【解決手段】位置情報取得部21は、前景中から視認者に報知すべき対象物が存在する奥行き方向Zの位置を含む位置情報を取得し、表示制御部30は、位置情報取得部21から取得した位置情報に基づき、虚像70が結像される奥行き位置95が変更されるように投射部40を制御し、対象物に対して所定の位置関係を有するように虚像70を表示する奥行き位置95を調整する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に説明する実施形態は、本発明を容易に理解するために用いられ、当業者は、本発明が以下に説明される実施形態によって不当に限定されないことを留意すべきである。
【0010】
図1は、本発明に係るヘッドアップディスプレイ(以下では、HUDとも呼ぶ)装置10の実施形態に対応する構成と、このHUD装置10が表示する虚像70を説明する図である。なお、
図1では、車両1の前後方向をZ方向(前方向がZ正方向)とし、車両1の左右方向(車両1の幅方向)に沿う方向をX方向(左方向がX正方向)とし、上下方向をY方向(上方向がY正方向)とする。
【0011】
図1において、本実施形態のHUD装置10は、通信インターフェース5に通信可能に連結されている。通信インターフェース5は、例えば、USBポート、シリアルポート、パラレルポート、OBDII、及び/又は他の任意の適切な有線通信ポートなどの有線通信機能を含むことができる。車両1からのデータケーブルは、HUD装置10に情報を伝達するために、通信インターフェース5を介して、HUD装置10の情報取得部20に連結される。なお、他の実施形態では、通信インターフェース5は、例えば、Bluetooth(登録商標)通信プロトコル、IEEE802.11プロトコル、IEEE802.16プロトコル、共有無線アクセスプロトコル、ワイヤレスUSBプロトコル、及び/又は他の任意の適切な無線電信技術を用いた無線通信インターフェースを含むことができる。
【0012】
[HUD装置10の構成]
HUD装置10は、通信インターフェース5から各種情報を取得する入力インターフェースである情報取得部20と、表示制御部30と、表示光50を投射する投射部40と、を有する。例えば、通信インターフェース5には、車両1に設けられた車両ECU、車載カメラ、センサ、他の車載機器、他車両、路上の通信インフラ、などが情報を授受可能に接続され、HUD装置10は、通信インターフェース5に接続された情報取得部20から各種情報を入力し、表示する虚像70に反映する。
【0013】
情報取得部20は、位置情報取得部21と、対象物情報取得部22と、自車情報取得部23と、を有する。なお、対象物情報取得部22又は/及び自車情報取得部23は、省略されてもよい。
【0014】
位置情報取得部21は、視認者(例えば、車両1の運転者)に報知すべき対象物Wが存在する奥行き方向Zの位置を少なくとも含む位置情報Pを取得するものであり、該位置情報Pを、通信インターフェース5を介して車両1に設けられた車載カメラ、センサ、または車両ECUなどから取得する入力インターフェースで構成される。なお、位置情報Pは、対象物Wの近傍側の端部の位置に関する近傍位置情報Prと、遠方側の端部の位置に関する遠方位置情報Pfとを含んでいてもよい(
図4参照)。また、位置情報Pを生成する車載カメラ、センサなどは、HUD装置10に設けられてもよく、この場合、HUD装置10に設けられた車載カメラ、センサが、本発明の位置情報取得部に該当する。
【0015】
対象物情報取得部22は、運転者に報知すべき対象物Wの種類、大きさ、速度、移動方向などの対象物情報を取得するものであり、該対象物情報を、通信インターフェース5を介して車両1に設けられた車載カメラ、センサ、他車両、路上の通信インフラ、または車両ECUなどから取得する入力インターフェースで構成される。なお、前記対象物情報を生成する車載カメラ、センサなどは、HUD装置10に設けられてもよく、この場合、HUD装置10に設けられた車載カメラ、センサが、本発明の対象物情報取得部に該当する。
【0016】
自車情報取得部23は、HUD装置10が搭載された自車両に関する速度などの自車情報を取得するものであり、該自車情報を、通信インターフェース5を介して車両1に設けられたセンサまたは車両ECUなどから取得する入力インターフェースで構成される。なお、前記自車情報を生成するセンサなどは、HUD装置10に設けられてもよく、この場合、HUD装置10に設けられたセンサが、本発明の自車情報取得部に該当する。
【0017】
本実施形態のHUD装置10は、車両1の内部に設けられ、一部の光を透過し、一部の光を反射する被投影部2に向けて、表示光50を投射する。この被投影部2は、車両1のフロントウインドシールドの一部で構成されてもよく、コンバイナなどの専用部品であってもよい。運転者の視点3を置くと想定される領域に、被投影部2に反射された表示光50によりアイボックス4を形成する。運転者は、視点3をこのアイボックス4内に配置することでHUD装置10が表示する虚像70の全体を視認することができ、視点3がアイボックス4から外れると虚像70の一部が視認できなくなる(視認しづらくなる)。本実施形態のHUD装置10は、情報取得部20から入力した各種情報に基づき、表示領域90内で、X方向、Y方向、Z方向に虚像70が表示される位置を調整することができる。すなわち、HUD装置10は、奥行き方向Zにおける虚像70が表示される位置(奥行き位置95)を調整することができる。また、HUD装置10は、虚像70の奥行き方向Zの長さ80を調整可能に構成されてもよい。
【0018】
[虚像70の説明]
図1の左図を用いて、本実施形態のHUD装置10が表示する虚像70の例を説明する。
図1に示す虚像70は、例えば、奥行き感を表現しない2D虚像の第1の虚像71と、奥行き方向Zに長さ82を有する奥行き感を表現する3D虚像の第2の虚像72,第3の虚像73と、を有する。第1の虚像71の一例は、
図1の奥行き位置96のXY平面に平面的に結像され、運転者に遠近感を感じさせない2D虚像である。このような第1の虚像71の一例によれば、概ね目の焦点を調整することなく表示全体を明確に認識することができる。3D虚像の一例である第2の虚像72は、奥行き方向Zに長さ82を有し、
図1の奥行き位置98のXY平面上に一端があり、奥行き位置98より運転者から離れた奥行き位置99のXY平面上に他端があり、平面的に結像され、運転者に奥行き感を感じさせる。このような第2の虚像72は、運転者の目の焦点の調整により表示全体が明確に認識されるため、立体的な印象を与えることができる。また、3D虚像の別例である第3の虚像73は、奥行き方向Zに長さ83を有し、
図1の奥行き位置97のXY平面上に一端があり、奥行き位置97より運転者から離れた奥行き位置98のXY平面上に他端があり、体積を有するような立体的なオブジェクトとして結像され、運転者に立体感を感じさせる。
【0019】
表示制御部30は、表示態様決定部31と、奥行き位置調整部32と、表示データ生成部33と、を有する。表示制御部30は、情報取得部20から取得した情報に基づいて、表示データを生成し、この表示データに基づいて投射部40を駆動することで虚像70を表示する。特に、本実施形態における表示制御部30は、虚像70の奥行き位置80を調整することが可能である。
【0020】
表示態様決定部31は、通信インターフェース5を介して情報取得部20から取得した対象物Wの位置情報P,前記対象物情報,自車情報を基に、対象物Wに対して表示する虚像70の表示態様を変化させる。表示態様の変化とは、例えば、対象物Wの位置を基準にして虚像70の奥行き位置95を変化させること、虚像70の奥行き方向Zの長さ80を変化させること、を含む。表示例については、
図4乃至7を用いて後で詳述する。
【0021】
奥行き位置調整部32は、虚像70の奥行き方向Zの長さ80及び奥行き位置95を決定可能であり、表示態様決定部31が決定した所定の表示態様となるように、通信インターフェース5を介して情報取得部20から取得した対象物Wの位置情報Pを基に、対象物Wの位置を基準として虚像70が視認される奥行き位置95を調整する。
【0022】
表示データ生成部33は、投射部40が立体的な表示領域90に虚像70を表示するための表示データを生成するものであり、該表示データは、奥行き位置調整部32が調整した奥行き位置80に各虚像70を表示させるべく投射部40を駆動するための3D表示データを含む。
【0023】
図3は、本実施形態の表示制御部30の主要な動作手順を示すフロー図である。まず、ステップS11では、表示制御部30は、情報取得部20を介して各種情報を入力する。ステップS12では、表示態様決定部31が、ステップS11で取得した各種情報に基づいて、対象物Wを強調するための虚像70の表示態様を決定する。次に、ステップS13では、奥行き位置調整部32が、ステップS11で取得した各種情報に含まれる対象物Wの位置情報Pを基に、ステップS12で表示態様決定部31が決定した所定の表示態様となるように、対象物Wの位置を基準として虚像70が視認される奥行き位置95を調整する。ステップS13で定められた奥行き位置95で虚像70が視認されるように、表示データ生成部33は、表示データをステップS14で生成し、該表示データに基づいて、表示制御部30が投射部40を駆動することで虚像70の表示を更新する(ステップS15)。これらステップS11〜S15までの処理は、HUD装置10が起動している限り、繰り返し実行される。リフレッシュレート(表示更新)は、60Hz以上とされることが望ましい。
【0024】
[投射部40の構成例]
次に、
図2を参照する。
図2は、
図1の投射部40の構成例を示す図である。本実施形態の投射部40は、立体画像表示部41と、リレー光学部42と、から構成され、立体画像表示部41が第1の3D実像43を形成し、リレー光学部42が第1の3D実像43を拡大して第2の3D実像44を結像し、この第2の3D実像44の表示光50を外部の被投影部2に向けて投射する。
【0025】
図2の立体画像表示部41は、3次元に形成される第1の3D実像43を生成するものであり、画像投射部45と、振動スクリーン46と、を有する。
【0026】
画像投射部45は、表示制御部30から入力される表示データに基づいてその表示データに含まれる映像を表す映像光(図示しない)を出射するプロジェクタであり、表示データに含まれる3D表示データに応じて、前記映像を表示するタイミングを調整し、振動スクリーン46の振動位置に同期して投影する前記映像を高速に切り替える。言い換えると、画像投射部45は、前記3D表示データに基づき、振動スクリーン46の振動位置に適した前記映像を振動スクリーン46に投影する。
【0027】
振動スクリーン46は、例えば、画像投射部45の映像を一定の角度範囲に拡散させるポリカーボネート製の拡散フィルムであり、画像投射部45からの前記映像光を受けて実像を結像し、画像投射部45が出射する前記映像光の光軸に沿って往復運動する。振動スクリーン46は、連続的または断続的に振動位置を示す信号を画像投射部45に送信することが可能である。画像投射部45は、前記振動位置を示す信号を基準に、表示データに含まれる3D表示データに応じた位置に虚像70が視認されるように、前記映像を表示するタイミングを調整してもよい。
【0028】
本実施形態では、表示制御部30は、スクリーン振動方向における振動スクリーン46の振幅を一定に保ちつつ、虚像70の奥行き方向Zの長さを調整する。すなわち、表示制御部30は、振動スクリーン46がその振幅のうち第1の範囲に位置している期間においては表示光50を出射せず、振動スクリーン46がその振幅のうち第2の範囲に位置している期間においては表示光50を出射する。第1の範囲及び第2の範囲の位置及び比率が調整されることで虚像70の奥行き方向Zにおける位置及び長さが調整される。具体的には、振動スクリーン46は、60[Hz]以上の周波数で振動し、この周期1/60[sec]内で、画像投射部45が複数フレームの異なる映像を投射することで各振動位置に複数フレームの異なる映像(実像)を結像する。すなわち、本実施形態では、複数フレームの実像が振動スクリーン46の振動方向で重なることで第1の3D実像43が生成される。なお、表示制御部30は、振動スクリーン46の振幅を変化させることで、虚像70の奥行き方向Zの長さを調整してもよい。
【0029】
図2のリレー光学部42は、立体画像表示部41が生成した第1の3D実像43の光を受け、この第1の3D実像43を拡大した第2の3D実像44を中間で結像した後、この第2の3D実像44の光である表示光50を被投影部2に向けて投射するものである。リレー光学部42は、例えば、立体画像表示部41が生成した第1の3D実像43の光を受光するレンズ群からなる第1のリレー光学部47と、第1のリレー光学部47を通った光を反射し、第1のリレー光学部47の光学的パワーと協働して第1の3D実像43を拡大した第2の3D実像44を結像させる第2のリレー光学部48と、第2の3D実像44の光である表示光50を被投影部2に向けて反射する第3のリレー光学部49と、から構成される。
【0030】
第1のリレー光学部47は、第1の3D実像43における振動スクリーン46の各振動位置に結像した各映像を、異なる倍率で拡大する機能を有し、
図2では模式的に1枚のレンズに図示されているが、実際には図示しない複数の薄膜レンズを合成した合成レンズから構成される。
【0031】
第2のリレー光学部48は、例えば、正の光学的パワーを有する凹状の反射面を有するミラーで構成され、第1のリレー光学部47から第1の3D実像43の光を入射し、この入射した光を第3のリレー光学部49に向けて反射し、第1のリレー光学部47の光学的パワーと協働して第1の3D実像43を拡大した第2の3D実像44を、第2のリレー光学部48と第3のリレー光学部49との間で結像させる。なお、第2のリレー光学部48が担う光学的作用を、第1のリレー光学部47に持たせることで、第2のリレー光学部48は、省略されてもよい。
【0032】
第3のリレー光学部49は、第2の3D実像44の表示光50を被投影部2に向けて反射させる凹状の反射面を有するミラーであり、被投影部2の曲面形状による像の歪みを補正する機能と、第2の3D実像44を拡大する機能と、を有する。
【0033】
以上が、3Dの虚像70を視認させる投射部40の実施形態の構成であったが、これに限定されない。以下に、投射部40の変形例を示す。
【0034】
[投射部40の変形例]
立体的な虚像を視認させる他の実施形態では、投射部40は、パララックスバリア方式やレンチキュラレンズ方式などを含む視差分割方式、ライトフィールド方式やホログラム方式を含む空間再生方式、特開2016−212318に開示されているように透過率を調整可能な調光層を有する複数のスクリーンを厚み方向に重ねて配置し、複数のスクリーンに向けてプロジェクタが投射像を高速で切り替えながら投影し、投射像の高速切り替えに応じて、複数のスクリーンがそれぞれ調光率を適宜調整することで3Dの実像を内部に表示する透過率調整スクリーン方式、特開2004−168230に開示されているように複数の液晶表示素子を厚み方向に重ねることで3Dの実像を内部に表示する方式などを採用してもよい。以上が、本発明の実施形態のHUD装置10の構成である。
【0035】
以下、第1〜第4の表示例を
図4〜
図7を用いて具体的に説明する。
(第1の表示例)
まず、
図4を参照する。
図4は、虚像70の第1の表示例を示す図である。
図4(a)は、表示態様が変化する前の虚像70の表示例を示し、
図4(b)は、表示態様が変化した後の虚像70の表示例を示す図である。
図4(a)(b)の左図は、車両1をY軸方向から見た俯瞰図であり、
図4(a)(b)の右図は、
図4(a)(b)の左図にそれぞれ対応しており、車両1の運転者が視認する対象物Wと虚像70を示した図である。
図4(a)は、表示制御部30が、奥行き方向Zの長さ80を有さない2Dの虚像70を、対象物(W)の近傍側の端部の位置Prより近い奥行き位置95rに表示した例である。
図4(b)は、表示制御部30が、虚像70の一端の奥行き位置95rが対象物Wの近傍側の端部の位置Prより近くにあり、かつ虚像70の他端の奥行き位置95fが対象物Wの遠方側の端部Pfより遠くなるように、奥行き方向の長さ80を有する3Dの虚像70を表示した例である。
図4(b)の虚像70は、対象物Wを囲む矩形状の立体的なオブジェクトである。
【0036】
図3のステップS12において、表示態様決定部31は、ステップS11で入力した前記対象物情報又は/及び前記自車両情報に応じて、
図4(a)又は
図4(b)の表示態様に切り替える。例えば、表示態様決定部31は、対象物Wの速度が所定の閾値未満であった場合、
図4(a)に示すように虚像70を2Dで表示し、対象物Wの速度が所定の閾値以上であった場合、
図4(b)に示すように虚像70を3Dで表示してもよい。また、表示態様決定部31は、対象物Wの速度(対象物情報の一例)に応じて、虚像70の奥行き方向Zの長さ80を段階的又は連続的に調整してもよい。また、表示態様決定部31が表示態様の変更を決定した後、奥行き位置調整部32が虚像70の奥行き方向Zの長さ80を時間経過に伴い徐々に変化させてもよい。このような構成によれば、虚像70の奥行き方向Zの長さ80の変化により、前記対象物情報又は/及び前記自車両情報を推測することができる。
【0037】
(第2の表示例)
次に、
図5を参照する。
図5は、虚像70の第2の表示例を示す図である。
図5の左図は、車両1をY軸方向から見た俯瞰図であり、
図5の右図は、
図5の左図にそれぞれ対応しており、車両1の運転者が視認する対象物Wと虚像70を示した図である。
図5は、表示制御部30が、奥行き方向Zの長さ80を有する平面状に虚像70を、対象物Wと車両1との間の路面に重畳させて表示した例である。このような表示によれば、虚像70が対象物Wに重ならないため、虚像70及び対象物Wの視認性を確保することができる。
【0038】
図3のステップS12において、表示態様決定部31は、ステップS11で入力した前記対象物情報又は/及び前記自車両情報に応じて、
図5の虚像70の奥行き位置95rを変更してもよい。具体的には、表示態様決定部31は、対象物Wの近傍側の端部の位置Prと虚像70の奥行き位置95rとの間の距離Dを変化させることで、対象物Wと虚像70との奥行き方向Zにおける相対的な位置関係を変化させてもよい。また、
図3のステップS12において、表示態様決定部31は、ステップS11で入力した前記対象物情報又は/及び前記自車両情報に応じて、
図5の虚像70の奥行き方向Zの長さ80を変更してもよい。このような構成によっても、虚像70の奥行き方向Zの長さ80又は/及び虚像70の奥行き位置95の変化により、前記対象物情報又は/及び前記自車両情報を推測することができる。
【0039】
(第3の表示例)
次に、
図6A,
図6Bを参照する。
図6A,
図6Bは、虚像70の第3の表示例を示す図であり、
図6Aは、対象物Wを車両1の幅方向Xから見た図であり、
図6Bは、対象物Wが車両1の右前方を走行している際に車両1の運転者が視認する対象物Wと虚像70を示した図である。第3の表示例において、表示制御部30は、
図3のステップS11で入力した前記対象物情報又は/及び前記自車両情報に応じて、
図6A,
図6Bに示すように、虚像70を符号70a→70b→70cの順(又は逆順)に変化させてもよい。具体的には、表示制御部30は、
図3のステップS11で入力した前記対象物情報又は/及び前記自車両情報に応じて、虚像70の奥行き位置95を徐々に遠方側(符号95r→95i→95fの順)に移動させてもよい。
【0040】
また、表示態様決定部31が、
図3のステップS11で入力した前記対象物情報又は/及び前記自車両情報に応じて、虚像70を奥行き位置95rから奥行き位置95fへ表示態様の変更を決定した後、奥行き位置調整部32が虚像70の奥行き位置95を時間経過に伴い徐々に変化させてもよい。
【0041】
また、表示態様決定部31は、
図3のステップS11で入力した前記対象物情報又は/及び前記自車両情報が所定の条件を満たした場合、虚像70の奥行き位置95を連続的に変化させてもよい。具体的には、表示態様決定部31は、虚像70の奥行き位置95を、
図6A,
図6Bに示す符号95r→95i→95f→95r→…の順に近傍から遠方に向けて移動するように、又は符号95f→95i→95r→95f→…の順に遠方から近傍に向けて移動するように、又は符号95f→95i→95r→95i→96f…の順に往復するように連続的又は断続的に繰り返す動画的な表示態様を選択してもよい。
【0042】
(第4の表示例)
次に、
図7A,
図7Bを参照する。
図7A,
図7Bは、虚像70の第4の表示例を示す図であり、第3の表示例を示す
図6A,
図6Bに対応している。第4の表示例は、第3の表示例と大部分が共通するが、虚像70を、第1の虚像74と、第2の虚像75とで構成し、虚像70の奥行き位置95を変化させる際、第1の虚像74と第2の虚像75との表示位置を異ならせる点で異なる。
【0043】
第4の表示例において、表示制御部30は、
図7A,
図7Bに示すように、対象物Wの近傍側の端部の位置Prより近い第1の領域(例えば、奥行き位置95r)に虚像70aを表示する場合、第1の虚像74aと第2の虚像75aとを重ねて表示し、対象物Wの近傍側の端部の位置Prより遠い第2の領域(例えば、奥行き位置95i(95f))に虚像70b(70c)を表示する場合、第1の虚像74b(74c)と第2の虚像75b(75c)とが重ならないように、第2の虚像75b(75c)を第1の虚像74b(74c)の鉛直方向Yの上側に位置するようにずらして表示する。このような表示によれば、虚像70(第2の虚像75)が対象物Wに重ならないため、虚像70及び対象物Wの視認性を確保することができる。
【0044】
(第5の表示例)
次に、
図8を参照する。
図8は、虚像70の第5の表示例を示す図であり、運転者が前方を見た際に視認する虚像70を示す図である。第5の表示例では、虚像70を表示可能な表示領域90は、外縁領域90aを有し、表示制御部30は、虚像70が外縁領域90aに侵入した場合、虚像70のうち外縁領域90aに侵入した領域70aの視認性を低下させてもよい。具体的には、表示制御部30は、虚像70の領域70aの輝度を低下させてもよく、虚像70の領域70aの奥行き位置95を他の領域より遠方に設定してもよい。また、表示制御部30は、表示領域90の外側に向かうに従い、虚像70の領域70aの奥行き位置95を、段階的又は連続的に遠方に設定してもよい。このように、表示領域90の外縁領域90aで虚像70の視認性を低下させることで、虚像70を表示させたい位置が表示領域90の外側に移動することで虚像70の一部が突然表示されなくなる違和感を軽減することができる。