特開2018-202996(P2018-202996A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ紡織株式会社の特許一覧
<>
  • 特開2018202996-乗物用シート 図000003
  • 特開2018202996-乗物用シート 図000004
  • 特開2018202996-乗物用シート 図000005
  • 特開2018202996-乗物用シート 図000006
  • 特開2018202996-乗物用シート 図000007
  • 特開2018202996-乗物用シート 図000008
  • 特開2018202996-乗物用シート 図000009
  • 特開2018202996-乗物用シート 図000010
  • 特開2018202996-乗物用シート 図000011
  • 特開2018202996-乗物用シート 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-202996(P2018-202996A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】乗物用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/02 20060101AFI20181130BHJP
   A47C 7/14 20060101ALI20181130BHJP
【FI】
   B60N2/02
   A47C7/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-109849(P2017-109849)
(22)【出願日】2017年6月2日
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅野 誠
(72)【発明者】
【氏名】永安 秀隆
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
【Fターム(参考)】
3B084HA08
3B084HA09
3B087AA02
3B087BD04
3B087BD06
(57)【要約】
【課題】中空モータ等の電気駆動源を用いる場合に比べて簡素な構成にてシートの保持面12を調節することが可能な乗物用シートを得る。
【解決手段】乗物用シート101は、フレーム体13と、フレーム体13を覆うように設けられ、乗員200を保持するための保持面12を形成する表皮部材11と、表皮部材11の裏面側に配置され、フレーム体13に支持される板状部材14と、板状部材14に接続され、板状部材14と協働して保持面12を規定する調節機構40とを有する。調節機構40は、筺体41と、筺体41内に収容された磁性流体と、筺体41内の磁性流体に接触するように配置されるとともに、筺体41から突出して板状部材14に接続された移動部材42と、磁性流体に磁界を作用させることにより、磁性流体の粘性を増大させて移動部材42の筺体41に対する相対移動を規制する磁界発生機構とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム体と、
前記フレーム体を覆うように設けられ、乗員を保持するための保持面を形成する表皮部材と、
前記表皮部材の裏面側に配置され、前記フレーム体に直接的または間接的に支持される板状部材と、
前記板状部材に接続され、前記板状部材と協働して前記保持面を規定する調節機構と、を有し、
前記調節機構は、
筺体と、
前記筺体内に収容された磁性流体と、
前記筺体内の前記磁性流体に接触するように配置されるとともに、前記筺体から突出して前記板状部材に接続された移動部材と、
前記磁性流体に磁界を作用させることにより、前記磁性流体の粘性を増大させて前記移動部材の前記筺体に対する相対移動を規制する磁界発生機構と、を備える、
乗物用シート。
【請求項2】
前記磁界発生機構は、電磁コイルから構成されている、
請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項3】
前記板状部材および前記移動部材のうちの少なくとも一方の部材に接触するように配置され、当該一方の部材を前記保持面の側に変位させるための付勢力を発生させる付勢部材をさらに有する、
請求項1または2に記載の乗物用シート。
【請求項4】
前記付勢部材は、前記筺体の内部に配置されている、
請求項3に記載の乗物用シート。
【請求項5】
前記調節機構は、前記筺体の内部に設けられ前記移動部材の移動を案内するガイド部材をさらに備え、
前記ガイド部材は、前記筺体の内部を、前記ガイド部材に対して前記移動部材が配置されている側の第1室と、前記ガイド部材に対して前記移動部材が配置されている側とは反対側の第2室とに区画しており、
前記第1室は、相互に独立した流路を形成する第1連通部と第2連通部とを介して前記第2室に連通しており、
前記第1連通部は、前記移動部材の移動方向において、前記ガイド部材のうちの前記移動部材の移動を案内する部分に対して前記保持面の側に設けられており、
前記第2連通部は、前記移動部材の移動方向において、前記ガイド部材のうちの前記移動部材の移動を案内する部分に対して前記保持面とは反対側に設けられている、
請求項1から4のいずれか1項に記載の乗物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、乗物用シートに関し、特に、磁性流体を利用して保持面を調節する乗物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2016−041566号公報(特許文献1)に開示されているように、座面を調節するためのシャフトを有する乗物用シートが知られている。このシャフトは、中空モータおよび軸部材を備えており、中空モータの駆動によって軸部材が進退し、シャフトが伸縮してその全長が変更される。上記公報に開示された乗物用シートは、この変位動作等により、乗員(着座者)の体格に合うように座面を調節することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−041566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書は、中空モータ等の電気駆動源を用いる場合に比べて簡素な構成にてシートの保持面を調節することが可能な乗物用シートを開示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に基づく乗物用シートは、フレーム体と、上記フレーム体を覆うように設けられ、乗員を保持するための保持面を形成する表皮部材と、上記表皮部材の裏面側に配置され、上記フレーム体に直接的または間接的に支持される板状部材と、上記板状部材に接続され、上記板状部材と協働して上記保持面を規定する調節機構と、を有し、上記調節機構は、筺体と、上記筺体内に収容された磁性流体と、上記筺体内の上記磁性流体に接触するように配置されるとともに、上記筺体から突出して上記板状部材に接続された移動部材と、上記磁性流体に磁界を作用させることにより、上記磁性流体の粘性を増大させて上記移動部材の上記筺体に対する相対移動を規制する磁界発生機構と、を備える。
【0006】
上記乗物用シートによれば、磁界発生機構が磁性流体に磁界を作用させることによって、移動部材の筺体に対する相対移動が規制され、保持面の位置および形状等が規定される。磁界発生機構が磁性流体に磁界を作用させていない状態では、移動部材の筺体に対する相対移動はほとんどまたは全く規制されない。この状態で、乗員から受ける外力を利用して保持面の位置および形状等を容易に調節することができる。当該構成によれば、乗員の体格に合うように保持面を容易に変形させることができ、中空モータ等の電気駆動源を用いる場合に比べて簡素な構成にてシートの保持面を調節することが可能である。
【0007】
上記乗物用シートにおいては、上記磁界発生機構は、電磁コイルから構成されていてもよい。
【0008】
上記乗物用シートによれば、電磁コイルがたとえばスイッチ動作によって磁性流体に磁界を作用させたり作用させなくしたりすることができるため、物理的な接近移動および離間移動が必要な永久磁石などに比べて省スペース化が図れる。
【0009】
上記乗物用シートは、上記板状部材および上記移動部材のうちの少なくとも一方の部材に接触するように配置され、当該一方の部材を上記保持面の側に変位させるための付勢力を発生させる付勢部材をさらに有していてもよい。
【0010】
上記乗物用シートによれば、付勢部材が板状部材を保持面の側に変位させるための付勢力を発生させることができ、乗員の体格により一層適合するように保持面の形状を規定することが可能となる。
【0011】
上記乗物用シートにおいては、上記付勢部材は、上記筺体の内部に配置されていてもよい。
【0012】
上記乗物用シートによれば、付勢部材が筺体の外部に配置される場合に比べて、筺体の外部空間における省スペース化や、筺体の内部空間におけるスペースの有効利用を図ることが可能となる。
【0013】
上記乗物用シートにおいては、上記調節機構は、上記筺体の内部に設けられ上記移動部材の移動を案内するガイド部材をさらに備え、上記ガイド部材は、上記筺体の内部を、上記ガイド部材に対して上記移動部材が配置されている側の第1室と、上記ガイド部材に対して上記移動部材が配置されている側とは反対側の第2室とに区画しており、上記第1室は、相互に独立した流路を形成する第1連通部と第2連通部とを介して上記第2室に連通しており、上記第1連通部は、上記移動部材の移動方向において、上記ガイド部材のうちの上記移動部材の移動を案内する部分に対して上記保持面の側に設けられており、上記第2連通部は、上記移動部材の移動方向において、上記ガイド部材のうちの上記移動部材の移動を案内する部分に対して上記保持面とは反対側に設けられている。
【0014】
上記乗物用シートによれば、移動部材が移動する際、移動部材の移動がガイド部材によって案内されるとともに、磁性流体は、第2室の中で流動したり、その反対方向に流動したりすることができるため、移動部材のスムーズな移動を実現可能である。
【発明の効果】
【0015】
本明細書に開示された乗物用シートによれば、中空モータ等の電気駆動源を用いる場合に比べて簡素な構成にてシートの保持面を調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施の形態1における乗物用シート101を示す斜視図である。
図2図1中のII−II線に沿った矢視断面図である。
図3】実施の形態1における乗物用シート101に備えられる板状部材14を示す斜視図である。
図4】実施の形態1における乗物用シート101に備えられる調節機構40の内部構造を示す断面図である。
図5図4中のV−V線に沿った矢視断面図である。
図6図4中のVI−VI線に沿った矢視断面図である。
図7図4中のVII−VII線に沿った矢視断面図である。
図8】実施の形態1における乗物用シート101に備えられる調節機構40の動作を説明するための断面図である。
図9】実施の形態2における乗物用シートに備えられる調節機構47を示す断面図である。
図10】実施の形態3における乗物用シート103に備えられる調節機構47を説明するための断面図であり、シートバック10における断面構造(実施の形態1における図2に相当)を表している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施の形態について、以下、図面を参照しながら説明する。同一の部品および相当部品には同一の参照番号を利用し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
【0018】
[実施の形態1]
(乗物用シート101)
図1は、実施の形態1における乗物用シート101を示す斜視図である。乗物用シート101はたとえば、自動車用シートとして利用可能である。乗物用シート101は、シートバック10、ヘッドレスト20およびシートクッション30を有する。
【0019】
シートバック10の左右両側の下端部はそれぞれ、シートクッション30の左右両側の後端部にリクライナーを介して連結される。シートクッション30は、車両等のフロア上にスライド機構等を介して設置される。ヘッドレスト20は、シートバック10の上部に装着される。シートバック10、ヘッドレスト20およびシートクッション30はそれぞれ、これらの最外表面を構成する表皮部材11,21,31を備えている。
【0020】
乗物用シート101は、乗員を保持するための保持面を有する。本実施の形態の乗物用シート101は、保持面12,22,32を有する。保持面12は、表皮部材11のうちの前方側に位置する外表面によって形成されており、乗員の胴部を保持する。保持面22は、表皮部材21のうちの前方側に位置する外表面によって形成されており、乗員の頭部を保持する。保持面32は、表皮部材31のうちの上方側に位置する外表面によって形成されており、乗員の脚部を保持する。
【0021】
図2は、図1中のII−II線に沿った矢視断面図である。乗物用シート101は、フレーム体としてのバックフレーム13と、板状部材14と、緩衝材としてのパッド11Pと、調節機構40とを有している。バックフレーム13、板状部材14、パッド11P、および調節機構40は、シートバック10(図1)の内部に配置される。表皮部材11はこれら各種の構成要素を覆うように設けられる。
【0022】
バックフレーム13は、アッパーフレーム(図示せず)と、一対のサイドフレームとを備えている。アッパーフレームは、シートバック10(図1)の上側部の骨格を成しており、一対のサイドフレームは、シートバック10の左右両側部の骨格を成している。図2中に示されるバックフレーム13は、一対のうちの一方のサイドフレームに対応している(後述する図10中のサイドフレーム13Aに相当している)。
【0023】
図3は、板状部材14を示す斜視図である。図2および図3を参照して、板状部材14は、表皮部材11(図2)の裏面側に配置される。板状部材14と表皮部材11との間に、パッド11P(図2)が配置されている。板状部材14は、全体として上下方向(高さ方向)に沿って延在するようにシートバック10の内部に配置されている。板状部材14は、たとえば樹脂から構成される。
【0024】
本実施の形態の板状部材14は、板14D,14E,14F,14Gを備えて構成されている。板14D,14E,14F,14Gは、相互間の保持面12側に形成される開き角θ(図2)が可変となるように、ヒンジ部分14Jを介して相互に連結されている。板14D,14E,14Fは、いずれも平板状の形状を有し、幅方向における内側から外側に向かってこの順に並んでいる。
【0025】
板14Gは、板14Fのさらに外側に設けられる。板14Gは、湾曲板の形状を有し、ネジ14Tによってバックフレーム13(図10に示すサイドフレーム13Aに相当)に固定されている。本実施の形態においては、板状部材14がフレーム体としてのバックフレーム13(サイドフレーム)に直接的に支持されている。詳細は実施の形態3において後述するが、板状部材14は、バックフレーム13に間接的に支持されてもよい。
【0026】
(調節機構40)
図4は、調節機構40の内部構造を示す断面図である。図2および図4に示すように、調節機構40は板状部材14(本実施の形態においては板14F)の裏面側に設けられている(図2参照)。調節機構40の一端部41Tはバックフレーム13(サイドフレーム)に揺動可能に接続されている。調節機構40の他端部42Tは板状部材14(板14F)に揺動可能に接続されている。
【0027】
図5は、図4中のV−V線に沿った矢視断面図である。図6は、図4中のVI−VI線に沿った矢視断面図である。図7は、図4中のVII−VII線に沿った矢視断面図である。図4図7を参照して、調節機構40は、板状部材14(板14F)と協働して保持面12の位置および形状等を規定することができる。具体的には、調節機構40は、筺体41、移動部材42、付勢部材43、磁性流体44、ガイド部材45および磁界発生機構48を備える。
【0028】
(筺体41および移動部材42)
筺体41は、中空の形状を有している。移動部材42は、小径部42Aおよび大径部42Bを備え、全体として略棒状に延在する回転対称の形状を有している。小径部42Aの軸方向における一方側(図4紙面内における下側)に、大径部42Bが設けられている。小径部42Aの軸方向における他方側(図4紙面内における上側)に、上記の他端部42T(調節機構40の他端部)が設けられている。
【0029】
小径部42Aの一部および大径部42Bは筺体41の内部に配置されている。筺体41には開口部が設けられており、小径部42Aのうちの他端部42T側の部分は、筺体41の当該開口部から突出して板14F(図2)に接続されている。筺体41のうち、小径部42Aが筺体41から突出している側とは反対側の部分(図4に示す壁部41W)に、上記の一端部41T(調節機構40の一端部)が設けられている。
【0030】
(磁性流体44および付勢部材43)
磁性流体44は筺体41内に収容されている。磁性流体44は、磁界が作用することで粘性が増大するという性質を有する液体である。小径部42Aの一部および大径部42Bは、筺体41内の磁性流体44に接触している。移動部材42は、磁性流体44に磁界が作用していない状態では、筺体41に対して軸方向(図4に示す矢印DRの方向)に相対的に移動することができる。
【0031】
付勢部材43は、筺体41の内部に配置されている。付勢部材43は、コイルバネから構成され、移動部材42の大径部42Bに接触するように配置されている。付勢部材43は、大径部42Bと、筺体41のうちの一端部41T側に位置する壁部41Wとの間に設けられ、移動部材42を保持面12(図2)の側に変位させるための付勢力(換言すると、一端部41Tと他端部42Tとの間の間隔を広げようとする付勢力)を発生させる。
【0032】
(ガイド部材45)
ガイド部材45は、筺体41の内部に配置されている。ガイド部材45の側面45S(図4)は、移動部材42の移動を案内する。ガイド部材45は、筺体41の内部を、ガイド部材45に対して移動部材42が配置されている側の第1室41Aと、ガイド部材45に対して移動部材42が配置されている側とは反対側の第2室41Bとに区画している。
【0033】
ガイド部材45には、第1連通部46Aおよび第2連通部46Bが設けられている。第1連通部46Aおよび第2連通部46Bは、筺体41の内部で相互に独立した流路を形成している。第1連通部46Aは、移動部材42の移動方向において、ガイド部材45のうちの移動部材42の移動を案内する部分(側面45S)に対して保持面12の側に設けられている。第2連通部46Bは、移動部材42の移動方向において、ガイド部材45のうちの移動部材42の移動を案内する部分(側面45S)に対して保持面12とは反対側に設けられている。第1室41Aは、第1連通部46Aおよび第2連通部46Bを介して、第2室41Bに連通している。
【0034】
(磁界発生機構48)
磁界発生機構48は筺体41の外表面に対向するように配置される。磁界発生機構48は、電磁コイルなどから構成される。たとえば乗員がスイッチを操作することで磁界発生機構48は給電されて磁界を発生させ、磁性流体44に磁界を作用させる。磁性流体44の粘性を増大させることで、移動部材42の筺体41に対する相対移動が規制される。すなわち、磁界発生機構48が作動することにより磁性流体44に所定値以上の強さを有する磁界が作用している状態では、移動部材42の筺体41に対する相対移動が規制され、ひいては調節機構40の一端部41Tと他端部42Tとの間の間隔が変動することも規制されることとなる。
【0035】
磁界発生機構48は、磁性流体44に磁界を作用させることが可能であれば、筺体41に対して接近および離間可能な永久磁石から構成されても構わない。永久磁石が筺体41に隣接していれば上記のような磁界が磁性流体44に作用し、調節機構40の一端部41Tと他端部42Tとの間の間隔(すなわち保持面12の位置や形状)が変動することは規制される。一方で、永久磁石が筺体41から離間していれば上記のような磁界は磁性流体44に作用しなくなり、調節機構40の一端部41Tと他端部42Tとの間の間隔(すなわち保持面12の位置や形状)が自在に変動可能となる。
【0036】
(作用および効果)
図2および図4を参照して、乗員200(図2)は、乗物用シート101に着座する。乗員200が自身の体格に合うように保持面12の位置および/または形状を調節する際には、たとえば車両内に設けられた所定のスイッチを操作する。乗員200が乗物用シート101に着座したことをセンサー等が検知して、以下の動作を自動的に開始するように構成してもよい。
【0037】
(調節機構40の作用)
板状部材14に接続された調節機構40(移動部材42)は、乗員200によって表皮部材11等を介して矢印AR1(図2)に示す方向に押圧される。スイッチ操作等に応じて、磁界発生機構48(図4)への給電が停止したとする。この場合には磁性流体44の粘性が低下する。磁性流体44の粘性が所定値未満の状態では、表皮部材11および移動部材42等を介して磁性流体44が乗員200から受けた外力に応じて、磁性流体44は自在に流動可能である。
【0038】
移動部材42の変位に伴い、磁性流体44は、乗員200の胴部の形状に対応するように流動する。第1室41Aのうち、大径部42Bに対して壁部41W側に位置する磁性流体44は、第2連通部46B、第2室41Bおよび第1連通部46Aを通過して、第1室41A(大径部42Bに対して壁部41W側とは反対側の部分)に流れる(図8に示す矢印DR3とは逆方向の流れ)。移動部材42の変位後の位置により、一端部41Tと他端部42Tとの間の間隔が規定されるとともに、板状部材14の位置および形状が規定され、ひいては矢印AR1(図2)の方向に変位した保持面12の形状が規定されることとなる。
【0039】
スイッチがさらに操作されたり、スイッチ操作が停止されたり、あるいは所定の時間が経過したりしたこと等に基づいて、磁界発生機構48への給電が再開される。磁界の作用により、磁性流体44の粘性は所定値以上となるように増大し、移動部材42の筺体41に対する相対移動が規制される。磁性流体44に所定値以上の強さを有する磁界が作用している状態では、調節機構40の一端部41Tと他端部42Tとの間の間隔が変動することも規制されることとなる。保持面12は乗員200の体格に適合しているものであり、これにより乗物用シート101は、快適な乗り心地を乗員200に提供することが可能となる。
【0040】
(付勢部材43の作用)
板状部材14が矢印AR1(図2)の方向に変位している状態で、換言すると、移動部材42の大部分が筺体41の内部に位置して付勢部材43(図4)が圧縮されている状態で、スイッチ操作等に応じて磁界発生機構48(図4)への給電が停止したとする。磁性流体44に磁界が作用しなくなり(あるいは磁界が弱くなり)、磁性流体44の粘性が低下する。
【0041】
付勢部材43の付勢力は、一端部41Tと他端部42Tとの間の間隔を広げるとともに、開き角θ(図2)が大きくなるように作用する。板14E,14F間のヒンジ部分14Jは矢印AR2の方向に移動するように付勢されるとともに、板状部材14も付勢部材43によって矢印AR2の方向に付勢されることとなる。すなわち、付勢部材43は板状部材14を保持面12の側に変位させるための付勢力を発生させている。
【0042】
図8を参照して、磁性流体44は、粘性が所定値未満の状態では自在に流動可能である。付勢部材43からの付勢力を受けた移動部材42は、矢印DR2の方向に変位し、これにともない板状部材14は、保持面12の側、すなわち矢印AR2(図2)の方向に変位する。板状部材14および移動部材42の変位後の位置によって、一端部41Tと他端部42Tとの間の間隔が規定される。
【0043】
乗員200が着座している場合には、板状部材14は、乗員200(図2)の胴部(表皮部材11やパッド11P)と調節機構40とによって挟み込まれて、乗員200の胴部の形状に対応するように(乗員200の胴部の形状に倣うように)変形する。板状部材14の位置および形状に応じて、矢印AR2(図2)の方向に変位した保持面12の形状が規定されることとなる。
【0044】
スイッチがさらに操作されたり、スイッチ操作が停止されたり、あるいは所定の時間が経過したりしたこと等に基づいて、磁界発生機構48への給電が再開される。磁界の作用により、磁性流体44の粘性は所定値以上となるように増大し、移動部材42の筺体41に対する相対移動が規制される。磁性流体44に所定値以上の強さを有する磁界が作用している状態では、調節機構40の一端部41Tと他端部42Tとの間の間隔が変動することも規制されることとなる。保持面12は乗員200の体格に適合しているものであり、これにより乗物用シート101は、快適な乗り心地を乗員200に提供することが可能となる。
【0045】
(まとめ)
上述の実施の形態1においては、磁界発生機構48が磁性流体44に磁界を作用させることによって、移動部材42の筺体41に対する相対移動が規制されるとともに、保持面12の位置および形状等が規定される。磁界発生機構48が磁性流体44に磁界を作用させていない状態では、移動部材42の筺体41に対する相対移動はほとんどまたは全く規制されない。この状態で、乗員から受ける外力を利用して保持面12の位置および形状等を容易に調節することができる。当該構成によれば、乗員の体格に合うように保持面を容易に変形させることができ、中空モータ等の電気駆動源を用いる場合に比べて簡素な構成にてシートの保持面を調節することが可能である。
【0046】
上述の実施の形態1においては、磁界発生機構48が電磁コイルなどから構成される。磁界発生機構48は、筺体41に対して接近および離間可能な永久磁石から構成されても構わない。電磁コイルの場合、スイッチ動作によって磁性流体44に磁界を作用させたり作用させなくしたりすることができるため、物理的な接近移動および離間移動が必要な永久磁石に比べて省スペース化が図れる。永久磁石の場合、永久磁石の筺体41への接近移動が完了した状態で磁性流体44に磁界を作用させ続けることができるため、磁界の形成に電力が必要な電磁コイルに比べて電気的な省エネルギー化が図れる。
【0047】
上述の実施の形態1においては、付勢部材43が、移動部材42に接触するように配置され、移動部材42を保持面12の側に変位させるための付勢力を発生させる。このような構成に限られず、付勢部材43はたとえば筺体41(図2)と板状部材14との間に設けられて、板状部材14を保持面12の側に変位させるための付勢力を発生させてもよい。すなわち付勢部材43は、板状部材14および移動部材42のうちの少なくとも一方の部材に接触するように配置され、当該一方の部材を保持面12の側に変位させるための付勢力を発生させるように構成されることができる。板状部材14や移動部材42を保持面12の側に変位させるための手段としては、付勢部材43は必須ではなく、他の手段により板状部材14や移動部材42を保持面12の側に変位させてもよい。
【0048】
上述の実施の形態1においては、付勢部材43が筺体41の内部に配置されている。当該構成によれば、付勢部材43が筺体41の外部に配置される場合に比べて(たとえば付勢部材43が筺体41(図2)と板状部材14との間に配置される場合に比べて)、筺体41の外部空間における省スペース化や、筺体41の内部空間におけるスペースの有効利用を図ることが可能となる。
【0049】
上述の実施の形態1においては、筺体41の内部にガイド部材45が設けられ、ガイド部材45は、筺体41の内部を、第1室41Aと第2室41Bとに区画している。磁性流体44の粘性が所定値未満の状態では、移動部材42の移動がガイド部材45によって案内されるとともに、磁性流体44は、第2室41Bの中で図8中の矢印DR2に示す方向に流動したり、その反対方向に流動したりすることができるため、移動部材42のスムーズな移動を実現可能である。
【0050】
[実施の形態2]
図9は、実施の形態2における乗物用シートに備えられる調節機構47を示す断面図である。実施の形態1における乗物用シート101と実施の形態2における乗物用シートとは、以下の点において相違している。
【0051】
本実施の形態では、板状部材14の板14Dが、平板部14D1、延出部14D2、受け部14D3を備えて構成され、板状部材14の板14Eが、平板部14E1、延出部14E2、受け部14E3を備えて構成されている。
【0052】
平板部14D1,14E1はそれぞれ、板14D,14Eのうちのパッド11P(図2)の側に配置される部分であり、ヒンジ部分14Jを介して相互に隣り合っている。延出部14D2は、平板部14D1のうちのヒンジ部分14Jの側に位置する端部に連設されており、当該端部を起点として平板部14D1の裏面側の位置に到達するように湾曲しながら延出している。受け部14D3は、延出部14D2の延出方向における端部に設けられており、平板部14D1から遠ざかるように延びている。
【0053】
同様に、延出部14E2は、平板部14E1のうちのヒンジ部分14Jの側に位置する端部に連設されており、当該端部を起点として平板部14E1の裏面側の位置に到達するように湾曲しながら延出している。受け部14E3は、延出部14E2の延出方向における端部に設けられており、平板部14E1から遠ざかるように延びている。受け部14D3,14E3は、相互に対向するように配置されている。
【0054】
調節機構47は、受け部14D3,14E3の間に設けられる。調節機構47の一端部41Tは受け部14E3に接続され、調節機構47の他端部42Tは受け部14D3に接続されている。当該構成によって、調節機構47は板状部材14と一体化され、板状部材14の位置や開き角θに応じて伸縮する。磁界発生機構48は、筺体41の周囲を取り囲むように配置されている。磁界発生機構48は、筺体41の内部に収容された磁性流体(図示せず)に、スイッチ等の操作に応じて磁界を作用させることができる。
【0055】
付勢部材43は、コイルスプリングの形状を有しており、一端部が受け部14D3に接続され、他端部が受け部14E3に接続されている。これらの構成により、板状部材14は、調節機構47および付勢部材43と一体化されている。付勢部材43は、板14D,14Eと一体化されるとともに、開き角θが大きくなるように(換言すると、板14D,14Eが同一平面状に位置する姿勢を形成するように)付勢力を板14D,14Eに付与している。
【0056】
調節機構47も、板状部材14(板14D,14E)と協働して、保持面12(図2)の位置および/または形状を規定することができる。たとえば、板状部材14が乗員200(図2)からの押圧力を受けることで、板14D,14E間のヒンジ部分14Jが矢印AR1の方向に変位したとする。開き角θが小さくなる一方で、受け部14D3,14E3間の距離は、付勢部材43の付勢力に抗して長くなる。この動作とは逆に、付勢部材43の付勢力によって受け部14D3,14E3間の距離が短くなった際には、開き角θが大きくなるとともに、板14D,14E間のヒンジ部分14Jは矢印AR2の方向に変位することとなる。
【0057】
調節機構47が実施の形態1の場合と同様に伸縮することで、シートの保持面を乗員の体格に適合させることができ、これにより乗物用シートは、快適な乗り心地を乗員に提供することが可能となる。当該構成によっても、中空モータ等の電気駆動源を用いる場合に比べて簡素な構成にてシートの保持面を調節することが可能である。
【0058】
[実施の形態3]
図10は、実施の形態3における乗物用シート103に備えられる調節機構47を説明するための断面図であり、シートバック10における断面構造(実施の形態1における図2に相当)を表している。実施の形態3における乗物用シート103と実施の形態1における乗物用シート101とは、以下の点において相違している。
【0059】
バックフレームを構成しているサイドフレーム13A,13Bの間には、ベース板13Dが設けられている。サイドフレーム13Aには、ブラケット15Aを介してトーションスプリング16Aが設けられている。板状部材14の一方の側端部は、トーションスプリング16Aに取り付けられている。同様に、サイドフレーム13Bには、ブラケット15Bを介してトーションスプリング16Bが設けられている。板状部材14の他方の側端部は、トーションスプリング16Bに接続されている。
【0060】
板状部材14の両方の側端部が、トーションスプリング16A,16Bおよびブラケット15A,15Bを介して、サイドフレーム13A,13B(フレーム体)によって支持されている。当該構成により、板状部材14は、バックフレームに間接的に支持されることとなる。板状部材14の両方の側端部は、サイドフレーム13A,13Bに対して回動可能(揺動可能)に支持され、板状部材14の中央部は、板状部材14の両方の側端部を起点として前後方向(図10中に示す矢印AR1,AR2の方向)に変位することができる。
【0061】
板状部材14とベース板13Dとの間に、調節機構47および付勢部材43が配置されている。調節機構47の一端部は板状部材14に接続され、調節機構47の他端部はベース板13Dに接続されている。当該構成によって、調節機構47は板状部材14と一体化され、板状部材14の位置に応じて伸縮する。磁界発生機構48は、筺体41の周囲を取り囲むように配置されている。磁界発生機構48は、筺体41の内部に収容された磁性流体(図示せず)に、スイッチ等の操作に応じて磁界を作用させることができる。
【0062】
付勢部材43は、コイルスプリングの形状を有しており、一端部が板状部材14に接続され、他端部がベース板13Dに接続されている。これらの構成により、板状部材14は、調節機構47および付勢部材43と一体化されている。付勢部材43は、板状部材14と一体化されるとともに、板状部材14をベース板13Dから遠ざけるような付勢力(すなわち、板状部材14を保持面12の側に変位させるための付勢力)を板状部材14に付与している。
【0063】
調節機構47が実施の形態1,2の場合と同様に伸縮することで、シートの保持面12を乗員の体格に適合させることができ、これにより乗物用シート103は、快適な乗り心地を乗員200に提供することが可能となる。当該構成によっても、中空モータ等の電気駆動源を用いる場合に比べて簡素な構成にてシートの保持面12を調節することが可能である。
【0064】
[他の実施の形態]
実施の形態1〜3で開示した思想は、シートバックに限られず、ヘッドレストの保持面やシートクッションの保持面の位置および/または形状を調節するという動作にも適用可能である。上述の実施の形態1〜3で開示した思想は、保持面のうちの左右方向や斜め方向に変位する部分(いわゆるサイドサポート部分)の調節動作にも適用可能であり、保持面のうちの主として前後方向に変位する部分(いわゆるメイン部分)の調節動作にも適用可能である。
【0065】
以上、実施の形態について説明したが、上記の開示内容はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0066】
10 シートバック、11,21,31 表皮部材、11P パッド、12,22,32 保持面、13 バックフレーム(フレーム体)、13A,13B サイドフレーム、13D ベース板、14 板状部材、14D1,14E1 平板部、14D2,14E2 延出部、14D3,14E3 受け部、14D,14E,14F,14G 板、14J ヒンジ部分、14T ネジ、15A,15B ブラケット、16A,16B トーションスプリング、20 ヘッドレスト、30 シートクッション、40,47 調節機構、41 筺体、41A 第1室、41B 第2室、41T 一端部、41W 壁部、42 移動部材、42A 小径部、42B 大径部、42T 他端部、43 付勢部材、44 磁性流体、45 ガイド部材、45S 側面、46A 第1連通部、46B 第2連通部、48 磁界発生機構、101,103 乗物用シート、200 乗員、AR1,AR2,DR,DR2,DR3 矢印。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10