特開2018-202881(P2018-202881A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-202881(P2018-202881A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】乗物用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20181130BHJP
【FI】
   B60N2/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-106467(P2017-106467)
(22)【出願日】2017年5月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】山下 志麻
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087DE10
(57)【要約】
【課題】 シートパッドの部位によっては厚み寸法が小さく、当該部位にワイヤーハーネスを収納可能な溝部を確保することが困難な場合においても、ワイヤーハーネスを配索可能な乗物用シートを提供する。
【解決手段】 薄肉部11Aにはワイヤーハーネス13の露出部13Eが配策され、厚肉部にはワイヤーハーネス13の被覆部が配索されている。これにより、薄肉部11Aに設けられた凹部15の奥行き深さ寸法を小さくすることができるので、薄肉部11Aにもワイヤーハーネス13を配索でき得る。被覆部は、複数の素線13Aがチューブで覆われた部位である。露出部13Eは、複数の素線13Aがチューブで覆われていない部位である。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物に搭載される乗物用シートにおいて、
骨格を構成するシートフレームと、
前記シートフレームを覆うように当該シートフレームに装着されたシートパッドと、
前記シートパッドに設けられた凹部に格納されたワイヤーハーネスであって、複数の素線が可撓性を有するチューブ内に収納されたワイヤーハーネスとを備え、
前記ワイヤーハーネスには、前記複数の素線が前記チューブにより覆われた被覆部、及び当該チューブに覆われず露出した露出部が設けられており、
さらに、前記シートパッドのうち前記露出部が配索された部位を薄肉部とし、前記シートパッドのうち前記被覆部が配索された部位を厚肉部としたとき、
前記薄肉部の厚み寸法は、前記厚肉部の厚み寸法より小さい乗物用シート。
【請求項2】
前記チューブの外表面には、少なくとも1つの突起部が設けられている請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項3】
前記薄肉部に設けられた前記凹部は、入口側寸法が奥側寸法より小さい請求項1又は2に記載の乗物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、乗物に搭載される乗物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の乗物用シートでは、シートパッドの裏面に設けられた溝部にワイヤーハーネスが収納されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−223955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パッドの部位によっては厚み寸法が小さく、当該部位にワイヤーハーネスを収納可能な溝部を確保することが困難な場合がある。本願は、当該場合においても、ワイヤーハーネスを配索可能な乗物用シートの一例を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
乗物用シートは、シートフレーム(9)を覆うように当該シートフレーム(9)に装着されたシートパッド(11)と、シートパッド(11)に設けられた凹部(15)に格納されたワイヤーハーネス(13)であって、複数の素線(13A)が可撓性を有するチューブ(13B)内に収納されたワイヤーハーネス(13)とを備えている。
【0006】
ワイヤーハーネス(13)には、複数の素線(13A)がチューブ(13B)により覆われた被覆部(13D)、及び当該チューブ(13B)に覆われず露出した露出部(13E)が設けられている。
【0007】
さらに、シートパッド(11)のうち露出部(13E)が配索された部位を薄肉部(11A)とし、シートパッド(11)のうち被覆部(13D)が配索された部位を厚肉部(11B)としたとき、薄肉部(11A)の厚み寸法(T1)は、厚肉部(11B)の厚み寸法(T2)より小さい。
【0008】
これにより、薄肉部(11A)に設けられた凹部(15)の奥行き(深さ)寸法を小さくすることができるので、薄肉部(11A)にもワイヤーハーネス(13)を配索でき得る。
【0009】
すなわち、ワイヤーハーネス(13)の最大外径寸法は、チューブ(13B)の外径寸法と一致する。つまり、被覆部(13D)の外径寸法は、チューブ(13B)の外径寸法と一致する。
【0010】
これに対して、露出部(13E)はチューブ(13B)が存在しないので、当該露出部(13E)の最大外形寸法は、露出部(13E)に比べて小さくなる。したがって、薄肉部(11A)に設けられた凹部(15)の奥行き(深さ)寸法を小さくすることができるので、薄肉部(11A)にもワイヤーハーネス(13)を配索でき得る。
【0011】
なお、本願は、以下のように構成してもよい。
すなわち、チューブ(13B)の外表面には、少なくとも1つの突起部(13C)が設けられていることが望ましい。これにより、突起部(13C)がシートパッド(11)に食い込むようにして当該シートパッド(11)に引っ掛かって係止されるので、ワイヤーハーネス(13)が、当該ワイヤーハーネス(13)の長手方向に移動してしまうことを規制でき得る。
【0012】
露出部(13E)においては、複数の素線(13A)がチューブ(13B)により拘束されていないので、各素線(13A)が凹部(15)から抜け出る可能性がある。これに対して、薄肉部(11A)に設けられた凹部(15)の入口側寸法(W1)が奥側寸法(W2)より小さい構成であれば、各素線(13A)が凹部(15)から抜け出ることを抑制でき得る。
【0013】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本発明は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る乗物用シートの外観図である。
図2】本発明の実施形態に係る乗物用シートのシートバックの水平断面図である。
図3】本発明の実施形態に係る乗物用シートのシートバックの水平断面図である。
図4図2の一部拡大図である。
図5図3の一部拡大図である。
図6】本発明の実施形態に係るチューブの外観拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に説明する「発明の実施形態」は、本願発明の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されるものではない。
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。なお、各図に付された方向を示す矢印等は、各図相互の関係を理解し易くするために記載したものである。本発明は、各図に付された方向に限定されるものではない。
【0017】
少なくとも符号を付して説明した部材又は部位は、「1つの」等の断りをした場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。
【0018】
(第1実施形態)
1.乗物用シートの概要
本実施形態は、車両用シートに本発明に係る乗物用シートを適用したものである。乗物用シート1は、図1に示すように、シートクッション3及びシートバック5等を備える。シートクッション3は着席者の臀部を支持する部位である。シートバック5は着席者の背部を支持する部位である。
【0019】
クッションフレーム7はシートクッション3の骨格を構成する部材である。バックフレーム9はシートバック5の骨格を構成する部材である。つまり、クッションフレーム7及びバックフレーム9は、乗物用シート1のシートフレームを構成する。
【0020】
2.シートバックの構成
シートバック5は、バックフレーム9及びバックパッド11(図2参照)等を有する。バックフレーム9は、一対のサイドフレーム9A、9B、及びアッパパネル9C等を有して構成されている。
【0021】
サイドフレーム9Aは、シート幅方向一端側に配設されて略上下方向に延びている。サイドフレーム9Bはシート幅方向他端側に配設されて略上下方向に延びている。サイドフレーム9Aの水平断面形状は、図2に示すように、サイドフレーム9B側が開口した開断面形状である。
【0022】
すなわち、サイドフレーム9Aは、第1パネル部91及び一対の第2パネル部92、93等を少なくとも有している。第1パネル部91は、シート幅方向と略直交又は交差する板面を有して上下方向に延びる帯板状の部位である。
【0023】
各第2パネル部92、93は、第1パネル部91のシート前後方向端部からサイドフレーム9B側に突出した壁状のフランジ部である。各第2パネル部92、93は、第1パネル部91の延び方向に略全域に亘って第1パネル部91に設けられている。
【0024】
サイドフレーム9Bの水平断面形状は、サイドフレーム9A側が開口した開断面形状である。つまり、サイドフレーム9Bはサイドフレーム9Aと概ね対称構造である。したがって、サイドフレーム9Bの説明は省略する。
【0025】
アッパパネル9Cは、図1に示すように、サイドフレーム9Aの上端側とサイドフレーム9Bの上端側とを連結する部材である。アッパパネル9Cは、シート後方側が開口した開断面形状である。
【0026】
バックパッド11は、ウレタン等の弾性的に変形可能なクッション材である。当該バックパッド11は、図2に示すように、バックフレーム9を覆うように当該バックフレーム9に装着されている。バックパッド11の表面は表皮12により覆われている。
【0027】
3.ワイヤーハーネスの配索構造
バックパッド11のうちサイドフレーム9A及びサイドフレーム9Bのうち少なくとも一方のサイドフレーム(本実施形態では、サイドフレーム9A)側には、図2に示すように、ワイヤーハーネス13が配索されている。
【0028】
ワイヤーハーネス13は、バックパッド11に設けられた凹部15に格納されている。ワイヤーハーネス13は、乗物用シート1に搭載された電気機器(図示せず。)に駆動電流及び制御信号のうち少なくとも一方(以下、電流等という。)を送信するための電気線である。
【0029】
ワイヤーハーネス13は、図4に示すように、複数の素線13A及びチューブ13B等を有する。複数の素線13Aは電流等を送信する。チューブ13Bは可撓性を有する円筒状の管である。各素線13Aの一部は当該チューブ13B内に収納されている。
【0030】
本実施形態に係るチューブ13Bの外表面には、図6に示すように、少なくとも1つの突起部13Cが設けられている。本実施形態に係る突起部13Cは、チューブ13Bの長手方向に沿って複数設けられている。
【0031】
複数の突起部13Cそれぞれは、チューブ13Bの円周方向全域に亘って突出した鍔状のフランジ部により構成されている。なお、本実施形態に係るチューブ13Bは、複数の突起部13Cと共に樹脂にて一体成形された、いわゆる「コルゲートチューブ」である。
【0032】
ワイヤーハーネス13には被覆部13D及び露出部13Eが設けられている。被覆部13Dは、図4に示すように、複数の素線13Aがチューブ13Bにより覆われた部分である。露出部13Eは、図5に示すように、複数の素線13Aがチューブ13Bに覆われず露出した部分である。
【0033】
そして、薄肉部11Aの厚み寸法T1(図3参照)は、厚肉部11Bの厚み寸法T2(図2参照)より小さくなっている。薄肉部11Aとは、バックパッド11のうち露出部13Eが配索された部位をいう(図3参照)。厚肉部11Bとは、バックパッド11のうち被覆部13Dが配索された部位をいう。
【0034】
本実施形態に係る薄肉部11Aは、サイドフレーム9Aの外側にブラケット9Dが設けられたために生じた部位である。すなわち、シートバック5のシート幅方向外形寸法は、当該乗物用シート1が搭載される乗物の仕様で決まる。
【0035】
このため、サイドフレーム9Aの外側にブラケット9Dが設けられた部位においては、バックパッド11の厚み寸法が小さくなり、薄肉部11Aとならざるを得ない。なお、サイドフレーム9Aの外側とは、シート幅方向において、当該サイドフレーム9Aに対してサイドフレーム9Bと反対側をいう。
【0036】
凹部15は、図2に示すように、第1パネル部91側が開口した溝状の部位である。当該凹部15は、第1パネル部91の延び方向に沿って略上下方向に延びている。凹部15のうち少なくとも薄肉部11Aに設けられた部位(以下、薄肉凹部という。)は、図5に示すように、入口側寸法W1が奥側寸法W2より小さい形状となっている。具体的には、薄肉凹部の水平断面形状は、入口側を上底とし、奥側を下底とした略台形状である。
【0037】
4.本実施形態に係る乗物用シートの特徴
薄肉部11Aには露出部13Eが配策され、厚肉部11Bには被覆部13Dが配索されている。これにより、薄肉部11Aに設けられた凹部15の奥行き深さ寸法を小さくすることができるので、薄肉部11Aにもワイヤーハーネス13を配索でき得る。
【0038】
すなわち、ワイヤーハーネス13の最大外径寸法は、チューブ13Bの外径寸法と一致する。つまり、被覆部13Dの外径寸法は、チューブ13Bの外径寸法と一致する。
これに対して、露出部13Eはチューブ13Bが存在しないので、当該露出部13Eの最大外形寸法は、露出部13Eに比べて小さくなる。したがって、薄肉部11Aに設けられた凹部15の奥行き深さ寸法を小さくすることができるので、薄肉部11Aにもワイヤーハーネス13を配索でき得る。
【0039】
チューブ13Bの外表面には、少なくとも1つの突起部13Cが設けられている。これにより、突起部13Cがバックパッド11に食い込むようにして当該バックパッド11に引っ掛かって係止されるので、ワイヤーハーネス13が、当該ワイヤーハーネス13の長手方向本実施形態では、上下方向に移動してしまうことを規制でき得る。
【0040】
露出部13Eにおいては、複数の素線13Aがチューブ13Bにより拘束されていないので、各素線13Aが凹部15から抜け出る可能性がある。これに対して、薄肉部11Aに設けられた凹部15の入口側寸法W1が奥側寸法W2より小さいので、各素線13Aが凹部15から抜け出ることを抑制でき得る。
【0041】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、バックパッド11にワイヤーハーネス13が配索された例であった。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば、クッションパッドにワイヤーハーネス13が配索された構成であってもよい。
【0042】
上述の実施形態に係るチューブ13Bは、複数の突起部13Cを有するコルゲートチューブであった。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。単純なパイプ状の管にて構成されたチューブ13Bであってもよい。
【0043】
上述の実施形態に係る薄肉凹部は、入口側寸法W1が奥側寸法W2より小さい台形状であった。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば、入口側寸法W1と奥側寸法W2とが同一寸法である矩形状、又は入口側寸法W1が奥側寸法W2より小さい略円形状(図2参照)であってもよい。
【0044】
上述の実施形態に係る露出部13Eは、複数の素線13Aが剥きだし状態であった。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、扁平状の角筒体等のチューブ13B以外の部材で覆われていてもよい。
【0045】
上述の実施形態に係る凹部15には突起部13Cが嵌合する溝等の凹部が設けられていなかった。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、凹部15の壁面に突起部13Cが嵌合する溝等の凹部が設けられた構成であってよい。
【0046】
上述の実施形態では、車両用シートに本発明に係る乗物用シートを適用した。しかし、本発明の適用はこれに限定されるものではなく、鉄道車両、船舶及び航空機等の乗物に用いられるシートにも適用できる。
【0047】
さらに、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1… 乗物用シート 3… シートクッション 5… シートバック
7… クッションフレーム 9… バックフレーム
9A、9B… サイドフレーム 9C… アッパパネル
11… バックパッド 11A… 薄肉部 11B… 厚肉部
12… 表皮 13… ワイヤーハーネス 13A… 素線
13B… チューブ 13C… 突起部 13D… 被覆部
13E… 露出部 15… 凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6