特開2018-203134(P2018-203134A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-203134(P2018-203134A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】電動パワーステアリング装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 5/04 20060101AFI20181130BHJP
   F16H 57/029 20120101ALI20181130BHJP
   F16J 15/18 20060101ALI20181130BHJP
【FI】
   B62D5/04
   F16H57/029
   F16J15/18 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-112626(P2017-112626)
(22)【出願日】2017年6月7日
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(72)【発明者】
【氏名】新田 浩史
【テーマコード(参考)】
3D333
3J043
3J063
【Fターム(参考)】
3D333CB02
3D333CB21
3D333CC14
3D333CC28
3D333CC47
3D333CD04
3D333CD05
3D333CD06
3D333CD09
3D333CD16
3D333CD23
3D333CD28
3D333CD31
3D333CD37
3D333CE15
3D333CE17
3D333CE18
3J043AA16
3J063AA02
3J063AB03
3J063AC01
3J063BB11
3J063CA01
3J063CB01
3J063CB60
(57)【要約】
【課題】モータハウジング内が急減圧しても、モータハウジング内へ水が浸入するのを防ぐことができる電動パワーステアリング装置を提供することを課題とする。
【解決手段】電動パワーステアリング装置10において、第2ピニオンシャフト12は、第1ピニオンシャフト11よりも右方に配置される。減速機ハウジング22は、ラックハウジング23に接続され、減速機17と第2ピニオンシャフト12における上方端部とを収容する。モータハウジング24は、減速機ハウジング22に接続され、制御装置15とモータ16とを収容する。軸受239は、第2ピニオンシャフト12を保持し、減速機ハウジング22と第2ピニオンシャフト12との間の隙間を封止する。通気孔60は、第2ピニオンシャフト12の下端面において開口し、第2ピニオンシャフト12において軸受239よりも上方の外周側面において開口する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延び、ラック歯を有するラックと、
ステアリングホイールの回転に応じて回転し、前記ラックのラック歯と噛み合うピニオン歯を有する第1ピニオンシャフトと、
前記第1方向と交差する第2方向に延び、前記第1ピニオンシャフトよりも前記第1方向の一方側に配置され、前記ラック歯と噛み合うピニオン歯を有する第2ピニオンシャフトと、
前記ステアリングホイールから前記第1ピニオンシャフトへ至る経路中のいずかの部材の回転量に応じたトルクが発生するようにモータを制御する制御装置と、
前記ラックと、前記第2ピニオンシャフトにおける前記第2方向の一方側の端部を収容するラックハウジングと、
前記ラックハウジングに接続され、前記第2ピニオンシャフトにおける前記第2方向の他方側の端部と、前記モータで発生するトルクを前記第2ピニオンシャフトに伝える減速機とを収容する減速機ハウジングと、
前記減速機ハウジングに接続され、前記モータと前記制御装置とを収容するモータハウジングと、
前記減速機ハウジングと前記第2ピニオンシャフトとの間に形成される隙間を封止する封止部材と、
を備え、
前記第2ピニオンシャフトは、
前記第2ピニオンシャフトにおける第2方向の他方側の端面において開口し、前記第2ピニオンシャフトにおいて前記封止部材よりも前記第2方向一方側の外周側面に開口する通気孔、
を有する、電動パワーステアリング装置。
【請求項2】
第1方向に延び、ラック歯を有するラックと、
ステアリングホイールの回転に応じて回転し、前記ラックのラック歯と噛み合うラックピニオン歯を有する第1ピニオンシャフトと、
前記第1方向と交差する第2方向に延び、前記第1ピニオンシャフトよりも前記第1方向の一方側に配置され、前記ラック歯と噛み合うピニオン歯を有する第2ピニオンシャフトと、
前記ステアリングホイールから前記第1ピニオンシャフトへ至る経路中のいずかの部材の回転量に応じたトルクが発生するようにモータを制御する制御装置と、
前記ラックと、前記第2ピニオンシャフトにおける前記第2方向の一方側の端部を収容するラックハウジングと、
前記ラックハウジングに接続され、前記第2ピニオンシャフトにおける前記第2方向の他方側の端部と、前記モータで発生するトルクを前記第2ピニオンシャフトに伝える減速機とを収容する減速機ハウジングと、
前記減速機ハウジングに接続され、前記モータと前記制御装置とを収容するモータハウジングと、
前記減速機ハウジングと前記第2ピニオンシャフトとの間に形成される隙間を封止する封止部材と、
を備え、
前記第2ピニオンシャフトは、
前記第2ピニオンシャフトを前記第2方向に貫通する通気孔、
を有する、電動パワーステアリング装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の電動パワーステアリング装置であって、
前記封止部材は、前記第2ピニオンシャフトを前記ラックハウジング及び前記減速機ハウジングに対して回転可能に支持するシール付軸受である、電動パワーステアリング装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置であって、さらに、
前記通気孔に嵌め込まれ、気体を透過し液体を透過させない通気部材を有する、電動パワーステアリング装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置であって、
前記モータハウジングは、前記ラックハウジングよりも下に位置する、電動パワーステアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動パワーステアリング装置に関し、さらに詳しくは、デュアルピニオン型の電動パワーステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デュアルピニオン型の電動パワーステアリング装置は、2つのピニオンシャフトを有する。2つのピニオンシャフトの一方は、ステアリングホイールの回転を、ステアリングシャフトを介してラックに伝える。2つのピニオンシャフトの他方は、モータから受けたトルクをラックに伝える。
【0003】
デュアルピニオン型の電動パワーステアリング装置を用いる場合、モータや、モータを制御する制御装置を、ラックの延びる方向の任意の位置に配置することができる。このため、デュアルピニオン型の電動パワーステアリング装置には、車両の設計の自由度が向上するという利点がある。
【0004】
デュアルピニオン型の電動パワーステアリング装置は、エンジンルームに設けられるため、装置は、高温環境下で動作する。一方、車両が水たまりなどを走行することにより、車両が撥ね上げた水が、デュアルピニオン型の電動パワーステアリング装置にかかる場合がある。
【0005】
この場合、デュアルピニオン型の電動パワーステアリング装置において、モータや、モータを制御する制御装置を収容するモータハウジングが急速に冷却される。モータハウジングが急速に冷却されることにより、モータハウジング内で急減圧が発生するため、デュアルピニオン型の電動パワーステアリング装置の外部からモータハウジング内に水が浸入する虞がある。水がモータハウジング内に浸入した場合、モータ及び制御装置は、水に接触することにより誤作動を起こす虞がある。このため、水がモータ及び制御装置に接触することを防ぐ必要がある。
【0006】
特許文献1には、モータハウジング内に水が浸入することを防ぐデュアルピニオン型の電動パワーステアリング装置が開示されている。具体的には、特許文献1において、通気孔が、ステアリングホイールの回転に応じて回転する一方のピニオンシャフトを収容するハウジングに設けられる。通気孔には、防水性を有し、空気を流す流路を形成する通気機構が嵌め込まれる。モータハウジング内で急減圧が発生した場合であっても、空気が、通気機構を通過し、ラックを収容するラックハウジング等を介してモータハウジングに流入する。この結果、水がモータハウジング内に浸入することが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2015−147514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、ラックの端部と、ラックの端部に接続されたタイロッドとを保護する樹脂のベローズが、何らかの理由により破れる場合がある。この場合、ベローズの破れた箇所からラックハウジングに水が浸入する。水は、ラックハウジングからモータハウジング内に浸入する虞がある。この場合、特開2015−147515号公報(特許文献1)に開示されている技術では、水がモータハウジング内に浸入することを防ぐことができない。
【0009】
従って、デュアルピニオン式の電動パワーステアリング装置においては、モータハウジング内への水の浸入と、モータハウジング内で発生する急減圧とに対する対策を施す必要がある。
【0010】
本発明の目的は、モータハウジング内が急減圧しても、モータハウジング内へ水が浸入するのを防ぐことができる電動パワーステアリング装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示に係る電動パワーステアリング装置は、ラックと、第1ピニオンシャフトと、第2ピニオンシャフトと、制御装置と、ラックハウジングと、モータハウジングと、減速機ハウジングと、封止部材とを備える。ラックは、第1方向に延び、ラック歯を有する。第1ピニオンシャフトは、ステアリングホイールの回転に応じて回転し、ラックのラック歯と噛み合うピニオン歯を有する。第2ピニオンシャフトは、第1方向と交差する第2方向に延び、第1ピニオンシャフトよりも第1方向の一方側に配置され、ラック歯と噛み合うピニオン歯を有する。制御装置は、ステアリングホイールから第1ピニオンシャフトへ至る経路中のいずかの部材の回転量に応じたトルクが発生するようにモータを制御する。ラックハウジングは、ラックと、第2ピニオンシャフトにおける第2方向の一方側の端部を収容する。減速機ハウジングは、ラックハウジングに接続され、第2ピニオンシャフトにおける第2方向の他方側の端部と、モータで発生するトルクを第2ピニオンシャフトに伝える減速機とを収容する。モータハウジングは、減速機ハウジングに接続され、モータと制御装置とを収容する。封止部材は、減速機ハウジングと第2ピニオンシャフトとの間に形成される隙間を封止する。第2ピニオンシャフトは、通気口を含む。通気口は、第2ピニオンシャフトにおける第2方向の他方側の端面において開口し、第2ピニオンシャフトにおいて封止部材よりも第2方向一方側の外周側面に開口する(第1の構成)。
【発明の効果】
【0012】
本開示に係る電動パワーステアリング装置は、モータハウジング内への水の浸入を防ぐとともに、モータハウジングの内部への空気の流路を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態に係る電動パワーステアリング装置が搭載された車両の概略を示すブロック図である。
図2図1に示す電動パワーステアリング装置の側面図である。
図3図2に示す電動パワーステアリング装置のA−A断面図である。
図4図2に示す電動パワーステアリング装置のB−B断面図である。
図5】本発明の実施の形態の変形例1に係る電動パワーステアリング装置のB−B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態に係る電動パワーステアリング装置は、ラックと、第1ピニオンシャフトと、第2ピニオンシャフトと、制御装置と、ラックハウジングと、モータハウジングと、減速機ハウジングと、封止部材とを備える。ラックは、第1方向に延び、ラック歯を有する。第1ピニオンシャフトは、ステアリングホイールの回転に応じて回転し、ラックのラック歯と噛み合うピニオン歯を有する。第2ピニオンシャフトは、第1方向と交差する第2方向に延び、第1ピニオンシャフトよりも第1方向の一方側に配置され、ラック歯と噛み合うピニオン歯を有する。制御装置は、ステアリングホイールから第1ピニオンシャフトへ至る経路中のいずかの部材の回転量に応じたトルクが発生するようにモータを制御する。ラックハウジングは、ラックと、第2ピニオンシャフトにおける第2方向の一方側の端部を収容する。減速機ハウジングは、ラックハウジングに接続され、第2ピニオンシャフトにおける第2方向の他方側の端部と、モータで発生するトルクを第2ピニオンシャフトに伝える減速機とを収容する。モータハウジングは、減速機ハウジングに接続され、モータと制御装置とを収容する。封止部材は、減速機ハウジングと第2ピニオンシャフトとの間に形成される隙間を封止する。第2ピニオンシャフトは、通気口を含む。通気口は、第2ピニオンシャフトにおける第2方向の他方側の端面において開口し、第2ピニオンシャフトにおいて封止部材よりも第2方向一方側の外周側面に開口する(第1の構成)。
【0015】
第1の構成によれば、封止部材が、減速機ハウジングと第2ピニオンシャフトとの間に形成される隙間を封止する。水がラックとラックハウジングとの間に形成された隙間に浸入した場合において、浸入した水が、減速機ハウジングの内部空間を介してモータハウジングの内部空間にさらに浸入することを防ぐことができる。これにより、モータハウジングに収容された制御装置及びモータが水に接触することを防ぐことができる。また、第2ピニオンシャフトに形成された通気孔が、減速機ハウジングとラックハウジングとの間における空気の流路となる。このため、モータハウジングの内部空間において急減圧が発生したとしても、ラックハウジング内の空気が、通気孔を通ってモータハウジングの内部空間に流入することができる。急減圧がラックハウジングの内部空間で発生したとしても、急減圧を速やかに解消することができる。
【0016】
本発明の実施の形態に係る電動パワーステアリング装置は、ラックと、第1ピニオンシャフトと、第2ピニオンシャフトと、制御装置と、ラックハウジングと、モータハウジングと、減速機ハウジングと、封止部材とを備える。ラックは、第1方向に延び、ラック歯を有する。第1ピニオンシャフトは、ステアリングホイールの回転に応じて回転し、ラックのラック歯と噛み合うラックピニオン歯を有する。第2ピニオンシャフトは、第1方向と交差する第2方向に延び、第1ピニオンシャフトよりも第1方向の一方側に配置され、ラック歯と噛み合うピニオン歯を有する。制御装置は、ステアリングホイールから第1ピニオンシャフトへ至る経路中のいずかの部材の回転量に応じたトルクが発生するようにモータを制御する。ラックハウジングは、ラックと、第2ピニオンシャフトにおける第2方向の一方側の端部を収容する。減速機ハウジングは、ラックハウジングに接続され、第2ピニオンシャフトにおける第2方向の他方側の端部と、モータで発生するトルクを第2ピニオンシャフトに伝える減速機とを収容する。モータハウジングは、減速機ハウジングに接続され、モータと制御装置とを収容する。封止部材は、減速機ハウジングと第2ピニオンシャフトとの間に形成される隙間を封止する。第2ピニオンシャフトは、通気孔を含む。通気孔は、第2ピニオンシャフトを第2方向に貫通する(第2の構成)。
【0017】
第2の構成によれば、封止部材が、減速機ハウジングと第2ピニオンシャフトとの間に形成される隙間を封止する。水がラックとラックハウジングとの間に形成された隙間に浸入した場合において、浸入した水が、減速機ハウジングの内部空間を介してモータハウジングの内部空間にさらに浸入することを防ぐことができる。これにより、モータハウジングに収容された制御装置及びモータが水に接触することを防ぐことができる。また、第2ピニオンシャフトに形成された通気孔が、減速機ハウジングとラックハウジングとの間における空気の流路となる。このため、モータハウジングの内部空間において急減圧が発生したとしても、ラックハウジング内の空気が、通気孔を通ってモータハウジングの内部空間に流入することができる。急減圧がラックハウジングの内部空間で発生したとしても、急減圧を速やかに解消することができる。
【0018】
第1又は第2の構成において、封止部材は、第2ピニオンシャフトをラックハウジング及び減速機ハウジングに対して回転可能に支持するシール付軸受である(第3の構成)。
【0019】
第3の構成によれば、シール付き軸受を用いることにより、電動パワーステアリング装置の部品点数を削減することができる。
【0020】
第1〜第3の構成のいずれかにおいて、電動パワーステアリング装置であって、さらに、通気部材を有する。通気部材は、通気孔に嵌め込まれ、気体を透過し液体を透過させない(第4の構成)。
【0021】
第4の構成によれば、ラックとラックハウジングとの間に形成された隙間に浸入した水が、通気口に入り込んだとしても、通気口に入り込んだ水がモータハウジングの内部空間に浸入することを防ぐことができる。
【0022】
第1〜第3の構成のいずれかにおいて、モータハウジングは、ラックハウジングよりも下に位置する(第5の構成)。
【0023】
第5の構成によれば、モータハウジングは、ラックハウジングよりも下に位置するため、モータハウジングは、ラックハウジングよりも急速に冷却されやすくなる。第2ピニオンシャフトに通気孔を設けることにより、モータハウジングの内部空間で発生した急減圧を、速やかに解消することができるという効果がより発揮される。
【0024】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。説明の便宜上、各図において、構成を簡略化又は模式化して示したり、一部の構成を省略して示したりする場合がある。
【0025】
[1.電動パワーステアリング装置10の構成]
[1.1.全体構成]
図1は、本発明の実施の形態に係る電動パワーステアリング装置10が搭載された車両100の概略図である。
【0026】
図1を参照して、車両100は、ステアリングホイール1と、ステアリングシャフト2と、インターミディエイトシャフト3と、タイロッド4,4と、車輪5,5と、電動パワーステアリング装置10とを備える。なお、図1は、電動パワーステアリング装置10の各構成要素の電気的な接続及び機械的な接続を模式的に示しており、電動パワーステアリング装置10の各構成要素の実際の配置を正確に示すものではない。
【0027】
また、電動パワーステアリング装置10は、第1ピニオンシャフト11と、第2ピニオンシャフト12と、ラックシャフト13と、トルクセンサ14と、制御装置15と、モータ16と、減速機17と、ハウジング20とを備える。
【0028】
以下の説明において、インターミディエイトシャフト3の延びる方向を上下方向と定義する。上下方向において、ステアリングホイール1が配置されている側を上方、車輪5,5が配置されている側を下方と定義する。
【0029】
ラックシャフト13の延びる方向を横方向と定義する。横方向において、図1における左側(第1ピニオンシャフト11が配置されている側)を左方、図1における右側(第2ピニオンシャフト12が配置されている側)を右方と定義する。
【0030】
ステアリングシャフト2の上方端部は、ステアリングホイール1に接続される。ステアリングシャフト2の下方端部は、ユニバーサルジョイント6aによりインターミディエイトシャフト3の上方端部と接続される。
【0031】
インターミディエイトシャフト3の下方端部は、ユニバーサルジョイント6bにより第1ピニオンシャフト11の上方端部と接続される。第1ピニオンシャフト11の下方端部には、ピニオン歯11aが形成されている。第1ピニオンシャフト11は、車両100の運転手によるステアリングホイール1の操作に連動して回転する。
【0032】
ラックシャフト13は、車両100の横方向に延びている。ラックシャフト13には、横方向に間隔を空けてラック歯13a,13bが形成されている。ラック歯13aは、ラックシャフト13の左方端部に形成され、第1ピニオンシャフト11に形成されたピニオン歯11aに噛み合っている。ラック歯13bは、ラックシャフト13農法端部に形成され、第2ピニオンシャフト12に形成されたピニオン歯12aに噛み合っている。
【0033】
第1ピニオンシャフト11の回転運動は、ピニオン歯11aとラック歯13aとの噛み合いにより、ラックシャフト13の直線運動に変換される。つまり、ラックシャフト13は、第1ピニオンシャフト11の回転によって、車両100の横方向に移動する。タイロッド4,4が、ラックシャフト13の横方向の移動に応じて車輪5,5を押し引きすることにより、車両100の転舵が行われる。
【0034】
電動パワーステアリング装置10は、車両100のエンジンルームに配置され、第1ピニオンシャフト11の回転量に応じたアシスト力をラックシャフト13に付与する。
【0035】
電動パワーステアリング装置10において、トルクセンサ14は、第1ピニオンシャフト11のトルクを検出する。制御装置15は、例えば、ECU(Electronic Control Unit))であり、トルクセンサ14により検出されたトルクに応じた電流を、モータ16に供給する。モータ16は、制御装置15から供給された電流により駆動し、トルクを発生させる。
【0036】
減速機17は、モータ16で発生したトルクを増幅して第2ピニオンシャフト12に付与する。減速機17は、ウォーム17aとウォームホイール17bとを備える。ウォーム17aは、モータ16の回転軸とともに回転する。ウォームホイール17bは、ウォーム17aの回転に応じて回転する。ウォームホイール17bが第2ピニオンシャフト12に固定されているため、第2ピニオンシャフト12は、ウォームホイール17bとともに回転する。
【0037】
第2ピニオンシャフト12において、上方端部にピニオン歯12aが形成されている。ピニオン歯12aは、ラックシャフト13のラック歯13bと噛み合っている。第2ピニオンシャフト12の回転運動は、ラックシャフト13の横方向への移動を補助するアシスト力として、ラックシャフト13に付与される。
【0038】
ハウジング20は、第1ピニオンシャフト11と、第2ピニオンシャフト12と、ラックシャフト13と、トルクセンサ14と、制御装置15と、モータ16と、減速機17とを収容する。ハウジング20の詳細については、後述する。
【0039】
ベローズ18,18は、樹脂製であり、伸縮可能な蛇腹構造を有する。ベローズ18,18は、ハウジング20における横方向の端部とタイロッド4,4とを覆っており、ラックシャフト13とハウジング20との間に形成されている隙間から水が浸入することを防ぐ。
【0040】
[1.2.ハウジング20の構成]
図2は、図1に示す電動パワーステアリング装置10の正面図であり、電動パワーステアリング装置10を車両100の前方から見た図に相当する。
【0041】
図2を参照して、第1ピニオンシャフト11は、ラックシャフト13における左方端部に配置されており、中心軸線L1を回転軸として回転する。中心軸線L1は、上下方向及び横方向に対して傾斜している。第2ピニオンシャフト12は、ラックシャフト13における右方端部に配置されており、中心軸線L2を回転軸として回転する。中心軸線L2は、上下方向及び横方向に対して傾斜している。ラックシャフト13は、中心軸線L3に沿って横方向に移動する。中心軸線L3は、横方向に延びている。
【0042】
ハウジング20は、センサハウジング21と、減速機ハウジング22と、ラックハウジング23と、モータハウジング24とを有する。
【0043】
センサハウジング21は、第1ピニオンシャフト11を保持するとともに、トルクセンサ14(図1参照)を収容する。
【0044】
減速機ハウジング22は、第2ピニオンシャフト12を保持するとともに、減速機17(図1参照)を収容する。
【0045】
ラックハウジング23は、ラックシャフト13を収容するともに、ラックシャフト13を横方向に移動できるように保持する。ラックハウジング23において、左方端部及び右方端部の各々は開口している。
【0046】
モータハウジング24は、横方向に延びる筒形状であり、制御装置15とモータ16とを収納する。
【0047】
[1.3.第1ピニオンシャフト11の構成]
図3は、図2に示す電動パワーステアリング装置10のA−A断面図である。図3を参照して、第1ピニオンシャフト11は、入力シャフト111と、出力シャフト112と、トーションバー113とを有する。
【0048】
入力シャフト111の上方端部は、図1に示すユニバーサルジョイント6bにより、インターミディエイトシャフト3と接続される。
【0049】
出力シャフト112の端部には、ピニオン歯11aが形成されている。ピニオン歯11aは、ラックシャフト13に形成されているラック歯13aと噛み合っている。
【0050】
トーションバー113において、上方端部が入力シャフト111と接続され、下方端部が出力シャフト112と接続される。
【0051】
車両100の運転手が図1に示すステアリングホイール1を操作した場合、第1ピニオンシャフト11において、中心軸線L1周りの回転方向における相対変位が入力シャフト111と出力シャフト112との間で発生する。トルクセンサ14は、入力シャフト111と出力シャフト112との間で発生する相対変位に基づいて、第1ピニオンシャフト11において発生するトルクを検出する。
【0052】
また、入力シャフト111は、貫通孔114をさらに有する。貫通孔114は、入力シャフト111とトーションバー113とを、中心軸線L1に対して垂直な方向に貫通する孔である。貫通孔114は、電動パワーステアリング装置10における通気孔として用いられる。
【0053】
[1.4.センサハウジング21の構成]
図3を参照して、センサハウジング21は、中心軸線L1の方向に延びる筒形状であり、ラックハウジング23よりも上方に配置される。センサハウジング21における下方端部は、下方に開口した開口部216であり、上方端部は、上方に開口した開口部217である。
【0054】
センサハウジング21の上方端部には、軸受211が圧入されている。軸受211は、入力シャフト111がセンサハウジング21に対して回転可能となるように、入力シャフト111を保持する。センサハウジング21において、軸受211よりも上方端部には、シール部材212が圧入されている。シール部材212は、センサハウジング21と、入力シャフト111との間を封止する。
【0055】
センサハウジング21は、トルクセンサ14を、軸受211よりも下方の内部空間に収容する。トルクセンサ14は、入力シャフト111を径方向外側で囲むように配置される。
【0056】
トルクセンサ14は、防水コネクタ91に接続されている。防水コネクタ91は、図2に示す配線92と接続されている。配線92は、後述するように、モータハウジング24に収納されている制御装置15と接続される。
【0057】
センサハウジング21の外周側面には、防水コネクタ61が嵌め込まれる開口部211aが形成されている。センサハウジング21と防水コネクタ91との間は、Oリング213によりを封止されている。
【0058】
[1.5.ラックハウジング23の構成]
図2を参照して、ラックハウジング23は、本体部231と、第1ピニオンシャフト収容部232と、第2ピニオンシャフト収容部234とを有する。
【0059】
本体部231は、横方向に延びる筒形状であり、ラックシャフト13を収容する。本体部231における横方向の両端部は、それぞれ開口している。ラックシャフト13における左右の端部が、本体部231における左右の端部の開口から外部に突出している。
【0060】
図3を参照して、第1ピニオンシャフト収容部232は、中心軸線L1の方向に延びる筒形状であり、第1ピニオンシャフト11の出力シャフト112を収容する。第1ピニオンシャフト収容部232における下方端部は閉じている。第1ピニオンシャフト収容部232における上方端部は開口しており、センサハウジング21の開口部217が嵌め込まれている。
【0061】
第1ピニオンシャフト収容部232における上方端部には、軸受236が圧入されている。第1ピニオンシャフト収容部232における下方端部には、軸受237が圧入されている。軸受236,237は、出力シャフト112が第1ピニオンシャフト収容部232に対して回転可能となるように、出力シャフト112を保持する。
【0062】
第1ピニオンシャフト収容部232における上方端部の開口部の内周には、センサハウジング21の下方端部が嵌め込まれている。Oリング215が、センサハウジング21における下方端部の外周面と、第1ピニオンシャフト収容部232における上方端部の内周面との間に設けられ、これらの間に形成されている隙間を封止している。
【0063】
本体部231は、第1ガイド部233を収容する。第1ガイド部233は、ラックシャフト13を軸方向に移動可能にガイドする。また、第1ガイド部233は、ラックシャフト13を第1ピニオンシャフト13の出力シャフト112に押し当てることにより、ピニオン歯11aとラック歯13aとが噛み合う状態を維持する。
【0064】
[1.6.第2ピニオンシャフト12の保持]
図4は、図2に示す電動パワーステアリング装置10のB−B断面図である。図4を参照して、ラックハウジング23は、さらに、第2ピニオンシャフト収容部234と、第2ラックガイド収容部235とを有する。
【0065】
第2ピニオンシャフト収容部234は、中心軸線L2の方向に延びる筒形状であり、第2ピニオンシャフト12における上方端部を収容する。
【0066】
第2ピニオンシャフト収容部234における上方端部は閉じている。軸受238が、第2ピニオンシャフト収容部234における上方端部に圧入されている。軸受238は、ラックシャフト13よりも上方に位置するように配置される。軸受238は、第2ピニオンシャフト12が第2ピニオンシャフト収容部234に対して回転可能となるように、第2ピニオンシャフト12を保持する。
【0067】
第2ピニオンシャフト収容部234における下方端部は、開口している。第2ピニオンシャフト収容部234における下方端部には、減速機ハウジング22が備えるウォームホイール収容部222における上方端部が嵌め込まれている。Oリング225が、ウォームホイール収容部222における上方端部と、第2ピニオンシャフト収容部234における下方端部との間に形成されている隙間を封止している。
【0068】
本体部231は、第2ガイド部235を収容する。第2ガイド部235は、ラックシャフト13を軸方向に移動可能にガイドする。また、第2ガイド部235は、ラックシャフト13を第2ピニオンシャフト12に押し当てることにより、ピニオン歯12aとラック歯13bとが噛み合う状態を維持する。
【0069】
[1.7減速機ハウジング22]
図4を参照して、減速機ハウジング22は、ウォーム収容部221と、ウォームホイール収容部222とを有する。ウォーム収容部221と、ウォームホイール収容部222とは、一体形成されている。
【0070】
図2を参照して、ウォーム収容部221は、横方向に延びる筒形状である。図4を参照して、ウォーム収容部221の端部において、ウォーム収容部221の外周側面が開口している。ウォーム収容部221における外周側面の開口部は、ウォームホイール収容部222の外周側面に設けられた開口部と接続している。
【0071】
ウォーム収容部221は、ウォーム17aを回転可能に収容している。ウォーム17aの回転軸は、横方向に延びる中心軸戦L4に一致しており、モータハウジング24に収容されているモータ16の回転軸と接続されている。
【0072】
図4を参照して、ウォームホイール収容部222は、中心軸線L2方向に延びる筒形状である。ウォームホイール収容部222の中心軸は、中心軸線L2に一致している。
【0073】
ウォームホイール収容部222は、上方端部が開口しており、第2ピニオンシャフト収容部234における下方端部に嵌め込まれる。Oリング225が、ウォームホイール収容部222と第2ピニオンシャフト収容部234との間を封止している。
【0074】
ウォームホイール収容部222における下方端部は、開口している。ウォームホイール収容部222における下方端部は、蓋部223により閉じられている。Oリング224が、蓋部223と、ウォームホイール収容部222における下方端部との間を封止している。
【0075】
ウォームホイール収容部222は、ウォームホイール17bを収容する。ウォームホイール17bは、中心軸線L2を中心に回転するように、第2ピニオンシャフト12における下方端部に固定されている。
【0076】
ウォームホイール収容部222における下方端部には、軸受239が圧入されている。軸受239は、第2ピニオンシャフト12がウォームホイール収容部222に対して回転可能となるように、第2ピニオンシャフト12を保持する。また、軸受239は、シール付軸受であり、第2ピニオンシャフト12とウォームホイール収容部222との間に形成される隙間を封止する。
【0077】
[1.8.モータハウジング24]
図2を参照して、モータハウジング24は、横方向に延びる筒形状であり、制御装置15とモータ16とを収容する。
【0078】
モータハウジング24に収納されるモータ16の回転軸は、横方向に延びる中心軸線L4に一致しており、中心軸線L4は、ラックハウジング23の中心軸である中心軸線L3よりも下方に位置している。つまり、制御装置15及びモータ16は、ラックハウジング23に収容されているラックシャフト13よりも下方に位置している。
【0079】
モータハウジング24における左方端部は閉じている。モータハウジング24における右方端部は、開口しており、ウォーム収容部221における左方端部に嵌め込まれている。図示しないOリングが、モータハウジング24における右方端部と、ウォーム収容部221における左方端部を封止している。
【0080】
モータハウジング24の外周側面には、防水コネクタ93が取り付けられている。防水コネクタ93は、配線92と接続されている。つまり、防水コネクタ93は、防水コネクタ91及び配線92を介して、トルクセンサ14に接続されている。
【0081】
また、防水コネクタ93は、モータハウジング24の内部空間に配置された制御装置15と接続されている。この結果、制御装置15は、トルクセンサ14により検出された第1ピニオンシャフト11のトルクを取得することができる。
【0082】
[1.9.第2ピニオンシャフト12の内部構造]
【0083】
図4を参照して、第2ピニオンシャフト12は、通気孔60を有する。通気孔60は、ラックハウジング23における第2ピニオンシャフト収容部234の内部空間と、減速機ハウジング22におけるウォームホイール収容部222の内部空間との間における空気の流路として用いられる。
【0084】
通気孔60は、開口61,62を有する。開口61は、第2ピニオンシャフト12の下方の端面121に形成されている。開口62は、第2ピニオンシャフト12の外周側面のうち、開口領域122に形成されている。開口領域122は、第2ピニオンシャフト12の外周側面のうち、ピニオン歯12aが形成されている領域と、第2ピニオンシャフト12において軸受239により保持される被保持部123との間の領域である。
【0085】
つまり、通気孔60は、第1の孔66と、第2の孔67とを有する。第1の孔は、第2ピニオンシャフト12における下方の端面121から、中心軸線L2に沿って上方に延びる。第1の孔66の下方は開口しており、第1の孔66の上方は閉じている。第1の孔66の中心軸は、中心軸線L2に一致する。また、第2の孔67は、第2ピニオンシャフト12における開口領域122から、中心軸線L2に対して垂直な方向に延びている。第1の孔66と第2の孔67とは、第2ピニオンシャフト12の内部で繋がっている。
【0086】
また、通気孔60における第1の孔66には、通気部材68が挿入されている。通気部材68は、略円柱形状の部材である。通気部材68は、空気や水蒸気等の気体を透過させる透湿性を有し、かつ、水等の液体を透過させない防水性を有する素材により形成される。通気部材68の外径は、通気孔60の第1の孔66の内径と同じである。
【0087】
[2.モータハウジング24の内部空間への水の浸入の防止]
図4に示すように、軸受239が、第2ピニオンシャフト12とウォームホイール収容部222との間に形成される隙間を封止し、通気部材68が、第2ピニオンシャフト12に形成された第1の孔66に嵌め込まれる。これにより、ラックハウジング23に水が浸入したとしても、電動パワーステアリング装置10は、モータハウジング24の内部空間に水が浸入することを防ぐことができる。以下、詳しく説明する。
【0088】
ベローズ18,18は、ラックハウジング23における本体部231の両端部とタイロッド4,4とを覆っている。ベローズ18,18は、ラックシャフト13とラックハウジング23の本体部231との間に形成される隙間に水が浸入することを防いでいる。ベローズ18,18は、樹脂製であるため、経年劣化やその他の理由により破れる場合がある。ベローズ18が破れている状態で車両100が水たまり等を走行した場合、水がベローズ18の破れている箇所から、ラックシャフト13とラックハウジング23の本体部231との間に形成されている隙間に浸入する。
【0089】
図4を参照して、ラックハウジング23において、本体部231の内部空間と、第2ピニオンシャフト収容部234の内部空間とは繋がっている。従って、水がラックハウジング23に浸入した場合、浸入した水が、第2ピニオンシャフト収容部234の内部空間に流入する。
【0090】
しかし、シール付軸受である軸受239が、第2ピニオンシャフト12と減速機ハウジング22におけるウォームホイール収容部222との間を封止している。軸受239は、第2ピニオンシャフト収容部234の内部空間に流入した水が、軸受239よりも下方に流入することを防ぐ。この結果、モータハウジング24の内部空間に水が浸入することを防ぐことができる。
【0091】
また、第2ピニオンシャフト12には、通気孔60が形成されている、通気孔60の開口62は、第2ピニオンシャフト12の被保持部123とピニオン歯12aとの間の開口領域122に形成される。このため、第2ピニオンシャフト収容部234の内部空間に流入した水が、通気孔60の開口62から通気孔60に流入する場合がある。
【0092】
しかし、通気孔60の第1の孔67には、防水性及び透湿性を揺する通気部材68が嵌め込まれている。水が通気孔60に流入したとしても、通気部材68は、通気孔60に入り込んだ水がウォームホイール収容部222の内部空間に流入することを防ぐ。
【0093】
また、防水コネクタ93が、モータハウジング24の外周側面に設けられている。防水コネクタ93が防水性を有しているため、水が防水コネクタ93からモータハウジング24の内部空間に流入することが抑制されている。
【0094】
この結果、モータハウジング24の内部空間に収容されている制御装置15及びモータ16が水に接触することを防ぐことができるため、電動パワーステアリング装置10は、制御装置15及びモータ16が水に接触することによって、制御装置15及びモータ16で誤作動が発生することを抑制することができる。
【0095】
また、第2ピニオンシャフト12に通気孔60を設けることにより、電動パワーステアリング装置10は、減速機ハウジング22の内部空間及びモータハウジング24の内部空間における急減圧の発生を防ぐことができる。以下、詳しく説明する。
【0096】
電動パワーステアリング装置10は、エンジンルームに配置される。車両100が走行している場合、電動パワーステアリング装置10は、高温環境下で動作する。電動パワーステアリング装置10が高温環境下で動作している状態から急速に冷却される場合がある。例えば、車両100が水たまりを走行することによって、電動パワーステアリング装置10に水がかかった場合、電動パワーステアリング装置10は急速に冷却される。
【0097】
上述のように、モータハウジング24の中心軸線L4は、ラックハウジング23における本体部231の中心軸線L3よりも下方に位置しているため、モータハウジング24は、ラックハウジング23よりも水がかかりやすい。従って、モータハウジング24は、ラックハウジング23よりも急速に冷却されると想定される。モータハウジング24が急速に冷却されることにより、急減圧がモータハウジング24の内部空間で発生する。
【0098】
第2ピニオンシャフト12に通気孔60が形成されていない場合、モータハウジング24の内部空間から電動パワーステアリング装置10の外部までの空気の流路が存在しない。この場合、モータハウジング24の内部空間で急減圧が発生することにより、モータハウジング24の外周側面に取り付けられた防水コネクタ93が破壊される虞がある。防水コネクタ93が破壊されることにより、防水コネクタ93が有する防水性が失われる。車両100が水たまり等を走行することにより、水が、破壊された防水コネクタ93からモータハウジング24の内部空間に浸入する虞がある。
【0099】
しかし、第2ピニオンシャフト12には、通気孔60が形成されることにより、モータハウジング24の内部空間から電動パワーステアリング装置10の外部までの空気の流路が形成される。
【0100】
具体的には、空気の流路は、モータハウジング24の内部空間から、減速機ハウジング22の内部空間と、通気孔60と、ラックハウジング23の内部空間とを経由して、第1ピニオンシャフト11が有する貫通孔114に達する経路である。なお、第1ピニオンシャフト11において、入力シャフト111とトーションバー113との間の隙間、出力シャフト112とトーションバー113との間の隙間は、封止されていないため、空気が、これらの隙間を通過することが可能である。
【0101】
この結果、モータハウジング24が急速に冷却され、モータハウジング24の内部空間において急減圧が発生したとしても、空気が上記の空気の流路と逆の経路を通ってモータハウジング24の内部空間に流入することができる。これにより、モータハウジング24の内部空間における急減圧の発生が抑制される。つまり、モータハウジング24の内部空間における急減圧を原因とする防水コネクタ93の破壊を防ぐことができるため、防水コネクタ93の破壊によるモータハウジング24の内部空間への水の流入を防ぐことができる。従って、水の接触を原因とする制御装置15及びモータ16の誤作動の発生を抑制することができる。
【0102】
{変形例1}
図5は、変形例1に係る電動パワーステアリング装置10のB−B断面図である。図5を参照して、変形例1に係る電動パワーステアリング装置10は、第2ピニオンシャフト12に代えて、第2ピニオンシャフト19を備える。
【0103】
第2ピニオンシャフト19は、図5に示すように、通気孔195を有する。通気孔195は、第2ピニオンシャフト19を中心軸線L2の延びる方向に貫通する孔である。つまり、通気孔195は、第2ピニオンシャフト19における下方の端面191と上方の端面192との間を貫通する。
【0104】
第2ピニオンシャフト19が通気孔195を有することにより、変形例1に係る電動パワーステアリング装置10において、モータハウジング24の内部空間から電動パワーステアリング装置10の外部までの空気の流路が形成される。変形例1に係る電動パワーステアリング装置10は、モータハウジング24の内部空間において急減圧が発生することを抑制することができる。
【0105】
通気孔195の上方の開口は、ラックシャフト13とラックハウジング23における本体部231との間に形成される隙間よりも上方に位置している。このため、水がラックシャフト13とラックハウジング23における本体部231との間に形成される隙間に侵入した場合であっても、水が通気孔195の上方の開口から通気孔195に流入することを抑制することができる。このため、変形例1に係る電動パワーステアリング装置10において、通気部材68を第2ピニオンシャフト19における通気孔195に嵌め込まなくてもよい。ただし、通気孔195を第2ピニオンシャフト19に形成することは、通気部材68を通気孔195に嵌め込むことを妨げるものではない。
【0106】
{その他の変形例}
上記実施の形態において、軸受239が、シール付軸受であり、軸受239が、第2ピニオンシャフト12と減速機ハウジング22におけるウォームホイール収容部222との間に形成される隙間を封止する例を説明したが、これに限られない。軸受239は、シール付軸受でなくてもよい。この場合、Oリング等の封止部材を用いて、第2ピニオンシャフト12と減速機ハウジング22におけるウォームホイール収容部222との間に形成される隙間を封止すればよい。
【0107】
上記実施の形態において、モータハウジング24の中心軸線L4が、ラックハウジング23における本体部231の中心軸線L3よりも下に位置する例を説明したが、これに限られない。モータハウジング24の中心軸線L4が、ラックハウジング23における本体部231の中心軸線L3よりも上に位置してもよい。この場合であっても、電動パワーステアリング装置10は、モータハウジング24の内部空間における急減圧の発生を防ぐことができるため、モータハウジング24の内部空間への水の浸入を防ぐことができる。
【0108】
上記実施の形態において、通気部材68を第2ピニオンシャフト12における通気孔60に嵌め込む例を説明したが、これに限られない。通気部材68を第2ピニオンシャフト12における通気孔60の第1の孔66に嵌め込まなくてもよい。この場合であっても、モータハウジング24の内部空間における急減圧の発生を防ぐことがでるため、モータハウジング24の内部空間への水の浸入を防ぐことができる。
【0109】
上記実施の形態において、電動パワーステアリング装置10が、第1ピニオンシャフト11の回転量に応じたトルクが発生するように、モータ16を制御する例を説明したが、これに限られない。電動パワーステアリング装置10は、ステアリングホイール1から第1ピニオンシャフト11に至る経路中のいずれかの部材のトルクを検出し、検出したトルクに基づいて、モータ16を制御してもよい。つまり、電動パワーステアリング装置10は、ステアリングホイール1から第1ピニオンシャフト11に至る経路中のいずれかの部材に応じたトルクが発生するように、モータを制御すればよい。
【0110】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0111】
100 車両
10 電動パワーステアリング装置
11 第1ピニオンシャフト
12,19 第2ピニオンシャフト
13 ラック
14 トルクセンサ
15 制御装置
16 モータ
17 減速機
18 ベローズ
20 ハウジング
21 センサハウジング
22 減速機ハウジング
23 ラックハウジング
24 モータハウジング
211,236,237,238,239 軸受
231 本体部
232 第1ピニオンシャフト収容部
234 第2ピニオンシャフト収容部
60,195 通気孔
68 通気部材
91,93 防水コネクタ
図1
図2
図3
図4
図5