特開2018-202531(P2018-202531A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2018-202531安全制御装置、安全制御装置の制御方法、情報処理プログラム、および記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-202531(P2018-202531A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】安全制御装置、安全制御装置の制御方法、情報処理プログラム、および記録媒体
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/06 20060101AFI20181130BHJP
【FI】
   B25J19/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2017-109255(P2017-109255)
(22)【出願日】2017年6月1日
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】竹島 昌俊
(72)【発明者】
【氏名】谷 喜東
(72)【発明者】
【氏名】尾さこ 一功
(72)【発明者】
【氏名】樋口 敏之
(72)【発明者】
【氏名】橋本 実
(72)【発明者】
【氏名】神園 大知
(72)【発明者】
【氏名】赤木 哲也
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707KS11
3C707KT03
3C707KT06
3C707KV09
3C707LV01
3C707LV02
3C707MS06
3C707MS28
(57)【要約】
【課題】作業者の安全を確保しつつ機械の稼働率低下を抑制できる検出区域を設定する。
【解決手段】安全コントローラ(10)は、作業者(P)が侵入したと判定すると安全動作を実行する検出区域(DZ)を、作業者(P)ごとに設定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械の動作空間と作業者の作業空間とが重なる領域を含む危険領域において検出区域内に前記作業者が侵入したと判定すると安全動作を実行する安全制御装置であって、
前記危険領域内に同時に存在する複数の前記作業者の各々の識別情報を取得する取得部と、
前記取得部によって前記識別情報が取得された前記作業者ごとに、前記検出区域を設定する設定部と、
前記取得部によって前記識別情報が取得された複数の前記作業者の各々の、前記危険領域における位置を特定する位置特定部と、を備え、
前記取得部によって前記識別情報が取得された複数の前記作業者のうち少なくとも一人が、前記設定部によって前記少なくとも一人の作業者について設定された前記検出区域内に侵入すると、前記安全動作を実行することを特徴とする安全制御装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記危険領域を撮影した画像、および、前記作業者が携帯する無線タグであって、前記作業者の識別情報を格納した無線タグからの信号の少なくとも一方を用いて、前記危険領域内の前記作業者の識別情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の安全制御装置。
【請求項3】
前記取得部によって前記識別情報が取得された前記作業者が、前記設定部によって前記作業者について設定された前記検出区域内に侵入すると、前記作業者が、前記作業者について設定された前記検出区域内に侵入した旨を、前記検出区域内に侵入した前記作業者に報知する報知部をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の安全制御装置。
【請求項4】
前記取得部によって前記識別情報が取得された前記作業者に、前記設定部によって前記作業者について設定された前記検出区域を通知する通知部をさらに備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の安全制御装置。
【請求項5】
前記通知部は、前記作業者の装着するウェアラブル表示端末に、前記設定部によって前記作業者について設定された前記検出区域を表示させ、
前記取得部は、前記ウェアラブル表示端末の備えるタグであって、前記作業者の識別情報が記載されたタグから、前記作業者の識別情報を取得することを特徴とする請求項4に記載の安全制御装置。
【請求項6】
前記設定部は、少なくとも2台のカメラによって撮影された前記危険領域の撮影画像を用いて、三次元の前記検出区域を設定することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の安全制御装置。
【請求項7】
機械の動作空間と作業者の作業空間とが重なる領域を含む危険領域において検出区域内に前記作業者が侵入したと判定すると安全動作を実行する安全制御装置の制御方法であって、
前記危険領域内に同時に存在する複数の前記作業者の各々の識別情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにて前記識別情報が取得された前記作業者ごとに、前記検出区域を設定する設定ステップと、
前記取得ステップにて前記識別情報が取得された複数の前記作業者の各々の、前記危険領域における位置を特定する位置特定ステップと、を含み、
前記取得ステップにて前記識別情報が取得された複数の前記作業者のうち少なくとも一人が、前記設定ステップにて前記少なくとも一人の作業者について設定された前記検出区域内に侵入すると、前記安全動作を実行することを特徴とする制御方法。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか1項に記載の安全制御装置としてコンピュータを機能させるための情報処理プログラムであって、前記各部としてコンピュータを機能させるための情報処理プログラム。
【請求項9】
請求項8に記載の情報処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械の動作空間と作業者の作業空間とが重なる領域を含む危険領域における前記作業者の安全を確保するための安全制御装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機械の動作空間と作業者の作業空間とが重なる領域を含む危険領域において、検出区域内に前記作業者が存在すると判定すると安全動作を実行する安全制御装置が知られている。下掲の特許文献1には、作業者の位置について考慮した上でロボットの駆動制御を行なうロボット制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−61924号公報(2007年3月15日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような従来技術は、前記危険領域において作業を行なう作業者ごとに、その作業者の安全を確保しつつ、機械の稼働率の低下を抑制するための最適な検出区域を設定することができないという問題がある。
【0005】
本発明の一態様は、機械の動作空間と作業者の作業空間とが重なる領域を含む危険領域において作業を行なう作業者ごとに、その作業者の安全を確保しつつ、機械の稼働率の低下を抑制するための最適な検出区域を設定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る安全制御装置は、機械の動作空間と作業者の作業空間とが重なる領域を含む危険領域において検出区域内に前記作業者が侵入したと判定すると安全動作を実行する安全制御装置であって、前記危険領域内に同時に存在する複数の前記作業者の各々の識別情報を取得する取得部と、前記取得部によって前記識別情報が取得された前記作業者ごとに、前記検出区域を設定する設定部と、前記取得部によって前記識別情報が取得された複数の前記作業者の各々の、前記危険領域における位置を特定する位置特定部と、を備え、前記取得部によって前記識別情報が取得された複数の前記作業者のうち少なくとも一人が、前記設定部によって前記少なくとも一人の作業者について設定された前記検出区域内に侵入すると、前記安全動作を実行することを特徴としている。
【0007】
前記の構成によれば、前記安全制御装置は、前記検出区域を前記作業者ごとに設定し、複数の前記作業者のうち少なくとも一人が、前記少なくとも一人の作業者について設定された前記検出区域内に侵入すると、前記安全動作を実行する。前記安全制御装置は、例えば、3人の作業者P01、P02、およびP101ごとに、検出区域DZ01、DZ02、およびDZ101を設定する。そして、前記安全制御装置は、3人の作業者P01、P02、およびP101の少なくとも一人(例えば、作業者P02)が、その作業者について設定した検出区域(例えば、検出区域DZ02)内に侵入すると、前記安全動作を実行する。
【0008】
ここで、例えば、機械の動作についての知識、担当する作業の内容、作業の熟練度、体型などの特性は、作業者ごとに様々である。そして、これらの特性に応じて、安全を十分に確保して作業を行なうために必要な「機械との距離(つまり、検出領域)」も、様々であることが想定できる。具体的には、機械の動作について熟知しており、作業の熟練度も高い作業者であれば、機械との距離がある程度近くても、安全を十分に確保して作業を行なうことができるであろう。これに対して、機械の動作についての知識が十分ではなく、また、作業に不慣れな作業者であれば、安全を十分に確保して作業を行なうには、機械から遠く離れる必要があると考えられる。
【0009】
従来、機械の動作空間と作業者の作業空間とが重なる危険領域において作業者の安全を確保するための検出区域(つまり、機械との距離)は、作業を行なう作業者ごとの上述の特性を考慮したものではなかった。具体的には、従来は、作業を行なう作業者ごとの上述の特性に関わらず、どのような作業者でも安全を十分に確保して作業を行なうことができるように、最も安全を確保することのできる「機械からの距離」に相当する検出領域を設定していた。言い換えれば、従来の安全制御装置は、「機械の動作について熟知しており、作業の熟練度も高い作業者」が、「機械の動作についての知識が十分ではなく、また、作業に不慣れな作業者」の安全を確保するための検出領域に侵入した場合にも、安全動作を実行した。そのため、従来の安全制御装置は、頻繁に機械を休止等させ、機械の稼働率を低下させてしまうという問題があった。
【0010】
前記の構成によれば、前記安全制御装置は、複数の前記作業者の各々を識別し、前記作業者ごとに前記検出区域を設定する。そして、前記安全制御装置は、前記危険領域内に同時に存在する複数の前記作業者の各々の位置を特定し、或る作業者が、その或る作業者について設定された検出区域内に侵入すると、前記安全動作を実行する。
【0011】
前記安全制御装置は、例えば、「機械の動作について熟知しており、作業の熟練度も高い作業者」と、「機械の動作についての知識が十分ではなく、また、作業に不慣れな作業者」とについて、異なる前記検出区域を設定する。そして、前記安全制御装置は、「機械の動作について熟知しており、作業の熟練度も高い作業者」が、「機械の動作についての知識が十分ではなく、また、作業に不慣れな作業者」の安全を確保するための検出領域に侵入しただけでは、安全動作を実行しない。つまり、前記安全制御装置は、前記作業者ごとに、前記作業者の安全を確保するために必要な場合にのみ安全動作を実行する(例えば、機械を休止等させる)ので、前記機械の稼働率の低下を抑制することができる。
【0012】
したがって、前記安全制御装置は、複数の前記作業者について、前記作業者ごとに、前記作業者の安全を確保しつつ、前記機械の稼働率の低下を抑制するために最適な、前記検出区域を設定することができるという効果を奏する。言い換えれば、前記安全制御装置は、機械の動作についての知識、担当する作業の内容、作業の熟練度、体型などの特性が異なる複数の前記作業者が同時に前記危険領域内に存在する場合であっても、前記作業者ごとに最適な前記安全動作を実行し、前記機械の稼働率の低下を抑制することができるという効果を奏する。
【0013】
本発明に係る安全制御装置において、前記取得部は、前記危険領域を撮影した画像、および、前記作業者が携帯する無線タグであって、前記作業者の識別情報を格納した無線タグからの信号の少なくとも一方を用いて、前記危険領域内の前記作業者の識別情報を取得してもよい。
【0014】
前記の構成によれば、前記安全制御装置は、前記危険領域を撮影した画像、および、前記作業者が携帯する無線タグであって、前記作業者の識別情報を格納した無線タグからの信号の少なくとも一方を用いて、前記危険領域内の前記作業者の識別情報を取得する。
【0015】
ここで、前記危険領域に立ち入る者を管理する等の目的のために、その者の識別情報等を格納した無線タグを携帯させることは従来から一般的である。したがって、そのような無線タグから、前記安全制御装置は前記作業者の識別情報を容易に取得できるので、前記安全制御装置を用いた安全管理を実現するための追加コストを抑制することができる。
【0016】
また、前記危険領域を監視する等の目的のために、前記作業者が作業している前記危険領域を撮影することも従来から一般的である。したがって、前記危険領域を撮影した画像から、前記安全制御装置は前記作業者の識別情報を容易に取得できるので、前記安全制御装置を用いた安全管理を実現するための追加コストを抑制することができる。
【0017】
したがって、前記安全制御装置は、前記画像、および、前記無線タグからの信号の少なくとも一方を用いて、前記危険領域内の前記作業者の識別情報を、実現コストを抑えて容易に取得することができるという効果を奏する。
【0018】
本発明に係る安全制御装置は、前記取得部によって前記識別情報が取得された前記作業者が、前記設定部によって前記作業者について設定された前記検出区域内に侵入すると、前記作業者が、前記作業者について設定された前記検出区域内に侵入した旨を、前記検出区域内に侵入した前記作業者に報知する報知部をさらに備えてもよい。
【0019】
前記の構成によれば、前記安全制御装置は、前記取得部によって前記識別情報が取得された前記作業者が、前記設定部によって前記作業者について設定された前記検出区域内に侵入すると、前記作業者が、前記作業者について設定された前記検出区域内に侵入した旨を、前記検出区域内に侵入した前記作業者に報知する。
【0020】
前述の通り、前記安全制御装置は、前記作業者ごとに前記検出区域を設定し、前記作業者ごとに最適な前記安全動作を実行する。例えば、複数の前記作業者が同時に前記危険領域内に存在している状態で前記安全動作が実行された場合、前記検出区域は前記作業者ごとに設定されているため、どの作業者が原因となって前記安全動作が実行されたのかを把握するのが困難になり得る。
【0021】
そのような事態を回避するため、前記安全制御装置は、或る作業者が、その或る作業者について設定された検出区域内に侵入すると、その或る作業者が、その或る作業者について設定された検出区域内に侵入した旨を、その或る作業者に報知する。
【0022】
したがって、前記安全制御装置は、例えば、複数の前記作業者が同時に前記危険領域内に存在している状態で前記安全動作が実行された場合であっても、どの前記作業者が原因となって前記安全動作が実行されたのかを、原因となったその前記作業者に報知することができるという効果を奏する。
【0023】
本発明に係る安全制御装置は、前記取得部によって前記識別情報が取得された前記作業者に、前記設定部によって前記作業者について設定された前記検出区域を通知する通知部をさらに備えてもよい。
【0024】
前記の構成によれば、前記安全制御装置は、前記取得部によって前記識別情報が取得された前記作業者に、前記設定部によって前記作業者について設定された前記検出区域を通知する。
【0025】
前述の通り、前記安全制御装置は、前記作業者ごとに前記検出区域を設定するため、前記作業者は、自身に固有の前記検出区域を把握することが困難となり得る。
【0026】
そのような事態を回避するため、前記安全制御装置は、或る作業者が、その或る作業者について設定された検出区域を、その或る作業者に通知する。
【0027】
したがって、前記安全制御装置は、前記作業者ごとに設定した前記検出区域を、前記作業者ごとに通知することができるという効果を奏する。
【0028】
本発明に係る安全制御装置において、前記通知部は、前記作業者の装着するウェアラブル表示端末に、前記設定部によって前記作業者について設定された前記検出区域を表示させ、
前記取得部は、前記ウェアラブル表示端末の備えるタグであって、前記作業者の識別情報が記載されたタグから、前記作業者の識別情報を取得してもよい。
【0029】
前記の構成によれば、前記安全制御装置は、前記作業者の装着するウェアラブル表示端末に、前記作業者について設定された前記検出区域を表示させ、また、前記ウェアラブル表示端末の備えるタグから前記作業者の識別情報を取得する。
【0030】
したがって、前記安全制御装置は、前記作業者ごとに設定した前記検出区域を、前記作業者ごとに、前記作業者の装着するウェアラブル表示端末に表示させて通知することができるという効果を奏する。
【0031】
また、前記安全制御装置は、前記作業者の装着するウェアラブル表示端末の備えるタグから前記作業者の識別情報を取得することができるという効果を奏する。
【0032】
本発明に係る安全制御装置において、前記設定部は、少なくとも2台のカメラによって撮影された前記危険領域の撮影画像を用いて、三次元の前記検出区域を設定してもよい。
【0033】
前記の構成によれば、前記安全制御装置は、少なくとも2台のカメラによって撮影された前記危険領域の撮影画像を用いて、三次元の前記検出区域を設定する。
【0034】
したがって、前記安全制御装置は、前記作業者ごとに、前記作業者の体型(例えば、身長など)等を考慮した三次元の前記検出区域を設定し、前記作業者ごとに最適な前記安全動作を実行することができるという効果を奏する。
【0035】
上記の課題を解決するために、本発明に係る制御方法は、機械の動作空間と作業者の作業空間とが重なる領域を含む危険領域において検出区域内に前記作業者が侵入したと判定すると安全動作を実行する安全制御装置の制御方法であって、前記危険領域内に同時に存在する複数の前記作業者の各々の識別情報を取得する取得ステップと、前記取得ステップにて前記識別情報が取得された前記作業者ごとに、前記検出区域を設定する設定ステップと、前記取得ステップにて前記識別情報が取得された複数の前記作業者の各々の、前記危険領域における位置を特定する位置特定ステップと、を含み、前記取得ステップにて前記識別情報が取得された複数の前記作業者のうち少なくとも一人が、前記設定ステップにて前記少なくとも一人の作業者について設定された前記検出区域内に侵入すると、前記安全動作を実行することを特徴としている。
【0036】
前記の方法によれば、前記制御方法は、前記検出区域を前記作業者ごとに設定し、複数の前記作業者のうち少なくとも一人が、前記少なくとも一人の作業者について設定された前記検出区域内に侵入すると、前記安全動作を実行する。前記制御方法は、例えば、3人の作業者P01、P02、およびP101ごとに、検出区域DZ01、DZ02、およびDZ101を設定する。そして、前記制御方法は、3人の作業者P01、P02、およびP101の少なくとも一人(例えば、作業者P02)が、その作業者について設定した検出区域(例えば、検出区域DZ02)内に侵入すると、前記安全動作を実行する。
【0037】
ここで、例えば、機械の動作についての知識、担当する作業の内容、作業の熟練度、体型などの特性は、作業者ごとに様々である。そして、これらの特性に応じて、安全を十分に確保して作業を行なうために必要な「機械との距離(つまり、検出領域)」も、様々であることが想定できる。具体的には、機械の動作について熟知しており、作業の熟練度も高い作業者であれば、機械との距離がある程度近くても、安全を十分に確保して作業を行なうことができるであろう。これに対して、機械の動作についての知識が十分ではなく、また、作業に不慣れな作業者であれば、安全を十分に確保して作業を行なうには、機械から遠く離れる必要があると考えられる。
【0038】
従来、機械の動作空間と作業者の作業空間とが重なる危険領域において作業者の安全を確保するための検出区域(つまり、機械との距離)は、作業を行なう作業者ごとの上述の特性を考慮したものではなかった。具体的には、従来は、作業を行なう作業者ごとの上述の特性に関わらず、どのような作業者でも安全を十分に確保して作業を行なうことができるように、最も安全を確保することのできる「機械からの距離」に相当する検出領域を設定していた。言い換えれば、従来の安全制御装置の制御方法は、「機械の動作について熟知しており、作業の熟練度も高い作業者」が、「機械の動作についての知識が十分ではなく、また、作業に不慣れな作業者」の安全を確保するための検出領域に侵入した場合にも、安全動作を実行した。そのため、従来の安全制御装置の制御方法は、頻繁に機械を休止等させ、機械の稼働率を低下させてしまうという問題があった。
【0039】
前記の構成によれば、前記制御方法は、複数の前記作業者の各々を識別し、前記作業者ごとに前記検出区域を設定する。そして、前記制御方法は、前記危険領域内に同時に存在する複数の前記作業者の各々の位置を特定し、或る作業者が、その或る作業者について設定された検出区域内に侵入すると、前記安全動作を実行する。
【0040】
前記制御方法は、例えば、「機械の動作について熟知しており、作業の熟練度も高い作業者」と、「機械の動作についての知識が十分ではなく、また、作業に不慣れな作業者」とについて、異なる前記検出区域を設定する。そして、前記制御方法は、「機械の動作について熟知しており、作業の熟練度も高い作業者」が、「機械の動作についての知識が十分ではなく、また、作業に不慣れな作業者」の安全を確保するための検出領域に侵入しただけでは、安全動作を実行しない。つまり、前記制御方法は、前記作業者ごとに、前記作業者の安全を確保するために必要な場合にのみ安全動作を実行する(例えば、機械を休止等させる)ので、前記機械の稼働率の低下を抑制することができる。
【0041】
したがって、前記制御方法は、複数の前記作業者について、前記作業者ごとに、前記作業者の安全を確保しつつ、前記機械の稼働率の低下を抑制するために最適な、前記検出区域を設定することができるという効果を奏する。言い換えれば、前記制御方法は、機械の動作についての知識、担当する作業の内容、作業の熟練度、体型などの特性が異なる複数の前記作業者が同時に前記危険領域内に存在する場合であっても、前記作業者ごとに最適な前記安全動作を実行し、前記機械の稼働率の低下を抑制することができるという効果を奏する。
【発明の効果】
【0042】
本発明の一態様によれば、機械の動作空間と作業者の作業空間とが重なる領域を含む危険領域において作業を行なう作業者ごとに、その作業者の安全を確保しつつ、機械の稼働率の低下を抑制するための最適な検出区域を設定することができるとの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本発明の実施形態1に係る安全コントローラの要部構成を示すブロック図である。
図2図1の安全コントローラを含む安全制御システムの全体概要を示す図である。
図3図1の安全コントローラの記憶部に格納される各種情報のデータ構造の一例を示す図である。
図4図1の安全コントローラの実行する処理の全体概要を示すフロー図である。
図5図1の安全コントローラの実行する画像解析処理の一例を示すフロー図である。
図6図1の安全コントローラが作業者ごとに設定した検出区域の一例を示す図である。
図7図1の安全コントローラが、図6に例示した検出区域を用いて、安全制御を実行する例を示す図である。
図8図1の安全コントローラが作業者ごとに設定する、図6に示した例とは異なる検出区域の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
〔実施形態1〕
以下、本発明の実施形態1について、図1から図8に基づいて詳細に説明する。図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。本発明の一態様に係る安全コントローラ10に係る理解を容易にするため、先ず、安全コントローラ10を含む安全制御システム1の概要を、図2を用いて説明する。
【0045】
(安全制御システムの概要)
図2は、安全コントローラ10を含む安全制御システム1の全体概要を示す図である。安全制御システム1は、機械20の動作空間と作業者Pの作業空間とが重なる領域を含む危険領域における作業者Pの安全を確保するための制御システムである。安全制御システム1は、図2に示すように、安全コントローラ10、機械20、IDタグ30、コントローラ40、報知装置50、撮影装置60、および通知装置70を含んでいる。
【0046】
なお、図2に示す例では、3台の機械20が動作する危険領域が示されているが、以下の説明においては、安全制御システム1についての理解を容易にするため、1台の機械20の周囲に、3人の作業者Pが存在している危険領域の例を用いて説明を行なっていく。ただし、当然、安全コントローラ10は、複数の機械20が動作する危険領域に対しても、1台の機械20が動作する危険領域に対してと同様に、作業者Pの安全を確保できる。
【0047】
以下の説明においては、具体的には、機械20の周囲に、作業者P01、P02、およびP101という3人の作業者Pが居る危険領域の例を用いて説明を行なっていく。作業者P01は、「ID=01」を示すIDタグ30(01)を携帯した、「熟練度=熟練者」の作業者であるものとする。また、作業者P02は、「ID=02」を示すIDタグ30(02)を携帯した、「熟練度=初心者」の作業者であるものとする。さらに、作業者P101は、IDの付与されていない見学者であるものとする。
【0048】
作業者P01、P02、およびP101の各々は、現在位置CP01、CP02、およびCP101で示される空間領域を現在占有している。言い換えれば、作業者P01、P02、およびP101の各々が現在居る位置は、現在位置CP01、CP02、およびCP101である。
【0049】
なお、以下の説明において、作業者P01、P02、およびP101の各々を特に区別する必要がない場合は、単に「作業者P」と称する。同様に、IDタグ30(01)および30(02)の各々を特に区別する必要がない場合は、単に「IDタグ30」と称する。さらに、現在位置CP01、CP02、およびCP101の各々を特に区別する必要がない場合は、単に「現在位置CP」と称する。
【0050】
安全コントローラ10は、機械20の動作空間と作業者Pの作業空間とが重なる領域を含む危険領域において検出区域DZ(Detection Zone)内に作業者Pが侵入したと判定すると安全動作を実行する安全制御装置である。具体的には、安全コントローラ10は、検出区域DZ内に作業者Pが侵入したと判定すると、安全制御信号をコントローラ40に出力することによって、コントローラ40に、機械20の動作の停止、動作速度の変更、および動作方向の変更等を実行させる。
【0051】
ここで、従来の安全制御システムにおいては、機械20の周囲に、役割および習熟度等の異なる複数の作業者Pが同時に存在する場合に、全ての作業者Pについて最も安全を確保することのできる検出区域DZを1つだけ設定していた。そのため、機械20に接近して作業をする資格のある作業者P(例えば、熟練度=熟練者である作業者P01)が機械20に接近して作業をする場合にも、機械20を休止させねばならず、機械20の稼働率が低下するという問題があった。
【0052】
安全制御システム1においては、複数の作業者Pの各々を識別する機能を安全コントローラ10が備え、複数の作業者Pの各々に紐付けされた複数の検出区域DZを設定する。安全コントローラ10は、機械20に接近できる度合い(=距離。つまり、検出区域DZ)を作業者Pごとに設定する。そして、安全コントローラ10は、資格のある作業者Pが所定距離まで(つまり、その作業者Pのために設定された検出区域DZまで)機械20に接近して作業をする場合には、安全コントローラ10は、機械20を休止させない。したがって、安全コントローラ10は、機械20の周囲で作業を行なう作業者Pごとに最適な検出区域DZを設定して安全動作を実行するので、機械20の稼働率を低下させることを防ぐことができる。
【0053】
安全コントローラ10は、作業者Pごとに異なる検出区域DZを設定でき、また、或る作業者Pがその或る作業者Pについて設定された検出区域DZ内に侵入すると、その或る作業者Pだけに、侵入(=「あなたが原因で機械20を止めたよ!」)を通知する。
【0054】
安全制御システム1において安全コントローラ10は、機械20の動作する領域に作業者Pが侵入したときに機械20を停止等させることを目的とした、画像による人体検出装置と捉えることができる。安全コントローラ10は、複数の作業者Pの各々を識別し、検出区域DZを作業者Pごとに設定することによって、例えば、作業者Pが熟練者であるか、初心者であるかに応じて、安全動作の実行条件を変更する。
【0055】
安全コントローラ10は、作業者Pごとに最適な検出区域DZを設定するとともに、検出区域DZに接近する作業者Pの各々を区別する。したがって、熟練度、担当している役割、および能力等の特性が異なる複数の作業者Pが同時に機械20の周囲で作業する場合にも、複数の作業者Pの各々は、各々の検出区域DZを利用して、機械20を停止等させることなく安全に作業を行なうことができる。
【0056】
機械20は、例えばプレス機、ロボットアームなどの自動化機械(生産設備)であり、コントローラ40の制御に従って動作する。機械20は、コントローラ40の制御に従って、例えば、動作の停止、動作速度の変更、および、動作方向の変更等を行なう。
【0057】
IDタグ30は、作業者Pに取り付けられるタグであり、または、作業者Pが携帯するタグであり、作業者PのID(識別情報)が、光学的に書き込まれている。IDタグ30においてIDは、例えば、バーコード、QRコード(登録商標)等で表示されていてもよく、また、IDを示す文字等がそのまま表示されていてもよい。IDタグ30にはIDタグ30を携帯する作業者PのIDが光学的に書き込まれていればよく、撮影装置60がIDタグ30を撮影した画像から、つまり、危険領域を撮影した画像から、安全コントローラ10がIDタグ30に示されているIDを取得できればよい。
【0058】
IDタグ30は、例えば、作業者Pが被る帽子・ヘルメット等の上面、制服の肩部分・腕部分の上面等に配置されてもよい。撮影装置60を例えば工場等の天井に設置して危険領域を頭上から撮影する場合、頭上から撮影しやすい位置にIDタグ30を配置することで、安全コントローラ10は、危険領域の撮影画像から高い精度でIDタグ30に示されているIDを取得することができる。
【0059】
コントローラ40は、機械20の動作を制御する制御装置である。コントローラ40は、安全コントローラ10から安全制御信号を受信すると、機械20への電源供給を停止し、または、機械20を静止させ、動作速度を抑制し、または、動作方向を変更するなどの安全制御処理を実行する。コントローラ40は機械20の動作を制御し、安全コントローラ10はコントローラ40に対する指令(安全制御信号)を出力する。
【0060】
撮影装置60は、危険領域の撮影を行う複数台のカメラを備えている。本実施形態では、撮影装置60は、2台のカメラ61Aおよび61Bによって構成される。カメラ61Aおよび61Bは、各々、危険領域を撮影して取得した映像データ(危険領域の撮影画像のデータ)を安全コントローラ10に送信する。撮影装置60は、例えば工場等の天井に設置され、危険領域を頭上から撮影した撮影画像を取得し、その撮影画像のデータを安全コントローラ10に送信する。なお、以下の説明において、2台のカメラ61Aおよび61Bの各々を特に区別する必要がない場合は、単に「カメラ61」と称する。
【0061】
報知装置50は、安全コントローラ10の制御に従って、作業者Pに、「その作業者と、その作業者Pについて安全コントローラ10が設定した検出区域DZとの位置関係(例えば、距離が近いか、および、検出区域DZに作業者Pが侵入したか)」を報知する。
【0062】
例えば、報知装置50は、安全コントローラ10の制御に従って、点滅速度、出力する光の色等を変化させるLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)を用いた発光装置であって、作業者Pが携帯する発光装置である。報知装置50は、作業者Pごとに設定された検出区域DZに、その作業者Pが所定の距離以上接近した場合には黄色く点滅し、検出区域DZに近づくほど点滅の間隔を短くして黄色く点滅してもよい。そして、報知装置50は、作業者Pごとに設定された検出区域DZに、その作業者Pが侵入すると、赤色を点滅してもよい。例えば、報知装置50は、作業者P01について設定された検出区域DZ01に作業者P01が侵入すると、その旨を作業者P01に報知し、また、作業者P02について設定された検出区域DZ02に作業者P02が侵入すると、その旨を作業者P02に報知する。
【0063】
また、例えば、報知装置50は、安全コントローラ10の制御に従って、音量、音の高低、音の出力間隔、および、出力する音声の内容等を変化させる音声出力装置であってもよい。さらに、例えば、報知装置50は、安全コントローラ10の制御に従って、振動の大きさ、振動と休止との間隔等を変化させる振動発生装置であってもよい。
【0064】
報知装置50は、作業者Pに、「その作業者と、その作業者Pについて安全コントローラ10が設定した検出区域DZとの位置関係(例えば、距離が近いか、および、検出区域DZに作業者Pが侵入したか)」を、従来からの種々の報知技術を用いて報知すればよい。
【0065】
通知装置70は、安全コントローラ10の制御に従って、作業者Pに、その作業者Pについて安全コントローラ10が設定した検出区域DZを通知する。例えば、通知装置70は、作業者P01に、作業者P01について安全コントローラ10が設定した検出区域DZ01を通知し、また、作業者P02に、作業者P02について安全コントローラ10が設定した検出区域DZ02を通知する。
【0066】
例えば、通知装置70は、作業者Pの各々が装着するウェアラブル表示端末であり、安全コントローラ10の制御に従って、その作業者Pについて安全コントローラ10が設定した検出区域DZを表示画面に表示してもよい。ウェアラブル表示端末としては、ヘッドマウントディスプレイ、およびスマートグラス等を挙げることができる。
【0067】
ウェアラブル表示端末によって実現された通知装置70は、安全コントローラ10の制御に従って、通知装置70を装着する作業者Pの各々の視界に重ねて、その作業者Pのために設定された三次元の検出区域DZを、拡張現実(AR)として表示してもよい。具体的には、ウェアラブル表示端末によって実現された通知装置70は、作業者Pの眼の位置および視線の方向を検知し、透過型の小型ディスプレイによって、作業者Pの視界に、その作業者Pのために設定された三次元の検出区域DZを重ねて映してもよい。ウェアラブル表示端末によって実現された通知装置70は、作業者Pの視界に機械20が含まれていない場合、機械20との距離についての情報を表示してもよい。
【0068】
報知装置50と通知装置70とは同じ装置であってもよく、例えば、ウェアラブル表示端末によって実現された通知装置70が、報知装置50としても動作してもよい。具体的には、作業者Pの各々が装着するウェアラブル表示端末は、作業者Pごと設定された検出区域DZを表示画面に表示するとともに、その作業者Pがその検出区域DZに所定の距離以上接近した場合には表示している画像を黄色く点滅させてもよい。ウェアラブル表示端末は、作業者Pごとに設定された検出区域DZに、その作業者Pが侵入すると、表示している画像を赤色に点滅させてもよい。
【0069】
さらに、IDタグ30と通知装置70とは一体に構成されていてもよく、例えば、ウェアラブル表示端末によって実現された通知装置70にIDタグ30が付されていてもよい。安全コントローラ10は、作業者Pの装着するウェアラブル表示端末(通知装置70)の備えるIDタグ30から作業者PのIDを取得し、IDごとに設定した検出区域DZを、ウェアラブル表示端末に表示させてもよい。
【0070】
通知装置70は、作業者Pに、その作業者Pについて安全コントローラ10が設定した検出区域DZを通知できればよく、通知方法については、従来からの種々の通知技術を利用することができる。
【0071】
(安全制御装置について)
これまで、安全制御システム1、および安全制御システム1に含まれる装置(安全コントローラ10、機械20、IDタグ30、コントローラ40、報知装置50、撮影装置60、および、通知装置70)の概要について、図2を用いて説明を行ってきた。次に、安全制御システム1に含まれる安全コントローラ10について、その構成および処理の内容等を、図1等を用いて説明していく。図1を参照して安全コントローラ10の詳細について説明する前に、安全コントローラ10についての理解を容易にするため、安全コントローラ10の概要について以下のように整理しておく。
【0072】
(安全制御装置の概要)
安全コントローラ10(安全制御装置)は、機械20の動作空間と作業者Pの作業空間とが重なる領域を含む危険領域において検出区域DZ内に作業者Pが侵入したと判定すると安全動作を実行する安全制御装置である。安全コントローラ10は、前記危険領域内に同時に存在する複数の作業者P01、P02、およびP101の各々のID(識別情報)を取得するIDタグ測位部112(取得部)と、IDタグ測位部112によってIDが取得された作業者Pごとに、検出区域DZ(つまり、検出区域DZ01、DZ02、およびDZ101)を設定する設定部120と、IDタグ測位部112によってIDが取得された複数の作業者P01、P02、およびP101の各々の、前記危険領域における現在位置CP(位置)(つまり、現在位置CP01、CP02、および、CP101)を特定する作業者識別部113(位置特定部)と、を備えている。安全コントローラ10は、IDタグ測位部112によってIDが取得された複数の作業者P01、P02、およびP101のうち少なくとも一人(例えば、作業者P02)が、設定部120によって前記少なくとも一人の作業者(例えば、作業者P02)について設定された検出区域DZ(例えば、検出区域DZ02)内に侵入すると、前記安全動作を実行する。
【0073】
前記の構成によれば、安全コントローラ10は、検出区域DZを作業者Pごとに設定し、複数の作業者Pのうち少なくとも一人が、その少なくとも一人の作業者Pについて設定された検出区域DZ内に侵入すると、前記安全動作を実行する。安全コントローラ10は、例えば、3人の作業者P01、P02、およびP101ごとに、検出区域DZ01、DZ02、およびDZ101を設定する。そして、安全コントローラ10は、3人の作業者P01、P02、およびP101の少なくとも一人(例えば、作業者P02)が、その作業者について設定した検出区域(例えば、検出区域DZ02)内に侵入すると、前記安全動作を実行する。
【0074】
ここで、例えば、機械20の動作についての知識、担当する作業の内容、作業の熟練度、体型などの特性は、作業者Pごとに様々である。そして、これらの特性に応じて、安全を十分に確保して作業を行なうために必要な「機械20との距離(つまり、検出領域DZ)」も、様々であることが想定できる。具体的には、機械20の動作について熟知しており、作業の熟練度も高い作業者P(例えば、作業者P01)であれば、機械20との距離がある程度近くても、安全を十分に確保して作業を行なうことができるであろう。これに対して、機械20の動作についての知識が十分ではなく、また、作業に不慣れな作業者P(例えば、作業者P02)であれば、安全を十分に確保して作業を行なうには、機械20から遠く離れる必要があると考えられる。
【0075】
従来、機械20の動作空間と作業者Pの作業空間とが重なる危険領域において作業者Pの安全を確保するための検出区域DZ(つまり、機械20との距離)は、作業を行なう作業者Pごとの上述の特性を考慮したものではなかった。具体的には、従来は、作業を行なう作業者Pごとの上述の特性に関わらず、どのような作業者Pでも安全を十分に確保して作業を行なうことができるように、最も安全を確保することのできる「機械20からの距離」に相当する検出領域DZを設定していた。言い換えれば、従来の安全制御装置は、「機械20の動作について熟知しており、作業の熟練度も高い作業者P(例えば、作業者P01)」が、「機械20の動作についての知識が十分ではなく、また、作業に不慣れな作業者P(例えば、作業者P02)」の安全を確保するための検出領域DZに侵入した場合にも、安全動作を実行した。そのため、従来の安全制御装置は、頻繁に機械20を休止等させ、機械20の稼働率を低下させてしまうという問題があった。
【0076】
前記の構成によれば、安全コントローラ10は、複数の作業者Pの各々を識別し、作業者Pごとに検出区域DZを設定する。そして、安全コントローラ10は、前記危険領域内に同時に存在する複数の作業者Pの各々の位置(現在位置CP)を特定し、或る作業者Pが、その或る作業者Pについて設定された検出区域DZ内に侵入すると、前記安全動作を実行する。
【0077】
安全コントローラ10は、例えば、「機械の動作について熟知しており、作業の熟練度も高い作業者P(例えば、作業者P01)」と、「機械の動作についての知識が十分ではなく、また、作業に不慣れな作業者P(例えば、作業者P02)」とについて、異なる検出区域DZ(例えば、検出区域DZ01およびDZ02)を設定する。そして、安全コントローラ10は、「機械の動作について熟知しており、作業の熟練度も高い作業者P(例えば、作業者P01)」が、「機械の動作についての知識が十分ではなく、また、作業に不慣れな作業者P(例えば、作業者P02)」の安全を確保するための検出領域DZ02に侵入しただけでは、安全動作を実行しない。つまり、安全コントローラ10は、作業者Pごとに、作業者Pの安全を確保するために必要な場合にのみ安全動作を実行する(例えば、機械20を休止等させる)ので、機械20の稼働率の低下を抑制することができる。
【0078】
したがって、安全コントローラ10は、複数の作業者Pについて、作業者Pごとに、作業者Pの安全を確保しつつ、機械20の稼働率の低下を抑制するために最適な、検出区域DZを設定することができるという効果を奏する。言い換えれば、安全コントローラ10は、機械20の動作についての知識、担当する作業の内容、作業の熟練度、体型などの特性が異なる複数の作業者Pが同時に前記危険領域内に存在する場合であっても、作業者Pごとに最適な前記安全動作を実行し、機械20の稼働率の低下を抑制することができるという効果を奏する。
【0079】
安全コントローラ10において、IDタグ測位部112は、前記危険領域を撮影した画像、および、作業者Pが携帯する無線タグであって、作業者PのIDを格納した無線タグからの信号の少なくとも一方を用いて、前記危険領域内の作業者Pの識別情報を取得してもよい。
【0080】
前記の構成によれば、安全コントローラ10は、前記危険領域を撮影した画像、および、作業者Pが携帯する無線タグであって、作業者Pの識別情報を格納した無線タグからの信号の少なくとも一方を用いて、前記危険領域内の作業者PのIDを取得する。
【0081】
ここで、前記危険領域に立ち入る者を管理する等の目的のために、その者の識別情報等を格納した無線タグを携帯させることは従来から一般的である。したがって、そのような無線タグから、安全コントローラ10は作業者Pの識別情報を容易に取得できるので、安全コントローラ10を用いた安全管理を実現するための追加コストを抑制することができる。
【0082】
また、前記危険領域を監視する等の目的のために、作業者Pが作業している前記危険領域を撮影することも従来から一般的である。したがって、前記危険領域を撮影した画像から、安全コントローラ10は作業者Pの識別情報を容易に取得できるので、安全コントローラ10を用いた安全管理を実現するための追加コストを抑制することができる。
【0083】
したがって、安全コントローラ10は、前記画像、および、前記無線タグからの信号の少なくとも一方を用いて、前記危険領域内の作業者Pの識別情報を、実現コストを抑えて容易に取得することができるという効果を奏する。
【0084】
なお、以下の説明においては、IDタグ測位部112が前記危険領域を撮影した画像を用いて、前記危険領域内の作業者Pの識別情報を取得する例を中心に説明を行っていく。言い換えれば、以下の説明においては、IDタグ測位部112が、前記危険領域を撮影した画像に対して解析処理等を実行することにより、前記危険領域内の作業者Pの識別情報を取得する例を中心に説明を行っていく。
【0085】
しかしながら、IDタグ測位部112が前記危険領域内の作業者Pの識別情報を取得する方法は、前記危険領域を撮影した画像の解析処理等に限られるものではない。詳細は「その他の変形例」として後述するが、IDタグ測位部112は、例えば、作業者Pが携帯する無線タグであって、作業者PのIDを格納した無線タグからの信号を用いて、前記危険領域内の作業者Pの識別情報を取得してもよい。言い換えれば、IDタグ測位部112は、作業者Pが携帯する無線タグであって、作業者PのIDを格納した無線タグからの信号に対して無線信号処理を実行することにより、前記危険領域内の作業者Pの識別情報等を取得してもよい。したがって、IDタグ測位部112が、画像処理を実行する画像処理部110内の機能ブロックであることは必須ではない。IDタグ測位部112は、前記危険領域を撮影した画像、および、作業者Pが携帯する無線タグであって、作業者PのIDを格納した無線タグからの信号の少なくとも一方を用いて、前記危険領域内の作業者Pの識別情報を取得してもよい。
【0086】
安全コントローラ10は、IDタグ測位部112によってIDが取得された作業者Pが、設定部120によって作業者Pについて設定された検出区域DZ内に侵入すると、作業者Pが、作業者Pについて設定された検出区域DZ内に侵入した旨を、検出区域DZ内に侵入した作業者Pに報知する報知制御部150(報知部)をさらに備えてもよい。
【0087】
前記の構成によれば、安全コントローラ10は、IDタグ測位部112によってIDが取得された作業者Pが、設定部120によって作業者Pについて設定された検出区域DZ内に侵入すると、作業者Pが、作業者Pについて設定された検出区域DZ内に侵入した旨を、検出区域DZ内に侵入した作業者Pに報知する。
【0088】
前述の通り、安全コントローラ10は、作業者Pごとに検出区域DZを設定し、作業者Pごとに最適な前記安全動作を実行する。例えば、複数の作業者Pが同時に前記危険領域内に存在している状態で前記安全動作が実行された場合、検出区域DZは作業者Pごとに設定されているため、どの作業者Pが原因となって前記安全動作が実行されたのかを把握するのが困難になり得る。
【0089】
そのような事態を回避するため、安全コントローラ10は、或る作業者Pが、その或る作業者Pについて設定された検出区域DZ内に侵入すると、その或る作業者Pが、その或る作業者Pについて設定された検出区域DZ内に侵入した旨を、その或る作業者Pに報知する。
【0090】
したがって、安全コントローラ10は、例えば、複数の作業者Pが同時に前記危険領域内に存在している状態で前記安全動作が実行された場合であっても、どの作業者Pが原因となって前記安全動作が実行されたのかを、原因となったその作業者Pに報知することができるという効果を奏する。
【0091】
安全コントローラ10の報知制御部150は、或る作業者Pが、その或る作業者Pのために設定された検出区域DZに侵入していることを、その或る作業者Pに報知することで、前記安全動作が実行された原因をその或る作業者Pに認識させることができる。
【0092】
また、安全コントローラ10の報知制御部150は、或る作業者Pに、その或る作業者Pのために設定された検出区域DZと、その或る作業者Pの現在位置CPとの位置関係(例えば、距離が近いか)を報知できてもよい。報知制御部150は、或る作業者Pに、その或る作業者Pのために設定された検出区域DZに接近していることを報知することによって、その或る作業者Pに、その或る作業者Pのために設定された検出区域DZ内への侵入の回避を促すことができる。したがって、報知制御部150は、その或る作業者Pが意図せず機械20の停止等を引き起こしてしまうことを予防することができる。
【0093】
安全コントローラ10は、IDタグ測位部112によってIDが取得された作業者Pに、設定部120によって作業者Pについて設定された検出区域DZを通知する通知制御部160(通知部)をさらに備えてもよい。
【0094】
前記の構成によれば、安全コントローラ10は、IDタグ測位部112によってIDが取得された作業者Pに、設定部120によって作業者Pについて設定された検出区域DZを通知する。
【0095】
前述の通り、安全コントローラ10は、作業者Pごとに検出区域DZを設定するため、作業者Pは、自身に固有の検出区域DZを把握することが困難となり得る。
【0096】
そのような事態を回避するため、安全コントローラ10は、或る作業者Pが、その或る作業者Pについて設定された検出区域DZを、その或る作業者Pに通知する。
【0097】
したがって、安全コントローラ10は、作業者Pごとに設定した検出区域DZを、作業者Pごとに通知することができるという効果を奏する。
【0098】
安全コントローラ10において、通知制御部160は、作業者Pの装着するウェアラブル表示端末に、設定部120によって作業者Pについて設定された検出区域DZを表示させ、IDタグ測位部112は、前記ウェアラブル表示端末の備えるタグであって、作業者PのIDが記載されたタグ(例えば、IDが書き込まれたIDタグ30)から、作業者PのIDを取得してもよい。
【0099】
前記の構成によれば、安全コントローラ10は、作業者Pの装着するウェアラブル表示端末に、作業者Pについて設定された検出区域DZを表示させ、また、前記ウェアラブル表示端末の備えるタグから作業者Pの識別情報を取得する。
【0100】
したがって、安全コントローラ10は、作業者Pごとに設定した検出区域DZを、作業者Pごとに、作業者Pの装着するウェアラブル表示端末に表示させて通知することができるという効果を奏する。
【0101】
また、安全コントローラ10は、作業者Pの装着するウェアラブル表示端末の備えるタグから作業者Pの識別情報を取得することができるという効果を奏する。
【0102】
つまり、安全制御システム1において、安全コントローラ10は、IDタグ30を備えたウェアラブル表示端末から、そのウェアラブル表示端末を装着した作業者PのIDを取得してもよい。
【0103】
また安全制御システム1において、報知装置50および通知装置70は、ウェアラブル表示端末として一体に構成されていてもよく、安全コントローラ10は、そのウェアラブル表示端末に、作業者Pごと設定された検出区域DZ等を表示させてもよい。例えば、安全コントローラ10は、そのウェアラブル表示端末に、作業者Pごと設定された検出区域DZを表示画面に表示するとともに、その作業者Pがその検出区域DZに所定の距離以上接近した場合には表示画面を黄色く点滅させてもよい。作業者Pごとに設定された検出区域DZにその作業者Pが侵入すると、安全コントローラ10は、その作業者Pが装着しているウェアラブル表示端末に、表示画面を赤色に点滅するよう指示してもよい。安全コントローラ10は、作業者Pの各々を特定して、作業者Pの各々が効率的かつ安全に作業を行なうための情報を報知し、通知することができる。
【0104】
安全コントローラ10において、設定部120は、少なくとも2台のカメラ61(つまり、撮影装置60)によって撮影された前記危険領域の撮影画像を用いて、三次元の検出区域DZを設定してもよい。
【0105】
前記の構成によれば、安全コントローラ10は、少なくとも2台のカメラ61によって撮影された前記危険領域の撮影画像を用いて、三次元の検出区域DZを設定する。
【0106】
したがって、安全コントローラ10は、作業者Pごとに、作業者Pの体型(例えば、身長など)等を考慮した三次元の検出区域DZを設定し、作業者Pごとに最適な前記安全動作を実行することができるという効果を奏する。
【0107】
(安全制御装置の詳細)
以上に概要を説明した安全コントローラ10について、次に、安全コントローラ10の構成の詳細を、図1を用いて説明する。
【0108】
図1は、安全コントローラ10の要部構成を示すブロック図である。図1に示す安全コントローラ10は、制御部100および記憶部200を含む構成である。なお、記載の簡潔性を担保するため、本実施の形態に直接関係のない構成(例えば、ユーザ操作を受け付ける構成、および、外部装置との通信を行なう構成等)は、説明およびブロック図から省略している。ただし、実施の実情に則して、安全コントローラ10は、当該省略された構成を備えてもよい。
【0109】
(制御部)
制御部100は、安全コントローラ10の機能を統括して制御するものである。図示の制御部100には、機能ブロックとして、画像処理部110、設定部120、判定部130、出力制御部140、報知制御部150、および、通知制御部160が含まれている。
【0110】
画像処理部110は、進入物体測位部111、IDタグ測位部112、および、作業者識別部113を含み、撮影装置60が危険領域を撮影して取得した映像データを解析して、危険領域内に存在する作業者Pの現在位置CPおよびIDを特定する。(A)画像処理部110は、撮影装置60が危険領域を撮影して取得した映像データに基づいて、画角内に(つまり、危険領域内に)存在する作業者Pの現在位置CPを測位する(主に、進入物体測位部111によって実現される機能)。(B)画像処理部110は、その映像データに基づいて、画角内に存在するIDタグ30の位置を測位し、かつ、IDタグ30に示されているIDを抽出する(主に、IDタグ測位部112によって実現される機能)。(C)画像処理部110は、IDタグ30の位置情報を用いて、測位された作業者Pの現在位置CPにIDを関連づける(主に、作業者識別部113によって実現される機能)。
【0111】
すなわち、画像処理部110は、2台のカメラ61Aおよび61Bの各々が撮影した画像(ステレオ撮影画像)を用いて、特徴点の空間位置の算出等を実行する。具体的には、画像処理部110は、「異物(つまり、作業者P)の空間位置(現在位置CP)」、および、「IDタグ30の空間位置」を算出する。画像処理部110は、算出した、「異物の空間位置(現在位置CP)」および「IDタグ30の空間位置」等を、設定部120および判定部130に通知する。
【0112】
また、画像処理部110は、2台のカメラ61Aおよび61Bの各々が撮影した画像を用いて、IDタグ30に示されているIDを取得し、取得したIDを設定部120および判定部130に通知する。
【0113】
なお、画像処理部110の実行する、「ステレオ撮影画像のデータを利用して、ステレオ撮影画像中の特徴点を抽出すると共に、抽出した特徴点の三次元情報を取得する」方法については、従来までの種々の技術を利用することができるので、詳細は略記する。
【0114】
進入物体測位部111は、危険領域の撮像画像から、危険領域内に存在する異物(具体的には、作業者P)の現在位置CP(言い換えれば、異物が現在占有している空間領域)を特定する。進入物体測位部111は、特定した「異物の現在位置CP」を、作業者識別部113に通知する。例えば、進入物体測位部111は、現在位置CP01、CP02、および、CP101を特定し、特定した現在位置CP01、CP02、および、CP101を、作業者識別部113に通知する。
【0115】
IDタグ測位部112(取得部)は、危険領域の撮像画像から、危険領域内に存在するIDタグ30に示されているID、および、IDタグ30の位置を特定する。IDタグ測位部112は、特定した「IDタグ30に示されているID、および、IDタグ30の位置」を、作業者識別部113および設定部120に通知する。例えば、IDタグ測位部112は、IDタグ30(01)の位置、およびにIDタグ30(01)示されている「ID=01」を、作業者識別部113および設定部120に通知する。また、IDタグ測位部112は、IDタグ30(02)の位置、およびにIDタグ30(02)示されている「ID=02」を、作業者識別部113に通知する。
【0116】
また、IDタグ測位部112は、危険領域の撮像画像から、危険領域内に存在するIDタグ30に示されているIDを、具体的には「ID=01」および「ID=02」を、設定部120に通知する。
【0117】
作業者識別部113(位置特定部)は、作業者Pについて、ID(より正確には、IDが付与されているか否か、および、付与されていた場合には、付与されているID)と、現在位置CPと、を特定する。先ず、作業者識別部113は、進入物体測位部111から、進入物体測位部111が特定した「異物の現在位置CP(異物が現在占有している空間領域)」を取得する。また、作業者識別部113は、IDタグ測位部112から、IDタグ測位部112が特定した「IDタグ30に示されているID、および、IDタグ30の位置」を取得する。そして、作業者識別部113は、取得した「異物(つまり、作業者P)の現在位置CP」と、「IDタグ30に示されているID、および、IDタグ30の位置」と、を組み合わせて、作業者Pについて、IDと現在位置CPとを特定する。
【0118】
(A)作業者識別部113は、現在位置CPと重なる位置に(または近接する位置に)IDタグ30がある場合、そのIDタグ30が示しているIDを、現在位置CPに存在する異物の、言い換えれば、現在位置CPを占有している異物の、識別情報として特定する。例えば、現在位置CP01と重なる位置にIDタグ30(01)が存在すると判定すると、作業者識別部113は、IDタグ30(01)に示されている「ID=01」を、現在位置CP01を占有している異物(作業者01)の識別情報として特定する。言い換えれば、作業者識別部113は、現在位置CP01と「ID=01」とを対応付ける。同様に、例えば、現在位置CP02と重なる位置にIDタグ30(02)が存在すると判定すると、作業者識別部113は、IDタグ30(02)に示されている「ID=02」を、現在位置CP02を占有している異物(作業者02)の識別情報として特定する。言い換えれば、作業者識別部113は、現在位置CP02と「ID=02」とを対応付ける。
【0119】
(B)作業者識別部113は、現在位置CPと重なる位置に(または近接する位置に)IDタグ30がない場合、現在位置CPに存在する異物は、IDタグ30を携帯しない(つまり、「IDなし」の)異物であると特定する。例えば、作業者識別部113は、異物の現在位置CP101と重なる位置に(または近接する位置に)IDタグ30が存在しないと判定すると、現在位置CP101に存在する異物は、「IDなし」の異物であると特定する。
【0120】
なお、作業者識別部113は、異物の現在位置CP101と重なる位置に(または近接する位置に)IDタグ30が存在しないと判定すると、現在位置CP101に、「IDが付与されていない」ことを示すIDを対応付けてもよい。例えば、通常のIDが「0〜99」までの数字である場合、作業者識別部113は、現在位置CP101に、「IDが付与されていない」ことを示すIDとして、百番台のIDを対応付けてもよく、具体的には、「ID=101」を対応付けてもよい。以下の説明においては、現在位置CP101に、つまり、現在位置CP101を占有している作業者P101に、「ID=101」を対応付けることがある。言い換えれば、以下の説明においては、「IDなし」であることを示す識別情報として、「ID=101」を用いることがある。
【0121】
整理すれば、(A)作業者識別部113は、現在位置CPと重なる位置にIDタグ30が存在する場合、現在位置CPに存在する異物(つまり、現在位置CPを占有している異物)の識別情報として、そのIDタグ30に示されているIDを特定する。言い換えれば、作業者識別部113は、「現在位置CP」と「現在位置CPに重なる位置に存在するIDタグ30のID」とを対応付ける。作業者識別部113は、「現在位置CPに重なる位置に存在するIDタグ30のID」と対応付けた「現在位置CP」を、判定部130に通知する。
【0122】
例えば、作業者識別部113は、「現在位置CP01」と「現在位置CP01に重なる位置に存在するIDタグ30(01)に示されているID=01」とを対応付け、「ID=01」と対応付けた現在位置CP01を、判定部130に通知する。また、作業者識別部113は、「現在位置CP02」と「現在位置CP02に重なる位置に存在するIDタグ30(02)に示されているID=02」とを対応付け、「ID=02」と対応付けた現在位置CP02を、判定部130に通知する。
【0123】
(B)作業者識別部113は、現在位置CPと重なる位置にIDタグ30が存在しない場合、「現在位置CPに存在する異物(つまり、現在位置CPを占有している異物)にはIDが付与されていない」と判定する。そして、作業者識別部113は、現在位置CPと「IDなし(または、「IDが付与されていない」ことを示すID)」とを対応付ける。作業者識別部113は、「IDなし(または、「IDが付与されていない」ことを示すID)」と対応付けた現在位置CPを、判定部130に通知する。
【0124】
例えば、作業者識別部113は、「現在位置CP101に重なる位置に存在するIDタグ30がない」と判定すると、「現在位置CP101」と「IDなし(または、「ID=101」)」とを対応付ける。そして、作業者識別部113は、「IDなし(または、「ID=101」)」と対応付けた現在位置CP101を、判定部130に通知する。
【0125】
設定部120は、記憶部200に格納されている、設定基準情報210および作業者詳細情報220を参照して、作業者Pごとに(言い換えれば、IDごとに)、検出区域DZを設定する。
【0126】
(IDの付与されている作業者のための検出区域)
設定部120は、記憶部200に格納されている、設定基準情報210および作業者詳細情報220を参照して、IDタグ測位部112から通知された「ID=01」および「ID=02」の各々について、検出区域DZを設定する。言い換えれば、設定部120は、「ID=01」である作業者P01のための検出区域DZ01を設定し、また、「ID=02」である作業者P02のための検出区域DZ02を設定する。
【0127】
(IDの付与されていない作業者のための検出区域)
設定部120は、記憶部200に格納されている、設定基準情報210および作業者詳細情報220を参照して、「IDなし(または、「ID=101」)」の作業者P101のための検出区域DZ101を設定する。
【0128】
設定部120による、検出区域DZ01、DZ02、およびDZ101の設定方法の詳細については、図6を参照して後述する。設定部120は、設定した検出区域DZ01、DZ02、およびDZ101について、対応するIDとともに、設定検出区域情報230として、記憶部200に格納する。例えば、設定部120は、「ID=01」と検出区域DZ01とを対応付けて、「ID=02」と検出区域DZ02とを対応付けて、「IDなし」と検出区域DZ101とを対応付けて、設定検出区域情報230として、記憶部200に格納する。
【0129】
また、設定部120は、画像処理部110(作業者識別部113)から、「現在位置CP、および、対応するID」を取得し、取得した「現在位置CP、および、対応するID」を、現在作業者情報240として、記憶部200に格納してもよい。例えば、設定部120は、「ID=01」と現在位置CP01とを対応付けて、「ID=02」と現在位置CP02とを対応付けて、「IDなし(または、「ID=101」)」と現在位置CP101とを対応付けて、現在作業者情報240として、記憶部200に格納してもよい。
【0130】
判定部130は、「設定部120により作業者Pごとに設定された検出区域DZに侵入した作業者Pが居るか」を判定し、「作業者Pごとに設定された検出区域DZに侵入した作業者Pが居る」と判定すると、その判定結果を報知制御部150等に通知する。具体的には、判定部130は、画像処理部110によって取得された「作業者Pごとの現在位置CP」を、記憶部200に格納されている作業者Pごとの検出区域DZのデータ(設定検出区域情報230)と照合する。そして、判定部130は、作業者Pごとに設定された検出区域DZの中に作業者Pが侵入しているか否かを判断する。例えば、判定部130は、作業者P01、P02、およびP101の各々について、各々のために設定された検出区域DZ01、DZ02、およびDZ101に侵入したかを判定する。判定部130は、作業者P01、P02、およびP101の少なくとも1人が、自身のために設定された検出区域DZに侵入したと判定すると、その判定結果を、出力制御部140および報知制御部150等に通知する。
【0131】
(IDの付与されている作業者についての判定)
判定部130は、「ID=01」に対応付けられた現在位置CP01を画像処理部110から通知されると、記憶部200に格納されている設定検出区域情報230を参照して、以下の処理を実行する。すなわち、(I)判定部130は、設定検出区域情報230を参照して、「ID=01」に対応する検出区域DZ01を取得する。(II)判定部130は、画像処理部110から通知された現在位置CP01と、取得した検出区域DZ01と、の位置関係を判定する。(III)判定部130は、現在位置CP01と検出区域DZ01との距離が所定の距離よりも近いと「注意状態」と判定し、現在位置CP01と検出区域DZ01とが重なると「侵入状態」と判定する。
【0132】
同様に、判定部130は、「ID=02」に対応付けられた現在位置CP02を画像処理部110から通知されると、設定検出区域情報230を参照して、(I)「ID=02」に対応する検出区域DZ02を取得する。(II)判定部130は、現在位置CP02と検出区域DZ02との位置関係を判定する。(III)判定部130は、現在位置CP02と検出区域DZ02との距離が所定の距離よりも近いと「注意状態」と判定し、現在位置CP02と検出区域DZ02とが重なると「侵入状態」と判定する。
【0133】
(IDの付与されていない作業者についての判定)
判定部130は、以下の2つの場合に、「IDなしの作業者Pについて設定された検出区域DZ」内に、IDなしの作業者Pが侵入しているかを判定する。すなわち、(A)画像処理部110によって取得されたIDが、作業者詳細情報220に登録されているIDのいずれにも合致しない場合、判定部130は、「IDなしの作業者Pのための検出区域DZ」について、IDなしの作業者Pの侵入の有無を判定する。前述の通り、設定部120は、設定基準情報210および作業者詳細情報220を参照して、作業者Pごとに、作業者Pのための最適な検出区域DZを設定する。IDが付与され、つまり、IDタグ30を携帯している作業者Pであっても、その特性等が、つまり、IDが、作業者詳細情報220に登録されていない作業者Pについては、設定部120は、その作業者Pのための最適な検出区域DZを設定することができない。そのため、判定部130は、作業者詳細情報220に登録されていないIDが付与された作業者Pを、「IDなしの作業者P」として扱い、「IDなしの作業者Pについて設定された検出区域DZ」内に侵入したかを判定する。
【0134】
また、(B)画像処理部110によって測位された作業者Pに関連づけられたIDが空の場合、言い換えれば、「IDなし(または、「ID=101」)」に対応付けられた現在位置CPがある場合、判定部130は、IDなしの作業者Pが侵入したかを判定する。
【0135】
例えば、判定部130は、「IDなし」に対応付けられた現在位置CP101を画像処理部110から通知されると、記憶部200に格納されている設定検出区域情報230を参照して、以下の処理を実行する。すなわち、(I)判定部130は、設定検出区域情報230を参照して、「IDなし」に対応する検出区域DZ101を取得する。(II)判定部130は、画像処理部110から通知された現在位置CP101と、取得した検出区域DZ101と、の位置関係を判定する。(III)判定部130は、現在位置CP101と検出区域DZ101との距離が所定の距離よりも近いと「注意状態」と判定し、現在位置CP101と検出区域DZ101とが重なると「侵入状態」と判定する。
【0136】
判定部130は、作業者P01、P02、およびP101の少なくとも1人について、言い換えれば、現在位置CP01、CP02、およびCP101の少なくとも1つについて、「侵入状態」と判定すると、出力制御部140に安全制御信号を出力させる。また、判定部130は、「侵入状態」と判定した現在位置CPに対応するIDを報知制御部150に通知し、報知制御部150に、そのIDに対応する作業者Pに「侵入」を報知させる。例えば、判定部130は、現在位置CP101について「侵入状態」と判定すると、現在位置CP101に対応する「IDなし」を報知制御部150に通知し、報知制御部150に、「IDなし」に対応する作業者P101に「侵入」を報知させる。
【0137】
また、判定部130は、「注意状態」と判定した現在位置CPに対応するIDを報知制御部150に通知し、報知制御部150に、そのIDに対応する作業者Pに「注意状態」を報知させる。例えば、判定部130は、現在位置CP02について「注意状態」と判定すると、現在位置CP02に対応する「ID=02」を報知制御部150に通知し、報知制御部150に、「ID=02」に対応する作業者P02に「注意状態」を報知させる。
【0138】
出力制御部140は、判定部130によって「作業者Pが検出区域DZに侵入している」と判断された場合に、機械20の動きを停止等させるための信号である安全制御信号を出力する。出力制御部140は、例えば、出力信号開閉器(OSSD、Output Signal Switching Device)であり、機械20の定常運転中、検知器の作動(つまり、検出区域DZ内における作業者Pの検出)に伴いオフ状態になる(つまり、安全制御信号を出力する)。また、出力制御部140は、安全コントローラ10が内部障害を検出してロックアウト状態になるときにもオフ状態になる。
【0139】
報知制御部150は、判定部130から「作業者Pごとに設定された検出区域DZに、その作業者Pが侵入した」との判定結果を通知されると、その判定結果を、その作業者Pに報知する。具体的には、報知制御部150は、判定部130によって「その作業者Pについて設定された検出区域DZ内に侵入した」と判定された作業者Pの報知装置50に、「作業者Pごとに設定された検出区域DZに、その作業者Pが侵入した」旨を出力させる。例えば、判定部130が「作業者P01のための検出区域DZ01内に作業者P01が侵入した」と判定すると、報知制御部150は、作業者P01の携帯する報知装置50(01)に、「あなたは、検出区域DZ01内に侵入した」旨を出力させる。また、判定部130が「作業者P02のための検出区域DZ02内に作業者P02が侵入した」と判定すると、報知制御部150は、作業者P02の携帯する報知装置50(02)に、「あなたは、検出区域DZ02内に侵入した」旨を出力させる。さらに、判定部130が「作業者P101のための検出区域DZ101内に作業者P101が侵入した」と判定すると、報知制御部150は、作業者P101の携帯する報知装置50(101)に、「あなたは、検出区域DZ101内に侵入した」旨を出力させる。
【0140】
なお、報知制御部150は、「作業者Pごとに設定された検出区域DZに、その作業者Pが侵入した」場合、侵入したその作業者P以外の作業者Pに対しても、「作業者Pごとに設定された検出区域DZに、その作業者Pが侵入した」旨を報知してもよい。例えば、「作業者P101のための検出区域DZ101内に作業者P101が侵入した」場合に、報知制御部150は、「作業者P101のための検出区域DZ101内に作業者P101が侵入した」旨を、作業者P01およびP02に報知してもよい。
【0141】
通知制御部160は、設定部120によって作業者Pごと設定された検出区域DZを、その作業者Pに通知する。例えば、通知制御部160は、作業者Pの各々が装着する通知装置70に、設定部120によって作業者Pごと設定された検出区域DZを表示させる。具体的には、通知制御部160は、作業者P01のための検出区域DZ01を、作業者P01の装着する通知装置70(01)に表示させ、作業者P02のための検出区域DZ02を、作業者P02の装着する通知装置70(02)に表示させる。同様に、通知制御部160は、作業者P101のための検出区域DZ101を、作業者P101の装着する通知装置70(101)に表示させる。
【0142】
なお、通知制御部160は、「作業者Pのために設定された検出区域DZ」を、その作業者P以外の作業者Pに対しても通知してもよい。例えば、通知制御部160は、「作業者P101のための検出区域DZ101」を、作業者P01およびP02に通知してもよい。
【0143】
上述した制御部100の各機能ブロックは、例えば、CPU(central processing unit)などが、ROM(read only memory)、NVRAM(non-Volatile random access memory)等で実現された記憶装置(記憶部200)に記憶されているプログラムを不図示のRAM(random access memory)等に読み出して実行することで実現できる。
【0144】
(記憶部)
記憶部200は、安全コントローラ10が使用する各種データを格納している。すなわち、記憶部200は、安全コントローラ10が実行する(1)制御プログラム、(2)OSプログラム、(3)各種機能を実行するためのアプリケーションプログラム、および(4)該アプリケーションプログラムを実行するときに読み出す各種データを格納している。上記の(1)〜(4)のデータは、例えば、ROM(read only memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(登録商標)(Electrically EPROM)、HDD(Hard Disc Drive)等の不揮発性記憶装置に記憶される。また、記憶部200は、設定基準情報210、作業者詳細情報220、設定検出区域情報230、および、現在作業者情報240を格納する。
【0145】
図3は、安全コントローラ10の記憶部200に格納される、設定基準情報210、作業者詳細情報220、設定検出区域情報230、および、現在作業者情報240のデータ構造の一例を示す図である。
【0146】
設定基準情報210は、設定部120が検出区域DZを作業者Pごとに設定するための基準として利用する情報である。例えば、設定基準情報210は、検出区域DZを作業者Pの特性(機械の動作についての知識、担当する作業の内容、作業の熟練度、体型などの特性)に応じて、どのように検出区域DZを設定すべきであるかを定義した情報である。
【0147】
図3に示す設定基準情報210の例は、設定部120が、作業者Pの熟練度に応じて、検出区域DZを設定する方法を定義している。具体的には、図3の設定基準情報210は、「熟練度=熟練者」に対して、「検出区域=(機械20からの距離が)0.5m」を対応付けている。同様に、図3の設定基準情報210は、「熟練度=初心者」に対して「検出区域=(機械20からの距離が)1.0m」を、「熟練度=設定無し」に対して「検出区域=(機械20からの距離が)1.5m」を、対応付けている。
【0148】
図3の設定基準情報210に基づいて設定部120が検出区域DZを設定した場合、安全コントローラ10(特に、判定部130)は以下の処理を実行する。すなわち、熟練者である作業者Pが、機械20の1.5mまで近づいたと判定した場合も、機械20の1.0mまで近づいたと判定した場合も、安全コントローラ10は、安全制御信号をコントローラ40に出力しない。安全コントローラ10は、熟練者である作業者Pが機械20の0.5mまで近づいたと判定した場合に初めて、安全制御信号をコントローラ40に出力する。
【0149】
初心者である作業者Pが、機械20の1.5mまで近づいたと判定した場合には、安全コントローラ10は、安全制御信号をコントローラ40に出力しない。初心者である作業者Pが機械20の1.0mまで近づいたと判定すると、安全コントローラ10は、安全制御信号をコントローラ40に出力する。社外の見学者など、「熟練度=設定無し」の作業者P(IDが作業者詳細情報220に格納されていない作業者Pを含む)が機械20の1.5mまで近づいたと判定すると、安全制御信号をコントローラ40に出力する。
【0150】
作業者詳細情報220は、作業者Pの特性(機械の動作についての知識、担当する作業の内容、作業の熟練度、体型などの特性)を、作業者Pごとに(より正確には、作業者PのIDごとに)整理した情報である。図3に示す作業者詳細情報220の例は、「作業者PのID(作業者ID)」と、「作業者Pの作業者名(氏名)」と、「作業者Pの熟練度」とを、対応付けている。具体的には、図3に示す作業者詳細情報220の例は、「ID=01」である作業者P01の氏名が「東京太郎」であり、「熟練度=熟練者」であることを示している。また、作業者詳細情報220は、「ID=02」である作業者P02の氏名が「東京次郎」であり、「熟練度=初心者」であることを示している。さらに、作業者詳細情報220は、「ID=03」である作業者P03の氏名が「東京三郎」であり、「熟練度=初心者」であることを示している。
【0151】
設定検出区域情報230は、危険領域内に現在存在している作業者P、および、その作業者Pについて設定された検出区域DZを示す情報である。具体的には、図3に示す設定検出区域情報230の例は、「ID=01」である作業者P01について、検出区域DZ01が設定されたことを示している。また、設定検出区域情報230は、「ID=02」である作業者P02について、検出区域DZ02が設定されたことを示している。さらに、設定検出区域情報230は、IDなしの作業者P101(言い換えれば、安全コントローラ10が「ID=101」の作業者Pとして管理している作業者P101)について、検出区域DZ101が設定されたことを示している。
【0152】
現在作業者情報240は、危険領域内に現在存在している作業者P、および、その作業者Pの現在位置CPを示す情報である。具体的には、図3に示す現在作業者情報240の例は、「ID=01」である作業者P01が現在存在している位置(言い換えれば、現在占有している空間領域)は、現在位置CP01であることを示している。また、現在作業者情報240は、「ID=02」である作業者P02が現在存在している位置は、現在位置CP02であることを示している。さらに、現在作業者情報240は、IDなしの作業者P101(言い換えれば、安全コントローラ10が「ID=101」の作業者Pとして管理している作業者P101)が現在存在している位置は、現在位置CP101であることを示している。
【0153】
(安全制御装置の実行する処理の全体概要)
図4は、安全コントローラ10の実行する処理の全体概要を示すフロー図である。安全コントローラ10の実行する処理は、画像解析処理、検出区域設定処理、および、判定処理の3つに大別することができる。画像解析処理は、危険領域の撮影画像から、危険領域内の作業者PのIDおよび現在位置CPを特定する処理である。検出区域設定処理は、危険領域内の作業者Pごとに、検出区域DZを設定する処理である。判定処理は、作業者Pごとに設定された検出区域DZ内に侵入した作業者Pがいるかを判定し、検出区域DZ内に侵入した作業者Pがいると判定すると、安全制御信号の出力等を実行する処理である。以下、画像解析処理、検出区域設定処理、および、判定処理の3つの処理を含む、安全コントローラ10の実行する処理の全体を、図4を参照しながら説明していく。
【0154】
(画像解析処理)
画像処理部110は、進入物体測位処理、タグ情報取得処理、および、作業者識別処理の3つの処理をこの順で含む画像解析処理を実行する(S110)。進入物体測位処理は、危険領域の撮影画像を解析して、危険領域内に進入した物体(異物)の測位を行なう処理であり、つまり、危険領域内の作業者Pの現在位置CPを特定する処理である。タグ情報取得処理は、危険領域の撮影画像を解析して、危険領域内に存在するIDタグ30が示しているIDを特定し、また、IDタグ30の測位(IDタグ30の位置の特定)を行なう処理である。作業者識別処理は、進入物体測位処理において特定された異物(作業者P)の現在位置CPと、タグ情報取得処理において特定されたIDタグ30のIDおよび位置と、を組み合わせて、作業者PのIDおよび現在位置CPを特定する処理である。作業者識別処理は、現在位置CP=CP01である異物(作業者P)について、CP01に近接する位置において特定されたIDタグ30にID=01が示されている場合、その異物(作業者P)を、ID=01の作業者Pであると特定する。画像解析処理に含まれる進入物体測位処理、タグ情報取得処理、および、作業者識別処理の詳細については、図5を用いて後述する。
【0155】
(検出区域設定処理)
設定部120は、画像処理部110から、作業者PのIDを取得する(S120)。危険領域内に複数の作業者Pが居る場合、画像処理部110は、複数の作業者Pの各々のIDを特定し、設定部120は、画像処理部110から、複数の作業者Pの各々のIDを取得する。また、設定部120は、記憶部200を参照して、設定基準情報210を取得する(S130)。
【0156】
設定部120は、作業者PのIDと設定基準情報210とから、作業者Pごとの検出区域DZを設定する(S140)。設定部120は、設定した「作業者Pごとの検出区域DZ」を設定検出区域情報230として、記憶部200に格納する。
【0157】
(判定処理)
判定部130は、画像処理部110から、作業者Pごとの現在位置CP(=異物の領域)を取得する(S150)。判定部130は、記憶部200を参照して、作業者Pごとの検出区域DZについての情報である設定検出区域情報230を取得する。判定部130は、作業者Pごとに、その作業者Pの検出区域DZ内に、その作業者Pが居るか(侵入したか)を判定する(S160)。
【0158】
「その作業者Pについて設定された検出区域DZ内に侵入した作業者Pが居ない」と判定した場合(S170でNo)、安全コントローラ10は処理を終了する。「その作業者Pについて設定された検出区域DZ内に侵入した作業者Pが居る」と判定した場合(S170でYES)、判定部130は、その判定結果を、出力制御部140に通知する。
【0159】
「その作業者Pについて設定された検出区域DZ内に侵入した作業者Pが居る」との判定結果を判定部130から通知された出力制御部140は、安全制御信号を、コントローラ40に出力する(S180)。コントローラ40は、出力制御部140から安全制御信号を受信すると、機械20の動作を停止するなどの安全制御処理を実行する。
【0160】
また、「その作業者Pについて設定された検出区域DZ内に侵入した作業者Pが居る」と判定した場合、判定部130は、その作業者Pについて設定された検出区域DZ内に侵入した作業者Pを特定する(つまり、その作業者PのIDを取得する)(S190)。判定部130は、取得したID(作業者Pごとに設定された検出区域DZ内に侵入した作業者PのID)を、報知制御部150に通知する。
【0161】
報知制御部150は、S190で特定された作業者Pの侵入(その作業者Pについて設定された検出区域DZ内への侵入)を理由として安全制御が実行されたことを、S190で特定された作業者Pに報知する(S200)。
【0162】
図4を参照して説明してきた、安全コントローラ10の実行する処理は、以下のように整理することができる。すなわち、安全コントローラ10の実行する制御方法は、機械20の動作空間と作業者Pの作業空間とが重なる領域を含む危険領域において検出区域DZ内に作業者Pが侵入したと判定すると安全動作を実行する安全制御装置の制御方法であって、前記危険領域内に同時に存在する複数の作業者P01、P02、およびP101の各々のID(識別情報)を取得する取得ステップ(S120)と、前記取得ステップにてIDが取得された作業者Pごとに、検出区域DZ(つまり、検出区域DZ01、DZ02、およびDZ101)を設定する設定ステップ(S140)と、前記取得ステップにてIDが取得された複数の作業者P01、P02、およびP101の各々の、前記危険領域における現在位置CP(位置)(つまり、現在位置CP01、CP02、および、CP101)を特定する位置特定ステップ(S150)と、を含み、前記取得ステップにてIDが取得された複数の作業者P01、P02、およびP101のうち少なくとも一人(例えば、作業者P02)が、前記設定ステップにて前記少なくとも一人の作業者(例えば、作業者P02)について設定された検出区域DZ(例えば、検出区域DZ02)に侵入すると、前記安全動作を実行する。
【0163】
前記の方法によれば、前記制御方法は、検出区域DZを作業者Pごとに設定し、複数の作業者Pのうち少なくとも一人が、前記少なくとも一人の作業者Pについて設定された検出区域DZ内に侵入すると、前記安全動作を実行する。前記制御方法は、例えば、3人の作業者P01、P02、およびP101ごとに、検出区域DZ01、DZ02、およびDZ101を設定する。そして、前記制御方法は、3人の作業者P01、P02、およびP101の少なくとも一人(例えば、作業者P02)が、その作業者について設定した検出区域(例えば、検出区域DZ02)内に侵入すると、前記安全動作を実行する。
【0164】
ここで、例えば、機械20の動作についての知識、担当する作業の内容、作業の熟練度、体型などの特性は、作業者Pごとに様々である。そして、これらの特性に応じて、安全を十分に確保して作業を行なうために必要な「機械20との距離(つまり、検出領域DZ)」も、様々であることが想定できる。具体的には、機械20の動作について熟知しており、作業の熟練度も高い作業者P(例えば、作業者P01)であれば、機械20との距離がある程度近くても、安全を十分に確保して作業を行なうことができるであろう。これに対して、機械20の動作についての知識が十分ではなく、また、作業に不慣れな作業者P(例えば、作業者P02)であれば、安全を十分に確保して作業を行なうには、機械20から遠く離れる必要があると考えられる。
【0165】
従来、機械20の動作空間と作業者Pの作業空間とが重なる危険領域において作業者Pの安全を確保するための検出区域DZ(つまり、機械20との距離)は、作業を行なう作業者Pごとの上述の特性を考慮したものではなかった。具体的には、従来は、作業を行なう作業者Pごとの上述の特性に関わらず、どのような作業者Pでも安全を十分に確保して作業を行なうことができるように、最も安全を確保することのできる「機械20からの距離」に相当する検出領域DZを設定していた。言い換えれば、従来の安全制御装置の制御方法は、「機械20の動作について熟知しており、作業の熟練度も高い作業者P(例えば、作業者P01)」が、「機械20の動作についての知識が十分ではなく、また、作業に不慣れな作業者P(例えば、作業者P02)」の安全を確保するための検出領域DZに侵入した場合にも、安全動作を実行した。そのため、従来の安全制御装置の制御方法は、頻繁に機械20を休止等させ、機械20の稼働率を低下させてしまうという問題があった。
【0166】
前記の構成によれば、図4に例示する制御方法は、複数の作業者Pの各々を識別し、作業者Pごとに検出区域DZを設定する。そして、前記制御方法は、前記危険領域内に同時に存在する複数の作業者Pの各々の位置を特定し、或る作業者Pが、その或る作業者Pについて設定された検出区域内に侵入すると、前記安全動作を実行する。
【0167】
図4に例示する制御方法は、例えば、「機械20の動作について熟知しており、作業の熟練度も高い作業者P(例えば、作業者P01)」と、「機械20の動作についての知識が十分ではなく、また、作業に不慣れな作業者P(例えば、作業者P02)」とについて、異なる検出区域DZ(例えば、検出区域DZ01およびDZ02)を設定する。そして、前記制御方法は、「機械20の動作について熟知しており、作業の熟練度も高い作業者P(例えば、作業者P01)」が、「機械20の動作についての知識が十分ではなく、また、作業に不慣れな作業者P(例えば、作業者P02)」の安全を確保するための検出領域DZ02に侵入しただけでは、安全動作を実行しない。つまり、前記制御方法は、作業者Pごとに、作業者Pの安全を確保するために必要な場合にのみ安全動作を実行する(例えば、機械20を休止等させる)ので、機械20の稼働率の低下を抑制することができる。
【0168】
したがって、前記制御方法は、複数の作業者Pについて、作業者Pごとに、作業者Pの安全を確保しつつ、機械20の稼働率の低下を抑制するために最適な、検出区域DZを設定することができるという効果を奏する。言い換えれば、前記制御方法は、機械20の動作についての知識、担当する作業の内容、作業の熟練度、体型などの特性が異なる複数の作業者Pが同時に前記危険領域内に存在する場合であっても、作業者Pごとに最適な前記安全動作を実行し、前記機械20の稼働率の低下を抑制することができるという効果を奏する。
【0169】
(安全制御装置の実行する画像解析処理)
図5は、安全コントローラ10の実行する画像解析処理(進入物体測位処理、タグ情報取得処理、および、作業者識別処理)の一例を示すフロー図である。前述の通り、画像解析処理は、危険領域の撮影画像から、危険領域内の作業者PのIDおよび現在位置CPを特定する処理であり、進入物体測位処理、タグ情報取得処理、および、作業者識別処理の3つの処理をこの順で含む。以下、進入物体測位処理、タグ情報取得処理、および、作業者識別処理の3つの処理の詳細を、図5を用いて説明していく。
【0170】
(進入物体測位処理)
進入物体測位部111は、撮影装置60から、基準画像(作業者Pが居ない時点での危険領域の撮影画像)を取得する(S310)。なお、進入物体測位部111は、記憶部200等に予め格納されている基準画像を取得してもよい。すなわち、撮影装置60は、作業者Pが居ない時点の危険領域を予め撮影しておき、撮影した画像を基準画像として、安全コントローラ10等に送信して保存させておいてもよい。進入物体測位部111は、保存されている基準画像を取得してもよい。
【0171】
進入物体測位部111は、撮影装置60から、監視画像(現在の危険領域の撮影画像。つまり、作業者Pの居る危険領域の撮影画像)を取得し(S320)、取得した基準画像と監視画像との差分画像を生成する(S330)。進入物体測位部111は、S330で生成した差分画像から、「異物(つまり、作業者P)の領域(つまり、現在位置CP)」を抽出する(S340)。進入物体測位部111は、S340で抽出した「異物の領域」を、つまり、作業者Pの現在位置CP(言い換えれば、作業者Pが現在占有している空間領域)を、作業者識別部113に出力する(S350)。
【0172】
以上に説明した通り、進入物体測位部111は、危険領域の撮影画像を解析して、危険領域内に進入した物体(異物)の測位を行ない、つまり、危険領域内の作業者Pの現在位置CPを特定する。進入物体測位部111は、特定した「作業者Pの現在位置CP」を作業者識別部113に通知する。
【0173】
危険領域に作業者P01、P02、およびP101が居る場合、進入物体測位部111は、作業者P01、P02、およびP101の各々の現在位置CP01、CP02、およびCP101を特定する。そして、進入物体測位部111は、現在位置CP01、CP02、およびCP101の各々に、作業者Pが居ることを作業者識別部113に通知する。
【0174】
なお、進入物体測位部111は、現在位置CP01にいるのが作業者P01であり、現在位置CP02にいるのが作業者P02であり、現在位置CP101にいるのが作業者P101であることは特定せずともよい。進入物体測位部111は、危険領域の撮影画像を解析して、「現在位置CP01、CP02、およびCP101の各々に作業者Pが居ること」を、つまり、「3人の作業者Pが居り、各々の作業者Pが居るのは、現在位置CP01、CP02、およびCP101であること」を、特定すればよい。そして、進入物体測位部111は、現在位置CP01、CP02、およびCP101の各々に、作業者Pが居ることを作業者識別部113に通知すればよい。
【0175】
進入物体測位部111は、異物が検出された位置である現在位置CP01、CP02、およびCP101を特定し、特定した現在位置CP01、CP02、およびCP101を、作業者識別部113に通知する。
【0176】
(タグ情報取得処理)
IDタグ測位部112は、撮影装置60から、監視画像(現在の危険領域の撮影画像。つまり、作業者Pの居る危険領域の撮影画像)を取得する(S410)。IDタグ測位部112は、S410で取得した監視画像について、特徴点(つまり、IDタグ30)を抽出し(S420)、IDタグ30に示されているIDを抽出する(取得する)(S430)。画像から特徴点を抽出し、その画像に示されている情報を取得する方法については、様々な画像解析手法が従来から知られており、IDタグ測位部112は、それらの方法を利用してIDタグ30に示されているIDを抽出する(取得する)。
【0177】
ID抽出が失敗した場合(S440でNO)、IDタグ測位部112は処理を終了する。ID抽出が成功した場合(S440でYES)、IDタグ測位部112は、特徴点(つまり、IDタグ30)の測位を実行し、言い換えれば、特徴点の位置を特定する(S450)。そして、IDタグ測位部112は、S450で特定した特徴点(つまり、IDタグ30)の位置(座標位置)、および、S430で特定したIDタグ30のID(IDタグ30に示されているID)を、作業者識別部113に出力する(S460)。
【0178】
以上に説明した通り、IDタグ測位部112は、危険領域の撮影画像を解析して、危険領域内に存在するIDタグ30が示しているIDを特定し、また、IDタグ30の測位(IDタグ30の位置の特定)を行なう。
【0179】
(作業者識別処理)
作業者識別部113は、進入物体測位部111から、「異物の領域(つまり、異物が現在存在する領域である現在位置CP01、CP02、およびCP101)」を取得する(S510)。作業者識別部113は、IDタグ測位部112から、IDタグ30の座標位置、および、IDタグ30のIDを取得する(S520)。
【0180】
作業者識別部113は、「異物の領域」内にIDタグ30が存在しているかを判定し(S530)、具体的には、現在位置CP01、CP02、およびCP101内に存在するIDタグ30があるかを判定する。
【0181】
「異物の領域」内にIDタグ30が存在していると判定すると(S530でYES)、作業者識別部113は、異物にIDを割り当て(S540)、IDを割り当てた異物の領域(現在位置CP)を、判定部130に出力する(S550)。
【0182】
例えば、作業者識別部113は、ID=01を示すIDタグ30(01)の位置と現在位置CP01とが重なる場合(または近接する場合)、現在位置CP01にID=01を割り当て、つまり、現在位置CP01である作業者P01にID=01を付与する。そして、作業者識別部113は、ID=01を付与した現在位置CP01を、つまり、ID=01が対応付けられた現在位置CP01を、判定部130に出力する。
【0183】
また、作業者識別部113は、ID=02を示すIDタグ30(02)の位置と現在位置CP02とが重なる場合(または近接する場合)、現在位置CP02にID=02を割り当て、つまり、現在位置CP02である作業者P02にID=02を付与する。そして、作業者識別部113は、ID=02を付与した現在位置CP02を、つまり、ID=02が対応付けられた現在位置CP02を、判定部130に出力する。
【0184】
「異物の領域(=現在位置CP)」内にIDタグ30が存在していないと判定すると(S530でNO)、作業者識別部113は、IDを空として、異物の領域(現在位置CP)を、判定部130に出力する(S560)。例えば、作業者識別部113は、現在位置CP101と重なる位置(または近接する位置)に存在するIDタグ30が無い場合、現在位置CP101に「IDなし」を割り当て、つまり、現在位置CP101である作業者P101に「IDなし」を付与する。そして、作業者識別部113は、「IDなし」を付与した現在位置CP101を、つまり、「IDなし」が対応付けられた現在位置CP101を、判定部130に出力する。
【0185】
作業者識別部113は、進入物体測位処理において特定された異物(作業者P)の現在位置CPと、タグ情報取得処理において特定されたIDタグ30のIDおよび位置と、を組み合わせて、作業者PのIDおよび現在位置CPを特定する。作業者識別部113は、特定したIDおよび現在位置CPを、言い換えれば、IDが対応付けられた現在位置CPを、判定部130に通知する。具体的には、作業者識別部113は、ID=01が対応付けられた現在位置CP01、ID=02が対応付けられた現在位置CP02、および、IDなしが対応付けられた現在位置CP101を、判定部130に通知する。
【0186】
(安全制御装置が設定する検知領域の例)
図6は、安全コントローラ10が作業者Pごとに設定した検出区域DZの一例を示す図である。特に、図6は、設定部120が、図3に例示した設定基準情報210および作業者詳細情報220を用いて設定した検出区域DZ01、DZ02、およびDZ101の例を示している。危険領域内に存在する異物(作業者P)の識別情報について、画像処理部110から「ID=01」、「ID=02」、「IDなし(つまり、ID=101)」を通知された設定部120は、図6の検出区域DZ01、DZ02、およびDZ101を設定する。
【0187】
検出区域DZ01は、「ID=01」に対して、つまり、「ID=01」の作業者P01に対して、設定部120が設定する検出区域DZである。検出区域DZ02は、「ID=02」に対して、つまり、「ID=02」の作業者P02に対して、設定部120が設定する検出区域DZである。検出区域DZ101は、「IDなし(言い換えれば、ID=101)」に対して、つまり、「IDなし(言い換えれば、ID=101)」の作業者P101に対して、設定部120が設定する検出区域DZである。以下、設定部120が、図3に例示した設定基準情報210および作業者詳細情報220を用いて検出区域DZを設定する方法について詳細を説明していく。
【0188】
設定部120は、図3の設定基準情報210および作業者詳細情報220を参照して、「ID=01」に「熟練度=熟練者」が対応付けられており、したがって、「機械20から0.5m」の区域(3次元領域)を、検出区域DZ01として設定する。設定部120は、図3の設定基準情報210および作業者詳細情報220を参照して、「ID=02」に「熟練度=初心者」が対応付けられており、したがって、「機械20から1.0m」の区域(3次元領域)を、検出区域DZ01として設定する。設定部120は、図3の設定基準情報210を参照して、「IDなし」に対応する検出区域DZ101について、「機械20から1.5m」の区域(3次元領域)を設定する。
【0189】
(安全制御の実行例)
図7は、安全コントローラ10が、図6に例示した検出区域DZを用いて、安全動作を実行する例を示す図である。図7に示す例では、ID=01の作業者P01は、IDなしの作業者P101のための検出区域DZ101内に侵入し、また、ID=02の作業者P02のための検出区域DZ02内に侵入しているが、自己のために設定された検出区域DZ01には侵入していない。ID=02の作業者P02は、IDなしの作業者P101のための検出区域DZ101内には侵入しているが、自己のために設定された検出区域DZ02に侵入していない。これに対して、図7に示す例において、IDなしの作業者P101は、自己のために設定された検出区域DZ101に侵入している。
【0190】
図7に示す例において安全コントローラ10は、3名のうち1名の作業者Pが、その作業者Pについて設定された検出区域DZに侵入しているため、安全制御信号(例えば、機械20を停止させる信号)を、コントローラ40に出力する。具体的には、安全コントローラ10は、3名の作業者Pのうち作業者P101が、作業者P101について設定された検出区域DZ101に侵入していると判定し、安全制御信号を、コントローラ40に出力する。また、安全コントローラ10は、作業者P101に、作業者P101が原因となって安全制御処理が実行されたことを通知する。
【0191】
(検出区域の変形例)
図8は、安全コントローラ10が作業者Pごとに設定する、図6に示した例とは異なる検出区域DZの例を示す図である。図6に例示した検出区域DZは、複数の作業者Pの熟練度ごとに、機械20から同心円状に設定されていた。具体的には、設定部120は、「熟練度=初心者」である作業者P02のための検出区域DZ02、および、IDなしの作業者P101のための検出区域DZ101を、「熟練度=熟練者」である作業者P01のための検出区域DZ01と比べて、機械20からの距離が大きくなるように設定する。また、設定部120は、IDなしの作業者P101のための検出区域DZ101を、「熟練度=初心者」である作業者P02のための検出区域DZ02と比べて、機械20からの距離が大きくなるように設定する。
【0192】
しかしながら、設定部120が機械20を中心とする同心円状に作業者Pごとの検出区域DZを設定することは必須ではなく、設定部120は、図8に示すように、非同心円状に、作業者Pごとの検出区域DZを設定してもよい。図8には、機械20の動作方向が、機械20を中心として機械20の紙面上側に制御されている場合に、設定部120が設定する検出区域DZ01、DZ02、および、DZ101の例が示されている。例えば、熟練度および作業内容に応じて検出区域DZを設定することを定義した設定基準情報210に従って、設定部120は、図8に例示する検出区域DZ01、DZ02、および、DZ101を設定する。すなわち、設定部120は、「熟練度=熟練者」である作業者P01のための検出区域DZ01と、機械20を中心として機械20の紙面下側での作業のみを行なう、「熟練度=初心者」である作業者P02のための検出区域DZ02と、を非同心円状に設定する。
【0193】
図8に例示したように、設定部120は、熟練度だけでなく、担当する作業の内容、体型などの特性に応じて、作業者Pごとに最適な検出区域DZ02を設定する。
【0194】
〔その他の変形例〕
(ID取得方法について)
これまで、安全コントローラ10が、危険領域の撮影画像から、特に、作業者PのID(識別情報)が光学的に書き込まれたIDタグ30を撮像した画像から、作業者PのIDを取得する方法を説明してきた。しかしながら、IDタグ30に、作業者PのID(識別情報)が光学的に書き込まれていることは必須ではなく、IDタグ30には作業者PのID(識別情報)が電気的(電子的)に書き込まれていてもよく、具体的には、IDタグ30は、作業者PのIDを格納したRFID(Radio Frequency Identification)タグ等の無線タグであってもよい。安全コントローラ10は、作業者Pが携帯し、作業者PのIDを格納した無線方式のIDタグ30からの信号を受信して、作業者PのIDを取得してもよい。
【0195】
(作業者およびIDタグの位置の特定方法について)
これまで、安全コントローラ10が、危険領域の撮影画像から、作業者Pの現在位置CPを取得する方法を説明してきた。しかしながら、危険領域の撮影画像から作業者Pの現在位置CPを取得することは必須ではなく、安全コントローラ10は例えば、以下の方法によって作業者Pの現在位置CPを取得してもよい。
【0196】
すなわち、安全コントローラ10は、作業者Pの携帯するRFIDタグ等の無線タグから、作業者Pの現在位置CPを取得してもよい。RFIDタグ等の無線タグとの通信によって、その無線タグの現在位置(=作業者Pの現在位置CP)を算出する方法は従来技術を利用することができるので、詳細は略記する。
【0197】
IDタグ30を無線タグとした場合、安全コントローラ10は、IDタグ30との無線通信によって、IDタグ30の位置、および、IDタグ30を携帯する作業者Pの現在位置CPを、特定する。
【0198】
また、安全コントローラ10は、作業者Pの携帯する電子機器等の備えるGPS機能を利用して、その電子機器から、作業者Pの現在位置CPを取得してもよい。安全コントローラ10は、工場等において作業者Pの位置を算出する従来までの任意の方法を用いて、作業者Pの現在位置CPを取得することができる。
【0199】
〔ソフトウェアによる実現例〕
安全コントローラ10の制御ブロック(特に、画像処理部110、設定部120、判定部130、出力制御部140、報知制御部150、および、通知制御部160)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0200】
後者の場合、安全コントローラ10は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0201】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0202】
10 安全コントローラ(安全制御装置)
20 機械
30 IDタグ(タグ)
50 報知装置(ウェアラブル表示端末)
61 カメラ
70 通知装置(ウェアラブル表示端末)
CP 現在位置(作業者の位置)
P 作業者
DZ 検出区域
112 IDタグ測位部(取得部)
113 作業者識別部(位置特定部)
120 設定部
150 報知制御部(報知部)
160 通知制御部(通知部)
S120 取得ステップ
S140 設定ステップ
S150 位置特定ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8