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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-202583(P2018-202583A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】棒状部材の供給装置
(51)【国際特許分類】
   B23P 19/06 20060101AFI20181130BHJP
   B25J 15/08 20060101ALI20181130BHJP
【FI】
   B23P19/06 A
   B25J15/08 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-113646(P2017-113646)
(22)【出願日】2017年6月8日
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】竹内 純治
(72)【発明者】
【氏名】木村 真也
(72)【発明者】
【氏名】木下 恭一
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707DS01
3C707ES03
3C707ET03
3C707EU09
3C707EV04
3C707NS07
(57)【要約】
【課題】狭いスペースで使用可能な棒状部材の供給装置を提供する。
【解決手段】実施形態のボルト供給装置10は、ボルトBを収容可能な内筒31と、内筒31を取り囲むように配置される外筒32とを備える。内筒31の側面31sには、ボルトBが通過可能な入口31aが形成されている。内筒31の一端には、ボルトBを排出可能な出口31bが形成されている。外筒32の側面32sには、ボルトBが通過可能な開口32aが形成されている。外筒32の側面32sが内筒31の入口31aを塞ぐ閉鎖位置と、外筒32の開口32aが内筒31の入口31aと重なる開放位置との間で、外筒32は内筒31の軸方向Axの回りに内筒31に対して相対的に回転可能である。開放位置では、ボルトBが、外筒32の開口32a及び内筒31の入口31aを通過可能である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状部材の供給装置であって、
前記棒状部材を収容可能な内筒と、
前記内筒を取り囲むように配置される外筒と、
を備え、
前記内筒の側面には、前記棒状部材が通過可能な入口が形成され、
前記内筒の一端には、前記棒状部材を排出可能な出口が形成され、
前記外筒の側面には、前記棒状部材が通過可能な開口が形成され、
前記外筒の側面が前記内筒の前記入口を塞ぐ閉鎖位置と、前記外筒の前記開口が前記内筒の前記入口と重なる開放位置との間で、前記外筒が前記内筒の軸方向の回りに前記内筒に対して相対的に回転可能であり、
前記開放位置では、前記棒状部材が、前記外筒の前記開口及び前記内筒の前記入口を通過可能である、棒状部材の供給装置。
【請求項2】
前記内筒の他端から前記内筒内にガスを供給するためのガス供給装置を更に備える、請求項1に記載の棒状部材の供給装置。
【請求項3】
前記内筒の他端から前記内筒内のガスを吸引するためのガス吸引装置を更に備える、請求項1又は2に記載の棒状部材の供給装置。
【請求項4】
前記内筒内において前記内筒の前記軸方向に沿って移動可能なシャトルを更に備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載の棒状部材の供給装置。
【請求項5】
前記シャトルの先端には、前記棒状部材を引き寄せる磁石が取り付けられている、請求項4に記載の棒状部材の供給装置。
【請求項6】
前記シャトルは、前記内筒の前記軸方向に直交する前記内筒の断面において前記内筒の前記入口を塞ぐ蓋を備える、請求項4又は5に記載の棒状部材の供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、棒状部材の供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ボルトを所定の締結孔まで送る筒体を備えたボルト供給装置が知られている(特許文献1参照)。このボルト供給装置では、筒体の一方の開口端からボルトが筒体内に送り込まれ、筒体の他方の開口端からボルトが送り出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−246558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のボルト供給装置では、筒体の一方の開口端からボルトを入れるので、筒体の長さに加えてボルトの長さの分のスペースが必要になる。そのため、ボルト供給装置を使用する際に広いスペースが必要になる。
【0005】
本発明の一側面は、狭いスペースで使用可能な棒状部材の供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る棒状部材の供給装置は、前記棒状部材を収容可能な内筒と、前記内筒を取り囲むように配置される外筒と、を備え、前記内筒の側面には、前記棒状部材が通過可能な入口が形成され、前記内筒の一端には、前記棒状部材を排出可能な出口が形成され、前記外筒の側面には、前記棒状部材が通過可能な開口が形成され、前記外筒の側面が前記内筒の前記入口を塞ぐ閉鎖位置と、前記外筒の前記開口が前記内筒の前記入口と重なる開放位置との間で、前記外筒が前記内筒の軸方向の回りに前記内筒に対して相対的に回転可能であり、前記開放位置では、前記棒状部材が、前記外筒の前記開口及び前記内筒の前記入口を通過可能である。
【0007】
この供給装置によれば、開放位置において外筒の開口及び内筒の入口を通して棒状部材を内筒内に投入することができる。一方、内筒の他端に入口を設けて当該入口から棒状部材を内筒内に投入する場合、内筒の長さに加えて棒状部材の長さの分のスペースが必要になる。これに対して、上記供給装置では内筒の側面から棒状部材を投入できるので、棒状部材の長さの分のスペースが必要ない。よって、狭いスペースで上記供給装置を使用することができる。さらに、棒状部材を内筒内に投入した後に、外筒を内筒に対して相対的に回転させることによって、外筒の側面により内筒の入口を塞ぐことができる。そのため、内筒の入口を塞いだ状態で、内筒の一端に形成された出口から棒状部材を排出することができる。
【0008】
上記供給装置は、前記内筒の他端から前記内筒内にガスを供給するためのガス供給装置を更に備えてもよい。この場合、ガスの供給により、内筒の他端から一端に向けて棒状部材を搬送できる。
【0009】
上記供給装置は、前記内筒の他端から前記内筒内のガスを吸引するためのガス吸引装置を更に備えてもよい。この場合、ガスの吸引により、内筒の一端から他端に向けて棒状部材を搬送できる。
【0010】
上記供給装置は、前記内筒内において前記内筒の前記軸方向に沿って移動可能なシャトルを更に備えてもよい。この場合、シャトルの移動によって棒状部材を搬送できる。
【0011】
前記シャトルの先端には、前記棒状部材を引き寄せる磁石が取り付けられていてもよい。この場合、棒状部材をシャトルの先端に引き寄せることができる。
【0012】
前記シャトルは、前記内筒の前記軸方向に直交する前記内筒の断面において前記内筒の前記入口を塞ぐ蓋を備えてもよい。外筒の側面が内筒の入口を塞ぐ場合、内筒の軸方向に直交する内筒の断面において、内筒の入口においてシャトルと外筒との間に隙間(内筒の肉厚に相当する隙間)が生じる。しかし、シャトルが上記蓋を備えると、当該隙間が塞がれる。例えばガスによりシャトルを移動させる場合には、隙間があるとその隙間からガスが漏れるので、シャトルをガスにより押圧する力が小さくなる。そのような隙間をシャトルの蓋により塞ぐことによって、ガスによりシャトルを押圧する力を大きくできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一側面によれば、狭いスペースで使用可能な棒状部材の供給装置が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係るボルト供給装置を模式的に示す斜視図である。
図2図1のボルト供給装置に含まれるボルト搬送機構の一部を模式的に示す平面図である。
図3図2のIII−III線に沿ったボルト搬送機構の断面図である。
図4】閉鎖位置におけるボルト搬送機構の断面図である。
図5図3と直交するボルト搬送機構の断面図である。
図6図5のVI−VI線に沿ったボルト搬送機構の断面図である。
図7図1のボルト供給装置に含まれるボルトクランプ機構を模式的に示す斜視図である。
図8図7のボルトクランプ機構の平面図である。
図9図7のボルトクランプ機構の正面図である。
図10】開いたボルトクランプ機構の斜視図である。
図11図10のボルトクランプ機構の平面図である。
図12図10のボルトクランプ機構の正面図である。
図13図1のボルト供給装置に含まれるボルト投入機構からボルト搬送機構にボルトが投入される手順を示す図である。
図14図1のボルト供給装置に含まれるボルト投入機構からボルト搬送機構にボルトが投入される手順を示す図である。
図15図1のボルト供給装置に含まれるボルト投入機構からボルト搬送機構にボルトが投入される手順を示す図である。
図16図1のボルト供給装置に含まれるボルト投入機構からボルト搬送機構にボルトが投入される手順を示す図である。
図17】ボルトクランプ機構においてボルトがクランプされる手順を示す図である。
図18】ボルトクランプ機構においてボルトがクランプされる手順を示す図である。
図19】ボルトクランプ機構においてボルトがクランプされる手順を示す図である。
図20】ボルトクランプ機構においてボルトがクランプされる手順を示す図である。
図21】ボルトクランプ機構においてボルトがクランプされる手順を示す図である。
図22】ボルトクランプ機構においてボルトがクランプされる手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。各図においてXYZ直交座標系が示される。本実施形態では、X軸方向及びY軸方向が水平方向であり、Z軸方向が鉛直方向である。
【0016】
図1は、実施形態に係るボルト供給装置を模式的に示す斜視図である。図1に示されるボルト供給装置10は、ボルト投入機構20と、ボルト搬送機構30と、駆動機構40と、ボルトクランプ機構50と、制御装置60と、支持機構70と、を備え得る。
【0017】
ボルト投入機構20は、ボルトBをボルト搬送機構30の外筒32の開口32aに投入する。ボルト投入機構20は、複数のボルトBを収容可能なトレイ21を備える。本実施形態のトレイ21は、一対の板状部材を有し、これらの板状部材間において複数のボルトBが板状部材の面方向に配列される。本実施形態では異なる長さのボルトBが交互に配列されているが、同じ長さの複数のボルトBが配列されてもよい。トレイ21は、水平面(XY平面)に対して傾斜している。そのため、トレイ21に収容されたボルトBは、重力により下方に移動し、1つずつトレイ21から排出される。重力以外の方法によってトレイ21から1つずつボルトBが排出されてもよい。
【0018】
ボルト投入機構20は、軸部22に取り付けられたドラム23を備える。軸部22は、トレイ21の下方においてトレイ21によって回転可能に支持されている。ドラム23は、トレイ21の下方に配置される。ドラム23は、重力によりトレイ21から落下したボルトBを受け入れるための溝23aが形成された表面を有する。ドラム23は、軸部22の回転によって軸部22の回りに回転可能である。溝23a内に収容されたボルトBは、ドラム23の回転により溝23aが下方を向くことによってドラム23から落下する。ドラム23の表面のうち溝23aが形成されていない部分は、トレイ21からボルトBが落下しないようにボルトBを支持する支持面として機能する。本実施形態では、軸部22の両端にそれぞれドラム23が取り付けられ、軸部22の中央にもドラム23が取り付けられている。そのため、ボルトBが溝23a内に収容された時に、ボルトBを安定して支持できる。軸部22の中央にドラム23が取り付けられていると、軸部22の一端に位置するドラム23と軸部22の中央に位置するドラム23とによって、短いボルトB(軸部22の一端から軸部22の中央までの長さを有するボルトB)を支持することもできる。
【0019】
ボルトBは、例えばナットと共に電池モジュールの拘束部材として用いられる(図17参照)。ボルトBは、例えば軸部B1と、頭部B2とを有する(図2参照)。ボルトBの長さは例えば250〜450mmである。ドラム23の溝23aは、ボルトBの軸部B1を収容可能である。頭部B2は軸部B1の後端に取り付けられており、ドラム23の外側に配置される。軸部B1は例えば長尺の円柱形状を有する。頭部B2は、例えば六角柱等の多角柱形状を有する。頭部B2には例えば円環状のフランジBfが形成される。フランジBfの外径(直径)がボルトBの最大径となる。フランジBfの内径は軸部B1の内径と同じである。フランジBfは、頭部B2における軸部B1側の基端に形成される。
【0020】
ボルト搬送機構30は、投入されたボルトBをボルトクランプ機構50まで搬送する。上述のように、ボルト搬送機構30は外筒32を備えており、外筒32の開口32aにボルトBが投入される。ボルト搬送機構30の詳細については後述する。
【0021】
駆動機構40は、ボルト投入機構20及びボルト搬送機構30を駆動する。駆動機構40は、ボルト投入機構20の軸部22を回転させることによって、軸部22及びドラム23を回転させる。ボルトBの頭部B2側における軸部22の一端には、ギア41が取り付けられている。ギア41は、ボルト搬送機構30の外筒32に取り付けられたギア42に噛み合わされている。そのため、軸部22の回転によってギア41が回転すると、ギア42が回転して外筒32が回転することになる。ギア42の回転方向は、ギア41の回転方向とは逆になるため、外筒32の回転方向はドラム23の回転方向と逆になる。
【0022】
ボルトクランプ機構50は、例えばリング状の接続部材37等によってボルト搬送機構30に接続されている。ボルトクランプ機構50は、ボルト搬送機構30から搬送されたボルトBをボルト供給装置10の外部に供給すると共にボルトBをクランプすることができる。ボルトクランプ機構50の詳細については後述する。
【0023】
制御装置60は、駆動機構40及びボルトクランプ機構50の動作を制御する。制御装置60は、例えばボルトクランプ機構50のエアシリンダ57を制御することによって、ボルトクランプ機構50の開閉動作を制御可能である。
【0024】
支持機構70は、ボルト投入機構20、ボルト搬送機構30及びボルトクランプ機構50を支持する。支持機構70は、例えば板状の支持台71と、支持台71に立設された4つの脚部72,73,74,75とを備える。脚部72,73,74,75は例えば板状部材である。脚部72,73はX軸方向において互いに対向配置されている。脚部72の頂部には、ボルト搬送機構30の外筒32が治具72aにより取り外し可能に接続されている。脚部73の頂部には、ボルトクランプ機構50が治具73aにより取り外し可能に接続されている。すなわち、ボルト搬送機構30及びボルトクランプ機構50は、脚部72,73によって支持されている。脚部74,75は、Y軸方向において脚部72,73の隣に配置され、X軸方向において互いに対向配置されている。脚部74,75間の距離は脚部72,73間の距離よりも短くなっている。脚部74,75の頂部には、トレイ21が接続されている。脚部74は、例えばボールロックピン74a等によりトレイ21の高さ(Z軸方向における位置)を調整可能であってもよい。脚部75についても同様にトレイ21の高さを調整可能であってもよい。
【0025】
続いて、図1図6を参照しつつボルト搬送機構30について詳細に説明する。図2は、ボルト搬送機構30の一部を模式的に示す平面図である。図3は、図2のIII−III線に沿ったボルト搬送機構30の断面図である。
【0026】
図1図3に示されるように、ボルト搬送機構30は、ボルトBを収容可能な内筒31と、内筒31を取り囲むように配置される外筒32とを備える。内筒31の軸方向Ax(X軸方向に沿った方向)は外筒32の軸方向及びボルトBの軸方向と同じである。外筒32の肉厚は内筒31の肉厚よりも大きくなっている。内筒31の側面31sには、ボルトBが通過可能な入口31aが形成されている。入口31aの形状は、例えば軸方向Axに沿って延びる矩形である。入口31aは、ボルトBの軸部B1を通過可能な第1部分31a1と、ボルトBの頭部B2を通過可能な第2部分31a2とを有する。第2部分31a2の幅(Y軸方向の長さ)は、第1部分31a1の幅(Y軸方向の長さ)よりも大きい。内筒31の一端には、ボルトBを排出可能な出口31bが形成されている。入口31aは、出口31bが形成された内筒31の一端まで延在している。出口31bの形状は、フランジBfの形状と同じであってもよく、例えば軸方向Axに直交する円形である。本実施形態では、内筒31の他端に開口31cが形成されているが、内筒31の他端は塞がれてもよい。開口31cの形状は例えば出口31bの形状と同じである。なお、以下の説明では、軸方向Axにおいて、出口31bから開口31cに向かう方向を前方、その反対方向を後方という場合がある。
【0027】
外筒32の側面32sには、ボルトBが通過可能な開口32aが形成されている。開口32aの形状は、例えば軸方向Axに沿って延びる矩形である。開口32aは、ボルトBの軸部B1を通過可能な第1部分32a1と、ボルトBの頭部B2を通過可能な第2部分32a2とを有する。開口32aの幅(Y軸方向の長さ)は例えば内筒31の入口31aの幅(Y軸方向の長さ)と同じであるが、それより大きくてもよい。開口32aのX軸方向の長さは、例えば内筒31の入口31aのX軸方向の長さよりも小さいが、それと同じであってもよい。外筒32の側面32sには、開口32aを取り囲むように外筒32の側面32sから突出した突出部32pが設けられ得る。突出部32pは、外筒32の径方向(軸方向Axに直交する方向)外側に向かうに連れて開口32aの幅(Y軸方向の長さ)が大きくなるように広がっている。すなわち、突出部32pの先端における開口32aの大きさは、突出部32pの基端における開口32aの大きさよりも大きくなっている。これにより、ボルト投入機構20から投入されたボルトBが、突出部32pによって内筒31の入口31aまで案内される。外筒32の一端には、ボルトBを排出可能な出口32bが形成されている。出口32bは内筒31の出口31bと重なっている。外筒32の他端には、内筒31の開口31cと重なる開口32cが形成されているが、外筒32の他端は塞がれてもよい。
【0028】
外筒32は、外筒32の側面32sが内筒31の入口31aを塞ぐ閉鎖位置と、外筒32の開口32aが内筒31の入口31aと重なる開放位置との間で、内筒31の軸方向Axの回りに内筒31に対して相対的に回転可能である。図2及び図3に示される開放位置では、ボルトBが、外筒32の開口32a及び内筒31の入口31aを通過可能である。ボルトBの軸部B1と内筒31との間には、軸方向Axから見てフランジBfの外径(直径)と軸部B1の直径との差に相当する隙間が形成されている。
【0029】
図4は、閉鎖位置におけるボルト搬送機構30の断面図である。図4は、図3の外筒32を内筒31に対して相対的に回転させた状態を示す。図4に示されるように、閉鎖位置では、外筒32の側面32sが内筒31の入口31aを塞ぐ一方、内筒31の側面31sが外筒32の開口32aを塞ぐ。
【0030】
再び図1を参照する。ボルト搬送機構30は、ガス供給装置34と、ガス吸引装置35とを備え得る。ガス供給装置34は、内筒31の他端に形成された開口31cから内筒31内にガス(例えば圧縮された空気)を供給する。ガス吸引装置35は、内筒31の他端に形成された開口31cから内筒31内のガスを吸引する。ガス吸引装置35は例えば真空ポンプである。ガス供給装置34及びガス吸引装置35は、ガス管33及びバルブ36を介して内筒31の他端に形成された開口31cに接続される。バルブ36を切り替えることによって、ガスの供給及び吸引を切り替えることができる。
【0031】
図5は、図3と直交するボルト搬送機構30の断面図である。この断面(XZ断面)は、内筒31の軸方向Axと鉛直方向とを含む。図5に示されるように、ボルト搬送機構30は、内筒31内において内筒31の軸方向Axに沿って移動可能なシャトルSを備え得る。例えば、ガス供給装置34により内筒31内にガスを供給することによって、シャトルSを軸方向Axに押し出してボルトBを搬送することができる。あるいは、ガス吸引装置35により内筒31内のガスを吸引することによって、シャトルSを軸方向Axに引っ張ることができる。すなわち、ガス供給装置34及びガス吸引装置35により、シャトルSを前進及び後退させることができる。シャトルSの後端には、ワイヤWの一端が接続されている。ワイヤWの他端は固定端となっている。このようなワイヤWにより、シャトルSを前進させた場合にシャトルSの移動を規制することができる。内筒31内には、シャトルSの後方への移動を規制する規制部が設けられてもよい。
【0032】
シャトルSは、軸方向Axに沿って延びる軸部S1と、軸部S1を取り囲み軸方向Axに沿って延びる筒状部S2とを備える。筒状部S2の側面は、シャトルSが前進する際の空気抵抗を小さくするために、前方に向かうに連れて先細るように構成されている。軸部S1の後端には、軸方向Axから径方向(軸方向Axに直交する方向)外側に突出するフランジ状の突起部S1pが設けられている。突起部S1pの後面には、軸方向Axにおいて前方に窪んだ凹部S1aが形成されている。凹部S1aの底面にはワイヤWが接続されている。筒状部S2の内面S2aには径方向(軸方向Axに直交する方向)内側に突出する突起部S2pが設けられている。突起部S2pは、軸方向Axにおいて軸部S1の突起部S1pの前方に配置されており、軸部S1が前方に移動することを規制している。軸部S1の先端は、突起部S1pよりも前方に位置している。
【0033】
筒状部S2の先端(ボルトB側の端部)には、軸方向Axにおいて軸部S1及び筒状部S2に対して相対的にスライド可能なスライド部S3が挿通されている。スライド部S3の後端には、前方に窪んだ凹部S3aが形成されている。凹部S3aには、軸部S1の先端がスライド可能に挿通されている。スライド部S3の後端と突起部S2pと筒状部S2の内面S2aと軸部S1の先端とによって囲まれた空間には、例えばバネ等の弾性部材S4が配置される。弾性部材S4は、軸方向Axにおいて伸縮可能である。スライド部S3が後方に移動すると、スライド部S3の後端が弾性部材S4を突起部S2pに押し付けて弾性部材S4が縮むことになる。
【0034】
スライド部S3の先端には、軸方向Axにおいて前方に突出する突起部S3pが設けられている。突起部S3pは筒状部S5によって取り囲まれている。筒状部S5は突起部S3pに嵌め合わされている。筒状部S5の先端には、ボルトBを引き寄せる磁石S6が取り付けられている。このようにして、磁石S6はシャトルSの先端に取り付けられる。筒状部S2の後端における側面には、径方向内側に窪んだ凹部S2bが設けられている。凹部S2bには、内筒31の入口31aを塞ぐ蓋S7が嵌め合わされている。
【0035】
図6は、図5のVI−VI線に沿ったボルト搬送機構30の断面図である。図5及び図6に示されるように、シャトルSは、内筒31の軸方向Axに直交する内筒31の断面において内筒31の入口31aを塞ぐ蓋S7を備え得る。蓋S7は、筒状部S2の側面に取り付けられる。
【0036】
続いて、図1及び図7図12を参照しつつボルトクランプ機構50について詳細に説明する。図7図9は閉じたボルトクランプ機構50を示し、図10図12は開いたボルトクランプ機構50を示す。図7は、閉じたボルトクランプ機構50を模式的に示す斜視図である。図8は、閉じたボルトクランプ機構50である。図9は、閉じたボルトクランプ機構50の正面図である。図10は、開いたボルトクランプ機構50の斜視図である。図11は、開いたボルトクランプ機構50の平面図である。図12は、開いたボルトクランプ機構50の正面図である。
【0037】
ボルトクランプ機構50は、ボルト搬送機構30の内筒31の出口31bに取り付けられ、ボルトBをクランプ可能である。ボルトクランプ機構50は、ボルトBを収容可能な筒体51と、開閉可能なクランプ部Cとを備える。筒体51の軸方向は内筒31の軸方向Axと同じである。クランプ部Cは、筒体51の一端(軸方向Axにおける先端)に取り付けられる。筒体51の他端(軸方向Axにおける後端)は、例えばリング状の接続部材37によって内筒31の出口31bに取り付けられる。クランプ部Cは、軸方向Axと直交する水平方向(Y軸方向)に開閉可能である。図10図12に示されるように、筒体51の先端には、ボルトBが通過可能な出口51aが形成されている。クランプ部Cには、筒体51の出口51aと連通する開口Caが形成されている。クランプ部Cが開いた状態では、ボルトBの軸部B1及びボルトBの頭部B2が開口Caを通過可能である。これは、クランプ部Cが開いた状態では、軸方向Axから見た開口Caの大きさがボルトBの頭部B2よりも大きいためである(図12参照)。一方、図7図9に示されるように、クランプ部Cが閉じた状態では、ボルトBの軸部B1は開口Caを通過可能であるが、ボルトBの頭部B2は開口Caを通過不能である。これは、クランプ部Cが閉じた状態では、軸方向Axから見た開口Caの大きさがボルトBの軸部B1よりも大きく頭部B2よりも小さいためである(図9参照)。
【0038】
クランプ部Cは、クランプ部Cの開閉方向(Y軸方向)において互いに対向配置される第1及び第2のヘッド部52,53を有する。ヘッド部52,53は筒体51の出口51aを挟むように配置される。クランプ部Cの開口Caは、ヘッド部52,53間の隙間に相当する。
【0039】
ヘッド部52は、軸方向Axにおける先端に位置する本体部521と、軸方向Axにおいて本体部521よりも後方において本体部521に連結される一対のアーム部522とを有する。同様に、ヘッド部53は、軸方向Axにおける先端に位置する本体部531と、軸方向Axにおいて本体部531よりも後方において本体部531に連結される一対のアーム部532とを有する。図7図9に示されるようにクランプ部Cが閉じている場合、本体部521,531は互いに当接している。一方、図10図12に示されるようにクランプ部Cが開いている場合、本体部521,531は互いに離間している。
【0040】
各アーム部522は、Z軸方向から見て、本体部521の後端から軸方向Axの後方に向かうに連れて軸方向Axから離れるように延在する第1延在部522aと、Z軸方向から見て、第1延在部522aの後端から軸方向Axの後方に向かうに連れて軸方向Axに近づくように延在する第2延在部522bとを有する。第1延在部522aと第2延在部522bとの間においてアーム部522は屈曲している。同様に、各アーム部532は、Z軸方向から見て、本体部531の後端から軸方向Axの後方に向かうに連れて軸方向Axから離れるように延在する第1延在部532aと、Z軸方向から見て、第1延在部532aの後端から軸方向Axの後方に向かうに連れて軸方向Axに近づくように延在する第2延在部532bとを有する。第1延在部532aと第2延在部532bとの間においてアーム部532は屈曲している。
【0041】
アーム部522,532は、屈曲箇所において、Z軸方向に延びるピン52p,53pによって、筒体51の先端に取り付けられた支持部材55にそれぞれ連結されている。アーム部522,532は、Z軸方向から見てピン52p,53pを中心に互いに逆方向にそれぞれ回転可能である。ピン52p,53pは、Z軸方向から見て筒体51を挟むように配置されている。
【0042】
支持部材55は、例えば軸方向Axに直交するYZ面に延在する板状部材である。支持部材55には軸方向Axに貫通する貫通孔55aが形成されており、貫通孔55aに筒体51の先端が挿通されている。支持部材55は、軸方向Axから見てY軸方向において筒体51に向かって窪んだ凹部55bを有する。一方のアーム部522はZ軸方向において支持部材55よりも上方に位置しており、他方のアーム部522はZ軸方向において支持部材55よりも下方に位置している。本実施形態では、1つのピン52pが上方のアーム部522及び支持部材55をZ軸方向に貫通して凹部55bまで到達しており、もう1つのピン52pが下方のアーム部522及び支持部材55をZ軸方向に貫通して凹部55bまで到達している。同様に、1つのピン53pが上方のアーム部532及び支持部材55をZ軸方向に貫通して凹部55bまで到達しており、もう1つのピン53pが下方のアーム部532及び支持部材55をZ軸方向に貫通して凹部55bまで到達している。
【0043】
アーム部522の第2延在部522bとアーム部532の第2延在部532bとは、Z軸方向から見て互いに交差するように延在している。Z軸方向は、軸方向Ax(X軸方向)及びクランプ部Cの開閉方向(Y軸方向)の両方に直交する。第2延在部522b,532bには、Z軸方向から見て互いに交差するように延在するガイド穴52h,53hがそれぞれ形成されている。Z軸方向から見てガイド穴52h,53hが互いに交差する位置において、Z軸方向に延在する支点ピン54がガイド穴52h,53hに挿通されている。支点ピン54は、筒体51に対して軸方向Axにスライド可能なスライド部材56に取り付けられている。スライド部材56は、軸方向Axにおいて支持部材55よりも後方に配置されている。スライド部材56は、例えば軸方向Axに直交するYZ面に延在する板状部材である。スライド部材56には軸方向Axに貫通する貫通孔56aが形成されており、貫通孔56aに筒体51が挿通されている。
【0044】
スライド部材56は、軸方向Axに沿って延在するエアシリンダ57によって駆動される。スライド部材56にはエアシリンダ57の先端が取り付けられている。スライド部材56には、軸方向Axに沿って延在するガイド部材59が取り付けられている。エアシリンダ57及びガイド部材59は、Z軸方向から見てこれらの間に筒体51が位置するように配置される。エアシリンダ57は、支持部材58によって筒体51に取り付けられている。支持部材58は、軸方向Axにおいてスライド部材56よりも後方に配置されている。支持部材58は、例えば軸方向Axに直交するYZ面に延在する板状部材である。支持部材58にはエアシリンダ57が取り付けられている。支持部材58には、ガイド部材59が軸方向Axにスライド可能に挿通されるガイド穴58aが形成されている。
【0045】
エアシリンダ57によりスライド部材56が軸方向Axにスライドすると、スライド部材56に取り付けられた支点ピン54も支持部材58に対して軸方向Axに沿ってスライドする。例えば、軸方向Axにおいてスライド部材56を前方にスライドさせると、支点ピン54がガイド穴52h,53hに沿って前方に移動する。これにより、ヘッド部52,53は、ピン52p,53pを中心に互いに逆方向に回転し、クランプ部Cが閉じた状態から開いた状態になる。一方、エアシリンダ57により軸方向Axにおいてスライド部材56を後方にスライドさせると、クランプ部Cが開いた状態から閉じた状態になる。また、エアシリンダ57によりスライド部材56が軸方向Axにスライドする時に、スライド部材56に取り付けられたガイド部材59もガイド穴58a内をスライドする。このようなガイド部材59を用いることにより、スライド部材56をスライドさせる時にスライド部材56がYZ平面に対して傾き難くなる。
【0046】
本体部521,531は、クランプ部C(図7図9参照)が閉じた状態において互いに嵌め合わされる嵌合部としての凸部52a及び凹部53bを有する。すなわち、クランプ部Cが閉じた状態では、本体部521の凸部52aが本体部531の凹部53bに嵌め合わされる。凸部52aは、Z軸方向において凹部53bの下方に位置しており、本体部531が下方に移動することを規制している。さらに、本体部521,531は、クランプ部Cが閉じた状態において互いに嵌め合わされる嵌合部としての凹部52b及び凸部53aを有する。すなわち、クランプ部Cが閉じた状態では、本体部531の凸部53aは本体部521の凹部52bに嵌め合わされる。凸部53aは、Z軸方向において凹部52bの上方に位置しており、本体部521が上方に移動することを規制している。凸部52a,53aは、軸方向Axに対して対称に配置される。このような嵌合部は、Z軸方向においてヘッド部52,53が互いに位置ずれすることを抑制する。
【0047】
本体部521,531は、クランプ部Cが開いた状態から閉じた状態まで移動する間にボルトBの頭部B2を押圧して回転させるための押圧部52c,53cをそれぞれ有する。押圧部52c,53cはクランプ部Cの開閉方向(Y軸方向)において互いに反対向きに突出する突起である。クランプ部Cが開いた状態から閉じた状態まで移動する間に、Y軸方向において押圧部52c,53cは互いに近づくように移動する。押圧部52c,53cは、軸方向Axに対して対称に配置される。
【0048】
本体部521は、クランプ部Cが閉じている状態においてボルトBの頭部B2の回転を止める一対の回転止め面52rを有する。一対の回転止め面52rは、XY平面に沿っており、互いに対向配置される。同様に、本体部531は、クランプ部Cが閉じている状態においてボルトBの頭部B2の回転を止める一対の回転止め面53rを有する。一対の回転止め面53rは、XY平面に沿っており、互いに対向配置される。上方の回転止め面52r及び回転止め面53rは、同一平面に位置する。上方の回転止め面52rは、押圧部52cの下方に位置する。下方の回転止め面52r及び回転止め面53rは、同一平面に位置する。下方の回転止め面53rは、押圧部53cの上方に位置する。
【0049】
クランプ部Cが閉じた状態において、クランプ部Cの開口Caは、筒体51の出口51aからクランプ部Cの先端に向かって先細るテーパ部分Ca1と、テーパ部分Ca1よりもクランプ部Cの先端側に位置する非テーパ部分Ca2とを有する(図10参照)。テーパ部分Ca1及び非テーパ部分Ca2は、筒体51の出口51aから排出されたボルトBの軸部B1の先端を案内する。クランプ部Cが閉じている状態において、テーパ部分Ca1の形状は例えば円錐台であり、非テーパ部分Ca2の形状は例えば円柱である。図12に示されるように、クランプ部Cが開いた状態では、クランプ部Cの開口Caが、軸方向Axから見てボルトBの頭部B2よりも大きくなる。
【0050】
図12に示されるように、筒体51は、内筒511と外筒512とを有する。内筒511は、軸方向Axから見て内筒31と同じ形状を有する。すなわち、内筒511の側面には、内筒31の入口31aと同じ幅の開口51hが形成されており、軸方向Axから見て開口51hはシャトルSの蓋S7によって塞がれている。外筒512は内筒511を取り囲んでいるので、シャトルSの蓋S7が開口51hを塞いでいない状態においても、開口51hは外筒512によって塞がれる。
【0051】
図13図16は、ボルト供給装置10に含まれるボルト投入機構20からボルト搬送機構30にボルトBが投入される手順を示す図である。
【0052】
まず、図13に示されるように、トレイ21に収容されたボルトBが重力により落下して、ボルトBの軸部B1がドラム23の溝23aに入る。このとき、内筒31及び外筒32は閉鎖位置にある。
【0053】
続いて、図14に示されるように、溝23a内にボルトBの軸部B1が収容された状態でドラム23が回転する。ドラム23の回転と同期して、ドラム23の回転方向とは反対方向に外筒32が回転する。この時、ドラム23の表面のうち溝23aが形成されていない部分は、トレイ21からボルトBが落下しないようにボルトBを支持する支持面として機能する。
【0054】
続いて、図15に示されるように、重力によりボルトBがドラム23から落下して外筒32の開口32a及び内筒31の入口31aを通過して内筒31内に収容される。ドラム23からボルトBが落下する時に内筒31及び外筒32が開放位置となるように、ドラム23及び外筒32の回転が制御される。外筒32の突出部32pが外筒32の径方向外側に向かうに連れて開口32aの幅が大きくなるように広がっていると、落下したボルトBを内筒31の入口31aまで案内することができる。
【0055】
続いて、図16に示されるように、内筒31及び外筒32が閉鎖位置となるまでドラム23及び外筒32が回転する。内筒31及び外筒32が閉鎖位置となった時に、ドラム23及び外筒32の回転は停止される。この時、重力によりトレイ21から落下したボルトBの軸部B1がドラム23の溝23a内に入る。
【0056】
内筒31及び外筒32が閉鎖位置になった後、図1に示されるガス供給装置34を用いて、内筒31内にガスを供給して、図5に示されるシャトルSによりボルトBを押し出す。シャトルSは、内筒31の出口31bから排出された後、筒体51内に入って筒体51内を軸方向Axに沿って移動可能である。その結果、ボルト搬送機構30から排出されたボルトBは、ボルトクランプ機構50まで搬送される。この時、ボルトクランプ機構50のクランプ部Cは図7図9に示されるように閉じているので、ボルトBの頭部B2は、クランプ部Cの開口Caのテーパ部分Ca1に衝突して停止する(図17参照)。テーパ部分Ca1は、クランプ部Cの開口Ca内に入ってくるボルトBの軸部B1の先端を持ち上げるように案内する機能も有している。シャトルSは、図5に示される弾性部材S4を有しているので、ボルトBがクランプ部Cに衝突したことによる衝撃を吸収できる。その結果、ボルトBがクランプ部Cに衝突して跳ね返ることを抑制できる。
【0057】
図17図22は、ボルトクランプ機構50においてボルトBがクランプされる手順を示す図である。
【0058】
まず、図17に示されるように、シャトルSにより押し出されたボルトBは、電池モジュール100内に挿入される。この時、クランプ部Cは閉じている。電池モジュール100は、軸方向Axに沿って配列された複数の電池セルを含むモジュール本体部110と、軸方向Axにおいてモジュール本体部110を挟む一対のエンドプレート120とを有する。モジュール本体部110には、軸方向Axに延びる貫通孔110aが形成されている。各エンドプレート120には、軸方向Axに延びる貫通孔120aが形成されている。貫通孔110a及び貫通孔120aは互いに連通している。ボルトBの軸部B1は、ボルトクランプ機構50に近い方のエンドプレート120の貫通孔120aを通過してモジュール本体部110の貫通孔110a内に挿入される。この時、ボルトBの軸部B1の先端は、ボルトクランプ機構50から遠い方のエンドプレート120の貫通孔120aに到達していない。
【0059】
続いて、図18及び図19に示されるように、クランプ部Cを開いた後(図10図12参照)、図1に示されるガス供給装置34を用いて、筒体51内にガスを供給して、シャトルSによりボルトBを押し出す。これにより、ボルトBの頭部B2がクランプ部Cの開口Caを通過して、フランジBfが、ボルトクランプ機構50に近い方のエンドプレート120に当接する。ボルトBの頭部B2は、シャトルSによって、ボルトクランプ機構50に近い方のエンドプレート120に押し付けられている。この時、ボルトBの軸部B1の先端は、ボルトクランプ機構50から遠い方のエンドプレート120の貫通孔120aを貫通して外側に突出している。
【0060】
図17図19に示されるように、2段階でボルトBを供給することによって、1段階でボルトBを供給する場合に比べて、フランジBfが、ボルトクランプ機構50に近い方のエンドプレート120に衝突する力を小さくできる。
【0061】
また、ボルトBを貫通孔110a及び貫通孔120aに挿入する際に不具合があった場合、図1に示されるガス吸引装置35を用いてシャトルSによるボルトBの搬送をやり直すこともできる。具体的には、まず、ガス吸引装置35を用いて筒体51内のガスを吸引することによって、シャトルSの磁石S6を用いてボルトBを後退させる。その後、図1に示されるガス供給装置34を用いて、筒体51内にガスを供給して、シャトルSによりボルトBを再び押し出す。
【0062】
続いて、図20に示されるように、クランプ部Cを閉じる(図7図9参照)。クランプ部Cを閉じると、図21に示されるように、ヘッド部52,53の押圧部52c,53cがボルトBの頭部B2に近づく。押圧部52c,53cがボルトBの頭部B2に当接すると、押圧部52c,53cによってボルトBの頭部B2は押圧され、回転する。その後、図22に示されるように、閉じたクランプ部Cでは、ヘッド部52,53の回転止め面52r,53rがボルトBの頭部B2の側面に当接する。その結果、ボルトBの頭部B2が一対の回転止め面52r間及び一対の回転止め面53r間に挟まれることになる。これにより、ボルトBを回転させようとしても、ボルトBの頭部B2は回転しない。
【0063】
また、クランプ部Cが閉じた状態では、ヘッド部52の凸部52aがヘッド部53の凹部53bに嵌め合わされ、ヘッド部53の凸部53aがヘッド部52の凹部52bに嵌め合わされている。この状態で、例えばナットランナー等を用いて、ボルトクランプ機構50から遠い方のエンドプレート120から突出したボルトBの軸部B1の先端にナットを螺合する。ヘッド部52,53の回転止め面52r,53rによりボルトBの頭部B2の回転が止められているので、ボルトB及びナットによる締結力を高精度に制御することができる。ナットの締結は、シャトルSにより、ボルトクランプ機構50に近い方のエンドプレート120にボルトBの頭部B2を押し付けながら行われる。その後、図1に示されるガス吸引装置35を用いて内筒31内のガスを吸引することによって、シャトルSを後退させて初期位置まで戻す。
【0064】
続いて、図13図16に示されるように、ボルト投入機構20からボルト搬送機構30に次のボルトBを投入する。電池モジュール100の位置を所望の位置に変更した後、図17図22に示される手順を繰り返すことによって、電池モジュール100に複数のボルトB(例えば4つ)を挿入し、各ボルトBにナットを締結することができる。さらに、本実施形態のボルト供給装置10を用いると、ボルトBを連続的に供給することができる。
【0065】
以上説明したように、ボルト供給装置10は、内筒31と外筒32とを備え、内筒31の側面31sには入口31aが形成され、内筒31の一端には出口31bが形成され、外筒32の側面32sには開口32aが形成されている。閉鎖位置と開放位置との間で、外筒32は内筒31の軸方向Axの回りに内筒31に対して相対的に回転可能である。
【0066】
このボルト供給装置10によれば、開放位置において外筒32の開口32a及び内筒31の入口31aを通してボルトBを内筒31内に投入することができる。一方、内筒の他端に入口を設けて当該入口からボルトBを内筒内に投入する場合、内筒の長さに加えてボルトBの長さの分のスペースが必要になる。これに対して、ボルト供給装置10では内筒31の側面31sからボルトBを投入できるので、ボルトBの長さの分のスペースが必要ない。よって、狭いスペースでボルト供給装置10を使用することができる。
【0067】
また、ボルトBを内筒内に投入した後に、外筒32を内筒31に対して相対的に回転させることによって、外筒32の側面32sにより内筒31の入口31aを塞ぐことができる。そのため、内筒31の入口31aを塞いだ状態で、内筒31の一端に形成された出口31bからボルトBを排出することができる。
【0068】
ボルト供給装置10がガス供給装置34を備える場合、ガスの供給により、内筒31の他端から一端に向けてボルトBを前進させることができる。内筒31の入口31aを塞いだ状態でガスを供給すると、ガスが入口31aから外に漏れ出すことを抑制できる。ボルト供給装置10がガス吸引装置35を備える場合、ガスの吸引により、内筒31の一端から他端に向けてボルトBを後退させることができる。内筒31の入口31aを塞いだ状態でガスを吸引すると、ガスが入口31aから内部に流入することを抑制できる。
【0069】
ボルト供給装置10がシャトルSを備える場合、シャトルSの移動によってボルトBを搬送できる。シャトルSを用いると、内筒31内にガスを供給する場合に低いガス圧力で高精度にボルトBを搬送することができる。シャトルSの先端に磁石S6が取り付けられている場合、ボルトBをシャトルSの先端に引き寄せることができる。外筒32の側面32sが内筒31の入口31aを塞ぐ場合、内筒31の軸方向Axに直交する内筒31の断面において、内筒31の入口31aにおいてシャトルSと外筒32との間に隙間(内筒31の肉厚に相当する隙間)が生じる。しかし、シャトルSが蓋S7を備えると、当該隙間が塞がれる。例えばガスによりシャトルSを移動させる場合には、隙間があるとその隙間からガスが漏れるので、シャトルSをガスにより押圧する力が小さくなる。そのような隙間をシャトルSの蓋S7により塞ぐことによって、ガスによりシャトルSを押圧する力を大きくできる。
【0070】
また、ボルト供給装置10は、筒体51とクランプ部Cとを備え、クランプ部Cは、クランプ部Cが閉じている状態においてボルトBの頭部B2の回転を止める回転止め面52r,53rを有する。
【0071】
このボルト供給装置10によれば、クランプ部Cが開いている状態ではボルトBを筒体51の出口51aから排出してクランプ部Cの開口Caを通過させることができる。ボルトBの頭部B2がクランプ部Cの開口Caを通過した後、クランプ部Cを閉じると、クランプ部Cが閉じた状態では、クランプ部Cの回転止め面52r,53rがボルトBの頭部B2の回転を止めることになる。よって、クランプ部Cの回転止め面52r,53rがボルトBの頭部B2の回転を止めた状態でボルトBの軸部B1の先端にナットを取り付けることができる。よって、ボルトBの頭部B2の回転を止めた状態でボルトBを供給することができる。
【0072】
クランプ部Cが押圧部52c,53cを有する場合、ボルトBの頭部B2の位置を所望の位置まで回転させることができる。
【0073】
クランプ部Cのヘッド部52,53が嵌合部としての凸部52a,53a及び凹部52b,53bを有する場合、ヘッド部52,53間の位置ずれを抑制できる。
【0074】
クランプ部Cが閉じた状態において、クランプ部Cの開口Caがテーパ部分Ca1を有する場合、筒体51の出口51aから排出されたボルトBの軸部B1がクランプ部Cの開口Caのテーパ部分Ca1にガイドされた後、開口Caを通過する。そのため、クランプ部Cの開口Caに入ってきたボルトBの軸部B1の位置ずれを調整することができる。
【0075】
ボルト供給装置10がシャトルSを備える場合、シャトルSの移動によってボルトBを搬送できる。シャトルSを用いると、筒体51内にガスを供給する場合に低いガス圧力でボルトBを搬送することができる。シャトルSの先端に磁石S6が取り付けられている場合、ボルトBをシャトルSの先端に引き寄せることができる。外筒512が内筒511の開口51hを塞ぐ場合、内筒511の軸方向Axに直交する内筒511の断面において、内筒511の開口51hにおいてシャトルSと外筒512との間に隙間(内筒511の肉厚に相当する隙間)が生じる。しかし、シャトルSが蓋S7を備えると、当該隙間が塞がれる。例えばガスによりシャトルSを移動させる場合には、隙間があるとその隙間からガスが漏れるので、シャトルSをガスにより押圧する力が小さくなる。そのような隙間をシャトルSの蓋S7により塞ぐことによって、ガスによりシャトルSを押圧する力を大きくできる。
【0076】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明されたが、本発明は上記実施形態に限定されない。
【0077】
例えば、上記実施形態では、棒状部材の一例としてボルトを用いたが、ボルトに代えて例えばロッド等の棒状部材を用いてもよい。
【符号の説明】
【0078】
10…ボルト供給装置、31…内筒、31a…入口、31b…出口、31s…側面、32…外筒、32a…開口、32s…側面、34…ガス供給装置、35…ガス吸引装置、Ax…軸方向、B…ボルト(棒状部材)、S…シャトル、S6…磁石、S7…蓋。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22