【解決手段】画像記録装置では、記録媒体に画像が記録される際に、記録媒体がヘッド部に対して1回だけ通過する(ステップS26)。画像を記録する前に、混色ムラを低減するために、画像に含まれる少なくとも一部の画素の色成分の値が補正される。このとき、補正の対象となる画素の複数の色成分のうち2つの参照色成分の値に基づいて当該2つの参照色成分に含まれる1つの対象色成分の値が補正される。または、複数の色成分のうち3つの参照色成分の値に基づいて当該3つの参照色成分に含まれる1つもしくは2つの対象色成分の値が補正される(ステップS22,S23)。補正される色成分を1つまたは2つに限定することにより、補正に必要な情報を容易に取得することができ、補正も容易に行うことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1のように様々な混色について補正値を求める場合、補正値を求めるためのチャートを記録媒体に記録する際に、色成分の多数の組み合わせのチャートが必要になる。その結果、紙やフィルム等の記録媒体やインクを多量に消費し、環境負荷が増大するとともに、補正値を求める作業も時間を要する。さらに、記録媒体の種類を変更すると液滴の記録媒体への到達後の振る舞いが変化するため、記録媒体の種類毎に補正値を求める必要がある。
【0007】
加えて、特許文献1では、RGB空間上で補正値を求めてからRGB値をCMYK値へと変換しているため、3次元空間から4次元空間への変換の際に誤差による精度の低下が避けられない。4次元空間にて直接的に補正値を求める場合、特許文献1の手法では膨大な数のチャートが必要となる。特許文献1の手法では、3つの色成分で各色5段階の濃度で補正値を求める場合、チャート数は44となる。4つの色成分で各色5段階の濃度で補正値を求める場合、チャート数は112となる。
【0008】
補正の精度を向上するために、例えば、3つの色成分で各色10段階の濃度で補正値を求める場合、チャート数は104となり、4つの色成分で各色10段階の濃度で補正値を求める場合、チャート数は272となる。一般的には、m、nを2以上の整数として、m段階n色成分の場合、チャート数は、m×2
(n−1)+((m−2)×2
(n−1))×(n−1)となる。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、補正に必要な情報を容易に取得することを目的としている。また、画像記録において複数の色成分が重なる際に生じるムラを容易に補正することも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、記録媒体に画像を記録する画像記録装置であって、記録媒体に向けてインクの液滴を吐出するヘッド部と、前記ヘッド部に対して前記記録媒体を移動方向に相対的に移動する移動機構と、前記記録媒体の相対移動に同期して、前記ヘッド部からのインクの吐出を制御する出力制御部と、前記画像に含まれる少なくとも一部の画素の色成分の値を補正する補正部とを備え、前記ヘッド部が、互いに異なる色成分のインクの液滴を吐出する複数のインク吐出部を含み、前記複数のインク吐出部は前記移動方向に配列され、各インク吐出部が、前記移動方向に垂直な幅方向に関して、前記記録媒体上の記録範囲に亘って配置された複数の吐出口を含み、前記記録媒体に画像が記録される際に、前記記録媒体が前記ヘッド部に対して1回だけ通過し、前記補正部が、補正の対象となる画素の複数の色成分のうち2つの参照色成分の値に基づいて当該2つの参照色成分に含まれる1つの対象色成分の値を補正する、または、前記複数の色成分のうち3つの参照色成分の値に基づいて当該3つの参照色成分に含まれる1つもしくは2つの対象色成分の値を補正する。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像記録装置であって、前記補正部が、前記補正の対象となる画素の前記複数の色成分の値に基づいて、前記2つの参照色成分、または、前記3つの参照色成分を決定する。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像記録装置であって、前記補正部が、前記補正の対象となる画素の前記複数の色成分の値のうち、予め定められた値を超える色成分を取得し、当該色成分に基づいて前記2つの参照色成分または前記3つの参照色成分を決定する。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の画像記録装置であって、前記補正部が、前記補正の対象となる画素の前記複数の色成分の値から前記2つの参照色成分を決定し、前記2つの参照色成分がシアンおよびマゼンタであり、前記対象色成分がシアンである。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項2または3に記載の画像記録装置であって、前記2つの参照色成分または前記3つの参照色成分がブラックを含み、ブラックが対象色成分である。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項2または3に記載の画像記録装置であって、前記2つの参照色成分または前記3つの参照色成分のうち、最も先に前記記録媒体に向けて液滴が吐出される色成分が、前記対象色成分である。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の画像記録装置であって、前記複数の色成分の数が4以上である。
【0017】
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の画像記録装置であって、前記出力制御部の制御により、複数の参照色成分の値の複数通りの組み合わせのそれぞれに関して、幅方向の予め定められた範囲において少なくとも1つの対象色成分の値を複数通りに微小に変化させた複数の記録領域を含むチャートを記録媒体に記録する。
【0018】
請求項9に記載の発明は、請求項1ないし8のいずれか1つに記載の画像記録装置であって、前記各インク吐出部が、前記幅方向に配列された複数の吐出ユニットを含み、前記幅方向に隣接する吐出ユニットの吐出口列の端部が、前記移動方向において重なり、前記吐出口列が重なる前記幅方向の範囲の両端に対応する画素が、前記補正部による補正の対象に含まれる。
【0019】
請求項10に記載の発明は、記録媒体に画像を記録する画像記録方法であって、a)画像に含まれる少なくとも一部の画素の色成分の値を補正する工程と、b)前記画像に基づいて記録媒体に向けてインクの液滴をヘッド部から吐出しつつ、前記ヘッド部に対して前記記録媒体を移動方向に相対的に移動することにより、前記記録媒体に前記画像を記録する工程とを備え、前記ヘッド部が、互いに異なる色成分のインクの液滴を吐出する複数のインク吐出部を含み、前記複数のインク吐出部は前記移動方向に配列され、各インク吐出部が、前記移動方向に垂直な幅方向に関して、前記記録媒体上の記録範囲に亘って配置された複数の吐出口を含み、前記記録媒体に画像が記録される際に、前記記録媒体が前記ヘッド部に対して1回だけ通過し、前記a)工程において、補正の対象となる画素の複数の色成分のうち2つの参照色成分の値に基づいて当該2つの参照色成分に含まれる1つの対象色成分の値が補正される、または、前記複数の色成分のうち3つの参照色成分の値に基づいて当該3つの参照色成分に含まれる1つもしくは2つの対象色成分の値が補正される。
【0020】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の画像記録方法であって、前記a)工程よりも前に、c)複数の参照色成分の値の複数通りの組み合わせのそれぞれに関して、幅方向の予め定められた範囲において少なくとも1つの対象色成分の値を複数通りに微小に変化させた複数の記録領域を含むチャートを、前記ヘッド部を用いて記録媒体に記録する工程と、d)前記チャートを参照して、前記複数の参照色成分の値と、前記少なくとも1つの対象色成分の補正値との関係を決定する工程とをさらに備える。
【0021】
請求項12に記載の発明は、a)画像に含まれる少なくとも一部の画素の色成分の値を補正する工程と、b)前記画像に基づいて記録媒体に向けてインクの液滴をヘッド部から吐出しつつ、前記ヘッド部に対して前記記録媒体を移動方向に相対的に移動することにより、前記記録媒体に前記画像を記録する工程とを備え、前記ヘッド部が、互いに異なる色成分のインクの液滴を吐出する複数のインク吐出部を含み、前記複数のインク吐出部は前記移動方向に配列され、各インク吐出部が、前記移動方向に垂直な幅方向に関して、前記記録媒体上の記録範囲に亘って配置された複数の吐出口を含み、前記記録媒体に画像が記録される際に、前記記録媒体が前記ヘッド部に対して1回だけ通過し、前記a)工程において、補正の対象となる画素の複数の色成分のうち2つの参照色成分の値に基づいて当該2つの参照色成分に含まれる1つの対象色成分の値が補正される、または、前記複数の色成分のうち3つの参照色成分の値に基づいて当該3つの参照色成分に含まれる1つもしくは2つの対象色成分の値が補正される、画像記録方法において、前記a)工程にて参照される補正情報を取得する補正情報取得方法であって、c)複数の参照色成分の値の複数通りの組み合わせのそれぞれに関して、幅方向の予め定められた範囲において少なくとも1つの対象色成分の値を複数通りに微小に変化させた複数の記録領域を含むチャートを、前記ヘッド部を用いて記録媒体に記録する工程と、d)前記チャートを参照して、前記複数の参照色成分の値と、前記少なくとも1つの対象色成分の補正値との関係を示す補正情報を決定する工程とを備える。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る画像記録装置および画像記録方法では、複数の色成分が重なる際に生じるムラを容易に補正することができる。本発明に係る補正情報取得方法では、補正に必要な情報を容易に取得することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る画像記録装置1の構成を示す斜視図である。画像記録装置1は、長尺シート状の記録媒体9上にインクの微小な液滴を吐出することにより、記録媒体9上にカラー画像を記録する印刷装置(いわゆる、インクジェットプリンタ)である。記録媒体9は、例えば、印刷用紙である。
【0025】
図1では、互いに垂直な2つの水平方向をX方向およびY方向として示し、X方向およびY方向に垂直な上下方向をZ方向として示している。
図1中のX方向およびY方向は必ずしも水平方向である必要はなく、同様に、Z方向も必ずしも上下方向である必要はない。すなわち、
図1中の上側および下側は、必ずしも、重力方向の上側および下側に一致する必要はない。
【0026】
図1に示すように、画像記録装置1は、移動機構2と、ヘッド部3と、制御ユニット4と、撮像部6とを備える。移動機構2は、記録媒体9を、予め定められた移動方向に移動する。
図1に示す例では、記録媒体9の移動方向はY方向であり、(−Y)側から(+Y)側へと移動する。記録媒体9は、移動方向であるY方向に長い長尺状である。ヘッド部3および撮像部6は、移動機構2を跨ぐフレーム25に固定される。ヘッド部3および撮像部6は、移動機構2の上方(すなわち、(+Z)側)に位置する。フレーム25は、基台20に取り付けられる。ヘッド部3は、移動機構2による搬送途上の記録媒体9に向けてインクの液滴を吐出する。撮像部6は、ヘッド部3の(+Y)側に配置され、ヘッド部3により記録媒体9に記録された画像が撮像される。制御ユニット4は、移動機構2、ヘッド部3および撮像部6を制御する。
【0027】
移動機構2では、それぞれが
図1中のX方向に長い複数のローラ21がY方向に配列される。X方向は、記録媒体9の幅方向である。複数のローラ21の(−Y)側にはロール状の記録媒体9(供給ロール)を保持する供給部22が設けられ、複数のローラ21の(+Y)側にはロール状の記録媒体9(巻取ロール)を保持する巻取部23が設けられる。記録媒体9は供給部22および巻取部23のそれぞれにてロール状とされる。以下の説明では、単に記録媒体9という場合は搬送途上の記録媒体9(すなわち、複数のローラ21上の記録媒体9)を意味するものとする。
【0028】
移動機構2の一のローラ21aには記録媒体9の移動方向の移動速度を検出するエンコーダ29が設けられる。制御ユニット4がエンコーダ29の出力に基づいて巻取部23のモータの回転を制御することにより、記録媒体9が(+Y)方向に一定速度にて搬送される。記録媒体9は、移動機構2により、移動方向の両側から張力が加えられた状態で移動方向に移動される。具体的には、例えば、供給部22が有するモータにより、記録媒体9に対して移動方向前側とは逆向き(すなわち、(−Y)方向)の負荷(テンション)が付与される。これにより、複数のローラ21上の記録媒体9が波打つことなく滑らかに移動する。
【0029】
図2は、ヘッド部3を示す底面図である。ヘッド部3は、同様の構造を有する複数のインク吐出部31を備える。複数のインク吐出部31はそれぞれ、互いに異なる色成分のインクの液滴を記録媒体9に向けて吐出する。複数のインク吐出部31は、Y方向(すなわち、移動方向)に配列されてヘッド部3の取付部30に取り付けられる。
図2に示す例では、4つのインク吐出部31がヘッド部3に設けられる。各インク吐出部31は、移動方向に垂直な幅方向に関して、記録媒体9上の記録範囲に亘って配置された複数の吐出口321を含む。
図2では、後述の吐出ユニット32のうち右上の1つの吐出ユニット32のみに吐出口321を例示しているが、実際には各吐出ユニット32に多数の吐出口321が密に設けられる。
【0030】
図2中の最も(−Y)側のインク吐出部31は、シアン(C)の色成分のインクを吐出する。シアンのインク吐出部31の(+Y)側のインク吐出部31は、マゼンタ(M)の色成分のインクを吐出する。マゼンタのインク吐出部31の(+Y)側のインク吐出部31は、イエロー(Y)の色成分のインクを吐出する。最も(+Y)側のインク吐出部31は、ブラック(K)の色成分のインクを吐出する。
図2では、インク吐出部31の右側に、「C」「M」「Y」「K」を付している。
【0031】
各インク吐出部31は、複数の吐出ユニット32を備える。複数の吐出ユニット32は、上記移動方向と交差する所定の方向に沿って千鳥状に配列される。
図2に示す例では、各インク吐出部31において、4つの吐出ユニット32が、記録媒体9の移動方向に垂直な幅方向(すなわち、X方向)に沿って配列される。各吐出ユニット32には、幅方向に沿って配列される複数の吐出口321が設けられる。なお、複数の吐出口321は、必ずしも幅方向に沿って配列される必要はなく、移動方向に対して交差する方向に沿って配列されていればよい。
【0032】
図1に示す画像記録装置1では、X方向に関し、各インク吐出部31が記録媒体9上の記録領域の全体に亘って(例えば、記録媒体9のX方向の全体に亘って)設けられる。また、各インク吐出部31の複数の吐出口321も、X方向において当該記録領域の全幅に亘って設けられる。
【0033】
例えば、各インク吐出部31の各吐出口321から吐出されるインクの液滴のサイズは切り替え可能である。すなわち、各インク吐出部31では、各吐出口321から異なる量のインクの液滴が吐出可能である。インクの液滴のサイズが切り替えられ、当該液滴が記録媒体9上に着弾することにより、記録媒体9上に形成されるドットのサイズも切り替えられる。すなわち、画像記録装置1では、ヘッド部3により、サイズが切り替え可能なドットが記録媒体9上に記録される。
【0034】
画像記録装置1では、制御ユニット4の出力制御部41(
図4参照)によりヘッド部3と移動機構2とが制御され、記録媒体9の相対移動に同期して、ヘッド部3からのインクの吐出が制御される。記録媒体9が、ヘッド部3の複数のインク吐出部31に対向する位置を(+Y)方向に1回のみ通過することにより、記録媒体9上にシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのインクが順に吐出されて記録媒体9への画像の記録が完了する。
【0035】
図3は、制御ユニット4の構成を示す図である。制御ユニット4は、各種演算処理を行うCPU401と、基本プログラムを記憶するROM402と、各種情報を記憶するRAM403とを含む一般的なコンピュータシステムの構成となっている。制御ユニット4は、情報記憶を行う固定ディスク404と、画像等の各種情報の表示を行うディスプレイ405と、操作者からの入力を受け付けるキーボード406aおよびマウス406b(以下、入力に関するデバイスを「入力部406」と総称する。)と、光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク等のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体48から情報の読み取りおよび書き込みを行う読取/書込装置407と、画像記録装置1の他の構成等との間で信号を送受信する通信部408とをさらに含む。
【0036】
制御ユニット4では、事前に読取/書込装置407を介して記憶媒体48からプログラム480が読み出されて固定ディスク404に記憶されている。CPU401は、プログラム480に従ってRAM403や固定ディスク404を利用しつつ演算処理を実行する。制御ユニット4の機能は専用の電気的回路により実現されてもよく、部分的に専用の電気的回路が用いられてもよい。
【0037】
図4は、制御ユニット4の機能を示すブロック図である。
図4では、制御ユニット4に接続される画像記録装置1の構成の一部を併せて示す。制御ユニット4は、出力制御部41と、記憶部42と、変換部43と、補正部44とを備える。変換部43は必要な場合のみ設けられる。
【0038】
記憶部42には、記録対象となる画像のデータ811(以下、「画像データ」という。)と、後述の補正用のチャートのデータ812(以下、「チャートデータ」という。)とを記憶する。変換部43は、画像データ811がRGB形式の場合にCMYK形式に変換する。画像データ811がCMYK形式の場合は、変換部43は省略される。チャートデータ812は原則としてCMYK形式である。補正部44は、CMYK形式の画像データ811を補正する。以下の説明における画像(チャートを含む。)に対する処理は、正確には、画像のデータに対する処理である。補正部44は、画像に含まれる少なくとも一部の画素の色成分の値を補正する。出力制御部41は、補正後の画像データ811に基づいて移動機構2およびヘッド部3を制御し、記録媒体9に画像を記録する。出力制御部41にチャートデータ812が入力されると、記録媒体9にチャートが記録される。
【0039】
補正部44には、補正情報441と、マッピング情報442とが記憶されて準備されている。画像記録装置1の補正の特徴として、画像記録装置1では、補正の対象となる画素の複数の色成分のうち2つの参照色成分の値に基づいて当該2つの参照色成分に含まれる1つの対象色成分の値が補正される、または、複数の色成分のうち3つの参照色成分の値に基づいて当該3つの参照色成分に含まれる1つもしくは2つの対象色成分の値が補正される。本実施の形態では、複数の色成分の数はCMYKの4であり、この4つの色成分の値に基づいて各画素の2つの参照色成分および1つの対象色成分がマッピング情報442を参照して決定される。そして、補正部44は、補正情報441を参照して、2つの参照色成分の値に対応して予め定められた対象色成分の補正値を取得する。
【0040】
以下の説明において、色成分の値として0〜100%の濃度値を用いるが、濃度値は演算上の画素値、例えば、0〜255の階調値であってもよい。すなわち、0〜100%の範囲の濃度値は、説明の便宜上採用しているにすぎず、他の同等の値が利用されてよい。
【0041】
図5は、補正情報441の取得の流れを示す図である。まず、チャートデータ812が補正部44を介することなく出力制御部41に入力され、チャートが記録媒体9に記録される(ステップS11)。ただし、事前に各色成分単色での濃度ムラの補正(いわゆる、シェーディング)が行われているものとし、仮に、1つの色成分の各濃度で一様な画像を記録した場合には濃度ムラはほぼないものとする。
【0042】
図6はチャートの一例を示す図である。チャート82は、シアンとマゼンタが参照色成分であり、対象色成分がシアンである場合を例示している。シアンとマゼンタが参照色成分である場合に対象色成分がシアンであることは、マッピング情報442等において予め定められている。チャート82は、複数の記録領域821を含む。各記録領域821は、移動方向に垂直な幅方向に伸びるバー状である。各記録領域821は、幅方向に関して、記録媒体9上の記録範囲全体に亘る。複数の記録領域821は、移動方向に配列される。
【0043】
図6の例では、上から6本の記録領域821は、シアン濃度100%、マゼンタ濃度100%(以下、「C100M100」と表現する。)に対応する。
図6では、対応する6つの記録領域821の横に「C100M100」を付記している。一番上の記録領域821から順に、記録領域821内の幅方向の予め定められた範囲内において、シアンの値が0%、−2%、−4%、−6%、−8%、−10%だけ補正される。すなわち、一番上の記録領域821から順に、記録領域821内の予め定められた一部の領域だけ、C100M100、C98M100、C96M100、C94M100、C92M100、C90M100となる。以下、これらの記録領域821のグループを「記録領域群820」と呼ぶ。
【0044】
次の記録領域群820、すなわち、上から7から12番目の記録領域821は、C90M90に対応する。上から7番目の記録領域821から順に、記録領域821内の予め定められた一部の領域だけ、C90M90、C88M90、C86M90、C84M90、C82M90、C80M90となる。次の記録領域群820は、C80M80に対応する。上から13番目の記録領域821から順に、記録領域821内の予め定められた一部の領域だけ、C80M80、C78M80、C76M80、C74M80、C72M80、C70M80となる。以下の説明では、補正なしの場合の参照色成分の値の組合せを「参照値組合せ」と呼ぶ。
【0045】
図7は、好ましい参照値組合せを示す図である。C100、C90、C80、C70およびM100、M90、M80、M70は、各格子点でのシアンの値およびマゼンタの値をそれぞれ示す。色成分の濃度が高いほど異なる色成分との重なりにより生じる混色ムラが明りょうとなるため、参照値組合せでは、色成分の大きな値(すなわち、高い濃度値)の組合せが採用される。また、特定の範囲に偏らないように参照値組合せが設定される。
図7では、○(白丸)にて示す、C100M100、C90M90、C80M80、C70M70、C100M90、C100M70、C90M100、C70M100が8組の参照値組合せとして採用される。
【0046】
図8は、参照値組合せC100M100での記録領域群820の例を拡大して示す図である。
図2に示すように、幅方向に隣接する吐出ユニット32の吐出口列の端部は、移動方向において重なる。
図2では、吐出ユニット32の吐出口列の重なる部分の幅方向の範囲に符号320を付している。以下、範囲320を「重複範囲」と呼ぶ。
【0047】
図2の例では、シアンの重複範囲320と、ブラックの重複範囲320とが幅方向において一致し、マゼンタの重複範囲320と、イエローの重複範囲320とが幅方向において一致するように、インク吐出部31が幅方向にずれて配置される。インク吐出部31を幅方向にずらして配置するのではなく、吐出ユニット32の吐出口321の使用範囲をずらすことにより、重複範囲320が幅方向にずらされてもよい。もちろん、全てのインク吐出部31において重複範囲320が幅方向において一致してもよい。
【0048】
混色ムラは吐出ユニット32の重複範囲320の幅方向両端で生じやすく、
図8では、記録領域821内の重複範囲320の両端近傍に対応する領域に符号822を付している。以下、この領域を「重複端領域」と呼ぶ。重複範囲320では、一方の吐出ユニット32の吐出口321の一部と他方の吐出ユニット32の吐出口321の一部とが補い合うように利用される。重複範囲320では、一方の吐出ユニット32側に向かうほど当該一方の吐出ユニット32の吐出口321の利用割合が高く、他方の吐出ユニット32側に向かうほど当該他方の吐出ユニット32の吐出口321の利用割合が高い。
【0049】
図8の1対の重複端領域822の間の領域は、インク吐出部31の重複範囲320に対応する。
図8の例では、上の記録領域821から順に、重複端領域822において、C100M100、C98M100、C96M100、C94M100、C92M100、C90M100となっている。他の領域はC100M100である。より詳細には、重複範囲320の両端に対応する位置で、C100M100、C98M100、C96M100、C94M100、C92M100、C90M100であるが、当該両端に対応する位置から両側に離れるに従ってC100M100からの補正量は漸減する。すなわち、1つの重複端領域822の注目した場合、重複端領域822内の中央では上述の補正量になるが、中央から両側に向かうに従って補正量は減少する。
【0050】
図8の例では、作業者により、C94M100において2つの重複端領域822の混色ムラが最も小さくなっていることが特定される。これにより、補正値が特定される(ステップS12)。なお、左右の重複端領域822で混色ムラが最も小さくなる記録領域821が異なる場合もある。作業者は、
図4に示す入力部406を介して、C100M100の参照値組合せに対する補正値として(−6)%を補正部44に入力する(ステップS13)。実際には、各重複端領域822に対して補正値が入力される。混色ムラの程度は、目視でもよく、撮像部6が利用されてもよい。撮像部6が利用される場合、例えば、撮像部6にてチャートを読み取り、重複端領域822以外の輝度値の平均と重複端領域822の幅方向の各位置の輝度値との差の総和が最も小さい記録領域821が最もムラが少ない領域として特定される。
【0051】
全ての参照値組合せに対して上記作業を行うことにより、各重複端領域822に関して、参照色成分がシアンおよびマゼンタの場合の対象色成分であるシアンの補正値が決定される。さらに、上記作業を他の参照色成分の組合せに対しても行うことにより、補正部44に補正情報441が準備される。参照色成分の他の組合せにおいても、参照色成分の数は2である。
【0052】
図9は、画像記録装置1が記録媒体9に画像を記録する際の動作の流れを示す図である。予め各色成分単色での濃度ムラの補正(シェーディング)は完了しているものとする。まず、記録対象となる画像の1つの画素の位置および各色成分の値が補正部44に入力され、当該画素が補正の対象であるか否かが確認される(ステップS21)。画素が補正の対象でない場合は、次の画素の処理へと移行する(ステップS24)。
【0053】
本実施の形態の場合、重複端領域822に対応する画素の場合に当該画素が補正の対象となる。既述のように、重複範囲320は、隣接する吐出ユニット32の端部において、移動方向に吐出口列が重なる幅方向の範囲である。重複端領域822は、重複範囲320の両端部の近傍の領域である。補正の対象となる画素は、重複端領域822に対応する画素には限定されないが、好ましくは、少なくとも重複範囲320の両端に対応する画素が、補正の対象に含まれる。
【0054】
補正部44は、補正の対象となる画素の複数の色成分の値に基づいて、2つの参照色成分を決定する(ステップS22)。好ましくは、補正部44は、補正の対象となる画素の複数の色成分の値のうち、予め定められた値を超える色成分を取得し、当該色成分に基づいて2つの参照色成分を決定する。例えば、シアン96%、マゼンタ77%、イエロー1%、ブラック65%の濃度値(以下、「C96M77Y1K65」と表現する。)であって、予め定められた閾値が65%である場合、まず、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)が選択される。
【0055】
マッピング情報442には、予め、2つの参照色成分の組合せに優先順位が決められており、本実施の形態の場合、CM>MY>YK>CY>MK>CKとなっている。ここで、例えば、「CM」はシアンとマゼンタの組合せを示し、記号「>」は左の組合せが右の組合せより順位が高いことを示す。この順位は、予め2つの色成分の全ての組合せのチャートを記録媒体9に記録して、作業者によるチャートの目視により、混色ムラが生じやすい組合せの順序として決定される。混色ムラの強度は、輝度値の変動等として測定により得ることも可能である。
【0056】
上述の例では、C、M、Kが選択されているため、組合せの候補は、CM、MK、CKの3つである。ここで、CM>MK>CKであるため、C96M77Y1K65は、最終的に、CMにマッピングされ、シアンとマゼンタが参照色成分の組合せとして決定される。
【0057】
混色ムラの強度の順位は、上述の例には限定されない。例えば、インクの吐出順序が混色ムラの強度に影響を与える場合であって、吐出順序がC、M、Y、Kの場合、組合せの優先順位は、CM>CY>CK>MY>MK>YKとなる。後に吐出される色成分ほど混色ムラに影響を与える場合、YK>MK>MY>CK>CY>CMとなる。参照色成分の組合せの優先順位は、インクの性質、記録媒体9の種類、吐出順序等に基づいて柔軟に決定される。
【0058】
全ての色成分の濃度が低い、あるいは、1つの色成分を除いて他の全ての色成分の濃度が低い場合のように、混色ムラが目立たない条件の場合は、参照色成分の決定(ステップS22)は行われず、次の補正(ステップS23)も行われない。
【0059】
既述のように、参照色成分の各組合せについて、一方の色成分が補正の対象となる対象色成分として予め決定されている。2つの参照色成分がシアンおよびマゼンタである場合、対象色成分がシアンであることが好ましい。シアンのみの補正が、マゼンタのみの補正よりも混色ムラ低減に効果的であるためである。参照色成分がシアンとイエローの場合は対象色成分はシアンであることが好ましい。参照色成分がマゼンタとイエローの場合は対象色成分はマゼンタであることが好ましい。また、2つの参照色成分がブラックを含む場合、対象色成分はブラックであることが好ましい。ブラックの濃度は混色ムラへの影響が大きいためである。後述の参照色成分の数が3つの場合においても、参照色成分にブラックが含まれる場合は、対象色成分がブラックであることが好ましい。
【0060】
さらに、インクの種類や記録媒体9の種類によっては、2つの参照色成分のうち、先に記録媒体9に向けて液滴が吐出される色成分が、対象色成分であることが好ましい。例えば、後に記録媒体9に到達した液滴が先に記録媒体9に到達した液滴を引き込むような作用を有する場合は、先に記録媒体9に到達する液滴の色成分が補正されることが好ましい。後述の3つの参照色成分が決定される場合においても、同様に、最も先に記録媒体9に向けて液滴が吐出される色成分が、対象色成分であることが好ましい。
【0061】
以上のように、補正部44は、2つの参照色成分の値に対して予め定められた対象色成分およびその補正値を補正情報441を参照して取得し、対象色成分の値を補正する(ステップS23)。既述のように、対象色成分の値(本実施の形態では濃度値)に対する補正は、その色成分の演算上の画素値の補正と同等である。
【0062】
図10は、ステップS23での補正値を取得する処理を説明するための図である。
図7と同様に、C100、C90、C80、C70およびM100、M90、M80、M70は、各格子点でのシアンの値およびマゼンタの値をそれぞれ示す。補正の対象となる画素の色成分の値がC83M96Y1K65であり、シアンおよびマゼンタの値が点85にて示す位置(すなわち、C83M96)である場合、○で示す参照値組合せの位置での補正値を利用して点85における補正値、すなわち、対象色成分であるシアンの補正値が求められる。
図10では、参照値組合せに対応する補正値を○の近くに付記している。
【0063】
具体例としては、点85における補正値は、全ての参照値組合せまでの距離の逆数の比で補正値を按分することにより求められる。例えば、点85から、1番目から8番目までの参照値組合せまでの距離が、L
1、L
2、・・・、L
8であった場合、L
1に対応する逆数の比である重み係数W
1は、(1/L
1)/(1/L
1+1/L
2+・・・+1/L
8)となる。同様に、L2に対応する重み係数W
2は、(1/L
2)/(1/L
1+1/L
2+・・・+1/L
8)となる。1番目から8番目までの参照値組合せにおける補正値をR
1、R
2、・・・、R
8とすると、点85における対象色成分の補正値は、(R
1・W
1+R
2・W
2+・・・+R
8・W
8)として求められる。距離の二乗の逆数の比が用いられてもよい。例えば、C83M96Y1K65に対して補正値(−6)%が求められた場合、補正後の色成分の値はC77M96Y1K65である。
【0064】
より詳細には、既述のように、重複範囲320の端に対応する補正値が上記演算に求められ、重複範囲320の端にから離れた位置の画素に対する補正値は重複範囲320の端から離れるに従って減少するように修正される。すなわち、重複端領域822の中央に対応する位置から両側に離れるに従って減少するように、補正対象の画素の補正値は修正される。
【0065】
全ての参照値組合せにおける補正値は利用される必要はなく、例えば、点85近傍の参照値組合せの補正値のみが利用されてもよい。一定の距離以上離れた参照値組合せに対する重み係数を0にする関数が利用されてもよい。また、補正の対象となる画素の参照色成分の値を示す点がいずれかの参照値組合せと近接する場合、その参照値組合せにおける補正値がその画素の対象色成分の補正値として採用されてもよい。以上のように、参照値組合せにおける補正値を利用して様々な手法により対象色成分の補正値が求められてよい。
【0066】
1つの画素に対してステップS21〜S23が行われると、次の画素に対してステップS21〜S23が行われる(ステップS24)。すなわち、画素が補正の対象となる画素であるか否かが確認され(ステップS21)、補正の対象である場合、参照色成分の組合せが決定可能であれば決定し(ステップS22)、参照色成分が決定された場合は対象色成分の補正が行われる(ステップS23)。全ての画素に対してステップS21〜S23が行われることにより、画像の補正が完了する(ステップS24)。
【0067】
補正が完了すると、出力制御部41は、補正後の画像データに基づいて、ヘッド部3の吐出口からインクの液滴を吐出するための制御データである吐出データを生成する(ステップS25)。吐出データに従って、ヘッド部3および移動機構2が制御されることにより、混色ムラが低減された画像が記録媒体9に記録される(ステップS26)。
【0068】
上記実施の形態では、ヘッド部3から吐出されるインクの色成分の数は4であるが、色成分の数は2または3でもよく、5以上であってもよい。好ましくは、4以上である。例えば、シアンおよびブラックのみで画像記録を行う2色機において、ブラックのみを補正することにより、混色ムラが低減されてもよい。また、オレンジ、グリーン、バイオレット等の特色を有する5色以上の多色機において、1つの対象色成分が補正されてもよい。画像記録に用いられる色成分の数が3以上の場合は、各画素において2つの参照色成分が決定され、1つの対象色成分が補正されてもよいし、3つの参照色成分が決定され、1つまたは2つの対象色成分が補正されてもよい。
【0069】
参照色成分の数が2であり、対象色成分の数が1の場合、チャート82は、2つの参照色成分の参照値組合せのそれぞれに関して、幅方向の予め定められた範囲において対象色成分の値を微小に変化させた複数の記録領域821を含む。なお、「微小に変化させる」とは、参照値組合せの値の間隔に比べて十分に小さいことを意味し、好ましくは、参照値組合せの値の間隔の1/3以下であり、さらに好ましくは1/5以下であり、下限は値の最小単位である。
【0070】
参照色成分の数が3であり、対象色成分の数が1の場合、チャート82は、3つの参照色成分の参照値組合せ(すなわち、3つの値の複数通りの組合せ)のそれぞれに関して、幅方向の予め定められた範囲において対象色成分の値を微小に変化させた複数の記録領域821を含む。参照色成分の数が3であり、対象色成分の数が2の場合、チャート82は、3つの参照色成分の参照値組合せのそれぞれに関して、幅方向の予め定められた範囲において2つの対象色成分の値を様々に微小に変化させた複数の記録領域821を含む。
【0071】
一般的に表現すれば、出力制御部41の制御により、複数の参照色成分の値の複数通りの組み合わせのそれぞれに関して、幅方向の予め定められた範囲において少なくとも1つの対象色成分の値を複数通りに微小に変化させた複数の記録領域を含むチャートが記録媒体に記録される。そして、ステップS13において、チャートを参照して、各重複端領域822(のおよそ中央)における、複数の参照色成分の値と、少なくとも1つの対象色成分の補正値との関係が決定される。
【0072】
参照色成分の数が2の場合は、補正部44では、補正の対象となる画素の複数の色成分のうち2つの参照色成分の値に基づいて当該2つの参照色成分に含まれ、かつ、当該2つの参照色成分に対して予め定められた1つの対象色成分の値が補正される。参照色成分の数が3の場合は、補正部44では、補正の対象となる画素の複数の色成分のうち3つの参照色成分の値に基づいて当該3つの参照色成分に含まれ、かつ、当該3つの参照色成分に対して予め定められた1つもしくは2つの対象色成分の値が補正される。
【0073】
上記説明では、予め定められた閾値を超える色成分に基づいて2つの参照色成分が決定されるが、参照色成分の数が3の場合も同様に、予め定められた閾値を超える色成分に基づいて参照色成分が決定されてよい。閾値は色成分毎に変更されてもよい。濃度が高い色成分に従って参照色成分が決定されることにより、効果的に混色ムラを低減することができる。一般的に表現すれば、補正部44は、補正の対象となる画素の複数の色成分の値に基づいて、2つの参照色成分、または、3つの参照色成分を決定する。
【0074】
以上のように、画像記録装置1では、混色ムラを抑制するために、1つの色成分または2つの色成分のみの補正が行われる。このような技術的特徴は、3以上の色成分の全てを補正しなくても混色ムラを十分に低減することができるという事実の発見に基づいている。また、1つの色成分の補正のみでも十分に混色ムラを抑制することができる。その結果、補正のために必要な情報を簡単に得ることができる。例えば、補正情報441を取得するために必要なチャートの量を大幅に削減することができ、補正情報441を得るための工数、インクのロス、損紙等のコスト、時間、環境負荷等を削減することができる。
【0075】
参照色成分の数が2であり、対象色成分の数が1であり、各2色の参照値組合せの数が8の場合、全色成分の数が2であればチャート数は8(=
2C
2×8)であり、全色成分の数が3であればチャート数は24(=
3C
2×8)であり、全色成分の数が4であればチャート数は48(=
4C
2×8)である。これに対し、例えば、特開2012−6386号公報の手法では、チャート数は色成分の数の増大に対して大幅に増大し、特に、色成分の数が4以上では、実用的な運用には向かない虞がある。
【0076】
また、画像記録装置1では、補正情報441の量が少なく、補正に必要な演算量も少ない。このため、複数の色成分が重なる際に生じる混色ムラを容易に補正することができる。
【0077】
上述の画像記録装置1では、様々な変更が可能である。
【0078】
インク吐出部31は、複数の吐出ユニット32に代えて、幅方向において記録媒体9上の記録範囲に亘って配置された複数の吐出口を含む1つの吐出ユニットが設けられてもよい。
【0079】
記録媒体9は、紙でもフィルムでもよい。シート状の他の材料でもよい。記録対象となる面を有するのであれば、シート状にも限定されない。紙と比較した場合、樹脂フィルムの方が混色ムラ低減の効果は大きい。インクも様々なインクが利用可能であり、インクは、水性でもUV硬化性でもよい。なお、UV硬化性インクの場合に混色ムラはより効果的に低減される。
【0080】
上記実施の形態では、重複端領域822に対応する画素の対象色成分を補正しているが、重複端領域822以外の範囲に対応する画素に対して補正が行われてもよい。幅方向の予め定められた範囲であれば、様々な範囲で混色ムラ抑制の補正が行われてよい。重複範囲320が存在しない画像記録装置1に上記補正が適用されてもよい。
【0081】
チャート82において、記録領域821は、記録媒体9上の混色ムラが生じる範囲に存在すればよく、記録範囲の幅方向全体に存在する必要はない。
【0082】
参照色成分は、マッピング情報以外を参照して決められてもよい。例えば、色成分毎に優先順位を定めておき、当該色成分毎の優先順位に基づいて色成分の組合せの優先順位が決定されてもよい。また、色成分の組合せの優先順位は、記録媒体9の種類に応じて変更されてもよい。
【0083】
上記実施の形態では、画素単位で参照色成分および対象色成分が決定されるが、画像単位で、あるいは、画像中の領域単位で、その単位に含まれる補正対象の画素の参照色成分および対象色成分が決定されてもよい。参照色成分および対象色成分の決定は、補正対象となる全画素に対して事前に行われてもよい。
【0084】
画像記録装置1では、撮像部6は省略されてもよい。チャート82の混色ムラの確認は、作業者の目視でもよく、装置外に設けられた測定器により行われてもよい。
【0085】
画像記録装置1は、複数の記録媒体9上に画像を順次記録する枚葉式の装置であってもよい。画像記録装置1では、記録媒体9がヘッド部3に対して移動方向であるY方向に相対的に移動するのであれば、例えば、停止している記録媒体9の上方にて、ヘッド部3が移動機構2によりY方向に移動してもよい。
【0086】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。