特開2018-203033(P2018-203033A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-203033(P2018-203033A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】スタビリンクの接合構造
(51)【国際特許分類】
   B60G 21/055 20060101AFI20181130BHJP
   F16C 11/06 20060101ALI20181130BHJP
【FI】
   B60G21/055
   F16C11/06 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-110408(P2017-110408)
(22)【出願日】2017年6月2日
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒田 茂
(72)【発明者】
【氏名】大村 修司
【テーマコード(参考)】
3D301
3J105
【Fターム(参考)】
3D301AA04
3D301DA66
3D301DA70
3D301DA73
3D301DA74
3D301DB02
3D301DB09
3D301DB18
3J105AA23
3J105AA50
3J105AB41
3J105AB42
3J105AC04
3J105CA02
3J105CB81
3J105CD06
3J105CF01
3J105CF11
(57)【要約】
【課題】スタビライザ17からのスタビリンク11の脱落対策を特に要しない簡易かつ堅固な接合を実現する。
【解決手段】スタビリンク11は、サポートバー12と、ボールジョイント13と、を備える。ボールジョイント13は、ボール部21b及びスタッド部21aを有するボールスタッド21を備える。スタビライザ17の両端にはスタビリンク11の取付部17cが設けられる。取付部17cには、スタッド部21aに設けた弾性部材31が装着される通孔17dが設けられる。弾性部材31は、胴体部31aと耳部31bとを備える。スタッド部21aは、弾性部材31が通孔17dに装着された状態で、通孔17dの内周壁部に胴体部31aが当接すると共に、通孔17dの周端縁部17d1を覆って耳部31bが位置するように弾性部材31を介して取付部17cに接合されている。
【選択図】図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に備わる懸架装置及びスタビライザを連結するためのスタビリンクを前記スタビライザに接合させるスタビリンクの接合構造であって、
前記スタビリンクは、サポートバーと、当該サポートバーの両端に設けたボールジョイントと、を備え、
前記ボールジョイントは、ボール部及びスタッド部を有するボールスタッドと、当該ボールスタッドの前記ボール部を回動自在に支持するハウジングと、を備え、
前記スタビライザは、金属製の棒状部材により構成され、
前記スタビライザの両端には、前記スタビリンクが接合される取付部がそれぞれ設けられ、
前記取付部には、前記ボールスタッドの前記スタッド部に設けた弾性部材が装着される通孔がそれぞれ設けられ、
前記弾性部材は、円筒形状の胴体部と、前記胴体部に備わる一対の外周縁部のそれぞれに設けられる耳部と、を備え、
前記ボールスタッドの前記スタッド部は、前記弾性部材が前記通孔に装着された状態で、当該通孔の内周壁部に前記胴体部が当接すると共に、当該通孔に備わる一対の外周縁部を覆って前記耳部が位置するように当該弾性部材を介して前記取付部に接合されている
ことを特徴とするスタビリンクの接合構造。
【請求項2】
請求項1に記載のスタビリンクの接合構造であって、
前記弾性部材は、前記ボールスタッドの前記スタッド部が挿通される貫通孔をさらに備え、当該スタッド部が当該貫通孔に装着された状態で当該貫通孔に接着されることで当該スタッド部に設けられている
ことを特徴とするスタビリンクの接合構造。
【請求項3】
請求項2に記載のスタビリンクの接合構造であって、
前記ボールスタッドの前記スタッド部は、円板形状のフランジ部を備え、
前記弾性部材は、前記ボールスタッドの前記スタッド部が前記貫通孔に装着された状態で当該貫通孔及び前記フランジ部に接着されることで当該スタッド部に設けられている
ことを特徴とするスタビリンクの接合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に備わる懸架装置とスタビライザの間を連結するためのスタビリンクをスタビライザに接合させるスタビリンクの接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、路面から車輪を介して車体に伝わる衝撃や振動を吸収し軽減する懸架装置と、車体のロール剛性を高めるためのスタビライザとが備わっている。懸架装置とスタビライザの間を連結するために、車両には、スタビリンクと呼ばれる棒状の部材が用いられる。スタビリンクは、例えば特許文献1に示すように、サポートバーと、サポートバーの両端に設けたボールジョイントとを備えて構成されている。
【0003】
特許文献1に係るスタビリンクは、ボール部及びスタッド部を有するボールスタッドと、サポートバーの両端に設けられ、ボールスタッドのボール部を回動自在に収容するハウジングとから構成される。ハウジングの内方側には、ハウジングの内壁とボールスタッドのボール部との間に介在するように、樹脂製のボールシートが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−84057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に係るスタビリンクをスタビライザに接合するために、スタビライザの両端には、プレス加工により形成された平板状の取付部がそれぞれ設けられている。一対の取付部には通孔がそれぞれ開設されている。スタビライザの取付部に開設された通孔に、ボールスタッドのスタッド部が貫通される。通孔から突出したスタッド部の貫通側に設けた雄ねじにはナットの雌ねじが螺合される。かかるねじ締結を用いてスタビライザがスタビリンクに接合される。
【0006】
しかしながら、特許文献1に係るスタビリンクのねじ締結を用いた接合構造では、スタッド部の雄ねじに対するナットの雌ねじの緩みがもたらすスタビライザからのスタビリンクの脱落対策が必須である。そのため、例えば、取付部のサイズ、取付部に開設した通孔周辺の平滑度、塗料の膜厚等を緻密に管理することを要する。その結果、スタビライザからのスタビリンクの脱落対策が煩雑である点で改良の余地があった。
【0007】
本発明は上記実情に鑑みて創案されたものであり、スタビライザからのスタビリンクの脱落対策を特に要しない簡易かつ堅固な接合を実現可能なスタビリンクの接合構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明(1)に係るスタビリンクの接合構造は、車両に備わる懸架装置及びスタビライザを連結するためのスタビリンクを前記スタビライザに接合させるスタビリンクの接合構造であって、前記スタビリンクは、サポートバーと、当該サポートバーの両端に設けたボールジョイントと、を備え、前記ボールジョイントは、ボール部及びスタッド部を有するボールスタッドと、当該ボールスタッドの前記ボール部を回動自在に支持するハウジングと、を備え、前記スタビライザは、金属製の棒状部材により構成され、前記スタビライザの両端には、前記スタビリンクが接合される取付部がそれぞれ設けられ、前記取付部には、前記ボールスタッドの前記スタッド部に設けた弾性部材が装着される通孔がそれぞれ設けられ、前記弾性部材は、円筒形状の胴体部と、前記胴体部に備わる一対の外周縁部のそれぞれに設けられる耳部と、を備え、前記ボールスタッドの前記スタッド部は、前記弾性部材が前記通孔に装着された状態で、当該通孔の内周壁部に前記胴体部が当接すると共に、当該通孔に備わる一対の外周縁部を覆って前記耳部が位置するように当該弾性部材を介して前記取付部に接合されていることを最も主要な特徴とする。
【0009】
本発明(1)に係るスタビリンクの接合構造によれば、ボールスタッドのスタッド部は、弾性部材が通孔に装着された状態で、通孔の内周壁部に胴体部が当接すると共に、通孔に備わる一対の外周縁部を覆って耳部が位置するように弾性部材を介して取付部に接合されているため、スタビライザからのスタビリンクの脱落対策を特に要しない簡易かつ堅固な接を実現することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、スタビライザからのスタビリンクの脱落対策を特に要しない簡易かつ堅固な接合を実現可能なスタビリンクの接合構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】スタビリンクの車両への取り付け状態を表す斜視図である。
図2A】本発明の実施形態に係るスタビリンクの接合構造を表す斜視図である。
図2B】本発明の実施形態に係るスタビリンクの接合構造を表す斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係るスタビリンクの接合構造を表す側面図である。
図4A】本発明において重要な役割を果たす弾性部材の斜視図である。
図4B】弾性部材の正面図である。
図4C】弾性部材の側面図である。
図5A】弾性部材の変形例に係る説明図である。
図5B】弾性部材の変形例に係る説明図である。
図6A】弾性部材に備わる耳部の変形例に係る説明図である。
図6B】弾性部材に備わる耳部の変形例に係る説明図である。
図6C】弾性部材に備わる耳部の変形例に係る説明図である。
図6D】弾性部材に備わる耳部の変形例に係る説明図である。
図6E】弾性部材に備わる耳部の変形例に係る説明図である。
図6F】弾性部材に備わる耳部の変形例に係る説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係るスタビリンクの接合構造について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、以下に示す図において、共通の機能を有する部材間、又は、相互に対応する機能を有する部材間には、原則として共通の参照符号を付するものとする。また、説明の便宜のため、部材のサイズ及び形状は、変形または誇張して模式的に表す場合がある。
【0013】
<スタビリンク11及びその周辺の構成>
はじめに、スタビリンク11及びその周辺の構成について、スタビリンク11を車両(不図示)に取付けた例をあげて説明する。図1は、スタビリンク11の車両への取り付け状態を表す斜視図である。
【0014】
車両の車体(不図示)には、図1に示すように、懸架装置15を介して、車輪Wが取り付けられている。路面から車輪Wを介して車体に伝わる衝撃や振動を吸収し軽減するために、懸架装置15は、コイルスプリング15aとショックアブソーバ15bとを有する。
【0015】
左右の懸架装置15の間は、図1に示すように、略コ字形状のばね鋼棒等からなるスタビライザ17を介して連結されている。車体のロール剛性(捩り変形に対する抵抗力)を高めて車両のローリングを抑制するために、スタビライザ17は、左右の車輪W間に延在するトーションバー部17aと、トーションバー部17aの両端から屈曲して延びる一対のアーム部17bとを有する。
【0016】
スタビライザ17と、車輪Wを支持するショックアブソーバ15bとの間は、スタビリンク11を介して連結されている。当該連結は、左右の車輪W側において同じである。スタビリンク11は、図1に示すように、例えば鉄鋼等の金属からなる略直線状のサポートバー12の両端に、ボールジョイント13をそれぞれ設けて構成されている。
【0017】
ボールジョイント13は、後記する図3に示すように、鋼等の金属製のボールスタッド21と、例えば樹脂製のハウジング23とから構成される。ボールスタッド21は、一方の端部に円柱状のスタッド部21aを有すると共に、他方の端部に球状のボール部21bを有して構成されている。スタッド部21aとボール部21bとは溶接接合されている。スタッド部21aとボール部21bとを一体に形成してもよい。ハウジング23は、サポートバー12の両端に設けられ、ボールスタッド21のボール部21bを回動自在に支持するように構成されている。ハウジング23の樹脂素材としては、例えば、繊維強化プラスチックFRP(Fiber-Reinforced Plastics)、炭素繊維強化プラスチックCFRP(Carbon Fiber-Reinforced Plastics)が好適に用いられる。ただし、ハウジング23は樹脂製に限らず、金属製であってもよい。なお、一対のボールジョイント13の構成は同じである。
【0018】
ボールスタッド21のスタッド部21aは、後記する図2A図2B図3に示すように、フランジ部21a1を有して構成されている。スタッド部21aに設けた円板形状のフランジ部21a1と、ハウジング23の一端との間には、これらの隙間を覆うように、ゴム等の弾性体からなる周回状のダストカバー27が装着される。ダストカバー27は、雨水、塵埃等のボールジョイント13への侵入を阻止する役割を果たす。
【0019】
一対のボールジョイント13のうち一方のボールジョイント13は、図1に示すように、ショックアブソーバ15bのブラケット15cにねじ締結により固定される。また、他方のボールジョイント13は、例えば図1図2A図2B図3に示すように、スタビライザ17におけるアーム部17bが有する取付部17cに対し、本発明の実施形態に係るスタビリンクの接合構造を用いて接合される。これについて、詳しくは次述する。
【0020】
<本発明の実施形態に係るスタビリンクの接合構造>
本発明の実施形態に係るスタビリンクの接合構造について、図2A図2B図3図4A図4B図4Cを参照して説明する。図2A図2Bは、本発明の実施形態に係るスタビリンクの接合構造を表す斜視図である。図3は、本発明の実施形態に係るスタビリンクの接合構造を表す側面図である。図4Aは、本発明において重要な役割を果たす弾性部材31の斜視図である。図4Bは、弾性部材31の正面図である。図4Cは、弾性部材31の側面図である。
【0021】
スタビライザ17におけるアーム部17bには、図2A図2B図3に示すように、プレス加工により形成された平板状の取付部17cが設けられている。取付部17cには、円柱がちょうど嵌まる形状の通孔17dが開設されている。通孔17dは、アーム部17bの長手方向に直交する向きを指向するように形成されている。取付部17cの通孔17dには、ボールスタッド21のスタッド部21aに設けた弾性部材31が装着される。
【0022】
弾性部材31は、特に限定されないが、例えば、天然ゴム、エポキシ化天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブタジエン・イソプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム、塩素化ポリエチレンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、エチレン・酢酸ビニル・アクリル酸エステル共重合ゴム、シリコーンゴム、スチレン・ブタジエンゴム等のゴム弾性樹脂で構成される。
【0023】
弾性部材31の胴体部31aには、図3図4A図4B図4Cに示すように、円筒形状の中央部分を貫くようにボールスタッド21のスタッド部21aが挿通される貫通孔33が開設されている。弾性部材31の胴体部31aに開設された貫通孔33の内径寸法は、スタッド部21aの外径寸法と比べて、実質的に同等、又は僅かに大きく形成されている。
【0024】
弾性部材31の胴体部31aは、ボールスタッド21のスタッド部21aを弾性部材31に強固に接着させる接着機能を有する。この接着機能は、胴体部31aに開設された貫通孔33の内側壁を、ボールスタッド21のスタッド部21aに加硫接着することで実現される。この加硫接着は、貫通孔33の内側壁及びスタッド部21aの外側壁の両者又は少なくともいずれか一方に適宜の接着剤を塗布することにより、適宜の厚さの接着剤層を介在させた状態で行われる。
なお、図3に示すように、胴体部31aに備わるドーナツ形状の一対の端面31a1のうちフランジ部21a1に対向する側のフランジ側端面31a3を、スタッド部21aに設けた円板形状のフランジ部21a1に加硫接着することで、胴体部31aが有する接着機能を強化するように構成してもよい。この加硫接着も、フランジ側端面31a3及びフランジ部21a1の両者又は少なくともいずれか一方に適宜の接着剤を塗布することにより、適宜の厚さの接着剤層を介在させた状態で行われる。
【0025】
また、弾性部材31の胴体部31aは、取付部17cの通孔17dに弾性部材31が装着された状態で、その外側壁を通孔17dの内側壁に密着保持させる保持機能を有する。この保持機能は、弾性部材31の胴体部31aの外径寸法を、取付部17cの通孔17dの内径寸法と比べて、実質的に同等、又は、僅かに小さく形成することで実現される。
【0026】
さらに、弾性部材31の胴体部31aは、スタビリンク11とスタビライザ17との間に介在することで両者間の振動伝達を防ぐ防振機能を有する。この防振機能は、弾性部材31に予め設定されるばね定数に従う防振特性をもって実現される。
【0027】
弾性部材31の耳部31bは、スタビライザ17におけるアーム部17bが有する取付部17cからのスタビリンク11の脱落を防止する脱落防止(抜け止め)機能を有する。この抜け止め機能を果たすために、弾性部材31の耳部31bは、図3図4A図4B図4Cに示すように、胴体部31aに備わるドーナツ形状の一対の端面31a1の周縁部31a2(図4A図4B参照)のそれぞれに対して外周側に突き出すように、環状に一体形成されている。
弾性部材31の耳部31bは、図2Bに示すように、弾性部材31が取付部17cの通孔17dに装着された状態で、通孔17dの周端縁部17d1(図2A参照)を覆って耳部31bが位置するように構成されている。
これにより、仮に、弾性部材31に対してスタッド部21aの軸線方向18(図2A参照)に沿う向きの力が作用したとしても、弾性部材31の耳部31bが、通孔17dの周端縁部17d1に連なる取付部17cの側壁17c1(図2A図2B参照)に突き当たることで立体障害となって、前記の力をいなすと共に、取付部17cの通孔17dから弾性部材31が脱落する事態を未然に防止することができる。
【0028】
取付部17cの通孔17dに弾性部材31を装着するに際しては、取付部17cの通孔17dに対し、ボールスタッド21のスタッド部21aに設けた弾性部材31を、スタッド部21aの軸線方向18(図2A参照)に沿って圧入すればよい。
【0029】
また、例えばスタビリンク11の交換要請が生じて取付部17cからスタビリンク11を離脱させるに際しては、スタビライザ17におけるアーム部17bが有する取付部17cを固定した状態で、ボールスタッド21のスタッド部21aに対し、不図示の治具を用いてスタッド部21aの軸線方向18(図2A参照)に沿って装着(圧入)時と逆向きの力を加えればよい。
ちなみに、加硫接着部(胴体部31aの貫通孔33の内側壁及びボールスタッド21のスタッド部21aの間)の抜け荷重は、圧入部(取付部17cの通孔17dの内側壁及び胴体部31aの外側壁の間)の抜け荷重と比べて大きい。そのため、前記したスタビリンク11の離脱手順を用いることにより、取付部17cの通孔17dからスタッド部21aに設けた弾性部材31を確実に離脱させることができる。
【0030】
本発明の実施形態に係るスタビリンク11の接合構造によれば、スタビライザ17からのスタビリンク11の脱落対策を特に要しない簡易かつ堅固な接合を実現することができる。
また、振動や騒音を抑制して車両の乗り心地や車室内の静粛性を良好に保持することができる。
さらに、例えばスタビリンク11の交換要請が生じた際に、取付部17cからスタビリンク11を簡易かつ確実に離脱させることができるため、スタビリンク11の交換要請が生じた際にスタビライザ17及びスタビリンク11の組立体をアッセンブリ交換する場合と比べて、車両ユーザの負担を大幅に軽減することができる。
また、本発明の実施形態に係るスタビリンク11の接合構造では、弾性部材31を支持するための筒状部材を要しないため、一部品としてのスタビリンク11の軽量化及びコスト削減に貢献することができる。
さらに、取付部17cのサイズ、取付部17cに開設した通孔17d周辺の平滑度、塗料の膜厚等を緻密に管理する煩雑さから解放されるという副次的な効果を期待することができる。
【0031】
<弾性部材31の変形例>
次に、弾性部材31の変形例について、図5A図5Bを参照して説明する。図5A図5Bは、弾性部材31の変形例に係る説明図(正面図)である。
図5Aに示す弾性部材31の変形例では、弾性部材31の軸放射方向に沿ってスリット31cが設けられている。これにより、スリット31cの部位を押し広げることにより、胴体部31aにおける貫通孔33の内側壁に対する接着剤の塗布作業を容易に行うことができる。
また、図5Bに示す弾性部材31の変形例のように、弾性部材31の軸放射方向に沿う中心線31dの部位で弾性部材31をふたつに均等分割してもよい。このように構成すれば、胴体部31aにおける貫通孔33の内側壁に対する接着剤の塗布作業を一層容易に行うことができる。
なお、必要に応じて、スタッド部21aの外側壁にも適宜の接着剤を塗布することは、図4A等に示す弾性部材31の例と同じである。
【0032】
<弾性部材31に備わる耳部31bの変形例>
次に、弾性部材31に備わる耳部31bの変形例について、図6A図6Fを参照して説明する。図6A図6Fは、弾性部材31に備わる耳部31bの変形例に係る説明図(側面図)である。なお、図6A図6Fでは、取付部17cの通孔17dと、弾性部材31の耳部31bとの位置関係を、説明の便宜を図る目的で相互の中心軸(本来であれば一致)を軸放射方向にずらして表現している。
図6A図6B図6Eに示す弾性部材31に備わる耳部31bの変形例では、通孔17dの周端縁部17d1に連なる取付部17cの側壁17c1に対面する耳部31bにおける内耳部31b1(図6A図6B図6E参照)は、取付部17cの側壁17c1に沿う起立形状に形成されている。
このように構成すれば、仮に、取付部17cの通孔17dに弾性部材31が装着された状態で、弾性部材31に対してスタッド部21aの軸線方向18(図2A参照)に沿う向きの力が作用したとしても、弾性部材31の耳部31bに起立形成された内耳部31b1が、通孔17dの周端縁部17d1に連なる取付部17cの側壁17c1に突き当たることで強い立体障害となる。その結果、前記の力をいなすと共に、取付部17cの通孔17dから弾性部材31が脱落する事態を確実に予防することができる。
【0033】
また、図6C図6D図6Fに示す弾性部材31に備わる耳部31bの変形例では、通孔17dの周端縁部17d1に連なる取付部17cの側壁17c1に対面する耳部31bにおける内耳部31b1(図6A図6B図6E参照)は、取付部17cの側壁17c1の側を指向するように傾斜形成されている。
このように構成すれば、仮に、取付部17cの通孔17dに弾性部材31が装着された状態で、弾性部材31に対してスタッド部21aの軸線方向18(図2A参照)に沿う向きの力が作用したとしても、弾性部材31の耳部31bに傾斜形成された内耳部31b1が、通孔17dの周端縁部17d1に連なる取付部17cの側壁17c1に強く突き当たることでより強い立体障害となる。その結果、前記の力をいなすと共に、取付部17cの通孔17dから弾性部材31が脱落する事態を一層確実に予防することができる。
【0034】
<ボールスタッド21のスタッド部21aの変形例>
次に、ボールスタッド21のスタッド部21aの変形例について説明する。変形例に係るボールスタッド21のスタッド部21aでは、その軸周りの外周壁(接着面)に対して、加硫接着及び接着剤を用いた接着性能の向上を狙って、サンドブラスト等の表面粗さを粗くする処理が施されている。
なお、表面粗さを粗くする処理に代えて、又は加えて、ボールスタッド21のスタッド部21aにおける外周壁(接着面)に対し、ローレット加工等の表面粗し加工を施しても構わない。
【0035】
〔本発明の実施形態に係るスタビリンクの接合構造が奏する作用効果〕
次に、本発明の実施形態に係るスタビリンクの接合構造が奏する作用効果について説明する。
【0036】
本発明(1)に係るスタビリンクの接合構造は、車両に備わる懸架装置15及びスタビライザ17を連結するためのスタビリンク11をスタビライザ17に接合させるスタビリンクの接合構造であって、スタビリンク11は、サポートバー12と、サポートバー12の両端に設けたボールジョイント13と、を備える。
ボールジョイントは、ボール部21b及びスタッド部21aを有するボールスタッド21と、ボールスタッド21のボール部21bを回動自在に支持するハウジング23と、を備える。
スタビライザ17は、金属製の棒状部材により構成される。スタビライザ17の両端には、スタビリンク11が接合される取付部17cがそれぞれ設けられている。取付部17cには、ボールスタッド21のスタッド部21aに設けた弾性部材31が装着される通孔17dがそれぞれ設けられている。
弾性部材31は、円筒形状の胴体部31aと、胴体部31aに備わる一対のドーナツ形状の端面31a1の周縁部31a2のそれぞれに設けられる耳部31bと、を備える。
ボールスタッド21のスタッド部21aは、弾性部材31が通孔17dに装着された状態で、通孔17dの内周壁部に胴体部31aが当接すると共に、通孔17dの周端縁部17d1を覆って耳部31bが位置するように弾性部材31を介して取付部17cに接合されている。
【0037】
本発明(1)に係るスタビリンクの接合構造によれば、スタビライザ17からのスタビリンク11の脱落対策を特に要しない簡易かつ堅固な接合を実現することができる。また、振動や騒音を抑制して車両の乗り心地や車室内の静粛性を良好に保持することができる。
【0038】
また、本発明(2)に係るスタビリンクの接合構造は、本発明(1)に係るスタビリンクの接合構造であって、弾性部材31は、ボールスタッド21のスタッド部21aが挿通される貫通孔33をさらに備え、スタッド部21aが貫通孔33に装着された状態で当該貫通孔33に接着されることで当該スタッド部21aに設けられている構成を採用してもよい。
【0039】
本発明(2)に係るスタビリンクの接合構造によれば、弾性部材31は、スタッド部21aが貫通孔33に装着された状態で当該貫通孔33に接着されることで当該スタッド部21aに設けられているため、スタッド部21aに対して弾性部材31を確実に固定することができる。
【0040】
また、本発明(3)に係るスタビリンクの接合構造は、本発明(2)に係るスタビリンクの接合構造であって、ボールスタッド21のスタッド部21aは、円板形状のフランジ部21a1を備え、弾性部材31は、スタッド部21aが貫通孔33に装着された状態で当該貫通孔33及びフランジ部21a1に接着されることで当該スタッド部21aに設けられている構成を採用してもよい。
【0041】
本発明(3)に係るスタビリンクの接合構造によれば、弾性部材31は、スタッド部21aが貫通孔33に装着された状態で当該貫通孔33及びフランジ部21a1に接着されることで当該スタッド部21aに設けられているため、スタッド部21aに対して弾性部材31を一層確実に固定することができる。
【0042】
〔その他の実施形態〕
以上説明した複数の実施形態は、本発明の具現化の例を示したものである。したがって、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならない。本発明はその要旨又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形態で実施することができるからである。
【0043】
例えば、本発明の弾性部材31に備わる耳部31bの変形例の説明において、図6A図6Fにそれぞれ示す耳部31bの内耳部31b1が呈する形状(起立形状又は傾斜形状)として、ひとつの弾性部材31に対して同一の形状を採用する例をあげて説明したが、本発明はこの例に限定されない。ひとつの弾性部材31に対して、相互に異なる形状を呈する耳部31bの内耳部31b1を設ける構成を採用しても構わない。
【0044】
また、図6A図6Fに示した本発明の弾性部材31に備わる耳部31bの変形例は、本発明の具現化の例を示したものであって、本発明はこの例に限定されない。本発明の弾性部材31に備わる耳部31bの構成について、取付部17cからのスタビリンク11の脱落防止(抜け止め)機能を果たす限りにおいて、いかなる構成を採用して構わない。
【符号の説明】
【0045】
11 スタビリンク
12 サポートバー
13 ボールジョイント
15 懸架装置
17 スタビライザ
17c 取付部
17d 通孔
17d1 通孔の周端縁部
21 ボールスタッド
21a スタッド部
21a1 フランジ部
21b ボール部
23 ハウジング
31 弾性部材
31a 胴体部
31a1 胴体部の一対の端面
31a2 端面の周縁部
31a3 フランジ側端面
31b 耳部
33 貫通孔
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F