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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-205138(P2018-205138A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】二次電池システム
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/36 20060101AFI20181130BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20181130BHJP
   H01M 10/42 20060101ALI20181130BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20181130BHJP
【FI】
   G01R31/36 A
   H01M10/48 P
   H01M10/42 P
   H02J7/00 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-111092(P2017-111092)
(22)【出願日】2017年6月5日
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000176811
【氏名又は名称】三菱自動車エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174366
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 史郎
(72)【発明者】
【氏名】井上 雅大
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 英司
(72)【発明者】
【氏名】松尾 和貴
(72)【発明者】
【氏名】梅谷 龍彦
(72)【発明者】
【氏名】戸田 典孝
(72)【発明者】
【氏名】望月 瞬
【テーマコード(参考)】
2G216
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
2G216AB01
2G216AB05
2G216BA01
2G216BA16
2G216BA21
2G216BA33
2G216BA34
2G216CA01
2G216CA04
2G216CB22
2G216CB32
2G216CB34
2G216CB51
2G216CB55
2G216CD01
2G216CD04
5G503BA03
5G503BB01
5G503CA11
5G503CB11
5G503EA08
5G503FA06
5G503GD02
5H030AA01
5H030AA09
5H030AS06
5H030AS08
5H030FF22
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
(57)【要約】
【課題】事前の二次電池の劣化試験に要する期間及び労力を軽減できる二次電池システムを提供する。
【解決手段】組電池4の電圧Vと微分値dQ/dVとの関係を示す微分曲線V-dQ/dV上の所定の傾き領域Eに対する微分値dQ/dVとして特定微分値P0を定め、組電池4が劣化進行により第1及び第2のSOH(90%,80%)に至ったときの特定微分値P0に対応する電圧Vとして第1及び第2の基準電圧V1,V2を算出する。組電池4の未使用時からの第1及び第2の基準電圧V1,V2の変化量の自然対数と第1及び第2のSOHとを直線関係と見なして組電池4の各劣化指標と自然対数との相関関係を記憶し、組電池4の充放電時に微分曲線V-dQ/dVの傾き領域Eを介して特定微分値P0と対応する電圧Vを算出し、その変化量の自然対数と記憶されている相関関係とに基づきSOHを推定する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池の電圧Vと、該電圧Vの変化量dVに対する前記二次電池の容量Qの変化量dQの割合である微分値dQ/dVとの関係を示す微分曲線V-dQ/dV上において、所定の傾き領域に対する微分値dQ/dVとして特定微分値が定められると共に、前記二次電池の劣化が進行して第1及び第2の劣化指標に至ったときの前記特定微分値に対応する電圧Vとして第1及び第2の基準電圧が定められ、前記二次電池の未使用時からの前記第1及び第2の基準電圧の変化量の自然対数と前記第1及び第2の劣化指標とを直線関係と見なしたときの、前記二次電池の劣化過程での各劣化指標と前記自然対数との相関関係が予め記憶された相関関係記憶手段と、
前記二次電池の充放電時に、該二次電池の電圧V及び容量Qに基づき前記微分曲線V-dQ/dVを算出する微分曲線算出手段と、
前記微分曲線算出手段により算出された微分曲線V-dQ/dV上で前記特定微分値に対応する前記電圧Vを算出し、該電圧Vの前記二次電池の未使用時からの変化量の自然対数を算出する自然対数算出手段と、
前記各劣化指標と前記自然対数との相関関係を前記相関関係記憶手段から読み出し、該相関関係と前記自然対数算出手段により算出された自然対数とに基づき、前記二次電池の劣化指標を推定する劣化指標推定手段と
を備えたことを特徴とする二次電池システム。
【請求項2】
前記相関関係記憶手段は、前記各劣化指標と自然対数との相関関係が前記二次電池の温度域毎に記憶されて温度毎に算出可能であり、
前記劣化指標推定手段は、前記二次電池の現在の温度に対応する前記相関関係を前記相関関係記憶手段から読み出して前記劣化指標の推定に適用する
ことを特徴とする請求項1に記載の二次電池システム。
【請求項3】
前記二次電池の運用中において現在の二次電池の実際の劣化状態が特定されたときに、該劣化状態から判明した劣化指標と前記自然対数算出手段により算出された自然対数とを、現在の二次電池の劣化状態に対応する真の相関関係と見なし、該真の相関関係を前記相関関係記憶手段に記憶されている相関関係と照合し、照合結果に基づき前記記憶されている相関関係を補正・更新する相関関係補正・更新手段をさらに備えた
ことを特徴とする請求項1または2に記載の二次電池システム。
【請求項4】
前記特定微分値は、前記二次電池の使用に伴う劣化指標の変化に関わらず、常に前記微分曲線上の前記傾き領域のみに対応し続ける微分値dQ/dVとして設定されている
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の二次電池システム。
【請求項5】
前記特定微分値は、定格容量が異なる他の二次電池に設定されている特定微分値に基づき、該他の二次電池との間の定格容量の比率に基づき設定されている
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の二次電池システム。
【請求項6】
前記二次電池の正極電極板は、活物質としてLiMO(Mは、Co,Ni,Al,Mn,Feの内、少なくとも1つを含む遷移金属元素)を含む
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の二次電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池システムに係り、詳しくは、二次電池の劣化度合いを表す劣化指標(SOH:State of Health)を推定する機能を備えた二次電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池の充放電時の容量Q及び電圧Vをパラメータとした微分特性を有する微分曲線は、二次電池の劣化状態に応じて形状が異なる。そこで、微分曲線上に出現する特徴点の推移や変化量等に基づき二次電池の劣化指標を推定する種々の手法が提案されている。
例えば特許文献1に記載された二次電池システムでは、二次電池の放電時に電池容量Qを算出すると共に、電池容量Qの変化量dQに対する電池電圧Vの変化量dVの割合である微分値dV/dQを求め、微分値dV/dQと電池容量Qとの関係から微分曲線Q-dV/dQを算出している。
【0003】
微分曲線Q-dV/dQには状態検知範囲が設定され、その範囲内においてピーク形状の裾部分の極小点及び頂点部分の極大点を特徴点として特定し、両者の電池容量Qに関する差分σ、及び微分値dV/dQに関する差分hを演算する。同様に、予め記録した微分曲線Q-dV/dQの状態検知範囲内において、ピーク形状の裾部分の極小点及び頂点部分の極大点を特徴点として特定し、両者の電池容量Qに関する初期差分σ、及び微分値dV/dQに関する初期差分hを演算する。そして、差分σと初期差分σとの比較、或いは差分hと初期差分hとの比較に基づき二次電池の劣化指標を算出している。
【0004】
また、特許文献2に記載された二次電池システムでは、二次電池の充電中に所定時間T毎に電流値Iを積算して二次電池の蓄電量Qを推定すると共に、蓄電量Qの変化量dQに対する二次電池の電池電圧Vの変化量dVの割合であるdV/dQの値を算出している。そして、所定時間T毎に算出されるdV/dQの値に基づいてリアルタイムにQ-dV/dQ曲線を描き、そのQ-dV/dQ曲線K上の何れかの特徴点A〜C(極大-極小-極大点)での蓄電量QSA〜Cと、予め記憶しているQ−dV/dQ曲線上の対応する特徴点A〜Cでの蓄電量QKA〜Cとの差分値を算出し、推定した蓄電量Qを差分値により補正している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2013/157132号
【特許文献2】特開2010−257984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の二次電池システムでは初期差分σ,hの特定のために、特許文献2の二次電池システムでは特徴点A〜Cでの蓄電量QSA〜Cの特定のために、それぞれ事前に二次電池の劣化試験を実施する必要がある。そして劣化試験では、二次電池のSOHを寿命限界(例えばSOH70%)まで段階的に劣化させ、劣化過程の各SOHにおいて、二次電池を充放電して充電率(SOC:State of Charge)を変化させたときの微分値dQ/dVから微分曲線V-dQ/dVを算出し、その微分曲線V-dQ/dVに基づき上記した初期差分σ,hや蓄電量QSA〜Cを求めている。
【0007】
二次電池を劣化させるには実際の使用時と同様に充放電を繰り返すしかなく、寿命限界までの劣化には膨大な期間(例えば、6ヶ月程度)を要する。しかも、寿命限界までの多数のSOHにおいて、それぞれ二次電池を充放電して微分曲線V-dQ/dVを算出した上で初期差分σ,hや蓄電量QSA〜Cを求める必要があり、その労力に関しても膨大なものとなる。このため従来から、事前の二次電池の劣化試験に要する期間及び労力を軽減する対策が要望されていた。
【0008】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、事前の二次電池の劣化試験に要する期間及び労力を軽減することができる二次電池システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明の二次電池システムは、二次電池の電圧Vと、該電圧Vの変化量dVに対する前記二次電池の容量Qの変化量dQの割合である微分値dQ/dVとの関係を示す微分曲線V-dQ/dV上において、所定の傾き領域に対する微分値dQ/dVとして特定微分値が定められると共に、前記二次電池の劣化が進行して第1及び第2の劣化指標に至ったときの前記特定微分値に対応する電圧Vとして第1及び第2の基準電圧が定められ、前記二次電池の未使用時からの前記第1及び第2の基準電圧の変化量の自然対数と前記第1及び第2の劣化指標とを直線関係と見なしたときの、前記二次電池の劣化過程での各劣化指標と前記自然対数との相関関係が予め記憶された相関関係記憶手段と、前記二次電池の充放電時に、該二次電池の電圧V及び容量Qに基づき前記微分曲線V-dQ/dVを算出する微分曲線算出手段と、前記微分曲線算出手段により算出された微分曲線V-dQ/dV上で前記特定微分値に対応する前記電圧Vを算出し、該電圧Vの前記二次電池の未使用時からの変化量の自然対数を算出する自然対数算出手段と、前記各劣化指標と前記自然対数との相関関係を前記相関関係記憶手段から読み出し、該相関関係と前記自然対数算出手段により算出された自然対数とに基づき、前記二次電池の劣化指標を推定する劣化指標推定手段とを備えたことを特徴とする(請求項1)。
【0010】
このように構成した二次電池システムによれば、二次電池の充電時や放電時に、微分曲線算出手段により二次電池の電圧V及び容量Qに基づき微分曲線V-dQ/dVが算出されると共に、自然対数算出手段により特定微分値に対応する電圧Vの二次電池の未使用時からの変化量の自然対数が算出される。そして、二次電池の各劣化指標と自然対数との相関関係が劣化指標推定手段により相関関係記憶手段から読み出され、この相関関係と電圧Vの変化量の自然対数とに基づき二次電池の劣化指標が推定される。
【0011】
微分曲線V-dQ/dV上の傾き領域に対する微分値dQ/dVとして特定微分値を定め、二次電池の劣化過程の各劣化指標において特定微分値に対応する電圧Vを逐次算出すると、二次電池の未使用時からの電圧Vの変化量の自然対数と劣化指標との間に直線関係が成立する。
このため事前の二次電池の劣化試験では、二次電池が第1及び第2の劣化指標に至ったときの特定微分値に対応する電圧Vとして第1及び第2の基準電圧を定め、二次電池の未使用時からの第1及び第2の基準電圧の変化量の自然対数と第1及び第2の劣化指標とに基づき、二次電池の劣化過程での各劣化指標と自然対数との相関関係が判明する。
【0012】
結果として、劣化試験の際に二次電池を寿命限界まで劣化させる必要がなくなり、第2の劣化指標まで二次電池を劣化させるだけで劣化試験が完了する。
その他の態様として、前記相関関係記憶手段が、前記各劣化指標と自然対数との相関関係が前記二次電池の温度域毎に記憶されて温度毎に算出可能であり、前記劣化指標推定手段が、前記二次電池の現在の温度に対応する前記相関関係を前記相関関係記憶手段から読み出して前記劣化指標の推定に適用することが好ましい(請求項2)。
【0013】
この態様によれば、二次電池の現在の温度に対応する各劣化指標と自然対数との相関関係が相関関係記憶手段から読み出されて劣化指標の推定に適用される。
その他の態様として、前記二次電池の運用中において現在の二次電池の実際の劣化状態が特定されたときに、該劣化状態から判明した劣化指標と前記自然対数算出手段により算出された自然対数とを、現在の二次電池の劣化状態に対応する真の相関関係と見なし、該真の相関関係を前記相関関係記憶手段に記憶されている相関関係と照合し、照合結果に基づき前記記憶されている相関関係を補正・更新する相関関係補正・更新手段をさらに備えることが好ましい(請求項3)。
【0014】
この態様によれば、運用中の二次電池の特性が劣化指標の推定処理に反映されることから、個体差による影響を排除して劣化指標の推定精度を一層向上可能となる。
その他の態様として、前記特定微分値が、前記二次電池の使用に伴う劣化指標の変化に関わらず、常に前記微分曲線上の前記傾き領域のみに対応し続ける微分値dQ/dVとして設定されていることが好ましい(請求項4)。
【0015】
この態様によれば、二次電池の劣化指標の変化に関わらず、特定微分値が常に微分曲線上の傾き領域のみに対応することから、特定微分値に対応する電圧Vを算出不能となる事態が回避される。
その他の態様として、前記特定微分値が、定格容量が異なる他の二次電池に設定されている特定微分値に基づき、該他の二次電池との間の定格容量の比率に基づき設定されていることが好ましい(請求項5)。
【0016】
この態様によれば、定格容量が異なる二次電池では、微分値dQ/dVが双方の二次電池の定格容量の比率に応じて変動する。このため、定格容量の比率に基づくことにより適切な特定微分値を容易に設定可能となる。
その他の態様として、前記二次電池の正極電極板が、活物質としてLiMO(Mは、Co,Ni,Al,Mn,Feの内、少なくとも1つを含む遷移金属元素)を含むことが好ましい(請求項6)。
【0017】
この態様によれば、微分曲線上の傾き領域にあたるピークはLiMOに由来しているため、推定精度が向上する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の二次電池システムによれば、事前の二次電池の劣化試験に要する期間及び労力を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態の二次電池システムを示す概略構成図である。
図2】SOH100%のときの微分曲線V-dQ/dVを示す特性図である。
図3】SOHの低下に応じた微分曲線V-dQ/dVの推移を示す説明図である。
図4】各SOHで充放電したときの特定微分値P0=60に対応する電圧Vを測定した試験結果を示す特性図である。
図5】温度25℃において組電池の未使用時からの電圧Vの変化量の自然対数とSOHとの関係を表した特性図である。
図6】温度0℃において組電池の未使用時からの電圧Vの変化量の自然対数とSOHとの関係を表した特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した二次電池システムの一実施形態を説明する。
図1は本実施形態の二次電池システムを示す概略構成図である。
本実施形態の二次電池システムは電気自動車に搭載されており、走行用動力源である走行モータに電力を供給している。全体として二次電池システム1は、その全体を統合制御するメインコントローラ2、及びメインコントローラ2に対して直並列に接続された複数の二次電池モジュール3から構成されている。
【0021】
二次電池モジュール3は、組電池4(二次電池)、サブコントローラ5及び充放電制御部6から構成されている。
組電池4は、所期の電池容量及び出力電圧を達成するために複数の単電池を組み合わせて構成されている。
組電池4には電圧センサ7、電流センサ8及び温度センサ9が接続されている。電圧センサ7により組電池4の電圧Vが検出され、電流センサ8により組電池4の入出力電流Iが検出され、温度センサ9により組電池4の温度Tが検出され、それらの検出情報はサブコントローラ5に入力される。
【0022】
サブコントローラ5は、図示しない入出力装置、制御プログラムや制御マップ等の記憶に供される記憶装置(ROM,RAM等)、中央処理装置(CPU)、タイマカウンタ等から構成されている。サブコントローラ5は充放電制御部6を駆動して組電池4の充放電を制御する機能を奏し、充放電制御の際には、組電池4の劣化指標(以下、SOHと称する)に応じて最大許容電流や最大許容電圧を調整する。
【0023】
またサブコントローラ5は、組電池4のSOHを推定するために必要な微分曲線を算出する微分曲線算出部10(微分曲線算出部手段)を備えている。本実施形態では微分曲線としてV-dQ/dVを用いている。微分曲線V-dQ/dVとは、組電池4の電圧Vと、電圧Vの変化量dVに対する組電池4の容量Qの変化量dQの割合である微分値dQ/dVとの関係を示すものである。
【0024】
微分曲線算出部10は、組電池4の充電時または放電時(本発明の「充放電時」に相当)に所定時間毎に組電池4の容量Qを逐次算出すると共に、これに同期して電圧Vを取得し、電圧Vの変化量dVに対する組電池4の容量Qの変化量dQの割合である微分値dQ/dVを算出する。そして、得られた微分値dQ/dVと電圧Vとの関係を示す曲線として微分曲線V-dQ/dVを算出する。
【0025】
図2はSOH100%のときの微分曲線V-dQ/dVを示す特性図であり、微分値dQ/dVを縦軸とし、電圧Vを横軸として微分曲線V-dQ/dVが表されている。組電池4の充電または放電に伴って組電池4のSOC(充電率)と共に電圧Vが増加または低下し、それに応じて微分値dQ/dVが変化することにより、微分曲線V-dQ/dVの特性は組電池の劣化の進行に応じて変化する。
【0026】
微分曲線算出部10は、算出した微分曲線V-dQ/dV及び温度センサ9により検出された電池温度T(以下、これらを実測データと称する)をメインコントローラ2に出力する。
なおサブコントローラ5は、組電池4の充放電に伴う入出力電流Iを所定時間毎に積算して組電池4のSOCを算出し、その情報もメインコントローラ2に出力する。
【0027】
一方、メインコントローラ2はサブコントローラ5と同様に、図示しない入出力装置、制御プログラムや制御マップ等の記憶に供される記憶装置(ROM,RAM等)、中央処理装置(CPU)、タイマカウンタ等から構成されている。
メインコントローラ2は、入出力部12、データ保存部13(相関関係記憶手段)、自然対数算出部14(自然対数算出手段)、SOH推定部16(劣化指標推定手段)及び充放電指令部17から構成されている。
【0028】
データ保存部13は、入出力部12を介して各二次電池モジュール3のサブコントローラ5から入力された実測データを記憶する。またデータ保存部13には、予め微分曲線V-dQ/dVに基づく特定の指標と組電池4のSOHとの相関関係を示すデータ(以下、基準データと称する)が温度域毎に記憶されている。
微分曲線V-dQ/dVに基づく特定の指標とは、特許文献1においては特徴点から求めた初期差分σ,hであり、特許文献2においては特徴点A〜Cでの蓄電量QSA〜Cである。本実施形態では、事前の組電池4の劣化試験で得られた組電池4の未使用時からの電圧Vの変化量の自然対数が特定の指標に相当し、この自然対数と組電池4のSOHとの相関関係が基準データとしてデータ保存部13に記憶されている。
【0029】
そして、以下に述べるように、基準データと組電池4の未使用時からの電圧Vの変化量の自然対数とに基づき組電池4のSOHが推定されるのであるが、データ保存部13に保存される基準データ、及び自然対数算出部14による自然対数の算出処理は、本発明の特徴部分であるため、その詳細については後述する。
SOH推定部16は、データ保存部13に記憶された各二次電池モジュール3の実測データを読み出して逐次基準データと比較して、それぞれの二次電池モジュール3について現在の組電池4のSOHを推定する。
【0030】
充放電指令部17は、SOH推定部16により推定されたSOH等に基づき、各二次電池モジュール3のサブコントローラ5に入出力部12を介して充放電制御の指令を出力する。例えば所定値未満のSOHが推定された二次電池モジュール3に対しては、充放電時の最大許容電流や最大許容電圧を制限する指令を出力する。この指令に基づくサブコントローラ5による充放電制御により、劣化の進行した組電池4の保護が図られる。
【0031】
また充放電指令部17は、何れかの二次電池モジュール3で寿命限界を下回るSOHが推定された場合等には、運転席に設けられた表示部18に車両点検を促すメッセージを表示する。これにより販社等で車両点検が実施されて、必要に応じて組電池4が交換される。
また充放電指令部17は、推定された特定微分値をSOCの補正に利用する。各二次電池モジュール3のサブコントローラ5からSOCが入力されると、それぞれの二次電池モジュール3に対して推定されている特定微分値に基づきSOCを補正し、全ての二次電池モジュール3の補正後のSOCから車両の航続可能距離を算出する。航続可能距離は表示部18に表示され、充電スタンド等で組電池4を充電するタイミングの参考にされる。また補正後のSOCは、各二次電池モジュール3での組電池4の充放電制御にも反映される。
【0032】
なお、以上の説明では、各二次電池モジュール3の組電池4全体を対象として、電圧V、電流I及び温度Tの検出処理、微分曲線V-dQ/dVの算出処理、SOHの推定処理を実施したが、これに限るものではない。例えば、組電池4を構成する単電池毎に各処理を実施したり、或いは複数の単電池からなる単電池群毎に各処理を実施したりしてもよい。
ところで、[発明が解決しようとする課題]で述べたように、特許文献1,2の二次電池システムでは、事前の劣化試験において組電池4を寿命限界まで劣化させる必要がある上に、寿命限界までの多数のSOHで充放電により微分曲線V-dQ/dVを算出する必要があるため、膨大な期間及び労力を要するという問題がある。また、組電池4の個体差に起因する基準データと実測データとの間の誤差の影響により、SOHの推定精度が芳しくないという問題もある。
【0033】
このような不具合を鑑みて本発明者は鋭意試験を繰り返した結果、微分曲線V-dQ/dV上の所定の傾きをもった領域(以下、傾き領域Eと称する)内に所定の微分値dQ/dVとして特定微分値P0を定め、組電池4の劣化過程の各SOHにおいて特定微分値P0に対応する電圧Vを逐次算出すると、組電池4の未使用時からの電圧Vの変化量の自然対数(以下、単に自然対数と称する場合もある)とSOHとの間に直線関係が成立することを見出した。
【0034】
以下、この知見に至るまでの検証過程を述べる。
本実施形態の組電池4は、例えばSOH100%、電池温度25℃において図2に示す微分曲線V-dQ/dVが得られており、微分曲線V-dQ/dV上に出現した特徴点の中から、下向きのピーク(極小点)である特徴点P1、及び特徴点P1に対して高電圧側で隣り合う上向きのピーク(極大点)である特徴点P2を選択した。特徴点P1-P2間において微分値dQ/dVは、電圧Vの増加に対して一部の箇所では停滞するものの全体として増加していることから、停滞箇所を除いた領域を上記傾き領域Eと見なすことができる。
【0035】
このような組電池4を劣化試験に供して、劣化進行に伴う微分曲線V-dQ/dVの推移を確認した。なお劣化試験の手順は、上記したデータ保存部13に記憶すべき基準データを作成する劣化試験と同様である。
図3はSOHの低下に応じた微分曲線V-dQ/dVの推移を示す説明図である。SOHの低下に応じて微分曲線V-dQ/dVの特性は変化しているものの、何れのSOHでも傾き領域Eが存在し続けていることが判る。
【0036】
組電池4のSOHは、仮に寿命限界を70%程度とすると、未使用時の100%から70%程度までの推定が要求される。このため図3の各SOHにおいて、常に傾き領域Eに対して特定微分値P0を対応させて電圧Vを導出可能とする必要があり、この条件を満たす微分値dQ/dVとして特定微分値P0を60に設定した。
図4は各SOHで充放電したときの特定微分値P0=60に対応する電圧Vを測定した試験結果を示す特性図である。図4中の実線と破線とは温度条件を異にし(25℃,0℃)、実線同士及び破線同士は温度条件を含めて同一内容で実施されたものである。
【0037】
この図に示すように、SOH100〜50%程度の領域において各温度条件で共に良好な再現性が得られていることが判る。この結果は、特定微分値P0=60に対応する電圧VがSOHに対して相関性を有することを意味する。このため本実施形態では、予め微分曲線V-dQ/dV上で傾き領域Eを定めると共に、その傾き領域Eに対して特定微分値P0=60を設定した。
【0038】
図4の試験結果に基づき、各温度条件(25℃,0℃)において組電池4の未使用時(SOH100%)からの電圧Vの変化量の自然対数をそれぞれ求め、SOHとの関係を表したものが図5,6の特性図である。何れの温度条件においても、自然対数とSOHとの間に直線関係が成立することが判る。
これらの結果を鑑みると、特定微分値P0=60に対応する電圧VとSOHとの間には、相関性は有るものの直線関係が成立しないため、仮に微分曲線V-dQ/dVに基づく特定の指標として電圧Vを定めた場合、組電池4の寿命限界までの各SOHで基準データとして電圧VとSOHとの相関関係を設定する必要が生じる。この点は、特許文献1,2の技術でも同様である。
【0039】
これに対して自然対数とSOHとの間には直線関係が成立しているため、組電池4の未使用時からの2つの段階のSOHで自然対数とSOHとの関係が判明すれば、残りのSOHの領域の相関関係を推定でき、結果として、寿命限界までのSOHの全領域の相関関係を基準データとして設定可能となる。
本実施形態では、以上の知見に基づき劣化試験により基準データを作成しており、その手順は以下の通りである。
【0040】
本実施形態の組電池4と同一規格の組電池4の劣化試験を実施し、未使用の組電池4の充放電を繰り返して段階的に劣化させる。上記した組電池4の未使用時からの2つの段階のSOHとして、予め第1のSOH90%(第1の劣化指標)及び第2のSOH80%(第2の劣化指標)が設定されており、これらの各SOHとなるように組電池4が順次劣化される。そして、各SOHで算出された微分曲線V-dQ/dVに基づき基準データが作成される。
【0041】
詳しくは、まず未使用の組電池4の充放電を繰り返して第1のSOHまで劣化させ、この劣化状態において、異なる複数の温度域(例えば上記25℃,0℃)の下で組電池4の充放電によりSOCを変化させて微分曲線V-dQ/dVを算出する。
このときの算出処理は微分曲線算出部10によるものと同様であり、充放電による電圧V及び容量Qに基づき微分値dQ/dVを算出し、電圧Vと微分値dQ/dVとの関係から微分曲線V-dQ/dVを求める。次いで、微分曲線V-dQ/dVに基づき特定微分値P0に対応する電圧Vとして第1の基準電圧V1を算出し、未使用時(SOH100%)からの第1の基準電圧V1の変化量の自然対数を算出する。
【0042】
次いで、組電池4をさらに充放電して第2のSOHまで劣化させ、この劣化状態において各温度域の下で組電池4を充放電し、算出した温度域毎の微分曲線V-dQ/dV上で特定微分値P0に対応する電圧Vとして第2の基準電圧V2を算出し、未使用時からの第2の基準電圧V2の変化量の自然対数を算出する。結果として90%及び80%の各SOHで、それぞれ未使用時からの第1及び第2の基準電圧V1,V2の変化量の自然対数が温度域毎に得られる。
【0043】
そして、上記のように各温度域では自然対数とSOHとの間に直線関係が成立することから、90%及び80%の各SOHと対応する自然対数との交点を結んでSOHの低下側に延長すると、図5,6に示すような自然対数と寿命限界までの全領域のSOHとの相関関係を表す特性線が得られる。以上の自然対数とSOHとの相関関係を表す特性線が温度域毎に定められ、各二次電池モジュール3の共通の基準データとして予めデータ保存部13に記憶されている。
【0044】
車両が運用されているときの組電池4の充放電の際には、各二次電池モジュール3からメインコントローラ2に入力された実測データの微分曲線V-dQ/dVに基づき、自然対数算出部14により傾き領域Eを介して特定微分値P0と対応する電圧Vが算出され、組電池4の未使用時からの電圧Vの変動量から自然対数が算出される。そして、実測データの電池温度Tに基づき温度域が特定され、その温度域に対応する各SOHの基準データの中から、実測データの自然対数に対して一致または最も近い自然対数を有する基準データが選択され、その基準データのSOHが推定値とされる。
【0045】
なお、各SOH間及び各温度域間は基準データを特定できないため、補間処理により基準データを算出してもよい。
以上のように本実施形態の二次電池システム1では、微分曲線V-dQ/dV上の傾き領域E内に所定の特定微分値P0を定めて対応する電圧Vを求めたときに、組電池4の未使用時からの電圧Vの変化量の自然対数とSOHとの間に直線関係が成立することに着目し、SOHを推定する指標として自然対数を定めた。このため組電池4の劣化試験の際には、第1及び第2のSOH(90%,80%)の2つの段階で、微分曲線V-dQ/dV及び特定微分値P0から第1及び第2の基準電圧V1,V2を求め、組電池4の未使用時からのそれぞれの基準電圧V1,V2の変化量の自然対数を算出し、それらの自然対数からSOHと相関関係を表す特性線を基準データとして推定することができる。
【0046】
結果として、劣化試験の際に組電池4を寿命限界(例えばSOH70%)まで劣化させる必要がある特許文献1,2の技術に対して、本実施形態では第2のSOHに相当する80%まで組電池4を劣化させるだけで劣化試験が完了する。このため、例えば従来6ヶ月程度を要した劣化試験の所要期間を2ヶ月程度まで大幅に短縮することができる。
また特許文献1,2の技術では、劣化過程の多数のSOHにおいて微分曲線V-dQ/dVから初期差分σ,hや蓄電量QSA〜Cを求める必要があった。これに対して本実施形態では、第1及び第2のSOHの2つの段階で自然対数とSOHとの相関関係を特定すれば、その相関関係に基づき寿命限界までの全領域のSOHと自然対数との相関関係を推定できる。よって、事前の劣化試験に要する労力を格段に軽減することができる。
【0047】
加えて、その後の車両の運用中の組電池4の充放電時には、自然対数算出部14により特定微分値P0と対応する電圧Vを算出しているが、そのためには微分曲線V-dQ/dVの全領域の実測データは不要であり、傾き領域E内の特定微分値P0が判明していれば対応する電圧Vを算出可能である。このため各二次電池モジュール3の微分曲線算出部10では、実測データとして微分曲線V-dQ/dVの全領域を算出することなく傾き領域Eの箇所だけを算出している。
【0048】
結果として、充放電制御による組電池4のSOCの増減に伴って微分曲線V-dQ/dV上の傾き領域Eを横切りさえすれば実測データを算出でき、ひいてはSOHを推定できる。このため車両の運用中に傾き領域Eを横切る僅かなSOCの変動が生じるだけでSOHを推定可能となり、推定可能な機会を増加できると共に、推定処理に要する時間を大幅に短縮することができる。
【0049】
ところで、個々の組電池4には、製造時のバラツキや使用環境の相違(例えば、環境温度に応じたダメージの相違等)に起因する特性の差(以下、これらを個体差と総称する)が存在する。このため、事前の劣化試験に供した組電池4と実際に運用されている組電池4との間に個体差があると、SOHの推定精度を低下させる要因になる。この点は、特許文献1,2の技術でも同様である。
【0050】
そこで、組電池4の正確な劣化状態が特定された機会に、データ保存部13に記憶されている基準データを補正・更新してもよく、以下に、本実施形態の別例として説明する。この別例において、メインコントローラ2は新たに相関関係補正・更新部21(相関関係補正・更新手段)を備えている。
例えば販社等での車両点検の際に、完全充放電等のように現在の組電池4の実際の劣化状態を特定可能な作業を実施する。これにより判明した組電池4のSOHと、そのときに自然体数算出部14で算出された自然対数とが、現在の組電池4の劣化状態に対応する真の相関関係と見なせる。
【0051】
そして相関関係補正・更新部21は、真の相関関係とデータ保存部13に記憶されている相関関係とを照合し、所定以上の誤差が生じている場合には、誤差を補償する方向にデータ保存部13に記憶されている相関関係を補正・更新する。以降の車両の運用中には、更新後の相関関係に基づき組電池4のSOHが推定される。
結果として、運用中の組電池4の特性(個体差の影響を受けた特性)がSOHの推定処理に反映されることから、個体差による影響を排除してSOHの推定精度を一層向上することができる。個体差の影響は組電池4の劣化進行と共に増加するため、この別例による効果は、組電池4の劣化が進行したときに特に顕著に得られる。
【0052】
ところで、本実施形態の二次電池システム1によるSOHの推定手法を採用した場合には、微分曲線V-dQ/dV上での傾き領域E及び傾き領域E内での特定微分値P0を如何に設定するかが重要であり、不適切な設定がなされると、電圧Vの算出処理やSOHの推定処理に支障が生じる。そこで、傾き領域E及び特定微分値P0は、以下の条件を満たすように設定することが望ましい。
【0053】
まず傾き領域Eに関しては、微分値dQ/dV及び電圧Vが共に一方向に変化していることが望ましい。傾き領域E内に電圧Vの増加に対して微分値dQ/dVが停滞する箇所が存在する場合、或いは傾き領域Eが極大点や極小点を含んでいる場合等には、特定微分値P0に対応する電圧Vを判別できないためである。無論、上記とは逆に電圧Vの増加に対して微分値dQ/dVが減少する領域であっても、傾き領域Eとして機能する。
【0054】
また、実測データについては組電池4の寿命限度まで特定微分値P0に基づく電圧Vの導出が要求されるため、SOHの低下に関わらず常に微分曲線V-dQ/dV上に傾き領域Eが存在することが望ましく、この条件を満たす傾き領域Eが微分曲線V-dQ/dV上で選択される。
また特定微分値P0に関しては、組電池4のSOHの低下に関わらず、常に微分曲線V-dQ/dV上の傾き領域Eのみに対応し続ける微分値dQ/dVとして設定することが望ましい。この要件を満たすには、微分曲線V-dQ/dV上の傾き領域E外の他のピークと重複しない必要がある。例えば、傾き領域E内において特定微分値P0を図3中の特徴点P3よりも低い位置に設定した場合、特定微分値P0は傾き領域E内の電圧Vのみならず特徴点P3近傍の電圧Vとも対応することから、特定微分値P0に対応する電圧Vを判別できなくなる。
【0055】
そこで、上記のように微分曲線V-dQ/dV上の傾き領域Eのみに特定微分値P0を対応させること、換言すると、傾き領域E外の電圧Vとは対応しない微分値dQ/dVとして特定微分値P0を設定することが重要となる。これにより、特定微分値P0に対応する電圧Vを算出不能となる事態を回避して、確実に特定微分値P0と対応する適切な電圧Vを算出することができる。
【0056】
また、特定微分値P0を設定すべき組電池4とは別に、同一規格で定格容量のみが異なる他の組電池4の特定微分値P0が既に設定されている場合には、他の組電池4を参考にして特定微分値P0を設定することが望ましい。定格容量が異なる組電池4では、図3の特性図の縦軸に示された微分値dQ/dVが双方の組電池間の定格容量の比率に応じて変動し、それに応じた微分曲線V-dQ/dVが描かれる。例えば2倍の定格容量を有する組電池4の微分曲線V-dQ/dVは、特性図の縦軸を2倍とした微分曲線V-dQ/dVとして描かれるため、定格容量の比率(2倍)を乗算した値が最適な特定微分値P0となる。結果として定格容量の比率に基づくことにより、この場合も適切な特定微分値P0を容易に設定することができる。
【0057】
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、電気自動車に搭載された二次電池システム1として具体化したが、本発明は車両用に限定されるものではなく、例えば、工場や店舗等で利用される定置型の二次電池システムに具体化してもよい。
また、組電池4の仕様等に応じて微分曲線V-dQ/dVの特性は変化し、それに応じて最適な傾き領域E、特定微分値P0、第1及び第2のSOH等の設定も相違する。よって、上記実施形態で説明した各要件の設定はあくまで一例であり、これに限ることはなく任意に変更可能である。
【0058】
また上記実施形態では、劣化試験で実際に組電池4を劣化させる第2のSOH80%以上の領域についても、特性線に基づき自然対数を推定したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば第2のSOH以上の領域を細分化し、劣化試験では、細分化した各SOHについて特定微分値P0に対応する電圧Vまたは容量Qの未使用時からの変化量から実測値として自然対数を求め、各SOHとの相関関係を基準データとして記憶してもよい。この場合には、上記実施形態に比較して劣化試験に要する労力は増加するものの、劣化試験の所要期間に関しては上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0059】
4 組電池(二次電池)
10 微分曲線算出部(微分曲線算出部手段)
13 データ保存部(相関関係記憶手段)
14 自然対数算出部(自然対数算出手段)
16 SOH推定部(劣化指標推定手段)
21 相関関係補正・更新部(相関関係補正・更新手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6