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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-204755(P2018-204755A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】結合構造及びステアリング装置
(51)【国際特許分類】
   F16B 7/20 20060101AFI20181130BHJP
   B62D 5/04 20060101ALI20181130BHJP
【FI】
   F16B7/20 A
   B62D5/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-113325(P2017-113325)
(22)【出願日】2017年6月8日
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100089082
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 脩
(74)【代理人】
【識別番号】100130188
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜一
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】後藤 信
(72)【発明者】
【氏名】川鍋 明久
【テーマコード(参考)】
3D333
3J039
【Fターム(参考)】
3D333CB02
3D333CB14
3D333CC14
3D333CC28
3D333CD04
3D333CD05
3D333CD06
3D333CD08
3D333CD16
3D333CD19
3D333CD37
3D333CE03
3D333CE06
3J039AA03
3J039BB01
3J039LA02
3J039MA01
(57)【要約】
【課題】安価で、筒体と軸体とを相対移動することなく結合できる結合構造及びステアリング装置を提供することを目的とする。
【解決手段】結合構造30は、軸線Jの方向に直交する径方向Sにて開口する第一貫通孔31を有する筒体の出力シャフト13dと、出力シャフト13dの挿入部13d1に対して挿入されて径方向Sにて開口する第二貫通孔32を有する軸体のトーションバー13eと、を結合する。結合構造30は、溶融した状態から固化する形成材料Zからなり、第一貫通孔31に溶融した状態で充填された形成材料Zが固化した状態で第一貫通孔31の内周面31aとトーションバー13eの外面13e3とを結合する第一結合部33と、第二貫通孔32に溶融した状態で充填された形成材料Zが固化した状態で第二貫通孔32の内周面32aと出力シャフト13dの内面13d2とを結合する第二結合部34と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線の方向に直交する径方向にて開口する貫通孔を有する筒体と、前記径方向にて開口する凹部を有して前記筒体に対して挿入された軸体と、を結合する結合構造であって、
溶融した状態から固化する形成材料からなり、
前記貫通孔に充填された前記形成材料が固化した状態で前記貫通孔の内周面と前記軸体の外面とを結合する第一結合部と、
前記凹部に充填された前記形成材料が固化した状態で前記凹部の開口側の内周面と前記筒体の内面とを結合する第二結合部と、を備えた結合構造。
【請求項2】
前記筒体の前記内面と前記軸体の前記外面との間に充填された前記形成材料が固化した状態で前記第一結合部及び前記第二結合部を連結する連結部を備えた、請求項1に記載の結合構造。
【請求項3】
前記連結部は、
前記筒体の前記内面及び前記軸体の前記外面のうちの少なくとも一方に形成されて前記貫通孔及び前記凹部に連通する溝に充填された前記形成材料が固化した状態で前記第一結合部及び前記第二結合部を連結する、請求項2に記載の結合構造。
【請求項4】
前記貫通孔の軸線の方向と、前記凹部の前記開口側の軸線の方向とは、前記筒体の前記軸線の回りにおいて互いに角度を有する、請求項1乃至請求項3のうちの何れか一項に記載の結合構造。
【請求項5】
軸線の方向に直交する径方向にて開口して互いに同軸に形成された二個一対の第一貫通孔を有する筒体と、
前記筒体に対して挿入された軸体であって、前記筒体の前記軸線の方向にて前記二個一対の前記第一貫通孔に対応する位置にて前記筒体に設けられた前記二個一対の前記第一貫通孔と前記筒体の前記軸線の回りにおいて角度を有するように設けられた第二貫通孔を備えるとともに、外面にて前記筒体に設けられた前記二個一対の前記第一貫通孔と前記軸体に設けられた前記第二貫通孔とを連通する溝を備えた前記軸体と、を結合する結合構造であって、
溶融した状態から固化する形成材料からなり、
前記筒体に設けられた前記二個一対の前記第一貫通孔に充填された前記形成材料が固化した状態で前記二個一対の前記第一貫通孔の内周面と前記軸体の前記外面とを結合する第一結合部と、
前記軸体に設けられた前記第二貫通孔に充填された前記形成材料が固化した状態で前記第二貫通孔の内周面と前記筒体の内面とを結合する第二結合部と、
前記軸体に設けられた溝に充填された前記形成材料が固化した状態で前記第一結合部及び前記第二結合部を連結する連結部と、を備えた結合構造。
【請求項6】
ステアリングホイールが固定されるステアリングシャフトと、
前記ステアリングシャフトに加えられる操舵トルクが前記ステアリングシャフトを介して伝達されて車両の転舵輪を転舵するラックアンドピニオン機構と、
前記ステアリングシャフトから前記転舵輪に前記操舵トルクが伝達されるトルク伝達経路上に設けられて前記操舵トルクを補助する補助トルクを発生する操舵補助機構と、
を備えたステアリング装置であって、
前記ステアリングシャフトは、
前記操舵トルクが入力される入力シャフトと、一端が前記入力シャフトに結合されて前記操舵トルクを伝達する軸状のトーションバーと、前記トーションバーの他端が結合されて前記操舵トルクを出力する筒状の出力シャフトと、を含んで構成されており、
前記入力シャフト及び前記出力シャフトの少なくとも一方と前記トーションバーとが請求項1乃至請求項5のうちの何れか一項に記載の結合構造により結合される、ステアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒体と軸体とを結合する結合構造、及び、この結合構造を用いたステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、下記特許文献1に開示されたステアリング装置が知られている。この従来のステアリング装置は、ステアリングコラムを構成する中空のハウジング内に入力シャフトと出力シャフトとが挿通されるようになっている。従来のステアリング装置は、入力シャフトと出力シャフトとの間の相対回転量に基づいて操舵トルクを検出するトルクセンサを備えている。このため、入力シャフトと出力シャフトとは、トーションバーによって連結されている。トーションバーは、一端が入力シャフトに圧入されており、他端が、出力シャフトに挿入された状態で出力シャフト及びトーションバーに設けられた貫通孔に連結ピンを挿通させることにより結合されるようになっている。これにより、従来のステアリング装置においては、トーションバーが入力シャフト及び出力シャフトの回転に伴って捩れを生じた場合、この捩れに基づいて電動モータが出力シャフトにアシストトルクを付与するようになっており、運転者のステアリングホイールに対する操作を補助するようになっている。
【0003】
ところで、上記従来のステアリング装置においては、入力シャフト、出力シャフト及びトーションバーを結合する際に、トルクセンサの出力値がゼロとなるように、入力シャフトと出力シャフトとの関係を設定(所謂、ゼロ点設定であり、以下、「センタリング」と称呼する。)した上で行われる。具体的には、先ず、入力シャフト及び出力シャフトの何れか、例えば、入力シャフトにトーションバーの一端を圧入して固定し、固定されたトーションバーに対して出力シャフトを仮組み付けする。そして、この仮組み付け状態で、トルクセンサの出力値がゼロとなるように出力シャフトを回転させ、出力シャフトとトーションバーの他端とを結合する。
【0004】
一般に、トーションバーを出力シャフトに結合する場合、出力シャフトにトーションバーの他端を挿入した状態で貫通孔を形成し、この貫通孔に対して連結ピンを圧入して行われる。この場合、貫通孔の形成時に出力シャフトとトーションバーとが相対移動し、貫通孔に連結ピンが圧入されることによって、上述したようにセンタリングされた入力シャフトと出力シャフトとの関係が崩れてしまう可能性がある。従って、入力シャフト及び出力シャフトの何れかとトーションバーとを連結ピンにより結合する際には、貫通孔を精度よく形成することが肝要となる。
【0005】
そこで、連結ピンを用いない結合構造が提案されており、例えば、下記特許文献2に開示されているように、トーションバーに対して、入力シャフトと回転方向にて隙間を有して嵌合する異形断面を有する嵌合部を設けておき、嵌合部の全周に亘って充填材を充填して結合する結合構造を用いることが考えられる。この従来の結合構造によれば、充填材を充填する場合、トーションバーに対して回転方向に無用な力が作用することがなく、センタリングされた入力シャフトと出力シャフトとの関係を崩すことなくトーションバーと結合することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017−24493号公報
【特許文献2】特開平11−321678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の結合構造においては、トーションバーの他端が異形断面となるように、予め加工しておく必要がある。このため、広く流通している安価な汎用のトーションバーを用いることができず、トーションバーの加工に伴う加工コストの増大が懸念される。又、上記従来の結合構造を採用した場合には、トーションバーとシャフトが相対回転する状況下において、シャフトに形成された貫通孔に充填された充填材に大きなせん断力が作用する場合がある。このため、このせん断力の作用に対して耐え得るように、例えば、シャフトに形成する貫通孔の孔径を大きくしたり、貫通孔の数を増加させたりするための追加加工が必要になる可能性がある。
【0008】
本発明は、安価で、筒体と軸体とを相対移動することなく結合することができる結合構造及びステアリング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(結合構造)
本発明に係る結合構造は、軸線の方向に直交する径方向にて開口する貫通孔を有する筒体と、径方向にて開口する凹部を有して筒体に対して挿入された軸体と、を結合する結合構造であって、溶融した状態から固化する形成材料からなり、貫通孔に充填された形成材料が固化した状態で貫通孔の内周面と軸体の外面とを結合する第一結合部と、凹部に充填された形成材料が固化した状態で凹部の開口側の内周面と筒体の内面とを結合する第二結合部と、を備える。
【0010】
これによれば、第一結合部は、貫通孔に充填された形成材料が固化した状態で貫通孔の内周面と軸体の外面とを固定することができる。又、第二結合部は、凹部に充填された形成材料が固化した状態で凹部の内周面と筒体の内面とを固定することができる。これにより、第一結合部及び第二結合部は、筒体と筒体に挿入された軸体とを相対移動(軸線に沿った方向への移動及び軸線の周りに沿った周方向への回転)を生じさせることなく結合することができる。又、筒体及び軸体に対して、例えば、異形断面を有するような特殊な加工を必要とせず、従来から行われているように、単に、筒体に貫通孔を設けるとともに軸体に凹部(例えば、貫通孔)を設け、形成材料を充填して第一結合部及び第二結合部を形成することで筒体と軸体とを結合することができる。従って、安価且つ極めて簡単な構造により、筒体と軸体とを相対移動不能に連結することができる。
【0011】
(ステアリング装置)
本発明に係るステアリング装置は、ステアリングホイールが固定されるステアリングシャフトと、ステアリングシャフトに加えられる操舵トルクがステアリングシャフトを介して伝達されて車両の転舵輪を転舵するラックアンドピニオン機構と、ステアリングシャフトから転舵輪に操舵トルクが伝達されるトルク伝達経路上に設けられて操舵トルクを補助する補助トルクを発生する操舵補助機構と、を備えたステアリング装置であって、ステアリングシャフトは、操舵トルクが入力される入力シャフトと、一端が入力シャフトに結合されて操舵トルクを伝達する軸状のトーションバーと、トーションバーの他端が結合されて操舵トルクを出力する出力シャフトと、を含んで構成されており、入力シャフト及び出力シャフトの少なくとも一方とトーションバーとが上記結合構造により結合される。
【0012】
これによれば、ステアリング装置のステアリングシャフトを構成する入力シャフト及び出力シャフトの少なくとも一方とトーションバーとは、上述した第一結合部及び第二結合部を有する結合構造により結合される。これにより、安価且つ簡単な構造により、入力シャフト及び出力シャフトの少なくとも一方とトーションバーとを結合することができる。又、上記結合構造を用いた場合、上記従来のステアリング装置のように貫通孔及び凹部(例えば、貫通孔)を形成した場合であっても、入力シャフトと出力シャフトとをセンタリングした状態を維持して、第一結合部及び第二結合部が入力シャフト及び出力シャフトの少なくとも一方とトーションバーとを結合することができる。従って、ステアリングホイールの操舵に伴って発生するトーションバーの捩れ変形に基づいて、操舵補助機構は正確に補助トルクを発生させることができる。
【0013】
又、第一結合部がトーションバーの外面に結合され、第二結合部が入力シャフト及び出力シャフトの少なくとも一方の内面に結合される。即ち、上記結合構造では、第一結合部及び第二結合部の結合位置がそれぞれ異なるので、入力シャフト及び出力シャフトの少なくとも一方とトーションバーとを相対移動不能に結合する結合位置の数を増やすことができる。このため、入力シャフト及び出力シャフトの少なくとも一方とトーションバーとが相対回転しようとする際に第一結合部及び第二結合部に作用するせん断力を分散することができる。その結果、第一結合部及び第二結合部のそれぞれに作用するせん断力の大きさは、例えば、上記従来のステアリング装置に用いられる一つの連結ピンに作用するせん断力の大きさよりも小さくなる。従って、第一結合部及び第二結合部に折損等が生じることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る結合構造が適用されるステアリング装置の概略図である。
図2図1のコラムシャフトの構成を示す断面図である。
図3図2の結合構造を構成する貫通孔、凹部及び溝を説明するための斜視図である。
図4】結合構造を構成する第一結合部、第二結合部及び連結部を示す図2のIV−IV断面における断面図である。
図5図2の結合構造を構成する第一結合部、第二結合部及び連結部を示す軸線の方向に平行な断面における断面図である。
図6】本発明の実施形態の第一変形例に係る結合構造を示す軸線の方向に平行な断面における断面図である。
図7】本発明の実施形態の第二変形例に係る結合構造を示す軸線の方向に平行な断面における断面図である。
図8】本発明の実施形態の第三変形例に係る結合構造を示す軸線の方向に平行な断面における断面図である。
図9】本発明の実施形態の第三変形例に係る結合構造を示す軸線の方向に平行な断面における断面図である。
図10】本発明の実施形態の第三変形例に係る結合構造を示す軸線の方向に平行な断面における断面図である。
図11】本発明の実施形態の第四変形例に係る結合構造を示す軸線の方向に平行な断面における断面図である。
図12】結合構造を示す図11のXI−XI断面における断面図である。
図13】本発明の実施形態の第四変形例に係る結合構造を示す軸線の方向に平行な断面における断面図である。
図14】本発明の実施形態の第五変形例に係る結合構造を示す軸線の方向に平行な断面における断面図である。
図15】結合構造を示す図14のXV−XV断面における断面図である。
図16】本発明の実施形態の第六変形例に係る結合構造を示す軸線の方向に平行な断面における断面図である。
図17】結合構造を示す図16のXVII−XVII断面における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る結合構造及びステアリング装置について図面を参照しながら説明する。尚、以下の実施形態及び各変形例の相互において、互いに同一又は均等である部分には、図中、同一符号を付してある。又、説明に用いる各図は、概略図であり、各部の形状は必ずしも厳密なものではない場合がある。
【0016】
(ステアリング装置)
本実施形態に係るステアリング装置Aの構成について説明する。図1に示すように、ステアリング装置Aは、操舵機構10、転舵機構20及び結合構造30を備えている。
【0017】
操舵機構10は、転舵輪23を転舵するためにステアリングホイール11に加えられる操舵トルクを伝達するステアリングシャフト12を備える。ステアリングホイール11が固定されるステアリングシャフト12は、コラムシャフト13、インターミディエイトシャフト14及びピニオンシャフト15の複数のシャフトから構成されている。そして、コラムシャフト13及びインターミディエイトシャフト14の間、インターミディエイトシャフト14及びピニオンシャフト15の間は、それぞれユニバーサルジョイント16を介して連結されて構成される。
【0018】
コラムシャフト13は、図2に示すように、ステアリングホイール11に連結される中空の第一シャフト13aと、第一シャフト13aに対して軸線Jに沿って相対移動可能且つ相対回転不能に連結された第二シャフト13bと、を含んで構成される。尚、第一シャフト13a及び第二シャフト13bは、例えば、第一シャフト13aの内周に設けられたスプライン溝と第二シャフトの外周に設けられたスプライン溝とが嵌合することにより、軸線Jに沿って相対移動可能且つ相対回転不能に連結される。
【0019】
第一シャフト13a及び第二シャフト13bは、図2に示すように、ブラケットBを介して図示しない車体に固定されるステアリングコラムCを構成する中空のコラムジャケットCJの内部に回転可能に収容される。尚、コラムジャケットCJには、図2に示すように、第一シャフト13aを第二シャフト13bに対して軸線Jの方向に相対移動させることにより、ステアリングホイール11の位置を車両前後方向にて調整可能とするテレスコピック機構を作動させるレバー部材が設けられる。テレスコピック機構に関しては、本発明に直接関係しないので、その説明を省略する。
【0020】
又、コラムシャフト13は、図2に示すように、入力シャフト13c、筒体としての出力シャフト13d及び軸体としてのトーションバー13eを含んで構成される。入力シャフト13cは、第二シャフト13bと一体回転可能に連結されており、ステアリングホイール11に加えられた操舵トルクを入力する。出力シャフト13dは、筒状に形成されている。出力シャフト13dは、ユニバーサルジョイント16を介してインターミディエイトシャフト14に連結されており、操舵トルクをインターミディエイトシャフト14に出力する(図1を参照)。
【0021】
トーションバー13eは、軸状に形成されていて、入力シャフト13cと出力シャフト13dとを同軸的に連結し、入力シャフト13cに入力された操舵トルクを出力シャフト13dに伝達する。トーションバー13eは、一端13e1が入力シャフト13cに圧入されて固定されており、他端13e2が出力シャフト13dの挿入部13d1に挿入されて後述する結合構造30により出力シャフト13dに相対移動不能に結合される。トーションバー13eの外面13e3の外径は、出力シャフト13dの挿入部13d1の内径に比して僅かに小さくなるように設定されており、トーションバー13eは出力シャフト13dの挿入部13d1に対して隙間嵌めの関係を有して挿入される。
【0022】
入力シャフト13cに操舵トルクが入力されると、トーションバー13eを介して操舵トルクが出力シャフト13dに伝達され、出力シャフト13dは操舵トルクをインターミディエイトシャフト14に出力する。このとき、トーションバー13eが弾性的に捩じり変形することにより、入力シャフト13cと出力シャフト13dとが、相対回転するようになっている。
【0023】
再び図1に戻り、本実施形態において、ステアリング装置Aには、ステアリングホイール11から転舵輪23までのトルク伝達経路であるコラムシャフト13に、操舵トルクを補助する補助トルクを発生する操舵補助機構Hを構成する電動モータ17及び減速機構18が設けられる。減速機構18は、図2示すように、出力シャフト13dの外方に設けられたケースに収容される。
【0024】
ケースは、図2に示すように、コラムジャケットCJに連結されるとともに出力シャフト13dの外周にベアリングを介して組み付けられる第一ケースK1と、第一ケースK1に連結されるとともに出力シャフト13dの外周にベアリングを介して組み付けられる第二ケースK2と、から構成される。減速機構18は、電動モータ17の回転軸に組み付けられたウォーム(図示省略)と噛合するウォームホイール18aを備えている。ウォームホイール18aは、出力シャフト13dの外周に固定された支持部材18bにより支持されており、出力シャフト13dと一体回転可能に連結されている。
【0025】
電動モータ17は、図示を省略する制御装置により作動が制御される。尚、電動モータ17の作動制御について簡単に説明しておくと、制御装置は、操舵トルクの大きさに応じて補助トルクの大きさを決定し、決定した補助トルクを発生するように電動モータ17の駆動を制御する。操舵トルクは、トーションバー13eが弾性的に捩じり変形して入力シャフト13cと出力シャフト13dとが相対回転し、この相対回転量に基づいて操舵トルクの大きさを検出するレゾルバ等のトルクセンサTを介して取得する。電動モータ17の回転は減速機構18によって減速され、補助トルクとして出力シャフト13d即ちコラムシャフト13に伝達される。これにより、ステアリングホイール11を操舵して転舵輪23を転舵させるための操舵トルクが補助トルクにより補助される。
【0026】
転舵機構20は、図1に示すように、ラックアンドピニオン機構を構成しており、ラック軸21及び略円筒状に形成されたラックハウジング22を備えている。ラック軸21は、軸線の方向に沿って直線往復移動可能にラックハウジング22に支持される。ラックハウジング22は、ラック軸21を収容するラック軸収容部22aと、ピニオンシャフト15を回転可能に収容するピニオンシャフト収容部22bと、から構成される。
【0027】
ラック軸21の両端部には、図示を省略するタイロッド及びナックルを介して転舵輪23が連結される。これにより、操舵機構10のステアリングホイール11が操舵されると、この操舵に伴う操舵トルク及び電動モータ17が発生する補助トルクがステアリングシャフト12の回転を介して転舵機構20に伝達される。この場合、ピニオンシャフト15の回転は、図示を省略するピニオン歯及びラック歯によって、ラック軸21の直線往復移動に変換され、ラック軸21の軸線の方向に沿った移動がタイロッド及びナックルを介して転舵輪23に伝達される。これにより、転舵輪23が転舵されて、車両の進行方向が変更される。
【0028】
(結合構造)
次に、図2図5を用いて、ステアリング装置Aに設けられる結合構造30を説明する。尚、本実施形態及び後述する各変形例においては、結合構造30が入力シャフト13c及び出力シャフト13dの少なくとも一方である出力シャフト13dとトーションバー13eとを結合する場合を説明する。結合構造30は、図2及び図3に示すように、筒体としての出力シャフト13dと、軸体としてのトーションバー13eと、を相対移動不能に結合する。結合構造30は、出力シャフト13dに設けられた径方向Sにて開口する「貫通孔」としての第一貫通孔31と、トーションバー13eに設けられた径方向Sにて開口する「凹部」としての第二貫通孔32と、を予め(後述するセンタリングの前に)備える。ここで、第二貫通孔32は、出力シャフト13dの挿入部13d1にトーションバー13eが挿入された状態で、出力シャフト13dの軸線Jの方向にて二個一対の第一貫通孔31に対応する位置に設けられる。尚、軸線Jは、出力シャフト13d及びトーションバー13eに共通する軸線である。
【0029】
又、結合構造30は、図4及び図5に示すように、第一結合部33、第二結合部34及び連結部35を備えている。ここで、本実施形態においては、第一結合部33、第二結合部34及び連結部35の形成材料Zは、溶融した状態から固化する同一の樹脂材料である。尚、形成材料Zである樹脂材料は、ステアリング装置Aの使用温度域において、固化した状態を維持する樹脂材料である。
【0030】
第一結合部33は、トーションバー13eが挿入部13d1に挿入された出力シャフト13dの第一貫通孔31に溶融した状態で充填された形成材料Zが固化することによって形成される。第一結合部33は、形成材料Zが固化した状態で第一貫通孔31の内周面31aと、トーションバー13eの外面13e3と、を結合する。
【0031】
第二結合部34は、出力シャフト13dの挿入部13d1に挿入されたトーションバー13eの第二貫通孔32に溶融した状態で充填された形成材料Zが固化することによって形成される。第二結合部34は、形成材料Zが固化した状態で第二貫通孔32の内周面32aと、出力シャフト13dの内面13d2と、を結合する。
【0032】
ここで、図4に示すように、第一貫通孔31と第二貫通孔32とは軸線Jの方向において互いに対応する位置となるように設けられるとともに、第一結合部33を形成する第一貫通孔31の軸線J1の方向と、第二結合部34を形成する第二貫通孔32の軸線J2の方向とは、軸線Jの回りにおいて互いに角度を有するように設けられる。具体的に、本実施形態においては、第一貫通孔31(第一結合部33)の軸線J1に対して、第二貫通孔32(第二結合部34)の軸線J2が同一仮想平面上で直交するように設けられる。これにより、第一結合部33及び第二結合部34は、軸線Jの回りにおいて互いに直交する。
【0033】
連結部35は、出力シャフト13d(挿入部13d1)の内面13d2とトーションバー13eの外面13e3との間に溶融した状態で充填された形成材料Zが固化することによって形成される。連結部35は、形成材料Zが固化した状態で第一結合部33及び第二結合部34を連結する。
【0034】
具体的に、本実施形態の結合構造30は、出力シャフト13d(挿入部13d1)の内面13d2及びトーションバー13eの外面13e3のうちの少なくとも一方に、軸線Jの周方向に形成されて、第一貫通孔31及び第二貫通孔32に連通する溝36を有する。尚、本実施形態においては、図5に示すように、トーションバー13eの外面13e3にて周方向に形成されて、第一貫通孔31及び第二貫通孔32に連通するように溝36が形成される。このように溝36が形成された場合には、連結部35は、溝36に溶融した状態で充填された形成材料Zが固化することによって形成される。このため、例えば、溝36の溝幅及び溝深さを適宜設定することにより、連結部35は所望の板厚を有するように形成される。これにより、連結部35は、強固に第一結合部33及び第二結合部34を連結する。
【0035】
このように構成される結合構造30においては、トーションバー13eは、一端13e1を入力シャフト13cに固定した後、入力シャフト13cと出力シャフト13dとがセンタリングされた状態で、他端13e2が出力シャフト13dの挿入部13d1に挿入される。これにより、入力シャフト13cと出力シャフト13dとは、操舵トルクの大きさがゼロ(即ちトルクセンサTからの出力値がゼロ)となる関係に設定される。続いて、出力シャフト13dに互いに同軸に設けられた二個一対の第一貫通孔31のうちの一方の第一貫通孔31から溶融した状態の形成材料Z(以下、「溶融材料」とも称呼する。)が充填される。この場合、例えば、閉型内に出力シャフト13d及びトーションバー13eを固定した状態で、第一貫通孔31から出力シャフト13dの内部に向けて溶融材料が射出される。
【0036】
これにより、二個一対のうちの一方の貫通孔である第一貫通孔31から出力シャフト13dの内部に向けて射出された溶融材料は第一貫通孔31に連通する溝36に流れる。溝36に流れた溶融材料は、溝36と連通する第二貫通孔32に向けて流れる。第二貫通孔32に流れた溶融材料は、第二貫通孔32の内部、少なくとも、第二貫通孔32の内周面32a(「凹部の開口側の内周面」)に流入する。
【0037】
尚、溶融材料が第二貫通孔32の両端から同時に流入する場合、第二貫通孔32内に存在する空気の影響により、特に、第二貫通孔32の中央部分に溶融材料が充填されない可能性がある。このため、溶融材料を射出する場合、図4に示す状態において、例えば、溶融材料がトーションバー13eの外面13e3を時計回りに進む場合と反時計回りに進む場合とを交互に切り替える、或いは、時計回りの一方向に進むように、第一貫通孔31から溶融材料を射出する方向が制御される。又は、第二貫通孔32内の空気の影響を無くすために、例えば、出力シャフト13d及びトーションバー13eを減圧した状態で溶融材料を射出することも可能である。
【0038】
第一貫通孔31に溶融した状態で充填された形成材料Z(樹脂材料)は、冷却(自然冷却又は急速冷却等)されると固化し、第一結合部33を形成する。第一結合部33は、形成材料Zが充填された後に固化して形成されるので、第一貫通孔31の内周面31a及びトーションバー13eの外面13e3に対して密着している(固定されている)。又、第二貫通孔32に溶融した状態で充填された形成材料Z(樹脂材料)は、冷却されると固化し、第二結合部34を形成する。第二結合部34は、形成材料Zが充填された後に固化して形成されるので、第二貫通孔32の内周面32a及び出力シャフト13dの内面13d2に対して密着している(固定されている)。
【0039】
更に、溝36に溶融した状態で充填された形成材料Z(樹脂材料)は、冷却されると固化し、連結部35を形成する。溝36は、第一貫通孔31及び第二貫通孔32と連通しているので、固化した連結部35は、第一結合部33及び第二結合部34を強固に連結する。尚、連結部35は溝36内に充填された形成材料Z(樹脂材料)が固化して形成されるので、溝36の外面(トーションバー13eの外面13e3)と出力シャフト13d(挿入部13d1)の内面13d2とに密着している(固定されている)。従って、連結部35は、第一結合部33及び第二結合部34を強固に連結するとともに、出力シャフト13d及びトーションバー13eの間の相対移動も防止する。
【0040】
以上の説明からも理解できるように、上記実施形態に係る結合構造30は、ステアリングホイール11が固定されるステアリングシャフト12と、ステアリングシャフト12に加えられる操舵トルクがステアリングシャフト12を介して伝達されて車両の転舵輪23を転舵するラックアンドピニオン機構である転舵機構20と、ステアリングシャフト12から転舵輪23に操舵トルクが伝達されるトルク伝達経路(コラムシャフト13)上に設けられて操舵トルクを補助する補助トルクを発生する操舵補助機構Hを構成する電動モータ17及び減速機構18と、を備え、ステアリングシャフト12(ステアリングホイール11に連結されるコラムシャフト13)が、操舵トルクが入力される入力シャフト13cと、一端13e1が入力シャフト13cに連結されて操舵トルクを伝達する軸状のトーションバー13eと、トーションバー13eの他端が連結されて操舵トルクを出力する筒状の出力シャフト13dと、を含んで構成されるステアリング装置Aに適用される。
【0041】
上記実施形態に係る結合構造30は、軸線Jの方向に直交する径方向Sにて開口する貫通孔としての第一貫通孔31を有する筒体としての入力シャフト13c及び出力シャフト13dの少なくとも一方である出力シャフト13dと、出力シャフト13dの挿入部13d1に対して同軸に挿入されて径方向Sにて開口する凹部としての第二貫通孔32を有する軸体としてのトーションバー13eと、を結合する結合構造であって、溶融した状態から固化する形成材料Zからなり、第一貫通孔31に充填された形成材料Z(樹脂材料)が固化した状態で第一貫通孔31の内周面31aとトーションバー13eの外面13e3とを結合する第一結合部33と、第二貫通孔32に充填された形成材料Z(樹脂材料)が固化した状態で第二貫通孔32の開口側の内周面32aと出力シャフト13d(挿入部13d1)の内面13d2とを結合する第二結合部34と、を備える。
【0042】
これによれば、第一結合部33は、第一貫通孔31に溶融した状態で充填された形成材料Zが固化した状態で筒体である出力シャフト13dに設けられた第一貫通孔31の内周面31aと軸体であるトーションバー13eの外面13e3とを結合することができる。又、第二結合部34は、第二貫通孔32に溶融した状態で充填された形成材料Zが固化した状態でトーションバー13eに設けられた第二貫通孔32の内周面32aと出力シャフト13d(挿入部13d1)の内面13d2とを結合することができる。これにより、第一結合部33及び第二結合部34は、出力シャフト13dと出力シャフト13dに挿入されたトーションバー13eとを相対移動(軸線Jに沿った方向への移動及び軸線Jの周りに沿った周方向への回転)を生じさせることなく結合することができる。
【0043】
又、出力シャフト13d及びトーションバー13eに対して、例えば、異形断面を有するような特殊な加工を必要とせず、従来から行われているように、単に、出力シャフト13dに第一貫通孔31を設けるとともにトーションバー13eに第二貫通孔32を設け、入力シャフト13cと出力シャフト13dとをセンタリングした後に、それぞれの第一貫通孔31及び第二貫通孔32に形成材料Z(樹脂材料)を充填して固化させることで、出力シャフト13dとトーションバー13eとを結合することができる。従って、安価且つ極めて簡単な構造により、出力シャフト13dとトーションバー13eとを相対移動不能に連結することができる。
【0044】
又、従来のステアリング装置のように第一貫通孔31及び第二貫通孔32が形成された場合であっても、入力シャフト13cと出力シャフト13dとがセンタリングされた状態を維持して、第一結合部33及び第二結合部34が出力シャフト13dとトーションバー13eとを結合することができる。これにより、トーションバー13eを出力シャフト13dに結合する際に入力シャフト13cと出力シャフト13dとがセンタリングされた関係を崩すことがない。従って、ステアリングホイール11の操舵に伴って発生するトーションバー13eの捩れ変形に基づいて、操舵補助機構Hを構成する電動モータ17に正確な補助トルクを発生させることができる。
【0045】
更に、第一結合部33がトーションバー13eの外面13e3に結合され、第二結合部34が出力シャフト13d(挿入部13d1)の内面13d2に結合される。即ち、結合構造30では、第一結合部33及び第二結合部34の結合位置がそれぞれ異なるので、出力シャフト13dとトーションバー13eとを相対移動不能に結合する結合位置の数を増やすことができる。このため、出力シャフト13d及びトーションバー13eが相対回転しようとする際に第一結合部33及び第二結合部34に作用するせん断力を分散することができる。その結果、第一結合部33及び第二結合部34に作用するせん断力の大きさは、例えば、従来のステアリング装置に用いられる一つ連結ピンに作用するせん断力の大きさよりも小さくなる。従って、第一結合部33及び第二結合部34に折損等が生じることを防止することができる。
【0046】
又、この場合、出力シャフト13dの内面13d2とトーションバー13eの外面13e3との間に充填された形成材料Zが固化した状態で第一結合部33及び第二結合部34を連結する連結部35を備えることができる。
【0047】
これによれば、第一結合部33及び第二結合部34が連結部35によって連結することができる。ここで、連結部35は、出力シャフト13dの内面13d2とトーションバー13eの外面13e3との間に形成されるので、第一結合部33におけるトーションバー13eの外面13e3の結合位置及び第二結合部34における出力シャフト13d(挿入部13d1)の内面13d2との結合位置を連結することができる。これにより、出力シャフト13dとトーションバー13eとが相対移動しようとする際のせん断力に対して、連結部35が摩擦力等を発生して抵抗として作用し、第一結合部33及び第二結合部34の剛性を高めることができる。従って、第一結合部33及び第二結合部34は、良好に出力シャフト13dとトーションバー13eとの相対移動を防止することができる。
【0048】
この場合、連結部35は、出力シャフト13dの内面13d2及びトーションバー13eの外面13e3のうちの少なくとも一方であるトーションバー13eの外面13e3に周方向に形成されて第一貫通孔31及び第二貫通孔32に連通する溝36に溶融した状態で充填された形成材料Zが固化した状態で第一結合部33及び第二結合部34を連結することができる。
【0049】
これによれば、簡単な加工によりトーションバー13eの外面13e3に周方向にて溝36を設け、この溝36を用いて連結部35を形成することができる。これにより、例えば、形成する溝36の溝幅及び溝深さを適宜設定することにより、連結部35の強度を高めることができ、より強固に第一結合部33及び第二結合部34を連結することができる。従って、第一結合部33及び第二結合部34は、より良好に出力シャフト13dとトーションバー13eとの相対移動を防止することができる。
【0050】
更に、これらの場合、第一結合部33を形成する第一貫通孔31の軸線J1の方向と、第二結合部34を形成する第二貫通孔32の開口側の軸線J2の方向と、は、出力シャフト13dの軸線Jの回りにおいて互いに角度を有して直交することができる。
【0051】
これによれば、第一貫通孔31に形成された第一結合部33がトーションバー13eの外面13e3と結合する結合位置と、第二貫通孔32に形成された第二結合部34が出力シャフト13dの内面13d2と結合する結合位置と、を周方向にて(等間隔に)離間させることができる。これにより、第一結合部33及び第二結合部34が出力シャフト13d及びトーションバー13eを連結した際、例えば、出力シャフト13dに対してトーションバー13eが径方向Sに相対移動する(軸ずれを生じる)ことを効果的に防止することができる。従って、出力シャフト13d及びトーションバー13eを同軸に維持することができ、出力シャフト13d及びトーションバー13eを良好に一体回転させることができる。
【0052】
ここで、結合構造30を形成する場合、入力シャフト13cと出力シャフト13dとをセンタリングした状態で、出力シャフト13dの挿入部13d1にトーションバー13eの他端13e2の側を挿入して仮組み付けする第一工程と、仮組み付けされた出力シャフト13dに設けられた二個一対の第一貫通孔31のうちの一方の第一貫通孔31(即ち、「貫通孔」)から溶融した状態の形成材料Zを充填するとともに、第二貫通孔32(即ち、「凹部」)及び溝36に溶融した状態の形成材料Zを充填する第二工程と、第一貫通孔31、第二貫通孔32及び溝36に充填された形成材料Zを冷却して固化させて第一結合部33、第二結合部34及び連結部35を形成する第三工程と、を経て結合構造30が形成される。この場合、溶融した状態の形成材料Zを射出する場合には、仮組み付けされた出力シャフト13d及びトーションバー13eを型締めする工程と、形成材料Zの射出後(第一結合部33、第二結合部34及び連結部35の形成後)、結合された出力シャフト13d及びトーションバー13eを型から取り出す工程と、が追加される。
【0053】
(実施形態の第一変形例)
上記実施形態においては、第一結合部33の軸線J1と第二結合部34の軸線J2とが、互いに直交し、且つ、同一仮想平面上に存在する(換言すれば、交点を有する)ようにした。これに代えて、図6に示すように、第一結合部33の軸線J1と第二結合部34の軸線J2とが、互いにねじれの位置関係で直交するように、第一結合部33及び第二結合部34を設けることも可能である。
【0054】
この場合においても、図6に示すように、トーションバー13eの外面13e3に設けられる溝36は、第一貫通孔31及び第二貫通孔32と連通するように形成される。これにより、この第一変形例においても、上記実施形態と同様に、一対の第一貫通孔31のうちの一方から溶融した状態の形成材料Z(樹脂材料)を射出することにより、溝36を介して、溶融した状態の形成材料Zが第二貫通孔32に流入することができる。従って、この第一変形例においても、結合構造30は第一結合部33、第二結合部34及び連結部35を有することができ、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0055】
(実施形態の第二変形例)
上記実施形態及び上記第一変形例においては、貫通孔としての第一貫通孔31及び凹部としての第二貫通孔32の開口形状を円形状とした。これに代えて、図7に示すように、第一貫通孔31及び第二貫通孔32の開口形状を長孔形状とすることも可能である。
【0056】
この場合、図7に示すように、出力シャフト13d及びトーションバー13eが互いに相対回転する方向、即ち、軸線Jの周方向に沿って長孔形状とすることができる。これにより、相対回転時における第一結合部33及び第二結合部34の剛性を大きくすることができ、出力シャフト13d及びトーションバー13eの間の相対回転を確実に防止することができる。又、剛性を大きくすることができるので、第一結合部33及び第二結合部34に折損が生じることを防止することができる。その他の効果については、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0057】
(実施形態の第三変形例)
上記実施形態及び上記各変形例においては、トーションバー13eの外面13e3に周方向にて溝36を形成するようにした。これにより、第一貫通孔31から溶融した状態の形成材料Z(樹脂材料)を射出することにより、第二貫通孔32に対して溶融した状態の形成材料Zを効率よく供給できるようにした。これに代えて、図8図10に示すように、例えば、出力シャフト13d(挿入部13d1)の内面13d2とトーションバー13eの外面13e3との間に隙間が設定されている場合には、溝36を省略することも可能である。
【0058】
この場合、結合構造30には溝36が設けられていないので、上記実施形態と同様に、溶融した状態の形成材料Zを第一貫通孔31から射出すると、形成材料Zが出力シャフト13dの内面13d2とトーションバー13eの外面13e3との間にて、軸線Jに沿った方向にも形成材料Zが流れる可能性がある。そこで、この第三変形例においては、溶融した状態の形成材料Z(樹脂材料)を第一貫通孔31及び第二貫通孔32に充填する場合、例えば、形成材料Zを第一貫通孔31に加圧することなく流し込むようにする。これにより、第一貫通孔31から流し込まれた形成材料Zは、図8図10に示すように、上記実施形態の場合に比して軸線Jに沿った方向に広がるものの、自重によって第二貫通孔32に向けて流れる。尚、この場合においては、出力シャフト13dの内面13d2とトーションバー13eの外面13e3との間に充填された形成材料Zが固化することにより、連結部35が形成される。
【0059】
従って、この第三変形例においても、第一貫通孔31及び第二貫通孔32に溶融した状態の形成材料Zを充填することが可能となる。尚、図9に示すように、第一貫通孔31と第二貫通孔32とが互いにねじれの位置にある場合には、溶融した状態の形成材料Zが第二貫通孔32に向けて流れるように、例えば、出力シャフト13d及びトーションバー13eを第二貫通孔32側が低くなるように傾ける。これにより、溶融した状態の形成材料Zは、自重により、第二貫通孔32に向けて流れるので、第二貫通孔32に溶融した状態の形成材料Zを充填することが可能となる。これにより、この第三変形例においても、結合構造30は第一結合部33、第二結合部34及び連結部35を有することができ、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0060】
(実施形態の第四変形例)
上記実施形態においては、第一結合部33の軸線J1と第二結合部34の軸線J2とが互いに角度を有するようにした。これに代えて、図11及び図12に示すように、第一結合部33の軸線J1と第二結合部34の軸線J2とを、重なることなく平行となるように設けることも可能である。この場合においても、溶融した状態の形成材料Zが第一貫通孔31から射出されることにより、トーションバー13eの外面13e3にて周方向に設けられた溝36を介して第二貫通孔32に溶融した状態の形成材料Zが流れる。これにより、溶融した状態の形成材料Zが第二貫通孔32に充填される。従って、この第四変形例においても、結合構造30は第一結合部33、第二結合部34及び連結部35を有することができるので、上記実施形態と同等の効果が期待できる。
【0061】
ところで、この場合、上述したようにトーションバー13eの外面13e3にて周方向に溝36を形成することに代えて、図13に示すように、トーションバー13eの外面13e3にて軸線Jの方向に沿って形成され、第一貫通孔31及び第二貫通孔32に連通する溝37を二つ形成することも可能である。このように、軸線Jの方向に沿った溝37を二つ設けた場合、溶融した状態の形成材料Zは、例えば、一対の第一貫通孔31の両方から射出される。これにより、溶融した状態の形成材料Zが第一貫通孔31から射出されると、形成材料はそれぞれの溝37を介して第二貫通孔32の両端から内部に流入する。そして、溶融した状態の形成材料Zは、第二貫通孔32に流入して充填される。従って、この場合においても、第一結合部33及び第二結合部34が形成され、第一結合部33及び第二結合部34は溝37に充填された形成材料Zが固化して形成された二個一対の連結部35によって連結されるので、上記実施形態と同等の効果が期待できる。
【0062】
(実施形態の第五変形例)
上記実施形態においては、結合構造30が溝36を有しており、第一貫通孔31から溶融した状態の形成材料Zを射出することにより、溝36を介して第二貫通孔32に形成材料Zが充填されるとともに溝36内で形成材料Zが固化して連結部35が形成されるようにした。これに代えて、図14及び図15に示すように、結合構造30から連結部35を省略することも可能である。
【0063】
この場合、溶融した状態の形成材料Zを第一貫通孔31から射出又は流し込みをしても第二貫通孔32に形成材料Zを適切に充填することが困難である。そこで、この第五変形例においては、例えば、第一貫通孔31及び第二貫通孔32に柱状の形成材料Z(樹脂材料)を(圧入することなく)予め挿入しておく。そして、この状態で形成材料Zを、例えば、炉中に投入したり、高周波加熱によって加熱したりすることにより、柱状の形成材料Zを第一貫通孔31及び第二貫通孔32内で溶融させる。これにより、溶融した状態の形成材料Zが固化することにより、第一結合部33及び第二結合部34を形成することができる。
【0064】
このように形成された第一結合部33も、上記実施形態と同様に、出力シャフト13dに設けられた第一貫通孔31の内周面31aとトーションバー13eの外面13e3とを連結することができる。又、このように形成された第二結合部34も、上記実施形態と同様に、トーションバー13eに設けられた第二貫通孔32の内周面32aと出力シャフト13d(挿入部13d1)の内面13d2とを連結することができる。従って、この第五変形例においては、第一結合部33及び第二結合部34が連結部35によって連結されない点で異なるものの、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【0065】
(実施形態の第六変形例)
上記実施形態及び上記各変形例においては、出力シャフト13dに一対の第一貫通孔31を設け、トーションバー13eに一つの第二貫通孔32を設けるようにした。この場合、図16及び図17に示すように、トーションバー13eに更に第二貫通孔32を設けるようにすることも可能である。この場合、それぞれの第二貫通孔32に溶融した状態の形成材料Zが充填されて固化することにより、二つの第二結合部34が形成される。
【0066】
このように、複数の第二貫通孔32を設けた場合、第二結合部34を複数形成することができる。従って、第二結合部34と出力シャフト13dの内面13d2との連結位置の数を増加させることができ、出力シャフト13dとトーションバー13eとが相対移動することを防止することができる。尚、複数の第二結合部34については、それぞれの軸線J2及び軸線J3が同一仮想平面上に存在して交点を有するように形成したり、それぞれの軸線J2及び軸線J3がねじれの位置の関係を有するように形成したりすることも可能である。
【0067】
本発明の実施に当たっては、上記実施形態及び上記各変形例に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて、種々の変形が可能である。
【0068】
例えば、上記実施形態においてはトーションバー13eの外面13e3にて周方向に溝36を設けるようにした。又、上記第四変形例においては、トーションバー13eの外面13e3にて軸線Jに沿った方向に溝37を設けるようにした。これに代えて、出力シャフト13d(挿入部13d1)の内面13d2に溝36又は溝37を設けることも可能である。或いは、出力シャフト13d(挿入部13d1)の内面13d2及びトーションバー13eの外面13e3の両方に、溝36又は溝37を設けることも可能である。
【0069】
又、上記実施形態及び上記各変形例においては、トーションバー13eに凹部として第二貫通孔32を設けるようにした。この場合、形成材料Zの充填状態によっては、第二貫通孔32内の全てに形成材料Zが充填されない状況も生じ得る。ところで、上記実施形態及び上記各変形例において説明したように、第二結合部34は、第二貫通孔32の内周面32aと出力シャフト13dの内面13d2とを結合する。従って、例えば、第二貫通孔32の開口部分に形成材料Zが充填されていれば、第二貫通孔32内の全てに形成材料Zが充填されていることは必須ではない。このため、トーションバー13eに第二貫通孔32を形成することに代えて、凹部として有底穴を設けるようにすることも可能である。
【0070】
又、上記実施形態及び上記各変形例においては、出力シャフト13dに二個一対の第一貫通孔31を同軸に設け、トーションバー13eに第二貫通孔32を設けるようにした。この場合、必要に応じて、出力シャフト13dに一つの第一貫通孔31を設け、トーションバー13eに一つの凹部として有底穴を設けるようにすることも可能である。
【0071】
又、上記実施形態においては、第一結合部33及び第二結合部34を、軸線J1と軸線J2とが直交するように設けた。しかしながら、軸線J1と軸線J2との間の角度については、直角に限定されることはなく、軸線J1と軸線J2とが重なる0°(180°)を除く角度であれば、如何なる角度であっても良い。
【0072】
又、上記実施形態及び上記各変形例においては、結合構造30が出力シャフト13dとトーションバー13eの他端13e2とを結合するようにした。これに代えて、又は、これに加えて、結合構造30が入力シャフト13cとトーションバー13eの一端13e1とを結合することも可能である。
【0073】
又、上記実施形態及び上記各変形例においては、溶融した状態から固化する形成材料Zとして樹脂材料を用いるようにした。これに代えて、形成材料Zとして、出力シャフト13d及びトーションバー13eの融点よりも低い融点の金属材料を用いることも可能である。
【0074】
又、上記実施形態及び上記各変形例においては、同一の形成材料Zを用いて、第一結合部33、第二結合部34及び連結部35を形成するようにした。これに代えて、例えば、上記第五変形例において説明したように形成材料Zを溶融して固化する場合には、第一結合部33、第二結合部34及び連結部35をそれぞれ異なる形成材料Zから形成することも可能である。
【0075】
又、上記実施形態及び上記各変形例のステアリング装置Aにおいては、操舵補助機構Hがコラムシャフト13を構成する出力シャフト13dに補助トルクを付与するように設けるようにした。これに代えて、例えば、ピニオンシャフト15や転舵機構20等、操舵補助機構Hをトルク伝達経路上であれば如何なる位置に設けても良い。又、上記実施形態及び上記各変形例における操舵補助機構Hは、電動モータ17を有しており、電動モータ17が補助トルクを発生するようにした。これに代えて、操舵補助機構Hが、油圧を利用して補助トルクを発生するようにすることも可能である。
【0076】
更に、上記実施形態及び各変形例においては、結合構造30をステアリング装置Aに適用するようにした。結合構造30の適用に関しては、ステアリング装置Aに限定されず、筒体と軸体とを相対移動不能に結合する他の装置、例えば、トランスミッションや、クラッチ装置等に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0077】
10…操舵機構、11…ステアリングホイール、12…ステアリングシャフト、13…コラムシャフト、13a…第一シャフト、13b…第二シャフト、13c…入力シャフト、13d…出力シャフト、13d1…挿入部、13d2…内面、13e…トーションバー、13e1…一端、13e2…他端、13e3…外面、14…インターミディエイトシャフト、15…ピニオンシャフト、16…ユニバーサルジョイント、17…電動モータ、18…減速機構、18a…ウォームホイール、18b…支持部材、20…転舵機構、21…ラック軸、22…ラックハウジング、22a…ラック軸収容部、22b…ピニオンシャフト収容部、23…転舵輪、30…結合構造、31…第一貫通孔(貫通孔)、31a…内周面、32…第二貫通孔(凹部)、32a…内周面、33…第一結合部、34…第二結合部、35…連結部、36…溝、37…溝、A…ステアリング装置、B…ブラケット、C…ステアリングコラム、CJ…コラムジャケット、H…操舵補助機構、J…軸線、J1…軸線、J2…軸線、J3…軸線、K1…第一ケース、K2…第二ケース、S…径方向、T…トルクセンサ、Z…形成材料
図1
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