特開2018-204754(P2018-204754A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-204754(P2018-204754A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】発電機付き車輪用軸受装置
(51)【国際特許分類】
   F16C 19/18 20060101AFI20181130BHJP
   F16C 33/76 20060101ALI20181130BHJP
   H02K 5/16 20060101ALI20181130BHJP
   H02K 5/173 20060101ALI20181130BHJP
   H02K 7/18 20060101ALI20181130BHJP
   B60K 1/02 20060101ALI20181130BHJP
【FI】
   F16C19/18
   F16C33/76
   H02K5/16 A
   H02K5/173 A
   H02K7/18 A
   B60K1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-113246(P2017-113246)
(22)【出願日】2017年6月8日
(71)【出願人】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086793
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅士
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(72)【発明者】
【氏名】藪田 浩希
(72)【発明者】
【氏名】川村 光生
(72)【発明者】
【氏名】西川 健太郎
【テーマコード(参考)】
3D235
3J016
3J701
5H605
5H607
【Fターム(参考)】
3D235AA01
3D235BB19
3D235BB25
3D235CC42
3D235GA02
3D235GA13
3D235GA59
3D235GB32
3D235HH03
3D235HH06
3J016AA02
3J016AA03
3J016CA02
3J701AA03
3J701AA32
3J701AA43
3J701AA54
3J701AA62
3J701BA77
3J701EA63
3J701EA72
3J701FA11
3J701FA55
3J701GA03
5H605AA12
5H605BB01
5H605BB10
5H605BB19
5H605CC04
5H605DD09
5H605EB10
5H605EB30
5H607AA12
5H607BB02
5H607BB07
5H607BB17
5H607CC05
5H607DD03
5H607FF24
5H607GG01
5H607GG08
(57)【要約】
【課題】構造を簡素化してコスト低減を図ると共に、電食を防止することができる発電機付き車輪用軸受装置を提供する。
【解決手段】この発電機付き車輪用軸受装置1は、車輪用軸受2と、発電機3とを備える。発電機3は、内輪5のハブフランジ7に取付けられたモータケース15と、外輪4の外周面に取付けられたステータ18と、モータケース15に覆われたモータロータ19とを有する。発電機3は、モータロータ19がステータ18の半径方向外方に位置するアウターロータモータである。この発電機付き車輪用軸受装置1は、外輪4と内輪5との通電性を高める通電手段26を備えている。この例の通電手段26は、通電ブラシBrから成る。この通電ブラシBrは、内外輪5,4間の環状空間におけるアウトボード側の開口端部の全周に渡って複数設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定輪、およびハブフランジを有し前記固定輪に転動体を介して回転自在に支持されて前記ハブフランジに車両の車輪およびブレーキロータが取付けられる回転輪を有する車輪用軸受と、前記固定輪に取付けられたステータ、および前記回転輪に取付けられたモータロータを有する発電機と、を備えた発電機付き車輪用軸受装置において、
前記発電機は、前記ステータが前記車輪用軸受の外周に位置し、前記モータロータが前記ステータの半径方向外方に位置するアウターロータモータであり、
前記固定輪と前記回転輪との通電性を高める通電手段を備えた発電機付き車輪用軸受装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発電機付き車輪用軸受装置において、前記通電手段は、前記固定輪または前記回転輪のいずれか一方の軌道輪の周面に固定された導電性リングであり、この導電性リングの一部が他方の軌道輪に当接している発電機付き車輪用軸受装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の発電機付き車輪用軸受装置において、前記通電手段は、導電性を有する材料で構成されて前記固定輪と前記回転輪との間のアウトボード側端を密封するアウター側シール部材である発電機付き車輪用軸受装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の発電機付き車輪用軸受装置において、前記通電手段は、導電性を有する材料で構成されて前記固定輪と前記回転輪との間のインボード側端を密封するインナー側シール部材である発電機付き車輪用軸受装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の発電機付き車輪用軸受装置において、前記通電手段は、前記固定輪のインボード側端を覆う導電性を有する覆い部材であり、この覆い部材は、前記回転輪の回転軸中心に接触している発電機付き車輪用軸受装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の発電機付き車輪用軸受装置において、前記通電手段は、前記車輪用軸受内に封入される導電性グリースである発電機付き車輪用軸受装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、発電機付き車輪用軸受装置に関し、構造を簡素化してコスト低減を図ると共に、電食を防止することができる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
インナーロータ型のモータを駆動源とする車輪駆動装置が提案されている(特許文献1)。この車輪駆動装置では、ロータとステータを電気的に導通するために、ステータと電気的に接続した円錐面または球面の接触体を、ロータに押圧することで、車輪用軸受の転がり軸受部の電食を防止する。
【0003】
従来のインホイールモータシステムは、いずれも、走行の主駆動源としてインホイールモータを使用する設計と考えられている。
一方、インホイールモータではないが、エンジン自動車における走行の補助駆動源として、モータを用いることが提案されている。
【0004】
補助動力システムとして、車両に搭載された電動発電機が、主動力システムによって駆動されない後輪リアホイールとの間でのみ動力を伝達可能とされ、電源装置が電動発電機にのみ駆動電力を供給しかつ電動発電機からの回生電力のみを蓄えるように構成された提案がある(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5402619号公報
【特許文献2】特開2016−25789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、インナーロータ型のモータを駆動源とする車輪駆動装置に限定して電食を防止している。前記インナーロータ型のモータはモーメント発生位置が内径側であるためアウターロータ型よりも効率が悪い。また特許文献1の車輪駆動装置は、減速機等が必要になるため、構成部品が多く製造コストが嵩む。
【0007】
特許文献2の構成では、バッテリーと電動発電機とが接続されており、前記電動発電機がクラッチ、動力配分機構、ドライブシャフトを介して従動輪(タイヤ)と動力伝達する機構となっている。そのため、補助動力システムを搭載することによって、四輪駆動車と同等な部品構成となり、構造が複雑化するとともに、車両重量も増加する。
【0008】
電動発電機を備えた車輪用軸受装置において、前記電動発電機が車両走行時に駆動モータとして動作する場合、および車両制動時に回生ブレーキとして動作する場合のそれぞれ場合でステータに電圧が発生する。結線被膜が剥れて短絡が生じる等の理由で軸受内外輪に電位差が発生し、転動体を通して通電した場合、転動体と軌道面との間でスパークが発生する。このスパークによって転動体および軌道面が溶融し、なし地状または波板状の電食が生じる。電食が生じると、軸受から異音が発生する、または軸受の短寿命の原因となる。
【0009】
この発明の目的は、構造を簡素化してコスト低減を図ると共に、電食を防止することができる発電機付き車輪用軸受装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の発電機付き車輪用軸受装置は、固定輪、およびハブフランジを有し前記固定輪に転動体を介して回転自在に支持されて前記ハブフランジに車両の車輪およびブレーキロータが取付けられる回転輪を有する車輪用軸受と、前記固定輪に取付けられたステータ、および前記回転輪に取付けられたモータロータを有する発電機と、を備えた発電機付き車輪用軸受装置において、
前記発電機は、前記ステータが前記車輪用軸受の外周に位置し、前記モータロータが前記ステータの半径方向外方に位置するアウターロータモータであり、
前記固定輪と前記回転輪との通電性を高める通電手段を備えている。
【0011】
この構成によると、発電機のモータロータが車輪用軸受の回転輪に取付けられたダイレクトドライブ形式であるため、発電機の構成が簡易で省スペースで済み、車両重量の増加も抑えられる。発電機の構成が簡易な分、コスト低減を図れる。車両重量の増加が抑えられるため、燃費の低減を図れる。発電機は、モータロータがステータの半径方向外方に位置するアウターロータモータであるため、モーメント発生位置が外径側となり、インナーロータ形に比べて発電効率がよい。特に、固定輪と回転輪との通電性を高める通電手段を備えたため、モータロータとステータ間の電位差を無くし、転動体を通じて回転輪と固定輪の間で電流が流れることを防ぐことができる。これにより、軸受機能の電食による異常を防ぐことができる。電食を防ぐことにより、転動体および軌道面の異常を防止でき、軸受の長寿命化が期待できる。
【0012】
前記通電手段は、前記固定輪または前記回転輪のいずれか一方の軌道輪の周面に固定された導電性リングであり、この導電性リングの一部が他方の軌道輪に当接しているものでもよい。この場合、既存の車輪用軸受の軌道輪の周面を利用して、導電性リングを容易に設けることができる。
【0013】
前記通電手段は、導電性を有する材料で構成されて前記固定輪と前記回転輪との間のアウトボード側端を密封するアウター側シール部材であってもよい。この場合、アウター側シール部材は、前記アウトボード側端を密封する機能、および通電手段としての機能を兼用するため、部品点数の低減を図り、構造を簡素化してコスト低減を図れる。
【0014】
前記通電手段は、導電性を有する材料で構成されて前記固定輪と前記回転輪との間のインボード側端を密封するインナー側シール部材であってもよい。この場合、インナー側シール部材は、前記インボード側端を密封する機能、および通電手段としての機能を兼用するため、部品点数の低減を図り、構造を簡素化してコスト低減を図れる。
【0015】
前記通電手段は、前記固定輪のインボード側端を覆う導電性を有する覆い部材であり、この覆い部材は、前記回転輪の回転軸中心に接触しているものであってもよい。この場合、車輪用軸受の周速の影響を受けずに覆い部材を回転輪に接触させることができる。これにより、車輪用軸受のトルク低減を図ることができ、車両の燃費または電費を高めることが可能となる。
【0016】
前記通電手段は、前記車輪用軸受内に封入される導電性グリースであってもよい。この場合、新たな構成部品を増やすことなく、電食防止の効果が得られる。
【発明の効果】
【0017】
この発明の発電機付き車輪用軸受装置は、固定輪、およびハブフランジを有し前記固定輪に転動体を介して回転自在に支持されて前記ハブフランジに車両の車輪およびブレーキロータが取付けられる回転輪を有する車輪用軸受と、前記固定輪に取付けられたステータ、および前記回転輪に取付けられたモータロータを有する発電機と、を備えた発電機付き車輪用軸受装置において、前記発電機は、前記ステータが前記車輪用軸受の外周に位置し、前記モータロータが前記ステータの半径方向外方に位置するアウターロータモータであり、前記固定輪と前記回転輪との通電性を高める通電手段を備えたため、構造を簡素化してコスト低減を図ると共に、電食を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】この発明の実施形態に係る発電機付き車輪用軸受装置の断面図である。
図2】同発電機付き車輪用軸受装置の通電手段の拡大断面図である。
図3】この発明の他の実施形態に係る発電機付き車輪用軸受装置の通電手段の拡大断面図である。
図4】この発明のさらに他の実施形態に係る発電機付き車輪用軸受装置の通電手段の拡大断面図である。
図5】(A)この発明のさらに他の実施形態に係る発電機付き車輪用軸受装置の通電手段の拡大断面図、(B)同通電手段の正面図、(C)同通電手段の変更形態の正面図、(D)同通電手段の他の変更形態の正面図である。
図6】この発明のさらに他の実施形態に係る発電機付き車輪用軸受装置の通電手段の拡大断面図である。
図7】この発明のさらに他の実施形態に係る発電機付き車輪用軸受装置の断面図である。
図8】この発明のさらに他の実施形態に係る発電機付き車輪用軸受装置の断面図である。
図9】いずれかの発電機付き車輪用軸受装置を用いた車両用システムの概念構成を示すブロック図である。
図10】同車両用システムを搭載した車両の一例となる電源系統図である。
図11】同発電機付き車輪用軸受装置を用いた他の車両用システムの概念の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明の実施形態に係る発電機付き車輪用軸受装置を図1および図2と共に説明する。図1に示すように、この発電機付き車輪用軸受装置1は、車輪用軸受2と、発電機3とを備える。
【0020】
<車輪用軸受2について>
車輪用軸受2は、固定輪である外輪4と、複列の転動体6と、回転輪である内輪5とを有する。外輪4に複列の転動体6を介して内輪5が回転自在に支持されている。内外輪5,4間の軸受空間には、グリースが封入されている。内輪5は、外輪4よりも軸方向のアウトボード側に突出した箇所にハブフランジ7を有する。外輪4は、ハブフランジ7とは反対側(インボード側)の端部である車体取り付け面4aにおいて、ナックル等の足回りフレーム部品8にボルト9で取付けられ、車体の重量を支持する。なおこの明細書において、発電機付き車輪用軸受装置1が車両に搭載された状態で車両の車幅方向の外側寄りとなる側をアウトボード側と呼び、車両の車幅方向の中央寄りとなる側をインボード側と呼ぶ。
【0021】
ハブフランジ7のアウトボード側の側面には、車輪のリム(図示せず)とブレーキロータ12とケース底部11(後述する)とが軸方向に重なった状態で、ハブボルト13により取り付けられている。前記リムの外周にタイヤが取付けられている。
【0022】
<ブレーキ17について>
ブレーキ17は、ディスク式のブレーキロータ12と、図示外のブレーキキャリパとを備える摩擦ブレーキである。ブレーキロータ12は、平板状部12aと、外周部12bとを有する。平板状部12aは、ハブフランジ7に前記ケース底部11を介して重なる環状で且つ平板状の部材である。外周部12bは、平板状部12aから外輪4の外周側へ延びる。外周部12bは、平板状部12aの外周縁部からインボード側に円筒状に延びる円筒状部12baと、この円筒状部12baのインボード側端から外径側に平板状に延びる平板部12bbとを有する。
【0023】
前記ブレーキキャリパは、ブレーキロータ12の平板部12bbを挟み付ける摩擦パッド(図示せず)を有する。前記ブレーキキャリパは、足回りフレーム部品8に取付けられている。前記ブレーキキャリパは、油圧式および機械式のいずれであってもよく、また電動モータ式であってもよい。
【0024】
<発電機3について>
この例の発電機3は、車輪の回転で発電を行い、給電されることによって車輪を回転駆動可能な走行補助用の電動発電機である。発電機3は、内輪5のハブフランジ7に取付けられたモータケース15と、外輪4の外周面に取付けられたステータ18と、モータケース15に覆われたモータロータ19とを有する。発電機3は、モータロータ19がステータ18の半径方向外方に位置するアウターロータモータである。図示の例の発電機3は、アウターロータ型のIPM(Interior Permanent Magnet)同期モータ(もしくはIPMSM(Interior Permanent Magnet Synchronous Motor)と標記)であるが、アウターロータ型のSPM(Surface Permanent Magnet)同期モータ(もしくはSPMSM(Surface Permanent Magnet Synchronous Motor)と標記)であってもよい。同期モータにおいては、ステータ18の巻き線形式として分布巻、集中巻の各形式が採用できる。
【0025】
モータケース15は有底円筒状のケース本体16から成り、ケース本体16は、ケース底部11と、ケース円筒状部25とを有する。これらケース底部11と、ケース円筒状部25とは一体に形成されている。ケース底部11は、ブレーキロータ12の平板状部12aと、ハブフランジ7との間に挟まれる平板状で且つ環状の部材である。このケース底部11の外周縁部からインボード側にケース円筒状部25が円筒状に延びる。
【0026】
ケース円筒状部25におけるインボード側の開口端は、後述する発電機用シール部材27により覆われている。ケース円筒状部25の内周面には、アウトボード側の小径部25a、段差部25b、およびインボード側の大径部25cが設けられている。
【0027】
ステータ18は、コア18aと、このコア18aの各ティースに巻回されたコイル18bとを有する。外輪4におけるアウトボード側の外周面に、半径方向外方に延びるフランジ部が設けられている。このフランジ部に、コア18aのアウトボード側端が当接することで、外輪4に対しステータ18が軸方向に位置決めされる。モータロータ19は、図示外の磁性体と、この磁性体に内蔵される図示外の永久磁石とを備える。モータロータ19は、ケース円筒状部25における内周面のうち大径部25cに接着等により設けられる。モータロータ19のアウトボード側端がケース円筒状部25の段差部25bに当接することで、モータケース15に対しモータロータ19が軸方向に位置決めされる。
【0028】
この発電機付き車輪用軸受装置1は、発電機用シール部材27と、インナー側シール部材28と、アウター側シール部材29とを有する。発電機用シール部材27は、モータケース15の開口端と、車輪用軸受2の外周との間のインボード側端を密封する。この発電機用シール部材27は、外輪4の外周面に対し、ラジアル方向に摺接する。インナー側シール部材28は、外輪4と内輪5との間のインボード側端を密封する接触式のシール部材である。インナー側シール部材28は、内外輪5,4間の環状空間のインボード側の開口端部での、軸受内部からのグリースの流出を防止すると共に、外部から水等が浸入することを防止する。
【0029】
図2に示すように、アウター側シール部材29は、例えば、外輪4と内輪5との間のアウトボード側端を密封する接触式である。アウター側シール部材29は、内外輪5,4間の環状空間のアウトボード側の開口端部での、軸受内部からのグリースの流出を防止すると共に、外部から水等が浸入することを防止する。
【0030】
<通電手段26について>
この発電機付き車輪用軸受装置1は、外輪4と内輪5との通電性を高める通電手段26を備えている。この例の通電手段26は通電ブラシBrから成る。この通電ブラシBrは、内外輪5,4間の環状空間におけるアウトボード側の開口端部の全周に渡って複数設けられている。また通電ブラシBrは、アウター側シール部材29のアウトボード側で、且つ肩部の内周面に設けられている。但し、通電ブラシBrは、アウター側シール部材29のインボード側に設けてもよい。
【0031】
通電ブラシBrは、外輪4の内周面から半径方向内方に延び、先端が内輪5の外周面に当接する。なお通電ブラシBrは、内輪5の外周面から半径方向外方に放射状に延び、先端が肩部の内周面に当接する構成としてもよい。
通電ブラシBrは、例えば、カーボン製のいわゆるカーボンブラシ、カーボンを含有した樹脂材料またはゴム材料、あるいは銅線のような導電性を有するワイヤー等から成る。前記樹脂材料またはゴム材料を適用する場合、相手面を傷つけることなく通電性を確保し続けることができるため好ましい。
【0032】
以上説明した発電機付き車輪用軸受装置1によれば、発電機3のモータロータ19が車輪用軸受2の回転輪である内輪5に取付けられたダイレクトドライブ形式であるため、発電機3の構成が簡易で省スペースで済み、車両重量の増加も抑えられる。発電機3の構成が簡易な分、コスト低減を図れる。車両重量の増加が抑えられるため、燃費の低減を図れる。発電機3は、モータロータ19がステータ18の半径方向外方に位置するアウターロータモータであるため、モーメント発生位置が外径側となり、インナーロータ形に比べて発電効率がよい。
【0033】
特に、外輪4と内輪5との通電性を高める通電ブラシBrから成る通電手段26を備えたため、モータロータ19とステータ18間の電位差を無くし、転動体6を通じて内輪5と外輪4の間で電流が流れることを防ぐことができる。これにより、軸受機能の電食による異常を防ぐことができる。電食を防ぐことにより、転動体6および内外輪5,4の軌道面の異常を防止でき、軸受の長寿命化が期待できる。
【0034】
<他の実施形態について>
以下の説明においては、各実施の形態で先行して説明している事項に対応している部分には同一の参照符号を付し、重複する説明を略する。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、特に記載のない限り先行して説明している形態と同様とする。同一の構成から同一の作用効果を奏する。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
【0035】
図3に示すように、通電手段26Aは、アウター側シール部材29を導電性を有する材料で構成したものであってもよい。すなわちアウター側シール部材29は、鋼材から成る導電性の芯金29aと、この芯金29aに固着された導電性の弾性部材29bとを有する。芯金29aは、円筒部29aaと、この円筒部29aaのアウトボード側の端部から半径方向内方に延びる立板部29abとを有する。円筒部29aaは、肩部の内周面に締まり嵌めにより圧入嵌合される。
【0036】
弾性部材29bは、例えば、導電性ゴム材から成る。この導電性ゴム材は、体積固有抵抗値が30×10Ω・cm以下のものが好ましい。弾性部材29bは、芯金29aに固着されたシール本体29baと、このシール本体29baから延びる複数のリップ部29bb,29bc,29bdとを備えている。これらシール本体29baと複数のリップ部29bb,29bc,29bdとは一体に成形されている。最もインボード側に位置する一つのリップ部29bbは、半径方向内方に向かうに従ってインボード側へ傾斜して延び、内輪5の外周におけるハブフランジ7の近傍に先端がラジアル接触する。他の二つのリップ部29bc,29bdは、それぞれ半径方向外方に向かうに従ってアウトボード側へ傾斜して延び、ハブフランジ7の近傍に先端がアキシアル接触する。
【0037】
この構成によると、アウター側シール部材29は、内外輪5,4間の環状空間のアウトボード側の開口端部を密封する機能、および通電手段26Aとしての機能を兼用するため、前述の実施形態よりも部品点数の低減を図り、構造を簡素化してコスト低減を図れる。
【0038】
図4に示すように、通電手段26Bは、インナー側シール部材28を、導電性を有する材料で構成したものであってもよい。この場合において、アウター側シール部材29(図3)は、導電性を有する材料で構成してもよいし、導電性の無い材料で構成してもよい。具体的に、導電性の無い材料から成るアウター側シール部材とした場合、弾性部材29(図3)は、例えば、天然ゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム等の弾性材料から成る。
【0039】
前記インナー側シール部材28は、内輪5および外輪4にそれぞれ取付けられて互いに対向する環状のシール板31および環状シール部材32を有する。シール板31は、導電性を有する鋼材から成る。このシール板31は、内輪5の外周面に嵌合する円筒部31aと、この円筒部31aのインボード側の端部から立ち上がる立板部31bとを含む断面L字状に形成されている。
【0040】
環状シール部材32は、導電性の鋼材から成る芯金33と、この芯金33に固着された導電性の弾性体34とを有する。芯金33は、外輪4の内周面に嵌合する円筒部と、この円筒部のアウトボード側の端部から立ち下がる立板部とを有し、前記シール板31と軸方向に対向する断面逆L字状とされている。弾性体34は、例えば、導電性ゴム材から成る。この導電性ゴム材は、体積固有抵抗値が30×10Ω・cm以下のものが好ましい。弾性体34は、芯金33の内側を覆って設けられたものであり、二枚のサイドリップ34a,34aと、一枚のラジアルリップ34bとを有する。
【0041】
二枚のサイドリップ34a,34aは、互いに芯金33の径方向の内外に並んで配置され、芯金33の立板部から斜め外径側へ延びて、それぞれ先端がシール板31の立板部31bに接する。これらサイドリップ34a,34aは、外部から水等が浸入することを防止する。ラジアルリップ34bは、グリース漏れ防止用であり、芯金33の立板部の先端から斜め内径側へ延びて、先端がシール板31の円筒部31aに接する。
【0042】
この構成によれば、通電手段26Bとしての機能を有するインナー側シール部材28により、軸受機能の電食による異常を防ぐことができる。電食を防ぐことにより、転動体6および内外輪5,4の軌道面の異常を防止でき、軸受の長寿命化が期待できる。またインナー側シール部材28は、内外輪5,4間の環状空間のインボード側の開口端部を密封する機能、および通電手段26Bとしての機能を兼用するため、部品点数の低減を図り、構造を簡素化してコスト低減を図れる。
【0043】
図5(A),(B)に示すように、通電手段26Cとして、前述の導電性を有する材料から成るアウター側シール部材に代えて、導電性リングRaを適用してもよい。肩部の内周面に環状溝が形成され、この環状溝に、導電性リングRaの外周縁部が嵌込まれて固定され、導電性リングRaの内周縁部が内輪5の外周面に当接されている。導電性リングRaは、例えば、カーボンを含有した樹脂材料またはゴム材料から成る。このような樹脂材料またはゴム材料を適用する場合、相手面(この例では、内輪5の外周面)を傷つけることなく通電性を確保し続けることができるため好ましい。導電性リングRaの内周縁部を内輪5の外周面に固定し、導電性リングの外周縁部を外輪4の内周面に当接させるようにしてもよい。図示しないが、導電性の無いアウター側シール部材と共に、導電性リングRaを適用することも可能である。
【0044】
図5(C),(D)に示すように、通電手段26D,26Eは、通電ブラシBrから成るものとしてもよい。通電ブラシBrは、内外輪5,4間の環状空間におけるアウトボード側の開口端部の全周に渡って複数設けられていてもよいし(図5(C))、円周方向所定間隔おきに設けられていてもよい(図5(D))。通電ブラシBrは、内輪5の外周面から半径方向外方に放射状に延び、先端が外輪4の内周面に当接する。逆に、通電ブラシBrは、外輪4の内周面から半径方向内方に延び、先端が内輪5の外周面に当接する構成としてもよい。
【0045】
図5(C),(D)の構成によれば、導電性リング等を適用するよりも、車輪用軸受のトルク低減を図ることができ、車両の燃費または電費を高めることが可能となる。図5(D)の構成によれば、全周に渡って設けられる通電ブラシBr(図5(C))よりも、通電ブラシBrの量を少なくでき、トルク低減およびコスト低減を図れる。
【0046】
図6に示すように、通電ブラシBrは、外輪4のアウトボード側の端面から軸方向に延び、先端がハブフランジ7のインボード側の端面に当接する構成としてもよい。この通電ブラシBrは、全周に渡って複数設けられてもよいし、円周方向所定間隔おきに設けられていてもよい。なお通電ブラシBrは、ハブフランジ7のインボード側の端面から軸方向に延び、先端が外輪4のアウトボード側の端面に当接する構成としてもよい。
図6の構成によれば、導電性リング等を適用するよりも、車輪用軸受のトルク低減を図ることができ、車両の燃費または電費を高めることが可能となる。
【0047】
図7に示すように、通電手段26Fは、外輪4のインボード側端を覆う導電性を有する覆い部材Cpであり、この覆い部材Cpは、内輪5の回転軸中心L1に接触させている構成としてもよい。覆い部材Cpは、インボード側から水および異物等が浸入することを防止する。この覆い部材Cpは、外輪4に固定される円筒部Cpaと、この円筒部Cpaのインボード側端を覆う底面部Cpbとで断面凹状の有底円筒形状に形成されている。覆い部材Cpのうち底面部Cpbの内側面の中心部と、内輪5のインボード側端における回転軸中心部との間に、軸方向に延びる通電ブラシBrが実装されている。その他、底面部Cpbの内側面の中心部と、内輪5のインボード側端における回転軸中心部とを直接接触させてもよい。覆い部材Cpのうち底面部Cpbから突出する板ばね状の部材(図示せず)を設け、内輪5の回転軸中心部に対して前記板ばね状の部材を加圧して設ける構成としてもよい。
【0048】
導電性を有する覆い部材Cpを備えた構成によれば、車輪用軸受2の周速の影響を受けずに覆い部材Cpを内輪5に接触させることができる。この覆い部材Cpにより、電食を防ぐことができるうえ、車輪用軸受2のトルク低減を図ることができ、車両の燃費または電費を高めることが可能となる。前記板ばね状の部材を設けた場合、内輪5の回転軸中心部に対して前記板ばね状の部材を安定して接触させ得る。
【0049】
図8に示すように、通電手段は、車輪用軸受内に封入される導電性グリースGrであってもよい。導電性グリースGrに用いる基油は、特に限定することなく周知の潤滑油を一種または二種以上混合して使用することができ、例えば、鉱油、合成炭化水素油、エステル油、エーテル油、グリコール系油またはアルキルシクロペンタン系油などが挙げられる。このような基油の好ましい粘度(40℃)は、10〜200mm2 /sである。上記範囲未満の低粘度の基油では蒸発量が多くなり、寿命が短くて使用に耐えない。上記範囲を超える高粘度の基油では、車輪用軸受のトルクが大きくなって、使用に耐えない。このような理由から、より好ましい基油の粘度範囲は、10〜100mm2 /sであり、さらに好ましくは20〜100mm2 /sである。
【0050】
このような基油に配合する増ちょう剤は、特に限定することなく、金属石けん等を採用することもできるが、できれば増ちょう剤としてカーボンブラックを採用することが導電性を充分に高めるために好ましい。
グリースに所要の導電性を付与するために添加される導電性カーボンは、粒子径300Å〜800Åのものが好ましく、フタル酸ジブチル(DBP)の吸油量50〜300ml/100gの導電性カーボンを採用することが好ましい。導電性グリースの導電性を向上させるためには、できるだけ多量の導電性カーボンを添加することが好ましい。
【0051】
また、粒子径が所定粒径の範囲より小粒径で、吸油性が所定の値より大きい導電性カーボンは、増ちょう性が高く、すなわち軸受内でせん断を受けた際に増ちょう性を高くしやすく、凝集したグリースが転走面に広がり難くなって所望の導電性が得られ難い。
このような傾向から、より好ましい導電性カーボンは、粒子径400Å〜600Åであり、フタル酸ジブチル(DBP)の吸油量50〜200ml/100gの導電性カーボンであり、好ましい配合量は20重量%〜40重量%程度である。
【0052】
導電性グリースGrは、導電性を充分に高めるために、導電性カーボン以外にも金属粉、導電性ウィスカを配合したものを採用することができる。導電性ウィスカとしては、特にアスペクト比が10以上で体積低効率が1×102 Ω・cm以下のウィスカを採用することが好ましく、その添加量は、0.5〜10重量%である。0.5重量%未満では、充分な添加効果がなく、10重量%を超えると、軸受の音響特性(静粛性)が損なわれる可能性がある。より好ましい傾向から、0.5〜5重量%の範囲である。
【0053】
<車両用システムについて>
図9は、いずれかの発電機付き車輪用軸受装置1を用いた車両用システムの概念構成を示すブロック図である。
この車両用システムにおいて、発電機付き車輪用軸受装置1は、主駆動源と機械的に非連結である従動輪10を持つ車両2において、従動輪10に対して搭載される。発電機付き車輪用軸受装置1における車輪用軸受2(図1)は、従動輪10を支持する軸受である。
【0054】
主駆動源35は、ガソリンエンジンまたはディーゼルエンジン等の内燃機関、または電動発電機(電動モータ)、または両者を組み合わせたハイブリッド型の駆動源である。前記「電動発電機」は、回転付与による発電が可能な電動モータを称す。図示の例では、車両30は、前輪が駆動輪10、後輪が従動輪10となる前輪駆動車であって、主駆動源35が内燃機関35aと駆動輪側の電動発電機35bとを有するハイブッリド車(以下、「HEV」と称することがある)である。
【0055】
具体的には、駆動輪側の電動発電機35bが48V等の中電圧で駆動されるマイルドハイブリッド形式である。ハイブリッドはストロングハイブリッドとマイルドハイブリッドとに大別されるが、マイルドハイブリッドは、主要駆動源が内燃機関であって、発進時や加速時等にモータで走行の補助を主に行う形式を言い、EV(電気自動車)モードでは通常の走行を暫くは行えても長時間行うことができないことでストロングハイブリッドと区別される。同図の例の内燃機関35aは、クラッチ36および減速機37を介して駆動輪10のドライブシャフトに接続され、減速機37に駆動輪側の電動発電機35bが接続されている。
【0056】
この車両用システムは、従動輪10の回転駆動を行う走行補助用の電動発電機である発電機3と、この発電機3の制御を行う個別制御手段39と、上位ECU40に設けられて前記個別制御手段39に駆動および回生の制御を行わせる指令を出力する個別電動発電機指令手段45とを備える。発電機3は、蓄電手段に接続されている。この蓄電手段は、バッテリー(蓄電池)またはキャパシタ、コンデンサ等を用いることができ、その形式や車両30への搭載位置は問わないが、この実施形態では、車両30に搭載された低電圧バッテリー50および中電圧バッテリー49のうちの中電圧バッテリー49とされている。
【0057】
従動輪用の発電機3は、変速機を用いないダイレクトドライブモータである。発電機3は、電力を供給することで電動機として作用し、また車両30の運動エネルギーを電力に変換する発電機としても作用する。
発電機3は、ハブ輪である内輪5(図1)にモータロータ19(図1)が取付けられているため、発電機3に電流を印加すると内輪5(図1)が回転駆動され、逆に電力回生時には誘起電圧を負荷することで回生電力が得られる。
【0058】
<車両30の制御系について>
上位ECU40は、車両30の統合制御を行う手段であり、トルク指令生成手段43を備える。このトルク指令生成手段43は、アクセルペダル等のアクセル操作手段56およびブレーキペダル等のブレーキ操作手段57からそれぞれ入力される操作量の信号に従ってトルク指令を生成する。この車両30は、主駆動源35として内燃機関35aおよび駆動輪側の電動発電機35bを備え、また二つの従動輪10,10をそれぞれ駆動する二つの発電機3,3を備えるため、前記トルク指令を各駆動源35a,35b,3,3に定められた規則によって分配するトルク指令分配手段44が上位ECU40に設けられている。
【0059】
内燃機関35aに対するトルク指令は内燃機関制御手段47に伝達され、内燃機関制御手段47によるバルブ開度制御等に用いられる。駆動輪側の発電電動機35bに対するトルク指令は、駆動輪側電動発電機制御手段48に伝達されて実行される。従動輪側の発電機3,3に対するトルク指令は、個別制御手段39,39に伝達される。前記トルク指令分配手段44のうち、個別制御手段39,39へ出力する部分を個別電動発電機指令手段45と称している。この個別電動発電機指令手段45は、ブレーキ操作手段57の操作量の信号に対して、発電機3が回生制動により制動を分担する制動力の指令となるトルク指令を個別制御手段39へ与える機能も備える。個別電動発電機指令手段45および個別制御手段39により、発電機3を制御する制御手段68が構成される。
【0060】
個別制御手段39はインバータ装置であり、中電圧バッテリー49の直流電力を三相の交流電圧に変換するインバータ41と、前記トルク指令等によりインバータ41の出力をPWM制御等で制御する制御部42とを有する。インバータ41は、半導体スイッチング素子等によるブリッジ回路(図示せず)と、補助動力装置3の回生電力を中電圧バッテリー49に充電する充電回路(図示せず)とを備える。なお個別制御手段39は、二つの発電機3,3に対して個別に設けられるが、一つの筐体内に収められ、制御部42を両個別制御手段39,39で共有する構成であってもよい。
【0061】
図10は、図9に示した車両用システムを搭載した車両の一例となる電源系統図である。同図の例では、バッテリーとして低電圧バッテリー50と中電力バッテリー49とが設けられ、両バッテリー49,50は、DC/DCコンバータ51を介して接続されている。発電機3は二つあるが、代表して一つで図示している。図9の駆動輪側の電動発電機35bは、図10では図示を省略しているが、従動輪側の発電機3と並列に中電力系統に接続されている。低電圧系統には低電圧負荷52が接続され、中電圧系統には中電圧負荷53が接続される。低電圧負荷52および中電圧負荷53は、それぞれ複数あるが、代表して一つで示している。
【0062】
低電圧バッテリー50は、制御系等の電源として各種の自動車一般に用いられているバッテリーであり、例えば12Vまたは24Vとされる。低電圧負荷52としては、内燃機関35aのスタータモータ、灯火類、上位ECU40およびその他のECU(図示せず)等の基幹部品がある。低電圧バッテリー50は電装補機類用補助バッテリーと称し、中電圧バッテリー49は電動システム用補助バッテリー等と称しても良い。
【0063】
中電圧バッテリー49は、低電圧バッテリー50よりも電圧が高く、かつストロングハイブリッド車等に用いられる高圧バッテリー(100V以上、例えば200〜400V程度)よりも低く、かつ作業時に感電による人体への影響が問題とならない程度の電圧であり、近年マイルドハイブリッドに用いられている48Vバッテリーが好ましい。48Vバッテリー等の中電圧バッテリー49は、従来の内燃機関を搭載した車両に比較的容易に搭載することができ、マイルドハイブリッドとして電力による動力アシストや回生により、燃費低減することができる。
【0064】
前記48V系統の中電圧負荷53は前記アクセサリー部品であり、前記駆動輪側の発電機3である動力アシストモータ、電動ポンプ、電動パワーステアリング、スーパーチャージャ、およびエアーコンプレッサなどである。アクセサリーによる負荷を48V系統で構成することで、高電圧(100V以上のストロングハイブリッド車など)よりも動力アシストの出力が低くなるものの、乗員やメンテナンス作業者への感電の危険性を低くすることができる。電線の絶縁被膜を薄くすることができるので、電線の重量や体積を減らすことができる。また、12Vよりも小さな電流量で大きな電力量を入出力することができるため、電動機または発電機の体積を小さくすることができる。これらのことから、車両の燃費低減効果に寄与する。
【0065】
この車両用システムは、こうしたマイルドハイブリッド車のアクセサリー部品に好適であり、動力アシストおよび電力回生部品として適用される。なお、従来よりマイルドハイブリッド車において、CMG、GMG、ベルト駆動式スタータモータ(いずれも図示せず)などが採用されることがあるが、これらはいずれも、内燃機関または動力装置に対して動力アシストまたは回生するため、伝達装置および減速機などの効率の影響を受ける。
【0066】
これに対してこの実施形態の車両用システムは従動輪10に対して搭載されるため、内燃機関35aおよび電動モータ(図示せず)等の主駆動源とは切り離されており、電力回生の際には車体1の運動エネルギーを直接利用することができる。また、CMG、GMG、ベルト駆動式スタータモータなどを搭載する際には、車両30の設計段階から考慮して組み込む必要があり、後付けすることが難しいが、従動輪10内に収まるこの車両用システムの発電機3は、完成車であっても部品交換と同等の工数で取り付けることができ、内燃機関35aのみの完成車に対しても48Vのシステムを構成することができる。この実施形態の車両用システムを搭載した車両に、図9の例のように別の補助駆動用の電動発電機35bが搭載されていても構わない。その際は車両30に対する動力アシスト量や回生電力量を増加させることができ、さらに燃費低減に寄与する。
【0067】
図11は、いずれかの実施形態に係る発電機付き車輪用軸受装置1を、前輪である駆動輪10および後輪である従動輪10にそれぞれ適用した例を示す。駆動輪10は内燃機関からなる主駆動源35により、クラッチ36および減速機7を介して駆動される。この前輪駆動車において、各駆動輪10および従動輪10の支持および補助駆動に、発電機付き車輪用軸受装置1が設置されている。このように発電機付き車輪用軸受装置1を、従動輪10だけでなく、駆動輪10にも適用し得る。
【0068】
図9に示す車両用システムは、発電を行う機能を有するが、給電による回転駆動をしないシステムとしてもよい。この場合、発電機3が発電した回生電力を中電圧バッテリー49に蓄えることにより、制動力を発生させることができる。機械式のブレーキ操作手段57と併用や使い分けで、制動性能も向上させることができる。このように発電を行う機能に限定した場合、個別制御手段39はインバータ装置ではなく、AC/DCコンバータ装置(図示せず)として構成することができる。前記AC/DCコンバータ装置は、3相交流電圧を直流電圧に変換することで、発電機3の回生電力を中電圧バッテリー49に充電する機能を備え、インバータと比較すると制御方法が容易であり、小型化が可能となる。
【0069】
以上、実施形態に基づいてこの発明を実施するための形態を説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0070】
1…発電機付き車輪用軸受装置
2…車輪用軸受
3…発電機
4…外輪(固定輪)
5…内輪(回転輪)
6…転動体
7…ハブフランジ
18…ステータ
19…モータロータ
26,26A〜26F…通電手段
28…インナー側シール部材
29…アウター側シール部材
Cp…覆い部材
Ra…導電性リング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11