特開2018-202561(P2018-202561A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コニカミノルタ株式会社の特許一覧
<>
  • 特開2018202561-ブラスト加工装置 図000003
  • 特開2018202561-ブラスト加工装置 図000004
  • 特開2018202561-ブラスト加工装置 図000005
  • 特開2018202561-ブラスト加工装置 図000006
  • 特開2018202561-ブラスト加工装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-202561(P2018-202561A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】ブラスト加工装置
(51)【国際特許分類】
   B24C 9/00 20060101AFI20181130BHJP
   B24C 5/02 20060101ALI20181130BHJP
   H05F 3/04 20060101ALI20181130BHJP
【FI】
   B24C9/00 Z
   B24C5/02 C
   H05F3/04 B
   H05F3/04 J
   H05F3/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-111595(P2017-111595)
(22)【出願日】2017年6月6日
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辻 昌和
【テーマコード(参考)】
5G067
【Fターム(参考)】
5G067DA14
5G067DA18
5G067DA19
5G067DA21
(57)【要約】      (修正有)
【課題】メンテナンス性のよいブラスト加工装置を提供する。
【解決手段】粉体状の研磨材SをワークWに対して噴射するブラスト加工用ヘッド30と、ワークWが設置される設置部20と、設置部20のワークWに対して除電を行う除電装置50とを備え、除電装置50は、除電用の電極ピンを保持するベースと、電極ピンを接地する接地線を保持するハウジングとを有し、ベースとハウジングは着脱可能であるため、電極ピンが摩耗や汚れの付着で劣化した場合に容易に交換することができ、メンテナンス性に優れている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体状の研磨材をワークに対して噴射するブラスト加工用ヘッドと、
前記ワークが設置される設置部と、
前記設置部のワークに対して除電を行う除電装置とを備え、
前記除電装置は、
除電用の電極ピンと、
当該除電用の電極ピンに接続する電線と、
前記除電用の電極ピンと前記電線とを着脱可能とするコネクタとを有することを特徴とするブラスト加工装置。
【請求項2】
前記コネクタは、前記除電用の電極ピンを保持するベースと、前記電線を保持するハウジングと、を有し、
前記ベースと前記ハウジングは着脱可能であることを特徴とする請求項1記載のブラスト加工装置。
【請求項3】
前記電線は前記電極ピンを接地する接地線であることを特徴とする請求項1又は2記載のブラスト加工装置。
【請求項4】
前記ブラスト加工用ヘッドを前記設置部の前記ワークに対して所定方向に移動させる移動機構を備え、
前記除電装置は、前記ブラスト加工用ヘッドと共に所定方向に移動を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のブラスト加工装置。
【請求項5】
前記除電装置の前記電極ピンが設けられた面から前記設置部の前記ワークに対する距離を2[mm]以上20[mm]以下としたことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のブラスト加工装置。
【請求項6】
前記コネクタは、基板に電線を接続するためのコネクタからなり、当該コネクタが有する基板側接続端子を前記除電用の電極ピンとして利用していることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のブラスト加工装置。
【請求項7】
前記除電装置は、前記ブラスト加工用ヘッドの隣に設けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のブラスト加工装置。
【請求項8】
前記除電装置は、前記ブラスト加工用ヘッドに対して接近する方向に沿って揺動可能に支持されていることを特徴とする請求項7記載のブラスト加工装置。
【請求項9】
前記ブラスト加工用ヘッドの粉体状の研磨材を噴射する先端部から前記電極ピンの先端までの距離を20[mm]以上80[mm]以下としたことを特徴とする請求項8記載のブラスト加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラスト加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス基板、セラミック、金属、その他の材料の微細穴あけ加工・溝加工等のパターン切削加工技術として、コンプレッサーで作った圧縮エアーを使って微粉末としたアルミナ、ケイ素、ガラス等の研磨剤を加工物に噴射し加工するサンドブラスト加工がある。
この加工法は微細な加工を高精度で行う事が可能であるが、研磨剤を加工物に衝突させ削る為、研磨剤と加工物との衝突等による静電気が20kV以上にも達し、加工物を静電破壊してしまう場合があった。
【0003】
一般的な除電対策としては、軟X線やα線を使用した電離放射線方式やコロナ放電を利用した方式、加湿等が挙げられる。
しかし、軟X線やα線を使用する電離放射線方式は、研磨剤の噴射ヘッドと加工物が相対的に移動する環境や粉塵が充満する雰囲気内での使用に適さず、ブラスト加工装置の分野では採用されていなかった。
また、加湿による方法は、微粉体状研磨材に固まり等を生じさせることとなり、研磨材の再使用等に支障をきたすという問題があるうえ、充分な徐電性能を発揮できないことから、ブラスト加工装置の分野では採用されていなかった。
一方、コロナ放電は、接地された針状の電極を対象物に向けて除電を行う方式であり、ブラスト加工装置のワークの除電にも一定の効果が上げられていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平08−118237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、接地された針状の電極を対象物に向けて除電を行う方式の場合、電界を集中させる必要があることから電極の先端部が尖鋭に形成され、除電効果を高めるために対象物の近くに電極が配置される。
これにより、研磨剤の衝突による電極の摩耗が生じやすく、電極の寿命が短いという問題があった。
また、空気中の析出物による汚れが針状の電極に付着し易くなることから、電極の汚れを定期的に除去する必要があり、メンテナンスが煩雑という問題も生じていた。
【0006】
この発明の目的は、除電効果が高く、メンテナンス性に優れるサンドブラスト装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、ブラスト加工装置において、
粉体状の研磨材をワークに対して噴射するブラスト加工用ヘッドと、
前記ワークが設置される設置部と、
前記設置部のワークに対して除電を行う除電装置とを備え、
前記除電装置は、
除電用の電極ピンと、
当該除電用の電極ピンに接続する電線と、
前記除電用の電極ピンと前記電線とを着脱可能とするコネクタとを有することを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のブラスト加工装置において、
前記コネクタは、前記除電用の電極ピンを保持するベースと、前記電線を保持するハウジングと、を有し、
前記ベースと前記ハウジングは着脱可能であることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のブラスト加工装置において、
前記電線は前記電極ピンを接地する接地線であることを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載のブラスト加工装置において、
前記ブラスト加工用ヘッドを前記設置部の前記ワークに対して所定方向に移動させる移動機構を備え、
前記除電装置は、前記ブラスト加工用ヘッドと共に所定方向に移動を行うことを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載のブラスト加工装置において、
前記除電装置の前記電極ピンが設けられた面から前記設置部の前記ワークに対する距離を2[mm]以上20[mm]以下としたことを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項5記載のブラスト加工装置において、
前記コネクタは、基板に電線を接続するためのコネクタからなり、当該コネクタが有する基板側接続端子を前記除電用の電極ピンとして利用していることを特徴とする。
【0013】
請求項7記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載のブラスト加工装置において、
前記除電装置は、前記ブラスト加工用ヘッドの隣に設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項8記載の発明は、請求項7記載のブラスト加工装置において、
前記除電装置は、前記ブラスト加工用ヘッドに対して接近する方向に沿って揺動可能に支持されていることを特徴とする。
【0015】
請求項9記載の発明は、請求項8記載のブラスト加工装置において、
前記ブラスト加工用ヘッドの粉体状の研磨材を噴射する先端部から前記電極ピンの先端までの距離を20[mm]以上80[mm]以下としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明は、除電効果が高く、メンテナンス性に優れるサンドブラスト装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】発明の実施形態であるブラスト加工装置の概略構成図である。
図2】ブラスト加工装置の除電装置の分解図である。
図3】揺動可能な除電装置がブラスト加工用ヘッドの噴射位置に引き寄せられる状態を示した説明図である。
図4】除電装置の他の例を示す概略図である。
図5】除電装置のさらに他の例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[ブラスト加工装置の概略構成]
以下、本発明に係る実施の形態であるブラスト加工装置10を図面に基づいて説明する。図1はブラスト加工装置10の概略構成図である。
【0019】
ブラスト加工装置10は、加工対象物であるワークWが配置される配置部としてのベッド20と、微粉体状の研磨材Sをベッド20に配置されたワークWに向かって高速度で噴射させるブラスト加工用ヘッド30と、ブラスト加工用ヘッド30を所定の方向に沿って搬送する移動機構40と、ベッド20に配置されたワークWの除電を行う除電装置50と、ベッド20とブラスト加工用ヘッド30と除電装置50等をその内部に収納するキャビネット60と備えている。
【0020】
[キャビネット]
キャビネット60は、ブラスト加工用ヘッド30から噴射される研磨材Sの飛散を防ぐためのものであり、ベッド20及びブラスト加工用ヘッド30を内部に格納可能な金属製の容器からなる。
【0021】
[ベッド]
上記キャビネット60の内側下部には、ワークWを載置して固定支持するベッド20が設けられている。このベッド20は、載置されたワークWを水平な状態で保持し、当該ワークWを水平な方向(例えば、図1の紙面に垂直な方向、以下、「左右方向」とする)に搬送する図示しないローラー送り機構又はベルト送り機構等を備えている。
なお、この実施形態では、平板状のワークWとしてガラス基板を例示するが、特にこれに限定されるものではない。
【0022】
[ブラスト加工用ヘッド]
ブラスト加工用ヘッド30は、鉛直下方に研磨材Sを噴射する左右方向に沿ったスリット状のノズル31を備えている。なお、ノズル31の噴出口はスリット状に限らず、円孔その他の形状で形成しても良い。
このブラスト加工用ヘッド30は、コンプレッサー等の高圧圧縮空気の供給源と研磨材Sの供給源とに接続されており、高圧圧縮空気の流路と当該流路にノズル近傍で合流する研磨材Sの供給流路とを内部に備えている。そして、このブラスト加工用ヘッド30は、高圧圧縮空気の流動によって生じる負圧を利用して研磨材Sを高圧圧縮空気に混合してノズル31から噴射する、いわゆるサクション式を採用している。
なお、ブラスト加工用ヘッド30としては、研磨材Sに予め高圧圧縮空気を供給し、高圧圧縮空気と共に研磨材Sを噴射する直射式のヘッドを採用しても良い。
【0023】
研磨に使用する粉体状の研磨材Sの材質は,処理対象とする板材の材質に応じて各種材質から選択可能であり、一例としてガラス基板を加工対象とする場合、ガラスの研磨に際して一般的に使用されているアルミナ、ケイ素、ガラス、ダイヤモンド、酸化セリウム等の粉体の他、アランダムやカーボランダム、その他セラミックス系の研磨材等が使用可能である。
使用する研磨材Sの粒径は、粒径が大きくなると切削量が大きくなり、小さくなるとより微細な加工を行うことができるので、要求される加工精度に応じて適宜選択される。
【0024】
[移動機構]
移動機構40は、ブラスト加工用ヘッド30を吊下支持しており、前述したベッド20によるワークWの搬送方向に直交する水平方向(図1に示す前後方向)にブラスト加工用ヘッド30を搬送する。
移動機構40は、ブラスト加工用ヘッド30を吊下支持するスライダ41と、スライダ41を前後方向に沿って滑動可能にガイドするスライドレール42とを備え、これらはキャビネット60の上部に設けられている。
また、スライダ41は、図示しない駆動源に接続されて前後方向に任意に移動可能である。この駆動源としては、例えば、リニアモーター等の直動式の駆動源或いは回転式のモーターと回転動作を直動動作に変換する伝達機構等で構成されている。
【0025】
ブラスト加工用ヘッド30が移動機構40により前後方向に移動可能であり、ワークWはベッド20により左右方向に移動可能であることから、ブラスト加工用ヘッド30をワークWに対して相対的に任意の位置に位置決め可能であり、ワークWの全域に対してブラスト加工を行うことができる。
【0026】
[除電装置]
図2は除電装置50の分解図である。
除電装置50は、図示のように、左右方向に並んで設けられた複数の除電用の電極ピン51を保持するベース52と、各電極ピン51を接地する複数の電線としての接地線53を保持するハウジング54とを有している。そして、ベース52とハウジング54は着脱可能なコネクタを構成している。
なお、図2では各接地線53の間に隙間が形成されているように図示されているが、実際には、各接地線53はテープ状に束ねられて一体的に連接されている。
【0027】
この除電装置50のコネクタは、回路基板等に電線を接続するためのコネクタを流用している。上記ベース52はコネクタのピンヘッダーであり、ピンヘッダーを基板に半田接続するための基板側接続端子を除電を行うための電極ピン51として利用している。
また、ハウジング54は、回路基板に接続される電線の端部を保持するソケットであり、当該ソケットは電線に替えてアースと接続された接地線53を保持している。
【0028】
除電装置50の各部をより詳細に説明する。
上記ベース52は、左右方向に長尺の絶縁性の樹脂からなるブロックであり、その底面から下方に突出するように複数の電極ピン51が左右方向に一列に並んで埋設されている。なお、電極ピン51は複数列に並んで設けられていてもよい。
また、ベース52の上部には、左右方向に長いスロット状の開口部521が形成されている。この開口部521に、後述するハウジング54の挿入部541が挿入されてベース52に対してハウジング54が連結される。
【0029】
さらに、ベース52の上面の左右両端部には一対のロック爪522が形成されている。これら一対のロック爪522は可撓性を有しており、ベース52にハウジング54を装着する際には、ハウジング54の側面に押し広がられて外側に撓み、ベース52の開口部521の奥深くまでハウジング54の挿入部541が挿入されると、内側に復帰してハウジング54の上部の左右の角部を係止する。これにより、一対のロック爪522はハウジング54をロックし、一対のロック爪522の両方を外側に広げない限り、ベース52に対してハウジング54を抜くことができない状態となる。
【0030】
各電極ピン51は、先端部(下端部)が尖鋭となる良導体の金属からなり、その上端部にはプラグ端子55が一体的に形成されている。
各プラグ端子55は、開口部521の内底面から上方に突出した状態で設けられたピンプラグである。
【0031】
ハウジング54は、左右方向に長尺の絶縁性の樹脂からなるブロックであり、その底面には、ベース52の開口部521に挿入可能な挿入部541が下方に突出して形成されている。
【0032】
そして、この挿入部541の底面には、ベース52の開口部521内の各プラグ端子55を挿入する複数の挿入穴が左右方向に沿って一列に並んで形成されている。なお、電極ピン51が複数列に並んで設けられている場合には、これに合わせて挿入穴も複数列に並んで形成される。
挿入部541の各挿入穴の内部には、各プラグ端子55を挿入可能なソケット端子56が埋設されている。各ソケット端子56は良導体の金属からなり、その下部にプラグ端子55を挿入可能な筒状部を備え、その上部は各接地線53に個別に接続されている。
【0033】
これにより、ベース52の開口部521にハウジング54の挿入部541が挿入されて、ベース52にハウジング54が装着されると、ベース52の各電極ピン51がプラグ端子55及びソケット端子56を介して個別に接地線53に電気的に接続される。
各接地線53のハウジング54側とは逆側の端部は、接地されアース接続されている。従って、各電極ピン51を帯電したワークWに接近させると、ワークWの電荷を除電装置50を通じてアース側に逃がすことができ、ワークWの良好な除電を行うことができる。
【0034】
上記除電装置50は、ブラスト加工用ヘッド30の後部から下方に垂下支持されている。また、ベース52の底面に設けられた複数の電極ピン51の左右方向の配置範囲の幅は、ブラスト加工用ヘッド30のノズル31の左右方向の幅と同程度又はそれより広く設定されている。
従って、ブラスト加工用ヘッド30の隣に常に除電装置50が位置し、ブラスト加工用ヘッド30によるブラスト加工において、ブラスト加工用ヘッド30の移動を伴う場合でも除電装置50が追従し、ワークWの研磨材Sが噴射される左右方向の全域に対して加工直後に迅速に除電装置50による除電を行うことができ、効果的にワークWの静電破壊を低減することができる。
【0035】
また、除電装置50のベース52の底面(電極ピン51側の端面)は、ベッド20に配置されたワークWの上面から2[mm]以上20[mm]以下の距離範囲内となるように支持されている。
さらに、除電装置50は、複数の接地線53により吊下状態で支持されており、各接地線53の可撓性により、ブラスト加工用ヘッド30に対して接近する方向(前後方向)に沿って揺動可能に支持されている。
そして、除電装置50のベース52の電極ピン51の下端部からブラスト加工用ヘッド30のノズル31の下端部までの距離が20[mm]以上80[mm]以下の距離範囲内となるように支持されている。
【0036】
ブラスト加工用ヘッド30は、研磨材Sを噴射する高圧圧縮空気の気流により、噴射位置の周囲に負圧領域が形成される。従って、上記のように、除電装置50のベース52の電極ピン51の下端部をブラスト加工用ヘッド30のノズル31の下端部近傍に配置すると、図3に示すように、揺動可能な除電装置50がブラスト加工用ヘッド30の噴射位置に引き寄せられる。
このため、ワークWにおいて、ブラスト加工により帯電が生じた位置に対してより除電装置50のベース52の電極ピン51を接近させることができ、より効果的に除電を行うことができる。
【0037】
なお、除電装置50が引き寄せられていない状態で、ベース52の電極ピン51の下端部からブラスト加工用ヘッド30のノズル31の下端部までの距離が20[mm]以上80[mm]以下の範囲となるように設定されているが、除電装置50が噴射位置の周囲の負圧で引き寄せられた場合でも、ベース52の電極ピン51の下端部からブラスト加工用ヘッド30のノズル31の下端部までの距離が80[mm]以下の範囲となるようにその配置が設定されている。
【0038】
[ブラスト加工装置の動作説明]
上記構成からなるブラスト加工装置10の加工動作について説明する。
まず、ベッド20にワークWが固定されると、ブラスト加工用ヘッド30が前方に移動を開始する。ワークWの前後方向における加工目標位置は予め定められており、ブラスト加工用ヘッド30は移動機構40により前進方向に搬送され、加工目標位置に位置決めされると、研磨材SをワークWに噴射してブラスト加工を実行する。
その際、ブラスト加工用ヘッド30の後方では、当該ブラスト加工用ヘッド30に追従して除電装置50が搬送され、加工用ヘッド30に対する研磨材Sの噴射の際には、負圧の発生により加工位置に引き寄せられる。これにより、除電装置50のベース52の各電極ピン51の下端部がワークWにおける加工位置に接近し、当該加工位置に発生した電荷をより効果的にアース側に逃がすことができ、良好な除伝が行われる。
そして、ワークWの次の加工位置にブラスト加工用ヘッド30が搬送され、上記と同様にブラスト加工と除電が実行される。
また、ブラスト加工用ヘッド30の前後方向の全移動範囲について加工が終わると、ワークWはベッド20により左右方向に移動を行い、左右方向について隣側となる加工目標位置に対して、上記と同様にブラスト加工と除電が実行され、最終的にワークWの全範囲についてブラスト加工が行われる。
【0039】
[発明の実施形態の技術的効果]
上記ブラスト加工装置10では、除電装置50のベース52とハウジング54とが導通可能であってなおかつ着脱可能に構成されている。このため、ベース52の電極ピン51が研磨剤の衝突による摩耗や汚れの付着で劣化した場合に、ベース52をハウジング54から容易且つ迅速に取り替えることができ、メンテナンス性の向上を図ることが可能となる。
【0040】
また、ブラスト加工装置10は、ブラスト加工用ヘッド30と共に前後方向に移動を行うので、ワークWにおけるブラスト加工による帯電発生箇所を発生直後に除電することができ、静電破壊の発生をより効果的に低減することが可能となる。
特に、除電装置50がブラスト加工用ヘッド30の隣(後側)に設けられているので、除電装置50は加工位置の近傍に対して除電を行うことができ、より効果的な除電が可能となる。
さらに、ベース52の底面からベッド20に設置されたワークWに対する距離を2[mm]以上20[mm]以下の範囲内としているので、ワークWに対して近距離からより効果的な除電を行うことが可能となる。
【0041】
また、除電装置50は、ブラスト加工用ヘッド30に対して接近する方向に沿って揺動可能に支持されているので、ブラスト加工時に除電装置50を加工位置に引き寄せてより接近させることができ、さらに効果的な除電を行うことが可能となる。
特に、ブラスト加工用ヘッド30のノズル31の先端部からベース52の各電極ピン51の先端までの距離を20[mm]以上80[mm]以下の範囲内としているので、ブラスト加工時に除電装置50を加工位置により効果的に引き寄せることが可能となる。
【0042】
また、上記除電装置50は、基板等に電線を接続するためのコネクタを流用しており、当該コネクタが有する基板側接続端子を除電用の電極ピン51として利用している。このため、数多く流通し、入手が容易である汎用部品であるコネクタにより、ベース52とハウジング54の着脱が可能となる除電装置50を実現することができ、ブラスト加工装置10の製造容易化と部品コストの低減を図ることが可能となる。
【0043】
[その他]
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
【0044】
例えば、上記実施形態では、電極ピン51に接地線53を接続する自己放電方式のコロナ放電を利用する除電装置を例示したが、電極ピン51に直流や交流の高電圧を印加する電圧印加方式のコロナ放電を利用する除電装置を利用しても良い。
その場合、図4に示すように、接地線53ではなく、電圧源57Aに一端部が接続された電線53Aをコネクタのハウジング54に接続する。
【0045】
また、上記実施形態では、着脱可能とするコネクタ(ベース52)に直接的に除電用の電極ピン51を設ける構成を例示したが、これに限らず、接地線53(電線)の途中に着脱可能なコネクタを設けてもよい。
例えば、図5に示すように、接地線をアース接続側の接地線531Bと電極ピン51側の接地線532Bとに二分し、接地線531Bと接地線532Bをハウジング54とベース52からなるコネクタ(他のコネクタでも良い)により着脱可能に連結し、接地線532Bと電極ピン51とをハウジング54及びベース52により接続する構成としても良い。
なお、この場合、接地線532Bと電極ピン51の間は着脱可能としなくとも良いので、接地線532Bと電極ピン51とは着脱可能ではない他の部材で接続しても良い。
これにより、接地線531Bと接地線532Bを分離し、接地線532B側の構成を交換可能とすることができる。
【0046】
また、例えば、キャビネット60の底部には、使用済みの研磨材SやワークWの研磨屑を回収する回収装置を設けてもよい。回収装置は、使用済みの研磨材SやワークWを集める構造のホッパーと集められた使用済みの研磨材SやワークWを吸引するダクト等から構成することが望ましい。
【0047】
また、除電装置50は、接地線53により前後方向に揺動可能に支持されている場合を例示したが、除電装置50は可撓性を有する他の部材により前後方向に揺動可能に支持されていても良い。
また、除電装置50はブラスト加工用ヘッド30に支持される構成を例示したが、ブラスト加工用ヘッド30と共に移動可能であれば、当該ブラスト加工用ヘッド30以外の構成に装備しても良い。例えば、除電装置50を移動機構40のスライダ41が吊下支持しても良い。
また、除電装置50はブラスト加工用ヘッド30の前側だけでなく、後側にも装備しても良い。これにより、ブラスト加工用ヘッド30が後方に移動して加工を行う場合にも良好に除電を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0048】
10 ブラスト加工装置
20 ベッド(設置部)
30 ブラスト加工用ヘッド
31 ノズル
40 移動機構
41 スライダ
42 スライドレール
50 除電装置
51 電極ピン
52 ベース
53 接地線(電線)
54 ハウジング
55 プラグ端子
56 ソケット端子
521 開口部
522 ロック爪
541 挿入部
60 キャビネット
S 研磨材
W ワーク
図1
図2
図3
図4
図5