特開2018-204401(P2018-204401A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2018204401-床材剥離装置 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-204401(P2018-204401A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】床材剥離装置
(51)【国際特許分類】
   E04F 21/00 20060101AFI20181130BHJP
   E04F 21/20 20060101ALI20181130BHJP
   E04G 23/02 20060101ALI20181130BHJP
【FI】
   E04F21/00 D
   E04F21/20 G
   E04G23/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-114235(P2017-114235)
(22)【出願日】2017年6月9日
(71)【出願人】
【識別番号】510277512
【氏名又は名称】株式会社テクト
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(72)【発明者】
【氏名】高木 一昌
(72)【発明者】
【氏名】高木 栄造
(72)【発明者】
【氏名】前橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】古谷 則之
(72)【発明者】
【氏名】阿部 幸典
(72)【発明者】
【氏名】坂巻 一弥
【テーマコード(参考)】
2E176
【Fターム(参考)】
2E176AA03
2E176BB36
(57)【要約】
【課題】騒音や振動の発生をおさえて、容易に床材を剥離することができる、床材剥離装置を提供する。
【解決手段】本体と、本体後方に取り付けた操作桿と、一端を操作桿に固定し、他端にキャスター部を取り付けるフレームと、からなり、本体には、前方に剥離刃を取り付けた刃保持体と、刃保持体を揺動するモーターと、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
本体後方に取り付けた操作桿と、
一端を操作桿に固定し、他端にキャスター部を取り付けるフレームと、からなり、
本体には、前方に剥離刃を取り付けた刃保持体と、刃保持体を揺動するモーターと、を有する、床材剥離装置。
【請求項2】
請求項1に記載の床材剥離装置において、
キャスター部は、フレームに取り付けるキャスターフレームと、キャスターフレーム下部に取り付けるキャスターと、からなり、
前記キャスター部は、前記フレームに対する前記キャスターの位置を調整可能とすることを特徴とする、床材剥離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニューアル工事において床材を剥離するための、床材剥離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リニューアル工事において、コンクリート等からなる床下地上に貼り付けられた塩化ビニル製タイル、Pタイル、リノリウム、塩ビシート等の床材を貼り替える際には、既存の床材を剥離する必要がある。
このような床材の剥離作業において用いる床材剥離装置としては従来より種々の形態の装置が用いられている。
【0003】
たとえば図5の装置は、本体aの前方に車輪bを設け、本体aの前部のブラケットcに床材剥離用の刃物dを取り付けたものであり、モーターeによってブラケットcと刃物dを揺動させて床材を剥離するものである。
この床材剥離装置は、作業者がハンドルfを持ち、車輪bを支点として本体aを傾けることで刃物dの床下地に対する角度を調整しながら、前方に力をかけて刃物dを床下地に押し付けながら床材を剥離する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この床材剥離装置には、以下のような問題がある。
(1)支点となる車輪bが前方にあるため、本体aを傾けるためにはハンドルfを大きく傾ける必要がある。
(2)剥離作業の際にはハンドルfを大きく傾けた状態で前方に力をかける必要があるため、作業員の負担が大きい。
(3)床下地に対する刃物dの角度が小さくなると剥離性能が落ち、逆に刃物dの角度が大きくなると床下地に刃物dが押し付けられるため剥離時に発生する騒音が大きくなる。このため、作業時の刃物dの角度調整には作業員の熟練が必要となる。
(4)車輪bがモーターeに近い位置にあるため、モーターeの振動が床下地に響いてしまう。
(5)騒音や振動が発生する作業は、特にリニューアル工事においては作業時間が限られるため、施工期間が長期化する。
【0005】
本発明は、騒音や振動の発生をおさえて、容易に床材を剥離することができる、床材剥離装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた本願の第1発明は、本体と、本体後方に取り付けた操作桿と、一端を操作桿に固定し、他端にキャスター部を取り付けるフレームと、からなり、本体には、前方に剥離刃を取り付けた刃保持体と、刃保持体を揺動するモーターと、を有する、床材剥離装置を提供する。
本願の第2発明は、第1発明の床材剥離装置において、キャスター部はフレームに取り付けるキャスターフレームと、キャスターフレーム下部に取り付けるキャスターと、からなり、前記キャスター部は、前記フレームに対する前記キャスターの位置を調整可能とすることを特徴とする、床材剥離装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、上記した課題を解決するための手段により、次のような効果の少なくとも一つを得ることができる。
(1)本体の角度が一定であり、本体を傾ける必要がない。
(2)本体を傾けずに前方に力をかけるだけで剥離できるため、作業員の負担が小さい。
(3)予めキャスターの位置を調整することで本体の角度を調整できるため、誰でも最適な角度で剥離作業を行うことができる。
(4)剥離刃の角度が最適となり、発生する騒音が少なくなる。
(5)モーターを備えた本体からキャスターが離れた位置にあるため、モーターの振動が床下地に響きづらい。
(6)騒音や振動が少なく、リニューアル工事においても作業時間が限られず、短工期にて施工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】床材剥離装置の説明図
図2】剥離刃を揺動した状態の説明図
図3】床材剥離装置を用いて床材を剥離する状態の説明図
図4】キャスターの位置を調整した状態の説明図
図5】従来の床材剥離装置の説明図
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0009】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0010】
<1>床材剥離装置
本発明の床材剥離装置は、本体1と、本体1から後方に延設する操作桿2と、操作桿2に取り付けるフレーム3と、からなる。フレーム3には、下部にキャスター41を取り付けたキャスター部4を取り付ける(図1)。
本発明において、後方とは床材剥離装置を基準として本体1に対する操作桿2の位置する方向を示し、前方は後方とは180°反対の方向を示す。
【0011】
<2>本体
本体1は下部に刃保持体11を設ける。刃保持体11の前方には剥離刃111を交換可能に取り付ける。
刃保持体11は同じく本体1に設けたモーター12に接続し、モーター12を駆動することにより本体1に対して略水平に揺動する(図2)。
【0012】
<3>操作桿
操作桿2は、本体1から後方斜め上方向に延びる長尺の部材である(図3)。
操作桿2の後端には、作業員が片手で把持できるグリップ21を取り付ける。
また、操作桿2にはグリップ21の他に、操作桿2と直交する棒状の補助ハンドル22を取り付けてもよい。補助ハンドル22はグリップ21と位置、形状が異なるため、作業員が作業時に適宜好きな姿勢で操作桿2を持って床材剥離装置を操作することができる。
補助ハンドル22は取り外し式や折り畳み式とすることで、壁際などの狭い空間でも床材剥離装置を使用することができる。
【0013】
<4>フレーム
フレーム3は、操作桿2から後方斜め下方に延びる部材である。
フレーム3の後端には、キャスター部4を取り付ける。
【0014】
<5>キャスター部
キャスター部4は、フレーム3に取り付けるキャスターフレーム42と、キャスターフレーム42の下端に取り付けるキャスター41と、からなる。
キャスター41は、ゴムやエラストマ樹脂等の軟質な材料とすることにより、本発明の床材剥離装置のモーター12駆動時や剥離作業時の振動の床下地Fへの伝達を少なくし、静音性を高める。
【0015】
<5.1>キャスター部の位置調整
キャスター部4は、フレーム3に対して摺動可能に取り付けることにより、キャスター41のフレーム3に対する位置を調整可能とする。
例えば、フレーム3に対してキャスター部4を下方に摺動させると、キャスター41がフレーム3に対して離れる方向に移動し、操作桿2の位置が高くなる(図4)。
操作桿2の位置が高くなると、本体1とその前方に取り付けた剥離刃111の床下地に対する角度(鋭角側)が大きくなる。
床下地Fに対する剥離刃111の角度が小さくなると剥離性能が落ち、逆に剥離刃111の角度が大きくなると床下地Fに剥離刃111が押し付けられるため剥離作業時に発生する騒音が大きくなる。予め床材の貼り付けの状態に合わせて、キャスター部4を摺動してキャスター41の位置を調整することにより、剥離刃111の角度を調整し、小さな騒音で、誰でも最適な角度で剥離作業を行うことができる。
キャスター部4は、フレーム3に対して摺動可能に取り付けたが、たとえばフレーム3に回転可能に取り付ける等、キャスター41のフレーム3に対する位置を調整できればよい。
【0016】
<6>剥離作業
剥離作業は、本体1のモーター12を起動し、グリップ21や補助ハンドル22を把持して床材5の端部に剥離刃111を押し当てて前方に進めて行う。本体1のモーター12とキャスター41は操作桿2とフレーム3およびキャスターフレーム42を介して繋がっているが、それぞれが離れた位置となるため、モーター12の振動がキャスター41から床下地Fに響きづらい。このため、リニューアル工事においても作業時間が限られず、短工期にて施工することができる。
床材剥離装置は、前方の剥離刃111と後方のキャスター41の2箇所で床下地Fと接している。このため、作業員は容易に床材剥離装置に前方向の力をかけることができる。剥離刃111は最適な角度で床下地Fに床材剥離装置の自重で押し付けられており、作業員は床材剥離装置を前方に進めるだけで、最適な角度を保持したままで容易に床材5を剥離することができる。このとき、作業員は床材剥離装置を傾けたりすることが不要であり、作業員の負担が小さく、誰でも剥離作業を行うことができる。
【符号の説明】
【0017】
1 本体
11 刃保持体
111 剥離刃
12 モーター
2 操作桿
21 グリップ
22 補助ハンドル
3 フレーム
4 キャスター部
41 キャスター
42 キャスターフレーム
5 床材
図1
図2
図3
図4
図5