特開2018-202684(P2018-202684A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-202684(P2018-202684A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】積層体およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20181130BHJP
   C08J 7/04 20060101ALI20181130BHJP
   C23C 14/12 20060101ALI20181130BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20181130BHJP
   C08G 61/02 20060101ALI20181130BHJP
【FI】
   B32B27/00 A
   C08J7/04 RCES
   C23C14/12
   B65D65/40 D
   C08G61/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-108664(P2017-108664)
(22)【出願日】2017年5月31日
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100187207
【弁理士】
【氏名又は名称】末盛 崇明
(72)【発明者】
【氏名】油 野 政 人
(72)【発明者】
【氏名】三 上 浩 一
【テーマコード(参考)】
3E086
4F006
4F100
4J032
4K029
【Fターム(参考)】
3E086AB01
3E086AD01
3E086AD08
3E086AD23
3E086BA15
3E086BB01
3E086BB51
3E086BB52
3E086BB57
3E086CA01
3E086CA35
3E086CA40
4F006AA12
4F006AA13
4F006AB42
4F006BA13
4F006CA07
4F006DA01
4F006EA02
4F006EA05
4F100AK01A
4F100AK01B
4F100BA02
4F100EH66B
4F100GB15
4F100JB16A
4F100JL12
4F100YY00B
4J032CA14
4J032CB01
4J032CB11
4J032CE01
4J032CE20
4J032CE22
4J032CE23
4J032CG08
4K029AA11
4K029AA25
4K029BA62
4K029CA01
4K029CA11
4K029DB06
4K029EA01
4K029EA03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】包装材料の作製時において、熱可塑性樹脂フィルムとヒートシールバーとの接着を防止することができ、かつリサイクル性に優れた積層体およびその製造方法の提供。
【解決手段】熱可塑性樹脂フィルム20と、蒸着膜30と、を備える積層体10であって、蒸着膜30の厚さが、1〜5μmであり、式(1)で表される構成単位を有するポリマーを含む積層体10。

(R〜Rは夫々独立して、H、C1〜10のアルキル基又はハロゲン原子;好ましくはR、R、R及びRはHで、R〜RはH又はハロゲン原子)
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂フィルムと、蒸着膜と、を備える積層体であって、
前記蒸着膜の厚さが、1nm以上、5μm以下であり、下記一般式(1)で表される構成単位を有するポリマーを含むことを特徴とする、積層体。
【化1】
(式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基およびハロゲン原子からなる群より選択される。)
【請求項2】
、R、RおよびRは、いずれも水素原子である、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
〜Rは、水素原子またはハロゲン原子である、請求項1または2に記載の積層体。
【請求項4】
前記構成単位が、下記式(2)または(3)で表される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層体。
【化2】
【化3】
【請求項5】
前記蒸着膜が、下記一般式(4)で表されるラジカルを利用して形成されたものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層体。
【化4】
(式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基およびハロゲン原子からなる群より選択される。)
【請求項6】
前記熱可塑性樹脂フィルムが単層からなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項7】
前記熱可塑性樹脂フィルムが、1種の熱可塑性樹脂からなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項8】
熱可塑性樹脂フィルムを準備する工程と、
前記熱可塑性樹脂フィルム上に、蒸着膜を設ける工程と、を含み、
前記蒸着膜の厚さが、1nm以上、5μm以下であり、下記一般式(1)で表される構成単位を有するポリマーを含むことを特徴とする、積層体の製造方法。
【化5】
(式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基およびハロゲン原子からなる群より選択される。)
【請求項9】
前記蒸着膜を形成する工程が、
下記一般式(5)で表されるダイマーを加熱し、気化させる工程と、
気化させた前記ダイマーを加熱し、熱分解させ、下記一般式(4)で表されるラジカルを得る工程と、
前記ラジカルを、前記熱可塑性樹脂フィルムに衝突させ、下記一般式(1)で表される構成単位を含むポリマーへポリマー化させる工程と、
を含む、請求項8に記載の方法。
【化6】
【化7】
【化8】
【請求項10】
前記気化させる工程における加熱温度が、60℃以上、180℃以下である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記気化させた前記2量体を加熱し、熱分解させ、ラジカルを得る工程における加熱温度が、60℃以上、180℃以下である、請求項8〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記ラジカルを、前記熱可塑性樹脂フィルムに衝突させ、ポリマー化させる工程における蒸着圧が、0.5Pa以上、20Pa以下である、請求項8〜11のいずれ一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体、より詳細には、熱可塑性樹脂フィルムと、極めて薄い、特定の構造式を有するポリマーを含む蒸着膜と、を備える積層体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
包装材料分野において、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂からなるフィルム(以下、単に「熱可塑性樹脂フィルム」という)は、ヒートシール性に優れることから一般的に使用されている。
【0003】
しかしながら、熱可塑性樹脂フィルムは、ヒートシール時に、熱可塑性樹脂フィルムがヒートシールバーに付着してしまい、単独での包装材料の作製は困難であるため、通常、熱可塑性樹脂フィルムとポリエステル系樹脂フィルム等とをラミネートした積層フィルムとして、包装材料の作製に使用されている(例えば、特開2005−104525号公報)。
【0004】
ところで、近年、循環型社会の構築を求める声の高まりと共に、包装材料をリサイクルして使用することが試みられている。しかしながら、上記のような異種の樹脂フィルムを貼り合わせた積層フィルムでは樹脂の種類ごとに分離することが難しく、リサイクルに適していないという課題があった。また、積層フィルムは、一方ないし両方のフィルムに接着剤を塗布して両者を貼り合わせる工程を経て製造されるため、材料およびエネルギー消費の観点からは、より環境負荷の少ない包装材料を使用したいという要求もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−28360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、今般、特定の一般式を満たす構成単位を有するポリマーによれば、熱可塑性樹脂フィルムのリサイクル性に影響を与えない程度の薄膜とした場合であっても、熱可塑性樹脂フィルムとヒートシールバーとの接着を防止することができる蒸着膜を熱可塑性樹脂フィルム上に形成することができることを知見した。
【0007】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、包装材料の作製時において、熱可塑性樹脂フィルムとヒートシールバーとの接着を防止することができ、かつリサイクル性に優れた積層体およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の積層体は、熱可塑性樹脂フィルムと、蒸着膜と、を備える積層体であって、
蒸着膜の厚さが、1nm以上、5μm以下であり、下記一般式(1)で表される構成単位を有するポリマーを含むことを特徴とする。
【化1】
(式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基およびハロゲン原子からなる群より選択される。)
【0009】
上記態様においては、R、R、RおよびRは、いずれも水素原子であることが好ましい。
【0010】
上記態様においては、R〜Rは、水素原子またはハロゲン原子であることが好ましい。
【0011】
上記態様においては、構成単位が、下記式(2)または(3)で表されることが好ましい。
【化2】
【化3】
【0012】
上記態様においては、蒸着膜が、下記一般式(4)で表されるラジカルを利用して形成されたものであることが好ましい。
【化4】
(式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基およびハロゲン原子からなる群より選択される。)
【0013】
上記態様においては、熱可塑性樹脂フィルムが単層からなることが好ましい。
【0014】
上記態様においては、熱可塑性樹脂フィルムが、1種の熱可塑性樹脂からなることが好ましい。
【0015】
本発明の積層体の製造方法は、
熱可塑性樹脂フィルムを準備する工程と、
熱可塑性樹脂フィルム上に、蒸着膜を設ける工程と、を含み、
蒸着膜の厚さが、1nm以上、5μm以下であり、下記一般式(1)で表される構成単位を有するポリマーを含むことを特徴とする。
【化5】
(式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基およびハロゲン原子からなる群より選択される。)
【0016】
上記態様においては、蒸着膜を形成する工程が、
下記一般式(5)で表されるダイマーを加熱し、気化させる工程と、
気化させた前記ダイマーを加熱し、熱分解させ、下記一般式(4)で表されるラジカルを得る工程と、
前記ラジカルを、前記熱可塑性樹脂フィルムに衝突させ、下記一般式(1)で表される構成単位を有するポリマーへポリマー化させる工程と、を含むことが好ましい。
【化6】
【化7】
【化8】
【0017】
上記態様においては、気化させる工程における加熱温度が、60℃以上、180℃以下であることが好ましい。
【0018】
上記態様においては、気化させた前記2量体を加熱し、熱分解させ、ラジカルを得る工程における加熱温度が、60℃以上、180℃以下であることが好ましい。
【0019】
上記態様においては、ラジカルを、熱可塑性樹脂フィルムに衝突させ、ポリマー化させる工程における蒸着圧が、0.5Pa以上、20Pa以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、包装材料の作製時において、熱可塑性樹脂フィルムとヒートシールバーとの接着を防止することができ、かつリサイクル性に優れた積層体およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の積層体の模式断面図を示す。
図2図2は、本発明の積層体が備える蒸着膜を形成するための装置の模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(積層体)
図1に示すように、本発明の積層体10は、熱可塑性樹脂フィルム20と、蒸着膜30と、を備える。
【0023】
(熱可塑性樹脂フィルム)
熱可塑性樹脂フィルムは、熱可塑性樹脂を含み、ヒートシール性を有する。また、熱可塑性樹脂フィルムは、1種の熱可塑性樹脂からなることが特に好ましい。また、熱可塑性樹脂フィルムは単層であることが好ましい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン(LDPE、LLDPE、MDPE、HDPE)、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル等のビニル系樹脂、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル系樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS樹脂)等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド+
系樹脂等が挙げられる。また、熱可塑性樹脂は、上記した樹脂を構成するモノマーとその他のモノマーとの共重合体であってもよい。
【0024】
熱可塑性樹脂フィルムにおける熱可塑性樹脂の含有量は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、不可避不純物を除き熱可塑性樹脂からなることが特に好ましい。
【0025】
熱可塑性樹脂フィルムの厚さは、特に限定されるものではなく、例えば、10μm以上、200μm以下とすることができる。
【0026】
(蒸着膜)
蒸着膜は、下記一般式(1)で表される構成単位を有するポリマーを含む。本発明の積層体が該蒸着膜を備えることにより、熱可塑性樹脂フィルムとヒートシールバーとの接着を防止することができる。
下記式(1)において、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基およびハロゲン原子からなる群より選択される。
好ましくは、R、R、RおよびRは、いずれも水素原子である。
好ましくは、R〜Rは、水素原子またはハロゲン原子である。
【化9】
【0027】
上記一般式(1)を満たす構成単位として、以下を例示することができる。
【化10】
【0028】
上記したポリマー構成単位の中でも、積層体を食品包装として使用する場合、下記化学式(2)および化学式(3)で表される構成単位が好ましく、生産効率という観点も考慮すると、化学式(3)で表される構成単位が特に好ましい。また、化学式(3)で表される構成単位は、生体適合性があり、安全性も優れる。
【化11】
【化12】
【0029】
蒸着膜は、後述するように、下記一般式(4)で表されるラジカルを利用して形成されたものであることが好ましい。
下記一般式(4)において、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基およびハロゲン原子からなる群より選択される。
好ましくは、R、R、RおよびRは、いずれも水素原子である。
好ましくは、R〜Rは、水素原子またはハロゲン原子である。
【化13】
【0030】
蒸着膜は、熱可塑性樹脂フィルム表面の全体を覆うように設けてもよいが、熱可塑性樹脂フィルムのリサイクル性を考慮した場合、熱可塑性樹脂フィルムのヒートシール部分のみを覆うように設けることが好ましい。
【0031】
蒸着膜の厚さは、1nm以上、5μm以下であり、10nm以上、1000nm以下であることが好ましく、20nm以上、700nm以下であることがより好ましい。
蒸着膜の厚さを上記数値範囲とすることにより、熱可塑性樹脂フィルムのリサイクル性を維持しつつ、熱可塑性樹脂フィルムとヒートシールバーとの接着を防止することができる。また、積層体の透明性も維持することができる。
なお、蒸着膜の厚さは、透過型電子顕微鏡の断面観察により測定することができる。
【0032】
(積層体の製造方法)
本発明の積層体の製造方法は、熱可塑性樹脂フィルムを準備する工程と、蒸着膜を形成する工程と、を含む。
【0033】
(熱可塑性樹脂フィルムを準備する工程)
熱可塑性樹脂フィルムは、従来公知の方法、例えば、Tダイ製膜法、インフレーション製膜法、キャスト製膜法、押出し製膜法等により製造することができる。
なお、上記方法により製造した熱可塑性樹脂フィルムに限られず、市販されるものを使用してもよい。
【0034】
(蒸着膜を形成する工程)
一実施形態における蒸着膜の形成方法を、図2を参照し、以下に説明する。
まず、粉末状の、下記一般式(5)で表されるダイマーを、気化室40中に導入した後、加熱し気化させる。
この時の加熱温度は、60℃以上、180℃以下であることが好ましい。気化加熱温度を上記数値範囲とすることにより、ダイマーを十分に気化させることができると共に、蒸着膜形成時における蒸着圧を良好なものとすることができる。
下記式一般式(5)において、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基およびハロゲン原子からなる群より選択される。
好ましくは、R、R、RおよびRは、いずれも水素原子である。
好ましくは、R〜Rは、水素原子またはハロゲン原子である。
【化14】
【0035】
次いで、気化させたダイマーを、熱分解室50に導入した後、さらに加熱し、熱分解させ、下記一般式(4)で表されるラジカルとする。この時の加熱温度は、350℃以上、800℃以下であることが好ましく、550℃以上、750℃以下であることがより好ましい。ラジカル化加熱温度を上記数値範囲とすることにより、ダイマーの炭化を防止しつつ、熱可塑性樹脂フィルムに対する密着性を向上させることができる。
【化15】
【0036】
次いで、上記のようにして得られたラジカルを、真空ポンプ70に接続された蒸着室60において、熱可塑性樹脂フィルム表面に衝突させることにより、該ラジカルが、下記一般式(1)で表される構成単位を有するポリマーへポリマー化することができ、熱可塑性樹脂フィルム表面に堆積し、該ポリマーを含む蒸着膜が形成される。この時の蒸着圧は、0.5Pa以上、100Pa以下であることが好ましく、1Pa以上、50Pa以下であることがより好ましい。蒸着圧を上記数値範囲とすることにより、熱可塑性樹脂フィルムに対する密着性を向上させることができると共に、蒸着膜形成効率を向上させることができる。また、蒸着膜が白化し、積層体の外観が劣化してしまうことを防止することができる。
なお、蒸着圧とは、ラジカルが熱可塑性樹脂フィルムに衝突した際に、熱可塑性樹脂フィルムに加わる圧力のことを指し、透過型電子顕微鏡により測定することができる。
また、蒸着室内の圧力は、0.5Pa以上、100Pa以下であることが好ましく、1Pa以上、50Pa以下であることがより好ましい。
【化16】
【0037】
上記方法によれば、プラズマ等を利用することなく、熱可塑性樹脂フィルム表面に蒸着膜を設けることができるため、熱可塑性樹脂フィルムに穴等の欠陥が生じてしまうことを防止することができる。
【0038】
(包装材料)
本発明の包装材料は、上記の積層体からなるものであり、包装材料の内側(内容物側)に熱可塑性樹脂フィルムが、外側に蒸着膜が位置するように作製されたものである。
具体的には、包装用袋(例えば、ピロー袋、スタンディングパウチ、4方パウチ)、蓋材や包装容器等に用いることができる。
【0039】
充填する内容物については特に限定されるものではないが、例えば、カレーやシチュー等の食品を充填してもよく、化粧品、シャンプーやリンス等の非食品を充填してもよい。
【0040】
(包装材料の製造方法)
一実施形態において、本発明の包装材料は、上記した積層体を蒸着膜が設けられた面が外側になるように二つ折にして重ね合わせて、その縦1辺、横1辺をヒートシールして筒状の包装材料を形成することができる。
また、他の実施形態において、本発明の包装材料は、上記した積層体を2枚準備し、これらの蒸着膜が設けられていない面が対向するように、重ね合わせ、その縦2辺、横1辺をヒートシールして筒状の包装材料を形成することができる。
ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
【実施例】
【0041】
本発明について実施例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明がこれら実施例によって限定されるものではない。
【0042】
(実施例1)
日本ポリエチレン(株)製のLLDPEハーモレックスNF464Nを用いて、空冷インフレーション製膜法により、厚さ50μmの熱可塑性樹脂フィルム(縦100mm×横100mm)を作製した。作製した熱可塑性樹脂フィルムを、真空状態の蒸着室(高さ:260mm、φ:250mm)内において固定した。
【0043】
粉末状の、下記式(6)で表されるダイマー(SCS(株)製、商品名:パリレンC)1gを気化室に導入し、120℃にて加熱し、気化させた。
次いで、上記のように気化させたダイマーを熱分解室に導入し、670℃で加熱し、ラジカル化させた。
さらに、ラジカルを蒸着室において、熱可塑性樹脂フィルムに衝突させ、ポリマー化させ、熱可塑性樹脂フィルム表面において堆積させ、厚さ400nmの蒸着膜を形成し、積層体を得た。蒸着膜形成時における蒸着圧を装置内圧力計により測定したところ、8Paであった。なお、蒸着室内の圧力は、8Paであった。
【化17】
【0044】
上記のようにして得られた積層体を10cm×10cmにカットしてサンプル片を作製した。次いで、このサンプル片を、熱可塑性樹脂フィルム側の面が内側になるように二つ折りにし、ヒートシールバーを用いて、温度180℃、圧力1kgf/cm、ヒートシール時間1秒の条件にて1cm×10cmの領域をヒートシールした。ヒートシールバーへの熱可塑性樹脂フィルムの接着は見られなかった。
【0045】
(実施例2)
厚さを100μmとした以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂フィルムを作製し、蒸着室内に固定した。
【0046】
粉末状の、下記(7)で表されるダイマー(SCS(株)製、商品名:パリレンN)0.1gを気化室に導入し、130℃にて加熱し、気化させた。
次いで、上記のように気化させたダイマーを熱分解室に導入し、650℃で加熱し、ラジカル化させた。
さらに、ラジカルを蒸着室において、熱可塑性樹脂フィルムに衝突させ、ポリマー化させ、熱可塑性樹脂フィルム表面において堆積させ、厚さ50nmの蒸着膜を形成し、積層体を得た。蒸着膜形成時における蒸着圧を測定したところ、2Paであった。なお、蒸着室内の圧力は、2Paであった。
【化18】
【0047】
上記のようにして得られた積層体を10cm×10cmにカットしてサンプル片を作製した。次いで、このサンプル片を、熱可塑性樹脂フィルム側の面が内側になるように二つ折りにし、ヒートシールバーを用いて、温度190℃、圧力1kgf/cm、ヒートシール時間1秒の条件にて1cm×10cmの領域をヒートシールした。ヒートシールバーへの熱可塑性樹脂フィルムの接着は見られなかった。
【0048】
(実施例3)
厚さを60μmとした以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂フィルムを作製し、蒸着室内に固定した。
【0049】
粉末状の、上記式(6)で表されるダイマー(SCS(株)製、商品名:パリレンC)0.2gを気化室に導入し、130℃にて加熱し、気化させた。
次いで、上記のように気化させたダイマーを熱分解室に導入し、650℃で加熱し、ラジカル化させた。
さらに、ラジカルを蒸着室において、熱可塑性樹脂フィルムに衝突させ、ポリマー化させ、熱可塑性樹脂フィルム表面において堆積させ、厚さ120nmの蒸着膜を形成し、積層体を得た。蒸着膜形成時における蒸着圧を測定したところ、1.5Paであった。なお、蒸着室内の圧力は、1.5Paであった。
【0050】
上記のようにして得られた積層体を10cm×10cmにカットしてサンプル片を作製した。次いで、このサンプル片を、熱可塑性樹脂フィルム側の面が内側になるように二つ折りにし、ヒートシールバーを用いて、温度180℃、圧力1kgf/cm、ヒートシール時間2秒の条件にて1cm×10cmの領域をヒートシールした。ヒートシールバーへの熱可塑性樹脂フィルムの接着は見られなかった。
【0051】
(実施例4)
三井・デュポンポリケミカル(株)製のEVAエバフレックスV5961を用いて、Tダイ製膜法により、厚さ40μmの熱可塑性樹脂フィルムを作製した。作製した熱可塑性樹脂フィルムを、真空状態の蒸着室内においてこ固定した。
【0052】
粉末状の、上記式(6)で表されるダイマー(SCS(株)製、商品名:パリレンC)0.3gを気化室に導入し、130℃にて加熱し、気化させた。
次いで、上記のように気化させたダイマーを熱分解室に導入し、670℃で加熱し、ラジカル化させた。
さらに、ラジカルを蒸着室において、熱可塑性樹脂フィルムに衝突させ、ポリマー化させ、熱可塑性樹脂フィルム表面において堆積させ、厚さ180nmの蒸着膜を形成し、積層体を得た。蒸着膜形成時における蒸着圧を測定したところ、2Paであった。なお、蒸着室内の圧力は、2Paであった。
【0053】
上記のようにして得られた積層体を10cm×10cmにカットしてサンプル片を作製した。次いで、このサンプル片を、熱可塑性樹脂フィルム側の面が内側になるように二つ折りにし、ヒートシールバーを用いて、温度160℃、圧力1kgf/cm、ヒートシール時間0.8秒の条件にて1cm×10cmの領域をヒートシールした。ヒートシールバーへの熱可塑性樹脂フィルムの接着は見られなかった。
【0054】
(実施例5)
実施例4と同様にして、熱可塑性樹脂フィルムを作製し、蒸着室内に固定した。
【0055】
粉末状の、上記式(6)で表されるダイマー(SCS(株)製、商品名:パリレンC)0.6gを気化室に導入し、120℃にて加熱し、気化させた。
次いで、上記のように気化させたダイマーを熱分解室に導入し、660℃で加熱し、ラジカル化させた。
さらに、ラジカルを蒸着室において、熱可塑性樹脂フィルムに衝突させ、ポリマー化させ、熱可塑性樹脂フィルム表面において堆積させ、厚さ210nmの蒸着膜を形成し、積層体を得た。蒸着膜形成時における蒸着圧を測定したところ、2Paであった。なお、蒸着室内の圧力は、2Paであった。
【0056】
上記のようにして得られた積層体を10cm×10cmにカットしてサンプル片を作製した。次いで、このサンプル片を、熱可塑性樹脂フィルム側の面が内側になるように二つ折りにし、ヒートシールバーを用いて、温度160℃、圧力1kgf/cm、ヒートシール時間0.8秒の条件にて1cm×10cmの領域をヒートシールした。ヒートシールバーへの熱可塑性樹脂フィルムの接着は見られなかった。
【0057】
(比較例1)
上記蒸着膜に代え、12μmの厚さのポリエチレンテレフタレートフィルムを、熱可塑性樹脂フィルム上に、ポリエステル系接着剤を利用して積層し、積層体を得た。
【0058】
上記のようにして得られた積層体を10cm×10cmにカットしてサンプル片を作製した。次いで、このサンプル片を、熱可塑性樹脂フィルム側の面が内側になるように二つ折りにし、ヒートシールバーを用いて、温度180℃、圧力1kgf/cm、ヒートシール時間1秒の条件にて1cm×10cmの領域をヒートシールした。ヒートシールバーへの熱可塑性樹脂フィルムの接着は見られなかった。
比較例1において得られた積層体は、上記実施例において得られた積層体に比べ、ポリエチレンテレフタレートを使用しており、そのリサイクル性が劣っている。
【0059】
(比較例2)
実施例1において得られた熱可塑性樹脂フィルムを10cm×10cmにカットしてサンプル片を作製した。次いで、このサンプル片を、ヒートシールバーを用いて、温度180℃、圧力1kgf/cm、ヒートシール時間1秒の条件にて1cm×10cmの領域をヒートシールしたところ、熱可塑性樹脂フィルムがヒートシールバーに接着してしまい、包装材料を作製することができなかった。
【0060】
<シール強度>
上記実施例1において得られた積層体を10cm×10cmにカットしてサンプル片を2枚作製した。次いで、この2枚のサンプル片を熱可塑性樹脂フィルムを対向させ、ヒートシールバーを用いて、温度180℃、圧力1kgf/cm、ヒートシール時間1秒の条件にてヒートシールした後、これを15mm幅の短冊状試験片とした。
ヒートシールされた状態の試験片を、引張試験機(引張速度300mm/分)を用いてシール強度を測定した。
実施例2〜5および比較例1において得られた積層体においても同様の試験を行った。
試験結果を表1にまとめた。
【0061】
【表1】
【符号の説明】
【0062】
10:積層体
20:熱可塑性樹脂フィルム
30:蒸着膜
40:気化室
50:熱分解室
60:蒸着室
70:真空ポンプ
図1
図2