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  • 特開2018202866-積層ポリエステルフィルム 図000005
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-202866(P2018-202866A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】積層ポリエステルフィルム
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/36 20060101AFI20181130BHJP
   H01L 31/049 20140101ALI20181130BHJP
【FI】
   B32B27/36
   H01L31/04 562
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2018-103123(P2018-103123)
(22)【出願日】2018年5月30日
(31)【優先権主張番号】特願2017-107527(P2017-107527)
(32)【優先日】2017年5月31日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】井澤 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】多和田 誠司
(72)【発明者】
【氏名】犬塚 智史
(72)【発明者】
【氏名】奥村 友輔
【テーマコード(参考)】
4F100
5F151
【Fターム(参考)】
4F100AA01C
4F100AA21A
4F100AA21B
4F100AA21C
4F100AK01C
4F100AK41A
4F100AK41B
4F100AK41C
4F100AK42A
4F100AK42B
4F100AK42C
4F100AL05C
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100DE01A
4F100DE01B
4F100DE01C
4F100EH20
4F100EJ38
4F100EJ41
4F100EJ50
4F100GB41
4F100JA05C
4F100JA11
4F100JK06
4F100JN06
4F100YY00A
4F100YY00B
4F100YY00C
5F151BA18
5F151JA03
5F151JA04
5F151JA05
(57)【要約】
【課題】
本発明は、耐湿熱性に優れて屋外に長期間置かれても太陽電池の裏面封止材(EVA)と高い密着性を持つ積層ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】
少なくとも2層を有する積層ポリエステルフィルムであって、一方の表層(層A)、もう一方の表層(層B)のうち少なくとも一方が、示差走査型熱量計(DSC)測定により得られるDSC曲線が少なくとも2つの結晶化ピークを有する層であり、当該ピークを有する層が単一のポリエステルを層全体に対して90重量%以上含有する積層ポリエステルフィルム。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2層を有する積層ポリエステルフィルムであって、一方の表層(層A)、もう一方の表層(層B)のうち少なくとも一方が、示差走査型熱量計(DSC)測定により得られるDSC曲線が少なくとも2つの結晶化ピークを有する層であり、当該ピークを有する層が単一のポリエステルを層全体に対して85重量%以上含有する積層ポリエステルフィルム。
【請求項2】
前記少なくとも2つの結晶化ピークを有する層の結晶化ピークのピークトップ温度が、少なくとも1つ(第1の結晶化ピーク(Tcc−1))が138〜145℃に観測され、少なくとも1つ(第2の結晶化ピーク(Tcc−2))が120〜135℃に観測される請求項1に記載の積層ポリエステルフィルム。
【請求項3】
前記第1の結晶化ピーク(Tcc−1)と、第2の結晶化ピーク(Tcc−2)の差が、5〜20℃である請求項2に記載の積層ポリエステルフィルム。
【請求項4】
前記積層ポリエステルフィルムがさらにポリエステルを主成分とする層(層C)を有し、層Cはポリエステルに非相溶な樹脂aを含有し、その含有量が層C全体に対して3〜40重量%である請求項1〜3のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
【請求項5】
少なくとも一方のフィルム表面側から測定した平均相対反射率が80%以上である請求項1〜4のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
【請求項6】
前記積層ポリエステルフィルムの末端カルボキシル基量が25eq/t以下である請求項1〜5いずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
【請求項7】
太陽電池バックシートに用いる請求項1〜6のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
【請求項8】
エチレンービニルアセテート共重合体を含む層を有する太陽電池の太陽電池バックシートに用いられるとき、前記少なくとも2つの結晶化ピークを有する表層がエチレンービニルアセテート共重合体を含む層と接するように用いる請求項1〜7のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2層を有する積層ポリエステルフィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境負荷や安全性を考慮し、火力や原子力によらず、風力や太陽光などの再生可能な資源を活用した発電方法が注目されている。中でも、太陽光発電は、二酸化炭素等温室効果ガスの排出が伴わないクリーンなエネルギーであること、また、風力発電ほど設置場所を選ばず比較的コンパクトな太陽電池モジュールを利用していることなどから、普及が加速している。
一般に、太陽電池モジュールは、受光面側から順にカバー材、表側封止材、光電変換を行う太陽電池セル、裏側封止材、およびバックシートが積層され、構成されている。
【0003】
この中で、太陽電池バックシートは、太陽電池の発電素子を雨などの外的影響から保護すること、また、効率よく光を反射して太陽電池の出力を上げることを目的として用いられるものである。
太陽電池は、その特性上、屋外にて長期間使用されるため、太陽電池バックシート用に用いられるポリエステルフィルムには高い耐侯性、特に耐湿熱性が要求される。また、一般に、太陽電池の発電素子を雨などの外的影響から保護するため、太陽電池バックシート用に用いられるポリエステルフィルムに、エチレン−ビニルアセテート共重合体(以下、EVA)からなる裏側封止材を設けることが必要である。それゆえ、太陽電池バックシート用に用いられるポリエステルフィルムには、EVAとの長期間における密着性維持が求められる。
これまでに、太陽電池バックシート用に用いられるポリエステルフィルムの耐湿熱性や高反射率化の検討がなされている(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−24319号公報
【特許文献2】特開2016−204668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
太陽電池バックシート用ポリエステルフィルムは、屋外に長期間設置されてもEVAと剥がれないような密着性が要求されているが、上記の特許文献では不十分であった。また、太陽電池バックシート用ポリエステルフィルムは、反射率が高いと、太陽電池に入射した太陽光のうち、太陽電池セルに直接入射しなかった太陽光を太陽電池バックシートにより反射させて、その反射光を太陽電池セルに入射させることで、太陽電池の出力を上げることが可能となるが、上記の特許文献では反射率の向上についても、その要求特性を満たすものではなかった。例えば、特許文献1では、EVAとの接着性を改良するための検討がなされているが、長期間における密着性維持についての記載はなく、特許文献2では、熱及び湿熱処理後のEVAとの接着性、長期間における密着性維持、及びモジュール効率維持させる検討などの記載があるが、何れも不十分かつ、表層への添加剤が必要であるなど手段が複雑である。
【0006】
本願が解決しようとする課題は、耐湿熱性に優れて屋外に長期間置かれても裏面封止材と密着し続けることができる太陽電池バックシート用ポリエステルフィルムとして好適な積層ポリエステルフィルムを容易に提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は以下の構成をとる。
(1)少なくとも2層を有する積層ポリエステルフィルムであって、一方の表層(層A)、もう一方の表層(層B)のうち少なくとも一方が、示差走査型熱量計(DSC)測定により得られるDSC曲線が少なくとも2つの結晶化ピークを有する層であり、当該ピークを有する層が単一のポリエステルを層全体に対して85重量%以上含有する積層ポリエステルフィルム。
(2)前記少なくとも2つの結晶化ピークを有する層の結晶化ピークのピークトップ温度が、少なくとも1つ(第1の結晶化ピーク(Tcc−1))が138〜145℃に観測され、少なくとも1つ(第2の結晶化ピーク(Tcc−2))が120〜135℃に観測される(1)に記載の積層ポリエステルフィルム。
(3)前記第1の結晶化ピーク(Tcc−1)と、第2の結晶化ピーク(Tcc−2)との差が、5〜20℃である請求項2に記載の積層ポリエステルフィルム。
(4)前記積層ポリエステルフィルムがさらにポリエステルを主成分とする層(層C)を有し、層Cはポリエステルに非相溶な樹脂aを含有し、その含有量が層C全体に対して3〜40重量%である(1)〜(3)のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
(5)少なくとも一方のフィルム表面側から測定した平均相対反射率が80%以上である(1)〜(4)のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
(6)前記積層ポリエステルフィルムの末端カルボキシル基量が25eq/t以下である(1)〜(5)いずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
(7)太陽電池バックシートに用いる(1)〜(6)のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
(8)エチレンービニルアセテート共重合体を含む層を有する太陽電池に用いられるとき、前記少なくとも2つの結晶化ピークを有する表層がエチレンービニルアセテート共重合体を含む層と接するように用いる(1)〜(7)のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、耐湿熱性に優れ、屋外に長期間置かれても裏面封止材(EVA層)との密着力に優れた積層ポリエステルフィルムが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の積層ポリエステルフィルムを太陽電池バックシートとして用いた太陽電池の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の積層ポリエステルフィルムの実施の形態について詳細に説明する。
【0011】
本発明の積層ポリエステルフィルムは、少なくとも2層を有する積層ポリエステルフィルムであることが必要である。一方の表層を表層(A)、もう一方の表層を表層(B)としたとき、機能分離が可能になる上に、例えば両者の間に高い光反射率を担保させるための基材層(例えば、後述する層(C))など機能を付与できるため、必要である。
【0012】
単層のポリエステルフィルムであると、相反する機能を同居させることができない。例えば、高い光反射率を得るためには、後述するが、多数の空洞を含ませることが好ましいが、本発明の積層ポリエステルフィルムを、太陽電池バックシート用ポリエステルフィルムとして用いる場合、太陽電池セルの封止剤との接着する側(図1の7)の表層に、空洞を多く含むと、密着力が低下してしまうため、太陽電池を組み込んだときに太陽電池を保護する目的を達成できない。
【0013】
本発明の積層ポリエステルフィルムは、一方の表層(層A)、もう一方の表層(層B)のうち少なくとも一方が、示差走査型熱量計(DSC)測定により得られるDSC曲線が少なくとも2つの結晶化ピークを有する層であることが必要である。2つの結晶化ピークを有することにより、本発明のポリエステルフィルムを太陽電池用バックシートとして用いると、少なくとも片面が、耐湿熱性、湿熱処理後のEVA層との密着力に優れた積層ポリエステルフィルムとすることができる。一方、両面とも結晶化ピークが1つの場合、湿熱処理後のEVA層との密着力が劣り実用に適さない。
【0014】
また、前記の少なくとも2つの結晶化ピークを有する層は、単一のポリエステルを層全体に対して85重量%以上含有することが必要である。少なくとも2つの結晶化ピークを有する層が単一のポリエステルを層全体に対して85重量%未満である場合、系が複雑となるため高コスト化したり、延伸が不安定となり配向結晶化が適度に進まずに耐湿熱性が低下したり、破れなど製膜性が悪化する。なお、ここでいう「単一のポリエステルを層全体に対して85重量%以上含有する」とは、層を構成するポリエステル全体に対して、1種類のポリエステルを85重量%以上含有することを表す。1種類のポリエステルは、後述するとおり、ホモポリエステルであってもよく、共重合ポリエステルであっても良い。
【0015】
本発明の積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂は、ジオールとジカルボン酸、あるいは、ヒドロキシカルボン酸、あるいはそれらの誘導体とから縮重合によって得られるポリマーである。ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸およびセバシン酸などで代表されるものである。また、ジオールとしては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコールおよびシクロヘキサンジメタノールなどで代表されるものである。
【0016】
ポリエステル樹脂としては、具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートなどが挙げられる。本発明においては、特にポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。このポリエステル樹脂の中には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤および帯電防止剤などが添加することができる。
【0017】
前記少なくとも一方の表層が2つの結晶化ピークを有するか否かによって密着力が相違する詳細な発現メカニズムは明らかではないが、本発明者らは以下のように考えている。
【0018】
表層が少なくとも2つの結晶化ピークを有するということは、当該表層において、相対的に、結晶化度や、OH基やCOOH基のような親水性の官能基量の異なる環境が存在していることを表しており、湿熱処理後のEVA層との密着力評価を行うと、当該表層は親水性が高い部分(及び/または、結晶化度の低い部分)では吸湿することによりEVA層との密着力が高くなる一方、結晶化度が高い部分(及び/または、親水性が低い部分)では水分の侵入を防ぐため、層間剥離が発生しにくくなっているものと考えている。
【0019】
また、少なくとも一方の表層が少なくとも2つの結晶化ピークを有するのは、結晶化度の違い、もしくは押出しから冷却までにおける加水分解、あるいはその両方が影響していると考えている。ポリエステルフィルムを溶融製膜にて製造する場合、ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂組成物を押出機で溶融混練した後、押出しし、冷却ドラム上にて冷却固化して未配向積層ポリエステルフィルムを得る工程(キャスト工程)を含むが、この際、冷却ドラム面に接する表層側(例えば表層(層A))は、結晶化度の促進を抑えられる。また、後述の製造工程についての記載で詳述するが、冷却ドラム面とは反対面の冷却エアチャンバーによりさらに結晶化が抑制される。この2通りの冷却により表層の結晶化ピークが2つとなっている要因の1つである可能性がある。一方で、冷却ドラム面とは反対面に位置する表層(例えば(層B))は、表層(層A)と比べて結晶化が抑制されない。例えば後述する基材層を有し、当該基材層が熱伝導率の異なる粒子及びその粒子により発生せしめられた空洞などを含む場合にこの傾向が顕著になり、両側の表層を比較した時に冷却効率に相違が生じ、少なくとも2つの結晶化ピークが生じ、さらにはそれらピークの温度差が大きくなるという可能性がある。したがって、通常の処方及び製造方法で得られた単層フィルムでは、本願の発明の差異は後述する測定法では分離観測できずに1つのピークとして観測されていると考えている。
【0020】
本発明の積層ポリエステルフィルムは、前記少なくとも2つの結晶化ピークを有する層の結晶化ピークのピークトップ温度が、少なくとも1つ(第1の結晶化ピーク(Tcc−1))が138〜145℃に観測され、少なくとも1つ(第2の結晶化ピーク(Tcc−2))が120〜135℃に観測されることが好ましい。Tcc−1が135℃を超えて138℃未満であり、Tcc−2が135℃を超えて138℃未満の場合、湿熱処理後のEVA層との密着力上昇の効果が十分に得られない場合がある(Tcc−1とTcc−2は実質的に1つのピークとなっている可能性がある)。Tcc−1が145℃を超える場合や、Tcc−2が120℃未満の場合も、前記の湿熱処理後のEVA層との密着力向上効果が十分に得られない場合がある。
【0021】
本発明の積層ポリエステルフィルムは、少なくとも一方の表層において、Tcc−1と、Tcc−2との差が、5〜20℃であることが好ましい。Tcc−1と、Tcc−2との差を前述の範囲とすると、湿熱処理後のEVA層との密着力上昇の効果を特に顕著に得ることができる。
【0022】
本発明の積層ポリエステルフィルムは、フィルムを構成するポリエステル樹脂組成物が無機粒子を含有するのが好ましい。本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂組成物に含有する無機粒子としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫化亜鉛、リン酸カルシウム、アルミナ、タルク、カオリン、およびフッ化カルシウム等などを用いることが可能である。これらの中でも、耐候性および光反射特性などの観点から酸化チタンを用いることが好ましい態様である。
【0023】
酸化チタンとしては、例えば、アナターゼ型酸化チタンおよびルチル型酸化チタンのような結晶型の酸化チタンを挙げることができる。
【0024】
また、本発明の積層ポリエステルフィルムは、フィルムを構成するポリエステル樹脂組成物が、前述した無機粒子を含有しており、その含有量がポリエステル組成物全体に対して0.5重量%以上5重量%以下であることが好ましい。フィルムを構成するポリエステル樹脂組成物の無機粒子の含有量が0.5重量%未満であると、耐紫外線性が不足するため、屋外設置できず、且つ光反射特性が十分でなく、太陽電池の発電効率を向上する効果が十分に得られない場合がある。一方、5重量%を超えると、耐加水分解性が悪化し、また、無機粒子とポリエステルの間に発生する微細な隙間がきっかけとなり湿熱処理後の封止剤との密着力が悪化する場合がある。より好ましい濃度は、1.5重量%以上5重量%以下である。
【0025】
また、本発明の積層ポリエステルフィルムは、後述する測定方法により求められるフィルムの断面における空洞含有率が4%以上40%以下であることが好ましい。空洞含有率が4%未満であると、光反射特性が十分でなく、太陽電池の発電効率を向上することができないことがある。一方、40%を超えると、製膜性が悪化することがあると共に、フィルムの機械強度や耐湿熱性が悪化し、また、湿熱処理後の密着性が悪化することがある。ポリエステルフィルムに空洞を形成させる方法及び空洞を形成させる層については、特に限定されないが、本発明の積層ポリエステルフィルムは、表層(層A)、表層(層B)の他に、ポリエステルを主成分とする層(層C)の、3層からなる積層ポリエステルフィルムであることが好ましい。
【0026】
ポリエステルフィルムに空洞を含有させる方法は、特に限定されるものではないが、ポリエステル樹脂とポリエステル樹脂に非相溶な樹脂aを含むポリエステル樹脂組成物からフィルムを構成することにより形成することができる。ポリエステル樹脂中に、ポリエステル樹脂に非相溶な樹脂aを細かく分散させ、それを延伸(例えば、二軸延伸)することにより、このポリエステル樹脂に非相溶な樹脂aの周りに空洞が形成される。フィルム内に形成された空洞は、ポリエステル樹脂と屈折率差を有し、その界面において入射してきた光は反射するため、高い反射率を得ることが可能となる。非相溶な樹脂aの含有量は層C全体に対して3〜40重量%がこのましく、より好ましくは、6重量%以上30重量%以下であり、更に好ましくは8重量%以上15重量%以下である。ポリエステル樹脂に非相溶な樹脂aの添加量を多くすることで高い反射率を得ることが可能となり、添加量を減らすことで機械強度の低下を抑制し、生産性を向上させることが可能となる。ポリエステル樹脂に非相溶な樹脂aの添加量を増加させるにつれて、空洞核が増加し空洞層数が増加することから、反射率が向上し出力特性向上に貢献する。
【0027】
本発明で用いられるポリエステル樹脂に非相溶な樹脂aとしては、ポリエステルに非相溶な樹脂であれば、特に限定されない。例えば、ポリ−3−メチルフテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリビニル−t−ブタン、1,4−トランス−ポリ−2,3−ジメチルブタジエン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリジメチルスチレン、ポリ−2−メチル−4−フルオロスチレン、ポリビニル−t−ブチルエーテル、セルロールトリアセテート、セルロールトリプロピオネート、ポリビニルフルオライド、非晶ポリオレフィン、環状オレフィン共重合樹脂などから選ばれた融点180℃以上のポリマーなどが挙げられる。
【0028】
中でも、ポリオレフィン、特にポリメチルペンテンおよび環状オレフィンが好ましく用いられる。環状オレフィン共重合樹脂とは、エチレンとビシクロアルケンおよびトリシクロアルケンからなる群から選ばれた少なくとも1種の環状オレフィンとからなる共重合体である。
ポリエステル樹脂に非相溶な樹脂aを分散させるには、分散助剤を添加することが有効である。分散助剤とは、分散を促進させる効果を持つ化合物のことであり、次に挙げるような化合物にその効果が認められる。
【0029】
かかる分散助剤としては、熱可塑性ポリエステルエラストマーが好ましく用いられる。分散助剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、メトキシポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール、シクロヘキサンジメタノール共重合体、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド共重合体、さらにはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホネートナトリウム塩、グリセリンモノステアレート、テトラブチルホスホニウム、およびパラアミノベンゼンスルホネートなどが挙げられる。
【0030】
特に好ましいのはポリアルキレングリコールであり、中でもポリエチレングリコールがより好ましく用いられる。また、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合体なども、非相溶ポリマーの分散性を向上させるためにより好ましく用いられる。
【0031】
分散助剤の添加量としては、ポリエステル樹脂に非相溶な樹脂aを含有する層を構成するポリエステル樹脂組成物全体に対して、3重量%以上40重量%以下であることが好ましい。分散助剤の添加量を多くすることでポリエステル樹脂に非相溶な樹脂aの分散性を向上させることが可能であり、添加量を少なくすることでフィルム母材本来の特性を損なうことなく使用することができる。
【0032】
このような分散助剤は、予めフィルム母材ポリマー中に添加してマスターポリマ(マスターチップ)として調整することが可能である。光学特性との関係については、分散助剤を添加し、3重量%以上40重量%以下の領域までは、分散径が極度に小径化することから、同厚み当たりの空洞層数が増加し反射率が向上し、太陽電池モジュールの高効率化に寄与する。分散助剤の添加が40重量%より大きい領域では、添加量を増加させても分散径は、小径化しないことがあり添加しても効果がないことがある。
【0033】
本発明に用いられるポリエステル樹脂組成物には、本発明の効果が損なわれない範囲で、耐熱安定剤、耐酸化安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、有機系/無機系の易滑剤、有機系/無機系の微粒子、充填剤、核剤、染料、分散剤、カップリング剤等の添加剤が配合されていてもよい。
【0034】
本発明の積層ポリエステルフィルムは、フィルム全体の厚みが38μm〜500μmの範囲であることが好ましい。厚みが38μmより薄いと、反射層の反射性能と拡散層の拡散性能の効果が不十分となり、発電効率を向上させるという性能が不足する場合がある。また、厚みが500μmより厚いと、生産性が悪化し、本発明の積層ポリエステルフィルムを太陽電池バックシートとして用いる場合、太陽電池バックシートの重量が重くなってしまう場合がある。より好ましくは125μm〜500μmの範囲であり、特に好ましくは150μm〜500μmの範囲である。
【0035】
本発明の積層ポリエステルフィルムは、少なくとも2層からなる積層ポリエステルフィルムであり、少なくとも片側の表層の層厚みが12μm以上であることが好ましい。太陽電池セル側に置かれる表層の層厚みが12μm以上であると、太陽電池側から入射される紫外線が反射層で反射した光を拡散することが可能となり、太陽電池の発電効率を高めることが可能となる。また、太陽電池セルとは反対側の層厚みを12μm以上とすると、耐紫外線性を高めることが可能となる。以上から表層は両層とも12μm以上であることが、発電効率、耐紫外線性向上の観点から好ましい。また、ポリエステルフィルムは紫外線や、雨風により少しずつ膜減りすることが知られているため、20μm以上であることがより好ましい。
【0036】
本発明の積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂組成物は、固有粘度が0.5以上1.0以下であることが機械特性、耐熱性の点から好ましい。より好ましくは、0.7以上0.9以下である。
【0037】
また、本発明の積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂組成物においては、末端カルボキシル基量(以降、COOH末端基量と称する場合がある)が25eq./t(equivalent/ton)以下であることが耐湿熱性の点から好ましい。さらに好ましくは14eq./t以下である。
【0038】
本発明の積層ポリエステルフィルムは、少なくとも一方のフィルム表面側から測定した平均相対反射率が80%以上であることが、本発明の積層ポリエステルフィルムを太陽電池バックシートとして用いたとき、太陽電池モジュールの発電効率を向上できるため好ましい。平均相対反射率が80%未満である場合、太陽電池モジュールの発電効率向上効果が十分に得られない場合がある。
【0039】
本発明の積層ポリエステルフィルムの製造方法として、例えば、表層と基材層の原料をそれぞれ別の押出機に投入し、Tダイからシート状に押し出す工程を含む製造方法(共押出法)、単膜で作製したシートに被覆層原料を押出機に投入して溶融押出して口金から押出しながらラミネートする方法(溶融ラミネート法)などが挙げられるが、本発明の積層ポリエステルフィルムにおいては、後に述べる共押出法が好ましい。
【0040】
本発明において、基材層と表層の上記の積層方法について具体的に説明するが、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0041】
ポリエステル樹脂に非相溶な樹脂aとして環状オレフィンを用い、分散助剤としてポリエチレングリコール、およびポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコール共重合物を用い、これらをポリエチレンテレフタレートに混合し、それを十分混合し乾燥させて、270〜300℃の温度に加熱された押出機Bに供給する。別に、酸化チタンなどの無機粒子を含むポリエチレンテレフタレートを押出機Aに供給し、Tダイ口金内で、押出機Aと押出機Bからのポリマーをそれぞれ押し出すことにより、基材層と表層が積層されたシートとすることが可能である。
【0042】
このようにして溶融され積層されたシートを、ドラム表面温度が10〜60℃に冷却されたドラム上で静電気力によって密着冷却固化して未延伸フィルムとする。
【0043】
本発明の積層ポリエステルフィルムは、例えば、以下(1)〜(6)を満たす製造方法で製造することが好ましい。
(1)ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂組成物を押出機で溶融混練した後、押出しし、冷却ドラム上にて冷却固化して未配向積層ポリエステルフィルムを得る工程(キャスト工程)を含むこと。
(2)(1)により得られた未配向ポリエステルフィルムを、長手方向に、延伸温度70〜120℃、延伸倍率2.0〜4.0倍で延伸して、一軸配向積層ポリエステルフィルムを得る工程を含むこと。
(3)(2)の工程で得られた一軸配向積層ポリエステルフィルムを、幅方向に、延伸温度70〜150℃、延伸倍率3.0〜4.0倍で延伸して、二軸配向積層ポリエステルフィルムを得る工程を含むこと。
(4)(3)の工程で得られた二軸配向積層ポリエステルフィルムを、205〜240℃で熱処理しながら、幅方向に0〜10%弛緩する工程を含むこと。
(5)前記(4)で弛緩した二軸配向積層ポリエステルフィルムを、ロール形状に巻き取る工程(ワインダー工程)を含むこと。
さらに、(6)〜(7)を満たす製造方法により得られることが好ましい。
(6)(1)のキャスト工程において、冷却ドラムの温度が冷却ドラムに接する層を構成するポリエステル樹脂のTg−70℃以上Tg−30℃以下であること。
(7)(1)のキャスト工程において、冷却ドラムに接触している時間(滞留時間)が20秒以上120秒以下であること。
【0044】
以降(1)〜(7)の製造方法について説明する。
【0045】
本発明の積層ポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルム(表層、基材層)を構成するポリエステル樹脂組成物をそれぞれの押出機で溶融混練した後、押出しし、冷却ドラム上にて冷却固化して未配向積層ポリエステルフィルムを得る共押出法が好ましい。溶融ラミネート法では表層と基材層の間の密着力が弱く剥がれやすいからである。
【0046】
(1)のキャスト工程において、冷却ドラムに接触する面をドラム面(D面)と非ドラム面(非D面)とするとき、ドラム面は冷却ドラムにより冷却され、非ドラム面は、10−20℃のエアーで冷却することで破れにくいフィルムを製膜することができ、さらに前述のような2つの結晶化温度を有することができると考えられる。また、冷却ドラムの温度は、表層を構成するポリエステル樹脂のガラス転移温度(以降Tgと称する)−70℃以上Tg−30℃以下であることが好ましい。冷却ドラムの温度を上記の範囲とすることで、未配向ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂の熱結晶化度を適当な範囲に維持したまま縦延伸へと進むことが可能となる。上記の範囲から外れる場合、ドラム面側の熱結晶化度が適当な範囲とならないため、これが原因でフィルム破れを起こしてしまう場合がある。冷却ドラムの温度は、冷却ドラムの温度が冷却ドラムに接する層を構成するポリエステル樹脂のTg−60℃以上Tg−35℃以下であることが好ましく、Tg−55℃以上Tg−40℃以下であることが特に好ましい。
【0047】
また、前記、冷却ドラムに接触している時間(滞留時間)は、20秒以上120秒以下であることが好ましい。冷却ドラムに接することで、ドラム面側は冷却ドラムの凹凸を転写するため、ドラム面の最大粗さを2μm以下にすることができ、さらに前述のような2つの結晶化温度を有することができると考えられる。20秒より短いとポリマーの冷却が急激となるため、熱結晶化が大きく発生し、縦延伸以降でフィルム破れを起こしてしまう場合がある。またドラムの凹凸が十分にフィルムに転写できず、最大粗さを前記の好ましい範囲とすることができない場合がある。冷却ドラムに接している時間が60秒を超える場合は、ドラムが巨大になるか、ドラムの回転速度がかなり遅くなるため、経済的でなく、また、熱結晶化が小さすぎて、縦延伸以降でフィルム破れを起こしてしまう場合がある。冷却ドラムに接触している時間(滞留時間)は、20秒以上60秒以下であることが好ましく、25秒以上45秒以下であることが特に好ましい。
【0048】
冷却されたフィルムはまず、長手方向に延伸される。このとき、延伸温度は70〜120℃、延伸倍率は2.0〜4.0倍で延伸して、一軸配向積層ポリエステルフィルムを得ることが好ましい。この範囲で生産すると生産性を良好に維持したまま、得られるポリエステルフィルムの耐久性や湿熱処理後の密着力を良好にできるため好ましい。
【0049】
幅方向の延伸は、フィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、70〜150℃の温度に加熱された雰囲気中で、長手方向に直角な方向(幅方向)に3〜4倍に延伸することが好ましい。長手方向、幅方向の延伸温度、延伸倍率を上記の範囲とすることにより、膜破れなどの発生を抑制し、生産性良く、また、湿熱処理後のEVA密着力を良好にできるため好ましい。
【0050】
二軸配向積層ポリエステルフィルムを、205〜240℃で熱処理しながら、幅方向に0〜10%弛緩する工程を含むと、表層に形成された表面形状(最大粗さ)をそのまま維持することが容易となる。
【0051】
次の工程で均一に徐冷後、室温まで冷却して巻き取る工程を含むことが好ましい。巻き取ることで生産されたフィルムを一度に多量に運搬することができるため経済的である。
【0052】
前記した本発明の積層ポリエステルフィルムを太陽電池バックシートとして用いることで、高い光反射特性を有し、かつ、耐湿熱性、湿熱処理後の密着性に優れる太陽電池を得ることができる。本発明の積層ポリエステルフィルムは、エチレンービニルアセテート共重合体を含む層を有する太陽電池の太陽電池バックシートに用いられるとき、前記少なくとも2つの結晶化ピークを有する表層がエチレンービニルアセテート共重合体を含む層と接するように用いると、屋外に長期間置かれても太陽電池の裏面封止材(EVA)と高い密着性を保つため好ましい。そして、太陽電池は、カバー材、表側封止材、太陽電池セル、裏側封止材、および本発明の前述の太陽電池バックシートの順に積層され、加熱され得られる。
【0053】
本発明において、上記の各材料を積層し加熱する方法については、具体的には大気圧の状態で封止材の融点以上の温度環境下で、加圧することにより熱圧着する方法や、真空状態で封止材の融点以上の温度環境下で、加圧することにより熱圧着する方法などが挙げられるが、太陽電池内の気泡発生を抑制する観点から、真空状態で加圧し熱圧着することが好ましい態様である。
前記の拡散層が裏側封止材と反射層の間に配置されることにより、太陽電池セルの隙間を通過し、反射層で反射された光をより効率的に太陽電池セルに入射することが可能となる。
【0054】
本発明の太陽電池の概略構成を図1に示す。
図1は、本発明の積層ポリエステルフィルムが、表層、基材層を有する3層積層構成である場合の、本発明の積層ポリエステルフィルムを太陽電池バックシートとして用いた太陽電池の一例を示す断面図である。太陽電池バックシート2は、表層7と基材層8が積層されており、表層7は封止材3側に位置することが好ましい。
【0055】
本発明で用いられるカバー材は、太陽電池の最表面に位置する材料であり、太陽光が直接照射される部分でガラスがよく用いられる。カバー材には、太陽光に対する透過性と、電気絶縁性や積雪や風圧などに対する機械的強度、酸性雨や長期の温度、湿度および紫外線などに対する耐候性、および砂塵や太陽電池施工の際の耐傷付性などが要求される。
【0056】
太陽電池に用いられる封止材としては、EVA、シリコン樹脂、ポリウレタンおよび変性ポリオレフィンなどが挙げられる。これらの中では、耐候性や他部材との密着性および部材コストの観点からEVAが好ましく用いられる。本願では、主要な封止材であるEVA密着力が高いことを目的としている。
【実施例】
【0057】
以下、本発明の積層ポリエステルフィルムについて実施例を用いて説明する。
[物性の測定方法ならびに効果の評価方法]
特性値の評価方法ならびに効果の評価方法は次の通りである。
【0058】
(1)ポリエステルフィルムの厚みと各層の厚み:
ポリエステルフィルムの厚みは、JIS C2151:2006に準じて測定した。ポリエステルフィルムを、ミクロトームを用いて厚み方向に切断し、切片サンプルを得た。その切片サンプルの断面を、日立製作所製電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)S−800を用いて、3000倍の倍率で3点撮像し、3点の撮像から層の厚みの平均値を採寸し各層の厚みと各層の厚みの合計である総厚みを算出した。
【0059】
(2)フィルム断面における空洞含有率:
フィルムをミクロトームで厚み方向に切断し、得られたサンプルの断面を、日立製作所製電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)S−800を用いて、3000倍の倍率で3点撮像し、下記の基準で評価し、3点の撮像から空洞の面積割合を算出し、平均値から空洞のフィルム全体または各層の断面方向に占める面積の割合を、次の式に従い算出した。
・空洞のフィルム全体または各層の断面方向に占める面積の割合
=視野内の空洞の面積/視野内のフィルム全体または各層の面積。
【0060】
(3)末端カルボキシル基量(表中ではCOOH量と記載する。)
末端カルボキシル基量について、 Mauliceの方法に準じて、以下の条件よって測定した。ポリエステルフィルム2gをo−クレゾール/クロロホルム(重量比7/3)50mLに温度80℃にて溶解し、0.05NのKOH/メタノール溶液によって滴定し、末端カルボキシル基量を測定し、当量/ポリエステル1トンの値で示す。なお、滴定時の指示薬はフェノールレッドを用いて、黄緑色から淡紅色に変化したところを滴定の終点とする。
なお、ポリエステル組成物を溶解させた溶液中に不溶物がある場合は、溶液を濾過して濾物の重量測定を行い、濾物の重量を測定試料重量から差し引いた値を測定試料重量として測定する。(文献M.J. Maulice, F. Huizinga, Anal.Chim.Acta,22 363(1960))
(4)固有粘度
オルトクロロフェノール100mlに、測定試料(ポリエステル樹脂(原料)又はポリエステルフィルム)を溶解させ(溶液濃度C(測定試料重量/溶液体積)=1.2g/ml)、その溶液の25℃での粘度をオストワルド粘度計により測定した。また、同様に溶媒の粘度を測定した。得られた溶液粘度、溶媒粘度を用いて、下記式(I)により、[η]を算出し、得られた値をもって固有粘度(IV)とした。
ηsp/C=[η]+K[η]・C ・・・(I)
(ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)―1、Kはハギンス定数(0.343とする)である。)
なお、測定試料を溶解させた溶液に無機粒子などの不溶物がある場合は、以下の方法を用いて測定を行った。
i)オルトクロロフェノール100mLに測定試料を溶解させ、溶液濃度が1.2mg/mLよりも濃い溶液を作成する。ここで、オルトクロロフェノールに供した測定試料の重量を測定試料重量とする。
ii)次に、不溶物を含む溶液を濾過し、不溶物の重量測定と、濾過後の濾液の体積測定を行う。
iii)濾過後の濾液にオルトクロロフェノールを追加して、(測定試料重量(g)−不溶物の重量(g))/(濾過後の濾液の体積(mL)+追加したオルトクロロフェノールの体積(mL))が、1.2g/100mLとなるように調整する。
(例えば、測定試料重量2.0g/溶液体積100mLの濃厚溶液を作成したときに、該溶液を濾過したときの不溶物の重量が0.2g、濾過後の濾液の体積が99mLであった場合は、オルトクロロフェノールを51mL追加する調整を実施する。((2.0g−0.2g)/(99mL+51mL)=1.2g/mL))
iv)iii)で得られた溶液を用いて、25℃での粘度をオストワルド粘度計を用いて測定し、得られた溶液粘度、溶媒粘度を用いて、上記式(C)により、[η]を算出し、得られた値をもって固有粘度(IV)とする。
【0061】
(5)製膜安定性:
ポリエステルフィルムを安定に製膜することができるか、下記の基準で評価した。
○:24時間以上安定に製膜できる。
△:12時間以上24時間未満安定に製膜できる。
×:12時間以内に破断が発生し、安定な製膜ができない。あるいは評価に足るフィルムが得られない。
【0062】
(6)モジュール化による発電向上率:
多結晶シリコン型太陽電池セル「ジンテック社製G156M3」の表面と裏面の銀電極部分に、フラックス「HOZAN社製H722」をディスペンサーで塗布し、表面と裏面の銀電極の上に、155mmの長さに切断した配線材「日立電線社製銅箔SSA−SPS0.2×1.5(20)」を、表面側のセルの片端から10mm離れたところが配線材の端に、そして裏面側は表面側と対称になるように乗せ、半田ごてを用いて、セル裏面側から半田ごてを接触させて表面と裏面を同時に半田溶着し、1セルストリングスを作製した。次に作製した1セルストリングスのセルから飛び出している前記の配線材の長手方向と、180mmに切断した取り出し電極「日立電線社製銅箔A−SPS0.23×6.0」の長手方向が垂直になるよう置き、前記の配線材と取り出し電極が重なる部分に前記のフラックスを塗布して半田溶着を行い、取り出し電極付きストリングスを作製した。この時点において、JIS C8914:2005の基準状態に準じて短絡電流の測定を実施し、セル単体の発電性能とした。
次に、太陽光側から図1のように下の順にセットする。
・カバー材として190mm×190mmのガラス(旭硝子社製太陽電池用3.2mm厚白板熱処理ガラス)
・表側封止材として190mm×190mmのエチレン-ビニルアセテート(サンビック社製封止材0.5mm厚)
・セル単体の発電性能評価を実施した取り出し電極付きストリングス
・裏側封止材として190mm×190mmのエチレン-ビニルアセテート(サンビック社製封止材0.5mm厚)
・測定したいバックシート用ポリエステルフィルム
(ポリエステルフィルムが、表層がエチレン-ビニルアセテート側にくるようにし、190mm×190mmに裁断したもの)
セットしたものをカバー材側から真空ラミネータの熱板と接触するようにセットし、熱板温度145℃、真空引き4分、プレス1分および保持時間10分の条件で、真空ラミネートし、太陽電池モジュールを得た。このとき、取り出し電極付きストリングスはガラス面がセル表面側になるようにセットした。得られた太陽電池モジュールを、JIS C8914:2005の基準状態に準じて測定した短絡電流の測定を実施し、モジュール化後の発電性能とした。
このようにして得られたセル単体の発電性能とモジュール化後の発電性能から、次の式に従い、モジュール化による性能向上率を算出した。
・モジュール化による発電向上率(%)=((モジュール化後の発電性能/セル単体の発電性能)×100)−100(%)。
【0063】
(7)無機粒子含有量
測定試料を秤量し、重さをm1とする。秤量した試料を試料ボートに乗せ、試料ボートをマッフル炉に入れ、900℃にて灰化する。デシケータ内で室温まで試料ボートを冷却し、重さを秤量してmとする。無機粒子含有量(質量%)を下記式で算出する。この試行を5回行い、算術平均を以て含有量(質量%)とする。
(m2−m)/m1×100 ただし、mは試料ボートの重さ。
【0064】
(8)EVAシートとの密着強度評価
JIS K 6854−2(1999)に基づいて、EVAシートとの密着強度を測定した。積層ポリエステルフィルムの表層(少なくとも2つの結晶化ピークを有する層)側にEVAシート(サンビック(株)製、ファストキュアタイプ(500μm厚シート))を重ね、さらにその上に厚さ3mmの半強化ガラスを重ねて、市販のガラスラミネーターを用いて真空引き後、135℃加熱条件下、29.4N/cm荷重で15分プレス処理をして、評価サンプル(疑似太陽電池モジュールサンプル)を作製した。密着強度試験の試験片の幅は10mm、長さは150mmの密着強度評価サンプルを作製した。剥離方法は、一方に半強化ガラスとEVAシートとを把持し、他方に基材層と表層とを把持して、180°剥離、測定数はn=3で測定した。3つの測定値の平均値を密着強度の値として、次の様に判定した。
なお、いずれの表層にも2つの結晶化ピークを有する層を有さない場合、両面について、評価を行い、密着強度が高い方の値によって評価を行った。
A:密着強度が、40N/10mm以上の場合
B:密着強度が、30N/10mm以上40N/10mm未満の場合
C:密着強度が、20N/10mm以上30N/10mm未満の場合
D:密着強度が、20N/10mm未満の場合
A〜Cが良好であり、その中でもAが最も優れている。
【0065】
(9)湿熱試験後の密着性(湿熱試験後のEVAシートとの密着強度)
上記(8)項と同様にして、評価サンプル(疑似太陽電池モジュールサンプル)を作製し、タバイエスペック(株)製プレッシャークッカーにて、温度120℃、相対湿度100%RHの条件下にて48時間処理を行った。その後、上記(8)項に従って、耐湿熱試験後のEVAシートとの密着強度を測定し、次の様に判定した。
A:密着強度が、40N/10mm以上の場合
B:密着強度が、30N/10mm以上40N/10mm未満の場合
C:密着強度が、20N/10mm以上30N/10mm未満の場合
D:密着強度が、20N/10mm未満の場合
A〜Cが良好であり、その中でもAが最も優れている。
【0066】
(10)平均相対反射率
分光光度計U−3410(日立製作所(株)製)を用いて、波長400〜700nmの範囲の分光反射率を波長10nm間隔で測定し、その平均値を平均相対反射率とした。サンプル数はn=5とし、それぞれの平均相対反射率を測定して、その平均値を算出した。測定ユニットはφ60mmの積分球(型番130−0632)を使用し、10°傾斜スペーサーを取り付けた。また、標準白色板には酸化アルミニウム(型番210−0740)を使用した。なお、フィルムが積層フィルムである場合には、本発明のポリエステル層側から測定する。
【0067】
(11)結晶化温度(結晶化ピークのピークトップ温度)
JIS K7122(JISハンドブック1999年版)記載の方法に準じて、セイコー電子工業(株)製示差走査熱量測定装置“ロボットDSC−RDC220”を、データ解析にはディスクセッション“SSC/5200”を用いて、ポリエステル樹脂組成物のガラス転移温度Tgや結晶化ピークを測定した。結晶化ピークが複数の場合、最も高温側をTcc−1、最も低温側をTcc−2とした。また、ショルダーピークの場合は変曲点の温度を読み取った。測定は、まずフィルムの表層を剥がし(剥がれない場合は削り出し)、サンプルパンにこの表層サンプルを5mg秤量し、昇温速度は20℃/min、1stRUNで樹脂を25℃から300℃まで20℃/分の昇温速度で加熱し、その状態で5分間保持し、次いで25℃以下まで急冷し、再度室温から20℃/分の昇温速度で300℃まで昇温を行って測定を行った。得られた2ndRunのDSC曲線(結晶化エンタルピー)におけるTgの後、融解ピークの前にある結晶化ピーク(及びショルダーピーク)のピークトップ(及び変曲点)の温度を結晶化温度Tccとした。
【0068】
次に、本発明について実施例を用いて説明する。しかしながら、本発明はこれら実施例により限定して解釈されるものではない。
【0069】
(実施例1)
(ポリエチレンテレフタレート)
テレフタル酸100重量部、エチレングリコール57.5重量部、酢酸マンガン0.03重量部(Mn金属元素換算で1.35mol/t)、三酸化アンチモン0.03重量部を150℃、窒素雰囲気下で溶融後、攪拌しながら230℃まで3時間かけて昇温し、メタノールを留出させ、エステル交換反応を終了した。エステル交換反応終了後、リン酸0.005重量部(P元素換算で0.52mol/t相当)とリン酸二水素ナトリウム2水和物0.021重量部(P元素換算で1.3mol/t相当)をエチレングリコール0.5重量部に溶解したエチレングリコール溶液(pH5.0)を添加した。その後、重合反応を最終到達温度285℃、真空度0.1Torrで行い、固有粘度0.52、カルボキシル基量16eq/tのポリエチレンテレフタラートを得た。得られたポリエチレンテレフタレートを160℃で6時間乾燥、結晶化させたのち、220℃、真空度0.3Torr、8時間の固相重合を行い、固有粘度0.85、末端カルボキシル基量10.2eq/t、融点255℃、ガラス転移温度Tgが82℃のポリエチレンテレフタレート1を得た。
【0070】
(基材層(層C))
基材層材料について上述の方法で作成したポリエチレンテレフタレート1を72.5重量%と、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合物1(PBT/PTMG、商品名:東レデュポン社製“ハイトレル”(登録商標))を9重量%と、全ジオール単位中1,4−シクロヘキサンジメタノールを33mol%共重合された共重合ポリエチレンテレフタレート1(PET/CHDM)を9重量%と、非相溶ポリマーとして環状オレフィン共重合体としてガラス転移温度Tgが190℃であるエチレン−ノルボルネン共重合体1(COC)を9重量%と無機粒子として、数平均二次粒径0.25μmの二酸化チタン50重量%を分散させた二酸化チタンマスターチップ1(マスターチップ総量に対して二酸化チタン50重量%含有、当該マスターチップはポリエステル成分として、ポリエチレンテレフタレート1のみを含む)0.5重量%を調整混合し基材層材料とし、これを180℃の温度で3時間乾燥させた後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Bに投入した。
【0071】
(表層(層A、層B))
一方、表層を構成する原料として、上で作成したポリエチレンテレフタレート1を76重量%と、無機粒子として、数平均二次粒径0.25μmの二酸化チタン50重量%を分散させた二酸化チタンマスターチップ1を24重量%とを調整混合し、表層材料とする。これを180℃の温度で3時間真空乾燥した後、280℃の温度に加熱された押出機Aに投入する。
【0072】
(積層ポリエステルフィルム)
押出機A、Bに供給されたポリマーを、A/C/B(表層/基材層/表層、層Aと層Bを構成する原料は同じ)となり、フィルム層の厚み比で12:126:12となるように積層装置を通して積層し、Tダイからシート状に成形し、表面温度が25℃の冷却ドラムへA層側を接触させて、40秒間冷却固化した。その間、ドラムに接触しない側は15℃のエアーを風速20m/秒でかけることで冷却をおこなった。こうして得られた未延伸フィルムを、85〜98℃の温度に加熱されたロール群に導き、長手方向に3.4倍縦延伸し、21℃の温度のロール群で冷却した。続いて、このようにして得られた縦延伸したフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、120℃の温度に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向に3.6倍横延伸した。その後、テンター内で200℃の温度の熱固定を行い、均一に徐冷後、25℃まで冷却して、冷却固化するときにドラムに接触した面を巻き外面として巻き取り、厚み150μmのポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムを太陽電池バックシートとして使用した際のモジュール化による発電向上率は、8.1%であり、物性は表1のとおりである。製膜安定性があり、湿熱処理後の密着性も良好であった。
【0073】
(実施例2)
上述の方法で作成したポリエチレンテレフタレート1を24.5重量%と、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合物1を25重量%と、共重合ポリエチレンテレフタレート1を25重量%と、非相溶ポリマーとしてエチレン−ノルボルネン共重合体1を25重量%と二酸化チタンマスターチップ1を0.5重量%調整混合し基材層材料とし、これを180℃の温度で3時間乾燥させた後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Bに投入した。表層材料は実施例1と同様とした。押出機A、Bに供給されたポリマーを、A/C/B(表層/基材層/表層、層Aと層Bを構成する原料は同じ)となり、フィルム層の厚み比で12:136:12となるように積層装置を通して積層し、それ以外は実施例1と同じ手順で製膜を行い、サンプルを採取し評価を行ったところ製膜安定性やEVA密着力は実施例1には劣るが問題ないレベルとなった(表1)。
【0074】
(実施例3)
上述の方法で作成したポリエチレンテレフタレート1を54.5重量%と、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合物1を15重量%と、共重合ポリエチレンテレフタレート1を15重量%と、非相溶ポリマーとしてポリメチルペンテン1(PMP、商品名:三井化学社製“TPX”(登録商標))を15重量%と無機粒子として、二酸化チタンマスターチップ1を0.5重量%調整混合し基材層材料Cとし、これを180℃の温度で3時間乾燥させた後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Bに投入した。表層材料は実施例1と同様とした。押出機A、Bに供給されたポリマーを、A/C/B(表層/基材層/表層、層Aと層Bを構成する原料は同じ)となり、フィルム層の厚み比で12:136:12となるように積層装置を通して積層し、それ以外は実施例1と同じ手順で製膜を行い、サンプルを採取し評価を行ったところ実施例1には劣るが問題ないレベルとなった(表1)。
【0075】
(実施例4)
上述の方法で作成したポリエチレンテレフタレート1を69.5重量%と、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合物1を10重量%と、共重合ポリエチレンテレフタレート1を10重量%と、非相溶ポリマーとしてエチレン−ノルボルネン共重合体1を10重量%と二酸化チタンマスターチップ1を0.5重量%調整混合し基材層材料とし、これを180℃の温度で3時間乾燥させた後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Bに投入した。表層材料は実施例1と同様とした。押出機A、Bに供給されたポリマーを、A/C/B(表層/基材層/表層、層Aと層Bを構成する原料は同じ)となり、フィルム層の厚み比で12:136:12となるように積層装置を通して積層し、それ以外は実施例1と同じ手順で製膜を行い、サンプルを採取し評価を行ったところ製膜安定性やEVA密着力は実施例1には劣るが問題ないレベルとなった(表1)。
【0076】
(実施例5)
上述の方法で作成したポリエチレンテレフタレート1を90.5重量%と、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合物1を3重量%と、共重合ポリエチレンテレフタレート1を3重量%と、非相溶ポリマーとしてポリメチルペンテン1を3重量%と二酸化チタンマスターチップ1を0.5重量%調整混合し基材層材料とし、これを180℃の温度で3時間乾燥させた後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Bに投入した。表層材料は実施例1と同様とした。押出機A、Bに供給されたポリマーを、A/C/B(表層/基材層/表層、層Aと層Bを構成する原料は同じ)となり、フィルム層の厚み比で12:136:12となるように積層装置を通して積層し、それ以外は実施例1と同じ手順で製膜を行い、サンプルを採取し評価を行ったところ製膜安定性やEVA密着力は実施例1には劣るが問題ないレベルとなった(表1)。
【0077】
(実施例6)
実施例4と同じ手順で基材層材料を調製し、これを180℃の温度で3時間乾燥させた後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Bに投入した。表層材料は実施例1と同様とした。押出機A、Bに供給されたポリマーを、A/C/B(表層/基材層/表層、層Aと層Bを構成する原料は同じ)となり、フィルム層の厚み比で12:136:12となるように積層装置を通して積層し、Tダイからシート状に成形し、表面温度が25℃の冷却ドラムへA層側を接触させて、20秒間冷却固化して得た。それ以外は実施例1と同じ手順で製膜を行い、サンプルを採取し評価を行ったところ製膜安定性やEVA密着力は実施例1には劣るが問題ないレベルとなった(表1)。
【0078】
(実施例7)
上述の方法で作成したポリエチレンテレフタレート1を9.5重量%と、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合物1を30重量%と、共重合ポリエチレンテレフタレート1を30重量%と、非相溶ポリマーとしてエチレン−ノルボルネン共重合体1を30重量%と二酸化チタンマスターチップ1を0.5重量%調整混合し基材層材料とし、これを180℃の温度で3時間乾燥させた後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Bに投入した。表層材料はポリエチレンテレフタレート1を70重量%、二酸化チタンマスターチップを30重量%とした以外は実施例1と同様とした。押出機A、Bに供給されたポリマーを、A/C/B(表層/基材層/表層、層Aと層Bを構成する原料は同じ)となり、フィルム層の厚み比で25:300:25となるように積層装置を通して積層し、それ以外は実施例1と同じ手順で製膜を行い、サンプルを採取し評価を行ったところ製膜安定性やEVA密着力は実施例1同等レベルとなった(表1)。
【0079】
(実施例8)
実施例1と同じ手順で基材層材料を調製し、これを180℃の温度で3時間乾燥させた後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Bに投入した。表層材料はポリエチレンテレフタレート1を84重量%、二酸化チタンマスターチップを16重量%とした以外は実施例1と同様とした。押出機A、Bに供給されたポリマーを、A/C/B(表層/基材層/表層、層Aと層Bを構成する原料は同じ)となり、フィルム層の厚み比で6:26:6となるように積層装置を通して積層し、それ以外は実施例1と同じ手順で製膜を行い、サンプルを採取し評価を行ったところ製膜安定性やEVA密着力は実施例1にはやや劣るが問題ないレベルとなった(表2)。
【0080】
(実施例9)
実施例4と同じ手順で基材層材料を調製し、これを180℃の温度で3時間乾燥させた後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Bに投入した。表層材料はポリエチレンテレフタレート1を70重量%、二酸化チタンマスターチップを30重量%とした以外は実施例1と同様とした。押出機A、Bに供給されたポリマーを、A/C/B(表層/基材層/表層、層Aと層Bを構成する原料は同じ)となり、フィルム層の厚み比で12:126:12となるように積層装置を通して積層し、Tダイからシート状に成形し、表面温度が25℃の冷却ドラムへA層側を接触させて、100秒間冷却固化して得た。それ以外は実施例1と同じ手順で製膜を行い、サンプルを採取し評価を行ったところ製膜安定性やEVA密着力は実施例1と同等のレベルとなった(表2)。
【0081】
(実施例10)
上述の方法で作成したポリエチレンテレフタレート1を69.5重量%と、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合物1を10重量%と、共重合ポリエチレンテレフタレート1を10重量%と、非相溶ポリマーとしてポリメチルペンテン1を10重量%と二酸化チタンマスターチップ1を0.5重量%調整混合し基材層材料とし、これを180℃の温度で3時間乾燥させた後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Bに投入した。表層材料は実施例1と同様とした。押出機A、Bに供給されたポリマーを、A/C/B(表層/基材層/表層、層Aと層Bを構成する原料は同じ)となり、フィルム層の厚み比で12:126:12となるように積層装置を通して積層し、それ以外は実施例1と同じ手順で製膜を行い、サンプルを採取し評価を行ったところ製膜安定性やEVA密着力は実施例1には劣るが問題ないレベルとなった(表2)。
【0082】
(実施例11)
上述の方法で作成したポリエチレンテレフタレート1を81.5重量%と、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合物1を6重量%と、共重合ポリエチレンテレフタレート1を6重量%と、非相溶ポリマーとしてエチレン−ノルボルネン共重合体1を6重量%と二酸化チタンマスターチップ1を0.5重量%調整混合し基材層材料とし、これを180℃の温度で3時間乾燥させた後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Bに投入した。表層材料はポリエチレンテレフタレート1を99重量%、二酸化チタンマスターチップを1重量%とした以外は実施例1と同様とした。押出機A、Bに供給されたポリマーを、A/C/B(表層/基材層/表層、層Aと層Bを構成する原料は同じ)となり、フィルム層の厚み比で12:226:12となるように積層装置を通して積層し、それ以外は実施例1と同じ手順で製膜を行い、サンプルを採取し評価を行ったところ製膜安定性やEVA密着力は実施例1には劣るが問題ないレベルとなった(表2)。
【0083】
(実施例12)
上述の方法で作成したポリエチレンテレフタレート1を90.5重量%と、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合物1を3重量%と、共重合ポリエチレンテレフタレート1を3重量%と、非相溶ポリマーとしてエチレン−ノルボルネン共重合体1を3重量%と二酸化チタンマスターチップ1を0.5重量%調整混合し基材層材料とし、これを180℃の温度で3時間乾燥させた後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Bに投入した。表層材料はポリエチレンテレフタレート1を80重量%、二酸化チタンマスターチップを20重量%とした以外は実施例1と同様とした。押出機A、Bに供給されたポリマーを、A/C/B(表層/基材層/表層、層Aと層Bを構成する原料は同じ)となり、フィルム層の厚み比で25:60:25となるように積層装置を通して積層し、それ以外は実施例1と同じ手順で製膜を行い、サンプルを採取し評価を行ったところ製膜安定性やEVA密着力は実施例1には劣るが問題ないレベルとなった(表2)。
【0084】
(実施例13)
表層材料は実施例12と同様とした。押出機Aに供給されたポリマーを、厚み160μmとなるように調整し、実施例1と比べて基材層のないフィルム(層構成はA/B、層Aと層Bを構成する原料は同じ)を得た。評価を行ったところ、製膜安定性は良好であり、湿熱処理後のEVA密着力も問題ないレベルであったが、反射率は低いものとなった(表2)。
【0085】
(実施例14)
上述の方法で作成したポリエチレンテレフタレート1を81.5重量%と、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合物1を6重量%と、共重合ポリエチレンテレフタレート1を6重量%と、非相溶ポリマーとしてエチレン−ノルボルネン共重合体1を6重量%と二酸化チタンマスターチップ1を0.5重量%調整混合し基材層材料とし、これを180℃の温度で3時間乾燥させた後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Bに投入した。表層材料は実施例1と同様とした。押出機A、Bに供給されたポリマーを、A/C/B(表層/基材層/表層、層Aと層Bを構成する原料は同じ)となり、フィルム層の厚み比で12:126:12となるように積層装置を通して積層し、それ以外は実施例1と同じ手順で製膜を行い、サンプルを採取し評価を行ったところ製膜安定性やEVA密着力は実施例1と同等のレベルとなった(表2)。
【0086】
(実施例15)
上述の方法で作成したポリエチレンテレフタレート1を63.5重量%と、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合物1を12重量%と、共重合ポリエチレンテレフタレート1を12重量%と、非相溶ポリマーとしてエチレン−ノルボルネン共重合体1を12重量%と二酸化チタンマスターチップ1を0.5重量%調整混合し基材層材料とし、これを180℃の温度で3時間乾燥させた後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Bに投入した。表層材料は実施例1と同様とした。押出機A、Bに供給されたポリマーを、A/C/B(表層/基材層/表層、層Aと層Bを構成する原料は同じ)となり、フィルム層の厚み比で12:126:12となるように積層装置を通して積層し、それ以外は実施例1と同じ手順で製膜を行い、サンプルを採取し評価を行ったところ製膜安定性やEVA密着力は実施例1と同等のレベルとなった(表2)。
【0087】
(比較例1)
上述の方法で作成したポリエチレンテレフタレート1を9.5重量%と、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合物1を20重量%と、共重合ポリエチレンテレフタレート1を20重量%と、非相溶ポリマーとしてポリメチルペンテン1を50重量%と二酸化チタンマスターチップ1を0.5重量%調整混合し基材層材料とし、これを180℃の温度で3時間乾燥させた後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Bに投入した。表層材料は実施例1と同様とした。押出機A、Bに供給されたポリマーを、A/C/B(表層/基材層/表層、層Aと層Bを構成する原料は同じ)となり、フィルム層の厚み比で12:126:12となるように積層装置を通して積層し、Tダイからシート状に成形し、表面温度が25℃の冷却ドラムへA層側を接触させて、15秒間冷却固化して得た。それ以外は実施例1と同じ手順で製膜を行い、サンプルを採取し評価を行ったところ、製膜安定性に乏しく、湿熱処理後のEVA密着力も低いものとなった(表3)。
【0088】
(比較例2)
上述の方法で作成したポリエチレンテレフタレート1を96.5重量%と、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合物1を1重量%と、共重合ポリエチレンテレフタレート1を1重量%と、非相溶ポリマーとしてエチレン−ノルボルネン共重合体1を1重量%と二酸化チタンマスターチップ1を0.5重量%調整混合し基材層材料とし、これを180℃の温度で3時間乾燥させた後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Bに投入した。表層材料は実施例1と同様とした。押出機A、Bに供給されたポリマーを、A/C/B(表層/基材層/表層、層Aと層Bを構成する原料は同じ)となり、フィルム層の厚み比で12:126:12となるように積層装置を通して積層し、それ以外は実施例1と同じ手順で製膜を行い、サンプルを採取し評価を行ったところ、製膜安定性は良好であったが、反射率が実施例と比べて低く、湿熱処理後のEVA密着力も低いものとなった(表3)。
【0089】
(比較例3)
上述の方法で作成したポリエチレンテレフタレート1を72.5重量%と、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合物1を9重量%と、共重合ポリエチレンテレフタレート1を9重量%と、非相溶ポリマーとしてエチレン−ノルボルネン共重合体1を9重量%と二酸化チタンマスターチップ1を0.5重量%調整混合し基材層材料とし、これを180℃の温度で3時間乾燥させた後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Bに投入した。表層材料はポリエチレンテレフタレート1を38重量%、二酸化チタンマスターチップを62重量%とした以外実施例1と同様とした。押出機A、Bに供給されたポリマーを、A/C/B(表層/基材層/表層、層Aと層Bを構成する原料は同じ)となり、フィルム層の厚み比で50:50:50となるように積層装置を通して積層し、それ以外は実施例1と同じ手順で製膜を行い、サンプルを採取し評価を行ったところ、製膜安定性は良好であったが、湿熱処理後のEVA密着力も低いものとなった(表3)。
【0090】
(比較例4)
上述の方法で作成したポリエチレンテレフタレート1を72.5重量%と、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合物1を9重量%と、共重合ポリエチレンテレフタレート1を9重量%と、非相溶ポリマーとしてエチレン−ノルボルネン共重合体1を9重量%と二酸化チタンマスターチップ1を0.5重量%調整混合し基材層材料とし、これを180℃の温度で3時間乾燥させた後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Bに投入した。表層材料は実施例1と同様とした。押出機A、Bに供給されたポリマーを、A/C/B(表層/基材層/表層、層Aと層Bを構成する原料は同じ)となり、フィルム層の厚み比で3:30:3となるように積層装置を通して積層し、Tダイからシート状に成形し、表面温度が25℃の冷却ドラムへA層側を接触させて、10秒間冷却固化して得た。それ以外は実施例1と同じ手順で製膜を行い、サンプルを採取し評価を行ったところ、製膜安定性が必死例と比べてやや劣り、反射率も低く、湿熱処理後のEVA密着力も低いものとなった(表3)。
【0091】
(比較例5)
上述の方法で作成したポリエチレンテレフタレート1よりもCOOH量の多いポリエチレンテレフタレートを72.5重量%と、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合物1を9重量%と、共重合ポリエチレンテレフタレート1を9重量%と、非相溶ポリマーとしてエチレン−ノルボルネン共重合体1を9重量%と二酸化チタンマスターチップ1を0.5重量%調整混合し基材層材料とし、これを180℃の温度で3時間乾燥させた後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Bに投入した。表層材料は実施例1と同様とした。押出機A、Bに供給されたポリマーを、A/C/B(表層/基材層/表層、層Aと層Bを構成する原料は同じ)となり、フィルム層の厚み比で12:126:12となるように積層装置を通して積層し、Tダイからシート状に成形し、表面温度が25℃の冷却ドラムへA層側を接触させて、15秒間冷却固化して得た。それ以外は実施例1と同じ手順で製膜を行い、サンプルを採取し評価を行ったところ、製膜安定性は良好であったが、フィルム全体のCOOH末端量は30eq/tであり、湿熱処理後のEVA密着力も低いものとなった(表3)。
【0092】
(比較例6)
上述の方法で作成したポリエチレンテレフタレート1を72.5重量%と、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合物1を9重量%と、共重合ポリエチレンテレフタレート1を9重量%と、非相溶ポリマーとしてエチレン−ノルボルネン共重合体1を9重量%と二酸化チタンマスターチップ1を0.5重量%調整混合し基材層材料とし、これを180℃の温度で3時間乾燥させた後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Bに投入した。表層材料はポリエチレンテレフタレート1を60重量%、二酸化チタンマスターチップを40重量%とした以外実施例1と同様とした。押出機A、Bに供給されたポリマーを、A/C/B(表層/基材層/表層、層Aと層Bを構成する原料は同じ)となり、フィルム層の厚み比で12:126:12となるように積層装置を通して積層し、それ以外は実施例1と同じ手順で製膜を行い、サンプルを採取し評価を行ったところ、製膜安定性は良好であったが、湿熱処理後のEVA密着力も低いものとなった(表3)。
【0093】
(比較例7)
上述の方法で作成したポリエチレンテレフタレート1を1.5重量%と、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合物1を19重量%と、共重合ポリエチレンテレフタレート1を19重量%と、非相溶ポリマーとしてエチレン−ノルボルネン共重合体1を60重量%と二酸化チタンマスターチップ1を0.5重量%調整混合し基材層材料とし、これを180℃の温度で3時間乾燥させた後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Bに投入した。表層材料はポリエチレンテレフタレート1を70重量%、二酸化チタンマスターチップを30重量%とした以外実施例1と同様とした。押出機A、Bに供給されたポリマーを、A/C/B(表層/基材層/表層、層Aと層Bを構成する原料は同じ)となり、フィルム層の厚み比で3:144:3となるように積層装置を通して積層し、それ以外は実施例1と同じ手順で製膜を行ったが、製膜性が著しく低く、評価可能なサンプルを得ることができなかった(表3)。
【0094】
【表1】
【0095】
【表2】
【0096】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明のポリエステルフィルムは、耐湿熱性、湿熱処理後の封止材(EVA)との密着性に優れるため、太陽電池バックシート用途に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0098】
1:太陽電池
2:太陽電池バックシート
3:裏側封止材
4:表側封止材
5:カバー材
6:太陽電池セル
7:表層(裏側封止材(エチレンービニルアセテート共重合体を含む層)と接する側)
8:基材層
9:表層
図1