30は、矢印Yに示す方向における閉塞部本体31の長さが、図11に示した閉塞部材30の閉塞部本体31よりも長くなっている。また、変形例1にかかる閉塞部材30は、第1の凸部32および第2の凸部33の矢印Yに示す方向における位置が、閉塞部本体31の中心位置からずれた位置となっている。これにより、第1の凸部32および第2の凸部33に対して矢印Yに示す方向に沿った一方側で、図11に示した閉塞部材30よりも多くの領域で一端側開口21aを閉塞させることができる。
【0038】
図18は、実施の形態1における閉塞部材30の変形例2を示す平面図である。図19は、変形例2にかかる閉塞部材30の側面図である。変形例2では、第2の凸部33に延長凸部33aが設けられていない。この場合、他端側開口21bからの加工液の流出を抑える効果、および加工液の流れを一端側開口21aに向ける整流効果を得ることはできないものの、閉塞部材30の形状の単純化および小型化を図ることができる。これにより、加工費用の抑制および保管スペースの削減を図ることができる。
【0039】
図20は、実施の形態1における閉塞部材30の変形例3を示す平面図である。図21は、変形例3にかかる閉塞部材30の側面図である。図22は、変形例3にかかる閉塞部材30の正面図である。変形例3にかかる閉塞部材30では、第1の凸部32が、矢印Xに示す方向に並べて形成された円柱形状の2本の柱部36で構成されている。また、第2の凸部33が、矢印Xに示す方向に並べて形成された円柱形状の2本の柱部36で構成されている。図示は省略するが、第1の部品23および第2の部品24に形成される凹部も、矢印Xに示す方向に並べて形成されて柱部36が嵌まる2つの円形の穴を一組とし、複数組の円形の穴が矢印Yに示す方向に並べて形成される。
【0040】
円形の穴を形成する加工は、図6等に示すように矢印Xに示す方向に沿って延びる凹部を形成するよりも加工費用を抑えやすい。また、矢印Xに示す方向に並べて柱部36が形成されているので、第1の部品23および第2の部品24に挟み込まれた閉塞部材30がX−Y平面内で回転することを防ぐことができる。
【0041】
実施の形態2.
図23は、本発明の実施の形態2にかかるノズルの分解斜視図である。なお、上記実施の形態1と同様の構成については、同様の符号を付して詳細な説明を省略する。実施の形態2にかかるノズル120では、閉塞部材130の幅が、一端側開口21aの幅と等しい。また、閉塞部材130には、ワイヤ電極11を通過させる溝130aが形成されている。
【0042】
この閉塞部材130を、第1の部品23および第2の部品24で挟み込むことで、一端側開口21aのうち、ワイヤ電極11が通過する溝130a以外の部分を閉塞することができる。これにより、一端側開口21aから噴出される加工液の液圧の維持を図り、加工性能の低下を抑えることができる。また、1つの閉塞部材130の入れ換えだけで、一端側開口21aの一部を閉塞することができるので、段取り換えの容易化を図ることができる。
【0043】
なお、本実施の形態2にかかる閉塞部材130にも凸部132が形成されている。第1の部品23および第2の部品24に形成された凹部26,28に凸部132が嵌まることで、閉塞部材130が加工液の液圧によって貫通孔21から押し出されることを防ぐことができる。この凸部132と凹部26,28で嵌め合い部が構成される。なお、閉塞部材130に形成された凹部と、第1の部品23および第2の部品24に形成された凸部とで嵌め合い部が構成されてもよい。
【0044】
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0045】
1a,1b,1c,1d ロール、2,4 ワイヤリール、5 被加工物、6a,6b,6c,6d 給電子、7a,7b ガイドローラ、9 ステージ、10 加工電源、11 ワイヤ電極、20 ノズル、21 貫通孔、21a 一端側開口、21b 他端側開口、21c 狭路部、22 ノズル本体、23 第1の部品、23a 配管、24 第2の部品、25,27 接面領域、26,28 凹部、28a 延長凹部、30 閉塞部材、31 閉塞部本体、32 第1の凸部、33 第2の凸部、33a 延長凸部、34 狭路突出部、35 内面突出部、36 柱部、50 ワイヤ放電加工装置、120 ノズル、130 閉塞部材、130a 溝、132 凸部。
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