特開2018-205094(P2018-205094A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2018-205094段差および傾斜検出装置、この装置を備えた台車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-205094(P2018-205094A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】段差および傾斜検出装置、この装置を備えた台車
(51)【国際特許分類】
   G01B 21/00 20060101AFI20181130BHJP
   G01B 21/02 20060101ALI20181130BHJP
   G01C 7/04 20060101ALI20181130BHJP
【FI】
   G01B21/00 T
   G01B21/02 Z
   G01C7/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-110257(P2017-110257)
(22)【出願日】2017年6月2日
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 俊介
(72)【発明者】
【氏名】木下 優司
(72)【発明者】
【氏名】谷 卓
【テーマコード(参考)】
2F069
【Fターム(参考)】
2F069AA42
2F069AA43
2F069AA77
2F069BB21
2F069BB24
2F069DD15
2F069DD19
2F069DD27
2F069GG04
2F069GG07
2F069GG09
2F069GG58
2F069GG63
2F069GG71
2F069HH09
2F069NN12
(57)【要約】
【課題】高性能な段差および傾斜検出装置、この装置を備えた台車を提供する。
【解決手段】車輪12が走行する走行面Gの段差および傾斜を検出するための装置10であって、車輪12の進行方向Xの前側近傍に設けられ、進行方向X斜め下方の走行面Gまでの距離L1を測定する第1距離センサ14と、この進行方向X斜め下方の走行面Gよりも進行方向後方であって車輪12の接地点Pよりも進行方向X前方の走行面Gまでの距離L2を測定する第2距離センサ16と、第1距離センサ14および第2距離センサ16で一定の時間ごとに連続して測定された距離L1、L2の変化量に基づいて、走行面Gの段差および傾斜を検出する検出手段18とを備えるようにする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪が走行する走行面の段差および傾斜を検出するための装置であって、
車輪の進行方向の前側近傍に設けられ、進行方向斜め下方の走行面までの距離を測定する第1距離センサと、この進行方向斜め下方の走行面よりも進行方向後方であって車輪の接地点よりも進行方向前方の走行面までの距離を測定する第2距離センサと、
第1距離センサおよび第2距離センサで一定の時間ごとに連続して測定された距離の変化量に基づいて、走行面の段差および傾斜を検出する検出手段とを備えることを特徴とする段差および傾斜検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の段差および傾斜検出装置を備えることを特徴とする台車。
【請求項3】
台車の走行速度を制御する制御手段をさらに備え、
この制御手段は、第1距離センサで測定された距離の変化量が所定の第1閾値を超えた場合に、走行速度を減速させるとともに、さらに第2距離センサで測定された距離の変化量が所定の第2閾値を超えた場合に、走行を停止させる制御を行うことを特徴とする請求項2に記載の台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台車などの車両が走行する走行面の段差および傾斜を検出するための段差および傾斜検出装置、ならびに、この装置を備えた台車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、台車などの車両が走行する走行面の段差を検出する装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。こうした装置は、通常、車両の走行方向前方部に鉛直下向きに設置した距離センサ等を備えており、この距離センサ等で床面までの距離を計測することで段差を検出している。
【0003】
しかし、このような装置では、減速距離を加味してタイヤ(車輪)から距離センサまでの距離を適切に設定する必要がある。タイヤと距離センサまでの距離が短い場合には減速距離が取れないため、車両の移動速度を走行全般にわたって落とさなければ段差を正確に検出できないという問題がある。また、段差と傾斜路の違いを検出できないおそれや、車両が傾斜した場合などに誤検出するおそれがあるといった問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017−42223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このため、タイヤ(車輪)から距離センサまでの距離が短い場合でも適用でき、段差と傾斜路を区別して検出することのできる高性能な装置が求められていた。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、高性能な段差および傾斜検出装置、この装置を備えた台車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る段差および傾斜検出装置は、車輪が走行する走行面の段差および傾斜を検出するための装置であって、車輪の進行方向の前側近傍に設けられ、進行方向斜め下方の走行面までの距離を測定する第1距離センサと、この進行方向斜め下方の走行面よりも進行方向後方であって車輪の接地点よりも進行方向前方の走行面までの距離を測定する第2距離センサと、第1距離センサおよび第2距離センサで一定の時間ごとに連続して測定された距離の変化量に基づいて、走行面の段差および傾斜を検出する検出手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る台車は、上述した段差および傾斜検出装置を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る他の台車は、上述した発明において、台車の走行速度を制御する制御手段をさらに備え、この制御手段は、第1距離センサで測定された距離の変化量が所定の第1閾値を超えた場合に、走行速度を減速させるとともに、さらに第2距離センサで測定された距離の変化量が所定の第2閾値を超えた場合に、走行を停止させる制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る段差および傾斜検出装置によれば、車輪が走行する走行面の段差および傾斜を検出するための装置であって、車輪の進行方向の前側近傍に設けられ、進行方向斜め下方の走行面までの距離を測定する第1距離センサと、この進行方向斜め下方の走行面よりも進行方向後方であって車輪の接地点よりも進行方向前方の走行面までの距離を測定する第2距離センサと、第1距離センサおよび第2距離センサで一定の時間ごとに連続して測定された距離の変化量に基づいて、走行面の段差および傾斜を検出する検出手段とを備えるので、例えば、車輪の前側近傍の第2距離センサで測定された距離の変化量が所定の閾値を超える場合を段差、第1距離センサで測定された距離の変化量が所定の閾値を超える場合を傾斜として検出することができる。したがって、車輪から距離センサまでの距離が短い場合でも、段差と傾斜路を区別して検出することができるという効果を奏する。
【0011】
また、本発明に係る台車によれば、上述した段差および傾斜検出装置を備えるので、車輪から距離センサまでの距離が短い場合でも、事前に段差と傾斜路を区別して検出可能であることから、台車の移動速度を走行全般にわたって落とす必要がなくなり、台車の搬送効率を向上することができるという効果を奏する。
【0012】
また、本発明に係る他の台車によれば、台車の走行速度を制御する制御手段をさらに備え、この制御手段は、第1距離センサで測定された距離の変化量が所定の第1閾値を超えた場合に、走行速度を減速させるとともに、さらに第2距離センサで測定された距離の変化量が所定の第2閾値を超えた場合に、走行を停止させる制御を行うので、進行方向に所定の傾斜が検出された場合は減速して走行を継続し、所定の段差が検出された場合は走行を停止することとなる。このため、台車の移動速度を走行全般にわたって落とす必要がなくなり、台車の搬送効率を向上することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明に係る段差および傾斜検出装置、この装置を備えた台車の実施の形態を示す概略側断面図である。
図2図2は、段差検出状況を示す図である。
図3図3は、傾斜路(スロープ)検出状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る段差および傾斜検出装置、この装置を備えた台車の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0015】
(段差および傾斜検出装置)
まず、本発明に係る段差および傾斜検出装置について説明する。
【0016】
図1に示すように、本発明に係る段差および傾斜検出装置10は、車輪12が走行する走行面Gの段差および傾斜を検出するための装置である。この装置10は、車輪12の進行方向Xの前側近傍にそれぞれ設けられた長距離センサ14(第1距離センサ)、短距離センサ16(第2距離センサ)と、検出手段18とを備えている。なお、走行面Gの大部分は水平になっており、部分的に図示しない段差と傾斜が存在する。
【0017】
長距離センサ14、短距離センサ16は、それぞれ測定対象の走行面Gへレーザ光を照射し、反射光を検出して測定点までの距離を算出する光学式センサである。なお、本発明の長距離センサ14、短距離センサ16はこれに限るものではなく、例えば超音波センサや他の種類のセンサを用いても構わない。
【0018】
長距離センサ14は、進行方向Xの斜め下方の走行面Gまでの距離L1を測定するためのものである。短距離センサ16は、鉛直下方の走行面Gまでの距離L2を測定するためのものである。長距離センサ14の測定距離L1は比較的長く、短距離センサ16の測定距離L2は比較的短く設定されている(L1>L2)。このように、本実施の形態では、車輪12の前側近傍に距離センサを2つ設け、一方は鉛直下方を測定対象とし、他方は斜め前方を測定対象としている。
【0019】
なお、短距離センサ16の測定対象は鉛直下方の走行面Gまでの距離に限るものではなく、長距離センサ14の測定対象の走行面Gよりも進行方向X後方であって車輪12の接地点Pよりも進行方向X前方の走行面Gまでの距離であってもよい。すなわち、鉛直下方から若干斜め前方または斜め後方の走行面Gを測定対象としてもよい。
【0020】
検出手段18は、長距離センサ14、短距離センサ16でそれぞれ一定の時間ごとに連続して測定された距離L1、L2の変化量に基づいて、走行面Gの段差および傾斜を検出するためのものである。例えば、短距離センサ16で測定された距離L2の変化量が所定の閾値を超える場合を段差、長距離センサ14で測定された距離L1の変化量が所定の閾値を超える場合を傾斜として検出する。
【0021】
上記構成の動作および作用について説明する。
まず、段差を検出する場合について説明する。図2(1)は段差を検出する前、(2)は段差を検出した後の状態を示したものである。この図に示すように、短距離センサ16で測定される距離L2は、短距離センサ16からのレーザ光の照射点が段差Dを通過した瞬間に大きく変化する。検出手段18は、この変化量が所定の閾値を超える場合に大きな段差として検出する。
【0022】
次に、傾斜を検出する場合について説明する。図3(1)は傾斜を検出する前、(2)は傾斜を検出した後の状態を示したものである。この図に示すように、長距離センサ14で測定される距離L1は、長距離センサ14からのレーザ光の照射点が水平な走行面Gから傾斜路S(スロープ)に入った場合にわずかに変化する。検出手段18は、この変化量が所定の閾値を超える場合に傾斜路(スロープ)または小さな段差として検出する。
【0023】
このように、本実施の形態では、短距離センサ16で測定された距離L2の急激な変化から大きな段差を検出し、長距離センサ14で測定された距離L1のわずかな変化から小さな段差や傾斜路を検出する。したがって、本実施の形態によれば、車輪12から距離センサ14、16までの距離が短い場合でも、段差と傾斜路を区別して検出することができる。また、距離センサ2個という簡単な構成で実現することができる。
【0024】
(台車)
次に、本発明に係る台車について説明する。
【0025】
図1に示すように、本発明に係る台車100は、車輪12と、上記の段差および傾斜検出装置10と、台車の走行速度などを制御する制御装置20(制御手段)とを備えている。車輪12は、図示しないホイールとその外周に装着されたゴム製のタイヤにより構成されている。
【0026】
台車100は、平面視で矩形状の台車本体22を備えており、車輪12はその下面の四隅に設けられている。図の例では台車100の前側左の車輪12のみを示し、他の車輪12については図示を省略している。台車100の後側左右の車輪12は走行用の駆動輪、前側左右の車輪12は操舵輪である。なお、本発明はこれに限るものではなく、台車100の前後のいずれか一方を駆動と操舵が可能な駆動操舵輪、他方を操舵輪で構成してもよいし、台車100に備わる全ての車輪12が駆動操舵輪であってもよい。さらに、台車100に備わる車輪12の数は4輪に限るものではなく、これ以外の複数輪であってもよい。
【0027】
制御装置20は、長距離センサ14および短距離センサ16の測定値に基づいて、図示しない走行モータの回転数を制御することによって、走行モータによる車輪12(駆動輪)の回転駆動を制御し、台車100の走行速度を制御する。より具体的には、この制御装置20は、長距離センサ14で一定の時間ごとに連続して測定された距離L1の変化量が所定の第1閾値を超えた場合に、台車100の走行速度を減速させる制御を行う。さらに、この場合において、短距離センサ16で一定の時間ごとに連続して測定された距離L2の変化量が所定の第2閾値を超えたときには、台車100の走行を停止させる制御を行う。なお、第2閾値は第1閾値よりも大きい閾値である。
【0028】
このため、本実施の形態の長距離センサ14は減速用距離センサとして機能し、短距離センサ16は停止用距離センサとして機能する。ここで、減速とは、例えば台車100が速度30km/hで走行していた場合、15km/hで走行するように、台車100の走行速度を低速にすることであり、台車100の速度を漸次減少させることではない。
【0029】
上記構成の動作および作用について、第1閾値を30mm、第2閾値を80mmに設定した場合を例にとり説明する。
【0030】
図3に示すように、長距離センサ14で測定された距離L1の変化量が第1閾値(30mm)を超えた場合には、段差および傾斜検出装置10の検出手段18が小さな段差やスロープとして検出する。これを検出した時点で制御装置20は台車100の減速制御を行い、台車100の走行速度を比較的短い距離で停止可能な速度に落とす。第1閾値(30mm)を超えない場合には速度を維持する。
【0031】
一方、図2に示すように、短距離センサ16で測定された距離L2の変化量が第2閾値(80mm)を超えた場合には、段差および傾斜検出装置10の検出手段18が大きな段差として検出する。これを検出した時点で制御装置20は台車100の走行を停止(非常停止)する制御を行う。第2閾値(80mm)を超えない場合には、減速したままの速度を維持する。
【0032】
したがって、本実施の形態によれば、傾斜角の大きい傾斜路S(スロープ)や段差Dのある走行面Gを台車100が走行する場合において、車輪12が傾斜路S(スロープ)や段差Dに至る前に事前にそれを検出することができる。そして、傾斜路S(スロープ)を検出した場合は減速して走行を継続し、段差Dを検出した場合は走行を停止(非常停止)するといった動作が可能となる。このため、車輪12から距離センサ14、16までの距離が短い場合でも、台車100の移動速度を走行全般にわたって落とす必要がなくなり、台車100の搬送効率を向上することができる。
【0033】
以上説明したように、本発明に係る段差および傾斜検出装置によれば、車輪が走行する走行面の段差および傾斜を検出するための装置であって、車輪の進行方向の前側近傍に設けられ、進行方向斜め下方の走行面までの距離を測定する第1距離センサと、この進行方向斜め下方の走行面よりも進行方向後方であって車輪の接地点よりも進行方向前方の走行面までの距離を測定する第2距離センサと、第1距離センサおよび第2距離センサで一定の時間ごとに連続して測定された距離の変化量に基づいて、走行面の段差および傾斜を検出する検出手段とを備えるので、例えば、車輪の前側近傍の第2距離センサで測定された距離の変化量が所定の閾値を超える場合を段差、第1距離センサで測定された距離の変化量が所定の閾値を超える場合を傾斜として検出することができる。したがって、車輪から距離センサまでの距離が短い場合でも、段差と傾斜路を区別して検出することができる。
【0034】
また、本発明に係る台車によれば、上述した段差および傾斜検出装置を備えるので、車輪から距離センサまでの距離が短い場合でも、事前に段差と傾斜路を区別して検出可能であることから、台車の移動速度を走行全般にわたって落とす必要がなくなり、台車の搬送効率を向上することができる。
【0035】
また、本発明に係る他の台車によれば、台車の走行速度を制御する制御手段をさらに備え、この制御手段は、第1距離センサで測定された距離の変化量が所定の第1閾値を超えた場合に、走行速度を減速させるとともに、さらに第2距離センサで測定された距離の変化量が所定の第2閾値を超えた場合に、走行を停止させる制御を行うので、進行方向に所定の傾斜が検出された場合は減速して走行を継続し、所定の段差が検出された場合は走行を停止することとなる。このため、台車の移動速度を走行全般にわたって落とす必要がなくなり、台車の搬送効率を向上することができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上のように、本発明に係る段差および傾斜検出装置、この装置を備えた台車は、台車などが走行する走行面の段差および傾斜を検出するのに有用であり、特に、車輪から距離センサまでの距離が短い場合に適している。
【符号の説明】
【0037】
10 段差および傾斜検出装置
12 車輪
14 長距離センサ(第1距離センサ)
16 短距離センサ(第2距離センサ)
18 検出手段
20 制御装置(制御手段)
22 台車本体
100 台車
D 段差
G 走行面
L1,L2 距離
P 接地点
S 傾斜路(スロープ)
X 進行方向
図1
図2
図3