【解決手段】HUD装置100は表示光Lをフロントガラス200に出射することで虚像Vを表示する。HUD装置100は、表示光Lを出射する表示器120と、周囲の明るさを判定する明るさ判定部と、虚像Vを表示可能な表示領域Cの奥行き方向Yの長さを調整する表示領域調整部と、明るさ判定部により判定された明るさに応じて表示領域調整部を介して奥行き方向Yにおける表示領域Cの長さを調整する制御部170と、を備える。
前記制御部は、前記明るさ判定部により判定された前記明るさが閾値を超えたときには前記虚像を2次元的に表す2次元虚像を前記表示領域に表示し、前記明るさが前記閾値以下のときには前記虚像を3次元的に表す3次元虚像を前記表示領域に表示する、
請求項1から3の何れか一項に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係るヘッドアップディスプレイ装置(以下、「HUD装置」と称する。)の一実施形態について
図1〜
図7を参照しながら説明する。
【0010】
図1(a)に示すように、HUD装置100は、車両300のダッシュボード301内に搭載されている。HUD装置100は、車両300の透光部材の一例であるフロントガラス200に向けて虚像Vを表す表示光Lを出射する。例えば運転者である視認者Uは、フロントガラス200で反射した表示光Lを受けて、フロントガラス200を通して見える実風景に重畳した虚像Vを視認可能となる。
【0011】
図1(b)に示すように、HUD装置100は、筐体110と、表示器120と、スクリーン130と、スクリーン位置調整部140と、平面鏡150と、凹面鏡160と、制御部170と、を備える。
【0012】
筐体110は、遮光性を有する樹脂により箱状に形成され、表示器120、スクリーン130、スクリーン位置調整部140、平面鏡150及び凹面鏡160を収容する。筐体110の上部には、表示光Lを通過させる開口部111が設けられている。開口部111は、透光性のカバー112で覆われている。
【0013】
表示器120は、虚像Vを表す表示光Lをスクリーン130へ出射する。詳しくは、表示器120は、光を放射するバックライト121と、バックライト121からの光を受けて画像を生成する表示素子122と、を備える。表示素子122は、制御部170による制御のもと動作する液晶パネル又はDMD(Digital Micromirror Device)素子からなる。
【0014】
スクリーン130は、ホログラフィックディフューザ、マイクロレンズアレイ、拡散板等から構成される透過型スクリーンである。スクリーン130は、一面に表示光Lが入射すると、その他面に表示画像を結像し、その表示画像を示す表示光Lを平面鏡150に向けて出射する。
【0015】
スクリーン位置調整部140は、スクリーン移動方向Aに沿ってスクリーン130の位置を移動させる。スクリーン移動方向Aは、表示器120から出射される表示光Lの光軸に沿う方向である。これにより、
図1(a)に示すように、虚像Vが表示される表示面Bの位置が車両300の前後方向に沿う奥行き方向Yに移動する。例えば、スクリーン位置調整部140は、モータ又はアクチュエーター等の駆動部と、当該駆動部の駆動力をスクリーン130に直線運動として伝達する伝達機構と、を備える。
なお、スクリーン130と後述する凹面鏡160との距離が離れるほど光学距離が長くなるため、車両300から虚像Vまでの距離が離れる。
【0016】
図1(b)に示すように、平面鏡150は、スクリーン130から入射した表示光Lを凹面鏡160へ反射する。平面鏡150は、合成樹脂やガラス等から形成された平板状の基材と、その基材の一方の面に形成された金属の反射膜と、を備える。
【0017】
凹面鏡160は、表示光Lをフロントガラス200へ向けて反射する。凹面鏡160は、合成樹脂やガラス等から形成された曲面板状の基材と、その基材の一方の面に形成された金属の反射膜と、を備える。平面鏡150と凹面鏡160とは、スクリーン130からの表示光Lをフロントガラス200へ導く光学系を構成している。
【0018】
また、
図1(a)に示すように、車両300のフロントガラス200の上部には照度検出部320が設けられている。照度検出部320はフォトダイオードからなり、
図2に示すように、車両300の周囲の外光の照度を検出し、その検出結果を制御部170に出力する。
【0019】
制御部170は、何れも図示しない、制御プログラムが記憶されたメモリと、メモリに記憶された制御プログラムを実行することで後述する各フローチャートに係る表示処理等を実行するCPU(Central Processing Unit)と、画像を生成するGDC(Graphics Display Controller)と、を備える。制御部170は、機能として、明るさ判定部171と、画像生成部172と、表示領域調整部173と、を備える。
【0020】
明るさ判定部171は、照度検出部320により検出された照度に応じて周囲の明るさを判定する。
【0021】
表示領域調整部173は、スクリーン位置調整部140を介してスクリーン130の位置情報を検出しつつ、表示器120が表示光Lをスクリーン130に投影するタイミングを制御することで虚像Vを表示可能な表示領域C(
図3及び
図4参照)を調整する。
例えば、表示領域調整部173は、虚像Vを2次元的に示す2次元虚像V2を表示する場合には、スクリーン130が特定の位置にあるタイミングのみ表示光Lを出射し、スクリーン130上に表示画像を表示する。これにより、
図3(a),(b)に示すように、表示領域Cが第1の位置P1に平面状に形成され、その表示領域C内に2次元虚像V2が表示される。
本例では、2次元虚像V2が表示される表示領域Cは、視認者Uからの視線方向に対して垂直な方向に延び、視認者Uから見て左右方向に長い長方形をなす。2次元虚像V2は、車両300の車速V2a、車線V2b、前方車両V2cを表す。2次元虚像V2のうち車線V2b及び前方車両V2cは、2次元的に奥行き方向Yを示すように絵で表示されている。2次元虚像V2のうち車速V2aは文字にて表示されている。
【0022】
例えば、表示領域調整部173は、虚像Vを3次元的に示す3次元虚像V3を表示する場合には、スクリーン130をスクリーン移動方向Aに沿って高速で往復移動させる。これにより、
図4(a),(b)に示すように、虚像Vの表示面Bを第1の位置P1と第2の位置P2の間で奥行き方向Yに往復移動させることができる。よって、第1の位置P1と第2の位置P2の間に立方体の表示領域Cを形成し、その表示領域Cに3次元虚像V3を表示させることができる。
本例では、第2の位置P2は、第1の位置P1よりも視認者Uから離れた位置にある。3次元虚像V3が表示される表示領域Cは、奥行き方向Yに長い長方形柱状に形成されている。3次元虚像V3は、2次元虚像V2と同内容の車両300の速度V3a、車線V3b、前方車両V3cを表す。3次元虚像V3のうち車線V3bは奥行き方向Yに延びるように絵で表示される。また、3次元虚像V3のうち前方車両V3cは奥行き方向Yにおける実際の前方車両に対応する位置に絵で表示される。3次元虚像V3のうち車速V3aは文字にて表示領域Cの前面Fに表示される。
本例では、制御部170は、スクリーン移動方向Aにおけるスクリーン130の振幅を一定に保ちつつ、奥行き方向Yにおける表示領域Cの長さLを調整する。すなわち、制御部170は、スクリーン130がその振幅のうち第1の範囲に位置している期間においては表示光Lを出射せず、スクリーン130がその振幅のうち第2の範囲に位置している期間においては表示光Lを出射する。第1の範囲及び第2の範囲の位置及び比率が調整されることで表示領域Cの位置及び長さLが調整される。なお、制御部170は、スクリーン130の振幅を変化させることで、表示領域Cの長さLを調整してもよい。
【0023】
画像生成部172は、表示領域調整部173からのスクリーン130の位置情報に基づき表示器120の表示素子122を制御することで画像を生成する。画像生成部172は、表示領域調整部173と連動することで、2次元虚像V2及び3次元虚像V3を表示する。例えば、3次元虚像V3を表示する場合、画像生成部172は、往復移動する表示面Bの位置に応じた画像を生成する。
【0024】
次に、
図5に示すフローチャートを参照しつつ、制御部170によって実行される表示処理について説明する。当該表示処理は、HUD装置100の電源がオンされている期間において繰り返し実行される。
【0025】
まず、制御部170は、照度検出部320により検出された照度を取得し(ステップS101)、明るさ判定部171を介して検出された照度に応じて周囲の明るさを判定する(ステップS102)。そして、制御部170は、判定された周囲の明るさが予め記憶された閾値Thを超えるか否かを判別する(ステップS103)。閾値Thは、夜と昼を区別するための明るさに設定されている。
【0026】
制御部170は、周囲の明るさが閾値Thを超える旨判別すると(ステップS103:YES)、表示領域調整部173を介して2次元虚像V2を表示する(ステップS105)。
【0027】
一方、制御部170は、周囲の明るさが閾値Th以下である旨判別すると(ステップS103:NO)、表示領域調整部173を介して3次元虚像V3を表示する(ステップS104)。
以上で、当該フローチャートに係る表示処理を終了する。
【0028】
次に、
図6を参照しつつ、2次元虚像V2から3次元虚像V3に表示を切り替える際の作用について説明する。
制御部170は、周囲の明るさが閾値Thを超えた状態においては、
図6(a)に示すように、2次元虚像V2を表示する。このとき、表示領域Cの奥行き方向Yの長さL(厚さ)は長さL0である。この長さL0は、表示領域Cが平面状となる程度に小さく設定される。
【0029】
そして、制御部170は、周囲の明るさが閾値Th以下となったときには、
図6(b)〜(d)に示すように、表示領域調整部173を介して表示領域Cの奥行き方向Yの長さLを時間の経過とともに徐々に長くすることで2次元虚像V2から3次元虚像V3に表示を切り替える。
【0030】
詳しくは、制御部170は、
図6(a),(b)及び
図7に示すように、周囲の明るさが閾値Th以下となった時刻から所定時間T1経過するまでに、表示領域Cの奥行き方向Yの長さLを長さL0から長さL1まで延ばす。さらに、それから所定時間T2経過するまでに、
図6(c)及び
図7に示すように、表示領域Cの奥行き方向Yの長さLを長さL1から長さL2まで延ばす。さらに、それから所定時間T3経過するまでに、
図6(d)及び
図7に示すように、表示領域Cの奥行き方向Yの長さLを長さL2から長さL3まで延ばした後、表示領域Cの長さLの延長を停止する。その後、周囲の明るさが閾値Th以下にあれば、この3次元虚像V3の表示が継続される。
【0031】
また、制御部170は、奥行き方向Yにおける視認者Uから離れる方向に3次元虚像V3の長さLを延ばす。よって、表示領域Cの前面Fは、2次元虚像V2が表示される第1の位置P1に位置する。よって、2次元虚像V2と3次元虚像V3で表示を切り替える際に、第1の位置P1に表示される虚像Vのサイズ及び表示内容に変化がない。このため、文字として表示される車速V2a,V3aの視認性を向上させることができる。
【0032】
これと反対に、3次元虚像V3から2次元虚像V2に表示を切り替える際には、制御部170は表示領域Cの奥行き方向Yの長さLを徐々に短くする。
【0033】
(効果)
以上、説明した一実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0034】
(1)HUD装置100は表示光Lをフロントガラス200に出射することで虚像Vを表示する。HUD装置100は、表示光Lを出射する表示器120と、周囲の明るさを判定する明るさ判定部171と、虚像Vを表示可能な表示領域Cの奥行き方向Yの長さLを調整する表示領域調整部173と、明るさ判定部171により判定された明るさに応じて表示領域調整部173を介して奥行き方向Yにおける表示領域Cの長さLを調整する制御部170と、を備える。
この構成によれば、周囲の明るい場合に表示領域Cの長さLが短く設定されるため、周囲が明るく外界からの情報が多い場合に虚像Vを見る視認者Uにかかる負担を低減することができる。よって、周囲の明るさに適した虚像Vを表示することができる。
【0035】
(2)制御部170は、明るさ判定部171により判定された明るさが閾値Th以下まで暗くなると奥行き方向Yにおける表示領域Cの長さLを長くする。
この構成によれば、周囲が暗く外界からの情報が少ない場合には表示領域Cの長さLが長く設定されるため、視認者Uに過度な負担をかけることなく、より表現力の高い表示を可能とすることができる。
【0036】
(3)HUD装置100は周囲の照度を検出する照度検出部320を備える。明るさ判定部171は、照度検出部320により検出された照度に応じて明るさを判定する。
この構成によれば、より精度高く周囲の明るさが判定される。よって、より周囲の明るさに適した虚像Vの表示を実現できる。
【0037】
(4)制御部170は、明るさ判定部171により判定された明るさが閾値Thを超えたときには虚像Vを2次元的に表す2次元虚像V2を表示領域Cに表示し、明るさが閾値Th以下のときには虚像Vを3次元的に表す3次元虚像V3を表示領域Cに表示する。
この構成によれば、周囲が明るい場合に2次元虚像V2が表示されるため、周囲が明るく外界からの情報量が多い状況において、虚像Vを視認する際に視認者Uにかかる負担を低減することができる。また、周囲が暗く外界からの情報量が少ない状況においては、より表現力の高い3次元虚像V3を表示しても、視認者Uの負担となりづらい。
【0038】
(5)制御部170は、2次元虚像V2と3次元虚像V3との間で表示を切り替える際には奥行き方向Yにおける表示領域Cの長さLを徐々に変化させる。
この構成によれば、視認者Uに違和感を与えることを抑制しつつ、2次元虚像V2と3次元虚像V3との間で表示を切り替えることができる。
【0039】
(6)制御部170は、2次元虚像V2から3次元虚像V3に表示を切り替える際、奥行き方向Yにおける視認者Uから離れる方向に延びるように表示領域Cの長さLを長くする。
この構成によれば、2次元虚像V2から3次元虚像V3に表示を切り替える際であっても、表示領域Cにおける視認者U側の前面Fが固定されるため、視認者Uに違和感を与えることを抑制できる。
また、表示領域Cにおける視認者U側の前面Fには文字からなる車速V3aが表示される。これにより、車速V3aを固定しつつ表示領域Cの長さLを変化させることができ、視認性を向上させることができる。
【0040】
(7)2次元虚像V2と3次元虚像V3とは互いに同一内容の情報を含む。
この構成によれば、2次元虚像V2と3次元虚像V3との間で表示を切り替えた場合であっても、視認者Uに違和感を与えることを抑制できる。
【0041】
(変形例)
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
【0042】
上記実施形態においては、明るさ判定部171は、照度検出部320により検出された照度に応じて周囲の明るさを判定していたが、これに限らず、現在の位置と現在の時刻に基づき周囲の明るさを判定してもよい。
詳しくは、HUD装置100は、
図2に一点鎖線で示すように、さらに、車両300の位置情報を取得する位置情報取得部310と、現在の時刻を検出する時計315と、を備える。位置情報取得部310は、GNSS(Global Navigation Satellite System)衛星から随時GNSS情報を取得する。
制御部170のメモリ(図示略)には、車両300の位置(例えば国、都道府県、区市町村)及び時刻に明るさが関連づけられたデータテーブルが記憶されている。そして、明るさ判定部171は、記憶されたデータテーブルを参照しつつ、位置情報取得部310により取得された車両300の位置と時計315により検出された時刻に基づき現在の周囲の明るさを判定する。この時刻には年月日に係る情報が付加されてもよい。
また、明るさ判定部171は、インターネットを介して天気等の情報を取得し、その取得した情報に基づき周囲の明るさを判定してもよい。
【0043】
また、明るさ判定部171は、時計315により検出された時刻に基づき、現在が昼、夜の何れであるかを判別し、昼と判別されたときには2次元虚像V2を表示し、夜と判別されたときには3次元虚像V3を表示してもよい。例えば、現在の時刻が昼の時間帯(例えば6時〜17時)である場合には昼であると判別し、夜の時間帯(例えば17時〜6時)である場合には夜であると判別してもよい。昼の時間帯及び夜の時間帯は、季節に応じて変更されてもよいし、視認者Uにより調整されてもよい。
また、制御部170は、位置情報取得部310により取得された車両300の位置と時計315により検出された年月日及び時刻に基づき、現在が昼、夜の何れであるかを判別してもよい。
詳しくは、制御部170は、明るさ判定部171により判定された明るさが閾値Thを超えて、かつ現在が昼であると判別している場合には2次元虚像V2を表示する。
また、制御部170は、明るさ判定部171により判定された明るさが閾値Thを超えても、現在が夜であると判別している場合には3次元虚像V3を表示する。これにより、例えば、夜に車両300が照明灯からの光を受けて明るさが閾値Thを超えた場合であっても3次元虚像V3が維持される。よって、夜に2次元虚像V2が表示されることが抑制されるとともに、短時間で2次元虚像V2と3次元虚像V3間で表示が切り替わることが抑制される。
また、制御部170は、明るさ判定部171により判定された明るさが閾値Th以下であって、かつ現在が夜であると判別している場合には3次元虚像V3を表示する。
また、制御部170は、明るさ判定部171により判定された明るさが閾値Th以下であっても、現在が昼であると判別している場合には2次元虚像V2を表示する。これにより、例えば、昼に車両300が構造物の影に入り、明るさが閾値Th以下となった場合であっても2次元虚像V2が維持される。よって、昼に2次元虚像V2が表示されることが抑制されるとともに、短時間で2次元虚像V2と3次元虚像V3間で表示が切り替わることが抑制される。
【0044】
また、明るさ判定部171は、車両300に搭載されるECU(Electronic Control Unit)から取得した車両情報に基づき周囲の明るさを判定してもよい。
例えば、明るさ判定部171は、車両情報にヘッドライトがオンされている旨の情報が含まれているときに3次元虚像V3を表示し、車両情報にヘッドライトがオフされている旨の情報が含まれているときに2次元虚像V2を表示する。この構成によれば、照度検出部320を省略することができる。
【0045】
上記実施形態においては、閾値Thは1つであったが、複数の閾値が設定されてもよい。例えば、
図8に示すように、第1〜第3の閾値Th1〜Th3が設定されてもよい。この場合、制御部170は、明るさと第1〜第3の閾値Th1〜Th3との比較に基づき表示領域Cの奥行き方向Yの長さLを長さL1〜L3に設定する。
詳しくは、制御部170は、明るさが第1の閾値Th1を超えた状態では、
図6(a)に示すように、2次元虚像V2を表示する。また、明るさが第1の閾値Th1以下であって、かつ第2の閾値Th2を超えたとき、
図6(b)に示すように、表示領域Cの奥行き方向Yの長さLを長さL1に設定する。また、明るさが第2の閾値Th2以下であって、かつ第3の閾値Th3を超えたとき、
図6(c)に示すように、表示領域Cの奥行き方向Yの長さLを長さL2に設定する。また、明るさが第3の閾値Th3以下であるとき、
図6(d)に示すように、表示領域Cの奥行き方向Yの長さLを長さL3に設定する。制御部170は、表示領域Cの奥行き方向Yの長さLを長さL1〜L3間で変更する際には、表示領域Cの奥行き方向Yの長さLを徐々に延長又は短縮する。
【0046】
2次元虚像V2と3次元虚像V3の間で表示を切り替える際の作用は上記実施形態に限らない。
例えば、
図9に示すように、制御部170は、2次元虚像V2から3次元虚像V3に表示を切り替える際、2次元虚像V2のサイズ(面積)を徐々に小さくした後に、2次元虚像V2から3次元虚像V3へ表示を切り替え、その後、3次元虚像V3のサイズ(体積)を徐々に大きくしてもよい。
詳しくは、まず、
図9(a)〜(c)に示すように、2次元虚像V2の表示領域Cの面積を小さくする。この表示領域Cの面積を小さくする際、2次元虚像V2の相似形が保たれる。そして、
図9(d)に示すように、表示面積が小さい2次元虚像V2から体積が小さい3次元虚像V3に表示を切り替える。そして、
図9(e)に示すように、3次元虚像V3の表示領域Cの体積を大きくする。この体積を大きくする際、3次元虚像V3の相似形が保たれる。これと反対に、3次元虚像V3から2次元虚像V2に表示を切り替える場合には、制御部170は、3次元虚像V3のサイズ(体積)を徐々に小さくした後に、3次元虚像V3から2次元虚像V2へ表示を切り替え、その後、2次元虚像V2のサイズ(面積)を徐々に大きくしてもよい。この構成によれば、より円滑に2次元虚像V2と3次元虚像V3の間で表示を切り替えることができる。
また、この構成において、
図10に示すように、制御部170は、2次元虚像V2の表示領域Cのサイズ(面積)を徐々に小さくした後に点Pcを表示し、その点Pcから3次元虚像V3に表示を切り替えてもよい。この点以外は、上記
図9の作用と同様である。
【0047】
また、
図11に示すように、制御部170は、2次元虚像V2から3次元虚像V3に表示を切り替える際、2次元虚像V2を第1の位置P1から第2の位置P2に移動させた後に3次元虚像V3に表示を切り替え、3次元虚像V3の表示領域Cの長さLを長くしてもよい。この際、表示領域Cの前面Fが第1の位置P1に近づくように3次元虚像V3の表示領域Cの長さLを長くする。これと反対に、3次元虚像V3から2次元虚像V2に表示を切り替える場合には、制御部170は、3次元虚像V3の表示領域Cの長さLを短くした後に2次元虚像V2に表示を切り替え、2次元虚像V2を第2の位置P2から第1の位置P1に移動させてもよい。この構成によれば、より円滑に2次元虚像V2と3次元虚像V3の間で表示を切り替えることができる。
なお、
図9〜
図11の何れの構成においても、第1の実施形態のように明るさが閾値Thを跨いだときに、短時間で2次元虚像V2と3次元虚像V3間で表示を切り替えてもよいし、上述した変形例のように判定された明るさに応じて虚像Vの表示領域Cのサイズ等を順次切り替えてもよい。
【0048】
上記実施形態における照度検出部320は、自動でヘッドライトを点灯させるオートヘッドライトにおいて利用されるものであってもよい。この構成によれば、車両300の構成を簡素化することができる。
また、上記実施形態においては、照度検出部320はフロントガラス200の上部に設けられていたが、フロントガラス200の下部に設けられていてもよい。また、照度検出部320は、HUD装置100の筐体110の内部、例えば、カバー112に対向する位置に設けられていてもよい。
【0049】
上記実施形態において、閾値Thは、図示しない操作部への視認者Uによる操作により調整可能に構成されていてもよい。
【0050】
上記実施形態における閾値Thは、短時間で2次元虚像V2と3次元虚像V3が切り替わることを防ぐためにヒステリシスを持って設定されてもよい。この場合、例えば、2次元虚像V2から3次元虚像V3へ表示を切り替える際の閾値よりもその後に3次元虚像V3から2次元虚像V2へ表示を戻す際の閾値を高く設定する。同様に、3次元虚像V3から2次元虚像V2へ表示を切り替える際の閾値よりもその後に2次元虚像V2から3次元虚像V3へ表示を戻す際の閾値を低く設定する。
【0051】
上記実施形態においては、制御部170は、明るさが閾値Thを超えたときには2次元虚像V2を表示し、明るさが閾値Th以下のときには3次元虚像V3を表示していた。しかし、明るさに関わらず、3次元虚像V3を維持してもよい。この場合、明るさに応じて3次元虚像V3を表示する表示領域Cの長さLを調整することで、明るさに適した3次元虚像V3を表示させることができる。例えば、周囲が明るい場合には、3次元虚像V3を表示する表示領域Cの長さLが短く設定される。このため、虚像Vを視認する際に視認者Uにかかる負担を低減することができる。
【0052】
上記実施形態においては、
図4(a)に示すように、表示領域Cの前面Fには車速V3aが表示されていたが、これに限らず、ガソリン又は電池残量、エンジン回転数、カーナビゲーション表示、ウインカー表示等の各種車両情報が文字、図形又は記号により表示されてもよい。
【0053】
上記実施形態においては、HUD装置100は車両300に搭載されていたが、車両300以外の飛行機、船等の乗り物に搭載されていてもよい。また、HUD装置100は表示光Lを透光部材の一例であるフロントガラス200に照射していたが、透光部材はフロントガラス200に限らず専用のコンバイナであってもよい。
【0054】
上記実施形態のHUD装置100は、パララックスバリア方式やレンチキュラレンズ方式などを含む視差分割方式、ライトフィールド方式やホログラム方式を含む空間再生方式、特許文献2に開示されているように透過率を調整可能な調光層を有する複数のスクリーンを厚み方向に重ねて配置し、複数のスクリーンに向けてプロジェクタが投射像を高速で切り替えながら投影し、投射像の高速切り替えに応じて、複数のスクリーンがそれぞれ調光率を適宜調整することで3次元の実像を装置内部に表示する透過率調整スクリーン方式、特許文献3に開示されているように複数の液晶表示素子を厚み方向に重ねることで3次元の実像を装置内部に表示する方式などを採用してもよい。