特開2018-202565(P2018-202565A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-202565(P2018-202565A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】歯車加工方法及び歯車加工装置
(51)【国際特許分類】
   B23F 5/22 20060101AFI20181130BHJP
   B23F 5/16 20060101ALI20181130BHJP
【FI】
   B23F5/22
   B23F5/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-112275(P2017-112275)
(22)【出願日】2017年6月7日
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100089082
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 脩
(74)【代理人】
【識別番号】100130188
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜一
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 稔
(72)【発明者】
【氏名】宇野 秀昭
【テーマコード(参考)】
3C025
【Fターム(参考)】
3C025AA11
3C025AA16
(57)【要約】
【課題】工具コストを抑制しつつ、加工時間の短縮と加工精度の向上との両立を図ることができる歯車加工方法及び歯車加工装置を提供すること。
【解決手段】工作物Wに対し、円筒状のホブカッタ80を工作物Wと同期回転させながら、削り代を残しつつ荒加工を行う荒加工工程と、荒加工工程による荒加工を行った工作物Wに対し、スカイビングカッタ90を工作物Wと同期回転させながら工作物Wの回転軸線Lw方向へ相対的に送り操作を行うことにより、工作物Wに残存する削り代を削り取り、所望の歯車形状を形成する仕上工程と、を備える歯車加工方法。
【選択図】図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作物に対し、円筒状のホブカッタを前記工作物と同期回転させながら、削り代を残しつつ荒加工を行う荒加工工程と、
前記荒加工工程による荒加工を行った前記工作物に対し、スカイビングカッタを前記工作物と同期回転させながら前記工作物の回転軸線方向へ相対的に送り操作を行うことにより、前記工作物に残存する前記削り代を削り取り、所望の歯車形状を形成する仕上工程と、
を備える、歯車加工方法。
【請求項2】
前記歯車加工方法は、前記工作物に対し、はすば歯車である内歯車を形成する方法であって、
前記ホブカッタは、前記ホブカッタの回転軸線に直交する面に対してねじれ角を有する複数条のホブ刃を備え、
前記ホブ刃のねじれの向きは、前記工作物に形成する前記はすば歯車のねじれの向きと同じ向きである、請求項1に記載の歯車加工方法。
【請求項3】
前記歯車加工方法は、前記工作物に対し、はすば歯車である内歯車を形成する方法であって、
前記ホブカッタは、前記ホブカッタの回転軸線に直交する面に対してねじれ角を有する1条のホブ刃を備え、
前記ホブ刃のねじれの向きは、前記工作物に形成する前記はすば歯車のねじれの向きとは逆向きである、請求項1に記載の歯車加工方法。
【請求項4】
前記歯車加工方法は、前記工作物に対し、はすば歯車である外歯車と、前記はすば歯車を形成しない部位とを連結する不完全歯部とを形成する方法であって、
前記ホブカッタは、前記ホブカッタの回転軸線に直交する面に対してねじれ角を有する複数条のホブ刃を備え、
前記ホブ刃のねじれの向きは、前記工作物に形成する前記はすば歯車のねじれの向きと同じ向きである、請求項1に記載の歯車加工方法。
【請求項5】
前記歯車加工方法は、前記工作物に対し、はすば歯車である外歯車と、前記はすば歯車を形成しない部位とを連結する不完全歯部とを形成する方法であって、
前記ホブカッタは、前記ホブカッタの回転軸線に直交する面に対してねじれ角を有する1条のホブ刃を備え、
前記ホブ刃のねじれの向きは、前記工作物に形成する前記はすば歯車のねじれの向きとは逆向きである、請求項1に記載の歯車加工方法。
【請求項6】
工作物に対し、円筒状のホブカッタを前記工作物と同期回転させながら、削り代を残しつつ荒加工を制御する荒加工制御部と、
前記荒加工を行った前記工作物に対し、スカイビングカッタを前記工作物と同期回転させながら前記工作物の回転軸線方向へ相対的に送り操作を行うことにより、前記工作物に残存する前記削り代を削り取り、所望の歯車形状を形成する仕上加工を制御する仕上加工制御部と、
を備える、歯車加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯車加工方法及び歯車加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ホブカッタ又はスカイビングカッタを用いた歯車加工方法が知られている。ホブカッタを用いた歯車加工方法として、例えば、特許文献1には、荒加工ホブを用いて荒加工を行った後に、仕上げ加工ホブを用いて仕上げ加工を行う歯車加工方法が開示されている。また、特許文献2には、鼓形ホブを用いた外歯車の加工方法、及び、樽形ホブを用いた内歯車の加工方法が開示されている。また、特許文献3には、スカイビングカッタを用いた歯車加工方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−210817号公報
【特許文献2】特開昭57−107735号公報
【特許文献3】特開2014−172112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1に記載の技術に関して、仕上げ加工ホブを用いて高精度な仕上加工を行う場合、仕上げ加工ホブの送り量を小さくする必要があるため、仕上加工に要する時間が長くなる。また、特許文献2に記載の技術に関して、鼓形ホブや樽形ホブは、形状が複雑であるため、工具の製造が容易ではなく、工具コストが嵩む。一方、スカイビングカッタによる歯車加工は、スカイビングカッタの早期摩耗を回避する観点から、切り込み量を小さくする必要があり、その結果、歯車加工に要する時間が長くなる。
【0005】
本発明は、工具コストを抑制しつつ、加工時間の短縮と加工精度の向上との両立を図ることができる歯車加工方法及び歯車加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の歯車加工方法は、工作物に対し、円筒状のホブカッタを前記工作物と同期回転させながら、削り代を残しつつ荒加工を行う荒加工工程と、前記荒加工工程による荒加工を行った前記工作物に対し、スカイビングカッタを前記工作物と同期回転させながら前記工作物の回転軸線方向へ相対的に送り操作を行うことにより、前記工作物に残存する前記削り代を削り取り、所望の歯車形状を形成する仕上工程と、を備える。
【0007】
また、本発明の歯車加工装置は、工作物に対し、円筒状のホブカッタを前記工作物と同期回転させながら、削り代を残しつつ荒加工を制御する荒加工制御部と、前記荒加工を行った前記工作物に対し、スカイビングカッタを前記工作物と同期回転させながら前記工作物の回転軸線方向へ相対的に送り操作を行うことにより、前記工作物に残存する前記削り代を削り取り、所望の歯車形状を形成する仕上加工を制御する仕上加工制御部と、を備える。
【0008】
本発明の歯車加工方法は、荒加工工程において、高精度な加工を要求する必要がないので、ホブカッタの送り速度を高速に設定することができる。そして、本発明の歯車加工方法は、荒加工後の工作物に対し、スカイビングカッタを用いた仕上加工を行うことにより、工作物に形成される歯車を所望の形状に形成することができる。
【0009】
また、工作物Wを加工する際の削り代が多い場合において、ホブカッタによる加工は、スカイビングによる加工と比べて、工具の損耗を抑制しつつ、切込量を大きくすることができる。一方、工作物Wを加工する際の削り代が少ない場合において、スカイビングによる加工は、ホブカッタによる加工と比べて、高速かつ高精度な加工を行うことができる。このように、本発明の歯車加工方法は、ホブカッタを用いて荒加工を行いつつ、スカイビングカッタを用いて仕上加工を行うことにより、歯車加工に要する時間の短縮を図ることができる。
【0010】
さらに、本発明の歯車加工方法は、円筒状のホブカッタを用いて行うことで、樽形のホブカッタを用いる場合と比べて、工具にかかるコストの低減を図ることができる。このように、本発明の歯車加工方法は、工具コストを抑制しつつ、加工時間の短縮と加工精度の向上との両立を図ることができる。
【0011】
本発明の歯車加工装置によれば、荒加工制御部は、荒加工工程において、高精度な加工を要求する必要がないので、ホブカッタの送り速度を高速に設定することができる。そして、仕上加工制御部は、荒加工後の工作物に対し、スカイビングカッタを用いた仕上加工を行うことにより、工作物に形成される歯車を所望の形状に形成することができる。
【0012】
また、工作物Wを加工する際の削り代が多い場合において、ホブカッタによる加工は、スカイビングによる加工と比べて、工具の損耗を抑制しつつ、切込量を大きくすることができる。一方、工作物Wを加工する際の削り代が少ない場合において、スカイビングによる加工は、ホブカッタによる加工と比べて、高速かつ高精度な加工を行うことができる。このように、本発明の歯車加工装置は、ホブカッタを用いて荒加工を行いつつ、スカイビングカッタを用いて仕上加工を行うことにより、歯車加工に要する時間の短縮を図ることができる。
【0013】
さらに、本発明の歯車加工装置は、円筒状のホブカッタを用いて行うことで、樽形のホブカッタを用いる場合と比べて、工具にかかるコストの低減を図ることができる。このように、本発明の歯車加工装置は、工具コストを抑制しつつ、加工時間の短縮と加工精度の向上との両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第一実施形態における歯車加工装置の斜視図である。
図2A】ホブカッタの側面図であり、工作物の回転軸線に対してホブカッタの回転軸線を傾斜させた状態を示す。
図2B図2AのIIB−IIB線におけるホブカッタの断面図である拡大図である。
図3】スカイビングカッタの側面図であり、工作物の回転軸線に対して工作物の回転軸線を傾斜させた状態を示す。
図4A】2条のホブ刃を備えたホブカッタを用いた歯車加工方法を示す図であり、工作物に内歯を加工する際の様子を示す。
図4B】1条のホブ刃を備えたホブカッタを用いた歯車加工方法を示す図であり、工作物に内歯を加工する際の様子を示す。
図5A】第二実施形態における歯車加工方法を示す図であり、ホブカッタをセッティングする過程を示す。
図5B】歯車加工方法を示す図であり、ホブカッタがセッティングされた状態を示す。
図6】第三実施形態における歯車加工方法に形成する外歯車の一部を拡大した図であって、外歯非形成部が形成される部位拡大して示す。
図7A】2条のホブ刃を備えたホブカッタを用いた歯車加工方法を示す図であり、工作物に外歯を加工する際の様子を示す。
図7B】1条のホブ刃を備えたホブカッタを用いた歯車加工方法を示す図であり、工作物に外歯を加工する際の様子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<1.第一実施形態>
(1−1:歯車加工装置1の全体構成)
以下、本発明に係る歯車加工方法を適用した実施形態について、図面を参照しながら説明する。まず、図1を参照して、本発明の第一実施形態における歯車加工方法に用いる歯車加工装置1の全体構成を説明する。
【0016】
図1に示すように、歯車加工装置1は、相互に直交する3つの直進軸(X軸、Y軸及びZ軸)と2つの回転軸(A軸及びC軸)とを駆動軸として有するマシニングセンタであり、工作物Wと工具との相対的な送り操作を行う。歯車加工装置1は、横型マシニングセンタ、立型マシニングセンタ又は複合加工機でも良い。歯車加工装置1は、ベッド10と、コラム20と、サドル30と、回転主軸40と、テーブル50と、チルトテーブル60と、回転テーブル70と、工具交換装置150と、制御装置100と、を主に備える。
【0017】
ベッド10は、床上に配置される。コラム20は、ベッド10の上面に配置される。ベッド10の上面には、X軸方向(水平方向)へ延びる一対のX軸ガイドレール11a,11bが設けられ、コラム20は、X軸ガイドレール11a,11bに沿ってX軸方向へ移動可能に設けられる。また、一対のX軸ガイドレール11a,11bの間には、コラム20をX軸方向へ駆動するためのねじ送り装置(図示せず)が設けられる。
【0018】
サドル30は、コラム20の側面に配置される。コラム20の側面には、Y軸方向(鉛直方向)へ延びる一対のY軸ガイドレール21a,21bが設けられ、サドル30は、Y軸ガイドレール21a,21bに沿ってY軸方向へ移動可能に設けられる。また、一対のY軸ガイドレール21a,21bの間には、サドル30をY軸方向へ駆動するためのねじ送り装置(図示せず)が設けられる。
【0019】
回転主軸40は、サドル30の内部に収容された主軸モータ(図示せず)により回転駆動される。回転主軸40の先端には、工作物Wの加工に用いる工具が着脱可能に固定される。回転主軸40に固定された工具は、コラム20及びサドル30の移動に伴い、ベッド10に対してX軸方向及びY軸方向へ移動する。
【0020】
テーブル50は、ベッド10の上面であって、Z軸方向(水平方向)においてコラム20及びサドル30と対向する位置に配置される。ベッド10の上面には、Z軸方向へ延びる一対のZ軸ガイドレール12a,12bが設けられ、テーブル50は、Z軸ガイドレール12a,12bに沿ってZ軸方向へ移動可能に設けられる。また、一対のY軸ガイドレール12a,12bの間には、テーブル50をZ軸方向へ駆動するためのねじ送り装置(図示せず)が設けられる。
【0021】
チルトテーブル60は、テーブル50の上面に配置される。テーブル50の上面には、X軸方向において対向する一対のチルトテーブル支持部51が設けられ、チルトテーブル60は、一対のチルトテーブル支持部51に対し、X軸方向に平行なA軸回りに揺動可能に支持される。そして、チルトテーブル60は、テーブル50の内部に収容されたA軸モータ(図示せず)により揺動駆動される。
【0022】
回転テーブル70は、工作物Wを保持する部位であり、チルトテーブル60に対し、A軸に直交するC軸回りに回転可能に設けられる。チルトテーブル60の底面には、C軸モータ(図示せず)が設けられ、回転テーブル70は、C軸モータに回転駆動される。工具交換装置150は、回転主軸40に装着された工具と、工具マガジン(図示せず)に収容された工具との交換を自動で行う。
【0023】
制御装置100は、主軸モータを制御することにより、工具の回転速度を制御すると共に、C軸モータを制御することにより、回転テーブル70に保持された工作物Wの回転速度を制御する。さらに、制御装置100は、歯車加工装置1に設けられた各種モータを制御することにより、例えば、工作物Wの回転軸線に対する工具の回転軸線の角度や、工作物Wに対する工具の送り速度等の制御を行う。
【0024】
また、制御装置100は、荒加工制御部110と、仕上加工制御部120と、工具交換制御部130とを備える。荒加工制御部110は、工作物Wに対して荒加工を行う際の工具の動作を制御する。仕上加工制御部120は、工作物Wに対して仕上加工を行う際の工具の動作を制御する。工具交換制御部130は、回転主軸40に装着する工具を交換する際の工具交換装置150及び工具マガジン(図示せず)の動作を制御する。
【0025】
(1−2:工具について)
次に、回転主軸40に固定する工具について説明する。図2Aから図3に示すように、歯車加工装置1は、回転主軸40にホブカッタ80又はスカイビングカッタ90を固定した状態で歯車加工を行う。なお、図2A及び図3では、図面を見やすくするために工作物Wの外形を破線で表し、外形以外の図示を省略している。
【0026】
図2A及び図2Bに示すように、ホブカッタ80は、円筒状の工具であり、ホブカッタ80の外周面には、複数のホブ刃81が突出形成される。なお、ホブ刃81は、つるまき線に沿って延びるねじ山を、ホブカッタ80の回転軸線Lt1に対して傾斜するねじ溝が横切ることにより形成される。
【0027】
なお、図2A及び図2Bには、本実施形態に用いるホブカッタ80の一例として、ねじれの向きを左向きとする複数条のホブ刃81を備えたホブカッタ80が図示されており、図2Aには、図2Bに示す矢印A方向から見たホブカッタ80が図示されている。また、以下において、工作物Wの回転軸線Lwとホブカッタ80の回転軸線Lt1とを平行に配置した状態から、ホブカッタ80を一方向(図2Aにおける時計回り方向)へ所定角度だけ回転させたときのホブカッタ80の回転軸線Lt1の傾斜角度(回転角度)を「セッティング角」と定義する。また、工作物Wに形成するはすば歯車の回転軸線Lwに対するねじれ角度を「ねじれ角」と定義し、ホブカッタ80に形成されるホブ刃81の回転軸線Lt1に対するねじれ角度を「スレッド角」と定義する。
【0028】
図3に示すように、スカイビングカッタ90は、回転軸線Lt2に対してねじれた複数のスカイビング刃91を備える。スカイビング刃91の径方向外面は、スカイビングカッタ90の回転軸線Lt2に対して逃げ角を有し、スカイビング刃91の端面は、スカイビングカッタ90の回転軸線Lt2に直交する平面に対してすくい角を有する。
【0029】
(1−3:ホブカッタ80A,80Bのセッティング角)
次に、図4A及び図4Bを参照しながら、工作物Wに形成しようとする歯車とホブカッタ80A,80Bとの関係について説明する。ここでは、工作物Wに対し、はすば歯車である内歯車を形成する場合を例に挙げて説明する。なお、工作物Wに形成するはすば歯車のねじれの向きは左向きであり、ねじれ角をβとする。また、図4A及び図4Bでは、図面を見やすくするために、工作物Wの断面及び工作物Wに形成する内歯の一部が模式的に図示されている。
【0030】
図4Aには、本実施形態に用いるホブカッタ80の一例として、2条のホブ刃81Aを備えたホブカッタ80Aが模式的に図示されている。このホブカッタ80Aに形成されるホブ刃81Aのスレッド角は、γ1Aであり、ホブ刃81Aのねじれの向きは、工作物Wに形成するはすば歯車と同じ左向きである。そして、このときのホブカッタ80Aのセッティング角をα1Aとする。この場合、セッティング角α1Aとねじれ角βとスレッド角γ1Aとの和が90度になり、セッティング角α1Aは、スレッド角γ1Aにより決定する。
【0031】
図4Bには、本実施形態に用いるホブカッタ80の他の例として、1条のホブ刃81Bを有するホブカッタ80Bが図示されている。このホブカッタ80Bに形成されるホブ刃81Bのスレッド角は、γ1Bであり、ホブ刃81Bのねじれの向きは、工作物Wに形成するはすば歯車及びホブカッタ80Aに形成されるホブ刃81Aと同じ左向きである。なお、ホブカッタ80Aに形成されるホブ刃81Aとホブカッタ80Bに形成されるホブ刃81Bとは、同一ピッチである。このときのホブカッタ80Bのセッティング角をα1Bとする。この場合、セッティング角α1Bとねじれ角βとスレッド角γ1Bとの和が90度になり、セッティング角α1Bは、スレッド角γ1Bにより決定する。
【0032】
図4A及び図4Bに示すように、ホブカッタ80Aに形成されるホブ刃81Aのスレッド角γ1Aは、ホブカッタ80Bに形成されるホブ刃81Bのスレッド角γ1Bよりもスレッド角が大きくなる。即ち、ホブカッタ80において、ピッチが同一であれば、スレッド角は、ホブ刃81の条数が多いほど大きな角度となる。そして、工作物Wに形成するはすば歯車のねじれの向きとホブカッタ80に形成されるホブ刃81のねじれの向きが同一であって、セッティング角が正の値をとる場合において、セッティング角は、ホブ刃81のスレッド角が大きな角度をとるほど、小さくなる。
【0033】
ここで、ホブカッタ80を用いて工作物Wに内歯を形成するにあたり、セッティング角が90度に近くなると、歯車加工装置1は、ホブカッタ80を工作物Wの内側に挿入することができなくなる。また、ホブカッタ80を送りながら工作物Wに対して歯車加工を行う際、一のホブ刃81による加工を行おうとしても、その一のホブ刃81以外の他のホブ刃81(例えば、一のホブ刃81に隣接するホブ刃81)が工作物Wの内周面に干渉し、工作物Wが他のホブ刃81により加工される。ホブカッタ80が円筒状であり、他のホブ刃81の形状は、工作物Wに形成する所望の歯車形状を転写した形状とは異なるので、ホブカッタ80による歯車加工が適切なセッティング角で行われたとしても、所望の歯車形状とはならない。即ち、工作物Wに内歯を形成する場合に、ホブカッタ80を用いて仕上加工を行うことはできない。
【0034】
そこで、本実施形態における歯車加工方法は、工作物Wに内歯車を形成するにあたり、ホブカッタ80を用いて荒加工を行い(荒加工工程)、その後、荒加工を行った工作物Wに対し、スカイビングカッタ90を用いた仕上加工を行う(仕上工程)。これにより、歯車加工装置1は、所望の歯車形状となるように内歯を形成することができる。
【0035】
具体的に、荒加工制御部110は、荒加工工程として、ホブカッタ80を工作物Wと同期回転させながら工作物Wの回転軸線Lw方向へ相対的に送り操作を行うための制御を実行する。このとき、歯車加工装置1は、削り代でない部分が加工されることがないように、削り代を残しつつ、荒加工を行う。
【0036】
続いて、仕上加工制御部120は、仕上工程として、スカイビングカッタ90を工作物Wと同期回転させながら工作物Wの回転軸線Lw方向へ相対的に送り操作を行うための制御を実行する。このとき、歯車加工装置1は、工作物Wに残存する削り代をスカイビングカッタ90を用いて削り取ることにより、所望の歯車形状となるように内歯を形成する仕上加工を行う。そして、工具交換制御部130は、工具交換装置150を制御し、回転主軸40に装着する工具の交換を行う。
【0037】
なお、スカイビングカッタ90を用いて工作物Wに加工を行う際、スカイビング刃91による切り込み量を大きく設定すると、スカイビング刃91が早期に摩耗する。従って、スカイビングカッタ90による歯車加工を行う場合、切り込み量を小さく設定することが望ましい。この点において、ホブカッタ80による加工は、荒加工工程において、スカイビングカッタ90による加工と比べて、工具の摩耗を抑制しつつ、切り込み量を大きくすることができるので、荒加工に要する時間を短縮できる。
【0038】
一方、切り込み量が小さい場合、スカイビングカッタ90による歯車加工は、ホブカッタ80による歯車加工と比べて、加工精度の向上を図りつつ、加工に要する時間の短縮を図ることができる。この点に関して、本実施形態における歯車加工方法は、荒加工を行うので、仕上工程において削り取る削り代を小さくすることができる。即ち、仕上工程は、荒加工工程と比べて、小さな切り込み量で加工を行うことができる。従って、本実施形態における歯車加工方法は、仕上工程においてスカイビングカッタ90を用いることで、仕上工程に要する時間の短縮を図りつつ、高精度な加工を行うことができる。
【0039】
また、本実施形態における歯車加工方法は、荒加工工程終了後に仕上加工を行うので、荒加工工程において、高精度な加工を必要としない。その結果、本実施形態における歯車加工方法は、送り速度を高速に設定することができ、荒加工工程に要する時間の短縮を図ることができる。
【0040】
これに加え、複数条のホブ刃81を有するホブカッタ80と1条のホブ刃81を有するホブカッタ80との比較において、同一ピッチであれば、複数条のホブ刃81を有するホブカッタ80は、1条のホブ刃81を有するホブカッタ80と比べて、荒加工に要する時間の短縮を図ることができる。
【0041】
従って、図4Aに示すホブカッタ80Aと図4Bに示すホブカッタ80Bとの比較において、2条のホブ刃81Aを有するホブカッタ80Aは、1条のホブ刃81Bを有するホブカッタ80Bとの比較において、荒加工に要する時間の短縮を図ることができる。これに加え、上記したように、ホブカッタ80Aを用いる際のセッティング角α1Aは、ホブカッタ80Bを用いる際のセッティング角α1Bよりも小さくなるので、ホブカッタ80のうち、加工を行おうとする部位でない部位と工作物Wとの干渉度合を小さくすることができる。この場合、歯車加工装置1は、荒加工工程において、加工を行おうとする部位以外で工作物Wに干渉するホブ刃81によって削り代ではない部位が削り取られることを回避しつつ、荒加工工程終了後に残存する削り代を少なくすることができる。その結果、歯車加工装置1は、仕上工程において、スカイビングカッタ90による切り込み量を小さくすることができるので、スカイビングカッタ90の摩耗を抑制しつつ、仕上加工に要する時間の短縮を図ることができる。
【0042】
なお、複数条のホブ刃81を有するホブカッタ80と1条のホブ刃81を有するホブカッタ80との比較において、同一ピッチであれば、複数条のホブ刃81を有するホブカッタ80は、1条のホブ刃81を有するホブカッタ80よりも、1条あたりに形成されるホブ刃81の数が少ない。そのため、複数条のホブ刃81を有するホブカッタ80は、1条のホブ刃81を有するホブカッタ80よりも、工作物Wに形成された内歯の加工精度が低下する。しかしながら、本実施形態では、ホブカッタ80による荒加工終了後に、スカイビングカッタ90による仕上加工を行うので、歯車加工装置1は、複数条のホブ刃81を有するホブカッタ80を用いて荒加工を行う場合であっても、高精度な歯車を創成することができる。
【0043】
このように、複数条のホブ刃81Aを備えたホブカッタ80Aは、1条のホブ刃81Bを備えたホブカッタ80Bと比べて、歯車加工に要する時間の短縮を図りつつ、加工精度の向上を図ることができる。またこの場合、歯車加工装置1は、円筒状のホブカッタ80を用いて荒加工を行うことにより、工具コストの低減を図ることができる。また、ホブカッタ80Aは、ホブカッタ80Bと比べて、加工能率を高めることができるので、工具寿命の向上を図ることができる。
【0044】
なお、歯車加工装置1は、1条のホブ刃81Bを備えたホブカッタ80Bを用いて荒加工を行う場合であっても、スカイビングカッタ90を用いて仕上加工を行うことにより、ホブカッタ80のみ又はスカイビングカッタ90のみを用いて歯車加工を行う場合と比べて、加工精度の向上を図りつつ、歯車加工に要する時間の短縮を図ることができる。
【0045】
(1−4:内歯車を形成する場合の変形例)
次に、工作物Wに内歯を形成する場合の変形例について説明する。上記した実施形態において、ホブカッタ80に形成されるホブ刃81のねじれの向きが、工作物Wに形成するはすば歯車のねじれの向きと同一である場合について説明したが、これに限られるものではない。即ち、ホブカッタ80に形成されるホブ刃81のねじれの向きは、工作物Wに形成するはすば歯車のねじれの向きとは逆向きであってもよい。
【0046】
この場合、ピッチが同一であってセッティング角を正の値とした場合、ホブ刃81のスレッド角が小さな角度をとるほど、セッティング角は、小さくなる。即ち、1条のホブ刃81を備えたホブカッタ80は、複数条のホブ刃81を備えたホブカッタ80と比べて、セッティング角を小さくすることができる。
【0047】
<2.第二実施形態>
次に、第二実施形態について説明する。第一実施形態では、荒加工工程において、ホブカッタ80の送り操作を行いながら、工作物Wに対する加工を行う場合について説明した。これに対し、第二実施形態では、荒加工工程において、工作物Wに対するホブカッタ80の軸方向位置を維持した状態で、工作物Wに対する加工を行う。なお、上記した第一実施形態と同一の部品には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0048】
図5A及び図5Bに示すように、第二実施形態における歯車加工方法は、ホブカッタ80を用いた荒加工工程において、最初に、歯車加工装置1は、工作物Wに形成するはすば歯車のねじれ角及びホブカッタ80のスレッド角に応じたセッティング角となるようにホブカッタ80を配置する。その後、歯車加工装置1は、ホブカッタ80を径方向へ移動させて、工作物Wを加工可能な位置に配置する。そして、歯車加工装置1は、工作物Wに対するホブカッタ80の回転軸線Lt1方向における位置を維持したまま、工作物Wの内周面に対する加工を行う。荒加工工程が終了した後、歯車加工装置1は、スカイビングカッタ90を用いて工作物Wに残存する削り代を削り取り、所望の歯車形状となるように仕上加工を行う。
【0049】
本実施形態における歯車加工方法は、ホブカッタ80を用いて歯車加工を行うことにより、荒加工工程に要する時間の短縮を図ることができる。また、本実施形態における歯車加工方法は、仕上工程おいて、加工後に残存した削り代をスカイビングカッタ90を用いて削り取ることにより、所望の歯車形状となるように、工作物Wに内歯を形成することができる。
【0050】
<3.第三実施形態>
次に、第三実施形態について説明する。第一実施形態では、工作物Wに内歯車を形成する場合について説明したが、第三実施形態では、工作物Wに外歯車を形成すると共に、外歯281と外歯を形成しない部位とをつなぐ不完全歯部283を形成する場合について説明する。なお、上記した各実施形態と同一の部品には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0051】
(3−1:不完全歯部283について)
最初に、不完全歯部283について説明する。図6に示すように、工作物Wには、外歯281と、外歯を形成しない外周面である外歯非形成部282とをつなぐ不完全歯部283が形成される。この不完全歯部283は、ホブカッタ80を用いて外歯281を形成する際に、外歯非形成部282との間に形成される切り上がり部分である。外歯非形成部282は、外歯としては機能しない部位であり、工作物Wに形成する外歯車の軸方向長さは、外歯非形成部282の軸方向長さが大きくなるほど大きくなる。従って、工作物Wに形成する外歯車の小型化を図る観点において、外歯非形成部282の軸方向長さは、短いことが望ましい。
【0052】
そして、外歯非形成部282の軸方向長さは、セッティング角が90度に近いほど、小さくなる。即ち、工作物Wに外歯車を形成するにあたり、併せて外歯非形成部282を形成する場合には、セッティング角が90度に近くなるように、ホブカッタ80のスレッド角が設定されることが望ましい。
【0053】
(3−2:工作物Wに外歯281及び外歯非形成部282を形成する場合のセッティング角)
次に、図7A及び図7Bを参照しながら、工作物Wに形成しようとする外歯車とホブカッタ80との関係について説明する。ここでは、工作物Wに対し、はすば歯車である外歯車を形成する場合を例に挙げて説明する。なお、工作物Wに形成するはすば歯車のねじれの向きは左であり、ねじれ角をβとする。
【0054】
図7A及び図7Bでは、ホブカッタ80A,80Bが工作物Wよりも紙面奥側に位置し、工作物Wの外周面のうち、紙面奥側を向く面に対し、歯車加工を行う様子を示す。図7A及び図7Bにおいて、工作物Wの外周面に示す破線は、紙面奥側に形成される外歯の形状を模式的に示したものである。
【0055】
図7Aには、2条のホブ刃81Aを有するホブカッタ80Aを用いて工作物Wに外歯を形成する際の様子が示されており、このときのホブカッタ80Aのセッティング角をα2Aとする。一方、図7Bには、1条のホブ刃81Bを有するホブカッタ80Bを用いて工作物Wに外歯を形成する際の様子が示されており、このときのホブカッタ80Bのセッティング角をα2Bとする。
【0056】
図7A及び図7Bに示すように、セッティング角は、90度以下の正の値であり、スレッド角からねじれ角を引いた差に等しい。従って、工作物Wに外歯車を形成する際、工作物Wに形成するはすば歯車のねじれの向きとホブカッタ80のねじれの向きとが同一であれば、セッティング角は、スレッド角が大きくなるほど大きくなる。
【0057】
よって、2条のホブ刃81を備えたホブカッタ80と1条のホブ刃81を備えたホブカッタ80との比較において、2条のホブ刃81を備えたホブカッタ80を用いた歯車加工は、1条のホブ刃81を備えたホブカッタ80を用いた歯車加工と比べて、工作物Wに形成される外歯非形成部282の軸方向長さを小さくすることができる。また、2条のホブ刃81を備えたホブカッタ80は、1条のホブ刃81を備えたホブカッタ80と比べて、荒加工工程に要する時間の短縮を図ることができる。
【0058】
なお、歯車加工装置1は、1条のホブ刃81Bを備えたホブカッタ80Bを用いて荒加工を行う場合であっても、スカイビングカッタ90を用いて仕上加工を行うことにより、ホブカッタ80のみ又はスカイビングカッタ90のみを用いて歯車加工を行う場合と比べて、加工精度の向上を図りつつ、歯車加工に要する時間の短縮を図ることができる。
【0059】
(3−3:外歯車を形成する場合の変形例)
次に、工作物Wに外歯を形成する場合の変形例について説明する。上記した第三実施形態において、ホブカッタ80に形成されるホブ刃81のねじれの向きが、工作物Wに形成するはすば歯車のねじれの向きと同一である場合について説明したが、これに限られるものではない。即ち、ホブカッタ80に形成されるホブ刃81のねじれの向きは、工作物Wに形成するはすば歯車のねじれの向きとは逆向きであってもよい。
【0060】
この場合、ピッチが同一であってセッティング角を正の値とした場合、ホブ刃81のスレッド角が小さな角度をとるほど、セッティング角は、大きくなる。即ち、1条のホブ刃81を備えたホブカッタ80は、複数条のホブ刃81を備えたホブカッタ80と比べて、セッティング角を大きくすることができる。
【0061】
<4.その他>
以上、上記各実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記各形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、上記各実施形態では、工作物Wにはすば歯車を形成する際に本発明を適用する場合について説明したが、平歯車を形成する際に本発明を適用してもよい。
【0062】
また、上記各実施形態では、複数条のホブ刃81を備えたホブカッタ80として、2条のホブ刃81Aを備えたホブカッタ81を例に挙げて説明したが、3条以上のホブ刃81を備えたホブカッタ80を用いることも当然可能である。なお、ホブ刃81の条数を増やすことにより、ホブカッタ80のスレッド角が大きくなることから、ホブ刃81の条数を適宜調整することにより、歯車加工装置1は、歯車加工時において、適切なセッティング角の設定を行うことができる。
【0063】
さらに、歯車加工装置1は、工具交換装置150を用いて工具交換を行うことにより、旋削、ホビング、シェーパ、スカイビング、面取り、穴明け等の加工を行うことができるので、1台の加工装置で多種の加工を行うことができる。
【0064】
<5.効果>
以上説明したように、歯車加工方法は、工作物Wに対し、円筒状のホブカッタ80を工作物Wと同期回転させながら、削り代を残しつつ荒加工を行う荒加工工程と、荒加工工程による荒加工を行った工作物Wに対し、スカイビングカッタ90を工作物Wと同期回転させながら工作物Wの回転軸線Lw方向へ相対的に送り操作を行うことにより、工作物Wに残存する削り代を削り取り、所望の歯車形状を形成する仕上工程と、を備える。
【0065】
この歯車加工方法は、荒加工工程において、高精度な加工を要求する必要がないので、ホブカッタ80の送り速度を高速に設定することができる。そして、この歯車加工方法は、荒加工後の工作物Wに対し、スカイビングカッタ90を用いた仕上加工を行うことにより、工作物Wに形成される歯車を所望の形状に形成することができる。
【0066】
また、工作物Wを加工する際の削り代が多い場合において、ホブカッタ80による加工は、スカイビング90による加工と比べて、工具の損耗を抑制しつつ、切込量を大きくすることができる。一方、工作物Wを加工する際の削り代が少ない場合において、スカイビング90による加工は、ホブカッタ80による加工と比べて、高速かつ高精度な加工を行うことができる。このように、この歯車加工方法は、ホブカッタ80を用いて荒加工を行いつつ、スカイビングカッタ90を用いて仕上加工を行うことにより、歯車加工に要する時間の短縮を図ることができる。
【0067】
上記した歯車加工装置において、歯車加工方法は、工作物Wに対し、はすば歯車である内歯車を形成する方法である。ホブカッタ80は、ホブカッタ80の回転軸線Lt1に直交する面に対してねじれ角を有する複数条のホブ刃81を備え、ホブ刃81のねじれの向きは、工作物Wに形成するはすば歯車のねじれの向きと同じ向きである。
【0068】
この歯車加工方法は、ホブ刃81のねじれの向きが工作物Wに形成するはすば歯車である内歯車のねじれの向きと同じ向きである場合に、歯車加工装置1は、荒加工工程において、複数条のホブ刃81を有するホブカッタ80を用いる。これにより、歯車加工装置1は、一条のホブ刃81を有するホブカッタ80を用いる場合と比べて、工作物Wの回転軸線Lwに対するホブカッタ80の回転軸線Lt1の傾斜角度(セッティング角)を小さくすることができる。これにより、一のホブ刃81を用いて工作物を加工しようとする際に、一のホブ刃81以外の他のホブ刃81と工作物Wとの干渉を小さくすることができる。よって、本発明の歯車加工方法は、荒加工工程終了後に残存する削り代を少なくすることができるので、スカイビングカッタ90の摩耗を抑制しつつ仕上加工に要する時間の短縮を図ることができる。
【0069】
また、この歯車加工方法は、複数条のホブ刃81を備えたホブカッタ80を用いて歯車加工を行うことにより、1条のホブ刃81を備えたホブカッタ80を用いて歯車加工を行う場合と比べて、荒加工工程に要する時間の短縮を図ることができる。
【0070】
また、上記した歯車加工方法は、工作物Wに対し、はすば歯車である内歯車を形成する方法である。ホブカッタ80は、ホブカッタ80の回転軸線Lt1に直交する面に対してねじれ角を有する1条のホブ刃81を備え、ホブ刃81のねじれの向きは、工作物Wに形成するはすば歯車のねじれの向きとは逆向きである。
【0071】
この歯車加工方法によれば、ホブ刃81のねじれの向きが工作物Wに形成するはすば歯車である内歯車のねじれの向きとは逆向きである場合に、歯車加工装置1は、荒加工工程において、1条のホブ刃81を有するホブカッタ80を用いる。これにより、歯車加工装置1は、複数条のホブ刃81を有するホブカッタ80を用いる場合と比べて、工作物Wの回転軸線Lwに対するホブカッタ80の回転軸線Lt1の傾斜角度(セッティング角)を小さくすることができる。これにより、一のホブ刃81を用いて工作物を加工しようとする際に、一のホブ刃81以外の他のホブ刃81と工作物Wとの干渉を小さくすることができる。その結果、本発明の歯車加工方法は、荒加工工程終了後に残存する削り代を少なくすることができるので、スカイビングカッタの摩耗を抑制しつつ仕上加工に要する時間の短縮を図ることができる。
【0072】
また、上記した歯車加工方法は、工作物Wに対し、はすば歯車である外歯車と、はすば歯車を形成しない部位とを連結する不完全歯部283とを形成する方法である。ホブカッタ80は、ホブカッタ80の回転軸線Lt1に直交する面に対してねじれ角を有する複数条のホブ刃81を備え、ホブ刃81のねじれの向きは、工作物Wに形成するはすば歯車のねじれの向きと同じ向きである。
【0073】
この歯車加工方法によれば、ホブ刃81のねじれの向きが工作物Wに形成するはすば歯車である外歯車のねじれの向きと同じ向きである場合に、歯車加工装置1は、荒加工工程において、複数条のホブ刃81を有するホブカッタ80を用いる。これにより、歯車加工装置1は、一条のホブ刃81を有するホブカッタ80を用いる場合と比べて、工作物Wに形成される不完全歯部283の軸方向長さを短くすることができる。
【0074】
また、この歯車加工方法は、複数条のホブ刃81を備えたホブカッタ80を用いて歯車加工を行うことにより、1条のホブ刃81を備えたホブカッタ80を用いて歯車加工を行う場合と比べて、荒加工工程に要する時間の短縮を図ることができる。
【0075】
また、上記した歯車加工方法は、工作物Wに対し、はすば歯車である外歯車と、はすば歯車を形成しない部位とを連結する不完全歯部283とを形成する方法である。ホブカッタ80は、ホブカッタ80の回転軸線Lt1に直交する面に対してねじれ角を有する1条のホブ刃81を備え、ホブ刃81のねじれの向きは、工作物Wに形成するはすば歯車のねじれの向きとは反対方法である。
【0076】
この歯車加工方法によれば、ホブ刃81のねじれの向きが工作物Wに形成するはすば歯車である内歯車のねじれの向きとは逆向きである場合に、歯車加工装置1は、荒加工工程において、1条のホブ刃81を有するホブカッタ80を用いる。これにより、歯車加工装置1は、複数条のホブ刃81を有するホブカッタ80を用いる場合と比べて、工作物Wに形成される不完全歯部283の軸方向長さを短くすることができる。
【0077】
また、本発明の歯車加工装置は、工作物Wに対し、円筒状のホブカッタ80を工作物W物と同期回転させながら、削り代を残しつつ荒加工を制御する荒加工制御部110と、荒加工を行った工作物Wに対し、スカイビングカッタ90を工作物Wと同期回転させながら工作物Wの回転軸線Lw方向へ相対的に送り操作を行うことにより、工作物Wに残存する削り代を削り取り、所望の歯車形状を形成する仕上加工を制御する仕上加工制御部120と、を備える。
【0078】
この歯車加工装置1によれば、荒加工制御部110は、荒加工工程において、高精度な加工を要求する必要がないので、ホブカッタ80の送り速度を高速に設定することができる。そして、仕上加工制御部120は、荒加工後の工作物Wに対し、スカイビングカッタ90を用いた仕上加工を行うことにより、工作物Wに形成される歯車を所望の形状に形成することができる。
【0079】
さらに、歯車加工装置1は、円筒状のホブカッタ90を用いて行うことで、樽形のホブカッタを用いる場合と比べて、工具にかかるコストの低減を図ることができる。このように、歯車加工装置1は、工具コストを抑制しつつ、加工時間の短縮と加工精度の向上との両立を図ることができる。
【符号の説明】
【0080】
1:歯車加工装置、 80,80A,80B:ホブカッタ、 81,81A,81B:ホブ刃、 90:スカイビングカッタ、 110:荒加工制御部、 120:仕上加工制御部、 281:外歯、 282:外歯非形成部、 283:不完全歯部、 Lt1:(ホブカッタの)回転軸線、 Lt2:(スカイビングカッタの)回転軸線、 Lw:(工作物の)回転軸線、 W:工作物、 α1A,α1B,α2A,α2B:セッティング角、 β:ねじれ角、 γ1A,γ1B,γ2A,γ2B:スレッド角
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7A
図7B