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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-202925(P2018-202925A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】動力伝達装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 6/36 20071001AFI20181130BHJP
   B60K 17/356 20060101ALI20181130BHJP
   B60K 17/348 20060101ALI20181130BHJP
   B60K 6/48 20071001ALI20181130BHJP
   B60K 6/52 20071001ALI20181130BHJP
   B60K 6/54 20071001ALI20181130BHJP
   B60K 6/26 20071001ALI20181130BHJP
【FI】
   B60K6/36
   B60K17/356 B
   B60K17/348 B
   B60K6/48ZHV
   B60K6/52
   B60K6/54
   B60K6/26
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-107653(P2017-107653)
(22)【出願日】2017年5月31日
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125265
【弁理士】
【氏名又は名称】貝塚 亮平
(74)【代理人】
【識別番号】100142158
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 啓
(72)【発明者】
【氏名】谷本 安広
【テーマコード(参考)】
3D043
3D202
【Fターム(参考)】
3D043AB01
3D043AB17
3D043EA03
3D043EA05
3D043EA18
3D043EA34
3D043EA35
3D202AA08
3D202EE02
3D202EE13
3D202FF02
3D202FF04
3D202FF13
3D202FF14
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で、内燃機関の動力と電気モータの動力とを含む複数系統の動力の入力、又は複数の電気モータの動力の入力に対応することができる動力伝達装置を提供する。
【解決手段】第一動力源(ENG)からの動力を車軸(ARL,ARR)に伝達する第一動力伝達部(10)と、第二動力源(MOT)からの動力を車軸(ARL,ARR)に伝達する第二動力伝達部(20)と、を備え、第一動力伝達部(10)は、第一回転軸(3)上に設けた第一駆動ベベルギヤ(11)と、車軸(ARL,ARR)上に設けられて第一駆動ベベルギヤ(11)と噛み合う第一従動ベベルギヤ(12)とを備え、第二動力伝達部(20)は、第二回転軸(4)上に設けた第二駆動ベベルギヤ(21)と、車軸(ARL,ARR)上に設けられて第二駆動ベベルギヤ(21)と噛み合う第二従動ベベルギヤ(22)とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の動力源からの動力を駆動輪に伝達するための動力伝達装置であって、
前記動力源は、第一動力源と第二動力源とを含み、
前記車両の前後方向に延びて前記第一動力源からの動力が伝達される第一回転軸と、
前記車両の前後方向に延びて前記第二動力源からの動力が伝達される第二回転軸と、
前記駆動輪に繋がる車軸と、
前記第一動力源の動力を前記車軸に伝達する第一動力伝達部と、
前記第二動力源の動力を前記車軸に伝達する第二動力伝達部と、を備え、
前記第一動力伝達部は、前記第一回転軸上に設けた第一駆動ベベルギヤと、前記車軸上に設けられて前記第一駆動ベベルギヤと噛み合う第一従動ベベルギヤとを備え、
前記第二動力伝達部は、前記第二回転軸上に設けた第二駆動ベベルギヤと、前記車軸上に設けられて前記第二駆動ベベルギヤと噛み合う前記第二従動ベベルギヤとを備える
ことを特徴とする車両の動力伝達装置。
【請求項2】
前記第一動力源は、内燃機関であり、
前記第二動力源は、電気モータである
ことを特徴とする請求項1に記載の車両の動力伝達装置。
【請求項3】
前記第一動力源と前記第二動力源は、いずれも電気モータである
ことを特徴とする請求項1に記載の車両の動力伝達装置。
【請求項4】
前記動力源は、第三動力源をさらに含み、
前記車両の前後方向に延びて前記第三動力源からの動力が伝達される第三回転軸と、
前記第三動力源からの動力を前記車軸に伝達する第三動力伝達部と、を備え、
前記第三動力伝達部は、前記第三回転軸上に設けた第三駆動ベベルギヤと、前記車軸上に設けられて前記第三駆動ベベルギヤと噛み合う第三従動ベベルギヤとを備える
ことを特徴とする請求項1に記載の車両の動力伝達装置。
【請求項5】
前記第一動力源は、内燃機関であり、
前記第二動力源と前記第三動力源は、いずれも電気モータである
ことを特徴とする請求項4に記載の車両の動力伝達装置。
【請求項6】
前記第一動力源と前記第二動力源と前記第三動力源は、いずれも電気モータである
ことを特徴とする請求項4に記載の車両の動力伝達装置。
【請求項7】
前記車両は、主駆動輪と副駆動輪とを備える四輪駆動車両であり、
前記駆動輪は、前記副駆動輪である
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の動力伝達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の動力源からの動力を駆動輪に伝達するための動力伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示すように、車両において動力源からの動力を駆動輪に伝達する動力伝達装置がある。この動力伝達装置は、動力源として内燃機関のみを備えた四輪駆動車両の動力伝達装置であり、内燃機関の動力を副駆動輪である後輪に伝達するためのプロペラシャフトと、プロペラシャフトと後輪の車軸との間に設けた動力伝達部(ディファレンシャル機構)とを備えている。動力伝達部は、プロペラシャフトの後端部に設けた駆動ベベルギヤ(ピニオンギヤ)と、後輪の車軸上に設けられて駆動ベベルギヤと噛み合う従動ベベルギヤ(リングギヤ)とを備えている。
【0003】
ところで、車両の動力源に電気モータを用いる電動化が進んでいることに伴い、車両の動力伝達装置には、動力源として内燃機関と電気モータの両方を備える場合には、内燃機関からの動力と電気モータからの動力とを含む複数系統の動力の入力に対応する必要がある。また、動力源として複数の電気モータを備える場合には、これら複数の電気モータからの動力の入力を含む複数系統の動力の入力に対応する必要がある。また、複数系統の動力の入力を受けて当該複数系統の動力それぞれの制御を個別に行うことができる構成が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−149535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な構成で、エンジン(内燃機関)の動力と電気モータの動力とを含む複数系統の動力の入力、又は複数の電気モータの動力の入力に対応することができる動力伝達装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明にかかる動力伝達装置は、車両の動力源(ENG,MOT)からの動力を駆動輪(WRL,WRR)に伝達するための動力伝達装置(1)であって、動力源(ENG,MOT)は、第一動力源(ENG)と第二動力源(MOT)とを含み、車両の前後方向に延びて第一動力源(ENG)からの動力が伝達される第一回転軸(3)と、車両の前後方向に延びて第二動力源(MOT)からの動力が伝達される第二回転軸(4)と、駆動輪(WRL,WRR)に繋がる車軸(ARL,ARR)と、第一動力源(ENG)からの動力を車軸(ARL,ARR)に伝達する第一動力伝達部(10)と、第二動力源(MOT)からの動力を車軸(ARL,ARR)に伝達する第二動力伝達部(20)と、を備え、第一動力伝達部(10)は、第一回転軸(3)上に設けた第一駆動ベベルギヤ(11)と、車軸(ARL,ARR)上に設けられて第一駆動ベベルギヤ(11)と噛み合う第一従動ベベルギヤ(12)とを備え、第二動力伝達部(20)は、第二回転軸(4)上に設けた第二駆動ベベルギヤ(21)と、車軸(ARL,ARR)上に設けられて第二駆動ベベルギヤ(21)と噛み合う第二従動ベベルギヤ(22)とを備える
ことを特徴とする。
【0007】
本発明にかかる動力伝達装置によれば、第一動力源の動力を駆動輪に伝達する第一動力伝達部と、第二動力源の動力を駆動輪に伝達する第二動力伝達部とを備えることで、例えば、第一動力源を内燃機関とし第二動力源を電気モータとする場合は、内燃機関の動力と電気モータの動力との複数系統の動力の入力を受けて駆動輪に伝達することができる動力伝達装置となり、第一動力源と第二動力源をいずれも電気モータとする場合は、複数の電気モータの動力の入力を受けて駆動輪に伝達することができる動力伝達装置となる。したがって、簡単な構成で、複数系統の動力の入力に対応することが可能な動力伝達装置となる。また、複数系統の動力の入力それぞれを個別に制御することができるので、複数の動力源の動力による車両の走行制御を効率的に行うことができる動力伝達装置となる。
【0008】
また、上記の動力伝達装置では、第一動力源は、内燃機関(ENG)であり、第二動力源は、電気モータ(MOT)であってよい。
【0009】
この構成によれば、第一動力源を内燃機関とし、第二動力源を電気モータとしたことで、第一動力伝達部と第二動力伝達部とで内燃機関の動力の入力と電気モータの動力の入力とを受けることにより、駆動輪に伝達する動力の制御として、例えば下記のような制御を行うことが可能となる。
【0010】
内燃機関の動力を第一動力伝達部に伝達しない状態では、車両の走行中に第二動力伝達部を介して駆動輪から電気モータに伝達される動力を用いて電気モータで回生を行うことができる。
【0011】
内燃機関の動力の運転点(トルクまたは回転数領域)が効率の観点から有利ではない運転点では、内燃機関の動力を駆動輪に伝達せず(内燃機関の動力を用いず)に電気モータの動力を駆動輪に伝達して(電気モータの動力のみで)車両を走行させる。これにより、内燃機関の効率の良い運転点を用いて車両を走行させることができるので、燃費(燃料消費率)の向上や環境負荷の低減を図ることができる。
【0012】
内燃機関の回転数の共振域では、内燃機関の動力を駆動輪に伝達せず(内燃機関の動力を用いず)に電気モータの動力を駆動輪に伝達して(電気モータの動力のみで)車両を走行させる。これにより、内燃機関の共振に伴い発生する振動・騒音の効果的な低減(振動・騒音の低減性能の向上)を図ることができる。
【0013】
また、上記の動力伝達装置では、第一動力源と第二動力源は、いずれも電気モータ(MOT1,MOT2)であってもよい。
【0014】
この構成によれば、第一動力源を第一電気モータとし、第二動力源を第二電気モータとしたことで、第一動力伝達部と第二動力伝達部とで複数の電気モータの動力の入力を受けることにより、駆動輪に伝達する動力の制御として、例えば下記のような制御を行うことが可能となる。
【0015】
車両の走行速度や走行する路面の態様に応じて、複数の電気モータそれぞれの速度比(レシオ)を使い分けて車両を走行させることができる。これにより、単一の電気モータで駆動輪を駆動する場合と比較して、より幅広い速度比の領域を用いた車両の走行が可能となる。
【0016】
車両の走行中に使用による発熱で高温になった電気モータは停止させておき、その間、他の電気モータを使用して車両を走行させることが可能となる。これにより、電気モータの冷却性能を高めることができる。
【0017】
複数の電気モータの動力を合わせた合計の動力を入力できることにより、当該合計の動力の値を零の前後で変化させる(零を跨ぐように変化させる)制御が可能となる。これにより、単一の電気モータによる動力のみでは制御が難しい動力(トルク)の値が零の前後での制御を容易に精度良く行うことができる。
【0018】
また、上記の動力伝達装置では、動力源は、第三動力源(MOT3)をさらに含み、車両の前後方向に延びて第三動力源(MOT3)からの動力が伝達される第三回転軸(6)と、第三動力源からの動力を車軸(ARL,ARR)に伝達する第三動力伝達部(30)と、を備え、第三動力伝達部(30)は、第三回転軸(6)上に設けた第三駆動ベベルギヤ(31)と、車軸(ARL,ARR)上に設けられて第三駆動ベベルギヤ(31)と噛み合う第三従動ベベルギヤ(32)とを備えることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、第三動力源の動力を駆動輪に伝達する第三動力伝達部をさらに備えることで、簡単な構成で、より多くの数の系統の動力の入力に対応することが可能な動力伝達装置となる。
【0020】
また、上記の動力伝達装置では、第一動力源は、内燃機関(ENG)であり、第二動力源と第三動力源は、いずれも電気モータ(MOT1,MOT2)であってよい。あるいは、第一動力源と第二動力源と第三動力源は、いずれも電気モータ(MOT1,MOT2,MOT3)であってよい。
【0021】
この構成によれば、複数の電気モータの動力の入力を受けて駆動輪に伝達する動力を制御できる動力伝達装置となる。
【0022】
また、上記の動力伝達装置では、車両は、主駆動輪(WFL,WFR)と副駆動輪(WRL,WRR)とを備える四輪駆動車両であり、上記の駆動輪は、副駆動輪(WRL,WRR)であってよい。
【0023】
この構成によれば、本発明にかかる動力伝達装置で四輪駆動車両の副駆動輪に伝達する動力を効率良く制御することが可能となる。
なお、上記の括弧内の符号は、後述する実施形態の対応する構成要素の符号を本発明の一例として示したものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明にかかる動力伝達装置によれば、簡単な構成で、内燃機関(エンジン)の動力と電気モータからの動力とを含む複数系統の動力の入力、又は複数の電気モータの動力の入力を受けて駆動輪の駆動を効率良く制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第一実施形態にかかる動力伝達装置を備えた四輪駆動車両の動力伝達経路を示す概略図である。
図2】第一動力伝達部と第二動力伝達部の構成を概略的に示す模式図である。
図3】本発明の第二実施形態にかかる動力伝達装置を備えた四輪駆動車両の動力伝達経路を示す概略図である。
図4】本発明の第三実施形態にかかる動力伝達装置を備えた四輪駆動車両の動力伝達経路を示す概略図である。
図5】本発明の第四実施形態にかかる動力伝達装置を備えた四輪駆動車両の動力伝達経路を示す概略図である。
図6】本発明の第五実施形態にかかる動力伝達装置を備えた四輪駆動車両の動力伝達経路を示す概略図である。
図7】本発明の第六実施形態にかかる動力伝達装置を備えた四輪駆動車両の動力伝達経路を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
〔第一実施形態〕
図1は、本発明の第一実施形態にかかる動力伝達装置を備えた四輪駆動車両の動力伝達経路を示す概略図である。図1に示す車両は、フロントエンジン・フロントドライブの車両をベースとする四輪駆動車両であって、エンジン(内燃機関:動力源)ENGの駆動力がトランスミッション(変速機)TM、フロントディファレンシャルDfおよび左右の車軸AFL,AFRを介して伝達される主駆動輪としての左右の前輪WFL,WFRと、エンジンENGの駆動力の一部がトランスファー機構TRF、プロペラシャフト(第一回転軸)3、リヤディファレンシャルDrおよび左右の車軸ARL,ARRを介して伝達される副駆動輪としての左右の後輪WRL,WRRとを備える。
【0027】
リヤディファレンシャルDrは、プロペラシャフト3と後輪WRL,WRRの車軸ARL,ARRとの間に設けた第一動力伝達部10を備える。第一動力伝達部10は、プロペラシャフト3の後端部に設けた第一駆動ベベルギヤ(ピニオンギヤ)11と、車軸ARL,ARR上に設けられて第一駆動ベベルギヤ11と噛み合う第一従動ベベルギヤ(リングギヤ)12と、第一従動ベベルギヤ12により駆動される機械式のディファレンシャル機構15とを備える。左右の車軸ARL,ARRは、ディファレンシャル機構15から左右に延出して左右の後輪WRL,WRRに接続されている。ディファレンシャル機構15は、第一従動ベベルギヤ12と一体に回転するケース15aと、ケース15a内に設けた左右の車軸ARL,ARRそれぞれにつながる一対のサイドギヤとそれらに噛み合うピニオンギヤとを備える構成で、第一動力伝達部10を介してエンジンENGから伝達される動力を一対の左右後輪WRL,WRRそれぞれに配分して伝達する。
【0028】
また、プロペラシャフト3上には、第一動力伝達部10(リヤディファレンシャルDr)へのトルク伝達経路を接続・切断するための前後トルク配分用クラッチ2が設けられている。前後トルク配分用クラッチ2は、油圧式のクラッチ(すなわち、油圧駆動式多板摩擦型の断続手段)である。また、前後トルク配分用クラッチ2に作動油を供給するための油圧回路55と、油圧回路55による供給油圧を制御するための制御手段であるECU50とを備えている。なお、前後トルク配分用クラッチ2は油圧式には限られず、電磁式など他の形式であってもよい。
【0029】
ECU50は、車両の走行状態を検出するための各種検出手段(図示せず)の検出に基づいて、後輪WRL,WRRに配分するトルクおよびこれに対応する前後トルク配分用クラッチ2への油圧供給量を演算すると共に、当該演算結果に基づく信号を油圧回路55にに出力する。これにより、油圧回路55からの油圧で前後トルク配分用クラッチ2の締結力を制御し、前輪WFL,WFRと後輪WRL,WRRに配分するトルクを制御するようになっている。これにより、前輪WFL,WFRを主駆動輪とし、後輪WRL,WRRを副駆動輪とする駆動制御を行うようになっている。
【0030】
すなわち、前後トルク配分用クラッチ2が解除(切断)されているときには、プロペラシャフト3の回転が第一動力伝達部10(リヤディファレンシャルDr)側に伝達されず、エンジンENGの動力によるトルクがすべて前輪WFL,WFRに伝達されることで、(後述する電気モータMOTからの動力が後輪WRL,WRRに伝達されない場合には)前輪駆動(2WD)状態となる。一方、前後トルク配分用クラッチ2が接続されているときには、プロペラシャフト3の回転がリヤディファレンシャルDr側に伝達されることで、エンジンENGの動力によるトルクが前輪WFL,WFRと後輪WRL,WRRの両方に配分されて四輪駆動(4WD)状態となる。また、ECU50は、エンジンENG及びトランスミッションTMの制御を行う機能を有する。
【0031】
また、本実施形態の動力伝達装置1は、動力源である電気モータMOTを備えており、この電気モータMOTからの動力を後輪WRL,WRRに繋がる車軸ARL,ARR(スリーブ51)に伝達する第二動力伝達部20を備えている。第二動力伝達部20は、車両の前後方向に延びて電気モータMOTからの動力が伝達される回転軸4上に設けた第二駆動ベベルギヤ(ピニオンギヤ)21と、第二駆動ベベルギヤ21と噛み合う第二従動ベベルギヤ(リングギヤ)22とを備えている。第二従動べベルギヤ22は、左側の車軸ARLの外周側で同心円上に配置した筒状(円筒状)のスリーブ51に固定されており、スリーブ51と一体に回転するようになっている。スリーブ51は、その一方の端部(図の右側の端部)がディファレンシャル機構15のケース15aに固定されている。したがって、第一従動べベルギヤ12と第二従動べベルギヤ22とスリーブ51が一体に回転するようになっている。これにより、第二動力伝達部20からの動力はスリーブ51を介して第一動力伝達部10に伝達され、第一動力伝達部10から左右の車軸ARL,ARR及び後輪WRL,WRRに伝達される。
【0032】
また、回転軸4上にはクラッチ(断接手段)5が設けられている。クラッチ5は、例えば電磁式のクラッチなどであり、ECU50によって制御される。なお、図1では、ECU50からクラッチ5への制御信号の線は図示を省略している。クラッチ5の制御により、電気モータMOTと第二動力伝達部20との間の動力伝達の有無を切り替えることができる。また、電気モータMOTには蓄電器BATが接続されている。蓄電器BATからの電力の供給により電気モータMOTが駆動される。また、電気モータMOTの回生により発電した電力を蓄電器BATに蓄えることができる。なお、クラッチ5は電磁式には限らず油圧式など他の形式であってもよい。
【0033】
図2は、第一動力伝達部10と第二動力伝達部20の構成を概略的に示す模式図である。第1動力伝達部10に繋がれたプロペラシャフト3及びエンジンENGと、第二動力伝達部20に繋がれた回転軸4及び電気モータMOTとは、同図(a)に示すように、車軸ARL,ARR(スリーブ51)の軸心に対して同じ側に設けることもできるし、同図(b)に示すように、車軸ARL,ARR(スリーブ51)の軸心に対して互いに反対側(180度反対側)に設けることもできる。なお、プロペラシャフト3及び回転軸4は、第一従動ベベルギヤ(リングギヤ)12又は第二従動ベベルギヤ(リングギヤ)22の径方向に延伸してれば、その配置(周方向の向き)は特に限定されず、いずれの方を向くように配置することも可能である。
【0034】
本実施形態の動力伝達装置1では、エンジンENGの動力を後輪WRL、WRRに伝達する第一動力伝達部10と、電気モータMOTの動力を後輪WRL,WRRに伝達する第二動力伝達部20とを備えることで、これら第一動力伝達部10と第二動力伝達部20とでエンジンENGの動力の入力と電気モータMOTの動力の入力とを受けるように構成している。これにより、エンジンENGの動力のみを後輪WRL,WRRに伝達する制御、電気モータMOTの動力のみを後輪WRL,WRRに伝達する制御、エンジンENGの動力と電気モータMOTの動力の両方を後輪WRL,WRRに伝達する制御のいずれかを選択的に行うことが可能となる。また、電気モータMOTを用いて回生を行うことも可能となる。
【0035】
すなわち、本実施形態の動力伝達装置1では、車両の副駆動輪である後輪WRL,WRRに伝達する動力の制御として、例えば下記のような制御を行うことが可能となる。
【0036】
車両の走行中に前後トルク配分用クラッチ2を解除(切断)し、回転軸4上のクラッチ5を接続する。これにより、前輪WFL,WFRのみの駆動により車両の走行(2WD走行)を行う。この際、車両の走行に伴う後輪WRL,WRRの回転を電気モータMOTに伝達して当該電気モータMOTで回生を行うことができる。電気モータMOTの回生で発生した電力は蓄電器BATに蓄えることができる。すなわち、エンジンENGの動力をプロペラシャフト3から第一動力伝達部10に伝達しない状態では、電気モータMOTで回生を行うことができる。
【0037】
エンジンENGの動力の運転点(トルクまたは回転数領域)が効率の観点から有利ではない運転点では、前後トルク配分用クラッチ2を解除(切断)することで、エンジンENGの動力を後輪WRL,WRRに伝達せず(エンジンENGの動力を用いず)に電気モータMOTの動力のみを後輪WRL,WRRに伝達して(電気モータMOTの動力のみで)車両を走行させる。これにより、エンジンENGの効率の良い運転点を用いて車両を走行させることができるので、燃費(燃料消費率)の向上や環境負荷の低減を図ることができる。
【0038】
エンジンENGの回転数の共振域では、エンジンENGの動力を後輪WRL、WRRに伝達せず(エンジンENGの動力を用いず)に電気モータMOTの動力を後輪WRL、WRRに伝達して(電気モータMOTの動力のみで)車両を走行させる。これにより、エンジンENGの共振に伴い発生する振動・騒音の効果的な低減を図ることができる(振動・騒音の低減性能を向上させることができる)。
【0039】
〔第二実施形態〕
次に、本発明の第二実施形態に係る動力伝達装置について説明する。なお、第二実施形態の説明及び対応する図面においては、第一実施形態と同一又は相当する構成部分には同一符号を付し、以下ではその部分の詳細な説明を省略する。また、以下で説明する事項以外の事項については、第一実施形態と同様である。この点は、後述する第三実施形態においても同様である。
【0040】
図3は、第二実施形態の動力伝達装置1−2を示す図である。同図に示す動力伝達装置1−2では、第一実施形態の動力伝達装置1が備える電気モータMOTを第一電気モータMOT1とし、かつ、第一実施形態の動力伝達装置1の構成に加えて、車両の動力源(第三動力源)である第二電気モータMOT2と、第二電気モータMOT2からの動力が伝達される回転軸(第三回転軸)6と、回転軸6と車軸ARL,ARR(スリーブ51)との間に設けた第三動力伝達部30とを備えている。第三動力伝達部30は、車両の前後方向に延びる回転軸6の後端部に設けた第三駆動ベベルギヤ(ピニオンギヤ)31と、第三駆動ベベルギヤ31と噛み合う第三従動ベベルギヤ(リングギヤ)32とを備えている。第三従動べベルギヤ32は、スリーブ51上に固定されており、スリーブ51と一体に回転するようになっている。したがって、第一従動べベルギヤ12と第二従動べベルギヤ22と第三従動べベルギヤ32とスリーブ51が一体に回転するようになっている。したがって、第三従動べベルギヤ32からの動力はスリーブ51を介して第一動力伝達部10に伝達され、第一動力伝達部10から左右の車軸ARL,ARR及び後輪WRL,WRRに伝達される。
【0041】
回転軸6上にはクラッチ(断接手段)7が設けられている。クラッチ7は、例えば電磁式のクラッチなどであり、ECU50によって制御される。なお、図3では、ECU50からクラッチ7への制御信号の線は図示を省略している。クラッチ7の制御により、第二電気モータMOT2と第三動力伝達部30との間の動力伝達の有無を切り替えることができる。また、第二電気モータMOT2には蓄電器BATが接続されている。蓄電器BATからの電力の供給により第二電気モータMOT2が駆動される。また、第二電気モータMOT2の回生により発電した電力を蓄電器BATに蓄えることができる。
【0042】
本実施形態の動力伝達装置1−2では、エンジンENGの動力を後輪WRL、WRRに伝達する第一動力伝達部10と、第一電気モータMOT1と後輪WRL,WRRとの間で動力伝達を行う第二動力伝達部20と、第二電気モータMOT2と後輪WRL,WRRとの間で動力伝達を行う第三動力伝達部30とを備えることで、これら第一動力伝達部10と第二動力伝達部20と第三動力伝達部30とで、エンジンENGの動力の入力と第一電気モータMOT1の動力の入力と第二電気モータMOT2の動力の入力とを受けるように構成している。これにより、エンジンENGの動力のみを後輪WRL,WRRに伝達する制御、第一、第二電気モータMOT1,MOT2の少なくともいずれかの動力のみを後輪WRL,WRRに伝達する制御、エンジンENGの動力と第一、第二電気モータMOT1,MOT2の少なくともいずれかの動力との両方を後輪WRL,WRRに伝達する制御のいずれかを選択的に行うことが可能となる。また、第一、第二電気モータMOT1,MOT2の少なくともいずれかを用いて回生を行うことも可能となる。
【0043】
すなわち、本実施形態の動力伝達装置1−2によれば、第一電気モータMOT1と第二電気モータMOT2の複数の電気モータを動力源として備え、第二動力伝達部20と第三動力伝達部30とでこれら複数の電気モータの動力の入力を受けることにより、後輪WRL,WRRに伝達する動力の制御として、例えば下記のような制御を行うことが可能となる。
【0044】
回転軸4上のクラッチ5と回転軸6上のクラッチ7とをいずれも接続し、第一電気モータMOT1と第二電気モータMOT2を駆動することで、これら第一電気モータMOT1と第二電気モータMOT2の動力を後輪WRL,WRRに伝達して車両を走行させる。この際、車両の走行速度や走行する路面の態様に応じて、第一電気モータMOT1と第二電気モータMOT2それぞれの速度比(レシオ)を使い分けて車両を走行させることができる。これにより、単一の電気モータで後輪WRL,WRRを駆動する場合と比較してより幅広い速度比の領域を用いた車両の走行が可能となる。
【0045】
第一電気モータMOT1と第二電気モータMOT2のうち、車両の走行中に使用による発熱で高温になった電気モータは停止させておき、その間、他の電気モータを使用して車両を走行させることが可能となる。これにより、電気モータの冷却性能を高めることができる。したがって、電気モータによる車両の走行においてより長時間に渡って安定した走行が可能となる。
【0046】
第一電気モータMOT1の動力と第二電気モータMOT2の動力を合わせた合計の動力を後輪WRL,WRRに入力できることにより、第一、第二電気モータMOT1,MOT2それぞれの出力を制御することで、当該合計の動力の値を零の前後で変化させる(零を跨ぐように変化させる)制御が可能となる。したがって、単一の電気モータによる駆動では制御が難しい出力(トルク)の値が零の前後での制御を容易に精度良く行うことができる。
【0047】
なお、本実施形態のエンジンENGと第一電気モータMOT1が本発明の動力源に相当する場合は、第一動力伝達部10が本発明の第一動力伝達部となり、第二動力伝達部20が本発明の第二動力伝達部となる。また、本実施形態の第一電気モータMOT1と第二電気モータMOT2が本発明の動力源に相当する場合は、第二動力伝達部20が本発明の第一動力伝達部となり、第三動力伝達部30が本発明の第二動力伝達部となる。
【0048】
〔第三実施形態〕
次に、本発明の第三実施形態に係る動力伝達装置について説明する。図4は、第三実施形態の動力伝達装置1−3を示す図である。本実施形態の動力伝達装置1−3は、第二実施形態の動力伝達装置1−2の構成に加えて、車両の動力源である第三電気モータMOT3と、第三電気モータMOT3からの動力を後輪WRL,WRRに繋がる車軸ARL,ARR(スリーブ51)に伝達する第四動力伝達部40とを備えている。第四動力伝達部40は、第三電気モータMOT3からの動力が伝達される回転軸8の後端部に設けた第四駆動ベベルギヤ(ピニオンギヤ)41と、第四駆動ベベルギヤ41と噛み合う第四従動ベベルギヤ(リングギヤ)42とを備えている。第四従動べベルギヤ42は、スリーブ51上に固定されており、スリーブ51と一体に回転するようになっている。したがって、第一従動べベルギヤ12と第二従動べベルギヤ22と第三従動べベルギヤ32と第四従動べベルギヤ42とスリーブ51が一体に回転するようになっている。したがって、第四動力伝達部40からの動力はスリーブ51を介して第一動力伝達部10に伝達され、第一動力伝達部10から左右の車軸ARL,ARR及び後輪WRL,WRRに伝達される。
【0049】
回転軸8上にはクラッチ(断接手段)9が設けられている。クラッチ9は、例えば電磁式のクラッチなどであり、ECU50によって制御される。なお、図4では、ECU50からクラッチ9への制御信号の線は図示を省略している。クラッチ9の制御により、第三電気モータMOT3と第四動力伝達部40との間の動力伝達の有無を切り替えることができる。また、第三電気モータMOT3には蓄電器BATが接続されている。蓄電器BATからの電力の供給により第三電気モータMOT3が駆動される。また、第三電気モータMOT3の回生により発電した電力を蓄電器BATに蓄えることができる。
【0050】
本実施形態の動力伝達装置1−3では、エンジンENGの動力を後輪WRL、WRRに伝達する第一動力伝達部10と、第一電気モータMOT1と後輪WRL,WRRとの間で動力伝達を行う第二動力伝達部20と、第二電気モータMOT2と後輪WRL,WRRとの間で動力伝達を行う第三動力伝達部30と、第三電気モータMOT3と後輪WRL,WRRとの間で動力伝達を行う第四動力伝達部40とを備えることで、これら第一、第二、第三、第四動力伝達部10,20,30,40で、エンジンENGの動力の入力と第一、第二、第三電気モータMOT1,MOT2,MOT3の少なくともいずれかの動力の入力とを受けるように構成している。これにより、エンジンENGの動力のみを後輪WRL,WRRに伝達する制御、第一、第二、第三電気モータMOT1,MOT2,MOT3の少なくともいずれかの動力のみを後輪WRL,WRRに伝達する制御、エンジンENGの動力と第一、第二、第三電気モータMOT1,MOT2,MOT3の少なくともいずれかの動力との両方を後輪WRL,WRRに伝達する制御のいずれかを選択的に行うことが可能となる。また、第一、第二、第三電気モータMOT1,MOT2,MOT3の少なくともいずれかを用いて回生を行うことも可能となる。
【0051】
したがって、本実施形態の動力伝達装置1−3では、第一、第二、第三電気モータMOT1,MOT2,MOT3の複数の電気モータを動力源として備え、第二、第三、第四動力伝達部20,30,40でこれら複数の電気モータの動力の入力を受けることにより、後輪WRL,WRRに伝達する動力の制御として、例えば下記のような制御を行うことが可能となる。
【0052】
第一、第二、第三電気モータMOT1,MOT2,MOT3として、互いのギヤレシオ(ギヤ比)が異なる電気モータを備えることで、各電気モータのギヤレシオを使い分けて車両を走行させることができる。すなわち、例えば、第一電気モータMOT1は高(HIGH)レシオの電気モータとし、第二電気モータMOT2は中間(MID)レシオの電気モータとし、第三電気モータMOT3は低(LOW)レシオの電気モータとする。これにより、後輪WRL,WRRに低トルクの駆動力を出力する領域(走行領域)では、主に第一電気モータMOT1を用い、中間トルクの駆動力を出力する領域(走行領域)では、主に第二電気モータMOT2を用い、高トルクの駆動力を出力する領域(走行領域)では、主に第三電気モータMOT3を用いることができる。このように構成することで、単一の電気モータの駆動力を後輪WRL,WRRに伝達する場合と比較して、広い領域のトルクに対応することが可能となる。
【0053】
なお、本実施形態のエンジンENGと第一電気モータMOT1と第二電気モータMOT2が本発明の動力源に相当する場合は、第一動力伝達部10が本発明の第一動力伝達部となり、第二動力伝達部20が本発明の第二動力伝達部となり、第三動力伝達部30が本発明の第三動力伝達部となる。また、本実施形態の第一電気モータMOT1と第二電気モータMOT2と第三電気モータMOT3が本発明の動力源に相当する場合は、第二動力伝達部20が本発明の第一動力伝達部となり、第三動力伝達部30が本発明の第二動力伝達部となり、第四動力伝達部40が本発明の第三動力伝達部となる。
【0054】
〔第四実施形態〕
次に、本発明の第四実施形態に係る動力伝達装置について説明する。図5は、第四実施形態の動力伝達装置1−4を示す図である。本実施形態の動力伝達装置1−4は、第一実施形態の動力伝達装置1が備える回転軸4上に設けたクラッチ5に代えて、第一動力伝達部10と第二動力伝達部20との間に設けたクラッチ(円周上クラッチ:断接手段)52を備えている。クラッチ52は、スリーブ51における第一動力伝達部10の従動ベベルギヤ12と第二動力伝達部20の従動ベベルギヤ22との間に設けられており、第二動力伝達部20と第一動力伝達部10(従動ベベルギヤ12と従動ベベルギヤ22)の間で伝達される動力を断接することが可能である。なお、クラッチ52の機能(動作)は、第一実施形態のクラッチ5と同じである。
【0055】
〔第五実施形態〕
次に、本発明の第五実施形態に係る動力伝達装置について説明する。図6は、第五実施形態の動力伝達装置1−5を示す図である。本実施形態の動力伝達装置1−5は、第一乃至第四実施形態の動力伝達装置1〜1-4が備えていた動力源であるエンジンENGを備えていない。これに伴いトランスミッションTM、フロントディファレンシャルDf、トランスファー機構TRF、前後トルク配分用クラッチ2、プロペラシャフト3、油圧回路55も設けられていない。その一方で、動力源として第一電気モータMOT1と第二電気モータMOT2のみが設けられている。また、第一電気モータMOT1からの動力が伝達される回転軸4と、回転軸4と車軸ARL,ARR(スリーブ51)との間に設けた第一動力伝達部10とを備えていると共に、第二電気モータMOT2からの動力が伝達される回転軸6と、回転軸6と車軸ARL,ARR(スリーブ51)との間に設けた第二動力伝達部20とを備えている。回転軸4上にはクラッチ(断接手段)5が設けられており、回転軸6上にはクラッチ(断接手段)7が設けられている。第一、第二動力伝達部10,20の構成は、第一、第二実施形態の第一、第二動力伝達部10,20と同じである。
【0056】
本実施形態の動力伝達装置1−5では、第一電気モータMOT1と後輪WRL,WRRとの間で動力伝達を行う第一動力伝達部10と、第二電気モータMOT2と後輪WRL,WRRとの間で動力伝達を行う第二動力伝達部20とを備えることで、これら第一動力伝達部10と第二動力伝達部20とで、第一電気モータMOT1の動力の入力と第二電気モータMOT2の動力の入力とを受けるように構成している。これにより、第一、第二電気モータMOT1,MOT2の少なくともいずれかの動力のみを後輪WRL,WRRに伝達する制御を行うことが可能となる。また、第一、第二電気モータMOT1,MOT2の少なくともいずれかを用いて回生を行うことも可能となる。
【0057】
なお、本実施形態の第一電気モータMOT1と第二電気モータMOT2が本発明の動力源に相当し、第一動力伝達部10が本発明の第一動力伝達部となり、第二動力伝達部20が本発明の第二動力伝達部となる。
【0058】
〔第六実施形態〕
次に、本発明の第六実施形態に係る動力伝達装置について説明する。図7は、第六実施形態の動力伝達装置1−6を示す図である。本実施形態の動力伝達装置1−6は、第一乃至第四実施形態の動力伝達装置1〜1-4が備えていた動力源であるエンジンENGを備えていない。これに伴いトランスミッションTM、フロントディファレンシャルDf、トランスファー機構TRF、前後トルク配分用クラッチ2、プロペラシャフト3、油圧回路55も設けられていない。その一方で、動力源として第一電気モータMOT1と第二電気モータMOT2と第三電気モータMOT3のみが設けられている。また、第一電気モータMOT1からの動力が伝達される回転軸4と、回転軸4と車軸ARL,ARR(スリーブ51)との間に設けた第一動力伝達部10とを備える。また、第二電気モータMOT2からの動力が伝達される回転軸6と、回転軸6と車軸ARL,ARR(スリーブ51)との間に設けた第二動力伝達部20とを備える。また、第三電気モータMOT3からの動力が伝達される回転軸8と、回転軸8と車軸ARL,ARR(スリーブ51)との間に設けた第三動力伝達部30とを備える。回転軸4上にはクラッチ(断接手段)5が設けられており、回転軸6上にはクラッチ(断接手段)7が設けられており、回転軸8上にはクラッチ(断接手段)9が設けられている。第一、第二、第三動力伝達部10,20,30の構成は、第三実施形態の第一、第二、第三動力伝達部10,20,30と同じである。
【0059】
本実施形態の動力伝達装置1−6では、第一電気モータMOT1と後輪WRL,WRRとの間で動力伝達を行う第一動力伝達部10と、第二電気モータMOT2と後輪WRL,WRRとの間で動力伝達を行う第二動力伝達部20と、第三電気モータMOT3と後輪WRL,WRRとの間で動力伝達を行う第三動力伝達部30とを備えることで、これら第一動力伝達部10と第二動力伝達部20と第三動力伝達部30とで、第一電気モータMOT1の動力の入力と第二電気モータMOT2の動力の入力と第三電気モータMOT3の動力の入力とを受けるように構成している。これにより、第一、第二、第三電気モータMOT1,MOT2,MOT3の少なくともいずれかの動力を後輪WRL,WRRに伝達する制御を行うことが可能となる。また、第一、第二、第三電気モータMOT1,MOT2,MOT3の少なくともいずれかを用いて回生を行うことも可能となる。
【0060】
なお、本実施形態の第一電気モータMOT1と第二電気モータMOT2と第三電気モータMOT3が本発明の動力源に相当し、第一動力伝達部10が本発明の第一動力伝達部となり、第二動力伝達部20が本発明の第二動力伝達部となり、第三動力伝達部30が本発明の第三動力伝達部となる。
【0061】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態に示すディファレンシャル機構15に代えて、左右の後輪WRL,WRRに駆動力を配分して伝達することができるの他の構成を備えてもよい。このような構成として、例えば、詳細な図示及び説明は省略するが、スリーブ51(第一従動ベベルギヤ12)と左車軸ARL及び右車軸ARRそれぞれとの間に設けた油圧式のクラッチ(左油圧クラッチと右油圧クラッチ)を備えてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1,1−2,1−3,1−4,1−5,1−6 動力伝達装置
2 前後トルク配分用クラッチ(断接手段)
3 プロペラシャフト(第一回転軸)
4 回転軸(第二回転軸)
5 クラッチ(断接手段)
6 回転軸(第三回転軸)
7 クラッチ(断接手段)
8 回転軸(第四回転軸)
9 クラッチ(断接手段)
10 第一動力伝達部
11 第一駆動ベベルギヤ
12 第一従動ベベルギヤ
15 ディファレンシャル機構
20 第二動力伝達部
21 第二駆動ベベルギヤ
22 第二従動ベベルギヤ
30 第三動力伝達部
31 第三駆動ベベルギヤ
32 第三従動ベベルギヤ
40 第四動力伝達部
41 第四駆動ベベルギヤ
42 第四従動ベベルギヤ
50 ECU(制御手段)
51 スリーブ(車軸)
55 油圧回路
AFL,AFR 車軸(前輪)
ARL,ARR 車軸(後輪)
BAT 蓄電器
Df フロントディファレンシャル
Dr リヤディファレンシャル
ENG エンジン(動力源)
MOT 電気モータ(動力源)
MOT1 第一電気モータ(動力源)
MOT2 第二電気モータ(動力源)
MOT3 第三電気モータ(動力源)
TM トランスミッション(変速機)
TRF トランスファー機構
WFL,WFR 前輪(主駆動輪)
WRL,WRR 後輪(副駆動輪)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7