特開2018-204166(P2018-204166A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-204166(P2018-204166A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】機能性合成繊維
(51)【国際特許分類】
   D06M 13/148 20060101AFI20181130BHJP
   D06M 101/32 20060101ALN20181130BHJP
   D06M 101/34 20060101ALN20181130BHJP
【FI】
   D06M13/148
   D06M101:32
   D06M101:34
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-100868(P2018-100868)
(22)【出願日】2018年5月25日
(31)【優先権主張番号】特願2017-111384(P2017-111384)
(32)【優先日】2017年6月6日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004503
【氏名又は名称】ユニチカ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 光洋
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 健二
(72)【発明者】
【氏名】本多 真理子
【テーマコード(参考)】
4L033
【Fターム(参考)】
4L033AA04
4L033AA07
4L033AA08
4L033AB01
4L033AC15
4L033BA12
(57)【要約】
【課題】液体の機能性材料を合成繊維に付与し、産業的に好適に用いることができる機能性繊維を提供することを技術的な課題とする。
【解決手段】熱可塑性合成繊維により構成され、該合成繊維は、繊維軸方向に連続する中空部が形成されてなる中空繊維であり、中空部には機能性液体が充填されてなり、該合成繊維の両端部は溶融固化することにより充填した機能性液体を封じていることを特徴とする機能性合成繊維。
熱可塑性合成繊維の外径が1.0mm〜5.0mm、外径と内径の差が0.5mm以上である中空繊維であることが好ましい。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性合成繊維により構成され、該合成繊維は、繊維軸方向に連続する中空部が形成されてなる中空繊維であり、中空部には機能性液体が充填されてなり、該合成繊維の両端部は溶融固化することにより充填した機能性液体を封じていることを特徴とする機能性合成繊維。
【請求項2】
熱可塑性合成繊維の外径が1.0mm〜5.0mm、外径と内径の差が0.5mm以上である中空繊維であることを特徴とする請求項1に記載の機能性合成繊維。
【請求項3】
熱可塑性合成繊維がポリエステル系樹脂により構成されるポリエステル繊維であり、機能性液体が水溶性液体であることを特徴とする請求項1または2に記載の機能性中空繊維。
【請求項4】
熱可塑性合成繊維がポリアミド系樹脂により構成されるポリアミド繊維であり、機能性液体が水溶性液体であることを特徴とする請求項1または2に記載の機能性中空繊維。
【請求項5】
充填されてなる機能性液体が、ゾル状態あるいはゲル状態であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の機能性中空繊維。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空繊維の中空部に機能性液体を充填させた機能性合成繊維に関する。
【背景技術】
【0002】
合成繊維は、一般衣料用途をはじめとして、カーテン、カーペット等のインテリア用途、車両内装用途等や土木・建築の資材等、様々な産業用途へ展開されている。一例として、ポリエチレンテレフタレート繊維は、その価格と強伸度等の物理的特性とのバランスの良さから様々な用途への展開の拡大が期待されている。その他にも、バイオマス素材のポリエステルとしてポリ乳酸は、植物性澱粉を原料とするカーボンニュートラルである点が注目され、石油由来樹脂の代替材料として期待されている。
【0003】
また、近年では、汎用性の高い合成繊維に機能性を付与し、高機能性繊維とする研究が盛んに行われている。一般的に繊維へ機能性を付与する方法として、素材への機能性材料の添加や後加工、繊維形状の変化などが挙げられる。通常、ポリエステル繊維やポリアミド繊維は溶融紡糸法により製造される。溶融前の原料に機能剤を添加し、原料の合成樹脂と混練させて繊維とすることで、機能性繊維が得られる。この方法で得られる繊維は、繊維を構成する合成樹脂中に機能性材料を含有しているため、機能性材料の剥落が起こらず、機能の持続性が長いという利点がある。しかし、機能性材料を原料と一緒に溶融させるため、溶融時の熱で機能性材料が変性、若しくは、分解し、目的の機能を失ってしまう恐れがある。また、機能性材料の形態が液体の場合や親水性の高い材料である場合、ポリエステル樹脂等は加水分解を起こし易く、産業的に用いるのに十分な物性を具備しない合成繊維となるという問題がある。
【0004】
一方、機能性材料を溶媒に分散、又は、溶解させた液体を、繊維表面に塗布することで機能性を付与する方法がある(例えば、特許文献1)。この方法では、耐熱性の低い機能性材料でも用いることが可能である。しかしながら、機能性材料が繊維の表面に存在するため、摩擦や熱、衝撃等の外部からの影響で、容易に機能性材料が剥落し、機能性の持続が短いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−13067号公報(特許請求の範囲、段落番号0015)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記問題点を解決し、液体の機能性材料を合成繊維に付与し、産業的に好適に用いることができる機能性繊維を提供することを技術的な課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を達成するものであって、熱可塑性合成繊維により構成され、該合成繊維は、繊維軸方向に連続する中空部が形成されてなる中空繊維であり、中空部には機能性液体が充填されてなり、該合成繊維の両端部は溶融固化することにより充填した機能性液体を封じていることを特徴とする機能性合成繊維を要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の機能性合成繊維は、繊維軸方向に連続する中空部を有し、中空部に機能性液体が充填されている。機能性液体が、合成繊維を構成する合成樹脂に混合してなるものではないため、耐熱性の低い機能性材料であっても、合成繊維に担持させることが可能であり、機械的物性は中空繊維に依るため、機械的物性が大幅に低下することも防げるため、繊維は、実用的な強度を有する。さらには、機能性材料は中空部に封入されているため機能性の持続も長い。したがって、目的とする機能性が必要な用途において、産業的に好適に適用可能な機能性合成繊維を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】中空繊維と機能性液体とが、親水性同士あるいは疎水性同士の場合において、中空繊維に液体を充填させる際の繊維軸方向の断面を示す断面模式図である。
図2】中空繊維と機能性液体とが、水に対する親和性の異なるもの同士の組合せの場合において、中空繊維に液体を充填させる際の繊維軸方向の断面を示す断面模式図である。
図3】実施例において、中空部に液体を充填する際の繊維の固定状態を示す概略模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0011】
本発明の機能性合成繊維は、熱可塑性合成繊維により構成され、繊維軸方向に連続する中空部が形成されてなる中空繊維であり、中空部には機能性液体が充填されてなる。
【0012】
中空繊維は、熱可塑性樹脂を溶融紡糸により得られる中空繊維であり、熱可塑性樹脂としては、溶融紡糸可能なものであれば特に限定されない。紡糸性や物理的特性等からポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂を用いるのが好ましい。
【0013】
ポリエステル系樹脂としては、分子内にエステル結合を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、芳香族ポリエステルでは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート等が挙げられ、また、脂肪族ポリエステルでは、例えばポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリカプロラクトン等が挙げられる。
【0014】
また、繊維の特性を損なわない範囲であれば、前記したポリエステルに他のジカルボン酸成分、ジオール成分あるいはオキシカルボン酸成分等を共重合してもよく、あるいはこれらポリエステルをブレンドして用いてもよい。共重合できる他の成分としては、ジカルボン酸では、例えば、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、無水フタル酸、セバシン酸、アジピン酸、コハク酸等が挙げられ、ジオール成分では、エタンジオール、プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
【0015】
ポリエステル系樹脂の相対粘度としては、特に限定されないが、機能性合成繊維の用途に適したものを選択することが好ましい。特に産業資材用繊維は、相対粘度が1.4以上、より好ましくは1.5以上がよい。
【0016】
ポリアミド系樹脂としては、分子内にアミド基を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えばナイロン6,ナイロン66,ナイロン69、ナイロン46,ナイロン610,ナイロン1010、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6T、ナイロン9T、ポリメタキシレンアジパミドやこれら各成分を共重合したものやブレンドしたもの等が挙げられる。
【0017】
ポリアミド系樹脂の相対粘度としては、特に限定されず、その用途に適したものを選択すればよい。実用的な強伸度を得るためには、相対粘度が2.0以上、より好ましくは2.3以上であり、特に産業資材用途には、相対粘度が2.5以上、より好ましくは3.0以上である。
【0018】
中空繊維の中空部は、後述する機能性液体を充填する空隙部であり、機能性液体が均一に充填が可能であり、繊維軸方向に断絶することなく連続していればよく、繊維が有する中空部の数は特に限定されない。例えば、中空部は、1つ、もしくは2〜4個程度がよい。
【0019】
中空繊維の形態は、機能性液体を中空部に充填する際の加工性を考慮して、一般に1本の繊維で用いることが可能なモノフィラメント糸であることが好ましい。また、中空繊維の外径は1mm〜5mmが好ましく、2mm〜4mmがより好ましい。中空繊維の外径と内径の差は、0.5mm以上がよい。0.5mmより小さいと、外部からの応力によって中空繊維が破損しやすく、封入した液体が漏れ出てしまう恐れがある。また、機能性液体を充填する際の減圧によって、中空部が潰れてしまう恐れもある。
【0020】
中空繊維には、充填する機能性液体の性質を損なわない範囲であれば、必要に応じて、例えば、熱安定剤、結晶核剤、艶消し剤、顔料、耐光剤、耐候剤、酸化防止剤、抗菌剤、香料、可塑剤、染料、界面活性剤、表面改質剤、各種無機及び有機電解質、微粉体、難燃剤等の各種添加剤を添加することができる。
【0021】
機能性液体は、中空繊維の中空部に充填可能で、中空繊維の機械的特性等に影響を与えることなく、充填された状態で目的の機能性を発現することができるものであれば、特に限定されない。機能性液体の機能性としては、下記の形態が挙げられる。
【0022】
マグネタイトやマンガン亜鉛フェライト等の強磁性微粒子を溶媒に分散させた磁性流体を中空部に充填することで、磁性繊維を得ることができる。
【0023】
ポリ(N−アルキルアクリルアミド)等の上限溶解臨界温度を示す温度応答性高分子を溶解させた溶液を中空部に充填することで、低温下では透明だが、一定の温度以上では白濁する温度応答性繊維を得ることができる。
【0024】
フォトクロミック色素を溶媒に溶解させた溶液を中空部に充填することで、フォトクロミック特性を持つ繊維を得ることができる。
【0025】
エチレングリコールやグリセリン等の比熱の小さな液体を中空部に充填させることで、長時間所定の温度を保つ保温繊維、若しくは、保冷繊維として利用することができる。
【0026】
金属微粒子を分散させた溶液を中空部に充填することで、良好な導電性繊維を得ることができる。
【0027】
消火剤として、水単体あるいは水と水系消化薬剤との混合溶液を中空部に充填することで、防炎性を有する繊維とすることができる。充填させる際に、水は、ゲル化剤と混合したものを用いるとよい。ゲル化剤としては、ゼラチン、カラギナン、寒天および多糖類などが挙げられる。水にゲル化剤を混合させた混合溶液、加熱されることにより、流動性を有するが、温度が下がると分子鎖が網目状となり、網目構造の隙間に水の成分を包み込み、大量の水分を含むことができる。
【0028】
従来、合成繊維に難燃性物質を付与する方法として、重合体に共重合する共重合法、溶融紡糸時に添加する錬り込み法、後加工付与する後加工法等が挙げられるが、いずれの場合も高温で加工することから使用できる難燃性物質に制限があった。一方、燃焼は、可燃物・酸素・高温・燃焼の連鎖反応の4つの要因がそろった場合に温度を下げ消化する冷却法や、燃焼している物質への酸素(空気)の供給を遮断する窒息法、燃焼の連鎖反応を止める負触媒法がある。最も簡易的に燃焼を止める方法は水を用いた冷却法であり、消火剤を中空部に充填させた機能性繊維は、冷却法による防炎機能を有する繊維となる。
【0029】
なお、前記した種々の機能性液体中に、必要に応じてゲル化剤を混合させてもよい。充填する機能性液体がゲル状態とすることにより、充填している機能性液体の流動性が失われるため、機能性繊維の末端を封じて、中空部を閉じなくとも使用可能となる。
【0030】
充填させる機能性液体等は、安全性の面から、溶媒は有機溶媒よりも水性の溶媒が好ましい。また、充填させる機能性液体が、流動性をやや失っているゾル状態やゲル状態であるゾル体やゲル体のものについても、本発明においては機能性液体とみなす。
【0031】
中空繊維を構成する熱可塑性樹脂と充填する機能性液体の組み合わせとしては、(1)疎水性熱可塑性樹脂/水溶性機能性液体の組み合わせ、(2)親水性熱可塑性樹脂/疎水性機能性液体の組み合わせが好ましい。
【0032】
前記とは逆に、例えば、疎水性熱可塑性樹脂/疎水性の機能性液体という疎水性同士の組合せや、親水性熱可塑性樹脂/水溶性機能性液体の組合せといった親水性同士の組合せの場合、繊維の中空部壁面と機能性液体の親和性が高いため、機能性液体を充填する際に、中空部壁面と機能性液体の界面でずり抵抗が生じる。その抵抗により、中空部壁面と中空部中心部での機能性液体の速度分布に差が生じてしまい、機能性液体に気泡が混ざった状態で充填されることとなる。図1に、中空繊維と機能性液体とが、親水性同士あるいは疎水性同士の場合において、中空繊維に液体を充填させる際の繊維軸方向の断面を示す断面模式図を示す。
【0033】
一方、(1)疎水性熱可塑性樹脂/親水性機能性液体、(2)親水性熱可塑性樹脂/疎水性機能性液体の組合せ、すなわち、水に対する親和性が相反する性能同士の組合せにすることにより、繊維の中空部壁面と機能性液体の親和性が低いため、機能性液体を充填する際に、中空部壁面と機能性液体との界面でのずり抵抗は比較的小さく、中空部内における機能性液体の速度勾配は比較的均一となり、充填した中に機能性液体内に気泡は生じにくくなる。図2に、中空繊維と機能性液体とが、水に対する親和性の異なるもの同士の組合せの場合において、中空繊維に液体を充填させる際の繊維軸方向の断面を示す断面模式図を示す。疎水性熱可塑性樹脂としては、ポリエステル系樹脂やポリオレフィン系樹脂が挙げられ、親水性熱可塑性樹脂としては、ポリアミド系樹脂が挙げられる。なお、機能性液体が親水性あるいは疎水性であるかについては、充填する際の雰囲気温度における性質であり、一般に、充填は室温で行うため、その室温において親水性か疎水性かで判断する。
【0034】
中空繊維に機能性液体を充填させて機能性中空繊維を得る方法としては、真空ポンプ等を用いて繊維の一端から中空部を減圧し、中空部内に圧力勾配を付け、圧力勾配により機能性液体を中空部内に導き、充填させる方法が好ましい。なお、機能性液体がゲル化剤を含む場合は、機能性液体が十分な流動状態を維持しうる状態であると充填させやすい。
【0035】
圧力勾配については、中空繊維の中空部が減圧時の圧力により潰れなければ、特に限定されない。中空部が潰れてしまうと、中空繊維にクラックが生じ易くなり、そのクラックより充填した機能性液体が漏れ出す恐れがある。充填した後は、ヒートカッターを用いて、繊維の両端部をヒートカットすることにより、端面を熱融着させて封じることにより、中空部内の機能性液体が端面より流出することを防げる。
【実施例】
【0036】
以下、本発明について、実施例に基づき詳細に説明する。
【0037】
実施例1
相対粘度1.62のポリエチレンテレフタレート樹脂を、ポリマー温度を290℃で、中空部外径8.50mm、内径7.25mmの中空モノフィラメント用の紡糸口金を用いて溶融紡糸した。紡糸した繊維を50℃の水浴中で冷却した後、速度11m/分で捲き取ることなく、90℃の温浴中で延伸し、さらに巻き取ることなく180℃の乾熱雰囲気中で、総延伸倍率が2.5倍となるように延伸し、油剤を付与して捲き取り、外径2.30mm、内径1.40mmのポリエステル中空モノフィラメントを得た。得られたモノフィラメントは十分な機械的物性を有していた。
【0038】
この中空モノフィラメントを10mの長さに切り取り、一端を外径8mm、内径6mmのPTFE製チューブの管内に通し、中空モノフィラメントの中空部が閉塞しないようにエポキシ系接着剤を用いて中空モノフィラメントの一端をPTFE製チューブの管内に固定した(図3概略模式図を参照)。配管の途中にトラップ管を設けた油回転式の真空ポンプにPTFE製チューブを取り付けた。
【0039】
粘度1672mPa・s(東機産業製 TVB−10型粘度計を用いて測定)のグリセリン中に中空モノフィラメントのもう一端を浸漬させた。中空モノフィラメントのもう一端をグリセリン中に浸漬させた状態で真空ポンプを稼働させ、中空モノフィラメント、及び、PTFE製チューブの管内を減圧した。
【0040】
中空モノフィラメントおよびPTFE製チューブの管内を減圧することで、グリセリンが吸い上げられて、中空モノフィラメントの中空部にグリセリンが充填され、中空モノフィラメントの全長にグリセリンが充填された状態で真空ポンプを停止し、ヒートカッターを用いて中空モノフィラメントの両端を溶融切断し、中空モノフィラメントの中空部にグリセリンを封入してなる機能性合成繊維を得た。
【0041】
実施例2
機能性液体として、実施例1で用いたグリセリン80質量%と水20質量%とを混合し、粘度88.9mPa・s(東機産業製 TVB−10型粘度計を用いて測定)のグリセリン水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして中空モノフィラメントの中空部にグリセリン水溶液を封入し、機能性合成繊維を得た。
【0042】
実施例3
機能性液体として、実施例1で用いたグリセリン60質量%と水40質量%とを混合し、粘度15.6mPa・s(東機産業製 TVB−10型粘度計を用いて測定)のグリセリン水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして中空モノフィラメントの中空部にグリセリン水溶液を封入し、機能性合成繊維を得た。
【0043】
実施例4
機能性液体として、実施例1で用いたグリセリン40質量%と水60質量%とを混合し、粘度8.4mPa・s(東機産業製 TVB−10型粘度計を用いて測定)のグリセリン水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして中空モノフィラメントの中空部にグリセリン水溶液を封入し、機能性合成繊維を得た。
【0044】
比較例1
実施例1で溶融紡糸により得られたポリエステル中空モノフィラメントの中空部に、シリンジを用いて、実施例4で用いた機能性液体(グリセリン40質量%と水60質量%とのグリセリン水溶液)を注入したが、中空モノフィラメントの20cmの長さまでグリセリン水溶液が充填された時に、中空部の内圧により中空モノフィラメントが破損し、破損部分からグリセリン水溶液が漏れ出し、機能性液体が充填されてなる機能性合成繊維を得ることができなかった。
【0045】
実施例5
実施例1において、機能性液体として、ポリエチレングリコールを用いて機能性合成繊維を得た。すなわち、実施例1で得られたポリエステル中空モノフィラメントを10mの長さに切り取り、一端を外径8mm、内径6mmのPTFE製チューブの管内に通し、中空モノフィラメントの中空部が閉塞しないようにエポキシ系接着剤を用いて中空モノフィラメントの一端をPTFE製チューブの管内に固定した。配管の途中にトラップ管を設けた真空ポンプ(IWAKI製バキュームポンプ V PUMP−140)にPTFE製チューブを取り付けた。
【0046】
15℃の環境下の中、粘度180mPa・sのポリエチレングリコール(第一工業制約製 PEG400 TVB−10型粘度計を用いて測定)中に中空モノフィラメントのもう一端を浸漬させた。中空モノフィラメントのもう一端をポリエチレングリコール中に浸漬させた状態で真空ポンプを稼働させ、中空モノフィラメント、及び、PTFE製チューブの管内を減圧した。
【0047】
中空モノフィラメント、及び、PTFE製チューブの管内を減圧することで、ポリエチレングリコールが吸い上げられて中空モノフィラメントの中空部に充填され、中空モノフィラメントの全長にポリエチレングリコールが充填された状態で真空ポンプを停止した。中空モノフィラメントの全長にポリエチレングリコールが充填された状態で、ヒートカッターを用いて中空モノフィラメントを溶融切断し、中空モノフィラメントの中空部にポリエチレングリコールを充填してなる実施例5の機能性合成繊維を得た。
【0048】
実施例5と、実施例1で得られた中空モノフィラメント(中空部に機能性液体を充填していない繊維)を比較例として、温度吸着性を評価し、その結果を表1に示した。表1から分かるように、本発明の機能性繊維は、比較例と比べて温度吸着が早かった。
【0049】
<温度吸着試験>
温度15℃の環境のもと、60℃までオーブンで熱した荷重20gの分銅を試料の上に置き、分銅の温度変化を温度センサーの温度が上がりきった120秒後から60秒ごと、温度変化の少なくなる360秒後まで測定し、試料が温度吸着する速度の変化をみた。
【0050】
【表1】
【0051】
実施例6
実施例1において、機能性液体として、水にゲル化剤を溶かした水溶液(消火剤)を用いて、以下の方法により、防炎性を有する機能性合成繊維を得た。
【0052】
まず、充填する混合溶液(消化剤)は、10gの寒天を1リットルの水に浸し、その後徐々に昇温させて溶解させた寒天を溶解させた水溶液を得、この寒天水溶液を消化剤とした。なお、寒天水溶液は、流動性を維持するために約90℃の温度にて保温した。
次いで、実施例1で得られたポリエステル中空モノフィラメントを10mの長さに切り取り、一端を外径8mm、内径6mmのPTFE製チューブの管内に通し、中空モノフィラメントの中空部が閉塞しないようにエポキシ系接着剤を用いて中空モノフィラメントの一端をPTFE製チューブの管内に固定した。配管の途中にトラップ管を設けた真空ポンプ(IWAKI製バキュームポンプ V PUMP−140)にPTFE製チューブを取り付けた。
【0053】
中空モノフィラメントを熱水浴(温度85℃)の中に通した後、中空モノフィラメントのもう一端を浸漬させた。中空モノフィラメントのもう一端を前記した保温状態の寒天水溶液中に浸漬させ、その状態で真空ポンプを稼働させ、中空モノフィラメント、及び、PTFE製チューブの管内を減圧した。
中空モノフィラメント、及び、PTFE製チューブの管内を減圧することで、寒天水溶液が吸い上げられて中空モノフィラメントの中空部に充填され、中空モノフィラメントの全長に水溶液が充填された状態で真空ポンプを停止した。その後、中空モノフィラメントを冷却し、充填された水溶液をゲル状に固化させ、中空モノフィラメントの中空部に消化剤が充填してなる実施例6の機能性合成繊維を得た。
【0054】
実施例7
実施例6で用いた寒天水溶液からなる消化剤を準備し、その消化剤に合成界面活性剤1.5gを添加した溶液を消化剤として用いたこと以外は、実施例6と同様にして、実施例7の機能性合成繊維を得た。
【0055】
実施例8
実施例6で用いた寒天水溶液からなる消化剤を準備し、その消化剤に合成界面活性剤3.0gを添加した溶液を消化剤として用いたこと以外は、実施例6と同様にして実施例8の機能性合成繊維を得た。
【0056】
実施例9
ポリアミド6樹脂を、ポリマー温度を265℃で孔の外径8.50mm、内径7.25mmの中空モノフィラメント用の紡糸口金から溶融紡糸した。紡糸した繊維を25℃の水浴中で冷却した後、捲き取ることなく、速度30m/minで80℃の温浴中で延伸し、更に巻き取ることなく175℃の乾熱雰囲気中で、総延伸倍率が4.8倍となるように延伸し、油剤を付与して捲き取り、外径2.30mm、内径1.40mmのポリアミド系の中空モノフィラメントを得た。得られたモノフィラメントは十分な機械的物性を有していた。
【0057】
この中空モノフィラメントを10mの長さに切り取り、一端を外径8mm、内径6mmのPTFE製チューブの管内に通し、中空モノフィラメントの中空部が閉塞しないようにエポキシ系接着剤を用いて中空モノフィラメントの一端をPTFE製チューブの管内に固定した(図3概略模式図を参照)。配管の途中にトラップ管を設けた真空ポンプ(IWAKI製バキュームポンプ V PUMP−140)にPTFE製チューブを取り付けた。
15℃の環境下の中、粘度180mPa・sのポリエチレングリコール(第一工業制約製 PEG400 TVB−10型粘度計を用いて測定)中に中空モノフィラメントのもう一端を浸漬させた。中空モノフィラメントのもう一端をポリエチレングリコール中に浸漬させた状態で真空ポンプを稼働させ、中空モノフィラメント、及び、PTFE製チューブの管内を減圧した。
【0058】
中空モノフィラメント、及び、PTFE製チューブの管内を減圧することで、ポリエチレングリコールが吸い上げられて中空モノフィラメントの中空部に充填され、中空モノフィラメントの全長にポリエチレングリコールが充填された状態で真空ポンプを停止した。中空モノフィラメントの全長にポリエチレングリコールが充填された状態で、ヒートカッターを用いて中空モノフィラメントを溶融切断し、中空モノフィラメントの中空部にポリエチレングリコールを封入し、実施例9の機能性合成繊維を得た。

図1
図2
図3