【解決手段】 循環液体路部材1は、液体が循環する液体路3を環形に構成した環形液体路20と、前記環形液体路20の内側に設けられた開口部21と、前記液体路3の熱交換面積が広くなるように前記液体路3の長さを大きくするように形成された蛇行部24と、前記環形液体路20の外縁側から前記蛇行部24を切り離すように設けられた切込部23とを有し、前記液体路3を身体冷却部材として使用することを特徴とする。この構成であれば、曲率の大きな頭部や動きの激しい部分を循環液体で冷やす冷却服等を構成する場合において、安価な構成で実用的な技術を提供できる。
液体が循環する液体路3を環形に構成した環形液体路(20)と、前記環形液体路(20)の内側に設けられた開口部(21)と、前記液体路(3)の熱交換面積が広くなるように前記液体路(3)の長さを大きくするように形成された蛇行部(24)と、前記環形液体路(20)の外縁側から前記蛇行部(24)を切り離すように設けられた切込部(23)とを有し、前記液体路(3)を身体冷却部材として使用することを特徴とする身体冷却用の循環液体路部材。
請求項1に記載の身体冷却用の循環液体路部材において、前記液体路(3)が複数の接合シート(2)を接合することで構成されており、前記複数の前記接合シート(2)の外縁部及び内縁部を接合し、かつ前記液体路(3)を構成する領域を接合せずに残すことによって所定形状パターンの前記液体路(3)が形成されている身体冷却用の循環液体路部材。
請求項1〜請求項2のいずれか一つに記載の身体冷却用の循環液体路部材において、前記接合シート(2)を高周波圧着によって接合する接合シート(2)で構成した身体冷却用の循環液体路部材。
請求項〜請求項4のいずれか一つに記載の身体冷却用の循環液体路部材において、接合されない前記液体路(3)の横幅を2mm〜15mmに設定した身体冷却用の循環液体路部材。
請求項1〜請求項5のいずれか一つに記載の身体冷却用の循環液体路部材において、前記開口部(21)は、前記蛇行部(24)の間に延びる枝部(22)を有している身体冷却用の循環液体路部材。
請求項1〜請求項7のいずれか一つに記載の身体冷却用の循環液体路部材において、前記液体路(3)内に固定して設けられた柔軟性を有する立体構造物(16)を有し、前記立体構造物(16)は液体の流れる隙間(17)を備えており、かつ前記立体構造物(16)は前記液体路(3)を構成する少なくとも片方側のシート面に固定されている身体冷却用の循環液体路部材。
請求項1〜請求項8のいずれか一つに記載の身体冷却用の循環液体路部材において、身体の複数部分毎に前記環形液体路(20)を区分けし、区分けされた複数の前記環形液体路(20)の間を柔軟性のある連結管(15)で接続した身体冷却用の循環液体路部材。
請求項9に記載の身体冷却用の循環液体路部材において、前記複数に区分けされた前記環形液体路(20)が、頭部を冷却する頭部用環形液体路(25)と、頭部を除く身体部分を冷却する身体側環形液体路(26)とを有する身体冷却用の循環液体路部材。
請求項1〜請求項10のいずれか一つに記載の身体冷却用の循環液体路部材において、身体覆い素材(28)に取り付けられた第1面ファスナー(29)と、前記液体路(3)に取り付けられた第2面ファスナー(30)とを有し、前記第1面ファスナー(29)と前記第2面ファスナー(30)によって、前記液体路(3)を前記身体覆い素材(28)から着脱自在に構成した身体冷却用の循環液体路部材。
請求項11に記載の身体冷却用の循環液体路部材において、前記切込部(23)が形成された所定蛇行部毎(24)に前記第2面ファスナー(30)が設けられている身体冷却用の循環液体路部材。
請求項11に記載の身体冷却用の循環液体路部材において、前記身体覆い素材(28)に前記環形液体路(20)と身体とが直接接触することを防止する内側布材(32)を設けた身体冷却用の循環液体路部材。
請求項8に記載の身体冷却用の循環液体路部材において、前記立体構造物(16)の少なくとも片方側のシート面への前記固定を、前記液体路(3)の形状パターンを形成するための前記複数の接合シート(2)に係る接合方法と同一の方法によって行う身体冷却用の循環液体路部材。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示された冷却服は、ドライアイス収納容器を必須とするものであり、作業毎に新しいドライアイスを必要とすることから運用コストが高くなる課題があった。
さらに、同公報の
図1を参照すると作業者の肩の一部に掛けるように冷気パイプが設けられているだけであり、作業者の頭部や動きの激しい身体部分を実用的に冷却するという課題の認識は全くなかった。
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決することができる身体冷却用の循環液体路部材を提供することにある。
具体的な目的の一例を示すと、以下の通りである。
(A)安価で実用的な身体冷却用の循環液体路部材を提供する。
(B)頭部などの曲率の大きな部分や、身体の動きの大きな部分においても前記循環液体路部材を問題なく、適用できる実用的な冷却技術を提供する。
本冷却技術は、帽子、ヘルメットや水冷服などの身体冷却部材に好適である。
なお、上記に記載した以外の発明の課題、その解決手段及びその効果は、後述する明細書内の記載において詳しく説明する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は多面的に表現できるが、例えば、代表的なものを挙げると、次のように構成したものである。なお、下記各発明において、各符号は後述する実施形態との対応関係を分かりやすくするために一例として示したものであり、本発明の各構成要素は、実施形態に記載した符号に係る構成に限定されないことは言うまでもない。
【0007】
上記課題を解決するための本発明が有する特徴構成について説明する。
本発明の身体冷却用の循環液体路部材1は、液体が循環する液体路3を環形に構成した環形液体路20と、前記環形液体路20の内側に設けられた開口部21と、前記液体路3の熱交換面積が広くなるように液体路3の長さを大きくするように形成された蛇行部24と、前記環形液体路20の外縁側から前記蛇行部24を切り離すように設けられた切込部23とを有し、前記液体路3を身体冷却部材として使用することを特徴とする(請求項1)。
なお、蛇行方向は身体に装着する服を例示すれば、横方向や縦方向、斜め方向の熱交換面積を増やす各種の方向が例示できる。
【0008】
この構成であれば、液体路を環形に構成し、開口部を設けることで、環形液体路は開口部において狭くしたり、広げたりすることで製造時、装着時の両方の変形自由度を高めることができる。また、蛇行部を有することで身体に接する液体路の面積が広くなり、冷却性能を向上させることができる。さらに、切込部を設けることで蛇行部の製造時、装着時の両方の変形自由度を高めることができる。
したがって、曲率の大きな頭部や動きの激しい身体部分を液体で冷やす冷却服等を構成する場合において、安価な構成で実用的な技術を提供できる。
【0009】
本発明は、前記液体路3が複数の接合シート2を接合することで構成されており、前記複数の前記接合シート2の外縁部及び内縁部を接合し、かつ前記液体路3を構成する領域を接合せずに残すことによって所定形状パターンの前記液体路3が形成されていることを特徴とする(請求項2)。
この構成であれば、身体の冷却に好ましい形状パターンに基づいて複数の接合シートの外縁部及び内縁部を接合するという簡単な処理によって簡単かつ安価に所定形状パターンの液体路を形成することができる。
本発明は、前記接合シート2を熱融着シート2で構成したことを特徴とする(請求項3)。
この構成であれば、液体路を複数の熱融着シートを融着することによって形成してあるので、簡単かつ安価にその用途に応じた液体路を構成することができる。
本発明は、前記接合シート2を高周波圧着によって接合する接合シート2で構成したことを特徴とする(請求項4)。
本発明は、接合されない前記液体路3の横幅を2mm〜15mmに設定したことを特徴とする(請求項5)。
この構成であれば、液体を液体路に流した場合に、圧力によって膨らむ高さを良好な範囲に設定でき、液体の流れを良好に確保できるとともに、液体路と身体の密着程度を良好な範囲に設定できる。
【0010】
本発明は、前記開口部21は、前記蛇行部24の間に延びる枝部22を有していることを特徴とする(請求項6)。
この構成であれば、水平方向、垂直方向の変形における蛇行部の自由度が高くなり、液体部を身体に沿わせる場合に、製造しやすくなり、また、装着性を高めることができる。
本発明は、前記複数の接合シート2を透明な素材で形成したことを特徴とする(請求項7)。
この構成であれば、液体路内の液体の流れを外側から一見して、把握できるとともに、水漏れ箇所等の不都合点を見つけやすくなる。
【0011】
本発明は、前記液体路3内に固定して設けられた柔軟性を有する立体構造物16を有し、前記立体構造物16は液体の流れる隙間17を備えており、かつ前記立体構造物16は前記液体路3を構成する少なくとも片方側のシート面に固定されていることを特徴とする(請求項8)。
この構成であれば、立体構造物を液体路内に固定することでシート形部材が曲がるように変形した場合でも、液体の流れる隙間を介して良好な液体の流れを確保できる。また、立体構造物を少なくとも片方側のシート面に固定することで、液体の流れによって立体構造物の位置が変化して液体の流れを阻害する危険性を低減できる。
【0012】
本発明は、身体の複数部分毎に前記環形液体路20を区分けし、区分けされた複数の前記環形液体路20の間を柔軟性のある連結管15で接続したことを特徴とする(請求項9)。
この構成であれば、区分けされた複数の環形液体路において、連結管の存在によって各環形液体路の間隔の調整、捻れなどの変形が行ないやすくなる。
本発明は、前記複数に区分けされた前記環形液体路20が、頭部を冷却する頭部用環形液体路25と、頭部を除く身体部分を冷却する身体側環形液体路26とを有することを特徴とする(請求項10)。
【0013】
本発明は、身体覆い素材28に取り付けられた第1面ファスナー29と、前記液体路3に取り付けられた第2面ファスナー30とを有し、前記第1面ファスナー29と前記第2面ファスナー30によって、前記液体路3を前記身体覆い素材28から着脱自在に構成したことを特徴とする(請求項11)。
この構成であれば、帽子、ヘルメット、水冷式冷却服などの身体覆い素材の洗濯時の取り外しや、破損した液体路の取り替えが簡単に行える。また、身体覆い素材に対する液体路の取付け位置の微妙な位置調整も簡単に行える。
本発明は、前記切込部23が形成された所定蛇行部毎24に前記第2面ファスナー30が設けられていることを特徴とする(請求項12)。
本発明は、前記身体覆い素材28に前記環形液体路20と身体とが直接接触することを防止する内側布材32を設けたことを特徴とする(請求項13)。
この構成であれば、内側布材を備えているので身体の接触による環形液体路の破損などの問題を低減でき、さらに作業者の身体と環形液体路が直接、接触することがないので、違和感を低減することができる。
本発明は、前記立体構造物16の少なくとも片方側のシート面への前記固定を、前記液体路3の形状パターンを形成するための前記複数の接合シート2に係る接合方法と同一の方法によって行うことを特徴とする(請求項14)。
この構成であれば、液体路の形状パターンを形成するための工程と、立体構造物を少なくとも片方側のシート面に固定するための工程とを全く異なる方法でそれぞれ行う場合に比べて、製造装置を簡単化でき、製造コストを低減できる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明であれば、安価で実用的な身体冷却用の循環液体路部材を提供できた。また、頭部などの曲率の大きな部分や、身体の動きの大きな部分においても前記循環液体路部材を問題なく、適用できる実用的な冷却技術を提供できた。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1実施形態]
以下、
図1〜
図4に示す本発明に係る第1実施形態について、図面に基づき説明する。
本明細書において高次の概念に含まれる構成要件と低次の概念に含まれる構成要素を必要に応じて、共に同一の符号番号又は異なる符号番号を付けている。
また、本発明において、「接合の形態」としては熱融着による接合、高周波圧着による接合、接着剤による接合などの各種の方法が採用できるが、下記各実施形態の説明においては、安価に実施できる熱融着を例に取り、説明する。
なお、
図1に示す構成は、拡大して描くため、
図2に示す構成の右方向に延びる蛇行部24の片側だけを記載し、蛇行部24も複数並べるように設けられる部分の一つだけ記載したものである。現実の構成は、左方向に延びる蛇行部24(図示せず)も有している。
本実施形態に係る、身体冷却用の循環液体路部材1は、
図1に示すように、一対の細長い熱融着シート2・2(高次概念では接合シート2・2)を熱融着することによって形成された液体路3と、その液体路3の入口部4と出口部5のそれぞれに熱融着されたスパウト6とを有している。熱融着シート2としては、熱融着できる各種の合成樹脂シート、例えば、ポリエチレン(PE)、塩化ビニル樹脂(PVC)等の合成樹脂シートが採用できる。通常、熱融着シートは複数の合成樹脂層を3層程度、積層した構成が採用されることが多い。
なお、入口部4と出口部5は便宜上の区分であり、ポンプ37(
図8参照)から圧送される液体の入口が入口部4になり、身体によって暖められた液体が排出される出口が出口部5になるだけである。つまり、ポンプ37(
図8参照)の液体送出路38(
図8参照)を液体路3の両端部のどちら側に接続するかという観点にすぎないことに留意されたい。
【0017】
この
図1の構成では、液体路3において液体が流れる中心帯域を残して細長い帯形の縁部を熱融着させた縁部接合部7・7を形成することで液体路3を形成してある。また、熱融着されない液体路3の横幅を2mm〜15mmに設定してある。この範囲に横幅を制限するのは、ポンプ37(
図8参照)によって液体を流したときに、垂直方向に過剰に膨らみ、液体の流れが悪くなると共に、装着感が低下しないようにするためである。また、上記範囲であれば、身体側に膨出する程度が好ましい密着、圧迫感を与えるようになり、身体の温度を奪う液体路3の密着性からも好ましいからである。
また、スパウト6は熱融着シート2を融着するための接合面部8と、接合面部8を貫くように管部11が設けられた管取付部9とを有している。接合面部8の形状は四角形形、半円形状など各種の形状が採用できるが、熱融着シート2を液体が漏れないようにしっかり密閉する水平方向に広がりを持った領域面を備えている。
なお、本発明においては、スパウト6以外の各種素材、各種形状の接続口具を採用することが可能である。例えば、柔らかい合成樹脂で構成された柔らかい接続口具を用いることも可能である。
【0018】
管部11は内側の液体路3と外側の接続管(図示せず)を連通する機能を備えている。
図1に示す構成では、スパウト6は液体路3の内側に臨む位置に設けられた管口10が設けてあり、その管口10によって液体路3と連通されている。
接合面部8から突出した管部11の周囲には、管部11から外周側に拡径するように突出する先細形状部12が形成してある。この先細形状部12は、スパウト6に連結する接続管、例えば液体供給管、液体戻り管、連結管15(
図2参照)等の各種接続管をワンタッチで取付け、抜けることを抑制する構造にするための構成である。先細形状部12としては、略円錐形(略タケノコ形状とも言える)、略球形、略楕円球形などの各種の構成が採用できる。
このような先細形状部12を有する管取付部9を採用することで、雄ねじと雌ねじの螺合結合のように、通常の液体容器に採用されるスパウトの構成に比べて着脱の処理を簡便化することができる。この構成はポンプを連結しないで冷却服を使用する場合や、循環液体路部材を構成する一部の液体路3が破損した場合にその部分だけを交換する場合に有利となる。
但し、本発明において、各種接続管とスパウト6の取付けにおいて接着剤等で固定する形態を除外するものではない。
【0019】
スパウト6は、接合シート2と接合しやすい同じ種類系統の合成樹脂、例えばPE、PVC等で構成してある。好ましくは同一の合成樹脂材で構成する。同一の合成樹脂材であれば、接合に必要な条件、例えば、溶ける温度等が同じであり、接合が良好になるからである。
また、熱融着しやすい合成樹脂材を熱融着シート2及びスパウト6の接合面部8に被膜する構成を採用することによっても熱融着しやすい構成とすることもできる。例えば、破れにくく、柔軟性の優れる第1合成樹脂層の少なくとも一方側の面に熱融着しやすい第2合成樹脂層を設けた熱融着シート2を構成する場合が例示できる。通常は、この形態が採用される。
同様に、スパウト6においても耐久性又は柔軟性のある合成樹脂基体の表面に熱融着しやすい合成樹脂層を被膜する構成を採用することも可能である。
なお、
図1に記載した接合面部8に形成された凸部42の形状と、
図2に記載した接合面部8に形成された凸部42の形状とは違う形態が示してある。凸部42とその凸部42から見た凹部とを、水が漏れる方向と直交する方向に交互に並べるように接合面部8に形成することで、スパウト6の接合面部8から液体から漏れる可能性を低減することができる。
但し、凸部42を設けず、水平方向に広がる大面積の接合面部8に接合シート2を接合させる構成も実用上、十分な密閉効果を発揮でき、採用できる。
【0020】
また、本実施形態では、熱融着シート2を想定する身体の設置箇所に対応して液体路3の面積が広くなるように蛇行部24を設けた構成としてある。蛇行部24の形態は
図1、
図2に示す形態では、図面の左右横幅方向に蛇行させた形態が示してあるが、図面の上下方向に蛇行させる形態も採用することも可能である。
図1、
図2に示された各蛇行部24は、外縁側に大きな略U字形の縁部接合部7を設けるとともに、内縁側に小さな略U字形の縁部接合部7を設けて、略大U字形毎、略小U字形毎に上下2つのシートを熱融着させることで、蛇行部24を形成するようにしてある。
また、本実施形態は、
図2に示すように、入口部4と出口部5によって形成される液体路3を環形に形成してある。入口部4と出口部5は液体路3の水平方向Xにおいて、並ぶように設けられることが好ましいが、必要により、入口部4と出口部5とを離れて設けることも可能である。
【0021】
また、本実施形態は、環形液体路20の略中央域に開口部21を設けた構成にしてある。環形液体路20の内部であれば開口部21の形状や位置は特に限定されない。但し、開口部21は環形液体路20の中央域に左右対称形に形成されることが好ましい。
図1及び
図2に示すように、開口部21に各蛇行部24を液体路3側の内側から切り離す枝部22を設け、かつ環形液体路20の外縁側から隣り合う蛇行部24を切り離すような切込部23を設けた構成にしてある。切込部23を設けることによって、蛇行部24を隣り合う蛇行部24に対して、比較的、自由に変形できる。
具体的には、上下方向(縦方向)に延びる開口部21の中央域21aから左右方向(幅方向)に延びるように枝部22を左右対称形に設けている。また、枝部22は、前記略小U字形の字線に沿って内側から延びるように形成してある。なお、各蛇行部24の形状としては、略U字形のみならず、略J字形、略△形など適宜、液体路3の長さを大きくする構成が採用できる。
一方、切込部23は、各蛇行部24の大部分が水平方向、垂直方向に変形できるような切込み深さに設定してある。
【0022】
各蛇行部24に切込部23を設けた構成であれば、
図3(A)に示すような平面パターンによって頭部を覆う循環液体路部材を構成した場合でも、蛇行部24は隣り合う蛇行部24・24に対して、水平方向において狭い幅から広い幅まで自在に変形することができる。開口部21の中央域21aの幅においても水平方向において狭い状態から広い状態に変形できる。
また、
図3(B)に示すように、曲率が大きい、ほぼ球形の頭部であっても、切込部23の存在によって、略垂直方向に曲がるように変形できるので、
図3(A)に示すような平面パターンで構成しても、頭部の形状に沿った配置を可能にできる。これにより、製造が簡単になり、また、着心地感を向上させることができる。
なお、
図3に示す構成では、液体路3内に立体構造体16を収容した構成になっているが、この構成については後述する。
【0023】
なお、
図1及び
図4に示すように、スパウト6は熱融着シート2が融着するための接合面部8と、接合面部8を貫くように管部11が設けられた管取付部9とを有している。接合面部8の形状は四角形形、半円形状など各種の形状が採用できるが、熱融着シート2を液体が漏れないようにしっかり密閉する水平方向に広がりを持った領域面を備えている。
管部11は内側の液体路3と外側の接続管(図示せず)を連通する機能を備えている。
【0024】
本実施形態における特徴点をまとめると、以下の点にある。
(1)液体路3の外縁部と内縁部に縁部接合部7・7を設け、その縁部接合部7・7によって所定形状の液体路3のパターンが形成されることは重要な特徴点である。つまり、外縁部と内縁部に縁部接合部7・7を接合するための金型等を用意することで、複雑な液体路3の流路形状であっても一回の接合処理によって所望の循環液体路部材を形成できるという点である。これは、身体の部位に応じて安価に身体を冷却するための好ましい流路パターンを簡単に形成できる点において大きな利点となる。
(2)液体路3を環形液体路20に構成し、環形液体路20内に開口部21を設けることで、環形液体路20自体の変形度合いを大きくする点である。これは、正方形の合成樹脂シートと、同じ外縁長さを有する正方形状の合成樹脂シートの内部に大きな開口を備えた環形シートと比較すれば、環形シートの方が大きく変形できることからも容易に理解できる。
(3)環形液体路20を内側から各蛇行部24の変形を許容する枝部22を設けるとともに、外側から所定蛇行部24の変形を許容する切込部23を設けることで、各蛇行部23の自由な変形を可能にする点である。重要度から言えば、所定蛇行部24の変形を許容する切込部23を設けることが枝部22を設けることよりも大きい。切込部23だけを設けて、枝部22を設けない構成も適宜、採用できる。
切込部23を設けることは、特に頭部のような曲率の大きな身体部位に平面で形成された液体路3を沿わせることを可能にする点において重要な構成である。
【0025】
[第2実施形態]
図5に示すように、第3実施形態の特徴は、液体路3内に柔軟性を有する立体構造物16を固定した点にある。。
図5においても簡便のために右側の一つの蛇行部24のみを示している。
図5に示す構成では、立体構造物16は液体の流れる隙間17を備えている構成を有することで、良好な液体の流れを確保できるようにしてある。
立体構造体16の一例としては、縦糸と横糸が上下に交差して、その交差によって液体の流れる隙間17を確保するようにした繊維構造体が例示できる。そのような繊維構造体として縦糸と横糸が上下に交差するメッシュなどを挙げることができる。
また、立体構造物16は液体路3を構成する少なくとも片方側のシート面に固定されていることが好ましい。
さらに、立体構造物16の少なくとも片方側のシート面への固定を、液体路3の形状パターンを形成するための複数の接合シート2に係る接合方法と同一の方法によって行うことが好ましい。その場合は、立体構造物16を構成する素材と、接合シート2を構成する合成樹脂と同じ種類又は接合しやすい合成樹脂を選ぶことになる。前記した縁部接合部7と一緒に立体構造体16も同じ方法で接合することで、立体構造物16を接合シート2・2の少なくとも片方に固定することができる。
また、本発明は、熱融着シート2・2の少なくとも一方側に接着剤などの固定手段を設け、その固定手段によって想定する液体路3の中心帯域に立体構造物16を固定する方法も除外するものではない。
【0026】
[第3実施形態]
図6に示すように、本実施形態は環形液体路20を、頭部を冷却する頭部用環形液体路25と、頭部を除く身体部分を冷却する身体側環形液体路26とに区分した点と、複数の環形液体路20を柔軟性のある連結管15で接続した点を特徴としている。
この構成では、頭部を支える首において大きく動くことを考慮し、その首部分に柔軟性のある連結管15を設けている。柔軟性だけでなく頭部が大きく動けるように連結管15の長さを直線よりも長く設定すること、即ち余裕のある長さとする構成も採用することができる。
また、前記したように頭部用環形液体路25にも開口部21が設けられている。開口部21を設けることで、背中に比べて曲率が大きい頭部でも、頭部面に沿わすように頭部用環形液体路25を配置することが簡単に行え、かつ良好な装着感が得られる。
なお、
図6における曲線27は、紙面裏側(顔面側)に曲がる頭部装着面の境界線を示している。
【0027】
[第4実施形態]
図3、
図7に示すように、本実施形態の特徴は、頭部を覆うフード、ヘルメットや、胴体部を冷却する冷却服などの身体覆い素材28に取り付けられた第1面ファスナー29と、液体路3側を構成するシートに取り付けられた第2面ファスナー30とを有し、第1面ファスナー29と第2面ファスナー30によって、液体路3を身体覆い素材28から着脱自在に構成した点にある。第1面ファスナー29は服の縦に延びる方向や横幅方向に延びる方向に、線形又は面形に設ける構成を採用することもできる。
ファスナー28,29としては、マジックテープ(登録商標)などの各種の構成が採用できる。
【0028】
また、第2面ファスナー30は、切込部23によって自由に動ける各蛇行部24のそれぞれにおいて設けられているので、頭部のような曲率の大きな装着面においても、各蛇行部24を身体覆い素材28にしっかり固定することができる。この利点は、肩部から腕部を覆う身体覆い素材28などのように、身体の移動範囲が大きな部分を冷却する場合にも同様に発揮できる。
さらに、身体側から見てシートの外側面に第2面ファスナー30が固定されているので、身体側に第2面ファスナー30がないので、液体路3と身体との密着度を高めることがき、より冷感を高めることができる。
【0029】
[第5実施形態]
図7(A)(B)を参照して、身体覆い素材28に環形液体路20と身体とが直接接触することを防止する一般的な構成について説明する。
本実施形態は、第1・第2面ファスナー29・30を設けるとともに、身体覆い素材28に環形液体路20と身体とが直接接触することを防止する内側布材32を設けた構成としたことを特徴とするものである。
【0030】
この内側布材32は、循環液体路部材1を収容する袋部31の内側の面で構成することもできる。
袋部31の内側布材32は、例えば、身体覆い素材28と同様な生地や網面で構成することができる。
なお、
図7では、説明上、身体覆い素材28と内側布材32とは離隔して描いているが、実際の構成においては、身体覆い素材28、循環液体路部材、及び内側布材32は身体の垂直方向において短い幅(3mm〜15mm程度)に設定される。
さらに、身体側から見て液体路3の外側面に第2面ファスナー30が固定されているので、内側布材32を設けても、身体覆い素材28の服生地とシート材の間に第2面ファスナー30がないので、身体との密着度を高めることができる。
また、前記した各実施形態において、
図8に示すように、液体を循環させるポンプや電源などの駆動ユニット部をリュックサックのような形態で背負う構成にすることもできる。
この構成では、作業者等の背中に背負うリュックサックのような背負い部材35と、背負い部材35内に収容された液体容器36及びポンプ37とを備えている。なお、
図8において、電源の図示は省略してある。また、ポンプ37からの液体送出路38と、液体回収路39と、それらの接続部材40・40を備えている。そして、液体送出路38、液体回収路39は着脱自在の接続部材40・40を介して、それぞれ冷却服側の液体供給管、液体戻り管に接続されたスパウト6に接続される。
【0031】
本発明は上記実施形態以外にも本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形を行うことが可能である。
(1)前記実施形態では液体として水を例示したが、この例示は安価かつ簡単に実施できることを重視して例示したものであり、水に熱交換を促進する物質(液体)を混合した液体や、熱交換に適した水以外の液体を採用して本発明を構成することもできる。これらの構成であっても前記した熱交換を促進する液体は人体に有害でない構成を採用することが好ましい。
(2)本発明において、熱交換用の液体路3に液体を循環する構成はリュックサック形状の構成に限定されず、各種の形態を採用することが可能である。
また、液体を液体路内に循環するためにポンプ19を設けることや低い温度の液体を保持する液体容器を備えていることは公知技術であるので、本発明の目的において適宜、ポンプ19や液体容器20などの最適な構成を採用すればよい。
(3)本発明は、環形液体路20自体を服の型紙のように加工して、複数の型紙に相当する環形液体路20自体を連結管15によって連結して、水冷服などを構成する形態を除外するものではない。
(4)本発明の最も広い権利構成においては、シートなどに使用する合成樹脂の種類や液体路3の製造方法は一切、限定されない。