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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-203105(P2018-203105A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】ステアリングコラム装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/19 20060101AFI20181130BHJP
   B62D 1/189 20060101ALI20181130BHJP
【FI】
   B62D1/19
   B62D1/189
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-111745(P2017-111745)
(22)【出願日】2017年6月6日
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】特許業務法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 尚広
【テーマコード(参考)】
3D030
【Fターム(参考)】
3D030DC27
3D030DC39
3D030DD02
3D030DD18
3D030DD19
3D030DD26
3D030DD65
3D030DD74
3D030DE06
3D030DE13
3D030DE23
3D030DE35
3D030DE46
3D030DE54
(57)【要約】
【課題】二次衝突時に破断する可破断部材の破片を受ける受け部材を有することなく、二次衝突時に可破断部材が破損して衝撃吸収機能が正常に作動したことを証明することが可能なステアリングコラム装置を提供する。
【解決手段】ステアリングコラム装置10は、ステアリングシャフト2が挿通されたステアリングコラム3と、車体9側に固定された固定ブラケット51と、ステアリングコラム3に取り付けられた可動ブラケット52と、固定ブラケット51と可動ブラケット52とにまたがって配置され、可破断性を有する係止ピン7とを備える。二次衝突が発生した際には、係止ピン7が破損すると共に固定ブラケット51と可動ブラケット52とが相対移動することによって衝撃を吸収する。係止ピン7は着色剤8を含み、係止ピン7が二次衝突によって破損したとき、ステアリングコラム3、固定ブラケット51及び可動ブラケット52の少なくとも何れかに着色剤8が付着する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のステアリングホイールが連結されるステアリングシャフトと、前記ステアリングシャフトを収容して回転可能に支持する筒状のステアリングコラムと、
車体側に固定された第1ブラケットと、前記ステアリングコラムに対して前記ステアリングコラムの軸方向には相対移動しないように取り付けられた第2ブラケットと、前記第1ブラケットと前記第2ブラケットとにまたがって配置され、可破断性を有する可破断部材とを備え、前記ステアリングホイールに二次衝突が発生した際、前記可破断部材が破損すると共に前記第2ブラケットが前記第1ブラケットに対して相対移動して衝撃を吸収するステアリングコラム装置であって、
前記可破断部材は着色剤を含み、前記可破断部材が前記二次衝突によって破損したとき、前記ステアリングコラムならびに前記第1ブラケット及び前記第2ブラケットの少なくとも何れかに、前記着色剤が付着する、
ステアリングコラム装置。
【請求項2】
前記可破断部材は、前記着色剤を収容する収容部を有し、前記破損により前記収容部の少なくとも一部が開口する、
請求項1に記載のステアリングコラム装置。
【請求項3】
前記第1ブラケットに形成された第1孔部に前記収容部の一部が配置されると共に、前記第2ブラケットに形成された第2孔部に前記収容部の他の一部が配置されている、
請求項2に記載のステアリングコラム装置。
【請求項4】
前記可破断部材は、前記第2孔部に少なくとも一部が収容される軸部と、前記軸部の一端から前記軸部の軸方向と交わる方向に向かって張り出す頭部とを有し、前記頭部が第1孔部に収容されており、
前記頭部と前記第2ブラケットとの間に、前記軸部を挿通させる貫通孔が形成された破断部材が配置されている、
請求項3に記載のステアリングコラム装置。
【請求項5】
前記着色剤は液状乃至ゲル状であり、前記収容部に封入されている、
請求項2乃至4の何れか1項に記載のステアリングコラム装置。
【請求項6】
前記着色剤は有機塗料である、
請求項1乃至5の何れか1項に記載のステアリングコラム装置。
【請求項7】
前記第2ブラケットは、ボルトによって前記第1ブラケットに取り付けられ、
前記第1ブラケットには、前記ボルトを挿通させる長穴が、前記二次衝突時における前記第2ブラケットの前記第1ブラケットに対する相対移動方向に延びるように設けられている、
請求項1乃至6の何れか1項に記載のステアリングコラム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次衝突時の衝撃吸収機構を有する車両用のステアリングコラム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両が障害物等に衝突した際、その一次衝突に続いて、運転者がステアリングホイールに衝突する二次衝突が発生する場合がある。そこで、二次衝突時の衝撃を吸収する機構を有するステアリングコラム装置が広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のステアリング装置では、車体側に固定された固定ブラケットとステアリングコラムに固定された可動ブラケットとにまたがるように樹脂製の可破断部材であるピンが配置され、二次衝突時にこのピンが破断(せん断)されて可動ブラケットが固定ブラケットに対してスライドするように構成されている。そして、樹脂製のピンをせん断する荷重により、固定ブラケットと可動ブラケットとがスライドを開始する荷重が管理されている。
【0004】
ところで、二次衝突時に破断されたピンの破片が両ブラケットから脱落してしまうと、二次衝突時に衝撃吸収機能が正常に作動したのか、あるいは組立ミス等によりそもそもピンが存在しなかったのかを区別することができないおそれがある。そこで、特許文献1では、破断したピンの破片の一部をアンダープレートによって保持することで、二次衝突時に衝撃吸収機能が正常に作動していたことを証明できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−227098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のステアリング装置では、破断後の可破断部材(ピン)の破片を受け止めて保持するための専用の受け部材(アンダープレート)が必要となるため、部品点数が増えてコストが増加してしまうという課題があった。
【0007】
そこで、本発明は、二次衝突時に破断する可破断部材の破片を受ける受け部材を有することなく、二次衝突時に可破断部材が破損して衝撃吸収機能が正常に作動したことを証明することが可能なステアリングコラム装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の目的を達成するため、車両のステアリングホイールが連結されるステアリングシャフトと、前記ステアリングシャフトを収容して回転可能に支持する筒状のステアリングコラムと、車体側に固定された第1ブラケットと、前記ステアリングコラムに対して前記ステアリングコラムの軸方向には相対移動しないように取り付けられた第2ブラケットと、前記第1ブラケットと前記第2ブラケットとにまたがって配置され、可破断性を有する可破断部材とを備え、前記ステアリングホイールに二次衝突が発生した際、前記可破断部材が破損すると共に前記第2ブラケットが前記第1ブラケットに対して相対移動して衝撃を吸収するステアリングコラム装置であって、前記可破断部材は着色剤を含み、前記可破断部材が前記二次衝突によって破損したとき、前記ステアリングコラムならびに前記第1ブラケット及び前記第2ブラケットの少なくとも何れかに、前記着色剤が付着する、ステアリングコラム装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るステアリングコラム装置によれば、二次衝突時に破断する可破断部材の破片を受ける受け部材を有することなく、二次衝突時に可破断部材が破損して衝撃吸収機能が正常に作動したことを証明することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態に係るステアリングコラム装置を備えたステアリング装置の破断面図である。
図2図1のA−A線断面図である。
図3】支持機構の分解斜視図である。
図4】係止ピンを示す図であり、(a)は側面図、(b)は断面図、(c)は係止ピンを破断部材と共に示す斜視図である。
図5】係止ピンの変形例を示す図であり、(a)は断面図、(b)は着色剤封入前の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施の形態]
本発明の実施の形態について、図1乃至図4を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する上での好適な具体例として示すものであり、技術的に好ましい種々の技術的事項を具体的に例示している部分もあるが、本発明の技術的範囲は、この具体的態様に限定されるものではない。
【0012】
(ステアリング装置の全体構成)
図1は、本発明の実施の形態に係るステアリングコラム装置を備えたステアリング装置の断面図であり、図2はそのA−A線断面図である。図1,2に示すように、ステアリング装置1は、車両のステアリングホイール100と一体に回転するステアリングシャフト2を有するステアリングコラム装置10と、ステアリングシャフト2に操舵補助力を付与する操舵補助装置11とを有する電動パワーステアリング装置として構成されている。以下の説明において、「上」、「下」、「左」、「右」とは、車両上下方向及び車両左右方向(車幅方向ともいう)における各方向をいう。
【0013】
図1では、操舵補助装置11のハウジング110の内部の概略構成を破線で図示している。ハウジング110は、車体(シャーシ)9にボルト90によって固定されたステー91に、支持軸92によって揺動可能に支持されている。支持軸92を中心として操舵補助装置11及びステアリングコラム装置10を揺動させることによって、ステアリングホイール100のチルト調整が可能となる。
【0014】
操舵補助装置11は、図略の電動モータによって回転するウォームギヤ121、及びウォームギヤ121に噛み合うウォームホイール122からなるウォーム減速機構12を有し、ウォームホイール122が、ステアリングシャフト2(ロアシャフト22)にトーションバー(捩れ軸)13を介して連結された出力軸14に固定されている。また、操舵補助装置11は、トーションバー13の捩じれ量によってステアリングホイール100に付与される操舵トルクを検出可能な図略のトルクセンサを有し、操舵トルクに応じたモータ電流が電動モータに供給される。
【0015】
(ステアリングコラム装置10の構成)
ステアリングコラム装置10は、ステアリングホイール100が連結されるステアリングシャフト2と、ステアリングシャフト2を収容して回転可能に支持する筒状のステアリングコラム3と、ステアリングコラム3に取り付けられたコラムブラケット4と、コラムブラケット4を介してステアリングコラム3を車体に支持する支持機構5と、車両の運転者によって操作される操作レバー63を有するロック機構6とを備えている。
【0016】
ステアリングシャフト2は、回転軸線Oを中心としてステアリングホイール100と一体に回転する。ステアリングシャフト2は、ステアリングホイール100が端部に固定されたアッパシャフト21と、アッパシャフト21に対して相対回転不能に連結されたロアシャフト22とを有している。アッパシャフト21とロアシャフト22とは、スプライン結合によって回転軸線Oと平行な軸方向に相対移動可能に連結されている。ステアリングシャフト2が回転すると、その回転力が例えばラックアンドピニオン機構からなる転舵機構(図示せず)に伝達され、転舵機構がステアリングホイール100の中立位置からの回転角に応じて車両の転舵輪(図示せず)を転向させる。アッパシャフト21は、ステアリングホイール100側の端部がステアリングコラム3から突出し、軸受20によってステアリングコラム3(アウタチューブ31)に支持されている。
【0017】
ステアリングコラム3は、ステアリングホイール100側のアウタチューブ31と操舵補助装置11側のインナチューブ32とを有している。アウタチューブ31及びインナチューブ32は共に円筒状であり、インナチューブ32の一端部がアウタチューブ31に内嵌されている。インナチューブ32の他端部はハウジング110に固定されている。インナチューブ32に対してアウタチューブ31が前後にスライドすることでステアリングコラム3の全長が変化し、これによりステアリングホイール100のテレスコピック調整が可能となっている。
【0018】
アウタチューブ31には、溶接等の固定手段よってコラムブラケット4が固定されている。コラムブラケット4は、車幅方向に延びる下板部41と、下板部41の左側及び右側の端部から下方に延びて車幅方向に向かい合う一対の側板部42とを一体に有している。一対の側板部42は、それぞれの上端部が例えば溶接によってアウタチューブ31に固定されている。一対の側板部42には、後述する連結軸61の軸部612を挿通させる挿通孔(不図示)がそれぞれ形成されている。
【0019】
(支持機構5の構成)
図3は、支持機構5の分解斜視図である。図1乃至図3に示すように、支持機構5は、車体側に固定された第1ブラケットとしての固定ブラケット51と、コラムブラケット4を挟持する第2ブラケットとしての可動ブラケット52と、固定ブラケット51から可動ブラケット52を吊り下げる吊り下げ部材53と、固定ブラケット51と可動ブラケット52とにまたがって配置され、可破断性を有する可破断部材としての係止ピン7とを備えている。
【0020】
固定ブラケット51は、ステアリングコラム3の上方に配置される平板状の第1上板部510と、第1上板部510の左右の端部から下向きに延設された一対の第1側板部511と、一対の第1側板部511から延設されて固定ブラケット51の車幅方向両端部に設けられた一対の取付板部512とを一体に有している。固定ブラケット51は、例えば板金をプレス加工して形成されている。
【0021】
固定ブラケット51は、一対の取付板部512を上下方向(板厚方向)に貫通する貫通孔512aにそれぞれ挿通された2つの固定ボルト55によって車体9に締結固定されている。また、第1上板部510には、第1上板部510を上下方向に貫通し、かつ二次衝突時における可動ブラケット52の固定ブラケット51に対する相対移動方向(車両前後方向)に沿って直線状に延びる一対の長穴510aが形成されている。一対の長穴510aは、車幅方向に所定の間隔を有して互いに平行に延在している。またさらに、第1上板部510には、係止ピン7の一部(上部)を収容する第1孔部510bが形成されている。第1孔部510bは、一対の長穴510aの間に形成され、第1上板部510を上下方向に貫通している。
【0022】
可動ブラケット52は、固定ブラケット51の第1上板部510の下面と対向配置される第2上板部520と、第2上板部520の左右の端部から下向きに延設された一対の第2側板部521とを一体に有している。可動ブラケット52は、例えば板金をプレス加工して形成されている。可動ブラケット52は、後述するロック機構6により、ステアリングコラム3に対して、ステアリングコラム3の軸方向には相対移動しないように取り付けられている。
【0023】
第2上板部520には、一対の長穴510aとそれぞれ連通して第2上板部520を上下方向に貫通する一対の貫通孔520aが形成されている。この貫通孔520aには、吊り下げ部材53のボルト531が挿通されており、このボルト531によって可動ブラケット52が固定ブラケット51に取り付けられている。また、第2上板部520には、係止ピン7の一部(下部)を収容する第2孔部520bが形成されている。第2孔部520bは、一対の貫通孔520aの間に形成され、第2上板部520を上下方向に貫通している。
【0024】
一対の第2側板部521は、コラムブラケット4を左右から挟み込むように配置されている。また、一対の側板部521には、連結軸61の軸部612を挿通させる連結軸挿通孔521aが形成されている。連結軸挿通孔521aは、側板部521を左右方向に貫通し、かつチルト調整を可能とするために、支持軸92を中心とした周方向に沿って延びるように形成されている。
【0025】
吊り下げ部材53は、頭部531a及び軸部531bを有する一対のボルト531と、ボルト531の軸部531bに螺合するナット532と、ボルト531の頭部531aと固定ブラケット51との間に挟持されるプレート533と、ボルト531の頭部531aとプレート533との間に設けられ、プレート533を固定ブラケット51側に押し付ける皿バネ534とを有している。
【0026】
プレート533は、車幅方向に延びる長方形状の板金である。プレート533には、プレート533を板厚方向に貫通する一対の貫通孔533aが形成されている。ボルト531の軸部531bは、皿バネ534、プレート533の貫通孔533a、固定ブラケット51の長穴510a、及び可動ブラケット52の貫通孔520aに挿通されている。そして、貫通孔520aの下側に突出した軸部531bの先端部にナット532を螺合させることで、固定ブラケット51に対して可動ブラケット52が吊り下げられた状態となる。
【0027】
プレート533には、プレート533を板厚方向に貫通するピン確認用孔533bが形成されている。ピン確認用孔533bは、第1孔部510b及び第2孔部520b内に係止ピン7が収容されていることを確認するための孔であり、固定ブラケット61の第1孔部510bに連通している。
【0028】
ロック機構6は、頭部611及び軸部612を有する連結軸61と、連結軸61の軸部612の先端に形成された雄ねじに螺合するナット62と、連結軸61及びナット62を回動させるための操作レバー63と、第1カム部材64及び第2カム部材65を有するカム機構66とを有している。連結軸61の軸部612は、可動ブラケット52の一対の第2側板部521にそれぞれ形成された連結軸挿通孔521a、及びコラムブラケット4の一対の側板部42を板厚方向に貫通する孔(不図示)に挿通されており、頭部611とナット62とで、一対の第2側板部521とコラムブラケット4とを挟み込むように配置されている。一対の第2側板部521のうち操作レバー63とは反対側の第2側板部521とナット62との間には、軸受67が配置されている。操作レバー63は、連結軸61と一体に回動するように、連結軸61の頭部611に相対回転不能に固定されている。
【0029】
可動ブラケット52と連結軸61の頭部611及び操作レバー63との間には、操作レバー63と共に回動する第1カム部材64、及び可動ブラケット52に対する回転が規制された第2カム部材65が配置されている。第1カム部材64は、円筒状の基部641と、基部641から第2カム部材65側に突出する突起642とを一体に有している。第2カム部材65は、円筒状の基部651と、基部651から第1カム部材64側に突出する突起652と、基部651の表面から突起652の先端面に至るスロープ部653とを一体に有している。
【0030】
操作レバー63の操作によって第1カム部材64を第2カム部材65に対して回動させると、突起642が基部651からスロープ部653を通って突起652の先端面に至り、第2カム部材65が第1カム部材64から離間する方向に押し出される。この結果、可動ブラケット52とコラムブラケット4を挟み込むように押圧力が加えられることとなり、可動ブラケット52とコラムブラケット4とが固定されたロック状態となる。
【0031】
また、連結軸61の軸部612には、軸部612と一体に回転する押付部材613が設けられている。押付部材613は、軸部612よりも外径が大きく、かつ、軸部612の中心軸に対して偏心した円弧状の外周面を有している。本実施の形態では、アウタチューブ31に開口部31a(図1参照)が設けられており、この開口部31aからインナチューブ32が外部に露出している。押付部材613は、開口部31aに一部が嵌入し、可動ブラケット52とコラムブラケット4とが固定されたロック状態において、押付部材613の外周面がインナチューブ32に当接する。これにより、車両上方側においてインナチューブ32の上端部における外周面がアウタチューブ31の内周面に押し付けられ、インナチューブ32に対するアウタチューブ31の軸方向の移動が規制される。テレスコピック調整は、このロック状態を解除した状態で行われる。
【0032】
さらに、ステアリングコラム装置10は、ロック機構6のロック状態が解除されたアンロック状態において、連結軸61を支持する支持部材68(図1参照)を有している。支持部材68は、弾性を有する線状部材を折り曲げて形成されており、その両端部が可動ブラケット52の第2側板部521から車幅方向に突出するように形成された係止部522(図3参照)に係止されていると共に、その中央部が連結軸61の軸部612を下方から支持している。なお、図2では支持部材68を省略して示している。
【0033】
ボルト531の軸部531bは、二次衝突が発生していない状態においては、長穴510aのステアリングホイール100側(車両後方側)の端部近傍に位置している。二次衝突が発生した際には、固定ブラケット51に対して可動ブラケット52が車両前方にスライドすると共にボルト531が長穴510aに沿って移動し、ステアリングシャフト2とステアリングコラム3とがそれぞれの長手方向に収縮する。本実施の形態に係るステアリングコラム装置10では、ステアリングホイール100に二次衝突が発生した際に、次に述べる係止ピン7が破断すると共に、アウタチューブ31がインナチューブ32に対して相対移動してステアリングコラム3が収縮し、これと同時に可動ブラケット52が固定ブラケット51に対して相対移動することによって衝撃を吸収する。なお、固定ブラケット51の第1上板部510と可動ブラケット52の第2上板部520との間に摩擦係数が小さい低摩擦シートを配置し、固定ブラケット51に対する可動ブラケット52のスライドを容易に行えるようにしてもよい。
【0034】
(係止ピン7の構成)
図4は、係止ピン7を示す図であり、(a)は側面図、(b)は断面図、(c)は係止ピンを後述する破断部材77と共に示す斜視図である。図1乃至4に示すように、係止ピン7は、その上部が固定ブラケット51の第1孔部510bに収容されると共に、その下部が可動ブラケット52の第2孔部520bに収容されており、固定ブラケット51と可動ブラケット52とにまたがって配置されている。ステアリングホイール100に二次衝突が発生した際には、係止ピン7が破断(せん断)され、固定ブラケット51に対して可動ブラケット52がスライド可能となる。
【0035】
本実施の形態では、係止ピン7が着色剤8を含み、この係止ピン7が二次衝突によって破断したとき、ステアリングコラム3ならびに固定ブラケット51及び可動ブラケット52の少なくとも何れかに着色剤8が付着するようになっている。着色剤8としては、飛散しやすい液状乃至ゲル状のものを好適に用いることができるが、固体状あるいは粉末状のものを用いてもよい。本実施の形態では、液状の着色剤8を用いている。
【0036】
着色剤8としては、金属である固定ブラケット51や可動ブラケット52に付着した後に剥がれにくいものを用いることが望ましく、有機塗料を用いることが望ましい。着色剤8の色は特に限定するものではないが、周囲の部材(固定ブラケット51や可動ブラケット52)に付着した際に目視で確認しやすい色(例えば黄色や赤色)とすることがより望ましい。
【0037】
係止ピン7は、樹脂からなる本体部71を有しており、この本体部71に形成された中空部分である収容部72に着色剤8が収容されている。すなわち、本実施の形態では、液状の着色剤8が本体部71に形成された収容部72に封入されている。本体部71に用いる樹脂としては、例えばPOM(ポリアセタール樹脂)を好適に用いることができる。なお、係止ピン7は、二次衝突時に破断に至らなくとも、二次衝突による破損によって収容部72の一部が外部に開口することにより、着色剤8がその開口から飛散して、ステアリングコラム3、固定ブラケット51、及び可動ブラケット52の少なくとも何れかの部材に付着する。
【0038】
本体部71は、可動ブラケット52の第2孔部520bに少なくとも一部が収容される軸部74と、軸部74の一端から軸部74の軸方向と交わる方向に向かって張り出す頭部73とを一体に有している。本実施の形態では、軸部71が円柱状であり、かつ軸部71の軸方向から見た頭部73の平面視における形状が矩形状である。軸部74は、頭部73の中心部から下方に延在している。また、平面視における頭部73の各辺には切り欠き73aが形成されている。ただし、係止ピン7の本体部71の具体的な形状はこれに限定されず、例えば頭部73が円板状に形成されていてもよい。
【0039】
収容部72に着色剤8を封入する方法については、特に限定するものではないが、例えば本体部71に着色剤8を流入させるための穴を形成しておき、この穴から収容部72内に着色剤8を流入させた後に穴周辺を加熱溶融させて穴を塞ぐ方法等を用いることができる。あるいは、着色剤8を封入したカプセルをインサート成形して本体部71を形成してもよい。なお、着色剤8として固体状のものを用いる場合には、収容部72は開口していてもよい。
【0040】
二次衝突時において収容部72が形成された位置で係止ピン7が破損して着色剤8が周囲に飛び散るように、収容部72は、固定ブラケット51と可動ブラケット52とにまたがって形成されていることが望ましい。つまり、固定ブラケット51に形成された第1孔部510bに収容部72の一部が配置されると共に、可動ブラケット52に形成された第2孔部520bに収容部72の他の一部が配置されていることが望ましい。なお、ここでは、収容部72が軸部74のみに形成されている場合を示しているが、収容部72が軸部74と頭部73とにわたって形成されていてもよい。
【0041】
係止ピン7の軸部74には、軸部74の軸方向における一部分を拡径した拡径部74aが形成されている。この拡径部74aは、可動ブラケット52の第2孔部520bと略同じ外径に形成されており、第2孔部520bに嵌め込まれることで係止ピン7の位置決めをする役割を果たしている。
【0042】
また、係止ピン7の頭部73には、上方に突出する複数の突起75が形成されている。この突起75は、プレート533により押し込まれることで、係止ピン7の上下方向における位置決めをする役割を果たしている。支持機構5を組み立てると、突起75はプレート533により押し潰された状態となる。
【0043】
また、本実施の形態では、係止ピン7の頭部73と可動ブラケット52との間に、係止ピン7の軸部74を挿通させる貫通孔77aが形成された破断部材77が配置されている。本実施の形態では、破断部材77が金属からなるリング状であるが、破断部材77の材料としては、本体部71の材料(樹脂)よりも硬いものであれば、金属以外のものを用いることも可能である。この破断部材77は、二次衝突時に固定ブラケット51に形成された第1孔部510bの周縁に干渉して係止ピン7をせん断しやすくするためのものであり、軸部74の中心線に沿った断面形状が矩形状である。破断部材77を有することで、破断部材77と可動ブラケット52との境界にて確実に係止ピン7を破断させることができ、係止ピン7の破断位置を安定させることができる。
【0044】
なお、破断部材77の外径が係止ピン7の頭部73の外径よりも小さいと、二次衝突時において第1孔部510bの内面に頭部73が当接して変形し、係止ピン7の破断位置や破断荷重が安定しないおそれがある。そのため、破断部材77の外径は、矩形状に形成された頭部73の平面視における各辺の長さ以上であることが望ましい。これにより、二次衝突時において、第1孔部510bの内面に破断部材77が確実に当接する。また、本実施の形態では、頭部73に4つの切り欠き73aが形成されているので、プレート533の取り付け前に、切り欠き73aから破断部材77の存在を確認することができる。
【0045】
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明したように、本実施の形態では、可破断部材としての係止ピン7が着色剤8を含み、係止ピン7が二次衝突によって破断したとき、固定ブラケット51及び可動ブラケット52の少なくとも何れかに、着色剤8が付着するように構成されている。これにより、二次衝突によって破断した係止ピン7の破片を保持せずとも、着色剤8の付着の有無を確認することにより、係止ピン7が存在したことを確認することが可能になる。よって、係止ピン7の破片を受けるための部材を省略可能となり、低コスト化及び軽量化が図られると共に、二次衝突時に係止ピン7が破断して衝撃吸収機能が正常に作動したことを証明することが可能になる。
【0046】
(変形例)
図5は、本発明の一変形例に係る係止ピン7aを示す図であり、(a)は断面図、(b)は着色剤封入前の断面図である。係止ピン7aは、着色剤8を収容する収容部72が、軸部74の先端側(頭部73と反対側)に開口しており、その開口を金属球体76で塞ぐように構成されたものである。収容部72の内壁には、周方向に沿って金属球体76が嵌合される溝74bが形成されている。図5(b)に示すように、収容部72に着色剤8を収容した後に、金属球体76を収容部72の開口から圧入し、溝74bに嵌合させることで、本体部71に着色剤8が封入される。この係止ピン7aでは、金型を用いた成型により簡単に本体部71を製造することができ、また着色剤8の封入も容易に行うことができ、製造が容易である。
【0047】
なお、係止ピン7は、アルミニウム合金などの金属を含む樹脂以外の材料で本体部71を形成してもよい。また、図示していないが、係止ピン7を多孔性の樹脂や金属を含む多孔質材料によって形成し、この多孔質材料の気孔に液状の着色剤8を含ませることもできる。このような係止ピンの構成によっても、上記の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0048】
(付記)
以上、本発明を実施の形態及び変形例に基づいて説明したが、この実施の形態及び変形例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0049】
10…ステアリングコラム装置
100…ステアリングホイール
2…ステアリングシャフト
3…ステアリングコラム
31…アウタチューブ
32…インナチューブ
51…固定ブラケット(第1ブラケット)
52…可動ブラケット(第2ブラケット)
531a…頭部
531b…軸部
7…係止ピン(可破断部材)
77…破断部材
8…着色剤
図1
図2
図3
図4
図5