特開2018-204896(P2018-204896A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2018-204896マルチ型空気調和機の制御装置、マルチ型空気調和機、マルチ型空気調和機の制御方法及びマルチ型空気調和機の制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-204896(P2018-204896A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】マルチ型空気調和機の制御装置、マルチ型空気調和機、マルチ型空気調和機の制御方法及びマルチ型空気調和機の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/84 20180101AFI20181130BHJP
   F24F 11/46 20180101ALI20181130BHJP
   F24F 11/49 20180101ALI20181130BHJP
   F25B 13/00 20060101ALI20181130BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20181130BHJP
   F24F 11/70 20180101ALI20181130BHJP
   F24F 11/86 20180101ALI20181130BHJP
【FI】
   F24F11/02 102F
   F24F11/02 102T
   F25B13/00 104
   F25B1/00 351A
   F25B1/00 351J
   F25B1/00 383
   F24F11/02 102S
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-112734(P2017-112734)
(22)【出願日】2017年6月7日
(71)【出願人】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】三苫 恵介
(72)【発明者】
【氏名】五十住 晋一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 隆博
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 篤
(72)【発明者】
【氏名】大村 峰正
【テーマコード(参考)】
3L092
3L260
【Fターム(参考)】
3L092GA05
3L092JA09
3L092KA10
3L092LA06
3L260AB03
3L260BA54
3L260CB04
3L260CB62
3L260DA08
3L260EA07
3L260FA12
3L260FB04
3L260FB07
3L260FB12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】従来よりも高速に回転する超高速圧縮機が搭載され、運転切替時に圧縮機の回転数の大きな変動がある場合でも圧縮機吐出温度の急上昇を抑止可能なマルチ型空気調和機の制御装置、マルチ型空気調和機、マルチ型空気調和機の制御方法及び制御プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】圧縮機10を備えた室外機2と、電動膨張弁31A〜Dを備えた複数の室内機3と、を備えたマルチ型空気調和機1の制御装置50であって、電動膨張弁は、通常運転時、室内機の停止時に停止時所定開度とされ、所定期間内で室内機3の運転の切り替えが行われ、運転切替後の圧縮機回転数指令値に対する運転切替前の割合が所定倍数を超えると判定された場合に、電動膨張弁の開度を停止時所定開度より大きい1/10以上の開度に変更し、圧縮機10の実回転数が運転切替後の圧縮機回転数指令値に到達した場合に、電動膨張弁の開度を停止時所定開度とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機を備えた少なくとも一つの室外機と、
電動膨張弁を備えた複数の室内機と、
を備えたマルチ型空気調和機の制御装置であって、
前記電動膨張弁は、通常運転時、対応する前記室内機の停止時に停止時所定開度とされ、
所定期間内で前記室内機の運転の切り替えが行われ、運転切替後の前記圧縮機の回転数の指令値である圧縮機回転数指令値に対する運転切替前の前記圧縮機回転数指令値の割合が、所定倍数を超えるか否かを判定する判定手段を有し、
前記割合が前記所定倍数を超えると判定された場合に、停止する前記室内機である停止室内機に対応する前記電動膨張弁の開度を前記停止時所定開度より大きい1/10以上の開度に変更し、
前記割合が前記所定倍数以下であると判定された場合または前記圧縮機の実回転数が前記運転切替後の前記圧縮機回転数指令値に到達した場合に、前記停止室内機に対応する前記電動膨張弁の開度を前記停止時所定開度とするマルチ型空気調和機の制御装置。
【請求項2】
圧縮機を備えた少なくとも一つの室外機と、
電動膨張弁を備えた複数の室内機と、
を備えたマルチ型空気調和機の制御装置であって、
前記電動膨張弁は、通常運転時、対応する前記室内機の冷房運転継続時に過熱度制御された開度とされ、対応する前記室内機の暖房運転継続時に過冷却度制御された開度とされ、
所定期間内で前記室内機の運転の切り替えが行われ、運転切替後の前記圧縮機の回転数の指令値である圧縮機回転数指令値に対する運転切替前の前記圧縮機回転数指令値の割合が、所定倍数を超えるか否かを判定する判定手段を有し、
前記割合が前記所定倍数を超えると判定された場合に、運転継続する前記室内機である運転継続室内機に対応する前記電動膨張弁の開度を前記通常運転時の開度よりも大きい開度に変更し、
前記割合が前記所定倍数以下であると判定された場合または前記圧縮機の実回転数が前記運転切替後の前記圧縮機回転数指令値に到達した場合に、前記運転継続室内機に対応する前記電動膨張弁の開度を前記通常運転時の開度とするマルチ型空気調和機の制御装置。
【請求項3】
前記電動膨張弁は、前記通常運転時、対応する前記室内機の冷房運転継続時に過熱度制御された開度とされ、対応する前記室内機の暖房運転継続時に過冷却度制御された開度とされ、
所定期間内で前記室内機の運転の切り替えが行われ、運転切替後の前記圧縮機の回転数の指令値である圧縮機回転数指令値に対する運転切替前の前記圧縮機回転数指令値の割合が、所定倍数を超えるか否かを判定する判定手段を有し、
前記割合が前記所定倍数を超えると判定された場合に、運転継続する前記室内機である運転継続室内機に対応する前記電動膨張弁の開度を前記通常運転時の開度よりも大きい開度に変更し、
前記割合が前記所定倍数以下であると判定された場合または前記圧縮機の実回転数が前記運転切替後の前記圧縮機回転数指令値に到達した場合に、前記運転継続室内機に対応する前記電動膨張弁の開度を前記通常運転時の開度とする請求項1に記載のマルチ型空気調和機の制御装置。
【請求項4】
冷房運転の場合、前記停止室内機に対応する前記電動膨張弁の開度を、1/10以上、1/2以下とする請求項1または請求項3に記載のマルチ型空気調和機の制御装置。
【請求項5】
暖房運転の場合でかつ前記圧縮機の回転数をPI制御する場合は、運転を継続し、
暖房運転の場合でかつ前記圧縮機の回転数をフィードフォワード制御する場合は、所定期間内で前記室内機の運転の切り替えが行われ、運転切替後の前記圧縮機の回転数の指令値である圧縮機回転数指令値に対する運転切替前の前記圧縮機回転数指令値の割合が、所定倍数を超えるか否かを判定する判定手段を有し、前記割合が前記所定倍数を超えると判定された場合に、前記停止室内機に対応する前記電動膨張弁の開度を、2/10以上、1/2以下とする請求項1、請求項3または請求項4のいずれかに記載のマルチ型空気調和機の制御装置。
【請求項6】
暖房運転の場合でかつフィードフォワード制御の場合は、所定期間内で前記室内機の運転の切り替えが行われ、運転切替後の前記圧縮機の回転数の指令値である圧縮機回転数指令値に対する運転切替前の前記圧縮機回転数指令値の割合が、所定倍数を超えるか否かを判定する判定手段を有し、
前記割合が前記所定倍数を超えると判定された場合に、前記停止室内機の室内ファンを稼働させ、
前記割合が前記所定倍数以下であると判定された場合または前記圧縮機の実回転数が前記運転切替後の前記圧縮機回転数指令値に到達した場合に、前記停止室内機の前記室内ファンを停止させる請求項1または請求項3乃至請求項5のいずれかに記載のマルチ型空気調和機の制御装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の制御装置と、
圧縮機を備えた少なくとも一つの室外機と、
電動膨張弁を備えた複数の室内機と、
を備えたマルチ型空気調和機。
【請求項8】
圧縮機を備えた少なくとも一つの室外機と、
電動膨張弁を備えた複数の室内機と、
を備えたマルチ型空気調和機の制御方法であって、
通常運転時に、前記電動膨張弁が対応する前記室内機の停止時に停止時所定開度とされるステップと、
所定期間内で前記室内機の運転の切り替えが行われ、運転切替後の前記圧縮機の回転数の指令値である圧縮機回転数指令値に対する運転切替前の前記圧縮機回転数指令値の割合が、所定倍数を超えるか否かを判定するステップと、
前記割合が前記所定倍数を超えると判定された場合に、停止する前記室内機である停止室内機に対応する前記電動膨張弁の開度を前記停止時所定開度より大きい1/10以上の開度に変更するステップと、
前記割合が前記所定倍数以下であると判定された場合または前記圧縮機の実回転数が前記運転切替後の前記圧縮機回転数指令値に到達した場合に、前記停止室内機に対応する前記電動膨張弁の開度を前記停止時所定開度とするステップと、
を有するマルチ型空気調和機の制御方法。
【請求項9】
圧縮機を備えた少なくとも一つの室外機と、
電動膨張弁を備えた複数の室内機と、
を備えたマルチ型空気調和機の制御方法であって、
通常運転時に、前記電動膨張弁が、対応する前記室内機の冷房運転継続時に過熱度制御された開度とされ、対応する前記室内機の暖房運転継続時に過冷却度制御された開度とされるステップと、
所定期間内で前記室内機の運転の切り替えが行われ、運転切替後の前記圧縮機の回転数の指令値である圧縮機回転数指令値に対する運転切替前の前記圧縮機回転数指令値の割合が、所定倍数を超えるか否かを判定するステップと、
前記割合が前記所定倍数を超えると判定された場合に、運転継続する前記室内機である運転継続室内機に対応する前記電動膨張弁の開度を通常運転時の開度よりも大きい開度に変更するステップと、
前記割合が前記所定倍数以下であると判定された場合または前記圧縮機の実回転数が前記運転切替後の前記圧縮機回転数指令値に到達した場合に、前記運転継続室内機に対応する前記電動膨張弁の開度を通常運転時の開度とするステップと、
を有するマルチ型空気調和機の制御方法。
【請求項10】
圧縮機を備えた少なくとも一つの室外機と、
電動膨張弁を備えた複数の室内機と、
を備えたマルチ型空気調和機の制御プログラムであって、
通常運転時に、前記電動膨張弁が対応する前記室内機の停止時に停止時所定開度とされる工程と、
所定期間内で前記室内機の運転の切り替えが行われ、運転切替後の前記圧縮機の回転数の指令値である圧縮機回転数指令値に対する運転切替前の前記圧縮機回転数指令値の割合が、所定倍数を超えるか否かを判定する工程と、
前記割合が前記所定倍数を超えると判定された場合に、停止する前記室内機である停止室内機に対応する前記電動膨張弁の開度を前記停止時所定開度より大きい1/10以上の開度に変更する工程と、
前記割合が前記所定倍数以下であると判定された場合または前記圧縮機の実回転数が前記運転切替後の前記圧縮機回転数指令値に到達した場合に、前記停止室内機に対応する前記電動膨張弁の開度を前記停止時所定開度とする工程と、
を有するマルチ型空気調和機の制御プログラム。
【請求項11】
圧縮機を備えた少なくとも一つの室外機と、
電動膨張弁を備えた複数の室内機と、
を備えたマルチ型空気調和機の制御プログラムであって、
通常運転時に、前記電動膨張弁が、対応する前記室内機の冷房運転継続時に過熱度制御された開度とされ、対応する前記室内機の暖房運転継続時に過冷却度制御された開度とされる工程と、
所定期間内で前記室内機の運転の切り替えが行われ、運転切替後の前記圧縮機の回転数の指令値である圧縮機回転数指令値に対する運転切替前の前記圧縮機回転数指令値の割合が、所定倍数を超えるか否かを判定する工程と、
前記割合が前記所定倍数を超えると判定された場合に、運転継続する前記室内機である運転継続室内機に対応する前記電動膨張弁の開度を通常運転時の開度よりも大きい開度に変更する工程と、
前記割合が前記所定倍数以下であると判定された場合または前記圧縮機の実回転数が前記運転切替後の前記圧縮機回転数指令値に到達した場合に、前記運転継続室内機に対応する前記電動膨張弁の開度を通常運転時の開度とする工程と、
を有するマルチ型空気調和機の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチ型空気調和機の制御装置、マルチ型空気調和機、マルチ型空気調和機の制御方法及びマルチ型空気調和機の制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
少なくとも1台の室外機に、複数の室内機が接続されたマルチ型空気調和機において、例えば室内機全台運転から最小容量の室内機1台運転に運転が切り替わる場合、室外機の圧縮機の回転数は最大または最大に近い回転数から最小または最小に近い回転数に切り替わることとなる。ここで、室内機の運転台数が減少すると、圧縮機の回転数が低下するとともに、運転が継続される室内機以外の停止される室内機においては、対応する電動膨張弁は全閉もしくは絞り開度となる。しかし、圧縮機の回転数の低下速度(下降レート)が停止される室内機の電動膨張弁の絞りに追従できない場合がある。
これに対し、特許文献1には、停止される室内機の電動膨張弁を全閉とする信号が出力されると、信号出力前の開度より小さい小開度に所定時間設定した後に全閉とすることが開示されている。
また、特許文献2には、停止される室内機の電動膨張弁を閉める時の速度を、開く時の速度よりも遅くなるようにすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−195855号公報
【特許文献2】特開2001−241799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1及び2に開示された発明では、従来のマルチ型空気調和機における圧縮機が用いられた場合の検討がなされているに過ぎない。従来のマルチ型空気調和機における圧縮機の最大回転数は120から140rps程度であった。しかし、コスト低減の観点より最大回転数が200rps等である超高速圧縮機の搭載が検討されている。圧縮機の最大回転数が200rpsとなると、従来の圧縮機における上昇レート及び下降レートを用いた制御を行うと、最大回転数と最小回転数との偏差が大きくなる。これにより、例えば圧縮機の回転数の下降レートが、停止される室内機の電動膨張弁の絞りにさらに追従できなくなり、この場合圧縮機の吐出温度が急上昇して圧縮機が保護停止し、マルチ型空気調和機の連続運転ができない場合があるという課題が発生する。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、従来よりも高速(例えば200rps等)に回転する超高速圧縮機が搭載され、運転切替において圧縮機の回転数の大きな変動がある場合でも圧縮機の吐出温度の急上昇を抑止可能なマルチ型空気調和機の制御装置、マルチ型空気調和機、マルチ型空気調和機の制御方法及びマルチ型空気調和機の制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のマルチ型空気調和機の制御装置、マルチ型空気調和機、マルチ型空気調和機の制御方法及びマルチ型空気調和機の制御プログラムは以下の手段を採用する。
本発明の第一態様に係るマルチ型空気調和機の制御装置は、圧縮機を備えた少なくとも一つの室外機と、電動膨張弁を備えた複数の室内機と、を備えたマルチ型空気調和機の制御装置であって、前記電動膨張弁は、通常運転時、対応する前記室内機の停止時に停止時所定開度とされ、所定期間内で前記室内機の運転の切り替えが行われ、運転切替後の前記圧縮機の回転数の指令値である圧縮機回転数指令値に対する運転切替前の前記圧縮機回転数指令値の割合が、所定倍数を超えるか否かを判定する判定手段を有し、前記割合が所定倍数を超えると判定された場合に、停止する前記室内機である停止室内機に対応する前記電動膨張弁の開度を前記停止時所定開度より大きい1/10以上の開度に変更し、前記割合が所定倍数以下であると判定された場合または前記圧縮機の実回転数が前記運転切替後の前記圧縮機回転数指令値に到達した場合に、前記停止室内機に対応する前記電動膨張弁の開度を前記停止時所定開度とする。
【0007】
従来のマルチ型空気調和機において、室内機全台運転から最小容量の室内機1台運転に運転が切り替わる場合、室外機の圧縮機の回転数が最大回転数から最小回転数に切り替わっても特に問題が発生することはなかった。
しかし、圧縮機に従来よりも高速(例えば、200rps等)に回転する超高速圧縮機が採用されると、圧縮機の回転数の上限値、すなわち最大回転数が上がり、従来の上昇レートおよび下降レートを用いた制御を行うと、圧縮機の吐出温度が急上昇して保護停止する虞がある。これは、例えば冷房運転において圧縮機の回転数が最大回転数から最小回転数に切り替わる場合において、圧縮機の回転数の下降レートが停止する室内機の電動膨張弁の開度制御に追従できず、冷媒循環量が多くなり、蒸発器(室内熱交換器)の性能に対して冷媒循環量が過多となることで,低圧側冷媒圧力が下がり、これに伴い吐出エンタルピが増加するため結果として圧縮機の吐出温度が急上昇するものである。
そこで、本態様においては、超高速圧縮機を用いたマルチ型空気調和機において、所定期間内で室内機の運転の切り替えが行われ、運転切替後の圧縮機の回転数の指令値である圧縮機回転数指令値に対する運転切替前の圧縮機回転数指令値の割合が所定倍数(例えば5倍)を超える場合、すなわち圧縮機回転数指令値が運転切替前に比べて十分小さい値となった場合において、停止室内機に対応する電動膨張弁の開度を停止時所定開度よりも大きい開度に変更し、圧縮機の実回転数が圧縮機回転数指令値に到達すると停止時所定開度に戻すこととする。
これにより、圧縮機の回転数下降中は停止室内機に対応する電動膨張弁の開度を停止時所定開度よりも大きい開度とすることで、低圧側(室内機側)冷媒圧力の低下速度を遅らせ、これに伴い吐出エンタルピの増加を抑え吐出温度の急激な上昇を抑制することから、圧縮機吐出温度の急上昇による圧縮機の保護停止を回避するため、マルチ型空気調和機の連続運転を行うことができる。
ここで、所定期間とは、運転切替の前後で、所定下降レートで圧縮機回転数を変化させても、室内機の運転台数、運転容量等の運転状態に応じた冷媒循環量に追従させることができない期間とする。
【0008】
本発明の第二態様に係るマルチ型空気調和機の制御装置は、圧縮機を備えた少なくとも一つの室外機と、電動膨張弁を備えた複数の室内機と、を備えたマルチ型空気調和機の制御装置であって、前記電動膨張弁は、通常運転時、対応する前記室内機の冷房運転継続時に過熱度制御された開度とされ、対応する前記室内機の暖房運転継続時に過冷却度制御された開度とされ、所定期間内で前記室内機の運転の切り替えが行われ、運転切替後の前記圧縮機の回転数の指令値である圧縮機回転数指令値に対する運転切替前の前記圧縮機回転数指令値の割合が、所定倍数を超えるか否かを判定する判定手段を有し、前記割合が所定倍数を超えると判定された場合に、運転継続する前記室内機である運転継続室内機に対応する前記電動膨張弁の開度を前記通常運転時の開度よりも大きい開度に変更し、前記割合が所定倍数以下であると判定された場合または前記圧縮機の実回転数が前記運転切替後の前記圧縮機回転数指令値に到達した場合に、前記運転継続室内機に対応する前記電動膨張弁の開度を前記通常運転時の開度とする。
【0009】
本態様においては、圧縮機に従来よりも高速(例えば、200rps等)に回転する超高速圧縮機を用いたマルチ型空気調和機において、所定期間内で室内機の運転の切り替えが行われ、運転切替後の圧縮機回転数指令値に対する運転切替前の圧縮機回転数指令値の割合が所定倍数(例えば5倍)を超える場合、すなわち圧縮機回転数指令値が運転切替前に比べて十分小さい値となった場合において、運転継続室内機に対応する電動膨張弁の開度を通常運転時の開度よりも大きい開度に変更し、圧縮機の実回転数が圧縮機回転数指令値に到達すると通常運転時の開度に戻すこととする。
これにより、圧縮機の回転数下降中は運転継続室内機に対応する電動膨張弁の開度を通常運転時の開度よりも大きい開度とすることで、低圧側(室内機側)冷媒圧力の低下速度を遅らせ、これに伴い吐出エンタルピの増加を抑え吐出温度の急激な上昇を抑制することから、圧縮機吐出温度の急上昇による圧縮機の保護停止を回避するため、マルチ型空気調和機の連続運転を行うことができる。
【0010】
上記第一態様では、前記電動膨張弁は、前記通常運転時、対応する前記室内機の冷房運転継続時に過熱度制御された開度とされ、対応する前記室内機の暖房運転継続時に過冷却度制御された開度とされ、所定期間内で前記室内機の運転の切り替えが行われ、運転切替後の前記圧縮機の回転数の指令値である圧縮機回転数指令値に対する運転切替前の前記圧縮機回転数指令値の割合が、所定倍数を超えるか否かを判定する判定手段を有し、前記割合が所定倍数を超えると判定された場合に、運転継続する前記室内機である運転継続室内機に対応する前記電動膨張弁の開度を前記通常運転時の開度よりも大きい開度に変更し、前記割合が所定倍数以下であると判定された場合または前記圧縮機の実回転数が前記運転切替後の前記圧縮機回転数指令値に到達した場合に、前記運転継続室内機に対応する前記電動膨張弁の開度を前記通常運転時の開度ととしてもよい。
【0011】
本態様においては、圧縮機に従来よりも高速(例えば、200rps等)に回転する超高速圧縮機を用いたマルチ型空気調和機において、所定期間内で室内機の運転の切り替えが行われ、運転切替後の圧縮機回転数指令値に対する運転切替前の圧縮機回転数指令値の割合が所定倍数(例えば5倍)を超える場合、すなわち圧縮機回転数指令値が運転切替前に比べて十分小さい値となった場合において、停止室内機に対応する電動膨張弁の開度を停止時所定開度よりも大きい開度に変更するとともに運転継続室内機に対応する電動膨張弁の開度を通常運転時の開度よりも大きい開度に変更する。また、圧縮機の実回転数が運転切替時の圧縮機回転数指令値に到達すると停止室内機に対応する電動膨張弁の開度を停止時所定開度に戻すとともに、運転継続室内機に対応する電動膨張弁の開度を通常運転時の開度に戻すこととする。
これにより、停止室内機のみ、または運転継続室内機のみの制御を行う場合よりもさらに低圧側(室内機側)冷媒圧力の低下速度を遅らせることができ、圧縮機吐出温度の急上昇を抑え、圧縮機の保護停止を回避するため、マルチ型空気調和機の連続運転をより確実に保証することができる。
【0012】
上記第一態様では、冷房運転の場合、前記停止室内機に対応する前記電動膨張弁の開度を、1/10以上、1/2以下としてもよい。
【0013】
上記第一態様では、暖房運転の場合でかつ前記圧縮機の回転数をPI制御する場合は、運転を継続し、暖房運転の場合でかつ前記圧縮機の回転数をフィードフォワード制御する場合は、所定期間内で前記室内機の運転の切り替えが行われ、運転切替後の前記圧縮機の回転数の指令値である圧縮機回転数指令値に対する運転切替前の前記圧縮機回転数指令値の割合が、前記所定倍数を超えるか否かを判定する判定手段を有し、前記割合が前記所定倍数を超えると判定された場合に、前記停止室内機に対応する前記電動膨張弁の開度を、2/10以上、1/2以下としてもよい。
【0014】
圧縮機に従来よりも高速(例えば、200rps等)に回転する超高速圧縮機が採用されると、圧縮機の回転数の上限値、すなわち最大回転数が上がり、従来の上昇レートおよび下降レートを用いた制御を行うと、圧縮機の吐出温度が急上昇して保護停止する虞がある。これは、例えば暖房運転において圧縮機の回転数が最大回転数から最小回転数に切り替わる場合において、圧縮機の回転数の下降レートが停止する室内機の電動膨張弁の開度制御に追従できず、冷媒循環量が多くなり、蒸発器(室外熱交換器)の性能が下がることで低圧側冷媒圧力が下がり、これに伴い吐出エンタルピが増加するため結果として圧縮機の吐出温度が急上昇するものである。
そこで、本態様においては、超高速圧縮機を用いたマルチ型空気調和機において、所定期間内で室内機の運転の切り替えが行われ、運転切替後の圧縮機回転数指令値に対する運転切替前の圧縮機回転数指令値の割合が所定倍数(例えば5倍)を超える場合、すなわち圧縮機回転数指令値が運転切替前に比べて十分小さい値となった場合において、停止室内機に対応する電動膨張弁の開度を停止時所定開度よりも大きい開度である2/10以上、1/2以下に変更し、圧縮機の実回転数が圧縮機回転数指令値に到達すると停止時所定開度に戻すこととする。
これにより、圧縮機の回転数下降中は停止室内機に対応する電動膨張弁の開度を停止時所定開度よりも大きい開度とすることで、低圧側(室外機側)冷媒圧力の低下速度を遅らせ、これに伴い吐出エンタルピの増加を抑え吐出温度の急激な上昇を抑制することから、圧縮機吐出温度の急上昇による圧縮機の保護停止を回避するため、マルチ型空気調和機の連続運転を行うことができる。
【0015】
上記第一態様では、暖房運転の場合でかつフィードフォワード制御の場合は、所定期間内で前記室内機の運転の切り替えが行われ、運転切替後の前記圧縮機の回転数の指令値である圧縮機回転数指令値に対する運転切替前の前記圧縮機回転数指令値の割合が、所定倍数を超えるか否かを判定する判定手段を有し、前記割合が前記所定倍数を超えると判定された場合に、前記停止室内機の室内ファンを稼働させ、前記割合が前記所定倍数以下であると判定された場合または前記圧縮機の実回転数が前記運転切替後の前記圧縮機回転数指令値に到達した場合に、前記停止室内機の前記室内ファンを停止させるとしてもよい。
【0016】
暖房運転の場合は、室内機側が高圧、室外機側が低圧となる。そこで、室内機が停止されると、対応する電動膨張弁が閉となるとともに室内機ファンが停止される。これにより、高圧がさらに上昇することとなる。
そこで、本態様においては、超高速圧縮機を用いたマルチ型空気調和機において、所定期間内で室内機の運転の切り替えが行われ、運転切替後の圧縮機回転数指令値に対する運転切替前の圧縮機回転数指令値の割合が所定倍数(例えば5倍)を超える場合、すなわち圧縮機回転数指令値が運転切替前に比べて十分小さい値となった場合において、停止室内機の室内ファンを稼働させ、圧縮機の実回転数が運転切替時の圧縮機回転数指令値に到達すると室内ファンを停止することとする。
これにより、冷媒を冷却することができ、停止室内機において高圧がさらに上昇することを防ぐことができる。
【0017】
本発明の第三態様に係るマルチ型空気調和機は、前述のいずれかに記載の制御装置と、圧縮機を備えた少なくとも一つの室外機と、電動膨張弁を備えた複数の室内機と、を備える。
【0018】
本発明の第四態様に係るマルチ型空気調和機の制御方法は、圧縮機を備えた少なくとも一つの室外機と、電動膨張弁を備えた複数の室内機と、を備えたマルチ型空気調和機の制御方法であって、通常運転時に、前記電動膨張弁が対応する前記室内機の停止時に停止時所定開度とされるステップと、所定期間内で前記室内機の運転の切り替えが行われ、運転切替後の前記圧縮機の回転数の指令値である圧縮機回転数指令値に対する運転切替前の前記圧縮機回転数指令値の割合が、所定倍数を超えるか否かを判定するステップと、前記割合が前記所定倍数を超えると判定された場合に、停止する前記室内機である停止室内機に対応する前記電動膨張弁の開度を前記停止時所定開度より大きい1/10以上の開度に変更するステップと、前記割合が前記所定倍数以下であると判定された場合または前記圧縮機の実回転数が前記運転切替後の前記圧縮機回転数指令値に到達した場合に、前記停止室内機に対応する前記電動膨張弁の開度を前記停止時所定開度とするステップと、を有する。
【0019】
本発明の第五態様に係るマルチ型空気調和機の制御方法は、圧縮機を備えた少なくとも一つの室外機と、電動膨張弁を備えた複数の室内機と、を備えたマルチ型空気調和機の制御方法であって、通常運転時に、前記電動膨張弁が、対応する前記室内機の冷房運転継続時に過熱度制御された開度とされ、対応する前記室内機の暖房運転継続時に過冷却度制御された開度とされるステップと、所定期間内で前記室内機の運転の切り替えが行われ、運転切替後の前記圧縮機の回転数の指令値である圧縮機回転数指令値に対する運転切替前の前記圧縮機回転数指令値の割合が、所定倍数を超えるか否かを判定するステップと、前記割合が前記所定倍数を超えると判定された場合に、運転継続する前記室内機である運転継続室内機に対応する前記電動膨張弁の開度を通常運転時の開度よりも大きい開度に変更するステップと、前記割合が前記所定倍数以下であると判定された場合または前記圧縮機の実回転数が前記運転切替後の前記圧縮機回転数指令値に到達した場合に、前記運転継続室内機に対応する前記電動膨張弁の開度を通常運転時の開度とするステップと、を有する。
【0020】
本発明の第六態様に係るマルチ型空気調和機の制御プログラムは、圧縮機を備えた少なくとも一つの室外機と、電動膨張弁を備えた複数の室内機と、を備えたマルチ型空気調和機の制御プログラムであって、通常運転時に、前記電動膨張弁が対応する前記室内機の停止時に停止時所定開度とされる工程と、所定期間内で前記室内機の運転の切り替えが行われ、運転切替後の前記圧縮機の回転数の指令値である圧縮機回転数指令値に対する運転切替前の前記圧縮機回転数指令値の割合が、所定倍数を超えるか否かを判定する工程と、前記割合が前記所定倍数を超えると判定された場合に、停止する前記室内機である停止室内機に対応する前記電動膨張弁の開度を前記停止時所定開度より大きい1/10以上の開度に変更する工程と、前記割合が前記所定倍数以下であると判定された場合または前記圧縮機の実回転数が前記運転切替後の前記圧縮機回転数指令値に到達した場合に、前記停止室内機に対応する前記電動膨張弁の開度を前記停止時所定開度とする工程と、を有する。
【0021】
本発明の第七態様に係るマルチ型空気調和機の制御プログラムは、圧縮機を備えた少なくとも一つの室外機と、電動膨張弁を備えた複数の室内機と、を備えたマルチ型空気調和機の制御プログラムであって、通常運転時に、前記電動膨張弁が、対応する前記室内機の冷房運転継続時に過熱度制御された開度とされ、対応する前記室内機の暖房運転継続時に過冷却度制御された開度とされる工程と、所定期間内で前記室内機の運転の切り替えが行われ、運転切替後の前記圧縮機の回転数の指令値である圧縮機回転数指令値に対する運転切替前の前記圧縮機回転数指令値の割合が、所定倍数を超えるか否かを判定する工程と、前記割合が前記所定倍数を超えると判定された場合に、運転継続する前記室内機である運転継続室内機に対応する前記電動膨張弁の開度を通常運転時の開度よりも大きい開度に変更する工程と、前記割合が前記所定倍数以下であると判定された場合または前記圧縮機の実回転数が前記運転切替後の前記圧縮機回転数指令値に到達した場合に、前記運転継続室内機に対応する前記電動膨張弁の開度を通常運転時の開度とする工程と、を有する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、停止する室内機に対応する電動膨張弁の開度を制御し圧縮機の実回転数が圧縮機回転数指令値に到達するまで停止時所定開度よりも大きくするので、急激な蒸発器性能の低下に伴う低圧側冷媒の圧力低下速度を遅らせ、吐出エンタルピの増加を抑え吐出温度の急激な上昇を抑制することから、吐出温度の急上昇による圧縮機の保護停止を回避し、マルチ型空気調和機の連続運転を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態に係るマルチ型空気調和機を示した概略構成図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る制御装置を示した機能ブロック図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る冷房運転における運転切替時の制御を示したフローチャートである。
図4】本発明の第1実施形態に係る暖房運転における運転切替時の制御を示したフローチャートである。
図5】本発明の第2実施形態に係る冷房運転における運転切替時の制御を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明に係るマルチ型空気調和機の制御装置、マルチ型空気調和機、マルチ型空気調和機の制御方法及びマルチ型空気調和機の制御プログラムの一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0025】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について、図1乃至4を用いて説明する。
図1には、本実施形態に係るマルチ型空気調和機の概略構成図が示されている。
マルチ型空気調和機1は、1台の室外機2に、複数台の室内機3A、3B、3C及び3Dが並列に接続されたものである。複数台の室内機3A、3B、3C及び3Dは、室外機2に接続されているガス側配管(図示せず)と液側配管(図示せず)との間に分岐器6を介して互いに並列に接続されている。
【0026】
室外機2は、冷媒を圧縮するインバータ駆動の圧縮機10と、冷媒の循環方向を切換える四方切換弁12と、冷媒と外気とを熱交換させる室外熱交換器(熱交換器)13と、室外熱交換器13と一体的に構成されている過冷却コイル14と、室外膨張弁(EEVH)15と、液冷媒を貯留するレシーバ16と、液冷媒に過冷却を与える過冷却熱交換器17と、過冷却熱交換器17に分流される冷媒量を制御する過冷却用膨張弁(EEVSC)18と、圧縮機10に吸入される冷媒ガスから液分を分離し、ガス分のみを圧縮機10側に吸入させるアキュームレータ19と、ガス側操作弁20と、液側操作弁21とを備えている。
室外機2側の上記各機器は、冷媒配管22を介して順次接続され、公知の室外側冷媒回路23を構成している。また、室外機2には、室外熱交換器13に対して外気を送風する室外ファン24が設けられている。
【0027】
圧縮機10の吐出側には、圧縮機からの冷媒の吐出温度を検出する圧縮機吐出温度センサ(図示せず)が備えられている。
本実施形態においては、一般的に用いられる圧縮機(回転速度が120〜140rps)よりも回転速度が高速(例えば、200rps以上)となるスクロール圧縮機を使用する場合を例に挙げて説明する。
【0028】
ガス側配管及び液側配管は、室外機2のガス側操作弁20及び液側操作弁21に接続される冷媒配管であり、現場での据え付け施工時に、室外機2とそれに接続される複数台の室内機3A、3B、3C及び3Dとの間の距離に応じて、その配管長が適宜設定されるようになっている。ガス側配管及び液側配管の途中には、分岐器6が設けられ、該分岐器6を介して適宜台数の室内機3A、3B、3C及び3Dが接続されている。これによって、密閉された1系統の冷凍サイクル(冷媒回路)7が構成されている。
【0029】
各室内機3A、3B、3C及び3Dは、室内空気を冷媒と熱交換させて冷却又は加熱し、室内の空調に供する室内熱交換器30と、室内膨張弁(EEVC)(電動膨張弁)31と、室内熱交換器30を介して室内空気を循環させる室内ファン32と、室内コントローラ(図示せず)とを備え、分岐器6に接続されている。
室内膨張弁31は、通常運転時に対応する室内機3が停止する場合は、停止時所定開度とされる。冷房運転の場合の停止時所定開度は全閉、暖房運転の場合の停止時所定開度は全閉に近い微開とされる。
本実施形態では、各室内機3A、3B、3C及び3Dの運転容量はそれぞれ異なり、例えば室内機3Aの運転容量は1.5kW、室内機3B、3C及び3Dの容積は14kWであるとする。
【0030】
図1では、4台の室内機3A、3B、3C及び3Dが設置されている場合について例示しているが、設置台数については任意に決定することができる。
以下の説明において、各室内機3を区別する場合は、末尾にA、B、CまたはDのいずれかを付し、各室内機3を区別しない場合は、A、B、CまたはDを省略する。また、各室内膨張弁31を区別する場合は、末尾にA、B、CまたはDのいずれかを付し、各室内膨張弁31を区別しない場合は、A、B、CまたはDを省略する。
【0031】
制御装置50は、室内コントローラによる設定値や圧縮機吐出温度センサ等による冷媒温度等を取得し、圧縮機10の回転数制御、各室内膨張弁31の開度の制御、四方切換弁12の切替制御、他の各弁の開閉又は開度の制御等を行う。
制御装置50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等である。
【0032】
図2には、本実施形態に係る制御装置の機能ブロック図が示されている。
図2に示されるように、制御装置50は、圧縮機回転数指令値設定部51、圧縮機実回転数取得部52、圧縮機吐出温度検出部53、室内膨張弁開度設定部54及び判定部56を備える。
圧縮機回転数指令値設定部51は、圧縮機10に対し、圧縮機10の回転数の指令値である圧縮機回転数指令値を設定する。
圧縮機実回転数取得部52は、圧縮機10から実回転数を取得する。
圧縮機吐出温度検出部53は、圧縮機吐出温度センサから圧縮機10の吐出温度を取得し、吐出温度が所定の温度(例えば130℃)に到達すると、圧縮機の破損などを防ぐために圧縮機10を保護停止する。
室内膨張弁開度設定部54は、室内膨張弁31の開度を設定する。
判定部56は、圧縮機回転数指令値設定部51の値に基づき、判定を行う。
【0033】
上記のマルチ型空気調和機1において、冷房運転は、以下のように行われる。
圧縮機10で圧縮され、吐出された高温高圧の冷媒ガスは、四方切換弁12により室外熱交換器13側に循環され、室外熱交換器13で室外ファン24により送風される外気と熱交換されて凝縮液化される。この液冷媒は、過冷却コイル14で更に冷却された後、室外膨張弁15を通過し、レシーバ16内にいったん貯留される。
【0034】
レシーバ16で循環量が調整された液冷媒は、過冷却熱交換器17を経て液冷媒配管側を流通される過程で、液冷媒配管から一部分流され、過冷却用膨張弁18で断熱膨張された冷媒と熱交換されて過冷却度が付与される。この液冷媒は、液側操作弁21を経て室外機2から液側配管へと導かれ、分岐器6を介して各室内機3A、3B、3C及び3Dへと分流される。
【0035】
分流された液冷媒は、各室内機3A、3B、3C及び3Dに流入し、各室内膨張弁31で断熱膨張され、気液二相流となって各室内熱交換器30に流入される。各室内熱交換器30では、各室内ファン32により循環される室内空気と冷媒とが熱交換され、室内空気は冷却されて室内の冷房に供される。一方、冷媒はガス化され、分岐器6に至り、他の室内機からの冷媒ガスとガス側配管で合流される。
【0036】
ガス側配管で合流された冷媒ガスは、再び室外機2に戻り、ガス側操作弁20、四方切換弁12を経て、過冷却熱交換器17からの冷媒ガスと合流された後、アキュームレータ19に導入される。アキュームレータ19では、冷媒ガス中に含まれている液分が分離され、ガス分のみが圧縮機10に吸入される。この冷媒は、圧縮機10において再び圧縮され、以上のサイクルを繰り返すことによって冷房運転が行われる。
【0037】
一方、暖房運転は、以下のように行われる。
圧縮機10により圧縮され、吐出された高温高圧の冷媒ガスは、四方切換弁12を介してガス側操作弁20側に循環される。この高圧ガス冷媒は、ガス側操作弁20、ガス側配管を経て室外機2から導出され、分岐器6を経て複数台の室内機3A、3B、3C及び3Dに導入される。
【0038】
室内機3A、3B、3C及び3Dに導入された高温高圧の冷媒ガスは、各室内熱交換器30で各室内ファン32を介して循環される室内空気と熱交換され、これにより加熱された室内空気は室内に吹出されて暖房に供される。一方、各室内熱交換器30で凝縮液化された冷媒は、各室内膨張弁31を経て分岐器6に至り、他の室内機からの冷媒と合流され、液側配管を経て室外機2に戻る。なお、暖房時、室内機3A、3B、3C及び3Dでは、凝縮器として機能する各室内熱交換器30の冷媒出口温度又は冷媒過冷却度が制御目標値となるように、各室内膨張弁31の開度が各室内コントローラ33を介して制御される。
【0039】
室外機2に戻った冷媒は、液側操作弁21を経て過冷却熱交換器17に至り液冷媒配管側を流通される過程で、液冷媒配管から一部分流され、過冷却用膨張弁18で断熱膨張された冷媒と熱交換されて過冷却度が付与される。その後、レシーバ16に流入され、いったん貯留されることにより循環量が調整される。この液冷媒は、室外膨張弁15に供給されて断熱膨張された後、室外熱交換器13に流入される。
【0040】
室外熱交換器13では、室外ファン24から送風される外気と冷媒とが熱交換され、冷媒は外気から吸熱して蒸発ガス化される。この冷媒は、室外熱交換器13から四方切換弁12を経て、過冷却熱交換器17からの冷媒ガスと合流された後、アキュームレータ19に導入される。アキュームレータ19では、冷媒ガス中に含まれている液分が分離されてガス分のみが圧縮機10に吸入され、圧縮機10において再び圧縮される。以上のサイクルを繰り返すことによって暖房運転が行われる。
【0041】
マルチ型空気調和機1における冷房運転において、例えば室内機3が全台(室内機3A、3B、3C及び3D)運転している状態から、室内機3Aのみの運転に切り替わる場合がある。この場合、室内機3の運転容量は43.5kwから1.5kwに減少する。これに伴い、圧縮機10の回転数は、室内機3が全台運転している場合の回転数である最大回転数200rpsから減少させる必要がある。制御装置50においては、圧縮機回転数指令値設定部51により、圧縮機回転数指令値を変更する必要がある。圧縮機10の運転切替時の回転数、すなわち室内機3Aのみの運転の場合の回転数は、以下の(1)式で表される。
【0042】
(圧縮機10の運転切替時の回転数)=(圧縮機10の運転切替直前の回転数)×{(運転切替時の運転容量)/(運転切替直前の運転容量)} (1)
【0043】
(1)式のように行う制御を、本実施形態ではフィードフォワード制御という。
(1)式より、室内機3Aのみの運転の場合の回転数として約6.9rpsが算出されるが、圧縮機10が運転可能な最小回転数は20rpsであることから、圧縮機回転数指令値設定部51は、室内機3Aのみの運転の場合の圧縮機回転数指令値を20rpsに設定する。
また、圧縮機10の回転数の下降レートは一般的に用いられる圧縮機とほぼ同じレートが用いられるものとする。
【0044】
図3は、本実施形態に係る冷房運転における運転切替時の制御を示したフローチャートである。
マルチ型空気調和機1における冷房運転において、各室内機3A、3B、3C及び3Dの全台が運転している状態から、室内機3Aのみの運転に切り替わるとすると、制御装置50は、圧縮機10の回転数の指令値である圧縮機回転数指令値を200rpsから20rpsへ下降レート1rps/sにて減少させる。
図3のステップS301に示されるように、制御装置50の判定部56は、所定期間内で室内機3の運転の切り替えが行われ、圧縮機10の運転切替後の圧縮機回転数指令値に対する運転切替前の圧縮機回転数指令値の割合が所定倍数、例えば5倍を超えるか否かを判定する。本実施形態の場合、運転切替後の圧縮機回転数指令値が20rps、運転切替前の圧縮機回転数指令値が200rpsであることから、5倍を超えると判定され、ステップS302へ遷移する。
ステップS301にて5倍を超えないと判定された場合は、後述するステップS304へ遷移する。
ここで、所定期間とは、運転切替の前後で、所定の下降レート(本実施形態の場合1rps/s)で圧縮機回転数を変化させても、室内機3の運転台数、運転容量等の運転状態に応じた冷媒循環量に追従させることができない期間とする。
【0045】
ステップS301にて圧縮機10の運転切替後の圧縮機回転数指令値に対する運転切替前の圧縮機回転数指令値の割合が5倍を超えると判定されると、制御装置50の室内膨張弁開度設定部54は、停止する室内機3である停止室内機に対応する室内膨張弁31の開度を制御する(S302)。具体的には、室内機3B、3C及び3Dに対応する室内膨張弁31B、31C及び31Dの開度を制御する。
【0046】
発明者らは、一般的に用いられる圧縮機よりも回転速度が高速(例えば、200rps以上)となるスクロール圧縮機を使用する場合において、冷房運転の場合、圧縮機10の吐出温度の急上昇を回避するためには、停止室内機に対応する室内膨張弁31の開度を、停止時所定開度よりも大きい開度の1/10以上とする必要がある、という知見を得た。
よって、制御装置50の室内膨張弁開度設定部54は、室内機3B、3C及び3Dに対応する室内膨張弁31B、31C及び31Dの開度を1/10以上の開度に制御し、ステップS303へ遷移する。室内膨張弁31の開度が制御されることにより、停止室内機の運転が継続される。
【0047】
但し、室内膨張弁31の開度は、運転切替前の開度よりも大きい開度にはしない。室内膨張弁31の開度を運転切替前の開度よりも大きい開度とすると、液バックが発生しやすくなる。液バックが発生すると、圧縮機10に液冷媒が戻り、場合によっては圧縮機10が破損する虞があるためである。
【0048】
制御装置50は、圧縮機実回転数取得部52により取得された圧縮機10の実回転数が、運転切替後の圧縮機回転数指令値20rpsに到達したか否かを随時判定する(S303)。圧縮機10の実回転数が、運転切替後の圧縮機回転数指令値20rpsに到達したと判定されると、制御装置50の室内膨張弁開度設定部54は、停止室内機に対応する室内膨張弁31の開度を、停止時所定開度である全閉に変更する(S304)。これにより、停止室内機は運転が停止される。
ステップS303にて、圧縮機10の実回転数が運転切替後の圧縮機回転数指令値20rpsに到達していないと判定された場合は、ステップS302へ遷移する。
【0049】
また冷房時において、圧縮機10の運転切替後の圧縮機回転数指令値に対する運転切替前の圧縮機回転数指令値の割合が5倍を超えると判定されると、制御装置50の室内膨張弁開度設定部54は、停止室内機に対応する室内膨張弁31の開度を1/10以上1/2以下の開度としてもよい。
【0050】
図4は、本実施形態に係る暖房運転における運転切替時の制御を示したフローチャートである。
マルチ型空気調和機1における暖房運転において、各室内機3A、3B、3C及び3Dの全台が運転している状態から、室内機3Aのみの運転に切り替わるとすると、制御装置50は、圧縮機10の回転数の指令値である圧縮機回転数指令値を200rpsから20rpsへ下降レート1rps/sにて減少させる。
まず制御装置50は、圧縮機10の回転数の制御をPI制御及びフィードフォワード制御のいずれにて行っているか判定する(S401)。ステップS401にてPI制御を行っていると判定された場合は、そのまま運転を継続する。ステップS401にてフィードフォワード制御を行っていると判定された場合は、ステップS402へ遷移する。
次に制御装置50の判定部56は、所定期間内で室内機3の運転の切り替えが行われ、圧縮機10の運転切替後の圧縮機回転数指令値に対する運転切替前の圧縮機回転数指令値の割合が所定倍数(例えば5倍)を超えるか否かを判定する(S402)。本実施形態の場合、運転切替後の圧縮機回転数指令値が20rps、運転切替前の圧縮機回転数指令値が200rpsであることから、5倍を超えると判定され、ステップS403へ遷移する。
ステップS402にて5倍を超えないと判定された場合は、後述するステップS405へ遷移する。
【0051】
ステップS402にて圧縮機10の運転切替後の圧縮機回転数指令値に対する運転切替前の圧縮機回転数指令値の割合が5倍を超えると判定されると、制御装置50の室内膨張弁開度設定部54は、停止する室内機3である停止室内機に対応する室内膨張弁31の開度を制御する(S403)。具体的には、室内機3B、3C及び3Dに対応する室内膨張弁31B、31C及び31Dの開度を制御する。
【0052】
発明者らは、一般的に用いられる圧縮機よりも回転速度が高速(例えば、200rps以上)となるスクロール圧縮機を使用する場合において、暖房運転の場合、圧縮機10の吐出温度の急上昇を回避するためには、停止室内機に対応する室内膨張弁31の開度を、停止時所定開度よりも大きい開度の2/10以上とする必要がある、という知見を得た。暖房時の室内膨張弁31の停止時所定開度は全閉に近い微開であることから、冷房時の開度よりも大きな開度とする必要があるためである。
よって、制御装置50の室内膨張弁開度設定部54は、室内機3B、3C及び3Dに対応する室内膨張弁31B、31C及び31Dの開度を2/10以上の開度に制御し、ステップS404へ遷移する。室内膨張弁31の開度が制御されることにより、停止室内機の運転が継続される。
【0053】
但し、室内膨張弁31の開度は、運転切替前の開度よりも大きい開度にはしない。室内膨張弁31の開度を運転切替前の開度よりも大きい開度とすると、液バックが発生しやすくなる。液バックが発生すると、圧縮機10に液冷媒が戻り、場合によっては圧縮機10が破損する虞があるためである。
【0054】
制御装置50は、圧縮機実回転数取得部52により取得された圧縮機10の実回転数が、運転切替後の圧縮機回転数指令値20rpsに到達したか否かを随時判定する(S404)。圧縮機10の実回転数が、運転切替後の圧縮機回転数指令値20rpsに到達したと判定されると、制御装置50の室内膨張弁開度設定部54は、停止室内機に対応する室内膨張弁31の開度を、停止時所定開度である全閉に近い微開に変更する(S405)。これにより、停止室内機は運転が停止される。
ステップS404にて、圧縮機10の実回転数が運転切替後の圧縮機回転数指令値20rpsに到達していないと判定された場合は、ステップS403へ遷移する。
【0055】
また、暖房時において、圧縮機10の回転数をフィードフォワード制御する場合は、圧縮機10の運転切替後の圧縮機回転数指令値に対する運転切替前の圧縮機回転数指令値の割合が5倍を超えると判定されると、制御装置50の室内膨張弁開度設定部54は、停止室内機に対応する室内膨張弁31の開度を2/10以上1/2以下の開度としてもよい。
【0056】
また、暖房時において、前述した室内膨張弁31の開度制御に加えて、圧縮機10の運転切替後の圧縮機回転数指令値に対する運転切替前の圧縮機回転数指令値の割合が5倍を超えると判定されると、停止室内機に対応する室内ファン32を稼働し、圧縮機の実回転数が運転切替時の圧縮機回転数指令値に到達すると停止室内機に対応する室内ファン32を停止する室内ファン32の運転制御を同時に行うとしてもよい。
この場合は、室内ファン32の運転により冷媒の温度を速く下げることができることから、室内膨張弁31の開度を大きくする必要はないため2/10近傍の開度でよい。
【0057】
以上、説明してきたように、本実施形態に係るマルチ型空気調和機の制御装置、マルチ型空気調和機、マルチ型空気調和機の制御方法及びマルチ型空気調和機の制御プログラムによれば、以下の作用効果を奏する。
圧縮機10に従来よりも高速(例えば、200rps等)に回転する超高速圧縮機を用いたマルチ型空気調和機1の冷房運転において、所定期間内で室内機3の運転の切り替えが行われ、運転切替後の圧縮機10の回転数の指令値である圧縮機回転数指令値に対する運転切替前の圧縮機回転数指令値の割合が所定倍数(例えば5倍)を超える場合、すなわち圧縮機回転数指令値が運転切替前に比べて十分小さい値となった場合において、停止室内機に対応する室内膨張弁31の開度を停止時所定開度よりも大きい開度に変更し、圧縮機10の実回転数が圧縮機回転数指令値に到達すると停止時所定開度に戻すこととする。
これにより、圧縮機10の回転数下降中は停止室内機に対応する室内膨張弁31の開度を停止時所定開度よりも大きい開度とすることで、低圧側(室内機3側)冷媒圧力の低下速度を遅らせ、これに伴い吐出エンタルピの増加を抑え圧縮機10の吐出温度の急激な上昇を抑制することから、圧縮機吐出温度の急上昇による圧縮機10の保護停止を回避するため、マルチ型空気調和機1の連続運転を行うことができる。
【0058】
また本実施形態によれば、暖房運転において、圧縮機10の回転数下降中は停止室内機に対応する室内膨張弁31の開度を停止時所定開度よりも大きい開度とすることで、低圧側(室外機2側)冷媒圧力の低下速度を遅らせ、これに伴い吐出エンタルピの増加を抑え圧縮機10の吐出温度の急激な上昇を抑制することから、圧縮機吐出温度の急上昇による圧縮機10の保護停止を回避するため、マルチ型空気調和機1の連続運転を行うことができる。
【0059】
また本実施形態によれば、暖房運転において所定期間内で室内機3の運転の切り替えが行われ、運転切替後の圧縮機10の回転数の指令値である圧縮機回転数指令値に対する運転切替前の圧縮機回転数指令値の割合が所定倍数(例えば5倍)を超える場合、すなわち圧縮機回転数指令値が運転切替前に比べて十分小さい値となった場合において、停止室内機の室内ファン32を稼働させ、圧縮機10の実回転数が圧縮機回転数指令値に到達すると室内ファン32を停止することとしたため、冷媒を冷却することができ、停止室内機において高圧がさらに上昇することを防ぐことができる。
【0060】
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態について、図5を用いて説明する。
上記した第1実施形態では、停止室内機の室内膨張弁の開度を制御するとしたが、本実施形態では、運転を継続する室内機の室内膨張弁の開度を制御するものである。その他の点については第1実施形態と同様であるので、同様の構成については同一符号を付しその説明は省略する。
【0061】
図5は、本実施形態に係る運転切替時の制御を示したフローチャートである。
マルチ型空気調和機1において、各室内機3A、3B、3C及び3Dの全台が運転している状態から、室内機3Aのみの運転に切り替わるとすると、制御装置50は、圧縮機10の回転数の指令値である圧縮機回転数指令値を200rpsから20rpsへ下降レート1rps/sにて減少させる。
図5のステップS501に示されるように、制御装置50の判定部56は、所定期間内で室内機3の運転の切り替えが行われ、圧縮機10の運転切替後の圧縮機回転数指令値に対する運転切替前の圧縮機回転数指令値の割合が所定倍数(例えば5倍)を超えるか否かを判定する。本実施形態の場合、運転切替後の圧縮機回転数指令値が20rps、運転切替前の圧縮機回転数指令値が200rpsであることから、5倍を超えると判定され、ステップS502へ遷移する。
ステップS501にて5倍を超えないと判定された場合は、後述するステップS504へ遷移する。
【0062】
ステップS501にて圧縮機10の運転切替後の圧縮機回転数指令値に対する運転切替前の圧縮機回転数指令値の割合が5倍を超えると判定されると、制御装置50の室内膨張弁開度設定部54は、運転継続する室内機3である運転継続室内機に対応する室内膨張弁31の開度を制御する(S502)。具体的には、室内機3Aに対応する室内膨張弁31Aの開度を通常運転時の開度よりも大きい開度に制御する。これにより、運転継続室内機において、低圧側冷媒圧力の低下速度が遅くなる。
【0063】
ここで、室内膨張弁31は、通常運転時、冷房運転の場合は過熱度制御された開度とされ、暖房運転の場合は過冷却度制御された開度とされている。また、室内膨張弁31は、通常運転時に対応する室内機3が停止する場合は、停止時所定開度とされる。冷房運転の場合の停止時所定開度は全閉、暖房運転の場合の停止時所定開度は全閉に近い微開とされる。
【0064】
制御装置50は、圧縮機実回転数取得部52により取得された圧縮機10の実回転数が、運転切替後の圧縮機回転数指令値20rpsに到達したか否かを随時判定する(S503)。圧縮機10の実回転数が、運転切替後の圧縮機回転数指令値20rpsに到達したと判定されると、制御装置50の室内膨張弁開度設定部54は、運転計測室内機に対応する室内膨張弁31の開度を、通常運転時の開度に変更する(S504)。これにより、通常運転に戻される。
ステップS503にて、圧縮機10の実回転数が運転切替後の圧縮機回転数指令値20rpsに到達していないと判定された場合は、ステップS502へ遷移する。
【0065】
以上、説明してきたように、本実施形態に係るマルチ型空気調和機の制御装置、マルチ型空気調和機、マルチ型空気調和機の制御方法及びマルチ型空気調和機の制御プログラムによれば、以下の作用効果を奏する。
本態様においては、圧縮機10に従来よりも高速(例えば、200rps等)に回転する超高速圧縮機を用いたマルチ型空気調和機1において、所定期間内で室内機3の運転の切り替えが行われ、運転切替後の圧縮機10の回転数の指令値である圧縮機回転数指令値に対する運転切替前の圧縮機回転数指令値の割合が5倍を超える場合、すなわち圧縮機回転数指令値が運転切替前に比べて十分小さい値となった場合において、運転継続室内機に対応する室内膨張弁31の開度を通常運転時の開度よりも大きい開度に変更し、圧縮機10の実回転数が圧縮機回転数指令値に到達すると通常運転時の開度に戻すこととした。
これにより、圧縮機10の回転数下降中は運転継続室内機に対応する室内膨張弁31の開度を通常運転時の開度よりも大きい開度とすることで、低圧側(室内機3側)冷媒圧力の低下速度を遅らせ、これに伴い吐出エンタルピの増加を抑え圧縮機10の吐出温度の急激な上昇を抑制することから、圧縮機吐出温度の急上昇による圧縮機10の保護停止を回避するため、マルチ型空気調和機1の連続運転を行うことができる。
【0066】
以上、本発明の各実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更なども含まれる。
【0067】
たとえば、マルチ型空気調和機1に対し、第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせて実施するとしてもよい。
この場合、マルチ型空気調和機1において、所定期間内で室内機3の運転の切り替えが行われ、運転切替後の圧縮機10の回転数の指令値である圧縮機回転数指令値に対する運転切替前の圧縮機回転数指令値の割合が所定倍数(例えば5倍)を超える場合、すなわち圧縮機回転数指令値が運転切替前に比べて十分小さい値となった場合において、停止室内機に対応する室内膨張弁31の開度を停止時所定開度よりも大きい開度に変更するとともに運転継続室内機に対応する室内膨張弁31の開度を通常運転時の開度よりも大きい開度に変更する。また、圧縮機10の実回転数が運転切替後の圧縮機回転数指令値に到達すると停止室内機に対応する室内膨張弁31の開度を停止時所定開度に戻すとともに、運転継続室内機に対応する室内膨張弁31の開度を通常運転時の開度に戻すこととする。
このような制御を行うことにより、停止室内機のみ、または運転継続室内機のみの制御を行う場合よりもさらに低圧側冷媒圧力の低下速度を遅らせることができ、圧縮機10の吐出温度の急上昇を抑え、圧縮機10の保護停止を回避するため、マルチ型空気調和機1の連続運転をより確実に保証することができる。
【0068】
また、上記実施形態では、運転切替において圧縮機回転数指令値を用いて判定を行うとしたが、室内機3の運転台数に応じて運転容量が変動することを勘案し、室内機3の運転の切り替え前後における運転容量の合計値に基づいて割合が第1所定倍数(例えば、5倍)を超えるか否か判定しても良い。具体的には、判定部52は、各室内機3の運転容量を検出し、運転切替後の室内機3の運転容量の合計である第1運転容量合計値に対する運転切替前の室内機3の運転容量の合計である第2運転容量合計値の割合が、第1所定倍数(例えば、5倍)を超えるか否かを判定する。
このように、室内機3の運転の切り替えに応じて圧縮機10の回転数で割合を判定するだけでなく、室内機3の運転台数に応じて変化する運転容量に基づいて割合が第1所定倍数(例えば、5倍)を超えるか否かを判定しても良い。
さらに、室内機の運転容量に代えてそれに相当する値を用いるとしてもよい。室内機の運転容量に相当する値としては、例えば室内機が要求する周波数の合計値である室内機要求周波数合計などが挙げられる。
【符号の説明】
【0069】
1 マルチ型空気調和機
2 室外機
3 室内機
10 圧縮機
31 室内膨張弁(電動膨張弁)
32 室内ファン
50 制御装置

図1
図2
図3
図4
図5