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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-205419(P2018-205419A)
(43)【公開日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】遮音構造
(51)【国際特許分類】
   G10K 11/16 20060101AFI20181130BHJP
   B60R 13/08 20060101ALI20181130BHJP
   B62D 25/06 20060101ALI20181130BHJP
   G10K 11/172 20060101ALI20181130BHJP
   E04B 1/82 20060101ALI20181130BHJP
【FI】
   G10K11/16 120
   B60R13/08
   B62D25/06 A
   G10K11/172
   E04B1/82 B
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-107987(P2017-107987)
(22)【出願日】2017年5月31日
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】近藤 隆
(72)【発明者】
【氏名】野口 好洋
【テーマコード(参考)】
2E001
3D023
3D203
5D061
【Fターム(参考)】
2E001DF02
2E001FA03
2E001FA31
2E001GA23
2E001GA24
2E001GA48
2E001HD11
2E001HE06
2E001HE07
2E001JD02
2E001LA04
3D023BA02
3D023BB16
3D023BB30
3D023BC01
3D023BD01
3D023BD04
3D203AA02
3D203BB59
3D203CB24
5D061AA06
5D061AA16
5D061AA31
5D061BB12
5D061BB13
(57)【要約】
【課題】重量増加、コストの上昇を抑えつつ、遮音性を高めることのできる遮音構造を提供する。
【解決手段】車体の内部空間と外部とを区画するアウターパネル5に対して間隔をあけて配置され、少なくとも一部に平面形状を有するマス部11と、マス部11においてアウターパネル5に対向する側に複数配置されたバネ部12と、一端17aがマス部11に接合され、一端17aから他端17bに向けてアウターパネル5に向かって延びる脚部17と、脚部17とアウターパネル5との間に設けられる減衰部18と、を備え、バネ部12は、気密性及び可撓性を有した中空の膜材14と、膜材14の内部に封入されたガス15と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造体の内部空間と外部とを区画する区画部材に対して間隔をあけて配置され、少なくとも一部に平面形状を有するマス部と、
前記マス部において前記区画部材に対向する側に複数配置されたバネ部と、
一端が前記マス部に接合され、前記一端から他端に向けて前記区画部材に向かって延びる脚部と、
前記脚部の前記他端と前記区画部材との間に設けられる減衰部と、
を備え、
前記バネ部は、
気密性及び可撓性を有した中空の膜材と、
前記膜材の内部に封入されたガスと、
を有することを特徴とする遮音構造。
【請求項2】
前記マス部と前記バネ部とを含む遮音部材を構成し、
前記遮音部材は、
前記バネ部の前記区画部材に対向する側に設けられ、前記区画部材に接合可能な接合層部材をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の遮音構造。
【請求項3】
前記マス部は、ポリプロピレンからなり、
前記膜材は、エチレン−ビニルアルコール共重合体からなり、
前記接合層部材は、ポリエチレンからなる
ことを特徴とする請求項2に記載の遮音構造。
【請求項4】
前記脚部は、前記マス部よりも高い剛性を有する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の遮音構造。
【請求項5】
前記減衰部は、前記脚部の前記他端を前記区画部材に接着する接着剤である
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の遮音構造。
【請求項6】
前記脚部は、前記区画部材の表面に沿って連続するよう設けられ、
前記接着剤は、前記脚部が連続する方向に沿って線状または点状に配置されている
ことを特徴とする請求項5に記載の遮音構造。
【請求項7】
前記ガスは、空気である
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の遮音構造。
【請求項8】
前記ガスは、二酸化炭素またはヘリウムである
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の遮音構造。
【請求項9】
前記構造体は、自動車の車体であり、前記区画部材が前記車体のアウターパネルまたは前記車体の内装を形成するインナーパネルである
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の遮音構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮音構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両や、建物等において、外部から内部空間への騒音の侵入、あるいは内部空間から外部への騒音の漏出を防ぐため、外部と内部空間とを区画する区画部材に、遮音性能を有した遮音材を設けることが行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、区画部材(屋根板)と内部空間側の多孔質下地材との間に、複数の凹部を有したスペーサを、遮音材として配置した構成が開示されている。このような構成によれば、スペーサに形成された凹部内に、区画部材側から侵入した騒音(音波)が入り込み、凹部内で反射することで、遮音性能を発揮する。
【0004】
また、特許文献2には、区画部材(車両床板)に、遮音材としてウレタン層を載せ、このウレタン層によって騒音を減衰して遮音性を発揮する構成が開示されている。また、この構成においては、ウレタン層に板状のマス層を載せることで、マス層を質量とし、ウレタン層をバネとした遮音構造を備えている。
【0005】
特許文献3には、発泡多孔質材料または繊維材料からなる遮音材を、フィルムにより形成された袋内に配置し、封止気体を袋内に封止した構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−265589号公報
【特許文献2】特開2003−104135号公報
【特許文献3】特開2006−123614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、遮音性をさらに高めることは、常に望まれている。例えば、自動車においては、車体のアウターパネルを形成する材料を、例えば車重の軽量化による燃料消費率向上等のために、鉄系材料からアルミ系材料や樹脂系材料に代替する場合がある。すると、アウターパネル自体における遮音性が低下する場合があり、遮音性をさらに高めることが要求される。
【0008】
しかし、上記特許文献1〜3に開示されたような従来の技術において、遮音性をさらに高めようとすると、いずれも遮音材の厚さを増大させる必要がある。しかし、遮音材の厚さが増えると、遮音材の使用量増加に伴い、重量の増加及びコストの上昇を招いてしまう。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、重量増加、コストの上昇を抑えつつ、遮音性を高めることのできる遮音構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題の解決手段として、請求項1に記載の発明(遮音構造)は、構造体(例えば実施形態の車体1)の内部空間(例えば実施形態の内部空間3)と外部(例えば実施形態の外部4)とを区画する区画部材(例えば実施形態のアウターパネル5、インナーパネル6)に対して間隔をあけて配置され、少なくとも一部に平面形状を有するマス部(例えば実施形態のマス部11)と、前記マス部において前記区画部材に対向する側に複数配置されたバネ部(例えば実施形態のバネ部12)と、一端(例えば実施形態の一端17a)が前記マス部に接合され、前記一端から他端(例えば実施形態の他端17b)に向けて前記区画部材に向かって延びる脚部(例えば実施形態の脚部17)と、前記脚部と前記区画部材との間に設けられる減衰部(例えば実施形態の減衰部18)と、を備え、前記バネ部は、気密性及び可撓性を有した中空の膜材(例えば実施形態の膜材14)と、前記膜材の内部に封入されたガス(例えば実施形態のガス15)と、を有することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の遮音構造において、前記マス部と前記バネ部とを含む遮音部材(例えば実施形態の遮音部材10)を形成し、前記遮音部材は、前記バネ部の前記区画部材に対向する側に設けられ、前記区画部材に接合可能な接合層部材(例えば実施形態の接合層部材13)をさらに備えることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の遮音構造において、前記マス部は、ポリプロピレンからなり、前記膜材は、エチレン−ビニルアルコール共重合体からなり、前記接合層部材は、ポリエチレンからなることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の遮音構造において、前記脚部は、前記マス部よりも高い剛性を有することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の遮音構造において、前記減衰部は、前記脚部の前記他端を前記区画部材に接着する接着剤(例えば実施形態の接着剤19)であることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の遮音構造において、前記脚部は、前記区画部材の表面に沿って連続するよう設けられ、前記接着剤は、前記脚部が連続する方向に沿って線状または点状に配置されていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の遮音構造において、
前記ガスは、空気であることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の遮音構造において、前記ガスは、二酸化炭素またはヘリウムであることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項1から8のいずれか一項に記載の遮音構造において、前記構造体は、自動車の車体(例えば実施形態の車体1)であり、前記区画部材が前記車体のアウターパネル(例えば実施形態のアウターパネル5)または前記車体の内装を形成するインナーパネル(例えば実施形態のインナーパネル6)であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、マス部を質量とし、バネ部をバネとし、減衰部をダンパーとした遮音構造を構成することができる。したがって、マス部の質量、バネ部のバネのバネ定数、減衰部の減衰係数を適宜調整することで、マス部が騒音に対して共振する周波数を調整し、目的の周波数域の騒音を効率良く抑えることができる。
さらに、遮音構造は、中空の膜材の内部にガスを封入した構成であるため、膜材を形成する材料の使用量が、ウレタン層に比較すれば大幅に少ない。したがって、マス部と区画部材とが対向する方向における遮音構造の厚さを大きくしても、重量増加、コストの上昇を抑えつつ、遮音性を高めることができる。
請求項2に記載した発明によれば、マス部とバネ部とにより遮音部材を構成し、この遮音部材において、バネ部の区画部材に対向する側に接合層部材を設けることにより、区画部材に対し、遮音構造を接合層部材によって接合し、区画部材に遮音構造を容易に設けることができる。
請求項3に記載した発明によれば、マス部をポリプロピレンで形成することで、高い成形性を得ることができる。また、膜材を、エチレン−ビニルアルコール共重合体で形成することで、高い気密性を得て、膜材の内部に封入したガスの漏出を抑えることができる。さらに、接合層部材をポリエチレンから形成することで、区画部材に対して容易かつ確実に接合することができる。
請求項4に記載した発明によれば、脚部がマス部よりも高い剛性を有することで、マス部の変位にともなって脚部が変形してしまうのを抑え、減衰部における減衰効果を効率良く発揮させることができる。
請求項5に記載した発明によれば、減衰部は、脚部の他端を区画部材に接着する接着剤であるようにした。これにより、減衰部を構成するダンパー等の機構を別途備える必要が無く、低コストでダンパー機能を備えることができる。
請求項6に記載した発明によれば、接着剤は、脚部が連続する方向に沿って線状または点状に配置されている。これにより、脚部の全体を区画部材に確実に接着するとともに、脚部の全体で接着剤による減衰効果を得ることができる。
請求項7に記載した発明によれば、膜材内に封入するガスとして空気を用いることで、低コスト化を図ることができる。
請求項8に記載した発明によれば、膜材内に封入するガスとして二酸化炭素を用いることにより、空気中よりも音速(音波の伝搬速度)が下がり、遮音性能を向上させることができる。また、膜材内に封入するガスとしてヘリウムを用いることにより、空気よりも密度が低くなり、遮音性能を向上させることができる。
請求項9に記載した発明によれば、上記したような遮音構造を、自動車の車体のアウターパネルまたはインナーパネルに設けることで、車体の内部空間における遮音性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る遮音構造を備えた車体のルーフ部を示す縦断面図である。
図2】上記ルーフ部を車外側から見た斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る遮音構造を示す断面図である。
図4】上記遮音構造におけるバネ部の配置を示す平面図である。
図5】上記遮音構造をモデル化した図である。
図6】本発明の実施形態の第一変形例に係る遮音構造を備えた車体のルーフ部を示す縦断面図である。
図7】本発明の実施形態の第一変形例に係る遮音構造の断面図である。
図8】本発明の実施形態の第二変形例に係る遮音構造を備えた車体のルーフ部を示す縦断面図である。
図9】本発明の実施形態の第三変形例に係る遮音構造の断面図である。
図10】本発明の実施形態の第三変形例に係る遮音構造におけるバネ部の配置を示す平面図である。
図11】本発明の実施形態の第四変形例に係る遮音構造におけるバネ部の配置を示す平面図である。
図12】本発明の実施形態の第五変形例に係る遮音構造を示す断面図である。
図13】本発明の実施形態の第六変形例に係る遮音構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の実施形態が適用された遮音構造を備えた車体のルーフ部を示す縦断面図である。図2は、上記ルーフ部を車外側から見た斜視図である。
【0013】
図1図2に示すように、本実施形態に係る遮音構造は、遮音部材10を備えている。遮音部材10は、自動車の車体(構造体)1を構成するルーフ部のアウターパネル(区画部材)5と、車体1内の内部空間3に臨み、内装を形成するインナーパネル(ルーフガーニッシュ、区画部材)6との間に設けられている。この遮音部材10は、アウターパネル5の下面に固定されている。
【0014】
図3に示すように、遮音部材10は、マス部11と、バネ部12と、接合層部材13と、脚部17と、減衰部18と、を備えている。遮音部材10は、アウターパネル5と、インナーパネル6との間の空間に配置されている。
【0015】
マス部11は、例えば板状で、車体1の内部空間3と外部4(図1参照)とを区画するアウターパネル5に対して間隔をあけて配置される。このマス部11は、例えば、ポリプロピレン(PP)から形成するのが好ましい。マス部11は、後述するバネ部12の膜材14よりも比重が大きく、高い成形性を有している材料で形成するのが好ましい。このようなマス部11を形成する材料としては、例えば、ポリプロピレン(PP)を用いるのが好ましい。なお、マス部11は板状に限らず、少なくとも一部に平面形状を有する部材であればよい。
【0016】
バネ部12は、マス部11においてアウターパネル5に対向する側の対向面に沿って複数配置されている。図4に示すように、この実施形態において、バネ部12は、マス部11に沿って千鳥状に配置されている。
各バネ部12は、中空の膜材14と、膜材14の内部に封入されたガス15と、を有している。
【0017】
膜材14は、マス部11とアウターパネル5とが対向する方向を軸線として延びる筒状をなしている。膜材14は、マス部11とアウターパネル5とが対向する方向から見た断面形状が例えば円形の筒状部14aと、筒状部14aのマス部11側の端部と接合層部材13側の端部とをそれぞれ閉塞する端部閉塞部14bと、を一体に備えた密閉容器状をなしている。この膜材14は、気密性及び可撓性を有した材料から形成されている。また、膜材14は、マス部11よりも積極的に弾性変形するよう、マス部11を形成する材料よりもヤング率が低い材料で形成するのが好ましい。このような膜材14を形成する材料としては、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体(例えば、クラレ製「エバール(商品名」)を用いるのが好ましい。なお、膜材14が有する「気密性」については、完全に空気の出入りのない閉空間を形成するものに限らず、膜材14がバネ部として機能できるくらいに多少の空気の出入りを許容することもできる。
【0018】
ガス15は、中空の膜材14の内部に、少なくとも膜材14の弛みが無くなるよう、予め設定した圧力以上に充填されている。
このようなガス15としては、例えば、空気を用いることができる。また、ガス15としては、二酸化炭素、ヘリウムを用いることもできる。
【0019】
接合層部材13は、バネ部12において、アウターパネル5に対向する側に設けられている。この実施形態において、接合層部材13は、膜状をなし、複数のバネ部12を覆うように形成されている。
このような接合層部材13は、アウターパネル5に接合可能な材料により形成されている。この実施形態では、接合層部材13は、アウターパネル5に超音波や熱等を用いた溶着により接合される。このため、接合層部材13は、アウターパネル5に対する溶着性に優れる材料で形成するのが好ましい。このような接合層部材13を形成する材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)を用いることができる。なお、接合層部材13が粘着層や接着剤でアウターパネル5に接合されてもよい。
【0020】
なお、接合層部材13は、各バネ部12のアウターパネル5側の端部閉塞部14bのみに設けているが、各バネ部12のマス部11側の端部閉塞部14bに設けてマス部11を接合してもよい。
【0021】
上記のマス部11と、バネ部12と、接合層部材13とは、接着剤、溶着等により、互いに接合されて一体化している。
【0022】
脚部17は、断面視略クランク状をなし、一端17aと、他端17bと、中間部17cと、を一体に有している。一端17aは、マス部11の外周端部に接合されている。中間部17cは、一端17aから他端17bに向けてアウターパネル5に直交して延びている。他端17bは、アウターパネル5に近接して配置されている。
【0023】
このような脚部17は、帯状に延びるマス部11の短手方向両側にそれぞれ配置されている。各脚部17は、アウターパネル5の表面に沿って、マス部11の長手方向に連続して設けられている。なお、この脚部17は、アウターパネル5が湾曲している場合、その湾曲面に沿って長手方向で湾曲している。
【0024】
この脚部17は、例えば金属製で、マス部11の変位にともなって脚部17が変形しないよう、マス部11よりも高い剛性を有する。ここでいう剛性とは、材料のヤング率、断面二次モーメント等である。
【0025】
また、脚部17の中間部17cおよび他端17bは、バネ部12に対して間隔を隔てて配置され、バネ部12が撓んだときに脚部17に干渉しないように設けられている。
このような脚部17は、騒音の音波によってマス部11が変位すると、マス部11と一体的に変位する。
【0026】
減衰部18は、脚部17とアウターパネル5との間に設けられ、脚部17の変位を減衰する。この実施形態において、減衰部18は、脚部17の他端17bをアウターパネル5に接着する接着剤19である。より具体的には、接着剤19は、脚部17の他端17bとアウターパネル5とを結ぶ方向において、ある程度の厚さを有し、脚部17が変位したときに、その変位を減衰できるよう、可撓性及び粘性を有している。
また、このような接着剤19は、脚部17が連続する方向に沿って線状または点状に配置されている。
【0027】
図1図2に示すように、遮音部材10は、車体1のアウターパネル5に対し、アウターパネル5に設けられた補強フレーム(ルーフクロスメンバ)8を避けた位置に設けられている。この実施形態では、遮音部材10は、互いに隣り合う補強フレーム8の間において、補強フレーム8が延びる方向を長手方向とする帯状に形成されている。このように、遮音部材10は、アウターパネル5の形状や、アウターパネル5に設けられる補強フレーム8やその他の部材の配置に応じて形成され、四角形に限らず、三角形や台形、その他の各種形状に形成することができる。
【0028】
上記遮音部材10は、マス部11と、バネ部12と、減衰部18と、を備えることで、図5に示すように、マス部11を質量mとし、バネ部12をバネ定数kのバネとし、減衰部18を減衰係数cのダンパーとした遮音構造を構成する。このような遮音構造の遮音部材10においては、マス部11の重さと、バネ部12を構成する膜材14に封入するガス15の圧力と、を調整することで、質量mとバネ定数kとを調整する。
【0029】
上述したように、遮音部材10は、マス部11とバネ部12とを備えるとともに、マス部11を支持する脚部17と減衰部18とを備え、バネ部12は、中空の膜材14の内部にガス15を封入することで形成されている。
このようにして、遮音部材10は、マス部11を質量とし、バネ部12をバネとし、減衰部18をダンパーとした遮音構造を構成することができる。したがって、マス部11の質量m、バネ部12のバネ定数k、減衰部18の減衰係数cを適宜調整することで、遮音部材10が騒音に対して共振する周波数を調整し、目的の周波数域の騒音を効率良く抑えることができる。また、膜材14内に封入するガス15の圧力を調整することで、バネ部12のバネ定数kの調整を容易に行うことができる。さらに、バネ部12は中空の膜材14の内部にガス15を封入した構成であるため、膜材14を形成する材料の使用量が、ウレタン層に比較すれば大幅に少ない。したがって、遮音性を高めるために、マス部11とアウターパネル5とが対向する方向におけるバネ部12の厚さt2を大きくしても、バネ部12の重量増加、コストの上昇を抑えることができる。
したがって、重量増加、コストの上昇を抑えつつ、遮音性を高めることができる。
【0030】
また、バネ部12においてアウターパネル5に対向する側に接合層部材13を設けるようにした。
これにより、アウターパネル5に対し、遮音部材10を接合層部材13によって接合して取り付けることができる。
また、マス部11をポリプロピレンで形成することで、高い成形性を得ることができる。また、膜材14を、エチレン−ビニルアルコール共重合体で形成することで、高い気密性を得て、膜材14の内部に封入したガス15の漏出を抑えることができる。さらに、接合層部材13をポリエチレンから形成することで、アウターパネル5に対して容易かつ確実に溶着することができる。
【0031】
また、脚部17は、マス部11よりも高い剛性を有している。
これにより、マス部11の変位にともなって脚部17が変形してしまうのを抑え、マス部11の変位を減衰部18に確実に伝達して、減衰部18における減衰効果を効率良く発揮させることができる。
【0032】
また、減衰部18は、脚部17の他端17bをアウターパネル5に接着する接着剤19であるようにした。
これにより、減衰部18を構成するダンパー等の機構を別途備える必要が無く、低コストでダンパー機能を備えることができる。
【0033】
また、接着剤19は、脚部17が連続する方向に沿って線状または点状に配置されている。
これにより、脚部17の全体をアウターパネル5に確実に接着するとともに、脚部17の全体で接着剤19による減衰効果を得ることができる。
【0034】
また、複数のバネ部12を、対向面に沿う方向で互いに間隔をあけて設けるようにした。
これにより、マス部11がアウターパネル5側に向かって接離するように変位するのにともなってバネ部12が弾性変形するときに、互いに隣り合うバネ部12同士が緩衝することを抑えることができる。これにより、バネ部12の変形を他のバネ部12が阻害することを抑え、騒音を効率良く抑えることができる。
【0035】
また、膜材14内に封入するガス15として空気を用いるようにした。
これにより、遮音部材10の低コスト化を図ることができる。
また、膜材14内に封入するガス15として二酸化炭素を用いれば、空気中よりも音速(音波の伝搬速度)が下がる。これにより、遮音性能を向上させることができる。
また、膜材14内に封入するガス15としてヘリウムを用いれば、空気よりも密度が低くなる。これにより、遮音性能を向上させることができる。
【0036】
また、上記したような遮音部材10を、自動車の車体1のアウターパネル5に取り付けることで、車体1の内部空間3における遮音性を高めることができる。
【0037】
(実施形態の第一変形例)
上記したような遮音部材10において、図6図7に示すように、接合層部材13側に、硬質のボード材16を追加することもできる。この場合、ボード材16は、膜材14よりも硬質な樹脂材料等から形成することができる。このようなボード材16は、バネ部12と接合層部材13との間に挟み込むように設けることができる。
【0038】
(実施形態の第二変形例)
また、図8に示すように、例えば、遮音部材10は、アウターパネル5側ではなく、インナーパネル6側に装着することもできる。この場合、遮音部材10は、接合層部材13をインナーパネル6に接合し、マス部11は、アウターパネル5側に位置するように設けることができる。
【0039】
(実施形態の第三変形例)
また、上記実施形態では、各バネ部12を、断面円形としたが、これに限らない。例えば、図9図10に示すように、バネ部12Bを、上記実施形態のバネ部12よりも断面積が大きな略矩形状に形成してもよい。この場合、互いに隣り合うバネ部12B同士の間隔を、上記実施形態におけるバネ部12同士の間隔よりも狭めるようにしてもよい。
【0040】
(実施形態の第四変形例)
また、例えば、図11に示すように、バネ部12Cを、断面六角形状とし、互いに隣り合うバネ部12Cを隙間無く配置し、いわゆるハニカム状に構成することもできる。
【0041】
(実施形態の第五変形例)
また、脚部17は、略クランク状の断面形状に限らず、他の形状とすることができる。例えば、図12に示すように、脚部17Bを断面略H字状とし、互いに隣接するマス部11同士の間に配置するようにしてもよい。
【0042】
(実施形態の第六変形例)
また、図13に示すように、マス部11と脚部17とを、一体に形成するようにしてもよい。
【0043】
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、マス部11と膜材14とを一体に成形するようにしてもよい。これにより、マス部11と膜材14とを別途接合する必要がなく、遮音部材10の製造を効率良く行うことができる。
例えば、上記実施形態およびその変形例では、遮音部材10を車体1のルーフ部に設けるようにしたが、これに限らない。遮音部材10は、車体1のドア、ピラー、ボンネットやトランク、ボディパネル等、他の部位に設けるようにしてもよい。また、遮音部材10は、自動車に限らず、建物の天井、壁、床、各種装置のカバー等、他の構造体に設けるようにしてもよい。
遮音構造を車体1から独立した遮音部材10で構成することで製造や取り扱いが容易になるが、マス部11とバネ部12とを備える遮音構造を区画部材に直接設ける構成としてもよい。
そして、上記実施形態における構成は本発明の一例であり、当該発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 車体(構造体)
3 内部空間
4 外部
5 アウターパネル(区画部材)
6 インナーパネル(区画部材)
10 遮音部材
11 マス部
12、12B、12C バネ部
13 接合層部材
14 膜材
15 ガス
17、17B 脚部
17a 一端
17b 他端
17c 中間部
18 減衰部
19 接着剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13