【解決手段】含水率測定工程S−14では、中性子線散乱反射式の含水率計を用いて除染除去土壌の複数の箇所において含水率を測定し、改質材投入量算出工程S−15では、ユニットごとに重量測定工程S−11で測定された重量と、含水率測定工程S−14で測定された含水率のうちの除染除去土壌における複数の箇所のうちの厚さ寸法測定工程S−13で測定された厚さ寸法が所定値以上である箇所の含水率と、を用いて改質材の投入量を算出する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、改質材は、投入対象となる土壌の重量および含水率に応じて最適な量を投入されることが望ましいとされている。このため、土壌の重量および含水率に応じた改質材の最適な投入量を算出できる改質材投入量算出方法および改質材投入量算出装置が望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、土壌の重量および含水率に応じた改質材の最適な投入量を算出できる改質材投入量算出方法および改質材投入量算出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る改質材投入量算出方法は、ベルトコンベアで搬送されてふるい機に投入される前の土壌に投入する改質材の投入量を算出する改質材投入量算出方法において、前記土壌の重量を所定のユニットごとに測定する重量測定工程と、前記ユニットごとに前記土壌の複数の箇所において前記土壌の厚さ寸法を測定する厚さ寸法測定工程と、前記ユニットごとに前記土壌の複数の箇所において含水率を測定する含水率測定工程と、前記ユニットごとに重量および含水率から前記改質材の投入量を算出する改質材投入量算出工程と、を有し、前記含水率測定工程では、中性子線散乱反射式の含水率計を用いて前記土壌の前記複数の箇所において含水率を測定し、前記改質材投入量算出工程では、前記ユニットごとに前記重量測定工程で測定された前記土壌の重量と、前記含水率測定工程で測定された含水率のうちの前記土壌における前記複数の箇所のうちの前記厚さ寸法測定工程で測定された前記土壌の厚さ寸法が所定値以上である箇所の含水率と、を用いて前記改質材の投入量を算出することを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る改質材投入量算出装置は、ベルトコンベアで搬送されてふるい機に投入される前の土壌に投入する改質材の投入量を算出する改質材投入量算出装置において、前記土壌の重量を所定のユニットごとに測定する重量測定部と、前記ユニットごとに前記土壌の複数の箇所において前記土壌の厚さ寸法を測定する厚さ寸法測定部と、前記ユニットごとに含水率を測定する含水率測定部と、前記ユニットごとに前記ユニットの重量および含水率から前記改質材の投入量を算出する改質材投入量算出部と、を有し、前記含水率測定部は、中性子線散乱反射式の含水率計を用いて前記土壌の前記複数の箇所において含水率を測定し、前記改質材投入量算出部は、前記ユニットごとに前記重量測定部で測定された前記土壌の重量と、前記土壌における前記複数の箇所のうちの前記厚さ寸法測定部で測定された前記土壌の厚さ寸法が所定値以上である箇所の含水率と、を用いて前記改質材の投入量を算出することを特徴とする。
【0008】
本発明では、ユニットごとに土壌の重量および含水率を測定し、これらの重量および含水率をもとに改質材の投入量を算出するため、土壌に対する改質材の最適な投入量を算出することができる。
そして、本発明では、(含水率測定工程)含水率測定部で中性子線散乱反射式の含水率計を用いて土壌の複数の箇所において含水率を測定するとともに、改質材算出工程(改質材投入量算出部)でユニットごとに重量測定工程(重量測定部)で測定された土壌の重量と、土壌における複数の箇所のうちの厚さ寸法測定工程(厚さ寸法測定部)で測定された土壌の厚さ寸法が所定値以上である箇所の含水率と、を用いて改質材の投入量を算出する。このため、より正確な含水率の値を採用して改質材の投入量を算出することができ、最適な改質材の投入量を算出することができる。
これにより、土壌に対して最適量の改質材を投入することができ、土壌に対して改質材が少ないことによってふるい機を目詰まりさせることを防止できるとともに、土壌に対して改質材を過剰に投入することを防止することができる。その結果、土壌を効率よく処理することができる。
本発明における土壌のユニットとは、土壌全体が連続してベルトコンベアに載置されている場合ではベルトコンベアの所定区間に載置された土壌を示し、土壌全体が明確に複数に区分されている場合は、その区分された1つの土壌を示すものとする。土壌のユニットは、必ずしも他のユニットと区分されていなくてもよい。
【0009】
また、本発明に係る改質材投入量算出方法では、前記含水率測定工程の前に前記土壌の厚さ寸法を均一とする厚さ均一成形工程を有していてもよい。
このような構成とすることにより、含水率測定工程の前に土壌の厚さが均一となり、中性子線散乱反射式の含水率計を用いて含水率をより正確に測定することができる。
【0010】
また、本発明に係る改質材投入量算出方法では、前記含水率測定工程では、前記ベルトコンベアを平坦に保持した状態で前記土壌の含水率を測定してもよい。
このような構成とすることにより、土壌が平坦な状態に保持されるため、中性子線散乱反射式の含水率計を用いて土壌の含水率をより正確に測定することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、土壌の重量および含水率に応じた改質材の最適な投入量を算出できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態による改質材投入量算出方法および改質材投入量算出装置について、
図1乃至
図3に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態による改質材投入量算出方法および改質材投入量算出装置は、除染除去土壌(土壌)の中間貯蔵施設での貯蔵に先立って行われる、受入・分別処理施設での除染除去土壌の処理S−1の改質材投入量算出工程S−3に採用されている。
【0014】
受入・分別処理施設で行われる除染除去土壌の処理S−1は、除染除去土壌を仮置き場などから受入・分別処理施設に搬入してベルトコンベアに載せる搬入工程S−2と、除染除去土壌に投入する改質材の投入量を算出する改質材投入量算出工程S−3と、改質材投入量算出工程S−3で算出された投入量に基づいて除染除去土壌に改質材を投入する改質材投入工程S−4と、改質材投入工程S−4で改質材が投入されて改質された除染除去土壌をふるいにかけて分別する第1分別工程S−5と、第1分別工程S−5で分別された除染除去土壌を放射能濃度別に分別する第2分別工程S−6と、第2分別工程S−6で分別された除染除去土壌を受入・分別処理施設外に搬出する搬出工程S−7と、を有している。搬出工程S−7では、所定の規格の除染除去土壌を中間貯蔵施設に搬送している。
【0015】
改質材投入工程S−4は、除染除去土壌に改質材を投入して除染除去土壌の塊をほぐしている。改質材投入工程S−4は、第1分別工程S−4におけるふるい機の誤分別および目詰まりを防止するために行われている。
第1分別工程S−5では、例えば、振動ふるいや回転ふるいなどを用いて、除染除去土壌から除染除去土壌を収容していたフレコンバックなどの容器の残渣や、粒径の大きな石などの不燃物、草木や根などの可燃物を分別して除去するように構成されている。
なお、第1分別工程S−5において除染除去土壌を比較的目の粗いふるい機に投入した後に、比較的目の細かいふるい機に投入する場合、比較的目の粗いふるい機に投入される前の除染除去土壌には改質材を投入せずに、比較的目の粗いふるい機を経て比較的目の細かいふるい機に投入される前の除染除去土壌に改質材を投入するようにして第1分別工程S−5の中に改質材投入工程S−4が組み込まれていてもよい。
【0016】
本実施形態による改質材投入量算出方法および改質材投入量算出装置では、改質材投入量算出工程S−3において除染除去土壌に投入する改質材の投入量を算出している。本実施形態よる改質材投入量算出方法および改質材投入量算出装置では、ベルトコンベアで搬入された除染除去土壌をベルトコンベアの所定の1スパンごとに1つのユニットとし、1つのユニットごとに処理を行うように構成されている。
【0017】
(改質材投入量算出装置)
図2および
図3に示すように、本実施形態による改質材投入量算出装置1は、除染除去土壌11(
図3参照)の重量を所定のユニットごとに測定する重量測定部2(
図2参照)と、ユニットごとに含水率を測定する含水率測定部3と、除染除去土壌11の厚さ寸法を均一とする厚さ均一成形部4(
図3参照)と、ユニットごとに改質材の投入量を算出する改質材投入量算出部6と、除染除去土壌11の厚さ寸法を測定し、測定された厚さ寸法のデータを改質材投入量算出部6に送信する厚さ寸法測定部8と、を有している。
【0018】
重量測定部2は、重量計を用いてユニットごとに除染除去土壌11の重量をオンラインで測定し、測定された重量のデータを改質材投入量算出部6に送信するように構成されている。
【0019】
厚さ均一成形部4は、含水率測定部3で含水率を測定する前、および厚さ寸法測定部8で除染除去土壌11の厚さ寸法を測定する前の除染除去土壌11の厚さ寸法を均一に成形するように構成されている。
図3に示すように、厚さ均一成形部4は、ベルトコンベア12の上側に配置された成形用ローラ41を有している。成形用ローラ41は、軸線の延びる方向がベルトコンベア12の搬送方向と直交する方向となる向きで配置されている。成形用ローラ41は、均一にした後の除染除去土壌11の厚さ寸法と略同じ寸法をあけるようにしてベルトコンベア12よりも上側に配置されている。
厚さ均一成形部4は、ベルトコンベア12で搬送されて成形用ローラ41の下側を通過した除染除去土壌11が、成形用ローラ41に均されて厚さ寸法が均一になるように構成されている。
【0020】
厚さ寸法測定部8は、厚さ均一成形部4の成形用ローラ41を通過した除染除去土壌11の厚さ寸法を非接触距離計81で測定するように構成されている。非接触距離計81としては、例えば、超音波距離計、レーザー距離計、LED距離計などが採用されている。
厚さ寸法測定部8は、1つのユニットの除染除去土壌11において複数の異なる箇所において除染除去土壌11の厚さ寸法をそれぞれ測定し、これらの厚さ寸法のデータを改質材投入量算出部6に送信するように構成されている。
【0021】
含水率測定部3は、中性子線散乱反射式の含水率計31によって除染除去土壌11の含水率を測定するように構成されている。含水率測定部3は、1つのユニットの除染除去土壌11における厚さ寸法測定部8が測定する複数の異なる箇所において除染除去土壌11の含水率をそれぞれ測定し、これらの含水率のデータを改質材投入量算出部6に送信するように構成されている。
【0022】
含水率測定部3は、含水率計31がベルトコンベア12の下側に厚さ寸法の均一な鉄板13などを介して配置されている。鉄板13は、ベルトコンベア12の下側に重なるように配置され、鉄板13の上を移動するベルトコンベア12を平坦な状態に支持している。
鉄板13は、厚さ均一成形部4の成形用ローラ41よりもベルトコンベア12の搬送方向の下流側に配置されている。これにより、鉄板13の上方を移動する除染除去土壌11は、均一な厚さ寸法かつ平坦な状態に維持されている。このため、含水率計31で測定される除染除去土壌11は、均一な厚さ寸法であるとともに、含水率計31からの距離が一定に維持されている。
【0023】
これにより、含水率測定部3の中性子線散乱反射式の含水率計31によって除染除去土壌11の含水率を容易にかつ正確に測定することができる。
なお、鉄板13とベルトコンベア12との間には、超高分子量樹脂などの高摺動性材が配置され、鉄板13とベルトコンベア12との摩擦が低減されるように構成されていることが好ましい。このようにすることにより、鉄板13が配置されることによるベルトコンベア12の摩耗防止や、破断リスクの低減を図ることができる。
【0024】
改質材投入量算出部6は、除染除去土壌11のユニットごとに重量測定部2で測定された重量、および含水率測定部3で測定された含水率のデータを受信し、これらの除染除去土壌11の重量および含水率から改質材の投入量を算出するように構成されている。
改質材投入量算出部6は、算出した改質材の投入量のデータを、除染除去土壌11に改質材を投入する改質材投入手段7に送信するように構成されている。
改質材投入手段7は、改質材投入量算出部6から受信した改質材の投入量のデータに基づいて改質材を投入するように構成されている。
【0025】
(改質材投入量算出方法)
本実施形態による改質材投入量算出方法(改質材投入量算出工程S−3)は、除染除去土壌11の重量を所定のユニットごとに測定する重量測定工程S−11と、除染除去土壌11の厚さ寸法を均一とする厚さ均一成形工程(第1厚さ均一成形工程)S−12と、厚さ寸法測定部8で除染除去土壌11の厚さ寸法をユニットごとに測定する厚さ寸法測定工程S−13と、ユニットごとに含水率を測定する含水率測定工程S−14と、ユニットごとに改質材の投入量を算出する改質材投入量算出工程S−15と、を有している。
【0026】
重量測定工程S−11では、重量測定部2でユニットごとに除染除去土壌11の重量をオンラインで測定し、測定された重量のデータを改質材投入量算出部6に送信する。
厚さ均一成形工程S−12では、厚さ均一成形部4で除染除去土壌11の厚さ寸法を均一に成形する。厚さ均一成形工程S−12は、含水率測定工程S−14の前に行う。なお、厚さ均一成形工程S−12は、重量測定工程S−11の前に行ってもよいし、後に行ってもよい。
【0027】
厚さ寸法測定工程S−13では、厚さ均一成形工程S−12の後に、厚さ寸法測定部8で除染除去土壌11の厚さ寸法を複数個所それぞれで測定し、それぞれ測定された除染除去土壌11の厚さ寸法のデータを改質材投入量算出部6に送信する。
含水率測定工程S−14では、ユニットごとに除染除去土壌11における厚さ寸法測定部8が厚さ寸法を測定した複数の異なる箇所それぞれにおいて測定し、それぞれ測定された除染除去土壌11の含水率をオンラインで測定し、測定された含水率のデータを改質材投入量算出部6に送信する。
【0028】
改質材投入量算出工程S−15では、改質材投入量算出部6で、重量測定工程S−11で測定された重量のデータ、厚さ寸法測定工程S−13で測定された厚さ寸法のデータ、および含水率測定工程S−14で測定された含水率のデータを受信し、これらの重量、厚さ寸法および含水率のデータからユニットごとの改質材の投入量を算出する。
改質材投入量算出工程S−15では、改質材の投入量を算出する際に考慮する含水率を、している。
改質材投入量算出工程S−15では、算出した改質材の投入量のデータを除染除去土壌11に改質材を投入する改質材投入手段7に送信する。
改質材投入手段7が改質材投入量算出部6から改質材の投入量のデータを受信すると、受信した改質材の投入量のデータに基づいて改質材を投入する改質材投入工程S−4が行われる。
【0029】
次に、上述した本発明の実施形態による改質材投入量算出方法および改質材投入量算出装置1の作用・効果について図面を用いて説明する。
上述した本実施形態による改質材投入量算出方法および改質材投入量算出装置1では、ユニットごとに除染除去土壌11の重量および含水率を測定し、これらの重量および含水率をもとに改質材の投入量を算出するため、除染除去土壌11に対する改質材の最適な投入量を算出することができる。
そして、含水率測定部3が中性子線散乱反射式の含水率計31を用いて除染除去土壌11の複数の箇所において含水率を測定するとともに、改質材投入量算出工程ではユニットごとに重量測定工程で測定された除染除去土壌11の重量と、除染除去土壌11における複数の箇所のうちの厚さ寸法測定工程で測定された除染除去土壌11の厚さ寸法が所定値以上である箇所の含水率と、を用いて改質材の投入量を算出する。このため、より正確な含水率の値を採用して改質材の投入量を算出することができ、最適な改質材の投入量を算出することができる。
これにより、除染除去土壌11に対して最適量の改質材を投入することができ、除染除去土壌11に対して改質材が少ないことによってふるい機を目詰まりさせることを防止できるとともに、除染除去土壌11に対して改質材を過剰に投入することを防止することができる。その結果、除染除去土壌11を効率よく処理することができる。
【0030】
また、含水率測定工程S−24の前に行う厚さ均一成形工程S−22において除染除去土壌11の厚さ寸法を均一にするとともに、含水率測定工程S−24においてベルトコンベア12を鉄板13で平坦に保持した状態でベルトコンベア12に載置された除染除去土壌11の含水率を測定している。これらのことにより、含水率測定部3の中性子線散乱反射式の含水率計31によって除染除去土壌11の含水率を容易にかつ正確に測定することができる。
【0031】
以上、本発明による改質材投入量算出方法および改質材投入量算出装置の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記の実施形態では、改質材投入量算出装置1および改質材投入量算出方法によって、除染除去土壌11に投入する改質材の投入量を算出しているが、改質材投入量算出装置1および改質材投入量算出方法によって、除染除去土壌11以外の土壌に投入する改質材の投入量を算出してもよい。
また、上記の実施形態では、除染除去土壌11の厚さ寸法を均一とする厚さ均一成形工程S−12,S−22を有しているが、除染除去土壌11の厚さ寸法を均一としなくても含水率の測定が可能であれば、厚さ均一成形工程S−12,S−22を行わなくてもよい。