【課題】サイレンサが取り付けられる流体圧機器の設置場所が制約されず、排気口からの排気が支障なく行われ、排気音が低減されるサイレンサおよびサイレンサを用いたエジェクタを提供する。
【解決手段】サイレンサ10は、圧力流体を排出する流体圧機器(エジェクタ12)の排気ポート48と一端部側で連通する排気流路50が形成された中空状の筒部52と、筒部52の他端部に取り付けられたキャップ部54と、筒部52の内壁面に取り付けられた消音部56と、排気流路50を筒部52の軸方向に通過した圧力流体を軸方向と直交する径方向へ排出する複数の排気口64a〜64dと、を備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来技術では、排気口はサイレンサの軸方向に沿って形成され、排気流路内を通過した圧力流体は軸方向に沿って排出される構成であった。このため、流体圧機器にサイレンサを組み込む際には、排気口からの排気を妨げないように、サイレンサの排気口を壁面等の障害物から離間して流体圧機器を設置する必要があり、流体圧機器の設置場所が制約されていた。また、排気口が一箇所にのみ設けられているため、例えばサイレンサをエジェクタに取り付けた場合には、排気口が塞がれると、吸い込み流量や真空圧の性能が低下してしまうという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、サイレンサを取り付ける流体圧機器の設置場所が制約されず、排気口からの排気が支障なく行われ、排気音が低減されるサイレンサおよびサイレンサを用いたエジェクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のサイレンサは、圧力流体を排出する流体圧機器の排気ポートと一端部側で連通する排気流路が形成された中空状の筒部と、筒部の他端部に取り付けられたキャップ部と、筒部の内壁面に取り付けられた消音部と、排気流路を筒部の軸方向に通過した圧力流体を軸方向と直交する径方向へ排出する複数の排気口と、を備える。
【0007】
本発明のサイレンサによれば、サイレンサを取り付ける流体圧機器の設置場所が制約されず、排気口からの排気が支障なく行われ、排気音が低減される。具体的には、サイレンサを取り付けた流体圧機器をどのような向きに設置した場合でも、排気を複数の排気口から筒部の軸方向に対して直交方向に排出することができ、しかも取付先である流体圧機器を壁面等から一定距離離間させることなく設置できる。また、サイレンサには、複数の排気口が設けられているため、排気口が一箇所のみの場合と異なり、外部から塞がれにくい利点がある。さらに、複数の排気口が分散して圧力流体を排出するため、排気圧力を低減でき、消音効果が著しい。
【0008】
また、本発明のサイレンサにおいて、複数の排気口は、キャップ部に設けられ、径方向に指向して開口してもよい。これにより、排気ポートから排出された排気は、軸方向に直交する方向へ排出することができるため、排気音の低減に役立つ。
【0009】
また、本発明のサイレンサにおいて、筒部は、キャップ部の近傍まで軸方向に延び、排気流路を区画する筒状の隔壁部を有し、排気流路は、始端部が排気ポートに臨み、隔壁部の内側の壁面に沿ってキャップ部の近傍まで延びる第1の排気流路と、第1の排気流路の終端部から径方向外側に流れ方向を変え、キャップ部の内壁面に沿って軸方向でキャップ部の反対側に折り返された第2の排気流路と、第2の排気流路の終端部から隔壁部の外側の壁面に沿って筒部の一端部側に延びる第3の排気流路と、からなり、複数の排気口は、第3の排気流路の終端部に形成されていてもよい。これにより、排気流路がキャップ部の反対側に折り返されて消音部と圧力流体が接する区間が長くなるため、消音力を向上させることができる。
【0010】
また、本発明のサイレンサにおいて、消音部は、第1の排気流路に沿って設けられた第1の消音部と、第2の排気流路および第3の排気流路に沿って設けられた第2の消音部と、第3の排気流路の終端部に設けられた第3の消音部と、からなり、第2の消音部は、第2の排気流路の終端部に対応する箇所に湾曲部を有してもよい。これにより、筒部の内部に隔壁部に沿って第3の消音部、第1の消音部および第2の消音部を順番に取り付けた後、キャップ部を取り付けることでサイレンサを組み立てられる。また、サイレンサの分解を容易に行え、部品単位での交換も容易である。
【0011】
また、本発明のサイレンサにおいて、消音部とキャップ部との間に、開口部の直径が消音部の内径よりも大きい消音リングが設けられてもよい。これにより、キャップ部に形成された排気口の近傍位置において、排気の流れを妨げることなく、排気音をさらに低減させることができる。
【0012】
また、本発明のサイレンサにおいて、筒部は、外周面に溝状に形成されたクリップ取付部を有し、クリップ取付部は、流体圧機器に形成された孔部に挿入されたクリップ部材を係止してもよい。これにより、クリップ部材をクリップ取付部に取り付けることで、サイレンサと流体圧機器を一体化でき、サイレンサが流体圧機器から抜けるのを防止できる。さらに、クリップ部材を用いて流体圧機器にサイレンサを簡単に着脱することができる。
【0013】
また、本発明のサイレンサにおいて、筒部は、流体圧機器に形成された雌ネジ部に対してネジ込み固定される雄ネジ部を有してもよい。これにより、流体圧機器に対してサイレンサを容易に着脱することができる。
【0014】
さらにまた、本発明のエジェクタは、給気ポートおよび吸引ポートと連通する内部空間が形成されたエジェクタボディと、内部空間に設けられ、給気ポートから供給された圧力流体を噴射し、吸引ポートから流体を吸引するための負圧を生成するノズルと、内部空間にノズルよりも下流側に設けられ、圧力流体を流体とともに排出する排気ポートを有するディフューザと、排気ポートに臨み、エジェクタボディに取り付けられたサイレンサと、を備え、サイレンサは、排気ポートと一端部側で連通する排気流路が形成された中空状の筒部と、筒部の他端部に取り付けられたキャップ部と、筒部の内壁面に取り付けられた消音部と、排気流路を筒部の軸方向に通過した圧力流体を軸方向と直交する径方向へ排出する複数の排気口と、を有する。
【0015】
本発明のエジェクタによれば、サイレンサを取り付けたエジェクタの設置場所が制約されず、排気口からの排気が支障なく行われ、排気音が低減される。具体的には、サイレンサを取り付けたエジェクタをどのような向きに設置した場合でも、排気を複数の排気口から筒部の軸方向に対して直交方向に排出することができるため、エジェクタを壁面等から一定距離離間させることなく設置できる。また、サイレンサには、複数の排気口が設けられているため、排気口が一箇所のみの場合と異なり、外部から塞がれにくい利点がある。さらに、複数の排気口が分散して圧力流体を排出するため、排気圧力を低減でき、消音効果が著しい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、サイレンサを取り付ける流体圧機器の設置場所が制約されず、排気口からの排気が支障なく行われ、排気音が低減されるサイレンサおよびサイレンサを用いたエジェクタを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係るサイレンサについて、それを組み込むエジェクタとの関係で好適な実施形態を掲げ、添付の図面を参照しながら以下、詳細に説明する。
【0019】
図1は、第1の実施形態に係るサイレンサ10を取り付けたエジェクタ12を含む真空発生ユニット14を示す断面図、
図2は、
図1に示すエジェクタ12を示す断面図、
図3は、
図2に示すサイレンサ10およびエジェクタ12のIII−III線における断面図、
図4は、
図2に示すサイレンサ10のIV−IV線における断面図である。
【0020】
図1に示すように、真空発生ユニット14は、真空発生機構として機能するエジェクタ12と、真空破壊用パイロット弁16と真空供給用パイロット弁18とを有する電磁弁部20と、切換弁部28と、真空ポート30から流入した流体中の塵埃等を内部に設けられたフィルタ32により除去するフィルタユニット34と、から構成される。切換弁部28は、ピストン22、真空供給弁24および真空破壊弁26を有し、パイロットエアの供給作用下に変位して負圧が生じた真空発生状態と、負圧が大気圧へと解除された真空破壊状態とを切り換える。真空供給弁24および真空破壊弁26の間には、真空供給弁24を閉弁方向に付勢するスプリング68が設けられている。
【0021】
図1および
図2に示すように、エジェクタ12は、エジェクタボディ36と、ノズル38と、ディフューザ40と、サイレンサ10と、を含む。エジェクタボディ36には、給気ポート42および吸引ポート44が設けられるとともに、これらのポートと連通する内部空間が形成されている。
【0022】
ノズル38は、エジェクタボディ36の内部空間において給気ポート42と吸引ポート44の間に設けられ、給気ポート42から供給された圧力流体(圧縮空気)をディフューザ40に向けて噴射し、真空ポート30に繋がる流体(空気)を吸引ポート44から吸引するための負圧を生成する。
【0023】
ディフューザ40は、タンデムに配置された第1のディフューザ40aと第2のディフューザ40bからなり、エジェクタボディ36の内部空間にノズル38よりも下流側に設けられている。第2のディフューザ40bは、排気ポート48を有する。
【0024】
エジェクタボディ36は、フィルタユニット34側に吸引ポート44を構成する第1の吸引ポート44aと第2の吸引ポート44bとを有する。第1の吸引ポート44aは、第1のディフューザ40aとノズル38との間に形成された内部空間に連通している。第2の吸引ポート44bは、第1のディフューザ40aと第2のディフューザ40bとの間に形成された内部空間に連通している。第2の吸引ポート44bとフィルタユニット34との間には、フィルタユニット34側から第2の吸引ポート44bへの流体の流れを許容する可撓性部材からなるチェック弁67が設けられている。
【0025】
図2および
図3に示すように、サイレンサ10は、一端部(
図2中左側端部)が排気ポート48に臨み、他端部(
図2中右側端部)がエジェクタボディ36から外方へ突出している。サイレンサ10は、筒部52、キャップ部54および消音部56を有する。筒部52は、排気ポート48と一端部側で連通する排気流路50を有する。筒部52は、中空状である。キャップ部54は、筒部52の他端部(
図2中右側端部)に設けられている。消音部56は、筒部52の内壁面に取り付けられている。消音部56は、円筒状であり、その軸方向に延在する内部空間は前記キャップ部54により閉塞される。消音部56は、例えばポリビニルアルコール等の樹脂を材質としてスポンジ状に形成された消音材で構成される。また、キャップ部54と消音部56の間には、消音部56の内径D1よりも開口部の直径D2が大きい消音リング58が設けられている。
【0026】
サイレンサ10の筒部52の一端側の外周面には、環状溝からなるクリップ取付部60が形成されている。
図3に示すように、溝状のクリップ取付部60は、エジェクタボディ36に形成された孔部36a、36bに先端部62a側から挿入された略U字状のクリップ部材62を係止している。クリップ部材62の中央に形成された屈曲部62bは、クリップ取付部60の溝底部分を左右から挟み込むように当接している。クリップ部材62の把持部62cは、エジェクタボディ36の下面に当接している。クリップ部材62をクリップ取付部60に取り付けることで、サイレンサ10とエジェクタ12を一体化でき、サイレンサ10がエジェクタボディ36から抜けるのを防止できる。また、筒部52の外周面とエジェクタボディ36との接続部分には、環状のシール部材63が設けられ、エジェクタ12とサイレンサ10との間における圧力流体の流出を防止している。
【0027】
また、
図2および
図4に示すように、キャップ部54は、円盤状の先端部54aと、先端部54aを支持する角柱部54bと、角柱部54bを支持し、筒部52に嵌合する環状の接続部54cと、からなる。角柱部54bは、先端部54aと接続部54cとの間に橋架され、かつ、互いに等間隔に離間する4本の柱体であり、その結果、4個の排気口64a〜64dが形成されることになる。排気口64a〜64dは、排気流路50を軸方向(直進方向)に通過した流体を軸方向と直交する径方向へ排出する。なお、排気口の数は複数個であればよく、4つに限られない。
【0028】
次に、上記のように構成されたサイレンサ10と真空発生ユニット14の動作・作用を説明する。
【0029】
真空供給用パイロット弁18の非通電時、真空供給弁24および真空供給用パイロット弁18は閉状態となっている。次に、図示しない電力供給源より真空供給用パイロット弁18に通電すると、真空供給用パイロット弁18が開状態となり、パイロット圧がピストン22に供給される。
【0030】
これにより、ピストン22は真空供給弁24側(
図1中右方向)へ移動するとともに真空供給弁24を押圧し、真空供給弁24が開状態となる。図示しない圧力流体供給源に接続された供給ポート66から切換弁部28の内部流路に供給された圧力流体(圧縮空気)は、真空供給弁24を通過し、給気ポート42を介してエジェクタ12のノズル38の一端部側へ供給される。
【0031】
ノズル38の一端部側から供給された圧力流体は、ノズル38において内径が最も狭くなっている中央部で絞り込まれた後、中央部より内径が軸方向に沿って拡大した他端部側から勢いよく噴射される。
【0032】
これにより、圧力流体の速度は、ノズル38の他端部側が一端部側よりも速くなり、他端部側の圧力が一端部側の圧力よりも低くなる。この場合、エジェクタ12は、エジェクタボディ36に形成された第1の吸引ポート44aを通じてフィルタユニット34の内部空間と連通しているため、エジェクタボディ36の第1の吸引ポート44aで生じた負圧により、外気が真空ポート30から吸引される。このため、真空ポート30は負圧になる。なお、前記外気は、フィルタユニット34の内部空間においてフィルタ32を通過して細かい塵埃等が除去された後、第1の吸引ポート44aからエジェクタ12へと導入される。
【0033】
第1のディフューザ40aは、ノズル38の他端部から噴射された圧力流体を第1の吸引ポート44aから吸引した流体とともに第2のディフューザ40bに向けて噴射する。
【0034】
この結果、第2の吸引ポート44bにも負圧が発生し、第2のディフューザ40bには、第1のディフューザ40aから噴射された圧力流体を第2の吸引ポート44bから吸引した流体とともに排気ポート48からサイレンサ10の排気流路50に向けて噴射する。
【0035】
真空ポート30に接続された、例えば図示しない吸着具に図示しないワークが吸着されると、フィルタユニット34および吸着具の内部における真空度が高まっていく。そして、フィルタユニット34の内部空間の真空度が第2の吸引ポート44bの真空度に比べて高くなると、その負圧圧力差により第2の吸引ポート44bに設けられているチェック弁67が閉じるため、排気ポート48から噴射される流体は、第1のディフューザ40aから噴射された流体のみとなる。
【0036】
サイレンサ10では、エジェクタ12から噴射された流体が筒部52の軸方向に沿って設けられた排気流路50に供給されると、該流体は筒部52の内壁面に設けられた消音部56によって排気音が吸収されながら、軸方向に沿ってキャップ部54に向けて直進(
図1中矢印A方向)する。キャップ部54に到達した流体は、キャップ部54に設けられ径方向に指向して開口した複数の排気口64a〜64dより、筒部52の軸方向に直交する方向(
図1、
図4中矢印B方向)へ排出される。
【0037】
そして、真空供給用パイロット弁18への通電を停止すると、真空供給弁24と真空破壊弁26の間に設けられたスプリング68の復帰力により真空供給弁24は閉状態に戻り、エジェクタ12への圧力流体の供給が停止するため、真空の発生は停止する。
【0038】
以上のように、本実施形態に係るサイレンサ10は、排気を複数の排気口64a〜64dから筒部52の軸方向に対して直交方向に排出することができる。このため、流体圧機器を壁面等から一定距離離間させることなく設置でき、設置場所が制約されることがない。
【0039】
また、複数の排気口64a〜64dが設けられているため、従来技術のように排気口が一箇所のみ場合と異なり、塞がれにくい利点がある。すなわち、真空発生ユニット14のエジェクタ12に取り付けられる場合には、例えば一箇所が塞がれた場合でも、吸い込み流量や真空圧といった製品性能の大幅な低下を防ぐことができる。
【0040】
さらに、複数の排気口64a〜64dが圧力流体を分散して排出するため、排気口が一箇所のみの場合よりも排気圧力を低減でき、排気音を低減できる利点がある。
【0041】
さらにまた、本実施形態に係るサイレンサ10において、複数の排気口64a〜64dは、キャップ部54に径方向に指向して開口している。これにより、排気ポート48から排出された排気は、軸方向に直交する方向へ排出することができるため、排気音の低減に役立つ。
【0042】
また、本実施形態に係るサイレンサ10において、消音部56とキャップ部54との間には、開口部の直径D2が消音部56の内径D1よりも大きい消音リング58が設けられている。これにより、キャップ部54に形成された排気口64a〜64dの近傍位置において、排気の流れを妨げることなく、排気音をさらに低減させることができる。
【0043】
さらにまた、本実施形態に係るサイレンサ10において、筒部52は、外周面に溝状に形成されたクリップ取付部60を有し、クリップ取付部60は、エジェクタ12(流体圧機器)に形成された孔部36a、36bに挿入されたクリップ部材62を係止している。クリップ部材62をクリップ取付部60に取り付けることで、サイレンサ10とエジェクタ12を一体化でき、サイレンサ10がエジェクタボディ36から抜けるのを防止できる。さらに、クリップ部材62を用いてエジェクタ12にサイレンサ10を簡単に着脱することができる。
【0044】
次に、第2の実施形態に係るサイレンサ100について説明する。なお、上述した第1の実施形態に係るサイレンサ10と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0045】
図5は、第2の実施形態に係るサイレンサ100を示す断面図、
図6は
図5に示すサイレンサ100のVI−VI線における断面図、
図7は、
図5に示すサイレンサ100の分解斜視図である。
図5〜
図7に示すように、本実施形態に係るサイレンサ100では、筒部52は、排気流路を区画する円筒状の隔壁部52aを軸方向に沿って有しており、二重構造になっている。このため、筒部52の内部に設けられた排気流路の形状が第1の実施形態とは相違する。本実施形態における排気流路は、第1の排気流路70、第2の排気流路72および第3の排気流路74から構成される。
【0046】
図5に示すように、第1の排気流路70は、始端部が排気ポート48に臨み、筒部52の軸方向(
図5中矢印P方向)で隔壁部52aの内側の壁面に沿って軸方向でキャップ部54の近傍まで延びている。第2の排気流路72は、第1の排気流路70の終端部から筒部52の径方向外側に流れ方向を変え、キャップ部54の内壁面に沿って軸方向でキャップ部54の反対側(
図5中矢印Q方向)に折り返されている。第3の排気流路74は、第2の排気流路72の終端部から軸方向と平行(
図5中矢印R方向)に隔壁部52aの外側の壁面に沿って筒部52の一端部側に延びている。
【0047】
また、筒部52の隔壁部52aの径方向内側の壁面には、第1の排気流路70に沿って第1の消音部76が設けられている。また、筒部52の径方向外側の内壁面およびキャップ部54の内壁面には、第2の排気流路72および第3の排気流路74に沿って第2の消音部78が設けられている。第2の消音部78は、第2の排気流路72の終端部に対応する箇所に湾曲部78aを有する。また、第1の排気流路70では、第1の消音部76の終端部76aの角部分、第3の排気流路74では、隔壁部52aの終端部53の角部分がそれぞれ丸くなるように形成されている。そして、第3の排気流路74の終端部には、第3の消音部80が設けられている。第1の消音部76、第2の消音部78および第3の消音部80は、例えばポリビニルアルコール等の樹脂を材料としてスポンジ状に形成されている。
【0048】
また、
図7に示すように、第3の消音部80は、第1環状部80a、4つの連結部80bおよび第2環状部80cからなる。
図5に示すように、第1環状部80aの内径は、排気を妨げないように第3の排気流路74の断面の外径に合わせて設定されている。第2環状部80cの内径は、筒部52の隔壁部52aの断面の外径に合わせて設定されている。第3の消音部80の外周には、第3の排気流路74の方向に対して直交する方向(
図5、
図6中矢印S方向)に複数の排気口82a〜82dが開口して形成されている。
【0049】
本実施形態に係るサイレンサ100は、
図7に示すように、筒部52の内部に隔壁部52aに沿って、環状の第3の消音部80、円筒状の第1の消音部76、カップ状の第2の消音部78を順番に取り付けた後、キャップ部54を取り付けることで組み立てられる。サイレンサ100の分解を容易に行える構造であるため、部品単位での交換も容易である。
【0050】
次に、上記のように構成された本実施形態に係るサイレンサ100の動作・作用を説明する。なお、サイレンサ100以外の部分における動作・作用は上述した第1の実施形態と同様であり、その詳細な説明を省略する。
【0051】
サイレンサ100において、エジェクタ12から噴射された流体が筒部52の軸方向に沿って設けられた第1の排気流路70に供給されると、流体は筒部52の隔壁部52aの内壁面に設けられた第1の消音部76によって排気音が吸収されながら、軸方向に沿ってキャップ部54に向けて直進(
図5中矢印P方向)する。
【0052】
キャップ部54に到達した流体は、キャップ部54と反対側(
図5中矢印Q方向)に折り返された湾曲状の第2の排気流路72を通過し、その後、第3の排気流路74に流入する。第3の排気流路74に流入した流体は、第1の排気流路70とは逆方向(
図5中矢印R方向)に直進し、第3の排気流路74の終端部に位置する第3の消音部80に設けられた排気口82a〜82dより、筒部52の軸方向に直交する方向(
図5、
図6中矢印S方向)へ排出される。
【0053】
本実施形態に係るサイレンサ100によれば、上述した第1の実施形態に比べて、排気流路(第2の排気流路72)がキャップ部54の反対側に折り返されて流体(排気)が消音部材(第1の消音部76、第2の消音部78、第3の消音部80)と接する区間が長くなる。このため、消音力をさらに向上させることができる。また、第1の消音部76の終端部76aおよび隔壁部52aの終端部53の角部分がそれぞれ丸くなるように形成され、かつ、第2の消音部78の湾曲部78aが湾曲状に形成されている。すなわち、第1の排気流路70の終端部から第3の排気流路74の始端部の間では、排気が第1の消音部76の終端部76aおよび隔壁部52aの終端部53の角部分と第2の消音部78の湾曲部78aを円滑に通過することができ、第3の排気流路74側への方向転換(
図5中矢印Q方向)が図られている。このため、第1の排気流路70から第3の排気流路74までの間で流体を円滑に排出できる。
【0054】
なお、本発明に係るサイレンサは、上述した実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、上述した第1の実施形態において、サイレンサ10は、クリップ部材62を介してエジェクタ12に固定されていたが、
図8に示すように、エジェクタボディ36側に雌ネジ部84、サイレンサ10側に雌ネジ部84にネジ込み固定される雄ネジ部86を形成してもよい。これにより、クリップ部材62のような接続部材を必要とすることなく、サイレンサ10を簡単に着脱することができる。また、上述した二つの実施形態では、サイレンサ10、100をエジェクタ12に対して取り付ける場合をそれぞれ説明したが、他の流体圧機器に取り付けても同様の効果を奏する。