【課題】ロボットを活用した自発的な移動と学習によって、人が直接指示するのではなく、未経験の活動であって、優先度の高い活動の情報を、ロボットが空いた時間に自ら行動を起こして入手して、人に提示することができるサービス提供システム及びデータベースを提供する。
【解決手段】ロボット12自身の行動予定がない時間帯を特定するロボット用時間帯管理部22aと、ロボット12自身又は対象者16にとって未経験であり、且つ、優先度が高い活動を特定する活動特定部20aと、活動を行う場所を特定する場所特定部20bと、ロボット12とを備える。ロボット12は、特定された時間帯に、特定された場所に移動し、特定された活動を行い、活動により得られた情報を対象者16に提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の移動体による地域情報発見システムは、上述のように、移動体(自動運転車)による情報収集システムであって、乗客の瞬間的な特定の音声や動作に基づいて、地域の情報を収集する。すなわち、特許文献1記載のシステムは、乗客による直接的な指示によって情報収集するシステムである。
【0007】
一方で、人がロボットに指示して、様々な動作(歩行やジャンプ等)を行わせるイベントが開催されている。これは、あくまでも人から指示されて上述した動作を行う。
【0008】
このように、従来においては、下記事項を想定していない。すなわち、人が直接指示するのではなく、未経験の活動であって、優先度の高い活動の情報を、ロボットが空いた時間に自ら行動を起こして入手することは想定していない。
【0009】
つまり、特許文献1や従来においては、ロボットを活用した自発的な移動と学習についての開示がない。
【0010】
本発明は上述した問題を解決するためになされたものであり、ロボットを活用した自発的な移動と学習によって、人が直接指示するのではなく、未経験の活動であって、優先度の高い活動の情報を、ロボットが空いた時間に自ら行動を起こして入手して、人に提示することができるサービス提供システムを提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、上記ロボットによって取得又は学習された情報を、他のロボットに提供することで、複数のロボット間で情報を共有することができるデータベースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
[1] 第1の本発明に係るサービス提供システムは、少なくとも対象者の指示に基づいて行動するロボットと、前記ロボット自身の行動予定がない時間帯を特定する空き時間特定手段と、前記ロボット自身又は前記対象者にとって未経験であり、且つ、優先度が高い活動を特定する活動特定手段と、前記活動を行う場所を特定する活動場所特定手段と、を備え、前記ロボットは、前記特定された時間帯に、前記特定された場所に移動し、前記特定された活動を行い、前記活動により得られた情報を前記対象者に提供することを特徴とする。
【0013】
これにより、ロボット自身又は対象者にとって未経験であり、且つ、優先度が高い活動を特定すると、その活動を行う場所を特定する。そして、ロボット自身が、ロボット自身の行動予定がない時間帯に、特定された場所に移動して、特定された活動を行う。ロボットは、このロボット自身の活動により得られた情報を対象者に提供する。
【0014】
つまり、ロボットを活用した自発的な移動と学習によって、対象者が直接指示するのではなく、未経験の活動であって、且つ、優先度の高い活動の情報を、ロボットが空いた時間に自ら行動を起こして入手して、対象者に提示することができる。
【0015】
[2] 第1の本発明において、前記対象者が移動に用いる移動体の空き時間を特定する移動体空き時間特定手段をさらに備え、前記ロボットは、前記特定された時間帯で、且つ、前記移動体の空き時間に、前記移動体を用いて前記特定された場所に移動してもよい。
【0016】
移動体を利用することで、ロボットの移動範囲が広がる。しかも、移動体が例えば自動運転車であれば、該自動運転車が備える各種センサと、ロボットが備える各種センサとを連携して、運転中の走行情報や行動計画等を分担したり、補完することが可能となり、自動走行に必要な情報収集のための負荷を軽減したり、情報収集のための時間を短縮することができる。
【0017】
[3] 第2の本発明に係るサービス提供システムは、少なくともセンサ、認識部及び駆動装置を具備するロボットと、少なくともコンピュータを有し、少なくとも対象者からの指示に基づいて、前記ロボットを管理制御するロボット管理装置と、を有し、前記ロボット管理装置は、前記ロボット自身の行動予定がない時間帯を特定する空き時間特定部と、前記ロボット自身又は前記対象者にとって未経験であり、且つ、優先度が高い活動を特定する活動特定部と、前記活動を行う場所を特定する活動場所特定部と、を有し、前記ロボットは、前記ロボット管理装置からの指示に基づいて、前記特定された時間帯に、前記特定された場所に移動し、前記特定された活動を行い、前記活動により得られた情報を前記対象者に提供することを特徴とする。
【0018】
これにより、ロボット自身又は対象者にとって未経験であり、且つ、優先度が高い活動を特定すると、その活動を行う場所を特定する。そして、ロボット自身が、ロボット自身の行動予定がない時間帯に、特定された場所に移動して、特定された活動を行う。ロボットは、このロボット自身の活動により得られた情報を対象者に提供する。
【0019】
つまり、ロボットを活用した自発的な移動と学習によって、対象者が直接指示するのではなく、未経験の活動であって、且つ、優先度の高い活動の情報を、ロボットが空いた時間に自ら行動を起こして入手して、対象者に提示することができる。
【0020】
[4] 第2の本発明において、前記ロボット管理装置とネットワークを介して通信を行うサーバと、前記サーバに接続され、少なくとも前記ロボット管理装置にて収集したデータを格納するデータベースとを有してもよい。
【0021】
これにより、ロボット自身の活動により得られた情報をサーバを介してデータベースに蓄積することができるため、ロボット管理装置自体に蓄積する必要がなくなり、ロボット管理装置の記憶容量の低減化を図ることができる。
【0022】
[5] 第2の本発明において、前記サーバは、前記ロボット管理装置に備わる一部の機能を、前記ロボット管理装置に代わって具備してもよい。これにより、ロボット管理装置18での処理速度の高速化を図ることができる。
【0023】
[6] 第2の本発明に係るデータベースは、上記したいずれかのサービス提供システムに適用され、前記ロボットによって取得又は学習された情報を受信すると共に、所定条件下で、前記情報を他のロボットに提供することを特徴とする。
【0024】
これにより、ロボットによって取得又は学習された情報を、他のロボットに提供することで、複数のロボット間で情報を共有することができる。その結果、複数のロボットが同じ行動を行う必要がなくなり、また、離島や海外等、簡単に移動ができない場所での情報を容易に入手することができ、サービス提供システムの利便性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係るサービス提供システムによれば、ロボットを活用した自発的な移動と学習によって、人が直接指示するのではなく、未経験の活動であって、優先度の高い活動の情報を、ロボットが空いた時間に自ら行動を起こして入手して、人に提示することができる。
【0026】
また、本発明に係るデータベースによれば、上記ロボットによって取得又は学習された情報を、他のロボットに提供することで、複数のロボット間で情報を共有することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係るサービス提供システム及びデータベースの実施の形態例を
図1〜
図8Bを参照しながら説明する。
【0029】
本実施の形態に係るサービス提供システム10は、
図1に示すように、例えば1つ以上の家庭に設置される少なくとも1つのロボット12を有する。
【0030】
ロボット12は、例えば頭、胴体、2つの腕部、2つの脚部を有する人型ロボットであり、ロボット12自身で移動することができる自走式タイプのロボットである。ロボット12は、メモリ14(
図2参照)に記憶された行動スケジュールや行動計画に従って腕部及び脚部を動かして、移動並びに各種作業を行う。
【0031】
ロボット12は、日常において、対象者16の手伝いを行う。対象者16としては、例えばロボット12の所有者、所有者の家族等が挙げられる。手伝いとしては、例えば家の掃除、自動車の掃除、庭掃除、料理、子供の送り迎え等が挙げられる(例えば特許第5170565号公報、特開2015−026092号公報、特開2014−011951号公報、特開2004−363956号公報参照)。
【0032】
ロボット12は、図示しないが、各種認識部並びに各種センサを装備している。認識部としては、テキスト認識部、画像認識部、音声認識部、感情認識部を有し、センサとしては、対象者16の感情を認識する電磁波センサ、ロボット12の移動距離を測定する移動距離センサ、ロボット12の現在位置を検知するGPSセンサ、対象者16の疲れ度合いを認識する疲れ度合い認識部等がある。
【0033】
テキスト認識部は、周囲の文字を認識し、書かれた文書の内容を把握したり、対象者16が入力したテキストデータを認識する。感情認識部は、テキスト認識部にて認識された内容に基づいて、対象者16が書いた文書あるいは、入力したテキストデータから対象者16の感情を認識する(例えば特表2004−514220号公報参照)。
【0034】
画像認識部は、周囲の物体(道路、建物、自動車、家具、人間、動物等)を認識する。感情認識部は、画像認識部にて認識された対象者16の顔の表情から対象者16の感情を認識する。
【0035】
音声認識部は、周囲の音を認識する他、対象者16が発した言葉を認識する。感情認識部は、画像認識部にて認識された対象者16が発した音(言葉)から対象者16の感情を認識する。
【0036】
感情認識部は、電磁波センサにて検知されたデータに基づいて、対象者16の感情を認識する(http://newswitch.jp/p/6219「離れたところから人の本当の感情がわかってしまう装置」参照)。
【0037】
移動距離センサは、ロボット12の移動距離を測定する。疲れ度合い認識部は、ロボット12の移動距離から対象者16が移動した場合の運動量を検知し、検知した運動量をカロリー換算して、対象者16の疲れ度合いを認識する。
【0038】
図2に示すように、ロボット12は、内部にロボット管理装置18を有する。ロボット管理装置18は、ニーズ認識機能部20(活動特定部20a及び場所特定部20b)、スケジュール管理機能部22、行動計画機能部24、情報収集機能部26、情報出力機能部28とを有する。
【0039】
ロボット管理装置18は、1つ又は複数のCPU(中央処理ユニット)により構成され、図示しないメインメモリの他、各種機能部(上述したニーズ認識機能部20等)を備える。なお、各種機能部は、この実施の形態では、CPUがメインメモリに記憶されているプログラムを実行することにより、各種機能が実現されるソフトウエア機能部であるが、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の集積回路からなるハードウエア機能部により実現することもできる。
【0040】
また、ロボット管理装置18は、ネットワーク30を介してクラウド型データベース(以下、クラウド32と記す)に接続されている。クラウド32は、ネットワーク30及び該ネットワーク30に接続されたサーバ34を通じてロボット12とデータベース36とでデータのやり取りを行う。
【0041】
ニーズ認識機能部20は、対象者16から見た必要性という観点から、ロボット12自らを高めるのに何が必要かを認識する機能を実現する。
【0042】
例えば過去の失敗例、例えばロボット12自らの行動で対象者16の感情がマイナス方向に変化した場合等からロボット12自身で足りていない情報を特定する。
【0043】
過去における対象者16との対話、例えば頻度の高いキーワード、感情変化を伴うキーワードから、対象者16が欲している情報を特定する。対象者16の携帯端末やウェアラブルデバイス、移動体等から、対象者16の過去の行動情報(会話情報を含む)を入手し、対象者16が欲している情報を推定してもよい。
【0044】
特定した情報がメモリ14やクラウド32に存在するか否かを確認し、存在しない又は欠けている情報を、「自らを高める」のに必要な情報、すなわち、未経験の活動であって、優先度の高い活動の情報として認識する。活動特定部20a(活動特定手段)は、その情報を入手するのに必要な「活動」をメモリ14やクラウド32にアクセスして特定する。場所特定部20b(活動場所特定手段)は、その情報を入手するのに必要で、特定された「活動」と関連する「場所」をメモリ14やクラウド32にアクセスして特定する。メモリ14やクラウド32に存在しなければ、対象者16やクラウド管理者と対話して、「活動」と「場所」を特定する。そして、特定した「活動」と「場所」の情報をメモリ14に記憶する。
【0045】
「活動」と「場所」としては、例えば特定のゴルフ場に行ってゴルフをプレイしたり、足の不自由な人と特定の観光地に旅行するといった、対象者16の日常とは異なる行動を指す。
【0046】
スケジュール管理機能部22は、ロボット用時間帯管理部22a(空き時間特定手段)と、移動体用時間帯管理部22b(移動体空き時間特定手段)とを有する。移動体としては、例えば対象者16やロボット12が使用する自動運転車42(
図5参照)等が挙げられる。
【0047】
ロボット用時間帯管理部22aは、通常のルーチン行動(日常の対象者16の手伝い等)を実行するルーチン時間帯と、通常のルーチン行動ではない非ルーチン行動を実行する非ルーチン時間帯とを管理する。
【0048】
非ルーチン時間帯とは、ロボット12自体の空き時間のうち、上記ニーズ認識機能部20にて特定した「活動」及び「場所」に基づいて情報収集のために行動する時間帯をいう。この時間帯は、ロボット12が移動体を利用して情報取集する場合、移動体用時間帯管理部22bにて特定された移動体の空き時間とロボット12の空き時間とに基づいて特定される。
【0049】
ロボット12の空き時間は、少なくとも対象者16による指示(例:掃除等の家事)、対象者16のスケジュール(例:携帯端末に記録されたスケジュール)、ロボット12が学習した対象者16のライフスタイル(例:出社・帰宅時間、子供の送り迎え、余暇の過ごし方等)に基づいて特定する。ルーチン時間帯、非ルーチン時間帯、空き時間、移動体の空き時間はメモリ14に記憶される。
【0050】
移動体用時間帯管理部22bは、上記移動体の利用時間を管理する。例えば対象者16のスケジュール等に基づいて、対象者16が自動運転車42を利用する時間帯を特定する。この特定によって、移動体の空き時間、この場合、自動運転車42の空き時間も特定される。もちろん、移動体は複数あってもよい。
【0051】
行動計画機能部24は、ルーチン行動計画作成部24aと非ルーチン行動計画作成部24bとを有する。
【0052】
ルーチン行動計画作成部24aは、ロボット12がルーチン行動を実施するために必要な行動計画を作成する。例えば予め設定された日常の手伝いを実現するのに必要な腕部、脚部等の動作手順を作成する。ルーチン行動に関する動作手順もメモリ14に記憶される。
【0053】
非ルーチン行動計画作成部24bは、スケジュール管理機能部22で特定された非ルーチン時間帯で実施される日常とは異なる新たな行動、すなわち、上記ニーズ認識機能部20にて特定した「活動」及び「場所」に基づく情報収集のための行動(非ルーチン行動)を実施するために必要な行動計画を作成する。非ルーチン行動は、上述したように、ニーズ認識機能部20にて特定した「活動」と「場所」に基づく行動であり、日常とは異なる行動を指す。
【0054】
また、この非ルーチン行動計画作成部24bでは、例えば
図3に示すように、ロボット12自身が歩行あるいは走行して、特定された「場所」に行く場合の行動計画や、
図4に示すように、ロボット12自身が公共車40(バス、電車等)に乗車して、特定された「場所」に行く場合の行動計画、並びに
図5に示すように、ロボット12自身が自動運転車42に乗車して、特定された「場所」に行く場合の行動計画も作成する。作成された非ルーチン行動に関する動作手順もメモリ14に記憶される。
【0055】
なお、作成された行動計画に基づくロボット12の行動の指示及び補正等は、
図3及び
図4に示すように、ロボット12の現在位置等に基づいて、ロボット管理装置18にて行われる。もちろん、ロボット12の行動の指示及び補正等は、ロボット12からの現在位置等の情報に基づいて、クラウド32からネットワーク30を介してロボット12に伝達してもよい。
図5に示すように、自動運転車42を用いた場合は、自動運転車42に対しても、ロボット管理装置18から指示や補正等が伝達される。
【0056】
ここで、非ルーチン行動計画の作成にあたり、非ルーチン行動を実行するためのロボット12の作業時間が、非ルーチン時間帯に収まらない場合は、非ルーチン行動を複数回に分け、優先度の高いものから順に実行するようにする(今回実行できなかった分は次回に回す)。または、優先度の低いルーチン行動の時間帯を変更し、非ルーチン時間帯を拡大して、非ルーチン行動の実行が完了するようにしてもよい。こうした場合、ロボット12がなすべき行動の優先度を確認するため、非ルーチン行動の実行前に、ロボット12自身が立てた計画の是非を対象者16に確認するようにしてもよい。
【0057】
情報収集機能部26は、ロボット12に装備された人間の五感に対応する各種センサにより、対象者16がいる場所と上述の特定した「場所」とを対象者16が往復する場合の交通状況を入手したり、対象者16が往復する場合を想定したときの対象者16の疲れ度合い等を算出する。
【0058】
特に、ロボット12が自動運転車42に乗車して行動する場合は、ロボット12の各種センサを自動運転車42が備える各種センサと連携することで、情報収集を分担したり、又は補完してもよい。また、ロボット12の情報収集等の活動に必要なエネルギー(例えば電力)を、自動運転車42からロボット12へ補給するようにしてもよい。
【0059】
収集する情報は、一般的な情報の他、対象者16に特化した情報、例えば対象者16の体格や趣味等に適合した情報等が挙げられる。収集した情報は、メモリ14に記憶される。
【0060】
また、特定された「場所」で、特定された「活動」を実施した場合に、その手順や、例えばゴルフプレイであれば、グリーンまでの距離感やバンカーまでの距離感、注意すべき行動(ボールがバンカーに落ちた場合の対処方法やゴルフプレイにおけるマナー違反の行動等)の情報を収集する。また、9ホール又は18ホール進んだときの疲れ度合い等も算出する。
【0061】
足の不自由な人との旅行であれば、観光地に行くまでの経路や観光地でのバリアフリーのポイントや、階段等のように歩きにくいポイントの位置の情報、定期バスや臨時バスの発着の情報等を収集する。また、観光地での徒歩等による対象者16の疲れ度合い等も算出する。
【0062】
情報出力機能部28は、情報収集機能部26によって収集した情報を、対象者16に映像と音声等で提供する。もちろん、映像及び音声に加えて、ロボット12が身振り手振りを交えて情報を伝えてもよい。
【0063】
この情報の提供においては、複数の情報がある場合、事前に情報に優先順位をつけ、優先順位の高い順に情報を提供してもよい。優先順位は、例えば対象者16の嗜好との類似度で判断してもよい。対象者16から質問があった場合は、質問の回答に合致する情報を提供すると共に、情報の優先順位を質問の類似度に基づいて並べ直してもよい。
【0064】
メモリ14に記憶された各種情報は、ネットワーク30を介してクラウド32に送信され、クラウド32に記憶される。すなわち、ロボット12が取得/学習したデータ(学習済みAIを含む)をクラウド32にアップロードすることができる。この場合、アップロードの条件に、対象者16(例えばロボット12の所有者)に対してインセンティブ(金銭を含む)が付与されることを条件としてもよい。
【0065】
クラウド32に、複数のロボット12がそれぞれロボット管理装置18を介して接続されていれば、他のロボット12が取得/学習したデータをダウンロードすることも可能となる。この場合、ダウンロードの条件に、対象者16(例えばロボット12の所有者)がクラウド管理者に対価を支払うことを条件としてもよい。インセンティブや対価は、やり取りされる情報の価値(入手困難性や新規性等)に応じて変化させてもよい。
【0066】
このように条件付けすることで、クラウド管理者は、上記収入(対価)と支出(インセンティブ)の差分を運営費として利用することができ、ロボット12(及び自動運転車42)を利用した1つのクラウドビジネスを構築することができる。
【0067】
上述の例では、ロボット12に具備されるロボット管理装置18に、ニーズ認識機能部20、スケジュール管理機能部22、行動計画機能部24、情報収集機能部26及び情報出力機能部28を具備させた例を示した。しかし、これに限定することなく、上記機能の一部又は全部をクラウド32のサーバ34に持たせてもよい。例えば
図6に示す変形例に係るサービス提供システム10aに示すように、ニーズ認識機能部20及びスケジュール管理機能部22をクラウド32のサーバ34に持たせてもよい。もちろん、ニーズ認識機能部20及びスケジュール管理機能部22のいずれか一方をサーバ34に持たせてもよい。これにより、ロボット管理装置18での処理速度の高速化や、メモリ14の記憶容量の低減化を等を図ることが可能となる。
【0068】
次に、本実施の形態に係るサービス提供システム10の処理動作について
図7のフローチャートを参照しながら説明する。
【0069】
先ず、
図7のステップS1において、ニーズ認識機能部20は、過去における対象者16とロボット12との対話を通じて取得した例えば頻度の高いキーワードや、感情変化を伴うキーワードから、対象者16が欲している情報を特定する。
【0070】
ステップS2において、ニーズ認識機能部20は、ステップS1で特定した情報がメモリ14やクラウド32に存在するか否かを確認し、存在しない又は欠けている情報を、「自らを高める」のに必要な情報、すなわち、未経験の活動であって、優先度の高い活動の情報として認識する。
【0071】
ステップS3において、活動特定部20aは、認識した「自らを高める」のに必要な情報を入手するのに必要な「活動」をメモリ14やクラウド32にアクセスして特定し、場所特定部20bは、その情報を入手するのに必要で、特定された「活動」と関連する「場所」をメモリ14やクラウド32にアクセスして特定する。なお、メモリ14やクラウド32に存在しなければ、例えば対象者16やクラウド管理者と対話して、「活動」と「場所」を特定する。
【0072】
ステップS4において、スケジュール管理機能部22は、ロボット12自体の空き時間のうち、ニーズ認識機能部20にて特定した「活動」及び「場所」に基づいて情報収集のために行動する非ルーチン時間帯を特定する。
【0073】
ステップS5において、非ルーチン行動計画作成部24bは、非ルーチン時間帯で実施される非ルーチン行動(上記ニーズ認識機能部20にて特定した「活動」及び「場所」に基づく情報収集のための行動)を実施するために必要な行動計画を作成する。
【0074】
ステップS6において、情報収集機能部26は、作成された行動計画に従って、特定した「活動」及び「場所」に基づく情報収集のための行動を実施する。
【0075】
ステップS7において、情報出力機能部28は、情報収集機能部26によって収集した情報を、対象者16に例えば映像と音声等で提供する。
【0076】
このように、本実施の形態に係るサービス提供システム10は、少なくとも対象者16の指示に基づいて行動するロボット12と、ロボット12自身の行動予定がない時間帯を特定するロボット用時間帯管理部22aと、ロボット12自身又は対象者16にとって未経験であり、且つ、優先度が高い活動を特定する活動特定部20aと、活動を行う場所を特定する場所特定部20bと、を備え、特定された時間帯に、特定された場所に移動し、特定された活動を行い、活動により得られた情報を対象者16に提供する。
【0077】
これにより、ロボット12自身又は対象者16にとって未経験であり、且つ、優先度が高い活動を特定すると、その活動を行う場所を特定する。そして、ロボット12自身が、ロボット12自身の行動予定がない時間帯に、特定された場所に移動して、特定された活動を行う。ロボット12は、このロボット12自身の活動により得られた情報を対象者16に提供する。
【0078】
ロボット12を活用した自発的な移動と学習によって、対象者16が直接指示するのではなく、未経験の活動であって、且つ、優先度の高い活動の情報を、ロボット12が空いた時間に自ら行動を起こして入手して、対象者16に提示することができる。
【0079】
つまり、ロボット12を活用した自発的な移動と学習によって、対象者16が普段から思案している事柄や、欲している情報を、ロボット12が自ら行動を起こして入手し、対象者16に提示することができるサービスを構築することができる。
【0080】
また、本実施の形態において、対象者16が移動に用いる移動体(例えば自動運転車42)の空き時間を特定する移動体用時間帯管理部22bをさらに備え、ロボット12は、特定された時間帯で、且つ、移動体の空き時間に、移動体を用いて特定された場所に移動する。
【0081】
移動体を利用することで、ロボット12の移動範囲が広がる。しかも、移動体が例えば自動運転車42であれば、該自動運転車42が備える各種センサと、ロボット12が備える各種センサとを連携して、運転中の走行情報や行動計画等を分担したり、補完することが可能となる。これにより、自動走行に必要な情報収集のための負荷を軽減したり、情報収集のための時間を短縮することができる。
【0082】
また、本実施の形態において、少なくともセンサ、認識部及び駆動装置を具備するロボット12と、少なくともコンピュータを有し、少なくとも対象者16からの指示に基づいて、ロボット12を管理制御するロボット管理装置18と、を有し、ロボット管理装置18は、行動予定がない時間帯を特定するロボット用時間帯管理部22aと、ロボット12自身又は対象者16にとって未経験であり、且つ、優先度が高い活動を特定する活動特定部20aと、活動を行う場所を特定する場所特定部20bと、を有し、ロボット12は、ロボット管理装置18からの指示に基づいて、特定された時間帯に、特定された場所に移動し、特定された活動を行い、活動により得られた情報を対象者16に提供する。
【0083】
つまり、ロボット12を活用した自発的な移動と学習によって、対象者16が直接指示するのではなく、未経験の活動であって、且つ、優先度の高い活動の情報を、ロボット12が空いた時間に自ら行動を起こして入手して、対象者16に提示することができる。
【0084】
また、本実施の形態において、ロボット管理装置18とネットワーク30を介して通信を行うサーバ34と、サーバ34に接続され、少なくともロボット管理装置18にて収集したデータを格納するデータベース36とを有する。
【0085】
これにより、ロボット12自身の活動により得られた情報をサーバ34を介してデータベース36に蓄積することができるため、ロボット管理装置18自体に蓄積する必要がなくなり、ロボット管理装置18の記憶容量の低減化を図ることができる。
【0086】
また、本実施の形態において、サーバ34は、ロボット管理装置18に備わる一部の機能を、ロボット管理装置18に代わって具備する。これにより、ロボット管理装置18での処理速度の高速化を図ることができる。
【0087】
また、本実施の形態に係るクラウド32は、サービス提供システム10aに適用されるデータベースであって、ロボット12によって取得又は学習された情報を受信すると共に、所定条件下で、情報を他のロボットに提供する。
【0088】
これにより、ロボット12によって取得又は学習された情報を、他のロボット12に提供することで、複数のロボット12間で情報を共有することができる。その結果、複数のロボットが同じ行動を行う必要がなくなり、また、離島や海外等、簡単に移動ができない場所での情報を容易に入手することができ、サービス提供システム10aの利便性を向上させることができる。
【0089】
なお、この発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0090】
例えば外国の情報を同国で活動するロボットを利用して情報収集し、例えば日本の対象者16が所有するロボット12のロボット管理装置18に反映するようにしてもよい。例えば外国に渡って情報収集するための行動計画等を反映してもよい。また、ロボット12を著名人と対話させて、該ロボット12を成長させ、成長したロボット12のデータや学習済みAI等を有料で他のロボットに提供してもよい。この場合、例えば
図8Aに示すように、成長したロボット12が近くのロボット12Aにデータや学習済みAI等を直接提供してもよいし、
図8Bに示すように、成長したロボット12が、ネットワーク30を介して、1台のロボット12Aあるいは複数のロボット12A、12B等にデータや学習済みAI等を提供してもよい。
【0091】
また、上述の例では、ロボット12内にロボット管理装置18を具備させた例を示したが、その他、ロボット管理装置18をロボット12の外部に設置し、ロボット12とロボット管理装置18とをネットワーク30を介して通信するようにしてもよい。