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特開2018-203855不飽和基含有ポリエーテル重合体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-203855(P2018-203855A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】不飽和基含有ポリエーテル重合体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 65/30 20060101AFI20181130BHJP
   C08G 65/336 20060101ALI20181130BHJP
【FI】
   C08G65/30
   C08G65/336
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-109733(P2017-109733)
(22)【出願日】2017年6月2日
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(72)【発明者】
【氏名】有田 洋隆
【テーマコード(参考)】
4J005
【Fターム(参考)】
4J005AA04
4J005AA12
4J005BB04
4J005BC00
4J005BD03
4J005BD08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】金属不純物を含む不飽和基含有ポリエーテル重合体の有機溶剤/水抽出する際に発生する中間相(乳化物)を抑制できる精製方法と、精製された不飽和基含有ポリエーテル重合体を用いる反応性珪素基含有ポリエーテル重合体の製造方法と、の提供。
【解決手段】金属不純物を含む不飽和基含有ポリエーテル重合体(A)に有機溶剤(B)を添加し、次に、水(C)及び無機酸(D)を添加して混合物(E)とし、この混合物(E)中で金属不純物を水相に抽出し、金属不純物を含む水相を分離する精製方法で、金属不純物を抽出後の水相のpHを3.5〜6.0とする不飽和基含有ポリエーテル重合体(A)の精製方法。精製されたポリエーテル系重合体と式(3)で表されるシラン化合物との反応により、得られる反応性珪素基含有ポリエーテル重合体の製造方法。H−(SiR2−bO)m−Si(R3−a)X(3)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)不飽和基含有ポリエーテル重合体の製造方法であって、金属不純物を含む不飽和基含有ポリエーテル重合体(A)に、有機溶剤(B)を添加した後、次いで、水(C)および無機酸(D)を添加して混合物(E)とし、この混合物(E)から該金属不純物を水相に抽出し、該金属不純物を含む水相を分離する工程を含み、ここで、該金属不純物を抽出した後の水相のpHが3.5〜6.0であることを特徴とする不飽和基含有ポリエーテル重合体の製造方法。
【請求項2】
金属不純物が、複合金属シアン化物錯体および/またはその残渣化合物であることを特徴とする請求項1に記載の不飽和基含有ポリエーテル重合体の製造方法。
【請求項3】
金属不純物を構成する金属原子が、複合金属シアン化物錯体および/またはその残渣化合物に由来する亜鉛および/またはコバルトであることを特徴とする請求項1または2に記載の不飽和基含有ポリエーテル重合体の製造方法。
【請求項4】
混合物(E)から金属不純物を含む水相を遠心分離によって分離することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の不飽和基含有ポリエーテル重合体の製造方法。
【請求項5】
無機酸(D)が硫酸であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の不飽和基含有ポリエーテル重合体の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法により得られた精製された不飽和基含有ポリエーテル重合体(A’)と下記一般式(3)で表されるシラン化合物とのヒドロシリル化反応により得られることを特徴とする反応性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン系重合体(P)の製造方法。
H−(SiR2−bO)m−Si(R3−a)X (3)
(式中、RおよびRは同一または異なっていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基または(R’)SiO−基で表されるトリオルガノシロキシ基を示し、RまたはRが二個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。ここでR’は炭素数1〜20の一価の炭化水素基であり、3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい。Xは水酸基または加水分解性基を示し、Xが二個以上存在する時、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を、bは0、1または2をそれぞれ示す。またm個の(SiR2−bO)基におけるbについて、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。mは0〜19の整数を示す。但し、a+Σb≧1を満足するものとする。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不飽和基含有ポリエーテル重合体の製造方法、および反応性ケイ素基含有ポリエーテル重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
反応性ケイ素基含有ポリエーテル重合体は、室温においても湿分などによる反応性ケイ素基の加水分解反応などを伴うシロキサン結合の形成によって架橋し、ゴム状硬化物が得られるという性質を有することが知られている。
【0003】
反応性ケイ素基含有ポリエーテル重合体は、すでに工業的に生産され、シーリング材、接着剤、塗料などの用途に広く使用されている。
【0004】
このような反応性ケイ素基含有ポリエーテル重合体を製造する方法の一例として、KOHなどのアルカリ金属または複合金属シアン化物錯体を触媒としてアルキレンオキシドの開環重合を行い、末端に水酸基を有するポリエーテル重合体を製造し、その末端水酸基をオレフィンへ変換した後、反応性ケイ素基を有するヒドロシラン化合物によりヒドロシリル化を行って製造する方法が知られており、すでに工業的に実用化されている。
【0005】
このため、末端水酸基をオレフィンへ変換した不飽和基含有ポリエーテル重合体は反応性ケイ素基含有ポリエーテル重合体の中間体として重要である。
【0006】
しかし、上記方法において、末端水酸基をオレフィンへ変換した不飽和基含有ポリエーテル重合体中に酸化性不純物が存在したり、または重合触媒由来の金属不純物(複合金属シアン化物錯体および/またはその残渣化合物)が存在すると、その後のヒドロシリル化反応が阻害される場合がある。
【0007】
このような反応阻害を防止するため、例えば、不飽和基含有ポリエーテル重合体中に存在する酸化性不純物を、アスコルビン酸、クエン酸またはそれらの誘導体を添加することによって分解し、ヒドロシリル化反応を問題なく進行させる方法が知られている(特許文献1参照)。
【0008】
また、不飽和基含有ポリエーテル重合体中に存在する重合触媒由来の金属不純物を除去する方法として、例えば、有機溶剤/水による抽出方法(特許文献2参照)、有機溶剤/水/強酸による抽出方法(特許文献3の合成例1参照)、有機溶剤/水/アスコルビン酸による抽出方法(特許文献4参照)などが知られている。
【0009】
また、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)のようなキレート剤を添加する方法も提案されている(特許文献5参照)。この方法では、EDTAのようなキレート剤が不飽和基含有ポリエーテル重合体中に残ると、ヒドロシリル化反応の遅延剤となるため、ヒドロシリル化を行なう際にはEDTAの完全な除去が必要である。
【0010】
さらに、プロピレンオキシドのような炭素原子数が3以上のアルキレンオキシドを開環重合してポリアルキレンオキシドを製造する際に、開始剤がエチレンオキシドの重合成分を不純物として含んでいたり、炭素原子数が3以上のアルキレンオキシドがエチレンオキシドを不純物として含んでいると、これらのものが得られる重合体の親水性を増大させ、水を用いた抽出分離による精製を著しく困難にする場合がある。このような事態を避けるためには、開始剤中のエチレンオキシドの重合成分含有量や炭素原子数が3以上のアルキレンオキシド中のエチレンオキシド含有量を厳しく管理する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平10−212349号公報
【特許文献2】特開2003−105079号公報
【特許文献3】特開2004−107643号公報
【特許文献4】国際公開第2006/049088号
【特許文献5】特開平06−200013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献2〜4に記載の方法によれば、不飽和基含有ポリエーテル重合体中の重合触媒由来の金属不純物を低減させることは可能である。
【0013】
しかし、特許文献2〜4に記載の方法では、金属不純物を含む不飽和基含有ポリエーテル重合体を有機溶剤/水抽出によって分離、精製処理する際に、水相と油相との間に、不飽和基含有ポリエーテル重合体、有機溶剤および水を含む中間相(乳化物)が多量に生成する場合がある。
【0014】
中間相は水とともに有機成分を多量に含んでいるため、排水として処理する場合、活性汚泥槽などに高い負荷をかける場合がある。このため、中間相は水相とは別に回収され、産業廃棄物として処理されることが多い。
【0015】
中間相が多量に発生する場合、分離、精製処理に用いた設備から中間相を抜き出す際に長い時間を要したり、中間相の産業廃棄物としての処理に多額の費用が生じたり、中間相を産業廃棄物処理業者に引き渡すまでの保管場所の確保が必要であるなどの種々の問題がある。
【0016】
本発明は以上の課題を鑑みてなされたものであって、金属不純物を含む不飽和基含有ポリエーテル重合体から有機溶剤/水抽出によって分離、精製処理を行う際に、これまでより簡便で、かつ中間相を発生させることのない処理方法とその処理方法によって得られる不飽和基含有ポリエーテル重合体を提供することを目的とする。
【0017】
さらに、当該不飽和基含有ポリエーテル重合体を用いる反応性ケイ素基含有ポリエーテル重合体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、水相のpHを特定の範囲に調整することによって上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0019】
すなわち、本発明は、
(1)不飽和基含有ポリエーテル重合体の製造方法であって、金属不純物を含む不飽和基含有ポリエーテル重合体(A)に、有機溶剤(B)を添加した後、次いで、水(C)および無機酸(D)を添加して混合物(E)とし、この混合物(E)から該金属不純物を水相に抽出し、該金属不純物を含む水相を分離する工程を含み、ここで、該金属不純物を抽出した後の水相のpHが3.5〜6.0であることを特徴とする不飽和基含有ポリエーテル重合体の製造方法、
(2)金属不純物が、複合金属シアン化物錯体および/またはその残渣化合物であることを特徴とする(1)に記載の不飽和基含有ポリエーテル重合体の製造方法、
(3)金属不純物を構成する金属原子が、複合金属シアン化物錯体および/またはその残渣化合物に由来する亜鉛および/またはコバルトであることを特徴とする(1)または(2)に記載の不飽和基含有ポリエーテル重合体の製造方法、
(4)混合物(E)から金属不純物を含む水相を遠心分離によって分離することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の不飽和基含有ポリエーテル重合体の製造方法、
(5)無機酸(D)が硫酸であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の不飽和基含有ポリエーテル重合体の製造方法、
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載の製造方法により得られた精製された不飽和基含有ポリエーテル重合体(A’)と下記一般式(3)で表されるシラン化合物とのヒドロシリル化反応により得られることを特徴とする反応性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン系重合体(P)の製造方法、
H−(SiR2−bO)m−Si(R3−a)X (3)
(式中、RおよびRは同一または異なっていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基または(R’)SiO−基で表されるトリオルガノシロキシ基を示し、RまたはRが二個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。ここでR’は炭素数1〜20の一価の炭化水素基であり、3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい。Xは水酸基または加水分解性基を示し、Xが二個以上存在する時、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を、bは0、1または2をそれぞれ示す。またm個の(SiR2−bO)基におけるbについて、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。mは0〜19の整数を示す。但し、a+Σb≧1を満足するものとする。)
に関する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、金属不純物を含む不飽和基含有ポリエーテル重合体から有機溶剤/水抽出によって金属不純物を抽出、除去するにあたって、金属不純物の除去が容易になり、さらに中間相(乳化物)の発生を抑えることができる。また、金属含有量の低い不飽和基含有ポリエーテル重合体が得られることから、反応性ケイ素基含有ポリエーテル重合体を製造する際に、ヒドロシリル化反応に使用する触媒量を減量させることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(金属不純物を含む不飽和基含有ポリエーテル重合体(A)の製造方法)
金属不純物を含む不飽和基含有ポリエーテル重合体(A)の製造方法は特に限定されることはなく、公知の方法を用いることができる。
【0022】
一般的な製造方法としては、例えば、複合金属シアン化物錯体を触媒として用いる重合反応により得られる水酸基末端ポリエーテル重合体に、アルカリ金属化合物を反応させた後、過剰量の不飽和基含有ハロゲン化合物を反応させる方法をあげることができる。
【0023】
水酸基末端ポリエーテル重合体の主鎖構造は、−R−O−で表される繰り返し単位が好ましい。
【0024】
ここで、Rは、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ハロゲン原子などのヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1〜20の2価の有機基である。主鎖中の複数のRは、同一の基であってもよく、2種以上の異なった基であってもよい。
【0025】
Rとしてはアルキレン基が好ましい。アルキレン基の炭素原子数は1〜10が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4が特に好ましい。
【0026】
−R−O−で表される繰り返し単位としては、−CHCHO−、−CH(CH)CHO−、−CH(C)CHO−、−C(CHCHO−、および−CHCHCHCHO−などをあげることができるが、−CHCHO−、−CH(CH)CHO−が好ましく、−CH(CH)CHO−が特に好ましい。
【0027】
また、水酸基末端ポリエーテル重合体の主鎖は、分岐していてもよく、架橋していてもよい。
【0028】
水酸基末端ポリエーテル重合体は、複合金属シアン化物錯体触媒の存在下、開始剤にアルキレンオキサイドを開環重合させて製造されるものが好ましい。
【0029】
アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、α−ブチレンオキサイド、β−ブチレンオキサイド、ヘキセンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイド、及びα−メチルスチレンオキシドなどをあげることができる。
【0030】
また、上記アルキレンオキサイド以外に、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、及びフェニルグリシジルエーテルなどの炭素原子数2〜12の置換または非置換のグリシジルエーテル類なども使用することができる。
【0031】
開始剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、メタリルアルコール、水素化ビスフェノールA、ネオペンチルグリコール、ポリブタジエンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレントリオール、ポリプロピレンテトラオール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールメタン、トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトールなどの2価アルコールまたは多価アルコール、および水酸基を有する各種重合体などをあげることができる。
【0032】
複合金属シアン化物錯体触媒としては、Zn[Fe(CN)、Zn[Co(CN)、Fe[Fe(CN)]、およびFe[Co(CN)]などをあげることができる。
【0033】
複合金属シアン化物錯体触媒としては、Zn[Co(CN)(すなわち、亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体)を触媒骨格として、有機配位子が配位した構造を有する触媒がより好ましい。
【0034】
このような触媒は、例えば、水中でハロゲン化金属塩とアルカリ金属シアノメタレートとを反応させて得られる反応生成物に有機配位子を配位させて製造できる。
【0035】
ハロゲン化金属塩の金属としては、Zn(II)またはFe(II)が好ましく、Zn(II)が特に好ましい。ハロゲン化金属塩としては特に塩化亜鉛が好ましい。
【0036】
アルカリ金属シアノメタレートのシアノメタレートを構成する金属としては、Co(III)またはFe(III)が好ましく、Co(III)が特に好ましい。
【0037】
アルカリ金属シアノメタレートとしては、カリウムヘキサシアノコバルテートが好ましい。
【0038】
有機配位子としては、アルコールおよび/またはエーテルが好ましい。
【0039】
アルコールおよびエーテルとしては、tert−ブチルアルコール、エタノ−ル、sec−ブチルアルコ−ル、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、イソペンチルアルコールおよびイソプロピルアルコールなどのアルコール、並びに、エチレングリコールジメチルエーテル(以下、グライム)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、ジオキサン、および数平均分子量が150〜5000のポリエーテルなどから選ばれる1種以上が好ましい。これらのうち、tert−ブチルアルコール、およびグライムが特に好ましい。
【0040】
得られる水酸基末端ポリエーテル重合体には、酸化劣化を抑えるために酸化防止剤を添加してもよい。
【0041】
酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、テトラキス{メチレン−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}メタン、および1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタンなどのフェノール系酸化防止剤をあげることができる。
【0042】
このようにして得られる水酸基末端ポリエーテル重合体は、次いで、アルカリ金属化合物との反応(アルコキシル化反応)により、−OM(Mはアルカリ金属)で表される末端基を有するポリエーテル重合体に変換される。
【0043】
アルカリ金属化合物としては、水酸基末端ポリエーテル重合体が有する末端水酸基(−OH)中の水素原子を、アルカリ金属原子に置換可能な化合物であれば特に限定されない。
【0044】
アルカリ金属化合物としては、炭素原子数1〜4のアルカリ金属アルコキシドが用いられる。
【0045】
アルカリ金属アルコキシドとしては、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、およびカリウムエトキシドが好ましく、ナトリウムメトキシド、およびカリウムメトキシドがより好ましく、ナトリウムメトキシドが特に好ましい。
【0046】
アルカリ金属化合物は2種類以上を組み合わせて用いることもできるが、1種類を単独で用いることが好ましい。
【0047】
次いで、−OMで表される末端基を有するポリエーテル重合体は、不飽和基含有ハロゲン化合物とに反応(アリル化反応)により、精製前の金属不純物を含む不飽和基含有ポリエーテル重合体に変換される。
【0048】
不飽和基含有ハロゲン化合物としては、下記式(1a)または式(1b)で表される化合物が好ましい。
C=C(R)−R−Y・・・(1a)
H(R)C=CH−R−Y・・・(1b)
(上記式中、Rは酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ハロゲン原子などのヘテロ原子を含んでいてもよい炭素原子数1〜20の2価の有機基であり、Rは、水素原子、または炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、Yはハロゲン原子である。)
式(1a)又は式(1b)で表される化合物としては、アリルクロライド、およびメタリルクロライド(3−クロロ−2−メチル−1−プロペン)が好ましい。
【0049】
また、前述した開始剤としてアリルアルコールなどの一分子中に活性水素基と不飽和結合を有する化合物を用いてポリエーテルの重合を行った場合は、上記操作を経ることなく不飽和基含有ポリエーテル重合体を得ることができる。
【0050】
上述の方法により得られる金属不純物を含む不飽和基含有ポリエーテル重合体における金属不純物とは、複合金属シアン化物錯体および/またはその残渣化合物に由来する化合物、および/またはアルカリ金属化合物に由来する化合物であり、特に、複合金属シアン化物錯体および/またはその残渣化合物に由来する化合物である。金属不純物を構成する金属原子は、亜鉛、コバルト、ナトリウムおよび/またはカリウムであり、特に、複合金属シアン化物錯体および/またはその残渣化合物に由来する亜鉛および/またはコバルトである。
【0051】
(金属不純物を含む不飽和基含有ポリエーテル重合体(A)の精製)
金属不純物を含む不飽和基含有ポリエーテル重合体(A)の精製を有機溶剤/水抽出により行う場合、水相と油相とに分離する際に、水相と油相との間に多量の中間相(乳化物)が生成することがある。また、水相は抽出された金属不純物を含んでいるため、水相が油相に混入すると、精製後の不飽和基含有ポリエーテル重合体の純度に悪影響を及ぼす。
【0052】
このため、上記方法により得られる金属不純物を含む不飽和基含有ポリエーテル重合体(A)の有機溶剤/水抽出による精製は、(A)成分を、有機溶剤(B)、水(C)および無機酸(D)と混合して、抽出、分離処理することによって行われる。
【0053】
抽出、分離処理としては、具体的には、(A)成分を、有機溶剤(B)、水(C)および無機酸(D)と混合して混合物(E)を得る工程と、混合物(E)から油相と水相とを分離する工程とを含む。
【0054】
上記方法により、水溶性の副生物、金属不純物などが不飽和基含有ポリエーテル重合体から水へ溶出し、金属不純物を含む不飽和基含有ポリエーテル重合体(A)は精製される。
【0055】
上記方法において、無機酸(D)の添加は、混合物(E)を水相と油相とに分離する際の中間相の発生を抑える役目をしている。また、無機酸(D)の添加は、油相への水相の混入を防ぎ易くし、純度の高い不飽和基含有ポリエーテル重合体を得やすくしている。
【0056】
上記方法において、水相のpHは3.5〜6.0であることが好ましく、3.7〜5.7がより好ましく、4.0〜5.5が最も好ましい。
【0057】
水相のpHが上記の範囲内である場合に、混合物(E)の分離を行う際に、油相と水相との間に生じる中間相の発生を抑制することが可能となる。
【0058】
抽出、分離処理に使用される有機溶剤(B)としては、(A)成分との相溶性が良好であり、かつ水に不溶であるものが好ましく、例えば、脂肪族炭化水素系溶剤、脂環式炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、エーテル系溶剤、およびハロゲン系溶剤などをあげることができる。
【0059】
脂肪族炭化水素系溶剤の例としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカンなどをあげることができる。
【0060】
脂環式炭化水素系溶剤の例としては、シクロペンタン、シクロヘキサンなどをあげることができる。
【0061】
芳香族炭化水素系溶剤の例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどをあげることができる。
【0062】
エーテル系溶剤の例としては、ジブチルエーテル、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジ−n−オクチルエーテル、ビス(2−エチルヘキシル)エーテル、ジデシルエーテルなどをあげることができる。
【0063】
ハロゲン系溶剤の例としては、ジクロロメタン、テトラクロロメタン、テトラクロロエチレン、ジクロロジフルオロメタン、メチルクロロホルム、塩素原子、臭素原子および/またはヨウ素原子で1個以上置換されたベンゼン系溶剤やトルエン系溶剤などをあげることができる。
【0064】
有機溶剤(B)はこれらに限定されるものではない。また、有機溶剤(B)は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0065】
有機溶剤(B)としては、脂肪族炭化水素系溶剤、脂環式炭化水素系溶剤、または芳香族炭化水素系溶剤がより好ましく、脂肪族炭化水素系溶剤がさらに好ましく、ヘキサンが特に好ましい。
【0066】
有機溶剤(B)の添加量は特に限定されるもではなく、(A)成分を溶解させ、十分な粘度低下を得られる量であればよい。有機溶剤(B)の使用量が多すぎると粘度低下の効果よりも、撹拌槽が大きくなったり、有機溶剤(B)を回収するための設備が大きくなるため、工業的に好ましくない。
【0067】
有機溶剤(B)の添加量は、(A)成分100重量部に対して10〜1000重量部が好ましく、20〜500重量部がより好ましく、100〜450重量部が特に好ましい。
【0068】
抽出、分離処理に使用される水(C)のpHは、本発明の目的を阻害しない範囲であれば特に限定されない。精製の効果の点から、水(C)のpHは6.0を超え9.0未満であることが好ましい。
【0069】
水(C)のpHが上記の範囲内である場合、種々の不純物を水相に移行させやすくなる。
【0070】
水(C)の添加量は特に限定されるものではなく、(A)成分中の不純物が所望の水準まで抽出され、油相との分離が可能な量であればよい。水(C)の添加量が少なすぎると水相と油相との分離が困難になったり、金属不純物を所望の水準まで抽出できなくなる。また、多すぎると撹拌槽が大きくなるなど工業的に好ましくない。
【0071】
水(C)の添加量は、(A)成分100重量部に対して10〜1000重量部が好ましく、20〜500重量部がより好ましく、100〜450重量部が特に好ましい。
【0072】
抽出、分離処理に使用される無機酸(D)としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、亜硫酸ナトリウム、亜リン酸ナトリウムなどをあげることができる。これらのうち、経済性の点から、硫酸、塩酸が好ましく、硫酸がより好ましく、pH調整の点から0.05〜0.2N硫酸が特に好ましく、入手性の点から0.1N硫酸がもっとも好ましい。
【0073】
無機酸(D)の添加量は、金属不純物を含む不飽和基含有ポリエーテル重合体(A)を有機溶剤(B)に溶解させ、水(C)を添加し、混合後に油相と水相に分離した時の水相のpHが3.5〜6.0になる量であればよい。より好ましくは3.7〜5.7、さらに好ましくは4.0〜5.5になる量である。このpHの範囲を逸脱すると、油相と水相との間に、(A)成分、(B)成分および(C)成分を含む中間相(乳化物)が発生したり、精製後の不飽和基含有ポリエーテル重合体に金属不純物や酸が残留するため、工業的に好ましくない。
【0074】
なお、水相のpHはJIS Z 8802(pH測定方法)に記載の方法で測定する。
【0075】
混合物(E)は静置させてもよく、撹拌させてもよい。(A)成分中の金属不純物を短時間で十分に水相に移行させる点から、混合物(E)は撹拌させることが好ましい。
【0076】
撹拌方法は特に限定されず、例えば、混合物を撹拌翼などを用いてかき混ぜる方法、ポンプなどにより流動させて撹拌する方法などをあげることができる。
【0077】
撹拌時の混合温度は(A)成分が分解などしない限り特に限定されず、例えば、5〜140℃が好ましく、10〜80℃がより好ましく、10〜50℃が特に好ましい。
【0078】
撹拌時の混合時間は、所望の精製効果が得られる限り特に限定されず、例えば、1分以上が好ましく、5分以上がより好ましく、10分以上が特に好ましい。
【0079】
なお、混合物の処理温度が、有機溶剤(B)や水(C)の沸点を超える場合、耐圧容器中で混合物を処理してもよい。
【0080】
また、混合物(E)から金属不純物を含む水相を分離する方法としては特に限定されず、静置したり、遠心分離を用いることがあげられる。このうち遠心分離は短時間で効率よく分離することができる点からより好ましい。これらの方法は回分式でも連続式でも行うことができる。
【0081】
金属不純物を含む不飽和基含有ポリエーテル重合体(A)への有機溶剤(B)、水(C)、および無機酸(D)の添加の順番は特に限定されず、どのような順番で添加しても構わない。しかし、(A)成分は、初めに、(A)成分との相溶性が良好な有機溶剤(B)と混合して粘度を下げた後、次いで、水(C)を添加し、さらに無機酸(D)を添加することが好ましい。(A)成分に、先に水(C)または無機酸(D)を添加した場合、相溶性の差や粘度の差から短時間で混合することができない場合がある。また、相溶性の差から混合物が乳濁するため、その後、有機溶剤(B)を添加しても十分に水相と油相とに分離せず、中間相(乳化物)が発生する場合がある。また、油相に水分が残留して油相が白濁する場合があるなど、工業的に不利である。
【0082】
以上のようにして処理された混合物から、水相が分離され、次いで回収された油相から有機溶剤を除去することにより精製された不飽和基含有ポリエーテル重合体が得られる。
【0083】
上記方法により得られる精製された不飽和基含有ポリエーテル重合体は、反応性ケイ素基含有ポリエーテル重合体の製造に好適に用いられる。
(反応性ケイ素基含有ポリエーテル重合体の製造)
反応性ケイ素基含有ポリエーテル重合体は、上記方法により得られる精製された不飽和基含有ポリエーテル重合体と下記式(2)で表されるシラン化合物とをヒドロシリル化反応させることにより製造される。
H−(SiR2−bO)−Si(R3−a)X・・・(2)
(式(2)中、RおよびRは、同一であっても異なっていてもよく、炭素原子数1〜20の置換あるいは非置換のヘテロ原子含有基を有してもよい炭化水素基、または(R’)SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基を示す。RまたはRが2つ以上存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。R’は、炭素原子数1〜20の1価の炭化水素基である。3つのR’は、同一であっても異なっていてもよい。Xは、水酸基又は加水分解性基を示す。Xが2つ以上存在するとき、それらは同一であっても異なっていてもよい。aは0、1、2、または3を示す。bは、0、1、または2を示す。m個の(SiR2−bO)基におけるbについて、それらは同一であっても異なっていてもよい。mは0〜19の整数を示す。ただし、aおよびbは、a+Σb≧1を満足する。)
およびRとしての有機基が含んでいてもよいヘテロ原子としては、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ハロゲン原子などをあげることができる。
【0084】
加水分解性基や水酸基は、1個のケイ素原子に1〜3個の範囲で結合することができる。式(2)中、aと、1または複数のbとの合計は1〜5の範囲内であるのが好ましい。加水分解性基や水酸基が反応性ケイ素基中に2個以上結合する場合には、それらは同じであっても異なっていてもよい。
【0085】
ヒドロシリル化反応に用いられるシラン化合物としては、入手が容易である点などから、下記式(3)で表される化合物が特に好ましい。
H−SiR3−c・・・(3)
(式(3)中、R、およびXは前述のとおりであり、cは1、2、または3を示す。)
式(3)で表されるシラン化合物としては、例えば、ハロゲン化シラン、アルコキシシラン、アシロキシシラン、ケトキシメートシラン、アルケニルオキシシランなどをあげることができる。
【0086】
ハロゲン化シランとしては、例えば、トリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルクロロシラン、フェニルジクロロシラン、トリメチルシロキシメチルクロロシランなどをあげることができる。
【0087】
アルコキシシランとしては、例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、フェニルジメトキシシラン、トリメチルシロキシメチルメトキシシラン、トリメチルシロキシジエトキシシランなどをあげることができる。
【0088】
アシロキシシランとしては、例えば、メチルジアセトキシシラン、フェニルジアセトキシシラン、トリアセトキシシラン、トリメチルシロキシメチルアセトキシシラン、トリメチルシロキシジアセトキシシランなどをあげることができる。
【0089】
ケトキシメートシランとしては、例えば、ビス(ジメチルケトキシメート)メチルシラン、ビス(シクロヘキシルケトキシメート)メチルシラン、ビス(ジエチルケトキシメート)トリメチルシロキシシラン、ビス(メチルエチルケトキシメート)メチルシラン、およびトリス(アセトキシメート)シランなどをあげることができる。
【0090】
アルケニルオキシシランとしては、例えば、メチルイソプロペニルオキシシランなどをあげることができる。
【0091】
これらの中では、アルコキシシランが好ましく、メチルジメトキシシラン、トリメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、トリエトキシシランがより好ましく、メチルジメトキシシラン、トリエトキシシランがさらに好ましく、メチルジメトキシシランが特に好ましい。
【0092】
ヒドロシリル化反応は通常10〜150℃が好ましく、20〜120℃がより好ましく、40〜100℃が特に好ましい。
【0093】
反応温度の調節および/または反応系の粘度の調整などのために、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの有機溶剤を用いることができる。
【0094】
不飽和基含有ポリエーテル重合体と、反応性ケイ素基を有するシラン化合物との反応において用いられる好ましい触媒としては、白金、ロジウムなどのVIII族遷移金属元素から選ばれた金属錯体触媒などをあげることができる。
【0095】
金属錯体触媒としては、HPtCl・6HO、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−オレフィン錯体、RhCl(PPhなどの化合物が使用できる。
【0096】
ヒドロシリル化の反応性の点から、HPtCl・6HO、および白金−ビニルシロキサン錯体が特に好ましい。
【0097】
白金−ビニルシロキサン錯体とは、分子内にビニル基を有する、シロキサン、ポリシロキサン、または環状シロキサンが配位子として白金原子に配位している化合物の総称である。配位子の具体例としては、1,1,3,3−テトラメチル1,3−ジビニルジシロキサンなどをあげることができる。
【0098】
金属錯体触媒の使用量としては、特に制限は無いが、通常、アルケニル基1モルに対して白金触媒を10−1〜10−8モル使用することが好ましい。
【0099】
このようにして合成された反応性ケイ素基含有ポリエーテル重合体は、大気中に暴露されると水分の作用により、三次元的に網目状組織を形成し、ゴム状弾性を有する硬化物へと硬化する。
【0100】
このため、反応性ケイ素基含有ポリエーテル重合体、またはその硬化性組成物は、粘着剤、建造物・船舶・自動車・道路などのシーリング材、接着剤、型取り剤、防振材、制振材、防音材、発泡材料、塗料、吹付材などに使用できる。これらの中でも、シーリング材または接着剤として用いることがより好ましい。
【実施例】
【0101】
以下、本発明をより一層明らかにするために具体的な実施例をあげて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(合成例1)
数平均分子量3000のポリプロピレングリコールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にてプロピレンオキサイドの開環重合を行い、触媒および/またはその残渣である金属化合物を不純物をして含む、数平均分子量10000の水酸基末端ポリエーテル重合体を得た。
【0102】
得られた水酸基末端ポリエーテル重合体の水酸基に対して1.1倍当量のNaOMeのメタノール溶液を添加してメタノールを留去した後、水酸基に対して1.3倍当量のアリルクロライドを添加して末端の水酸基をアリル基に変換した結果、金属化合物を不純物として含む不飽和基含有ポリエーテル重合体(a1)を得た。
(実施例1)
合成例1で得られた不飽和基含有ポリエーテル重合体(a1)100gに対し、ヘキサン200gを添加して混合することにより均一な混合溶液を得た。この混合溶液に、水200gおよび0.1N硫酸0.50mlを添加し、5分間攪拌することにより混合物(e1)を得た。
【0103】
混合物(e1)に対し、遠心分離機を用いて9000Gの遠心力で4分間遠心分離を行い、静置した。その結果、混合物(e1)はヘキサン相と水相とに分離し、ヘキサン相は清澄であり、中間相(乳化物)の発生もなかった。この時の水相のpHを測定した結果、pHは3.8であった。
【0104】
ヘキサン相を取り出し、ヘキサンを減圧脱揮することにより精製された不飽和基含有ポリエーテル重合体を得た。得られた不飽和基含有ポリエーテル重合体中の金属含有量を測定した結果、CoおよびZn量はそれぞれ1.0ppm以下(検出限界以下)であった。
(実施例2)
合成例1で得られた不飽和基含有ポリエーテル重合体(a1)100gに対し、ヘキサン200gを添加して混合することにより均一な混合溶液を得た。この混合溶液に、水200gおよび0.1N硫酸0.32mlを添加し、5分間攪拌することにより混合物(e2)を得た。
【0105】
混合物(e2)に対し、遠心分離機を用いて9000Gの遠心力で4分間遠心分離を行い、静置した。その結果、混合物(e2)はヘキサン相と水相とに分離し、ヘキサン相は清澄であり、中間相の発生もなかった。この時の水相のpHを測定した結果、pHは4.2であった。
【0106】
ヘキサン相を取り出し、ヘキサンを減圧脱揮することにより精製された不飽和基含有ポリエーテル重合体を得た。得られた不飽和基含有ポリエーテル重合体中の金属含有量を測定した結果、CoおよびZn量はそれぞれ1.0ppm以下(検出限界以下)であった。
【0107】
(実施例3)
合成例1で得られた不飽和基含有ポリエーテル重合体(a1)100gに対し、ヘキサン200gを添加して混合することにより均一な混合溶液を得た。この混合溶液に、水200gおよび0.1N硫酸0.25mlを添加し、5分間攪拌することにより混合物(e3)を得た。
【0108】
混合物(e3)に対し、遠心分離機を用いて9000Gの遠心力で4分間遠心分離を行い、静置した。その結果、混合物(e3)はヘキサン相と水相とに分離し、ヘキサン相は清澄であり、中間相の発生もなかった。この時の水相のpHを測定した結果、pHは5.9であった。
【0109】
ヘキサン相を取り出し、ヘキサンを減圧脱揮することにより精製された不飽和基含有ポリエーテル重合体を得た。得られた不飽和基含有ポリエーテル重合体中の金属含有量を測定した結果、CoおよびZn量はそれぞれ1.0ppm以下(検出限界以下)であった。
【0110】
(比較例1)
合成例1で得られた不飽和基含有ポリエーテル重合体(a1)100gに対し、ヘキサン200gを添加して混合することにより均一な混合溶液を得た。この混合溶液に、水200gを添加し、5分間攪拌することにより混合物(e4)を得た。
【0111】
混合物(e4)に対し、遠心分離機を用いて9000Gの遠心力で4分間遠心分離を行い、静置した。その結果、混合物(e4)はヘキサン相、中間相(乳化物)および水相の三相に分離した。またヘキサン相は水分を含み白濁していた。この時の水相のpHを測定した結果、pHは8.4であった。また中間相を取り出し、その重量を測定した結果、中間相は7.8gであった。
【0112】
ヘキサン相を取り出し、ヘキサンを減圧脱揮することにより不飽和基含有ポリエーテル重合体を得た。得られた不飽和基含有ポリエーテル重合体中の金属含有量を測定した結果、Zn量が8.9ppmであった。
【0113】
(比較例2)
合成例1で得られた不飽和基含有ポリエーテル重合体(a1)100gに対し、ヘキサン200gを添加して混合することにより均一な混合溶液を得た。この混合溶液に、水200gおよび0.1N硫酸15.5mlを添加し、5分間攪拌することにより混合物(e5)を得た。
【0114】
混合物(e5)に対し、遠心分離機を用いて9000Gの遠心力で4分間遠心分離を行い、静置した。その結果、混合物(e5)はヘキサン相、中間相(乳化物)および水相の三相に分離した。またヘキサン相は水分を含み白濁していた。この時の水相のpHを測定した結果、pHは1.9であった。また中間相を取り出し、その重量を測定した結果、中間相は8.9gであった。
【0115】
ヘキサン相を取り出し、ヘキサンを減圧脱揮することにより不飽和基含有ポリエーテル重合体を得た。得られた不飽和基含有ポリエーテル重合体中の金属含有量を測定した結果、CoおよびZn量はそれぞれ1.0ppm以下(検出限界以下)であった。
【0116】
(比較例3)
合成例1で得られた不飽和基含有ポリエーテル重合体(a1)100gに対し、水200gおよび0.1N硫酸0.32mlを添加して混合することにより乳濁液を得た。この乳濁液に、ヘキサン200gを添加し、5分間攪拌することにより混合物(e6)を得た。
【0117】
混合物(e6)に対し、遠心分離機を用いて9000Gの遠心力で4分間遠心分離を行い、静置した。その結果、混合物(e6)はヘキサン相、中間相(乳化物)および水相の三相に分離した。またヘキサン相は水分を含みわずかに白濁していた。この時の水相のpHを測定した結果、pHは4.2であった。また中間相を取り出し、その重量を測定した結果、中間相は2.2gであった。
【0118】
ヘキサン相を取り出し、ヘキサンを減圧脱揮することにより不飽和基含有ポリエーテル重合体を得た。得られ不飽和基含有ポリエーテル重合体中の金属含有量を測定した結果、CoおよびZn量はそれぞれ1.0ppm以下(検出限界以下)であった。
(pH測定)
水相のpHはJIS Z 8802(pH測定方法)に記載の方法で測定した。
(金属量分析)
不飽和基含有ポリエーテル重合体に含まれる金属(Co、Zn)含有量はエネルギー分散型蛍光X線分析装置により測定した。
【0119】
【表1】
【0120】
上記の結果より、金属不純物を含む不飽和基含有ポリエーテル重合体の水抽出による精製方法において、
実施例1〜3から、水抽出後の水相のpHが特定の範囲にある場合にのみ中間相(乳化物)が発生しないことがわかる。
【0121】
比較例3のように、水および無機酸を先に添加し、その後、有機溶剤を添加した場合には、不飽和基含有ポリエーテル重合体中に水が分散し、良好な水抽出が行われないことがわかる。
【0122】
また、金属量分析の結果より、無機酸を添加する方法(実施例1〜3)は、無機酸を添加しない方法(比較例1)と比較して、精製後の金属含有量が少ないことがわかる。
【0123】
(実施例4)
2000mlのオートクレーブに、実施例2で得られた不飽和基含有ポリエーテル重合体1000gおよびヘキサン50gを加え、90℃で減圧脱揮を行った。その後、窒素ガスで置換し、触媒として白金−ビニルシロキサン錯体(Pt1wt%/イソプロパノール)を加え攪拌し、ジメトキシメチルシラン15gをゆっくり滴下した。混合溶液を90℃で1時間反応させ、反応性ケイ素基含有ポリエーテル重合体(p1)を得た。
【0124】
得られた重合体(p1)を用いて硬化物を作製した。硬化物の所望の硬度値47を得るために必要な白金−ビニルシロキサン錯体の量は135μlであった。
【0125】
(比較例4)
2000mlのオートクレーブに、比較例1で得られた不飽和基含有ポリエーテル重合体1000gおよびヘキサン50gを加え、90℃で減圧脱揮を行った。その後、窒素ガスで置換し、触媒として白金−ビニルシロキサン錯体(Pt1wt%/イソプロパノール)を加え攪拌し、ジメトキシメチルシラン15gをゆっくり滴下した。混合溶液を90℃で1時間反応させ、反応性ケイ素基含有ポリエーテル重合体(p2)を得た。
【0126】
得られた重合体(p2)を用いて硬化物を作製した。硬化物の所望の硬度値47を得るために必要な白金−ビニルシロキサン錯体の量は270μlであった。
【0127】
(硬化物の作製および硬度値の測定方法)
反応性ケイ素基含有ポリエーテル重合体100重量部にオクチル酸錫3.0重量部、ラウリルアミン0.5重量部、水0.6重量部を添加して均一になるまで混合後、80℃で4時間養生して、厚さ5mmの硬化物を作製した。得られた硬化物の硬度をMD−1C型硬度計で測定した。
【0128】
【表2】
【0129】
無機酸を添加して精製した不飽和基含有ポリエーテル重合体を用いてヒドロシリル化を行った場合(実施例4)、無機酸を添加せずに精製した不飽和基含有ポリエーテル重合体を用いてヒドロシリル化を行った場合(比較例4)よりも、所望の硬度値を得るために必要な白金−ビニルシロキサン錯体の量が少ないことがわかる。すなわち、触媒毒となる金属不純物量が少ないため、触媒量が少なくても効率良くヒドロシリル化反応が進行したことがわかる。