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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-204352(P2018-204352A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】マンホール蓋
(51)【国際特許分類】
   E02D 29/14 20060101AFI20181130BHJP
【FI】
   E02D29/14 E
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-112341(P2017-112341)
(22)【出願日】2017年6月7日
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000227593
【氏名又は名称】日之出水道機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100153017
【弁理士】
【氏名又は名称】大倉 昭人
(72)【発明者】
【氏名】足利 翔
(72)【発明者】
【氏名】出口 大志
(72)【発明者】
【氏名】堀ノ内 卓
【テーマコード(参考)】
2D147
【Fターム(参考)】
2D147BB23
(57)【要約】
【課題】点検作業の効率化が可能なマンホール蓋を提供する。
【解決手段】本発明のマンホール蓋は、上面に複数の凸部20が設けられたマンホール蓋であって、複数の凸部は、複数の多段凸部22と複数の単段凸部21とを含み、複数の多段凸部は、それぞれ、マンホール蓋の平面視において第1正多角形状をなす第1段凸部分22aと、第1段凸部分の上に配置されているとともに、平面視において第1正多角形状とは異なる辺の数を有する第2正多角形状をなす、第2段凸部分22bと、を有し、複数の単段凸部は、それぞれ、その高さ全体にわたって、平面視において第3正多角形状をなす。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に複数の凸部が設けられたマンホール蓋であって、
前記複数の凸部は、複数の多段凸部と複数の単段凸部とを含み、
前記複数の多段凸部は、それぞれ、前記マンホール蓋の平面視において第1正多角形状をなす第1段凸部分と、前記第1段凸部分の上に配置されているとともに、前記平面視において前記第1正多角形状とは異なる辺の数を有する第2正多角形状をなす、第2段凸部分と、を有し、
前記複数の単段凸部は、それぞれ、その高さ全体にわたって、前記平面視において第3正多角形状をなす、マンホール蓋。
【請求項2】
前記多段凸部の前記第2段凸部分のなす前記第2正多角形状は、前記多段凸部の前記第1段凸部分のなす前記第1正多角形状よりも、辺の数が少ない、請求項1に記載のマンホール蓋。
【請求項3】
前記単段凸部のなす前記第3正多角形状は、前記多段凸部の前記第2段凸部分のなす前記第2正多角形状と、辺の数が同じである、請求項2に記載のマンホール蓋。
【請求項4】
前記多段凸部の前記第1段凸部分のなす前記第1正多角形状は、六角形であり、
前記多段凸部の前記第2段凸部分のなす前記第2正多角形状は、四角形である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のマンホール蓋。
【請求項5】
前記多段凸部は、前記第1段凸部分及び前記第2段凸部分のみからなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のマンホール蓋。
【請求項6】
前記複数の凸部は、千鳥状にほぼ等間隔に配置されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載のマンホール蓋。
【請求項7】
前記多段凸部と前記単段凸部とは、個数比が一様となるように配置されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載のマンホール蓋。
【請求項8】
前記多段凸部と前記単段凸部とは、パターンが一様となるように配置されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載のマンホール蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンホール蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
車道や歩道に設置されるマンホール蓋は、その上面の凹凸模様が車両通過等によって摩耗されていくと、その上で車両や歩行者がスリップし易くなる傾向がある。そのため、マンホール蓋は、事業者等によって、定期的に点検されており、凹凸模様の摩耗が進行しているものについては、更改の対象となる。
近年、マンホール蓋の凹凸模様の形状を改良することにより、耐スリップ性能を向上させる取り組みが行われている(例えば、非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】「4 マンホールふたのすべりについて」、技術広報誌G&U第2号、株式会社G&U技術研究センター、2006年10月発行、第28〜37頁、http://www.gucenter.co.jp/pablication.html(2017年4月5日取得)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マンホール蓋の点検にあたって、凹凸模様の摩耗の程度を評価する手法としては、従来より、現場でノギス等の測定器を用いて模様高さの計測を行う手法が一般的であるが、近年では、現場での作業の安全性及び効率性の観点から、現場でマンホール蓋をデジタルカメラにより撮像し、撮像した画像を画像解析する手法が採られるようになってきている。
しかしながら、従来のマンホール蓋の凹凸模様は、画像解析によって摩耗の程度を評価するのが難しいものであり、多くの場合、現場での撮り直しを要していた。このため、点検作業に多大な時間及び費用が掛かる問題があり、点検作業の効率化が望まれていた。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためにされたものであり、点検作業の効率化が可能なマンホール蓋を、提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の要旨構成は、次の通りである。
【0007】
本発明のマンホール蓋は、
上面に複数の凸部が設けられたマンホール蓋であって、
前記複数の凸部は、複数の多段凸部と複数の単段凸部とを含み、
前記複数の多段凸部は、それぞれ、前記マンホール蓋の平面視において第1正多角形状をなす第1段凸部分と、前記第1段凸部分の上に配置されているとともに、前記平面視において前記第1正多角形状とは異なる辺の数を有する第2正多角形状をなす、第2段凸部分と、を有し、
前記複数の単段凸部は、それぞれ、その高さ全体にわたって、前記平面視において第3正多角形状をなすものである。
【0008】
本発明のマンホール蓋においては、
前記多段凸部の前記第2段凸部分のなす前記第2正多角形状は、前記多段凸部の前記第1段凸部分のなす前記第1正多角形状よりも、辺の数が少ないと、好適である。
【0009】
本発明のマンホール蓋においては、
前記単段凸部のなす前記第3正多角形状は、前記多段凸部の前記第2段凸部分のなす前記第2正多角形状と、辺の数が同じであると、好適である。
【0010】
本発明のマンホール蓋においては、
前記多段凸部の前記第1段凸部分のなす前記第1正多角形状は、正六角形であり、
前記多段凸部の前記第2段凸部分のなす前記第2正多角形状は、正四角形であると、好適である。
【0011】
本発明のマンホール蓋においては、
前記多段凸部は、前記第1段凸部分及び前記第2段凸部分のみからなると、好適である。
【0012】
本発明のマンホール蓋においては、
前記複数の凸部は、千鳥状にほぼ等間隔に配置されていると、好適である。
【0013】
本発明のマンホール蓋においては、
前記多段凸部と前記単段凸部とは、個数比が一様となるように配置されていると、好適である。
【0014】
本発明のマンホール蓋においては、
前記多段凸部と前記単段凸部とは、パターンが一様となるように配置されていると、好適である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、点検作業の効率化が可能なマンホール蓋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係るマンホール蓋の一部を示す平面図である。
図2図2は、図1のマンホール蓋の摩耗前(初期)の様子を示す図であり、図2(a)は図1のAの部分を拡大して示す平面図であり、図2(b)は図1のBの方向から観た様子を示す斜視図であり、図2(c)は図1のC−C線に沿う断面により示す断面図である。
図3図3は、図1のマンホール蓋の摩耗後の様子を示す図であり、図3(a)は図1のAの部分を拡大して示す平面図であり、図3(b)は図1のBの方向から観た様子を示す斜視図であり、図3(c)は図1のC−C線に沿う断面により示す断面図である。
図4】実施例1〜3及び比較例2、3に係るマンホール蓋の滑り抵抗性能試験の結果を説明するための図である。
図5】実施例1〜3及び比較例1に係るマンホール蓋の摩耗耐久性能試験の結果を説明するための図である。
図6】摩耗耐久性能試験の方法を説明するための図である。
図7図7は、比較例1に係るマンホール蓋の一部を示す図であり、図7(a)は平面図、図7(b)は斜視図である。
図8図8は、比較例2、3に係るマンホール蓋の一部を示す図であり、図8(a)は平面図、図8(b)は斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明のマンホール蓋の実施形態について、図面を参照して詳細に例示説明する。
なお、本願明細書でいう「マンホール蓋」とは、
‐下水道における地下埋設物、地下構造施設等と地上とを通じる開口部を閉塞する大型鉄蓋、マンホール蓋、桝蓋、溝蓋、
‐電力・通信における地下施設機器や地下ケーブル等を保護する開閉可能な共同溝用鉄蓋、送電用鉄蓋、配電用鉄蓋、
‐上水道やガス配管における路面下の埋設導管およびその付属機器と地上とを結ぶ開閉扉としての機能を有する消火栓蓋、制水弁蓋、仕切弁蓋、空気弁蓋、ガス配管用蓋、量水器蓋
などを総称する。
【0018】
図1図3を参照しながら、本発明の一実施形態に係るマンホール蓋について説明する。
図1は、本実施形態のマンホール蓋1の上面の一部を示す平面図であり、マンホール蓋の摩耗前(初期)の様子を示している。本実施形態のマンホール蓋1は、鋳鉄製であり、図示しない環状の枠の内周側に嵌め込まれた状態で、マンホールの地表開口部を塞ぐように地中に埋め込まれ、枠の上面とマンホール蓋1の上面(以下、蓋上面ともいう。)とが路面上に露出するように、設置されるものである。
図の例では、マンホール蓋1の平面視での外形が円形であるが、マンホール蓋1は、平面視において他の形状でもよい。
【0019】
本実施形態のマンホール蓋1の上面は、模様配置領域12を有しており、模様配置領域12内では、複数の凸部20が設けられている。これら複数の凸部20により、凹凸模様が構成されている。本明細書では、模様配置領域12内において、凸部20どうしの間にある、凸部20の根元面(凸部20の周囲の蓋上面を凸部20側に滑らかに延長させた仮想面)にほぼ面一の蓋上面を、「ベース面10」と称する。図の例では、ベース面10に、段部14が形成されているが、段部14はなくてもよい。
図1の例では、模様配置領域12は、蓋上面における外周端部にて蓋上面がやや盛り上がった淵領域11と、蓋上面における中央に標章(図示せず)が立体的に設けられた標章配置領域13との間に位置する、環状の領域である。ただし、模様配置領域12は、蓋上面における任意の位置及び範囲に配置されてよい。また、淵領域11や標章配置領域13は、無くてもよい。また、淵領域11において蓋上面は盛り上がっていなくてもよい。
【0020】
模様配置領域12内に設けられた複数の凸部20は、互いから独立して設けられており、言い換えれば、各凸部20の根元面の外縁どうしが、接しておらず、互いから離間されている。
これにより、いったんマンホール蓋1の上に入り込んだ砂や水が、凸部20どうしの間を通りながら、マンホール蓋1の外周側へと排出され易くなる。これにより、マンホール蓋1の上を通過する車両や歩行者がスリップしにくくなる。また、仮に砂がマンホール蓋の上に滞留していると、砂との摩擦によって蓋上面の凹凸模様が摩耗されやすくなるが、本例のように砂が排出されやすい構成とすることにより、凹凸模様の摩耗を抑制できる。
【0021】
なお、本明細書では、マンホール蓋上の砂や水がマンホール蓋の外周側へどれだけ排出されやすいかを表す性能を「排出性能」といい、マンホール蓋上を通過する車両や歩行者がどれだけスリップしにくいかを表す性能を「滑り抵抗性能」といい、マンホール蓋の凹凸模様がどれだけ摩耗されにくいかを表す性能を「摩耗耐久性能」という。
【0022】
模様配置領域12内に設けられた複数の凸部20は、複数の多段凸部22と複数の単段凸部21とを含んでおり、より具体的に図1の例では、複数の凸部20が多段凸部22と単段凸部21との2種類からなる。各凸部20の上面どうしは、同じ高さ位置にある。ただし、各凸部20の上面の高さ位置どうしは、厳密に同じである場合に限られず、ほぼ同じである限り、製造上のバラツキ等により僅かに異なっていてもよい。 図2は、図1のマンホール蓋の摩耗前(初期)の様子を示す図であり、図2(a)は図1のAの部分を拡大して示す平面図であり、図2(b)は図1のBの方向から観た様子を示す斜視図であり、図2(c)は図1のC−C線に沿う断面により示す断面図である。
【0023】
図2に示すように、各多段凸部22は、それぞれ、多段構造からなり、具体的には、マンホール蓋1の平面視において第1正多角形状をなす第1段凸部分22aと、第1段凸部分22aの上に配置されているとともに、平面視において第1正多角形状とは異なる辺の数を有する第2正多角形状をなす、第2段凸部分22bと、を有している。
本例では、多段凸部22は、第1段凸部分22aと第2段凸部分22bとが積層された2段構造からなるが、3つ以上の段凸部分が積層された構造からなるものでもよい。その場合、多段凸部22を構成する第1段凸部分22a及び第2段凸部分22b以外の段凸部分も、平面視において、それぞれ正多角形状をなすとよい。
また、本例では、第1段凸部分22aのなす第1正多角形状は正六角形であり、第2段凸部分22bのなす第2正多角形状は正四角形である。ただし、第1正多角形状及び第2正多角形状は、それぞれ任意の正多角形状でよい。
【0024】
各単段凸部21は、それぞれ、1段構造からなり、具体的には、その高さ全体にわたって、平面視において第3正多角形状をなすものである。第3正多角形状は、第1正多角形状又は第2正多角形状と同じ辺の数を有する正多角形状でもよいし、あるいは、それ以外の任意の正多角形状でもよい。
本例では、単段凸部21のなす第3正多角形状は正四角形である。
【0025】
なお、本明細書において、「正多角形」とは、厳密な正多角形状に限られず、各辺の長さがほぼ等しく全ての内角の大きさがほぼ等しいような、近似的な正多角形も含まれる。
図の例において、多段凸部22を構成する各段凸部分(第1段凸部分22a、第2段凸部分22b)、及び、単段凸部21は、それぞれ、ほぼ正多角柱状に構成されており、すなわち、高さ方向に垂直な方向の断面の形状及び大きさが、高さ方向にほぼ一定である。
【0026】
図2に示すように、本例では、マンホール蓋1の摩耗前(初期)においては、多段凸部22の上面が第2正多角形状(本例では正四角形)をなし、単段凸部21の上面が第3正多角形状(本例では正四角形)をなす。
【0027】
図3は、図1のマンホール蓋の摩耗後の様子を示す図であり、図3(a)〜図3(c)は、それぞれ図2(a)〜図2(c)に対応する図である。
図3に示すように、多段凸部22の第2段凸部分22aが摩耗により消失し、第1段凸部分22aの高さまで摩耗が進行すると、多段凸部22の上面の形状が摩耗前の第2正多角形状(本例では正四角形)から変化し、第1正多角形状(本例では正六角形)となる。一方、単段凸部21の上面の形状は、摩耗前のものから変化せず、第3正多角形状(本例では正四角形)のままである。
【0028】
このように、本実施形態によれば、摩耗が進行すると、多段凸部22の上面のなす正多角形状が、第2正多角形状から、それとは辺の数が異なる第1正多角形状へと変化するのに対し、単段凸部21の上面の形状は変化しない。これにより、マンホール蓋の点検の際には、各凸部20のうち、多段凸部22の上面形状が変化したか否かに基づいて、摩耗したか否かの判別ができる。
このため、例えば、摩耗の前後で各凸部20の上面形状が変化しない場合に比べて、摩耗の判別を簡単かつ正確に行うことが可能となる。よって、摩耗の判別のために、ノギス等の計測器を用いて模様高さを計測する必要はなく、目視でも正確な摩耗の判別が可能である。また、画像解析により判別する場合は、画像解像度の高いデジタルカメラを用いて撮像した画像を用いる必要はなく、画像解像度の低いデジタルカメラを用いて撮像した画像を用いても、正確な摩耗の判別が可能である。
よって、点検作業の効率化が可能となる。
【0029】
また、本実施形態において、各凸部20は、高さ方向に垂直な断面の形状及び上面形状が正多角形状であるため、例えば、各凸部20における、高さ方向に垂直な断面の形状及び上面形状が、より複雑な形状である場合に比べて、砂などの排出性を向上でき、ひいては、摩耗耐久性能を向上できる。また、例えば、各凸部20における、高さ方向に垂直な断面の形状及び上面形状が、円形状である場合に比べて、その上を通過するタイヤ等との食込みを増大でき、ひいては、滑り抵抗性能を向上できる。
【0030】
なお、凸部20の上面のなす正多角形状は、辺の数が少ないほど、滑り抵抗性能が高くなり、また、画像解析や目視による形状の特定がし易くなる傾向がある。
このため、第1正多角形状、第2正多角形状、及び第3正多角形状は、それぞれ、辺の数が比較的少ない、正三角形、正四角形、及び正六角形のいずれかであると、好適である。
【0031】
画像解析によって、凸部20の上面のなす正多角形状の種類を特定する方法としては、例えば、凸部20の上面のなす形状が、向きの異なる辺(エッジ成分)を何種類有するかに基づいて、特定する方法が考えられる。この画像解析方法を用いる場合、正三角形と正六角形とは、共に、向きの異なる辺を3種類有するので、両者を区別をすることができない。このため、例えば、多段凸部22における下側の第1正多角形状、上側の第2正多角形状として、いずれか一方を正三角形とし、他方を正六角形としたとしても、この画像解析方法においては、第1正多角形状及び第2正多角形状どうしを区別することができない。
また、凸部20の上面の面積は、大きいほうが、その上を通過する車両のタイヤから掛かる圧力を低減でき、ひいては、摩耗耐久性能を向上できる。また、画像解析や目視による形状の特定がし易くなる。正多角形状の外接円の直径が同じであれば、正多角形状は、辺の数が多いほど、その面積が大きくなる。
よって、画像解析による形状の判別のしやすさと、なるべく大きな面積の確保との両立の観点からは、図の例のように、第1正多角形状、第2正多角形状、及び第3正多角形状は、それぞれ、正四角形又は正六角形のいずれかであると、好適である。
【0032】
図1図3の例では、多段凸部22において、上側の第2段凸部分22bのなす第2正多角形状が、下側の第1段凸部分22aのなす第1正多角形状よりも、辺の数が少ないものである。
これにより、摩耗がさほど進行しておらず、上側の第2段凸部分22bが存在している間は、多段凸部22の上面が、比較的辺の数が少ない第2正多角形状をなしているので、高い滑り抵抗性能を発揮できる。
また、製造時においてマンホール蓋の型抜きを可能にするためには、多段凸部22における上側の第2段凸部分22bの大きさが下側の第1段凸部分22aよりも小さいことが必要である。したがって、上側の第2正多角形状が下側の第1正多角形状よりも、辺の数が少ないことにより、例えばその逆の場合(上側の第2正多角形状が下側の第1正多角形状よりも、辺の数が多い場合)に比べて、第1正多角形状及び第2正多角形状の面積を大きくすることができる。ひいては、タイヤからの圧力を低減でき、摩耗耐久性能を向上できるとともに、画像解析や目視による形状の特定がし易くなる。
図1図3の例では、多段凸部22は、下側の第1段凸部分22aのなす第1正多角形状が正六角形であり、上側の第2段凸部分22bのなす第2正多角形状が正四角形である。
【0033】
図1図3の例では、単段凸部21のなす第3正多角形状が、多段凸部22の上側の第2段凸部分22bのなす第2正多角形状と、辺の数が同じである。
上述のように、多段凸部22において、上側の第2段凸部分22bのなす第2正多角形状が、下側の第1段凸部分22aのなす第1正多角形状よりも、辺の数が少ないものとした場合、摩耗がさほど進行していない間、高い滑り抵抗性能を発揮できる、といった利点がある。しかし、摩耗が進行すると、多段凸部22の上面が、比較的辺の数が多い第1正多角形状をなすこととなり、滑り抵抗性能が低下するおそれがある。そこで、単段凸部21のなす第3正多角形状を、比較的辺の数が少ない形状、ひいては滑り抵抗性能の高い計上とすることにより、摩耗が進行しても、単段凸部21のなす第3正多角形状により、マンホール蓋1の全体としての滑り抵抗性能の低下を抑制し、高い滑り抵抗性能を維持することができる。
図1図3の例では、単段凸部21のなす第3正多角形状が、多段凸部22の上側の第2段凸部分22bのなす第2正多角形状と同じ、正四角形である。
【0034】
ここで、多段凸部22の段数は、任意でよいが、段数を多くすればするほど、製造が難しくなる。また、段数を多くすればするほど、製造時の型抜きの観点から、一番上の段凸部分の大きさを小さくする必要があるため、マンホール蓋の摩耗前(初期)における、凸部20の上面の面積も小さくなる。このため、画像解析や目視による形状の特定が難しくなるとともに、摩耗耐久性能が低下するおそれがある。
これらの観点から、多段凸部22を構成する段凸部分の段数は、2つ又は3つであると好適であり、図の例のように、2つ(第1段凸部分22a及び第2段凸部分22bの2段のみ)であると、さらに好適である。
これにより、製造しやすさを確保できるとともに、摩耗前(初期)における、画像解析や目視による形状の特定がし易くなるとともに、摩耗耐久性能を向上できる。
【0035】
図2に示すように、本例では、多段凸部22において、上側の第2段凸部分22bの厚さH22bのほうが、下側の第1段凸部分22aの厚さH22aよりも、大きい。下側の第1段凸部分22aの厚さH22aは、例えば、マンホール蓋の更改が必要となるときの模様高さとして予め決められた厚さ(例えば2mm)に設定されると、好適である。
これにより、摩耗によって上側の第2段凸部分22bが消失して、多段凸部22の上面の平面形状が、下側の第1段凸部分22aのなす第1正多角形状になったタイミングで、更改が必要になったことが、一目瞭然で判るようになる。
ここで、下側の第1段凸部分22aの厚さH22aは、第1段凸部分22aのベース面10からの高さに相当する。図1の例のようにベース面10に段部14があり、ベース面10の高さが位置によって僅かに異なる場合には、第1段凸部分22aの厚さH22aは、その最大値(すなわち、べース面10のうちの最も低い部分からの高さ)を指すものとする。
【0036】
図1の例では、模様配置領域12内に設けられた複数の凸部20は、千鳥状に配置されている。具体的に、模様配置領域12内では、所定の列方向RDに配列された複数の凸部20からなる列が、列方向RDに直交する横断方向CDにおける複数個所に、それぞれ設けられている。そして、横断方向CDに互いに隣接する一対の列どうしを観たときに、一方の列の凸部20が、他方の列の凸部20に対して、列方向RDにずれて配置されている。
これにより、模様の方向性を低減できる。よって、どの方向から車両や歩行者がマンホール蓋1上に入ってきても、ほぼ同等の滑り抵抗性能を発揮することができる。また、マンホール蓋1上の砂や水が、全ての方向にほぼ均等に、外周側へ排出され易くなる。
【0037】
また、図1の例では、模様配置領域12内に設けられた複数の凸部20が、ほぼ等間隔に配置されている。すなわち、マンホール蓋1の平面視において、任意の方向に互いに隣接する一対の凸部20の中心点どうしの間隔が、ほぼ一様である。これに伴い、任意の方向に互いに隣接する一対の凸部20どうしの間隔(一対の凸部20の根元の外縁どうしの間隔)が、ほぼ一様になる。
これにより、模様の方向性を低減できるので、どの方向に対してもほぼ同等の滑り抵抗性能を発揮することができるとともに、砂や水が全ての方向にほぼ均等に外周側へ排出され易くなる。
【0038】
図1の例では、模様配置領域12内において、多段凸部22と単段凸部21とは、個数比が一様となるように配置されており、いいかえれば、多段凸部22と単段凸部21との個数比が、模様配置領域12内のどの単位領域においても同じである。
これにより、模様の方向性を低減できる。
なお、図1の例では、多段凸部22と単段凸部21との個数比が1:2である。このように単段凸部21の個数を多段凸部22の個数よりも多くすることにより、摩耗が進行した後においても、単段凸部21のなす第3正多角形状により、マンホール蓋1の全体としての滑り抵抗性能を高く維持することができる。
【0039】
図1の例では、模様配置領域12内において、多段凸部22と単段凸部21とは、パターンが一様となるように配置されている。いいかえれば、マンホール蓋の平面視における多段凸部22と単段凸部21とからなる模様のパターンが、規則性のパターンであり、すなわち、模様配置領域12内のどの単位領域においても同じである。
これにより、模様の方向性をさらに低減できる。
【0040】
上述のように、凸部20の上面の面積は、大きいほうが、その上を通過する車両のタイヤから掛かる圧力を低減でき、ひいては、摩耗耐久性能を向上できるとともに、画像解析や目視による形状の特定がし易くなる。一方、凸部20間の間隔は、広いほうが、砂や水の排出性を向上でき、ひいては、すべり抵抗性能及び摩耗耐久性能を向上できる。しかし、凸部20の平面視での面積を大きくすると、凸部20間の間隔を確保しづらくなるので、両者を良好に両立させることが重要である。
このような観点から、例えば図1図3の例の場合、多段凸部22の上側の第2段凸部分22bのなす第2正多角形状(正四角形)の一辺の長さL22b(図2(b))と、単段凸部21のなす第3正多角形状(正四角形)の一辺の長さL21(図2(b))とが、11〜18mmであると好適であり、15〜17mmであるとさらに好適である。
また、例えば図1図3の例の場合、互いに列方向RDに隣接する一対の凸部20どうし(多段凸部22及び単段凸部21どうし、ならびに、一対の単段凸部21どうし)の、列方向RDの間隔D(図1)が、10〜18mmであると好適であり、15〜17mmで あるとさらに好適である。
【0041】
各凸部20の高さH20(図2(c))は、滑り抵抗性能の観点から、例えば5〜7mmであると、好適である。
ここで、各凸部20の高さH20とは、各凸部20のベース面10からの高さを指している。図1の例のようにベース面10に段部14があり、ベース面10の高さが位置によって僅かに異なる場合には、各凸部20の高さH20は、その最大値(すなわち、べース面10のうちの最も低い部分からの高さ)を指すものとする。
【実施例】
【0042】
本発明の実施例1〜3、比較例1〜3のマンホール蓋を試作し、試験により評価したので、表1及び図4図8を参照しながら説明する。
【0043】
各実施例、比較例のマンホール蓋は、いずれも、鋳鉄製で、外径が同じであり、平面視において円形であった。
実施例1〜3のマンホール蓋は、図1及び図2を参照して上述した模様パターンを有するものであり、凸部20の寸法と間隔のみが異なるものだった。
比較例1のマンホール蓋は、図7に示すように、蓋上面に複数のT字型の凸部20が設けられたものであった。比較例1では、各凸部20が、高さ全体にわたって、高さ方向に垂直な断面における形状が同じであり、ひいては、摩耗の前後で平面視の形状が変化しないものであった。
比較例2、3のマンホール蓋は、図8に示すように、蓋上面に設けられた複数の凸部20が、単段凸部21を含まず、多段凸部22のみからなる点で、図1及び図2の例とは異なるものであった。比較例2、3では、各凸部20の平面視での形状が、摩耗前は正四角形状をなし、摩耗後は正六角形状に変化するものであった。
その他、実施例1〜3、比較例1〜3の詳細は表1に示すとおりであった。
【0044】
【表1】
【0045】
そして、実施例、比較例のマンホール蓋について、画像点検への適応性試験、滑り抵抗性能試験、及び、摩耗耐久性能試験を行った。それぞれの試験について、試験内容及び結果を順番に説明する。
【0046】
〔画像点検への適応性試験〕
画像点検への適応性試験は、画像解析による摩耗点検への適応性を評価するための試験である。
各実施例、比較例のマンホール蓋の凸部20を、画像解像度の異なる3つの撮影機器を用いて、3m〜10m(1m毎)の距離から撮影し、得られた画像を画像解析することにより、凸部20の上面の形状を正しく特定できるかを検証した。用いた撮影機器は、一眼レフカメラ(1800万画素)、コンパクトデジタルカメラ(800万画素)、タブレットPC(200万画素)の3つであった。
その結果、比較例1では、1800万画素の撮影機器により撮像した画像を用いた場合のみで、形状を正しく特定できた。一方、比較例2、3、実施例1〜3では、1800万画素の撮影機器を用いた場合と、800万画素の撮影機器を用いた場合に、形状を正しく特定できた。200万画素の撮影機器を用いた場合は、いずれの実施例、比較例でも、形状を正確に特定できなかった。
よって、比較例2、3、実施例1〜3が、比較例1よりも、画像解析による摩耗点検への適応性が高いことを確認できた。
【0047】
〔滑り抵抗性能試験〕
滑り抵抗性能試験は、マンホール蓋の上面の滑りにくさを評価するための試験である。
実施例1〜3、比較例2、3について、摩耗前(初期)と摩耗後のそれぞれの動摩擦係数を計測した。摩耗後の動摩擦係数を計測するにあたっては、マンホール蓋の上面に、機械研磨加工を施すことにより、人工的に摩耗状態を再現した。動摩擦係数の計測には、DFテスター(Dynamic Friction Tester:動摩擦力計測器)を用いた。
その結果を図4に示す。図4に示すグラフは、横軸が凸部20の高さ、縦軸が動摩擦係数である。動摩擦係数の値が高いほど、滑り抵抗性能が高い(滑りにくい)ことを表している。便宜のため、凸部20の摩耗進行度ひいては凸部20の高さに応じた、各実施例、比較例の模様パターンの状態の図も、併せて示している。
図4に示す結果から判るように、実施例1〜3では、比較例2、3とは異なり、動摩擦係数が摩耗後もほとんど低下することなく、動摩擦係数を高い値に維持できていた。よって、実施例1〜3が、比較例2、3に比べて、摩耗の前後で高い滑り抵抗性能が得られることを確認できた。
【0048】
〔摩耗耐久性能試験〕
摩耗耐久性能試験は、マンホール蓋の上面の凹凸模様の摩耗されにくさを評価するための試験である。
実施例1〜3、比較例1について、図6に示すように、マンホール蓋を枠40の内周側に嵌め込んだ状態で地面に設置し、回転2輪式輪荷重試験機30を用いて、内タイヤ31及び外タイヤ32をマンホール蓋上に繰り返し通過させ、輪数(タイヤがマンホール蓋の上を通過する回数)が増えるにつれて、凸部20の高さがどれだけ減少するか(ひいては摩耗量)を、評価した。なお、1輪毎に80kNの輪荷重を掛けた。タイヤの走行速度は30.0km/hであった。凸部20の高さの測定は、50,000輪毎に行った。また、3,000輪毎に、砂500g、水2.5Lを、マンホール蓋上に散布した。
その結果を図5に示す。図5に示すグラフは、横軸が輪数(万輪)であり、縦軸が、凸部20の摩耗前(初期)の上面の高さを0(零)としたときの、凸部20の上面高さの変化量(mm)である。凸部20の上面高さの変化量がマイナスに大きいほど、摩耗量(mm)が大きいことを表している。なお、図6に示すように、回転2輪式輪荷重試験機30の内タイヤ31をマンホール蓋の一方側の半分領域に通過させ、外タイヤ32をマンホール蓋の他方側の半分領域に通過させた。回転2輪式輪荷重試験機30の特性上、外タイヤ32よりも内タイヤ31のほうが力が掛かりやすかったため、外タイヤ32が通過した領域、内タイヤ31が通過した領域のそれぞれについて、凸部20の上面高さの変化量(mm)を計測した。
図5に示す結果から判るように、外タイヤ側、内タイヤ側の両方の領域において、実施例1〜3は、比較例1に比べて、凸部20の高さの減少スピードが遅く、ひいては、凸部20の摩耗量の増大スピードが遅かった。よって、実施例1〜3が、比較例1に比べて、摩耗耐久性能が高いことを確認できた。
【符号の説明】
【0049】
1 マンホール蓋
10 ベース面
11 淵領域
12 模様配置領域
13 標章配置領域
14 段部
20 凸部
21 単段凸部
22 多段凸部
22a 第1段凸部分
22b 第2段凸部分
30 回転2輪式輪荷重試験機
31 内タイヤ
32 外タイヤ
40 枠
CD 横断方向
RD 列方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8