特開2018-202543(P2018-202543A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-202543(P2018-202543A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
   B26D 7/18 20060101AFI20181130BHJP
   B26F 1/38 20060101ALI20181130BHJP
   B21D 43/28 20060101ALN20181130BHJP
【FI】
   B26D7/18 A
   B26F1/38 A
   B21D43/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-110285(P2017-110285)
(22)【出願日】2017年6月2日
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】西原 寛恭
【テーマコード(参考)】
3C021
3C060
【Fターム(参考)】
3C021FA01
3C060AA20
3C060AB01
3C060BA07
3C060BB07
3C060BD03
3C060BG16
3C060BG17
(57)【要約】
【課題】帯状のシート部材を切断することで発生する端材を好適に回収できる加工装置を提供する。
【解決手段】加工装置100では、切断部20がシート部材50を切断することで、所望の形状の電極51が形成され、且つ、不要な部材として端材52が発生する。このうち、電極51は、搬送部21の搬送面21aに吸着されて搬送される。一方、端材52は、回収部22に回収される。ここで、回収部22は、搬送部21が電極51を吸着する方向とは反対方向へ端材52を吸着することによって、端材52を回収する。このように、回収部22が端材52を搬送部21とは反対方向へ吸着することで、端材52が電極51と共に搬送部21に吸着されて搬送されることを抑制することができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状のシート部材を切断することで加工する加工装置であって、
前記シート部材を切断して対象物を形成する切断部と、
前記対象物を搬送面上に配置し、当該搬送面に前記対象物を吸着して搬送する搬送部と、
前記切断部で前記シート部材を切断することで発生する端材を回収する回収部と、を備え、
前記回収部は、前記搬送部が前記対象物を吸着する方向とは反対方向へ前記端材を吸着することで、前記端材を回収する回収部と、を備える加工装置。
【請求項2】
前記回収部は、
前記端材を吸着する吸着部分と、
当該吸着部分と異なる位置にて、吸着した前記端材を気体の吐き出しによって離脱させる離脱部分と、を備える、請求項1に記載の加工装置。
【請求項3】
前記回収部は、搬送方向と直交する方向において、吸着部分にて前記端材の吸着を行う吸着領域と、吸着を行わない非吸着領域を有する、請求項1又は2に記載の加工装置。
【請求項4】
前記吸着領域は、前記搬送方向に沿って非連続的に形成される、請求項3に記載の加工装置。
【請求項5】
前記切断部は、前記端材を他の端材から分離された個別の部材として切断する、請求項1〜4の何れか一項に記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
帯状のシート部材を切断することで発生する端材を回収する加工装置として、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1には、シート部材を搬送する搬送部と、シート部材を切断する切断部と、を備える装置が記載されている。切断部がシート部材を切断することによって対象物が形成されると共に、余剰部分が端材として発生する。この装置は、切断後の対象物及び端材を搬送部で搬送し、対象物を吸着して保持する一方で、端材を搬送部から落下させることで、当該端材を回収している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5903886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の装置においては、端材が対象物とともに吸着されることによって、端材を良好に回収することができない場合がある。
【0005】
本発明の目的は、帯状のシート部材を切断することで発生する端材を好適に回収できる加工装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る加工装置は、帯状のシート部材を切断することで加工する加工装置であって、シート部材を切断して対象物を形成する切断部と、対象物を搬送面上に配置し、当該搬送面に対象物を吸着して搬送する搬送部と、切断部でシート部材を切断することで発生する端材を回収する回収部と、を備え、回収部は、搬送部が対象物を吸着する方向とは反対方向へ端材を吸着することで、端材を回収する回収部と、を備える。
【0007】
このような加工装置では、切断部がシート部材を切断することで、所望の形状の対象物が形成され、且つ、不要な部材として端材が発生する。このうち、対象物は、搬送部の搬送面に吸着されて搬送される。一方、端材は、回収部に回収される。ここで、回収部は、搬送部が対象物を吸着する方向とは反対方向へ端材を吸着することによって、端材を回収する。このように、回収部が端材を搬送部とは反対方向へ吸着することで、端材が対象物と共に搬送部に吸着されて搬送されることを抑制することができる。以上により、帯状のシート部材を切断することで発生する端材を好適に回収できる。
【0008】
回収部は、端材を吸着する吸着部分と、当該吸着部分と異なる位置にて、吸着した端材を気体の吐き出しによって離脱させる離脱部分と、を備えてよい。これにより、回収部は、吸着して回収した端材を離脱部分にて離脱させることができる。従って、回収部は回収した端材を回収箱等へ投入し、その後、新たな端材を回収することができる。
【0009】
回収部は、搬送方向と直交する方向において、吸着部分にて端材の吸着を行う吸着領域と、吸着を行わない非吸着領域を有してよい。搬送されるシート部材に対し、対象物が通過する位置には非吸着領域を配置し、端材が通過する位置には吸着領域を配置する。これにより、回収部は、端材を吸着領域で吸着して回収しつつ、非吸着領域にて対象物を誤って吸着することを抑制できる。
【0010】
吸着領域は、搬送方向に沿って非連続的に形成されてよい。これにより、対象物の一部分が吸着領域側へ延びる場合などに、当該一部分が、吸着領域の途切れた箇所に位置するように調整することで、対象物が誤って回収部に吸着されることを抑制できる。
【0011】
切断部は、端材を他の端材から分離された個別の部材として切断してよい。このように、端材が個別の部材として切断されることで、回収部が端材を回収し易くなる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、帯状のシート部材を切断することで発生する端材を好適に回収できる加工装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る加工装置を適用して製造される蓄電装置の内部を示す断面図である。
図2図1のII−II線断面図である。
図3】本発明の実施形態に係る加工装置を示す概略側面図(一部断面を含む)である。
図4】切断後のシート部材を搬送する搬送部を上方から見た平面図である。
図5】回収部の端部付近の斜視図である。
図6】回収部の外周面を平面状に仮想的に展開した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
図1は、本実施形態に係る電極搬送装置を適用して製造される蓄電装置の内部を示す断面図である。図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。図1及び図2に示される蓄電装置1は、例えばリチウムイオン二次電池といった非水電解質二次電池として構成されている。
【0016】
蓄電装置1は、例えば略直方体形状のケース2と、このケース2内に収容された電極組立体3と、を備えている。ケース2は、例えばアルミニウム等の金属により形成されている。ケース2の内部には、図示はしないが、例えば非水系(有機溶媒系)の電解液が注液されている。ケース2上には、正極端子4及び負極端子5が互いに離間して配置されている。正極端子4は、絶縁リング6を介してケース2に固定され、負極端子5は、絶縁リング7を介してケース2に固定されている。
【0017】
また、電極組立体3とケース2の内側の側面及び底面との間には絶縁フィルムFが配置されており、当該絶縁フィルムFによってケース2と電極組立体3との間が絶縁されている。電極組立体3の下端は、絶縁フィルムFを介してケース2の内側の底面に接触している。電極組立体3とケース2との間にスペーサSを配置することにより、電極組立体3とケース2との間に隙間が埋められている。スペーサSは、一枚または複数枚のシートを備えており、当該シートの枚数は電極組立体3の厚さによって変化し得る。
【0018】
電極組立体3は、複数の正極8と複数の負極9とが袋状のセパレータ10を介して交互に積層された構造を有している。正極8は、袋状のセパレータ10に包まれている。袋状のセパレータ10に包まれた状態の正極8は、セパレータ付き正極11として構成されている。従って、電極組立体3は、複数のセパレータ付き正極11と複数の負極9とが交互に積層された構造を有している。なお、電極組立体3の両端に位置する電極は、負極9である。
【0019】
正極8は、例えばアルミニウム箔からなる正極集電体である金属箔14と、この金属箔14の両面に形成された正極活物質層15とを有している。金属箔14は、平面視矩形状の箔本体部14aと、この箔本体部14aと一体化されたタブ14bとを有している。タブ14bは、箔本体部14aの一端部近傍の縁から突出して、セパレータ10を突き抜けている。タブ14bは、導電部材12を介して正極端子4に接続されている。なお、図2では、便宜上タブ14bを省略している。
【0020】
正極活物質層15は、箔本体部14aの両面に形成されている。正極活物質層15は、正極活物質とバインダとを含んで形成された多孔質の層である。正極活物質としては、例えば複合酸化物、金属リチウムまたは硫黄等が挙げられる。複合酸化物には、例えばマンガン、ニッケル、コバルト及びアルミニウムの少なくとも1つとリチウムとが含まれる。
【0021】
負極9は、例えば銅箔からなる負極集電体である金属箔16と、この金属箔16の両面に形成された負極活物質層17とを有している。金属箔16は、平面視矩形状の箔本体部16aと、この箔本体部16aと一体化されたタブ16bとを有している。タブ16bは、箔本体部16aの一端部近傍の縁から突出している。タブ16bは、導電部材13を介して負極端子5に接続されている。なお、図2では、便宜上タブ16bを省略している。
【0022】
負極活物質層17は、箔本体部16aの両面に形成されている。負極活物質層17は、負極活物質とバインダとを含んで形成された多孔質の層である。負極活物質としては、例えば黒鉛、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ、ハードカーボン、ソフトカーボン等のカーボン、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、金属化合物、SiOx(0.5≦x≦1.5)等の金属酸化物またはホウ素添加炭素等が挙げられる。
【0023】
セパレータ10は、平面視矩形状を呈している。セパレータ10の材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、或いはポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布または不織布等が例示される。
【0024】
以上のように構成された蓄電装置1を製造する場合は、まず正極8を袋状のセパレータ10で包んでなるセパレータ付き正極11と負極9とを製作した後、セパレータ付き正極11と負極9とを交互に積層し、セパレータ付き正極11及び負極9をテープ等で固定することで電極組立体3を得る。そして、セパレータ付き正極11のタブ14bを導電部材12を介して正極端子4に接続すると共に、負極9のタブ16bを導電部材13を介して負極端子5に接続した後、電極組立体3をケース2内に収容する。
【0025】
図3図6を用いて、本発明の実施形態に係る加工装置100について説明する。図3は、加工装置100を示す概略側面図である。図4は、切断後のシート部材を搬送する搬送部21を上方から見た平面図である。図5は、回収部22の端部付近の斜視図である。図6は、回収部22の外周面を平面状に仮想的に展開した図である。加工装置100は、帯状のシート部材を切断し、当該切断することで発生する端材を回収する装置である。図3に示すように、加工装置100は、切断部20と、搬送部21と、回収部22と、回収箱23と、を備えている。
【0026】
切断部20は、シート部材50を切断して電極51を形成する部分である。切断部20は、上側に配置される上側ローラ20Aと、下側に配置される下側ローラ20Bと、を備える。上側ローラ20Aは、シート部材50を所望の形状に切断する刃部を外周面に有する、いわゆるロータリーカッターである。下側ローラ20Bは、上側ローラ20Aと対向してシート部材50を下側から挟み込む、いわゆるアンビルロールである。切断部20は、供給ロール24から供給され、一対のニップローラ25により送り出されたシート部材50を切断する。上側ローラ20Aの刃部は、回転してシート部材50を搬送方向D1へ送り出すに従って、シート部材50を所望の形状に切断するように、上側ローラ20Aの外周面に所定のパターンで形成されている。シート部材50の材料は、対象物として正極8を形成する場合は正極8の材料が採用され、対象物として負極9を形成する場合は負極9の材料が採用される。
【0027】
ここで、図4を参照して、切断部20によるシート部材50の切断形状について説明する。切断部20は、切断の対象物として、電極51を形成する。また、切断部20がシート部材50を電極51の形状に切断することで、余剰部分が端材52として発生する。なお、切断部20は、シート部材50にカットラインを入れることで、電極51及び端材52を形成するが、切断後、搬送部21で搬送されている状態では、それぞれの電極51及び端材52の部材同士はカットラインにて、互いに連なった状態(すなわち、互いに離間してばらけた状態にはなっておらず、ばらけたとしても誤差の範囲)となっている。これにより、後述の搬送部21及び回収部22の吸着領域と非吸着領域の位置合わせが可能となる。電極51は、前述の正極8及び負極9のいずれであってもよい。電極51は、箔本体部51aと、タブ51bと、を有している。切断部20は、シート部材50内において、電極51が搬送方向D1に連なって列をなすように、当該電極51を形成する。また、切断部20は、搬送方向D1と直交する幅方向D2において、電極51の列が二列となるように、シート部材50を切断する。幅方向D2の一方の列をLAと称し、他方の列をLBと称する。電極51の箔本体部51aは、タブ51bが突出している辺51cと、辺51cと対向するように配置される辺51dと、辺51c,51dと直交する辺51e,51fと、を有する。
【0028】
各列LA,LBにおいて、電極51は、タブ51bが幅方向D2における外側、すなわちシート部材50における側縁部50a,50b側に突出するような向きをなしている。列LAの電極51の辺51cは、幅方向D2における一方の側縁部50a側に位置する。列LBの電極51の辺51cは、幅方向D2における他方の側縁部50b側に位置する。列LAでは、搬送方向D1の電極51の辺51eは、搬送方向D1の上流側に隣り合う電極51の辺51fに連なっている。列LBでは、搬送方向D1の電極51の辺51fは、搬送方向D1の上流側に隣り合う電極51の辺51eに連なっている。列LAの電極51と列LBの電極51とは、シート部材50の幅方向D2における中央位置にて、互いの辺51dが連なっている。列LAの電極51の辺51eと、列LBの電極51の辺51fとは、搬送方向D1における同位置に配置される。列LAの電極51の辺51eと、列LBの電極51の辺51fとは、搬送方向D1における同位置に配置される。
【0029】
端材52は、一の電極51のタブ51bと、当該電極51と搬送方向D1に隣り合う他の電極51のタブ51bとの間に形成される。すなわち、列LAでは、端材52は、シート部材50の幅方向D2における一方の側縁部50aに沿って形成される。列LAの端材52は、側縁部50aと、電極51の辺51cと、タブ51bの辺と、によって搬送方向D1に長尺な長方形状に形成される。列LBでは、端材52は、シート部材50の幅方向D2における他方の側縁部50bに沿って形成される。列LBの端材52は、側縁部50bと、電極51の辺51cと、タブ51bの辺と、によって搬送方向D1に長尺な長方形状に形成される。切断部20は、端材52を他の端材52から分離された個別の部材として切断する。すなわち、端材52は、タブ51bの位置にて、搬送方向D1に隣り合う他の端材52から分離されている。すなわち、端材52は、搬送方向D1において非連続的に形成される。
【0030】
図3に示すように、搬送部21は、電極51を搬送面21a上に配置し、当該搬送面21aに電極51を吸着して搬送する。搬送部21は、帯状に形成された無端のベルト30と、ベルト30をガイド及び駆動するローラ32と、を備えるベルトコンベアによって構成される。また、搬送部21のベルト30の内周側には、搬送面21aと対応する位置に、吸引装置31が設けられている。吸引装置31は、搬送面21aを構成するベルト30の裏側で空気の吸引を行うことで、搬送面21a上に下方へ向かって吸着力を発生させる。吸引装置31は、搬送面21aに形成された複数の微細な貫通孔を介して空気を吸引する。これにより、搬送面21a上に配置された電極51は、当該搬送面21aに吸着された状態で搬送される。搬送部21は、列LA,LBに配置された状態の複数の電極51を搬送する(図4参照)。なお、搬送部21は、回収部22より搬送方向D1における上流側では、電極51と共に端材52も搬送する。
【0031】
図4に示すように、搬送面21aは、幅方向D2に吸着領域36と、非吸着領域37と、を有する。図中、ハッチングが付された部分が吸着領域36に該当する。吸着領域36では、搬送面21aの裏側にて前述の吸引装置31が吸引を行い、且つ、搬送面21aが空気を流すための複数の微細な貫通孔を有することで、吸着力が発生している。非吸着領域37では、吸引装置31が設けられていないことにより、または吸引装置31が作動しないことにより、あるいは搬送面21aに貫通孔が形成されていないことにより、吸着力が発生していない。吸着領域36は、搬送面21aのうち、列LA,LBの電極51の箔本体部51aが通過する領域に形成される。これにより、搬送面21aは、吸着領域36にて、電極51の箔本体部51aを吸着する。非吸着領域37は、搬送面21aのうち、列LA,LBの端材52が通過する領域に形成される。すなわち、非吸着領域37は、吸着領域36の幅方向D2における両端側に形成される。これにより、搬送面21aは、非吸着領域37にて、電極51のタブ51b及び端材52を吸着しない状態にて搬送する。なお、搬送面21aの幅方向D2の両縁部付近の領域のうち、電極51のタブ51bが配置される部分を吸着領域としてもよい。この場合、端材52の位置と対応する非吸着領域37と、タブ51bの位置と対応する吸着領域が搬送方向D1に交互に配置されることとなる。具体例としては、吸引装置31が吸引を行う領域を、タブ51bの位置まで拡げるとともに、搬送面21aのタブ51bに対応する位置には、貫通孔を配置する。ただしこの場合、制御部(不図示)は、切断部20の切断タイミングと、搬送部21の搬送位置及び搬送速度等との間で同期をとり、非吸着領域37に端材52が配置されるように設定を行う必要がある。
【0032】
図3に示すように、回収部22は、搬送部21の搬送面21aと対向する位置に配置され、搬送面21a上の端材52を回収するローラ状の装置である。回収部22は、その外周面22aにて、搬送面21aとの間で切断後のシート部材50を挟み込みながら、シート部材50の搬送に合わせて回転する。回収部22は、下端側の外周面22aが搬送方向D1へ向かって移動するように回転する。回収部22は、搬送部21が電極51を吸着する方向とは反対方向へ端材52を吸着することで、端材52を回収する。ここでは、搬送部21は下方へ向かって電極51を吸着するため、回収部22は上方へ向かって端材52を吸着する。
【0033】
回収部22は、吸着部分44と、離脱部分45と、を有している。吸着部分44及び離脱部分45は、回収部22の外周面22aにて、周方向に互いに異なる位置に形成される。吸着部分44は、搬送面21aと対向する位置、すなわち回収部22の下端側の領域に形成され、端材52を吸着する部分である。回収部22は、搬送面21a上にて搬送されている端材52を吸着部分44にて吸着し、回収部22の回転に伴って、吸着した端材52を搬送面21aから上方へ移動させることで取り除く。離脱部分45は、吸着部分44と異なる位置にて、吸着した端材52を気体の吐き出しによって離脱させる部分である。離脱部分45は、吸着部分44が搬送面21a上の端材52を吸着する位置よりも回転方向における下流側に配置される。本実施形態では、離脱部分45は、吸着部分44よりも上側の位置に設けられる。離脱部分45に隣り合う位置には、回収箱23が設けられている。従って、離脱部分45によって回収部22から離脱した端材52は、回収箱23内へ落下し、当該回収箱23に貯められる。
【0034】
具体的に、回収部22は、中心軸周りに回転方向D3へ回転し、微細な貫通孔が多数形成されている円筒部材40と、円筒部材40の内部の下端側の領域に配置される吸引装置41と、円筒部材40の内部の上端側の領域に配置される吐出装置42と、を備えている。吸引装置41は、外周面22aを構成する円筒部材40の裏側で空気の吸引を行うことで、外周面22aに内周側へ向かって吸着力を発生させる。吸引装置41は、外周面22aに対向する壁面に複数の微細な貫通孔が形成され、円筒部材40の貫通孔及び吸引装置41の貫通孔を介して空気を吸引する。これにより、外周面22aと接触した端材52は、当該外周面22aに吸着された状態で回収される。吸引装置41は、円筒部材40の下半分の領域にて半円状の円弧を描く吸引面を有している。よって、円筒部材40のうち、当該吸引装置41の吸引面に対応する位置まで移動した部分が、吸着部分44として機能する。吐出装置42は、円筒部材40に対向する壁面に複数の微細な貫通孔が形成され、円筒部材40の裏側で空気を吐き出すことで、吐出装置42の貫通孔及び円筒部材40の貫通孔を介し、外周面22aに外周側へ向かって圧力を発生させる。吐出装置42は、外周面22aに形成された複数の微細な貫通孔を介して空気を吐き出す。これにより、外周面22aに吸着されていた端材52は、吐出装置42が吐き出す空気と共に外周側へ離脱する。吐出装置42は、円筒部材40の上半分の領域のうち、搬送方向D1の下流側の位置にて四半円状の円弧を描く吐出面を有している。よって、円筒部材40のうち、当該吐出装置42の吐出面に対応する位置まで移動した部分が、離脱部分45として機能する。
【0035】
以上のような構成を有する回収部22の動作について説明する。円筒部材40の周方向における所定箇所は、円筒部材40の回転に伴って、回転方向D3へ周りに移動する。所定箇所は、吸引装置41の位置まで回転すると、吸引装置41の吸引により、吸着力を生じて吸着部分44として機能する。従って、所定箇所が、搬送面21aと対向する位置まで回転すると、端材52を吸着する。所定箇所が、端材52を吸着した状態で更に回転すると、吐出装置42の位置まで達する。このとき、所定箇所は、吐出装置42の気体の吐き出しにより、外周側へ向かう圧力を発生し、離脱部分45として機能する。従って、所定箇所から端材52が離脱し、回収箱23内へ回収される。端材52を離脱させた所定箇所は、回転によって再び吸引装置41の位置まで到達し、前述の動作を繰り返す。
【0036】
図5及び図6に示すように、回収部22は、幅方向D2において、吸着部分44にて端材52の吸着を行う吸着領域46と、吸着を行わない非吸着領域47を有する。図中、ハッチングが付された部分が吸着領域46に該当する。吸着領域46及び非吸着領域48は、円筒部材40の外周面(すなわち回収部22の外周面22a)に形成される。吸着領域46では、外周面22aの裏側にて前述の吸引装置41が吸引を行い、且つ、外周面22aが空気を流すための複数の微細な貫通孔を有することで、吸着力が発生している。非吸着領域47では、吸引装置41が設けられていないことにより、または吸引装置41が作動しないことにより、あるいは外周面22aに貫通孔が形成されていないことにより、吸着力が発生していない。吸着領域46は、外周面22aのうち、列LA,LBの端材52が通過する領域に形成される。すなわち、吸着領域46は、円筒部材40の幅方向D2における両端側に形成される。これにより、外周面22aは、吸着領域46にて、端材52を吸着する。非吸着領域47は、外周面22Aのうち、列LA,LBの電極51の箔本体部51aが通過する領域に形成される。これにより、外周面22aは、非吸着領域47にて、電極51の箔本体部51aと接触しても、吸着しない。なお、吸着領域46は、離脱部分45に到達した時、すなわち吐出装置42の位置に到達した時は、当該吐出装置42が吐き出す気体を吐き出すことで、端材52を離脱させる離脱領域として機能する。
【0037】
吸着領域46は、搬送方向D1に沿って非連続的に形成される。すなわち、外周面22aの幅方向D2の両縁部付近の領域のうち、電極51のタブ51bが配置される部分を非吸着領域48としてもよい。この場合、端材52の位置と対応する吸着領域46と、タブ51bの位置と対応する非吸着領域48が搬送方向D1に交互に配置されることとなる。非吸着領域48は、対応箇所における外周面22aに吸引装置41が吸引する空気を通すための貫通孔を形成しないことによって、構成される。ただしこの場合、制御部(不図示)は、切断部20の切断タイミングと、搬送部21の搬送位置及び搬送速度等と、回収部22の回転位置及び回転速度等と、の間で同期をとり、非吸着領域48にタブ51bが配置され、吸着領域46に端材52が配置されるように設定を行う必要がある。
【0038】
次に、本実施形態に係る加工装置100の作用・効果について説明する。
【0039】
加工装置100では、切断部20がシート部材50を切断することで、所望の形状の電極51が形成され、且つ、不要な部材として端材52が発生する。このうち、電極51は、搬送部21の搬送面21aに吸着されて搬送される。一方、端材52は、回収部22に回収される。ここで、回収部22は、搬送部21が電極51を吸着する方向とは反対方向へ端材52を吸着することによって、端材52を回収する。このように、回収部22が端材52を搬送部21とは反対方向へ吸着することで、端材52が電極51と共に搬送部21に吸着されて搬送されることを抑制することができる。以上により、帯状のシート部材50を切断することで発生する端材52を好適に回収できる。
【0040】
回収部22は、端材52を吸着する吸着部分44と、当該吸着部分44と異なる位置にて、吸着した端材52を気体の吐き出しによって離脱させる離脱部分45と、を備えてよい。これにより、回収部22は、吸着して回収した端材52を離脱部分45にて離脱させることができる。従って、回収部22は回収した端材を回収箱23へ投入し、その後、新たな端材52を回収することができる。
【0041】
回収部22は、幅方向D2において、吸着部分44にて端材52の吸着を行う吸着領域46と、吸着を行わない非吸着領域47を有してよい。搬送されるシート部材50に対し、電極51が通過する位置には非吸着領域47を配置し、端材52が通過する位置には吸着領域46を配置する。これにより、回収部22は、端材52を吸着領域46で吸着して回収しつつ、非吸着領域47にて電極51を誤って吸着することを抑制できる。
【0042】
吸着領域46は、搬送方向D1に沿って非連続的に形成されてよい。これにより、タブ51bなどのように、電極51の一部分が吸着領域46側へ延びる場合などに、当該タブ51bが、吸着領域46の途切れた箇所である非吸着領域48に位置するように調整することで、電極51が誤って回収部22に吸着されることを抑制できる。
【0043】
切断部20は、端材52を他の端材52から分離された個別の部材として切断してよい。このように、端材52が個別の部材として切断されることで、回収部22が端材52を回収し易くなる。
【0044】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0045】
例えば、上述の実施形態では、回収部22は、タブ51bに対応する位置に非吸着領域48を有していたが、当該非吸着領域48を略し、吸着領域としてもよい。また、上述の実施形態では、回収部22は、幅方向D2に吸着領域46と非吸着領域47とを有しており、吸着領域46は、電極51の箔本体部51aに対応しない位置に形成されていた。これに代えて、回収部22の吸着領域46が一部、箔本体部51aにさしかかるように設けられていてもよい。または、回収部22の幅方向D2の全域が吸着領域46であってもよい。この場合、電極51が搬送部21から回収部22へ引き抜かれないように、回収部22の吸着力と搬送部21の吸着力の調整を行う必要がある。例えば、搬送部21の吸着力を回収部22に比して大きくする。逆に、搬送部21の吸着領域36が一部、端材52にさしかかるように設けられてもよい。または、搬送部21の幅方向D2の全域が吸着領域36であってもよい。この場合、端材52を搬送部21から回収部22へ引き抜くことができるように、回収部22の吸着力と搬送部21の吸着力の調整を行う必要がある。例えば、回収部22の吸着力を搬送部21に比して大きくする。
【0046】
また、上述の実施形態では、回収部22は離脱部分45を備えていたが、当該離脱部分45を省略してもよい。この場合、回収部22は、吸着力を解除することで、端材52を回収部22から離脱させる。
【0047】
また、上述の実施形態では、端材52は他の端材52から分離された個別の部材として構成されていたが、搬送方向D1に連続するような端材であってもよい。たとえば、シート部材50の幅方向D2における側縁部50a,50bがタブ51bよりも幅方向D2の外側へ延びることで、各端材52が搬送方向D1で互いに連結されてよい。この場合、回収部22は、連続的に端材を回収し、連続的に回収箱23へ端材を投入する。
【符号の説明】
【0048】
20…切断部、21…搬送部、22…回収部、44…吸着部分、45…離脱部分、46…吸着領域、47…非吸着領域、50…シート部材、51…電極(対象物)、52…端材、100…加工装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6